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映画感想た行



○「ダークナイト」 ★★★★★ (09.11.14/ブルーレイ)
STORY:ゴッサムシティに正義に燃える”光の騎士”こと新検事・デントが赴任。闇で犯罪者と戦うバットマン=ブルース・ウェインと共闘し、街に
平和が訪れようとしていた。しかしそこに狂気の犯罪者・ジョーカーが立ち塞がる。自分の対極の存在であるバットマンに悪意を剥き出しにする
彼の狂気に街は混沌の渦に落とされていく。デントは傷つき闇に墜ち、バットマンも愛する者を奪われ民衆の支持を失い追い詰められていく…。



クリストファー・ノーラン監督による新生バットマンシリーズ第2作
つーか
正直バットマンという作品には興味がなく(幼少時に見たTVアニメ版がまさにアメリカンなてきとーな出来だったのが原因で印象が
よろしくない。)、それ故に傑作という評判を耳にしながらも劇場に足を運ぶことはなかったのだが、故あってブルーレイで観賞。


もう一つ、劇場に行く気が起きなかった理由は、今作のバットマンの敵であるジョーカーさんの見た目がなんともよろしくなかったため。
アホのキングの「IT」がトラウマでピエロが苦手だし、半端にメイクが剥げているが醜悪だし、なんと不細工な道化よ………と思っていた時期
が私にもありました

実際観てみたらば、
ジョーカーさんサイコー!!!

悪を憎み、財力に任せてお手製のコスプレ衣装に身を包み秘密兵器を駆使して犯罪者を裁く自己満足の正義の味方・バットマン
立ち向かうは、
純粋な狂気と悪意の権化たる混沌の使者・ジョーカー。彼と関わった人間は己れの中の”悪”と対面させられることになる。
それはバットマンも例外ではなく、ジョーカーに狙われたがためにボコボコ犠牲者の数が増え続け、味方であるはずの世論も警察も敵に回り、
正義に燃える友も愛する女性も失い
ついには”正義”の御旗の元に一線を越えた力に頼る羽目に
つーかそこまでして己れの正義を貫こうとする
バットマンの方が道化に見えてしまう憎まず殺さず赦しましょうを地で行ってジョーカー
さん抹殺の絶好の機会を逸した挙げ句、生き残ったジョーカーさんのせいで更に被害は拡大するなんざ、
偽善もいいところではないか。
(でも、最後に”
Dark Knight”として闇に消え去る姿は格好良かった。アルファベット1文字つけて庭に埋めてやりたくなった。)

つーわけでお茶目なジョーカーさん(病院のシーン最高!)によって突きつけられまくる人間の本質に関わる二者択一がヘヴィーに心を
抉る一本。
ただ重苦しいだけでなく、
フェリーの囚人の一幕に胸打たれド派手なカーチェイスに手に汗握りと娯楽作としても合格点のボリューム満点の
傑作
。ちと胃もたれ気味だが。
今後も宿敵として立ちはだかるはずだったジョーカーさんを狂気たっぷりに演じあげた
ヒース・レジャーが逝ってしまったのはシリーズにとって
痛すぎる。


気に食わなかった点が2つだけ。
一般人のフェリーでアイツがスイッチを押さなかったのは
良心の呵責ではなくて罪を背負う覚悟がないヘタレなだけだったんじゃないかと
思ってしまったことと、

あまりにもヒロインがブサイクすぎること



○「ダークナイト・ライジング」 ★★★ (12.8.27/劇場)
STORY:正義の弁護士ハービー・デント殺害の汚名を敢えて被りバットマンが闇に消えて8年、ゴッサムシティは平和を謳歌していた。しかし、新た
な敵・ベインが暗躍を始め、その手下・キャットウーマンによりブルース・ウェインは資産を失ってしまう。盟友・ゴードンも重傷を負い、再びバットマン
として立ち上がったウェインだが、ベインとの一騎打ちに敗れ異国の牢獄に幽閉され、無法地帯となったゴッサムは核爆発の危機に晒されてしまう…。



クリストファー・ノーラン版バットマン三部作の完結編
だけあって、過去二作とのリンクも多い。が、そこには
ジョーカーさんの影はないのが悲しい

完結編ということで敵怪人の猛攻も激しく、盟友ゴードンは早々に負傷退場し、引きこもっていたロートルのブルース・ウェインは社会的地位を
ほぼ抹殺
され
、裏の顔のバットマンとしても一騎打ちに完敗した上に武器庫まで奪われクリーン利用しようとしていた核融合炉は核兵器
転用され
、挙げ句どこともしれぬ異国の脱出不可能な監獄に放りこまれてまったくもって絶体絶命
法でしっかり統制されていたはずの街はいともたやすく暴力が支配する世紀末救世主伝説な昔に逆戻り。


さて、ここからどう逆転するのか!?と思ったら、なんかあっさりひっくり返してしまって拍子抜け。絶望感にゾクゾクしていただけになんか残念。
メルトダウンのタイムリミットまであと一日というところで、ようやっと
異国の牢獄から身一つ、無一文で脱出できたのに、なんでスチャッとゴッサム
に帰ってこれるのか
。中性子爆弾とはいえ核爆弾を、街中じゃなくて沖合で爆発させたから被害がなくてめでたしめでたしなんてアバウトな話、
3.12以降の世界で通じると思ったのか。とまあ、ノーラン監督らしくない雑さばかり目立つのは、前作があまりにも偉大すぎたから


今回の悪役のベインはなかなかの強敵だったが、やっぱりジョーカーさんの狂気には勝てるはずもなく、やられっぷりの呆気なさもあり、何が
したかったの感
が。唐突な黒幕の登場もねえ。

キャットウーマンはなかなかよかった。スピンオフで主役張りそう。
ジョゼフ・ゴードン=ウィレット演じるところの
あからさまにロビンな青年は、いつ活躍するのかと思ったらなんと次回作かい

前作を越えるのはむべなるかな無理だったものの、シリーズ完結編としてはしっかり機能していた。いい終わり方だと思う。



○「第9地区」 ★★★ (10.4.19/劇場)
STORY:南アフリカ・ヨハネスブルグの上空に突如出現した巨大宇宙船の中にいたのは異星人の難民の群れだった。やむなく彼ら
”エビ”を地上の”第9地区”に受け入れた人類だが、”エビ”たちの野蛮な振る舞いにより治安は悪化し、そこはスラムと化していった。
28年後、警備を委託されている民間企業・MNUはトラブルメーカーの”エビ”たちを”第10地区”に隔離すべく立ち退きを迫るが…。



我らがピーター・ジャクソン無名の新人監督の長編デビュー作をプロデュース
小汚い難民宇宙人と人類との小汚いファーストコンタクト、そして小汚い奇妙な共存生活から起こる小汚いドタバタとその顛末
描いた
小汚いB級SFだが、なんと2010年度小汚いアカデミー作品賞にノミネートされてしまうという素敵なことに。
いや、もっと他に選ぶ作品あるだろうがと

記念すべき人類と異星人とのファーストコンタクト侵略でも親善でもない意外な形で訪れ、ボンクラ宇宙人は招かれざる客と
して居座ることになり、やがて住民との軋轢が生じるというシニカルな幕開け。邪魔な宇宙人を追い出せと歯をむき出して憤る黒人
たち

その場所が
南アフリカ共和国というのが何とも腹黒い設定だの

その宇宙人・通称”エビ”どうにもこうにも箸にも棒にもかからないボンクラでなあ。何故かキャットフードが大好物で猫缶に
群がる姿だけは爆笑なのだが。


その”エビ”どもを強制連行すべく立ち退きを迫る作戦を指揮するのがこれまたボンクラリーマン・ヴィカス。軽口を叩きながら”エビ”
どもに心ない仕打ちをしていくシーンはあからさまにこれから自分にそれが返ってくるのが見え見えでヤな感じ。
案の定、いろいろあって人類から追われいろいろあって”エビ”のクリストファー(地球名)と共闘する羽目になるヴィカス
よくある展開だとここで”エビ”どもと共同生活をして感情移入して友情が生まれたりしちゃうのだが、その辺あっさりすっ飛ばす辺り
カラッとしていてこの映画らしい。つーか
逆襲までの展開早すぎ
ボンクラなわりに所々オーバーテクノロジーをもつ
”エビ”どもの超兵器は実に爽快な破壊力で素敵豚攻撃ロケット鷲掴み
笑った。


関係者へのインタビューやハンディカムや防犯カメラの画像を用いて物語っていく冒頭の演出は面白かったが、中盤以降の展開は
ぶっちゃけ既存のもののミクスチャー
。もう少しカタルシスがあるとよかった。
しかしなんでこうエイリアンは甲殻類系のデザインが多いのか。


母星から大挙して襲い来る”エビ”の大部隊との宇宙戦争なんて展開の「第10地区」とか作られないよね?



○「大混乱 ホンコンの夜」 ★★★ (03.10.15/TV)
STORY:1997年6月30日、返還前夜の香港。香港に転勤してから2年経っても広東語を覚えられない冴えないサラリーマン・三木拓郎は30
歳の誕生日に、自分自身のためにとっておきのプレゼントを用意していた。大枚はたいて初恋の人そっくりの高級娼婦を買ったのだ。ところが、
いざ一戦というその時になってコンドームがないことに気づき、仕方なく買いに出た彼を待っていたのは、波瀾万丈の一夜だった…。



ナイナイの岡村隆史主演の「無問題」のスタッフが、三谷幸喜や周防正行作品の常連で”小心者のデブの脇役”を演じることが多い田口浩正
を主役に迎えて送るコメディ。つーかなんて人選だ。
コンドームを買いたかっただけなのに、どんどん雪崩式にトラブルに巻き込まれる悲劇の主人公を、特に破綻もなく(かといって素晴らしい
わけでもなく)演じきっているが、あまり華がない。そしてどんな酷い目にあっても、娼婦を抱くためにコンドームを盗んででも手に入れたいなんて
のが行動理由だし、かわいい娘を見ればすぐ目の色変えるしで、あまりかわいそうとも思えないのがなあ。


むしろ作品を盛り上げるのは、チン・カーロッ演じる勘違い警部(とその秘書)の壊れた演技。もう目つきからして違うッス。

ただ勘違いっぷりもありきたりで、別段目新しいこともないよくあるコメディ映画。



○「タイタンの戦い」 ★★ (10.5.10/劇場)
STORY:神話の時代。神の度重なる理不尽な仕打ちにアルゴス国は反乱を決行、神殿を焼きゼウスの巨像を破壊する。しかし神の
力は圧倒的で、冥府の神・ハデスの操る魔獣・クラーケンにより10日後に王都は滅ぼされると宣告される。ゼウスと人間の母の間に
生まれた青年・ペルセウスは育ての親を殺した神への憎しみからクラーケン討伐に向かうが、彼に恐るべき試練が次々と降りかかる…。



うーん。監督が「トランスポーター」シリーズとかの人なのでこまけえこたぁいいんだよ!!な作品になるのは見え見えだったの
だが、それにしてもいろいろと舌足らず
そもそも人間が神々のどのような理不尽な振る舞いに耐えかねて下克上しようとしたかが描かれていない(魚が捕れないくらい
しかないよな。あとあとイオの話やらメデューサの話やら出てはくるけれど。)ので感情移入しづらいっつーか
人間の方が我が儘に
しか見えない

神々も暴虐と言われてるわりには、
聖衣着てるわりには、愛だの信仰だの言って何もしないし。そもそも神の威厳が感じられない顔
ばっか
だ。

主人公のペルセウスも、家族の敵討ちで神と戦うなんて設定にしたばっかりに神の力を借りないと敵を倒せない自己矛盾に
身動きが取れない体たらく
。元ネタの神話がそうならともかく、今回の脚本オリジナルなわけで、
頭が悪い
更に最後はアンドロメダ姫ではなく別の女とくっつくって
原作徹底無視にも程があるし、脚本家は今頃神々の怒りを買いハデスに
襲われてるんではないだろうか。


ペルセウスと共にクラーケン討伐に赴く特攻野郎たちもようやっとキャラが立ってきたと思ったら突端にバタバタと帳尻合わせの
ように屠られていく
し。


とまあ、どうにも話はヘッポコなのだが、ではウリのアクションはどうかといえば、巨大サソリ軍団との激闘!メデューサとの死闘!
クラーケンとの最終決戦!と
盛り上がらないこともないのだが………あれ、これだけ?という印象の方が強い。今日日この程度
のボリュームじゃあねえ。
一つ一つのアクションにしても実のところ目新しいこともないし。


こうして書くと、あんまいいとこないなあ。
最初は嫌なヤツながら、だんだん主人公と親交を深め、最後はよき相棒となる大塚芳忠声の隊長とかジンさんとかの散りざまくらい
しか印象に残らん。


3D版で観たのだが全然飛び出さずションボリだったのだが、元々2Dで作成して後から無理矢理加工したなんちゃって3Dだった
模様。


こんなん作るんならクレイトスさんが神話の登場人物も怪物も尽く虐殺して回る残虐映画を作ってほしい。



○「タイタンの逆襲」(3D) ★★★ (12.5.9/劇場)
STORY:かつてクラーケンと死闘を繰り広げたペルセウスは一人息子のヘレイオスと静かに暮らしていたが、父親であり神の長であるゼウスが再び
現れ、巨神・クロノスの復活を阻止するための助力を要請される。断ったペルセウスだったが、ゼウスが兄・冥神ハデスと息子・戦神アレスに裏切られ
囚われの身となったことにより神々の力が更に弱まり、魔物が出現して平和を脅かされたため、ゼウス奪還を決意し、神の血を引く仲間を集める…。



前作「タイタンの戦い」PS3辺りの3Dアクションゲームしかもクソゲー風味で、プレイしたら2時間くらいでクリアしてしまいやりこみ要素も
何もないという感じ
だった。しかもブームに便乗しようとして無理矢理3Dに加工したものの、あまりに付け焼き刃で字幕しか飛び出さねえ
いう
散々な駄作であった。
じゃあ続編観に行くなよ。


さて、それを踏まえての続編だが、監督も替わったことだし、前作の反省点を踏まえて思ってたよりはマシな出来に
なんつっても
前作はボリュームがなさすぎで、クライマックスの戦いも(それまでの戦いがgdgd長かったのに)あっけなく終わってしまって
ガッカリですだったのが、だいぶ改善されて、そこそこの満足度は得られた

大巨人クロノスの目覚めとそれを待ち構えて迎撃せんとする人間の軍勢その包囲を切り裂く魔物の尖兵の恐怖とそれに対抗するジジイ神
無双
。なかなかに盛り上がった。
ただし、
そこに行き着くまではgdgdだったが。

同じくオリュンポスの神々とタイタン族の死闘を描いた「インモータルズ」も度し難いgdgdだったが、そうしなければならない規則とかある
のかね?


あ、3Dについてだが、こちらも前作の飛び出す詐欺を踏まえて最初から3Dありきで作成されているので、3D映えする構図なんかもあったり
してマシではあるものの、
そもそも3Dという要素自体蛇足みてえなもんだからなあ。



○「大帝の剣」 ★★ (07.4.3/劇場)
STORY:時は江戸時代、将軍家光の御代。太古の昔宇宙より飛来したオリハルコンで作られた三種の神器が日本に全て集まっていた。その
力を求め探索をする幕府の密偵。だが、神器の一つ・大帝の剣は謎の浪人・万源九郎の手にあった。源九郎は偶然出会った豊臣家の遺子・舞
と他の神器を求めて旅をすることになる。神器を狙い彼らに迫るは異形の忍・土蜘蛛衆。更にオリハルコンを求めてエイリアンまで現れて…。



時代劇である。
なので
異形異能の忍者集団との常識無視の忍術合戦はアリと言えよう
が、主人公が背負う”大帝の剣”の”大帝”とはアレキダンダー大王だったりオリハルコン製だったり
宇宙船が落ちてきたり………って、
何じゃその無茶苦茶っぷりは!
燃えるじゃないか!
いみじくも作品内でもこう言っているではないか、「面白けりゃいいんだよ!」その通り、面白ければ全てが許される


……
………


でもこれがつまんねーんだわ!!!
つまらないので全てが許されません


何故にこれだけ面白くなりそうな素材を集めながらこんな盛り上がらない冗長で退屈な映画ができるのか?
監督の堤幸彦
「トリック 劇場版2」あれだけ意味もなくCGで悪ふざけをしていたのに、何故それをここで活かさないのか?ここで
やらずにどーすんのよ?
「2LDK」あれだけ楽しい決闘シーンを描いていたのに、何故戦闘シーンがこれほどまでにグダグダで盛り
上がらないのか?


俳優も活かしておらず大倉孝二六平直正の使い方とか、酷すぎ。あの大倉孝二がいちいちつまずくギャグには殺意すら覚えた。
力兄ィエンケンは元々怪優なんだから
あんなゴテゴテしたメイク不要で、素顔でやってもらえばいいのに。

数少ない良かった点探し
主人公演じる
阿部寛は長身が映えて、大剣を背負った無頼漢という姿が実にカッチョエエ。少しズレたリアクションも上田”どんとこい”
次郎
を彷彿させてニヤリとしてしまう。
これでアクション演出がちゃんとしてればなあ
豊臣の遺子を守る忍者に
宮藤官九郎ただでさえ乏しい緊張感を更に削いでしまうユルイ演技が楽しい。
つーか
クドカンと力兄ィと本田博太郎が一緒に出ている段階でグループ魂のファンとしてはおかしくて堪らない。んで本田博太郎がまた
チョイ役なのに濃ゆい演技をしていて楽しすぎる
。最近絶好調だの。犯人なのか忍者なのかそう見せかけてやっぱり黒幕なのか。
………って、良かった点ってキャストだけかい。「CASSHERN」かよ。


女性陣は好みと合わず。
でもハセキョーはイロモノ役で笑えた。美青年剣士役の黒木メイサは今一歩足らず。結局チョイ役の前田愛が一番よかったのか?




○「大日本人」 ★★★ (07.6.19/劇場)
STORY:大佐藤大は電流を浴びることにより巨大化し、日本各地に現れる巨大な獣(じゅう)と戦う大佐藤家の6代目。一昔前は大人気だった
大佐藤もすっかり人気は低迷し、TV放送は深夜枠に追いやられ、近所受けもよろしくなく、妻には愛想を尽かされ一人娘を連れて出て行か
れる始末。老人ホームに預けている認知症の祖父を養うためにも今日も戦うが、新種の凶暴な獣にボコボコにされてしまい…。



天才芸人・松本人志の監督第1作。同じく天才芸人・ビートたけしの監督作品がコメディではなかったように、この作品も爆笑必至のコメディと
いうわけではない。
それでもカテゴライズすればコメディになると思う。中盤までの笑いの要素は非常にじんわりとしたもので、苦笑というかなんというか、一般
受けしねえだろうなあ、という笑い。
終盤(板尾が出てくる辺りから)はだんだん「ごっつ」っぽい笑いになって来るのだが、
最後のアレは唐突だなあ

現代日本の病症、消えていく伝統、アメリカ、北朝鮮といったわかりやすいカリチュア満載だが、そこが本質じゃあなさげで、それじゃあ何が
本質よ、と問われると返答に窮してしまう出来。笑いのためのスパイスというには笑いが湿った煎餅布団のようで


一方で、この作品は正義の巨大ヒーロー・大佐藤が次々と現れる巨大怪獣と戦うヒーロー映画だったりもする
まあ、そこが本質じゃあなさげで、それじゃあ何が本(ry


で、出てくる怪獣が非常にシュールで、個人的にはイヤ〜ンな感じ。
映画のキャストクレジットの2番目が
竹内力兄ィで、いったいどんな重要な役柄で松っちゃんと絡むのかと思ったら、巨大怪獣かよ!!!
しかも顔と脚だけかよ!

面白いか、と言われるとそう断言できず、ではつまらないか、と言われればそうとも答えられず、どうにも微妙な作品



○「ダスト」 ★★★ (02.12/劇場)
STORY:2000年のN.Y、小悪党エッジは空き巣に入ったアパートで、老婆アンジェラに銃を突きつけられ物語を聞かされる。…100年前、カウ
ボーイの兄弟・ルークとイライジャは娼婦リリスに同時に惚れるが、彼女はイライジャを選び、傷心のルークはアメリカを離れ、内乱のマケドニアで
賞金稼ぎに身をやつす。しかし、彼の前に再びイライジャが現れ、銃口を向ける。撃たれ重傷を負ったルークは、村娘のネダに救われるが…。



現代のコンクリートジャングル・ニューヨークと100年前の岩山と荒野の広がるマケドニア、2つの舞台をトリッキーにつないで語られる映画。
マケドニアといえば竜騎士の国として有名だが初代FC版のミシェイル(とナバール)のグラフィックはショボかったよなあ…え、違う?


ヘボイ前フリはさておき、バルカン半島はマケドニアで繰り広げられるのは鉛の弾が飛び交いまくるバリバリのウエスタン・アクション。これが
爽快だったり痛快だったりしたらよかったのだが、どうにも盛り上がらない割に陰惨だったりする。


ネタバレ全開になるが、ルークとイライジャの物語を語る途中で、彼らと数奇な運命で結びついていた老婆アンジェラは息を引き取ってしまう
が、その物語は彼女の最期を看取った見ず知らずの青年(そもそも家宅不法侵入者)エッジの心の中に引き継がれ、彼もまた別の人に、
アンジェラが語り終えられなかった物語を、償いのために軍隊にただ一人、二丁拳銃で闘いを挑むルークの生き様死に様を、語り継ぐ。
そう、この作品のテーマは物語ること、人間は所詮数十年で塵<ダスト>になって消えていく運命だけれども、
物語は語り継がれることに
よって永遠の生命を得られるということ
人の生きた証は永遠に残るということ…。
自分も時々似たようなことを考えていたりしているのだが、こんな感想文が残ってもなあ(笑)。
テーマはともかく、劇中で紡がれる物語が塵になることなく語り継がれていくほどの話ではないのがちと問題。




○「たそがれ清兵衛」 ★★★ (02.11/劇場)
STORY:山形・海坂藩に井口清兵衛という侍がいた。妻を病で亡くし、年老いた母と小さい2人の娘の面倒を見るために、毎日定時で家に帰る
彼は同僚から”たそがれ清兵衛”というあだ名を付けられていた。ある時、幼馴染の朋江と再会した清兵衛は、成り行きで彼女の前夫の豊太郎と
果し合いをする羽目になるが、見事木刀で打ち負かす。その噂を聞いた家老は、清兵衛に藩命に背く家臣・剣の達人の余吾討伐を命令する。



「フーテンの寅さん」シリーズの名監督・山田洋二が初めて挑んだ時代劇で、出演陣も真田広之・宮沢りえなど豪華キャストという話題作で
がんす。
考証に凝っているようで、皆バリバリの東北弁でしゃべるのでがんす。自分は大学時代の友人がまんま同じ訛りでしゃべっていたので、さほど
困らずに聞けたが、普通の人にはちょっと耳障りやもしれないでがんす。


貧乏で風呂には入れないわ衣服はボロボロだわ老母はボケてるわという苦しい暮らしながらも、かわいらしい2人の幼女と共に毎日を真面目
に楽しく暮らしている主人公・清兵衛は、真田広之の名演技もあり、好感がもてるでがんす。幼い頃から彼を慕っていたヒロインもまた好印象
でがんす。
脇を固めるのも吹越満大杉漣などいい俳優ばかりで、クライマックスで主人公と果し合いをする達人・余吾を演じる舞踏家・田中泯も存在感
を出し、なかなかにいい映画だったが…
最後の10分で大失速でがんす。ちなみに丹波哲郎、ゴーイングマイウエイで一人だけ方言無視

クライマックスの清兵衛と余吾の屋内での一騎打ちは、斬新でリアルな殺陣というのがウリだったのだが、見終わった感想としては、
(゚Д゚)ハァ?
そして最後の、その後の話は丸々余計では?カットすれば岸恵子なんて使わずに済む(格付けのつもり?)のであの説明過多なばばあ
くさいナレーション
も変わるし…でがんす。超ハッピーエンドで構わないではないか…でがんす。




○「立喰師列伝」 ★★★ (06.5.13/劇場)
STORY:立喰師−それは立喰いのプロ。飲食店にておのが全知全能を駆使してただ食いを成し得ようとするゴト師たち。彼らは混沌たる戦後
史の闇の中にその伝説となった通り名を今もなお輝かせる。ケツネコロッケのお銀、哭きの犬丸、牛丼の牛五郎、ハンバーガーの哲、中辛の
サブ、そして月見の銀二…。彼は月見そばの丼を抱え今宵も呟く。「いい景色だ…」…。



「攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL」「イノセンス」の………否!「紅い眼鏡」「御先祖様万々歳!」押井守監督
最新作
押井汁全開の、完全素人お断り押井信者御用達の珍品

映画としてはぶっちゃけどうなのよ?という一本なのだが、「Zガンダム」三部作話は破綻していてもモビルスーツの新作アクション
シーンがたっぷり入っていたのでファン大喜び猫まっしぐらという状態
だったように、押井ファンにとってはいつもの立て板に水の語りと
変な顔のアップのカット割と偏った哲学がてんこ盛り
なので無問題
なのである。

「パト3」のおまけの「ミニパト」での技法を発展させた”スーパーライヴメーション”という技法もぶっちゃけどうなのよ?と思うのだが、この
作品の胡散臭さには実にマッチしていた
かとも思ったり。それを活かした業界人ばっかのキャストもバカらしくて素晴らしい。語りの山寺宏一
八面六臂の大活躍で、これで他のキャストとギャラ一緒だったらかわいそうだなと思うが、千葉繁が参加していないのはたまらなく寂しい

んで押井作品なので気を抜くと寝てしまいます。オイラも万全の体調ではなかったので序盤コックリと。なのでもう一度ちゃんと観て評価を
変えるかもだ。


それにつけても月見の銀二はやはり故・天本英世に演じてほしかった



○「ダニー・ザ・ドッグ」 ★★ (05.7.4/劇場)
STORY:ダニーは5歳でギャングのボス・バートに拾われ、犬のように首輪を付けられて育てられてきた。通常はでくの坊だが、一度首輪を
外せば獰猛な戦闘マシーンになるように教育されていたダニーだが、敵対ギャングの攻撃でバートとはぐれてしまう。彼は偶然出会った盲目の
老ピアノ調律師・サムとその義娘・ヴィクトリアに助けられ、人間らしい生活を取り戻し始めるが、再びバートに捕らわれてしまう…。



アホのベッソン脚本監督はその一味の「トランスポーター」の人当然映画のコピーは「『レオン』の感動再び」みたいなヤツ

今作の見所は人間性を否定され番犬として育てられた我らがジェット・リーの、傷つけられたピュアな子供同然の人格が善き人々との
ふれ合いの中で再生していく様
と、
対照的に野獣のような激しい戦闘といったところだが、前者はともかく肝心の後者が大したことがない
っつーか見せ場がなく消化不良強敵がいないのですよ。

前者も、モーガン・フリーマンという名優を使っているのでそこそこ描けているのだが、犬として育てられた、という書き込みが不十分で
微妙。
そのモーガンさん最後にいいところを持っていき、「ミリオンダラー・ベイビー」に続き最強説が一部で。(
この夏のモーガン・フリーマン
祭り
のもう一本の「バットマン・ビギンズ」は観てないんだがやはりこっそり最強なのだろうか?)



○「ダブルス」 ★★★ (02.3/ビデオ)
STORY:自分が作った会社をヤクザに乗っ取られ、会社を追われた元社長の青年<HN:gun>は、復讐のために金庫の中の大金を盗む
計画を立て、インターネットで雇った中年の鍵師<HN:key>と共にある夜、実行する。gunの綿密なシミュレーションによれば、計画は100%
に近い成功率のはずだったが、次々にトラブルが発生。そして脱出時にエレベーターが事故で停止し、二人は中に閉じこめられてしまう…。



二人のしけた小悪党が繰り広げるバディ・ムービー。
主人公・gunは秀才で、パソコンを駆使して緻密な計画を練ったと思いきや、実はあまりにも楽観主義な穴だらけの作戦しか立てられない

すげえだめなオタク青年で、閉じこめられたエレベーターの中でどんどんへっぽこぶりがばれていくのが微笑ましい。演ずるは「発狂する唇」
「ヒート・アフター・ダーク」と、オイラ的には出演作を目にする機会が多い鈴木一馬
対する、ちょっとした訳アリで大金が欲しい海千山千の不良中年鍵師・key
荻原健一。流石の貫禄の演技で、二人の掛け合いは結構楽しめ
た。


話も、最後に至るまで結構面白かったのだが、一度目の”脱出シミュレート”失敗のあたりから、先の展開が読めまくってくるのがちと難点。



○「誰も知らない」 ★★★ (04.10.19/劇場)
STORY:都内のアパートに越してきたけい子と明の親子。喧噪を嫌う大家に二人暮らしだと嘘をついていたが、荷物に紛れて姿を現したのは
京子・茂・ゆきの3人の子供。子供達を誰一人学校には行かせてもらえず、明以外の子供は秘密保持のため部屋から出ることさえできなかった。
やがて新しい男ができたけい子は当座の生活費を残し姿を消してしまう。残された子供たちは母親が帰ってくることを信じて生活を続けるが…。



カンヌ映画祭で主演の柳楽優弥くん14歳が主演男優賞を受賞したことで話題になった是枝裕和監督作品
実際にあった
巣鴨置き去り事件をモチーフに、母親に捨てられた4人の子供たちの誰も知らない生活を淡々と描く
そう、
あまりにも淡々としていて何と感じていいのやら…どう感想を書いていいのやら、困るような作品。
鬼のような母親に捨てられ世間からも隔離され傷つき涙しながらもけなげに助け合って生きていく幼い兄弟に非情にも更なる悲劇が降りかかる…
なんて昼のワイドショーみたいな展開ならねえ。
世間の同情を引こうというわけでもなし、大人達の無責任や冷たさを糾弾しているわけでもなし、大きな悲劇を乗り越えてたどり着くラストには
別段ドラマが待っているわけでもなく、それでも観客にはズシリと重い何かを残して物語は幕を下ろす


いろいろな感想を抱いた人、触発されていろいろな思いを語る人、この映画については感想を見るのが非常に面白いex

酷い目に遭っても笑顔で生きる子供達の演技が素晴らしすぎる。(そもそも社会との接点を極端に奪われて育ってきた子供達には、これが
酷い目だという認識自体がほとんどないのだろうなあ)ぶっちゃけ次男はアホでウザいが。
子供達の理解者となるいじめられっ子の女子高生に
韓英恵相変わらずかわええ。彼女が出ているとは知らなかったんでうれしさひとしお。
子供達の母親に
YOU。なんか「ごっつ」のコント見てる感じで違和感がどうしても(笑)事件の最大の元凶である彼女を結構魅力的なキャラと
して描いているのが何ともヤラシイ。
エンケンと寺島進も出てた。




○「単騎、千里を走る」 ★★★ (06.1.31/劇場)
STORY:高田剛一は不器用な生き方をしてきた初老の男。一人息子の健一とは仲違いをして絶縁状態が十年来続いていた。が、彼が末期癌
だと知らされた剛一は、息子のやり残した仕事を引き継ぐため単身中国へ渡る。それは中国古来の仮面劇「単騎、千里を走る」の撮影。ろくに
言葉が通じない通訳と共に何とか俳優・李を捜し当てた剛一。だが、李は離れ離れの息子のことを思い出し、悲しくて舞えないと泣くのだった。



「あの子を探して」「初恋のきた道」など感動もので世界に名を馳せたチャン・イーモウ監督が、「英雄」「LOVERS」なんちゃって
武侠ものへの寄り道
の後、久々にホームグラウンドに帰ってきた一本
主演は日本が誇る俳優・
高倉健。他に日本からは中井貴一・寺島しのぶが出演。つーか日本パートは日本の監督が撮ってるのね。

過去の諍いから父親を許そうとしない息子。その息子の死に瀕し、父親は衝動的に息子の果たせなかった夢を完結させようと中国に渡る。
しかし父親役は何せ
高倉「不器用ですから」健である。中国語なんてしゃべれるわけないし、それどころか日本語で他人と付き合うの
だって苦手な男
なのである。
それでもその誠意は言葉の通じない異国の人たちの胸を打ち心を震わせ皆のまごころは不可能と思われた夢を現実のものとして
いく

…まあ、「息子が癌でもうすぐ死ぬんで、最後の望みを叶えてあげたい」なんてお願いされれば、そこそこの人数は協力してくれるだろう
けどねえ


以下ネタバレ
結局健さんは「単騎、千里を走る」の撮影に成功するのだが、
実は息子が撮影したがっていたというのは社交辞令で大した意味はなかった
上にすでに息子は亡くなっており無駄足だった
し、息子に会いたいと泣いていた李の息子を連れてくるために千里行してはみたものの
土壇場で息子を置いて帰ってきた
(代わりに息子の脱糞シーンを激写してきたんで勘弁してくれ!)で、とどのつまり散々周囲を振り
回した挙げ句何も果たせていない
というのが、
ほろ苦く深くもあり、肩すかしでもあり
まあ、永遠の別れの前に親子の絆が復活できた、という実りはあるものの、それだって
実は全部嫁が健さんを喜ばせるためにでっちあげ
た話かもしれない
(手紙だって嫁が代筆しているわけだし息子がそう言ったという証拠はない。)わけで…。そこら辺がちょっと薄ら寒かった

あと、李さんの息子を探して広大な中国の奥まで入り込むのだが、それも車であっさり行けてしまうし、言葉の壁もケータイでガイドに電話
して解決できてしまう
という便利さにかなーり拍子抜け。もっと「中国の鳥人」みたいに大変な目に遭うんだと思ってたのに。

つーわけで思ったより小品だったわけだが、村を挙げての縦列歓迎会は圧巻だった



○「探偵はBARにいる」 ★★★★ (11.9.22/劇場)
STORY:俺は探偵。携帯電話は束縛されるだけなので持たない主義。ススキノで困ったことがあったらバー・「ケラー・オオハタ」に電話してくれ。
夜はたいていそこにいる。その日、コンドウキョウコと名乗る依頼人から胡散臭い仕事を依頼された俺は、案の定雪原で生き埋めにされて死に
かけた。やられっ放しじゃ気が済まない。更に深く顔を突っ込んでみると、いくつものバラバラだった殺人事件が一つに繋がってきた…。



原作未見。北海道が生んだ大スター・大泉洋札幌・ススキノハードボイルドな探偵を演じてしまう
大泉洋にハードボイルドなんて似合うわけがない、ミスキャスト極まりない、舞台が札幌だからという安易な人選だそんなふうに考えて
いた時期が俺にもありました

結論から言うと大泉洋はハードボイルドに憧れつつもハードボイルドに徹しきれない
いつもの大泉洋で、それは引き出しが狭いというの
ではなく、逆に
役を取り込んで租借して言うなれば大泉洋役に変えてしまうという特殊能力の現れで、いつもの大泉洋がたまらなく好きな身
としては、ついつい点数が甘くならざるを得ない


監督他制作陣も聞かない名前ばかりで、そちらの方でも期待は持てなかったのだが、なんでも「相棒」のスタッフばかりだそうで、なるほど
バディものとしても犯罪アクションものとしてもそこそこの出来

その大泉洋の相棒の空手の達人だけどハイパー面倒くさがり屋のつかみどころのない男に松田龍平。相変わらずつかみどころのない男
を演じさせたら天下一品
だ。

ヒロインに小雪。悲劇のヒロインにして実は…というのは見え透いて仕方がないのだが、まあ好演。それにしてもずいぶんアゴとか肉が付いた
気がする。幸せ太り?


西田敏行、田口トモロヲ、安藤玉恵、高嶋政伸、竹下景子、有薗芳記、松重豊、浪岡一喜、石橋蓮司と脇役もくせ者揃い
気持ち悪いヤクザの高嶋政伸はなんか既視感があると思ったら高嶋兄の方が「L」で似たような役をやってたな。見かけ倒しな末路まで
含めて。
石橋蓮司も相変わらずギャグっぽい最期を見せる
そして竹下景子はなんかかわいいな。


事件的にはいろいろと無理があるのだが、主役バティがなかなかによいので楽しく観れた。よく考えると探偵、何もしてないし何も変えられ
なかったけど

続編にも期待。




○「チーム・バチスタの栄光」 ★★★ (08.2.19/劇場)
STORY:困難な心臓のバチスタ手術を26連続成功させてきた東城大付属病院の精鋭、チーム・バチスタ。だが、突如失敗が3件続き、疑問を
抱いたリーダー・桐生は院長に調査を依頼する。ひょんなことから調査を担当することになったのは不定愁訴外来の田口。全く門外漢の彼女は
悪戦苦闘するが原因を見つけることができない。そこに助っ人として現れた厚労省の役人で変人の白鳥は、「これは殺人事件だ」と断定する…。



第4回「このミス」大賞を受賞したベストセラーの映画化。原作未読。

ぶっちゃけそんなに観たかった作品ではなく、たまたま時間が空いていて、ミステリものだし阿部ちゃん主役だし観とくか、くらいの気持ちで観賞。
まあ、ぼちぼち面白かった。つーか阿部ちゃん主役じゃなかった。つーか竹内結子の良さがまっっったく理解できない人間なので、主役だと
知っていたら観なかったかもだ。


成功率6割という難解な心臓手術である”バチスタ手術”を巡る医療サスペンスで、流石に未知の分野なので興味深く視聴できた。つかみと
いうか、大まかな外枠の出来はボチボチいい
ただ、ミステリとしては終盤の構成がちょっち悪いかなあ、と。最後の手術前のミスリードが効果的ではないというか。
犯人の動機が不十分で物語に感情移入できないといった感想をいくつか見たが、最近は犯人の動機なんて重要ではないんだよという森(博嗣)
ミステリばかり読んでいたので別に違和感なし。


キャスティングはボチボチ。悪くはなかったがすごくいいわけでもなかった阿部ちゃんにはもっとハジケてほしかったが、そうなるとまんま
上田次郎になっちまうしなあ
。どんとこーい。吉川晃司にも同左

とまあ、全体的にボチボチとしかいいようがない。原作未読故に不満が少ないのかもだ。



○「チェンジリング」 ★★★ (09.3.2/劇場)
STORY:1928年、ロス。電話会社に勤め、女手一つで一人息子のウォルターを育てているクリスティン。だが、仕事中にウォルターが行方不明
となってしまう。市警の緩慢な初動捜査もあり息子の行方はわからなかったが、5ヶ月経ってようやく発見の報が入る。だが、帰ってきた少年は
ウォルターではなかった。市警に掛け合うクリスティンだが、無能な市警は捜査ミスを隠蔽するため彼女を精神病院に送り込んでしまう…。



”チェンジリング”とはヨーロッパの伝承で、妖精のいたずらで赤ん坊が醜いゴブリンにすり替えられる話。一青窈主演の「珈琲時光」
劇中で話題になってたのを思い出す。
そしてゲーム
「カルドセプト」では敵の強い(であろう)カードを3枚も雑魚カードであるゴブリンに変えてくれるこのスペル対人ではケンカ
になりそうだがCOMには情け容赦なく使い放題
。「セカンド」の最終戦で自キャラとそのコピーであるラスボスに
よってたかって都合6回も
スペルを喰らいまくったボスがすげえ悲惨だったのは忘れられない


閑話休題。
ヘヴィな作品ばかり作ってくれる
クリント・イーストウッド翁の、実際にあったヘヴィな事件を元にしたヘヴィな最新作

もし頼りになるはずの警察がボンクラで腐敗しきっているくせに自尊心だけは強い救いようのない組織だったら。もし行方不明になった我が
子が保護されたと聞いて喜んでいたのに警察に連れてこられたのが背は縮んでるわ
チンコの皮は剥けてるわの赤の他人だったら。もしそれを
警察に訴え出たら狂人扱いされて精神病院に監禁されたら。


予告編で使われている(チンコの皮とかは使われてないけど)ここまでのシーンだけでもそれが実話ベースということでゾッとするのだが、
後半部で更に話は怒濤の急展開を見せ、観客を絶望のズンドコに叩き落としたりするのである。

実はウォルター少年は大量殺人鬼ゴードン・ノースコットに拐かされていたという衝撃の事実。作中では流石に軽く流しただけだった
だが、当然ただ誘拐してきて殺すだけというわけがなく、
あんな酷いことやこんな酷いこともされたであろうて。

しかしそれでも死体は見つからず、それ故にクリスティンは一縷の希望を胸に歩み続けるというラストは、最近のイーストウッド翁の作品の
中ではだいぶヘヴィでない明るいエンディング
でまあ良かった。狂気と紙一重な気もするが、親とはそういうものなのだろうて

一つ前の「ウォンテッド」でのセクシーな姿とはうって変わって地味な生活臭溢れる母親を好演するはアンジェリーナ・ジョリー



○「チェンジング・レーン」 ★★★ (02.11/劇場)
STORY:若手弁護士ギャビンは法廷に急ぐあまり、無理な車線変更をしてドイルの車に接触、大破させてしまう。示談もそこそこにドイルを取り
残しその場を離れるギャビン。やはり急いでいたドイルが20分遅れで法廷に着いたときには、すでに彼の親権調停は終了しており、彼は2人の
子供を育てる権利を失い絶望に駆られる。一方、ギャビンは重要な証拠書類の入ったファイルをドイルに拾われたことに気づく。



人間は生まれながらに善なのか悪なのか、という普遍的なテーマを便・溢れっ苦サミュL・ジャクソンの2大スター競演で描く佳作。
つーか登場人物がどいつもこいつも
どこか小汚い小悪人っぽく描かれていて、最後に”それでも人は善く変われるんだよ”と歌ってくれるもの
の、なかなかにげんなりさせてくれる。
若手やり手弁護士で、自分の利益・名誉が最優先ながら他人を傷つける段になるとオドオドする小悪党に、’02年度の”セクスィー俳優ベスト
1”
に選ばれた便・溢れっ苦(それよりも、
”セクスィー閣僚ベスト1”に選ばれた70歳のラムズフェルド国防長官の方が気になる)演じる
ギャビンと、トラブルメーカーで親権を取り上げられそうになり、ローンで家族で住む家を買い人生をやり直そうとする白人コンプレックスの
おっさん
に、
映画に合わせてヅラを変える、7色の髪型を持つ男サミュL・ジャクソン演じるドイルという、本来接点のない2人が運命の悪戯
で、最悪の形で出会ってしまい、本性むき出しで醜い争いを繰り広げるというお話。あ、サミュジャク演じるドイルは元アル中という設定だが、
本当にアル中で施設送りになったのは便・溢れっ苦の方なので。…やはり
あのアゴケツの割れ目あたりがセクスィーなのか?

遅刻したために親権を喪失してしまった腹いせに(つーか便溢れが去り際に「ツイてないな!」とか言い残すから悪いのだが。)大事なファイルを
返そうとしないドイルに腹を立てたギャビンが、仕事人に頼んでドイルの口座の残高を0にして破産させれば、ドイルはギャビンの車のタイヤ
のボルトを外して死のドライブを演出
し、ならばギャビンはドイルをまんまと罠にはめて留置所送りにする、といった泥沼の争いが最大の
見所。もうちょっと大人気ない足の引っ張り合いだったらもっと笑えたのだが。




○「地球で最後のふたり」 ★★★ (04.12.3/劇場)
STORY:タイの日本文化センターで働くケンジは潔癖症で自殺願望を持っていた。交通事故を目撃した次の日、日本を追われてきたヤクザの
兄とその追っ手の争いに巻き込まれ、兄を殺されたケンジは追っ手を殺してしまう。前日の交通事故で妹を失ったノイという若い女性と再会した
彼は、行き場を失って彼女の家に転がり込む。片言の英語と日本語とタイ語しか知らない二人だったが、いつしかほのかな愛情が芽生え…。



デビュー作「6IXTYNIN9」で”タイのタランティーノ”という異名を得たペンエーグ・ラッタナルアーン監督撮影にクリストファー・ドイル
主演に
浅野忠信を迎え送るラブロマンス。
アサチューの他にも日本からは実力派俳優が参加し、気がついてみればタイ映画なのにタイ語よりも日本語の方が多く飛び交うという妙な
映画に。


以下いきなりネタバレす
映画「殺し屋1」のポスターが貼られた図書館で働くアサチューは死にたがり。
松重豊演じるケンジの兄が日本から逃げてくるが、彼へのヒットマンが
力!力!竹内力!エンドロールにもRIKI PROJECTのマークが!
竹内力はタイ映画でもヤクザ役でした!
しかし力兄ィを返り討ちにしてしまったアサチューは逃亡先でタイの若い娘と恋に落ち、生きる意欲を取り戻し彼女と共に大阪へ飛び立とうと
する。
が、パスポートを取りに戻った自室で、昨日彼女に食べさせてもらったサラダのせいで
下痢に。トイレで爆音を立てている内にやって来た
のは
ヒットマン第2弾。演じるは三池崇史!!!
なんでこの人役者としてタイにまで行ってますか?
でもまあこんな顔してるんでヤクザ役ハマリすぎ
おまけで
佐藤佐吉まで。「殺し屋1」の監督・脚本・主演の変態トリオ揃い踏みじゃん!
さておき、
逃げたいアサチューだが、潔癖症故に、たっぷりとしてしまった大便を流さずに逃げることはどうしてもできず、しかし水を流せば居
場所がバレてしまい
…どうすればいいんだ!!!

………と書くとなんと素晴らしい映画なんだ!と思う諸兄も多いであろうが、上記の筋は物語の頭とケツの部分だけで、本筋はケンジとノイの
奇妙なラブストーリーなのである
。切腹!


いつものクリストファー・ドイルの撮影いつものアサチューの無国籍にナチュラルな演技はなかなかに心地よく、タイの片田舎ののどかな
景色と相まって眠気を………ハッ!い、いやいやねてませんねてませんて。
つーか「マッハ!」もそうだったがタイの女性の掘りの深さはちょっっっっっっっっと好みに合わないんですんません。




○「チャイニーズ・ディナー」 ★★ (02.11/ビデオ)
STORY:高級中華レストランの豪華な一室で、一人きりで夕食を楽しもうとする男、星野。表向きはこのレストランを経営する青年実業家だが、
裏では暴力団とつながりを持ち、巨額の裏金を動かしている男。そんな彼に銃を向けるもう一人の男。何者かが雇った殺し屋。何故か殺し屋は
星野をすぐに殺そうとしない。なんとかこの場を乗り切ろうとする星野と何を考えているのか読めない殺し屋との二人だけの夕食が始まった。



堤幸彦監督作品で80分弱の中編。
特筆すべきは、舞台は2人が夕食をとる個室のみ、そして登場人物は上記2人とチャイナドレスの給仕だけというシンプルすぎる構成。
下手を打てば10分ともたないこのシチュエーション、堤監督は手を変え品を変え、緊張感を維持したまま見事最後まで物語を導いてみせる。


キャストは、持ち前の知力と胆力で窮地を乗り切ろうとする青年実業家に柳葉敏郎、謎の殺し屋に謎の髪型のおかげで上沼恵美子相談員には
見えないですんでいるIZAM、給仕役は、台湾の国民的アイドルとして鳴り物入りで日本上陸、
小室ファミリーの一員となるも泣かず飛ばず
でVシネで脱いだり「ネクストキング」の主題歌を歌ったりと低空飛行の果てに墜落したと思われる翠玲
の3名ポッキリ。

と、まあそこそこ面白いのだが、最後はなし崩しにアクションになって、ありふれた結末を迎えてしまうのが残念。
つーか設定とかラストとか、東京ファンタで公開した
「2LDK」と酷似している。堤監督と対決した北村龍平監督の「荒神」「VERSUS」
ラストバトルと似ていたし、あの対決企画ってば一体…。




○「着信アリ」 ★★★ (04.1.23/劇場)
STORY:女子大生・由美の友人・陽子の携帯に聞き慣れない着メロで着信があった。発信者は陽子本人、発信時刻は二日後、留守電には
陽子本人の断末魔の悲鳴が録音されていた。そして二日後、着信のあった時刻に陽子は謎の死を遂げる。同様に次々と友人を失った由美
は、半年前に妹を同じように失った山下と知り合い協力して事件の謎を追うが、ついに由美の携帯からも着信音が鳴り響き…。



三池崇史監督作品
小説家・乙一の作品が黒乙一と白乙一に分類されるように、三池作品も二通りに分類できるのではないか
すなわち
真面目三池暴走三池
前者は「SABU」、「中国の鳥人」、「荒ぶる魂たち」などが該当し、後者は「DOA」シリーズ、「牛頭」、「烈火」、「不動」、「カタクリ家の幸せ」など
が該当する。
無論オイラが見たいのは後者なわけだが、今作は残念ながら前者に当たる
が、幸いなことに
至極真面目にホラー映画として作られているのでなかなかに怖い。「リング」が怖い人なら十分に怖がれると思う。まあ、話も
「リング」っぽいんだが

以下ネタバレが激しいので映画に興味を持った方は先に本編を見てきてくらさい。


序盤から中盤までで描かれるのは、携帯電話という今や誰もが持ち歩く日常品を通して開く非日常の恐怖。電源を切ってもデータを消去して
も逃れられない呪いの電話…。
って、「リング」のビデオテープと一緒やね、ぶっちゃけ
そしてクライマックス、主人公が入り込んだ、閉鎖された病院の廃墟の中はまるでお化け屋敷で、ドッキリ描写のオンパレードでサービス
満点

貞子みてえなの意味もなく天井を歩いてきたり意味もなく指をポキポキしたり意味もなくホルマリン漬け差し出したりサービス過剰。さらに
「バタリアン」のタールマンみたくなってからも大活躍でゲップが出るぜよごちそうさま。この手のホラーでこんなに怪物メインで出しちゃうと
かえって白けてしまう気が。幽霊の正体見たり枯れ尾花っつーか。


かくして大団円と思いきや待ち受ける衝撃のどんでん返し!っつーかこれも見え見えだなあ原作の秋本康よぉ。しかもその後のオチがやたら
チンタラして
興冷めな上にラストはよくわからんという竜頭蛇尾っぷり。だんだん話が携帯=身近から遠ざかっていくんで恐怖が薄れて
しまう
のだな。


主演の柴咲コウもさして輝いておらず、総評としては平均点のホラーどまり。話もご都合主義なところ多かったし。共演は堤真一。このコンビ
って結構多いよなあ。石橋蓮司がジョージアのCMっぽいキャラで助演
とか書きつつオイラは恐がりなんで今日この後シャワー浴びる時はビビリまくるのが見え見え。あとしばらく高所にある戸棚は開けられない。



○「茶の味」 ★★★ (04.10.5/劇場)
STORY:自然溢れる田舎町・たくらぶ町に住む春野一家。長男で高一の一(はじめ)は転校生の女子に一目惚れ。長女で小一の幸子は自分
の巨大な分身の幻覚が見えてしまい悩んでいる。母親の美子は子育てが一段落したのでアニメーターに復帰し、元同業の祖父・アキラに助言を
もらっている。仕事に張り切る彼女に少し不満な父・ノブオは催眠治療士。そんな一家の元に美子の弟でミキサーのアヤノが帰省してくるが…。



「鮫肌男と桃尻女」、「PARTY7」の石井克人監督の最新作にして新境地。つーてもどちらも未見なんで比較して感想書けないが。
基本的に一本通ったストーリーはなく、ショートコントが積み重なっている感じ奇抜な登場人物たちが次々登場するのが楽しい。
並行して描かれるのは日本らしい美しい四季の風景。ロケ地は栃木。流石、南東北
が、この美しい風景とか小津っぽい一家団欒とか縁側で茶をすするとかが、
あざとさを感じてしまって評価を下げている。無理にじいちゃん
殺して
感動ものに仕立て上げることはあるまいて。
あと
長いのも減点。2時間半はちょっと。

謎のじいちゃんを演じる我修院達也がよい。幸子役のようぢょもなかなかよい。なんでこんなのに出てるのかわからん三浦友和もその雰囲気の
ギャップがよい。頭に
ウンコを乗せた寺島進や土屋アンナら脇役陣もよい。庵野秀明には魂消たが。



○「中国の鳥人」 ★★★★ (03.8.2/ビデオ)
STORY:ヒスイの貿易会社の社員・和田は先輩社員が急病に倒れたため、急遽代わりに中国・雲南省にヒスイの鉱脈を確認に行く羽目に。
現地でガイド兼通訳の沈と合流した和田だが、彼の会社の借金を取り立てに来たヤクザの氏家も旅に同行することとなる。車が通れない道に
入り、険しい山を越え濁流を越えて一行がたどり着いたのは、未だ電気もない、鳥人伝説の残る小さな山村だった…。



椎名”ウオッホ探検隊”誠の原作を監督・三池崇史&脚本・NAKA雅MURA(「DOA2」など、ちょっといい話系のホンを書く)コンビが映像
化。
自然たっぷり(
地獄のロケだったらしい)なのに、あんまり露骨に”自然を大切に!”映画してないのがよい。
走行中にドアやハンドルがもげる車を乗り捨て山の中で嵐で死にかけ大河を
動力が亀なイカダで下り毒キノコでラリりたどり着いた目的地の
山村の雄大な自然は流石。山と雲が美しい。


主な登場人物は真面目な主人公・和田と乱暴な中年ヤクザ・氏家とすげえ適当な日本語を駆使する通訳の沈。ツッコミ入れる時だけ関西弁
になるのが好き。
で、仕事のためにはるばる中国の秘境までやって来た二人の日本人が、そこでの住民たちののどかな暮らしや、鳥人間コンテストみてえな
格好
で空の飛び方を教える”鳥人学校”の少女と、空からやって来たという彼女の祖父にまつわる秘密などに触れて、次第に心癒されていくと
いういい話…なのだが………あのラストってば…。どうせやるんならいつもの如く豪快にブチ壊してしまえばいいのに(笑)


主演は本木雅弘、ヤクザ役に石橋蓮司。彼はこの後三池映画の常連になって女優をウンコプールに沈めたり加藤雅也に射殺されたり竹内
力にヅラを投げつけたりケツの穴に突っ込んだおたまに電流を流されて鼻から湯気吐いて感電死したり
八面六臂の活躍を見せるわけ
だが、これが一番マトモな役だなあ。そりゃあ塚本晋也の
「双生児」のメイキング(何故か監督・撮影は三池崇史)で「まともな人間の役くれよ」
と恨めしそうな顔で言うわけだわ。
そして怪しい通訳に
ハリウッドスター(笑)、マコ・イワマツ!



○「チョコレート・ファイター」 ★★★★ (09.6.11/劇場)
STORY:タイでマフィアのボス・ナンバー8と争う日本ヤクザのマサシはナンバー8の愛人・ジンと恋に落ちる。抗争が激化しマサシは身を引き
帰国するが、ジンのお腹には彼の子が宿っていた。生まれてきた女の子・ゼンは心の病を患っていたが、ジンの愛に包まれ健やかに育ち、次第
に驚異的な身体能力を発揮し出す。病に倒れたジンの治療費のため奮闘するゼン。だが、その幼き無謀な行動はマフィアの怒りを買い…。



最強ムエタイ映画「マッハ!!!!!!!!」、「トム・ヤム・クン」の製作スタッフが3年ぶりに放つ新たな凶悪ムエタイ映画。とはいえ主演はこんな
ことになっているトニー・チャー
ではなくなななななんと美少女拳士
しかしタイの美人というと「マッハ!!!!!!!!」や「地球で最後のふたり」に出てきた方のように、
昨日木から降りて二足歩行はじめました、ウホッ!と
いうような猿人まがいのツラの
彫りの深いエキセントリックな顔立ちな印象が強すぎる
のだが、今作の主人公・ジージャーたん(25)井上
真央似の正真正銘の美少女(25)
なのである。これで勝つる!

とはいえ、技のキレは流石にトニー・ジャッキー・ジェットといった一流所と比べるとどうしても一歩二歩劣ってしまう出来る限りCGや
早回しを使わないタイ格闘映画の魂の約束が故に誤魔化しが効かず
戦闘のカタルシスが少し不足なのは否めない。
しなやかな蹴りの
効果音だけはビシバシズガドガぜってえ死んでるよ的な景気のいい音が鳴るのだが、実際は一撃で倒しきれず数発
ブチ込まねばならない無用なもどかしいリアルさ

でもかわええので許す!

少々知恵遅れというハンデの代償に脅威の学習能力と身体能力を授かったゼン@ジージャーたんその記憶力は問題なことにトニー・
チャーやブルース・リーの映画の中の超絶アクションを覚えることに使われ
更に問題なことにそのしなやかな体はそのアクションを再現
できてしまう
のであった。

病の母親の治療費を稼ぐため悪友のボンクラデブに唆されて母親のマフィア時代の借金ノートを手に借金取り立てを始めるゼン。
当然マフィアから金を借りるような連中が子どものお使いに簡単に金を返すはずもなく、腕っ節に訴える羽目に。製氷場で廃工場で屠殺場で
ゼンの美脚が唸りをあげる
わけだが、敵も段々エスカレートしてきて、
かよわき女の子相手だというのに肉切り包丁をブンブン投げつける
バイオレンスぶり
。最低だ。

やがてゼンとボンクラデブの行動はマフィアのボスの知るところとなり、ボンクラデブと母親が拉致られてしまう。
そして始まる最終決戦
オカマ軍団を蹴散らしたゼンの前に現れるダンス甲子園拳の使い手との激闘。
そしてそして日本刀を抜いて襲い来るマフィアたちの前に、
日本から駆けつけたゼンの父@阿部寛が立ちはだかりチャンバラ開始
そしてそしてそして傷つき倒れる両親の姿に
ゼン怒りの覚醒。日本刀の鞘を両手に持ち暴れるその様は「トム・ヤム・クン」で愛する象の遺骨
を装備して修羅と化したトニー・チャーの姿を彷彿とさせる

そしてそしてそしてそしてまだ終わらないラストバトル。屋外に逃げ出したボスを追って、
ビルの外壁で繰り広げられるクレイジークライマーな
気狂いバトル
ビルから叩き落とされ血を吐き悶え担架で運ばれるるスタントマンたちのまったくもって無駄に熱すぎる姿エンドロール
のおまけでたっぷり拝めます


とまあ、相変わらず体を張ったアクションは見応え十分。ジージャーたんはかわ凛々しいし阿部ちゃんもまあ格好いい。
ただし
ストーリーは相変わらずアバウトで、ハッピーエンドとは言い切れないラストにはどんな顔をすればいいかわからなくなってしまう。



○「血を吸う宇宙」 ★★★ (02.1/劇場)

「バカ映画たちの挽歌」コーナー参照



○「ツィゴイネルワイゼン」 ★★★★ (01.7/劇場)
STORY:休暇中の教授・青地は旅先で同僚の中砂と偶然出会い、同行する。その日泊まった旅館で二人は影のある芸者・小稲に出会うが、
しばらく後、中砂が結婚したと聞いて自宅を訪れた青地が目にしたのは、小稲にうり二つの女だった。が、彼女は流行病いで一人娘を残して
死に、中砂は後妻として小稲を迎える一方、青地の妻とも密会をしていた。しばらく後、中砂が死に、夜な夜な小稲は青地家を訪れだす…。



あー、あらすじなんて書いても作品の魅力なんて伝わってこないしそもそもストーリーに意味なんてないような気がするし…という作品。
まあ、まずは見るべし。あまりの幻想的な不可解さについ居眠りしてしまっても、
意識が飛んでいたのが数秒のことなのか数十分のことなの
か、画面からは何も伝わってこないという恐ろしさ


題名の「ツィゴイネルワイゼン」とは、19世紀スペインの音楽家・サラサーテの代表曲、だそうで。彼本人が演奏し、レコード化されたものの中
に、途中彼が何か呟いている声が録音されているものがあり、一体何と言っているのか、その謎に迫る物語、というわけではなく…
死体、蟹、砂、桜、骨、鰻、門付け、すき焼き、蒟蒻、鍋、切り通し、花火、水蜜桃、目玉、借りた本、小舟この世とあの世、エロスと
タナトスを行ったり来たりするような不連続で不安定ないかがわしい映画
。…
「腐りかけが一番美味いんだよ」

物語の核となる怪人・中砂を原田芳雄が怪演。盲目の乞食を麿赤児がもっと怪演「腐りかけ」の女性陣も妖しい魅力を醸し出している。

あ、蒟蒻ちぎりすぎ



○「終の信託」 ★★★ (12.11.12/劇場)
STORY:呼吸器科のエリート女医・折井綾乃は不倫のもつれで自殺騒動を起こしてしまい傷心していたが、重度のぜんそく患者の江木泰三に
慰められ、癒される。厚い信頼関係を築いた二人だったが、余命幾ばくもないことを悟った江木は、綾乃に延命治療をせずに逝かせてほしいと懇願
し、程なく心肺停止状態に陥る。江木の意志を尊重し、生命維持装置を外した綾乃は罪に問われることとなり、検察の取り調べを受けるが…。



前作「それでもボクはやってない」以来5年ぶりとなる周防正行監督の最新作は、前作同様社会派エンターテイメント
前作は痴漢の冤罪で法廷に立つ青年の絶望を描いたが、今回は法廷より前の
検察との戦いを描く。
と言えるのは観た後の感想で、一見すると物語の大半は生きることに疲れつつあった女医と優しい初老の患者のつかの間の心の交流と別れ
そして
延命治療は是か非かというこれまた重いテーマが語られる医療ドラマである。ところがそこを乗り越えて迎える検察パートがこれまた
ヘヴィー


去年、祖母がこの映画と同じく心肺停止状態になりまして。一度も意識を取り戻さないまま機械で生き長らえること7ヶ月、ようやっと逝きまして。
なんか家族が数十年経ってみんな死に絶えてもまだ意識の無いまま生き続けるんじゃないかというしぶとさだった。
でもそれって
人として生きてるって言えるのかと甚だ疑問だったわけで。
最初の数日で意識が回復しなかった段階で、もうかなり脳細胞がやられてしまって、その後もしも意識を取り戻してもせいぜい植物人間状態だし、
そもそも90歳だったし、もう
生き長らえさせずに大往生でよかったんじゃないかと思ったわけで。
いやでもしかしだからといって、
無駄だから機械を止めて殺してくれとも言い出せないわなあ。患者側もそうだし、病院側ももちろん。

映画の話に戻ると、どう美談に仕上げたって、生命維持装置を外すということは一応でも生きている人間を殺すということなのに、その罪の
意識が容疑者に全く欠如しているのが最高に気に食わなかった

その罪の意識を抱えて尚、故人のためにやった、と主張するならまだしも、
何その私いいことしたのに、という顔は?

美談風に持っていって、最後の最後で足下を豪快に掬うという構成(前作「それでもボクはやってない」を踏まえての仕掛けかな?)は見事だと
思うのだが、個人的には上記の違和感で台無しだった。


前作にも増して検察と冤罪への恐怖は増したが。

主人公のエリート(笑)女医を演じるは監督の嫁。賞狙いですかね。
患者に役所広司。ヴェッキオ橋は遠くから観ただけで実際に上まで行かなかったんだよなー。
検察の犬に大沢たかお
ぜってぇ検察の世話にはなりたくないと思わせる実に素晴らしい畜生演技ナイス畜生!グッド畜生!
最近ちゃんと演技している浅野忠信
畜生役を好演

主人公の心情を除けば、前作に続いて日本の刑罰制度に疑問符を投げかける社会派エンタメとして優秀な出来。



○「ツーリスト」 ★★★ (11.3.5/劇場)
STORY:アメリカ人旅行者のフランクは、ヴェネチア行きの列車の中で謎の美女・エリーズと出会い、彼女と共にヴェネツィアの高級ホテル
へ。実はエリーズは国際指名手配犯・アレキサンダーの恋人で、彼の指示通りに行動していた。その彼女をマークするスコットランド警察と
ロシアンマフィア。フランクはアレキサンダーと人違いされて彼らに命を狙われる羽目に…。



ジョニー・デップアンジェリーナ・ジョリーの二大トップスターが夢の競演。水の都・ヴァネツィアを舞台に陰謀と愛憎が渦を巻く。
という映画。
二大トップスター夢の競演、というだけで満足したのか、中身は凡庸。まあ許容範囲。オチも見え見えだし。

予告編では「ヴェネツィア、ローマ、そしてパリ」とか言ってたが、冒頭はパリが舞台だがその辺の街角だけでパリらしくなく、ローマに
至っては行きもしねえ
ってどうなのよ?
その分ヴェネツィアはたっぷり見れるが、それもやたら夜のシーンが多いような気がするんですが。


まあジョニー・デップ(太った?)の二枚目半演技は好きだし、ジョリ姐は相変わらずセクシー&クールだし。そういう映画だと思えば腹も
立たず。
でも
監督は「善き人のソナタ」の人なのか。どうしてこうなった?



○「憑神」 ★★★ (07.7.4/劇場)
STORY:時は幕末。貧乏旗本の次男坊・別所彦四郎は才能はあるが運がなく燻っていた。そば屋の親父の助言で霊験あるお稲荷様に詣で
ようとして、酔っぱらって偶然見つけた別のお稲荷様に柏手を打ってしまったところ、彼の前に現れたのは貧乏神だった。なんとか涙もろい貧乏
神を追い払った彦四郎だが、まだ二柱の神様に取り憑かれると言われ唖然呆然。次に現れたのは疫病神、そして最後に現れたのは…。



原作・浅田次郎&監督・降旗康男の「鉄道員」コンビが送るコメディ時代劇

この、いわゆるひとつの、にほんあかでみいしょうとやらの常連であるところの巨匠(ex.巨匠の作品の評価の作品は未見なれど、
そりゃもう巨匠の作品でなおかつコメディなんで、あんまり笑えないだろうなあ、とあまり期待せずに観賞。


案の定、21世紀の映画とは思えないテンポとCG(VFXとでも言った方がしっくりくるか。)に戸惑う館内からはクスリとも笑い声が
起きず
、先が思いやられたが、中盤くらいからは段々その空気に慣れて面白くなりところが終盤に失速しオチで失笑して、幕

終盤の失速というのは特に個人的感情であって、逆に盛り上がったとか感動したとか思う方もいらっしゃるかと。
なんかこう、そこまでの展開やノリと時代に殉ずる行動とが噛み合わなくて。ハッピーエンドで終わってほしいという気持ちもあったのかも。


あと、どいつもこいつも情にほだされまくる神さんたちがちと情けない。今まではよほどのダメ人間にしか取り憑いていなかったのか?

時代劇らしからぬ音楽はなかなかよかった。主題歌のスーダラ加減も、ま、いいんでない。

主演の祟り神ズに振り回される青年に妻夫木聡。やっぱり復讐の人造侍とかよりはこういう普通の役の方が似合っている。
貧乏神の西田敏行動きもしゃべりも表情も精彩を欠き、何かに取り憑かれてるのはあんたじゃねえの、と心配に。
しかし、同時期に宝くじのイメージキャラクターとかやってるのが笑える

疫病神に赤井英和大根。この演技を我慢できるかどうかで作品の評価がかなり変わると思う。
最後の神に
ようぢょ・森迫永依。いかにも子役らしい演技だが、役どころとのギャップが非常に楽しい
夏木マリ・佐々木蔵之介・佐藤隆太・香川照之・徳井優・石橋蓮司と好きな俳優が多く出ているので★+1くらい。

エロ洋介竜馬の贋者→竜馬本人→竜馬の師匠の勝海舟と謎のレベルアップを続けてるな(笑)



○「ツナグ」 ★★★★ (12.10.22/劇場)
STORY:死者と生者を一度だけ再会させることができる使者(ツナグ)。都市伝説で語られるそれは、実在した。両親が不審死を遂げ、祖母に育て
られた高校生・渋谷歩美は、その祖母から使者(ツナグ)の役目を引き継いでいる途中の見習い。いくつもの疑問を抱えつつ、祖母の指示通りに
死者と生者の橋渡しをする彼だったが、次の依頼人はクラスメートの嵐美砂で、逢いたい死者はやはりクラスメートで事故死した御園奈津だった…。



先だって直木賞を受賞した辻村深月作品の初の映画化
まあ
死んだ愛しい人にもう一度だけ再会できる、なんて、なんぼでも涙腺崩壊させられそうなシチュエーションなわけで。
でも単純に感動ものに仕上げてはおらず、
逢わなければよかった、なんて後味の悪い要素が入っているのは珍しいかもだ。

劇中に登場する死者との再会を臨む者は3人。
思春期の息子の扱いに困り、母親に助けを求める気むずかしい中年男。
親友といがみ合い、自分の出来心で彼女を殺してしまったのではないかと煩悶し、当人に探りを入れようとする女子高生

7年前に失踪した婚約者を忘れることができず、彼女が死んでいるにせよ生きているにせよ区切りを付けたいと願う真面目な青年


そして彼らの死者との再会を仲介する使者(ツナグ)見習いの少年・歩美も、正式に使者(ツナグ)になれば自分の死者との面会の権利を失うと
言われ、変死した両親のどちらかに逢って何が起きたか聞いておくべきか、悩んでいた


何をどうして死人と再会できるのか、死後の世界はあるのか、などの細かい設定は明かされない人間ドラマなので、設定厨には残念
そのドラマの部分は、あからさまに泣かせにかからない、意外にあっさりした作り


主演の松坂桃季はまあ頑張ってるが、他の人がやっても別に構わんな、という印象。そんなに超絶イケメンでもないし。
3つのエピソードで最も長い女子高生編の生者の方に橋本愛、死者の方に大野いと

橋本愛は言うまでもなくかわええのだが、「告白」、「大木家の〜」、「Another」、「桐島、部活〜」と、いずれも微妙な、報われない役どころばかり
だよなあ。
大野いとは生前はあんまかわいくなかったが、
死んでからやたらかわいかった。が、前作「愛と誠」での怪演のインパクトが強すぎてねえ。
他、エンケン、佐藤隆太、桐谷美鈴がまずまずの演技を見せてくれるが、圧巻は
樹木希林仲代達矢八千草薫タン豪華なじじばば組
特に最近の樹木希林の、
もう実はボケてるんじゃないかという演技は存在感ありすぎ。ほとんど見えてない左目の目線が凄みを感じさせる

とまあ、なかなかの原作とまずまずのキャスティングという段階でそれほど酷くならないはずなのだが………いやまあそれでも原作を何故か改悪
して駄作になっちまった作品は悲しいかな山のようにある
んだよなあ。
今作の監督の
平川雄一朗は、原作をほとんど壊さず忠実に仕上げていて、たいへんいい仕事をしてくれた
尺の問題でカットされたエピソードもあるし、かなり簡略化された設定もあるが、そこは許容範囲内に抑えて、なおかつ
オリジナルな要素、いらない
自己主張をほとんど足さなかったことを高く高く評価したい


小説の実写化のお手本のような作品。「陽気なギャングが地球を回す」とか「鴨川ホルモー」とか面白い原作を踏みにじって駄作に貶めた
阿呆どもに爪の垢を煎じて飲ませてやりたい




○「冷たい熱帯魚」 ★★★★ (11.5.16/劇場)
STORY:静岡で小さな熱帯魚店を営む社本信行は前妻との間に生まれた思春期の娘と若い後妻の仲が悪いのが悩みの種の小市民。ふと
したことから知り合った村田という同業者の店で娘を住み込みで働かせることになった社本は、押しの強い村田とその妻の愛子のペースに
流されていく。そして気づけば社本は村田夫妻の殺人の片棒を担ぐ羽目に。豹変した村田に脅迫され、社本は死体の始末も手伝うことに…。



実際の凶悪犯罪・愛犬家連続殺人事件をベースにした殺人狂想曲。自分の邪魔になるヤツは片っ端から「ボディを透明に」してしまう
(=この世から消す)
理不尽な殺人鬼(彼にとっては至極当然の道理でしかないのだが)
巻き込まれてしまったしがない小市民
破滅を描く。


とにかく殺人鬼・村田のキャラクターが強烈。気のいいけど押しの強いおっさんかと思いきや豹変し平気で人を毒殺し鼻歌交じりで遺体を
解体し
骨は醤油を掛けて(臭い消し?)灰になるまで焼き尽くし肉は「唐揚げくらいに」細切れにして魚の餌にして痕跡をなくしてしまう

気のいいおっさんという印象のある
でんでんが怪演。逆襲された時のリアクションとか最高

村田に引きずられて人生を狂わされるしがない中年男・社本吹越満。こいつもしがない割には若い巨乳の後妻をもらっている辺り
あなどれない。抑圧されまくっていた鬱憤がついに弾けるクライマックスは少し小気味いいが大分痛々しい


つーか女性陣がエロエロ何故に普段着なのにそんなに露出度が高いのか
村田の妻の愛子役の
黒沢あすかも実にいかれていてGJ
もったいぶらずに脱ぎまくりだし血と臓物まみれだし、そりゃどー考えても18禁になるわなあ

監督は園子温。最近は「愛のむきだし」とかで話題だが見損ねたのでオイラにとっては「自殺サークル」の人
なので、ここまで引かぬ!媚びぬ!顧みぬ!な作品を作れる人になっていたのかと衝撃。


ラストも救いようがないし、あんまり人には勧めづらいがインパクトは最大級



○「劔岳 点の記」 ★★★★ (09.7.15/劇場)
STORY:明治末期。国内を測量する陸軍測量部は最後の難関・立山連邦の劔岳の測量を実施する。民間団体の日本山岳会に対抗しての
強行であった。なんとしてもライバルよりも先に登頂すべしと厳命を受けた測量士・柴崎は先輩の古田に相談し、頼りになる案内人として麓の村
に住む宇治という男を紹介される。新妻・葉津よを残し仲間たちと劔岳攻略を開始した柴崎だが、それはまさに難攻不落の堅城だった…。



日本を代表する撮影監督・木村大作の初監督作品。実話を元にした新田次郎の山岳小説の映画化。
新人監督(還暦過ぎてるけど)なんで話の構成とか演出とかそんなに盛り上がらないのだが、そこはそれ映像美をご堪能下さいませ。


つーわけで雄大な自然の美しさは圧巻。国内最凶最悪の峻険を踏破せんとするちっぽけな人間どもに襲い来る嵐、吹雪、雪崩、落石…。
つーかそれを極力CG使わずに撮っている、すなわち
命を落としかねない大自然の脅威の中に役者もスタッフも放り込んで作っているという
のがあまりに鬼すぎる。そりゃあ怪我人も出るわなあ。

頂上への到着シーンが省略されているのは演出かと思ったが、たぶん物語当時になかった登山道具とかを使わなければ突破は無理で撮影
できなかった
んだろうなあ。
つーわけで自然のダイナミズムがウリ故に劇場の大スクリーン向けの作品。ストーリー面では弱いが、最後のライバル集団との手旗信号の
やり取り
は難敵に立ち向かった好敵手同士だからこそ生まれた友情が感じられて、素直に良かった。交信長すぎだけど。


主人公の仕事もできて真面目で優しくて義理堅いナイスガイ浅野忠信。相も変わらず自然体で演技してないが、特に違和感なし。
現地民で仕事もできて真面目で優しくて義理堅いナイスガイの案内人に
香川照之。対照的に相も変わらずの演技力。
西洋の最新技術をもって主人公たちを追い詰めるライバル集団のリーダーに
仲村トオル散々格好つけて結局噛ませ犬という役柄が最近
実に似合うようになってきた
のう。
松田龍平、モロ師岡、國村隼、夏八木勲、新井浩文、役所広司といった面々が脇を固めるが、あまり活かせていないのが残念。
とまあ野郎ばかりの出演陣の中に鮮やかに咲く紅一点(鈴木砂羽も出てるけど)、主人公の新妻役の
宮崎あおいタンがキュートすぎて殺られ
そうになる




○「ツレがうつになりまして。」 ★★★★ (11.11.14/劇場)
STORY:ハルは売れない漫画家。夫のことを彼女は”ツレ”と呼ぶ。優しく真面目で几帳面な”ツレ”はPCメーカーでクレーム処理を担当
しており、仕事のせいでだんだん精神を病んでいったが、ハルはそれに気づいていなかった。ある日会社に行けなくなった”ツレ”は病院
で鬱病と診断される。会社を辞めなければ離婚する、と強引に”ツレ”を退職させたハル。二人の長い闘病生活がこうして幕を開けた…。



そりゃあツレがいきなりT.UTSUになったら困るわなあ。宇都宮体操とか踊り出したりして。
とまあお寒いのは小室哲哉の今の境遇やデビュー当時の木根の扱いぐらいにして


人気エッセイコミックを実写映画化。原作未見だがこれだけは言える。そういう企画はやめとけって。
「ダーリンは外国人」なんかと同様、原作とはかけ離れた形で映画化していると思われ。


そもそも鬱病なんて、娯楽映画に似つかわしくないテーマだろうて。見せ物にするなよと。
オイラも
人事異動が出る度に鬱の三歩手前まで行って食欲が湧かず予期せぬダイエットになるのだが、一回だけかなり際どいところ
まで行ってしまった
時があって、あの時は本当に何もできずに、本やゲームのコントローラを手に取るという動作すらできずに、ただ
一日ベッドに座ってため息をついているだけ
だった。寝ようとしてもモヤモヤ悩んで寝付けず、非常に苦しかった
幸い
根がてきとーなので一週間もしない内に元に戻ったけど。

つーわけで、鬱病の症状についてはあまり踏み込まずディフォルメして描いており、”心の風邪”を引いてしまった夫婦の少し変わった
生活をほのぼのと描写した作品
に仕上がっている。
まあぶっちゃけ嫁役の
宮崎あおいが実にかわええので、それだけで満足なのだけど。
つーか
こんなかわええ嫁がいるのに鬱病なんてどれだけ贅沢なんだよ!と観る前は言いたかったが、観た後は、やっぱり仕事の
ストレスって致命傷になりかねないよなあ
としんみりしてしまったり。
しかし
現実の宮崎あおいの”ツレ”のことを考えると、笑えない符合だよなあ

”ツレ”役は堺雅人で「篤姫」の夫婦再び。確かに息が合ってたなあ。
チョイ役で出てた津田寛治声がやたら古川登志夫っぽかった



○「ディア・ドクター」 ★★★★★ (09.9.10/劇場)
STORY:とある山奥の寒村のただ一人の医師・伊野が姿を消した。老人ばかりの村で昼夜を問わず診察を受け付け、診察に来れない老人の
元へは自ら赴き診察をしていた彼の突然の失踪に困惑する村人たち。が、警察が事件を調べていく内に次第に驚愕の事実が浮かび上がって
いく。しかし、伊野に近しかった看護士や研修医、製薬会社の営業たちは警察の捜査に対してどうにも煮え切らない態度を取る…。



傑作「ゆれる」に続く西川美和監督最新作。当然の如く原作なしのオリジナル脚本

今回の主人公は過疎化・高齢化が進む山村で孤軍奮闘していたおっさん医師。彼が突然失踪する。実は彼はある大きな嘘をついていた
のだ

なんて予告編を見れば、
ああ鶴瓶はきっとニセ医者なんだろうなあ、なんてことはすぐに勘ぐれてしまう
そしてそれは観始めれば割とすぐに判明してしまうわけだが、しかし”彼のついた嘘”とはそのことではないことが次第に見えてくるという
展開にはニヤリ。


偉大な医者の父親を持ち、医者を目指したが医者になれなかった男。その外周で燻っていた彼に訪れた好機。まんまと僻地で医者に成り
済ました
彼を待ち受けていたのは
綺麗事ではない過酷な僻地医療の現実。何を思って医者に成り済ましたのかはわからないけれど、何を
思ってか彼は逃げ出さずに献身的に仕事を続ける
。そんな彼の事情を薄々勘づきながらも支える看護士や研修医たち。
随所に崩壊の予兆を刻みつつも営まれ続けてきた偽りの楽園はそして終焉の時を迎える。それも打算や保身や欺瞞や憎悪によって、
ではなく。


ニセモノの医者の物語である。かくいう自分も、社会人として、ニセの仮面を被って日々仕事をしているわけである。
そりゃ楽しいことだってあるが、それ以上につらいことも多い。そうして
追い詰められ打ちのめされるとニセの仮面なんぞかなぐり捨てて逃げ
出したくなってしまう
。とはいえ、日銭を稼ぐためには仮面を被って働かざるを得ず…。
そしてそう遠くないいつの日か、
深々と仮面を被るか、仮面を割ってしまうか、どちらかを選ばせられる時が来てしまうのだろうなあ。
(ミッキー・ローク主演の「レスラー」は本当の自分とニセの仮面が逆転していて面白い。)


主人公のニセ医師に笑福亭鶴瓶。しょぼくれてはいるものの酸いも甘いも知っているくせ者のおっさんを好演。このキャスティングは実に
素晴らしい
。とても生放送で酔っぱらって全国にフルチン姿を晒した人間と同一人物とは思えない
ヒロイン(笑)に
八千草薫。相変わらずベストオブ日本のおばあちゃん。老いてなお佇まいがお美しい。どうか長生きして下さい。
脇を固める研修医役の瑛太、看護士役の余貴美子、製薬会社の営業役の香川照之、刑事役の松重豊岩松了、女医役の井川遥ら、
印象的な役柄で実に素晴らしい


あのラストは、らしくもあるし、蛇足っぽくもあるし、評価の分かれそうなところ。個人的にはアリ。偶然の再会だったりしたら美しいけれど、流石
にそれは無理があるか。


二度ほどTVの野球中継を見るシーンがあったのだが、スポンサーがTBSだったので二度とも我らが横浜ベイスターズの試合だった
って、田舎で横浜−広島のナイターなんか放映するわけねーっつーの!




○「デイ・アフター・トゥモロー」 ★★★★ (04.6.22/劇場)
STORY:地球温暖化の影響で、南極の氷棚が一部崩壊した。氷は海水の温度を下げ潮流の流れを狂わせ、結果、世界各地で異常気象が
起こり始めた。嵐、竜巻、雹、津波…次々と壊滅していく都市。そしてついに地球規模の巨大嵐が発生。北半球は瞬く間に氷河期に突入する。
この事態をただ一人予想していた気象学者・ジャックは息子のサムを救助するため氷に閉ざされたニューヨークへの決死行を敢行する…。



「スターゲイト」「ID4」で脚光を浴び、「GOZZILA」で評価を一気に落としたローランド・エメリッヒ監督が送る災害映画の快作
前半の
地球滅亡シークエンスが素晴らしい
拳大ほどの
雹が降り注ぎ東京は血の海と化し巨大竜巻でロスは廃墟となる。そしてニューヨークを襲う超大津波。水没し死の街になり
果てた市街地を無人のタンカーが静かに漂流するシーンは悲愴感たっぷりで前半だけで★4つ。
この大災害に対して、
人類は全く打つ手がなく、ただ少しでも南へ逃げるしかないというのがまたよい。小惑星に乗り込んで自爆したりマントル
まで地底戦車で潜っていったり、そんな解決策がないのだ。


だがしかし、南半球までは氷河に覆われないのね。なーんだ、人類滅亡しないじゃん、つまらん。嵐が静まるまで一週間くらい堪え忍べばいい
なんて、全然絶望的ではないじゃないですか。


加えて、後半のメインとなる人間ドラマがペラペラなのがちょっと痛い。そんなものだと思っていてもツッコミ所満載で。
つーか
狼の襲撃(笑)とか、なくてもいいシーンが多いんでそんなもんカットしてもっと世界の破滅シーンを増やしてほしかった。

主人公は有能な気象学者なのだが、一人息子の高校生が全米高校生クイズ選手権みてえなのに出場するために向かったニューヨークで
災害に巻き込まれてしまった、ということで、かなり絶望的な状況だというのに仕事を放り出して助けに行ってしまう。気持ちは非常に分かるが。
ところが女医をやっている彼の奥さんは、家族が一緒になるために旅立とうというダンナに対して「行って」って。あんたは行かんのかい。それ
では家族はやっぱりバラバラのままじゃん。他方こちらは難病の男の子のために命張って救命活動したりしている。
「公」と「私」のバランスがチグハグ。


で、かなりの確率で死に至る上に無駄足の可能性大の旅に出る主人公に、同僚二人が男気見せて同行するのだが、コイツらがただの
役立たず

年輩の方はいきなり命綱の車を壊しちまって、その後は
話を盛り上げるためだけに犬死に
若い方は疲労で倒れて
役に立たないどころか足手まといになるわ、口を開けば「息子さんはもう…」とか「状況は絶望的だ」とか主人公の
テンションを下げるネガティブ発言ばかり
。何しに来たんだコイツ?

とまあ、いつもの知能レベルの低いハリウッド映画なのだが、珍しく、アメリカが京都議定書にサインしないとか環境保全に努めないと
(加えて、
ナベツネみてえな副大統領が主人公の話を真面目に聞こうとしなかったから)こんなになっちまうんだぞ反省します的なしおらしさ
を(上っ面とはいえ)見せている
のは評価するところかと。


でも結局、嵐が収まってニューヨークにも生存者がいて、衛星軌道上から地球を見て「なんて綺麗な大気なんだ!」なんて盛り上がって話が
終わるわけだが、その様子を見る限り
日本やロシアや欧州はまず全滅していることについては気にも留めてないようなのがアメリカ的
失笑
。日本は…天候不良で空路も海路も絶たれるんで、マジ全滅だあねえ。

主人公の熱血パパに、最近そのやうな役ばかりのデニス・クエイド。その息子のクイズ部員にジェイク”ドニー・ダーコ”ギレンホール。今回は
銀色のウサギが不在も惚れた女はきっちり守るぜ!惚れられた女の子がエミー・ロッサム嬢かわええ




○「DOA デッド・オア・アライブ」 ★★★ (06.2.27/劇場)
STORY:DOA−それは闇の武術大会。一年前、DOAに出場し消息を絶った兄・ハヤテを探すべく、抜け忍となり大会に身を投じるかすみ。
人気女子プロレスラー・ティナ、女泥棒・クリスティーらの元にも大会の招待状が届く。戦いの中で絆を深めていく3人。だが、大会の裏では、
一人の男の悪魔の計画が進行していた。さらに抜け忍・かすみの命を狙い、彼女の妹・あやねも姿を現す。かすみの運命やいかに…。



「DEAD OR ALIVE」なのである
ただし当サイトでは
「DEAD OR ALIVE」と言ったら力&翔兄ィの超問題作のことを指すのである。

つーわけで、「DEAD OR ALIVE」(乳揺れ)の実写映画化なのである。
「DEAD OR ALIVE」(乳揺れ)といえば、その
(乳揺れ)という補足説明が雄弁に語りまくっているように、美少女が乳を揺らしまくる
格闘ゲーム
で、そりゃもう熱心なファンがいることで有名なわけだが、そんなジャパニース・ギャルゲーの美少女を
肉喰ってる国のヤンキー
女ども
が演じられるわけがあろうか?(いや、ない。)

つーわけで、この直前に観た
「ジョジョ」と一緒で、ファンにとっては怒り狂わないわけがあろうか?(いや、ない。)な再現度の低さなの
だが、
バカ映画だと割り切ってしまうと、なかなかに楽しい痛快娯楽作だったりする。つーかコテコテのカンフー映画。

この構造は何かに似ている、と思ったら、ヴァンダムがガイルを演じたハリウッド版「ストリートファイター」そのまんまではないか。
つーわけで、あの、
人を馬鹿にしたような再現度の低さと脚本の知能の低さが際だつ映画をゲラゲラ笑ってみれた人ならば実にオススメ
できてしまう
のである。

主人公・かすみが何故か忍者の国の女王様だったり王国の外壁を抜けてみれば断崖絶壁だったり何故か着物の下にハングライダーが
仕込まれていたり
何故か空中に手裏剣で大会の招待状が飛んできたり何故か外洋でクルージング中に手裏剣で大会の招待状が飛んできたり
何故か下着姿で香港をバイクで爆走中に手裏剣で大会の招待状が飛んできたり
女性キャラ以外はキャラ紹介すらないというあまりにも素敵
にぞんざいな扱い
だったり、ツッコミきれないんですけどちょっと。GJ!

ラスボスの野望も最終決戦もちょっとショボい(メガネメガネ…。)し、あまりにもシリアスさや漢気に欠けるきらいはあるのだけれど、脳味噌
スッカラカンにしてニヤニヤしながら観るにはうってつけのポップコーン・ムービー

ただし観終わっても内容は頭に残らないけどなあ。


★4つにしようかと思っていたのだが、「ジョジョ」を原作をないがしろにしている!と激怒して低評価にしてるからなあ。



○「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」 ★★★★ (12.10.29/劇場)
STORY:中東・ワディヤ共和国の独裁者・アラジーンは、核開発が国連で問題視されたため、ニューヨークの国連本部に赴いて演説をすることに。
だが、叔父の大臣に裏切られ暗殺の危機に。運良く逃げおおせたものの、トレードマークの顎髭を剃られアラジーンだと認めてもらえず途方に暮れて
いたところを、博愛主義者のゾーイに助けられる。素性を隠し庶民として働きながら復活を期すアラジーンだったが…。



「ボラッド」ど悪ふざけが過ぎる芸風が持ち味のコメディアン・サシャ・バロン・コーウェンの新作は今や世界で絶滅危惧種になりつつある
独裁者
を馬鹿にした悪ふざけが過ぎる作品

まあのっけから「この映画を金正日に捧ぐ」なんていう悪ノリでスタート。フセインやビン・ラディン、カダフィら実在の独裁者ネタに人種ネタ
危険なネタを連発し、独裁者が
親の七光りで絶大な権力を受け継いでしまった、傍若無人な低脳のボンクラだったりすると、どんな悲劇or
喜劇が待ち構えているか
、が序盤で語られる。
まあ低脳のボンクラなんで警備を知り抜いている腹心にあっけなくクーデター起こされちまうわけなんですが。


権威の象徴だった顎髭(産まれた時から生えていた)を失い、最高権力者から一夜にしてホームレスへと華麗なる転身を遂げ親切な
キチガイ博愛主義者の
脇毛ボーボーの女性に拾われ、ここから微妙なカリスマ性を発揮して憎めなくなってくる辺りがズルい。ズレた感覚で
もって不条理な現実をバッサリ切ってしまうのが小気味いい
。店内で騒ぐガキには蹴りを入れるべきだよな。
さらに、今まで手振り一つで部下に処刑させてきた何十何百の国民たちが皆極秘裏に国外脱出させられて生きていたというサプライズ。
でも100m走の時、自らの手で審判射殺してるよな。


つーわけで元部下やモーガン・フリーマンたちの力を借りて、民主化の名の下に外国に国を売り渡そうとする悪の大臣と颯爽と対峙する
元独裁者、というひねくれた構図にニヤニヤ
大臣の顔がまた紛うことなき悪党面なのが。どっかで見たことあると思ったら、「ヒューゴの不思議
な発明」(ヒューゴは一つも発明しねえけどな)
に出でた。

つーわけで独裁者を嘲っていたはずが、その実、真にディスってるのはアメリカなどの大国だったりして非常にわかりやすい痛快風刺
コメディ

長くなくてだれないのが好き。まあブラックジョークに下ネタしかないと言っていいほど
悪趣味極まりないので人を選ぶけど。
観光ヘリに乗って偵察するシーンで、アラブ人が”ビン・ラディン””911”なんて単語を撒き散らしながら意味深な会話をしてゲラゲラ笑って
いるのを見て純朴で善良なアメリカ国民が発狂する
シーンとか。



○「ディボーシング・ジャック」 ★★★
STORY:北アイルランド・ベルファスト。ダンは新聞記者で、彼が書くスパイスの効いた記事にはファンも多い。しかし、本人は酒好きで年中
二日酔いで、恐妻家なのに女好きというスーダラ中年。ある日知り合ったマーガレットと深い仲になったダンだが、突然彼女は殺され、彼は
警察はおろか、IRAからも追われる身に。彼女が残した謎のメッセージ、「ディボーシング・ジャック」(離婚するジャック)の秘密とは?



ベルファストと言われれば、ゴッグとかGブルとかミハル=ラトキエとかばかり思い浮かべてしまうオイラとしては、この映画の背景やその空気
がしっかりと飲み込めず居心地が悪かったり、全編にちりばめられたギャグの一部が黒々として痛々しいとかマイナスポイントもあるのだが、
クリティカルに面白いギャグも多いし、なにより我らがヒーロー、不良中年・ダンのイマイチ決まらないヘタレっぷりが楽しい


そして、ダイイング・メッセージ・「ディボーシング・ジャック」の謎解きだが…井上ナチスかよ!?

 ※井上ナチス…田中哲弥の大久保町シリーズ第2作「大久保町は燃えているか」(電撃文庫)で、90年代後半の兵庫県明石市大久保
 町を 支配していたナチス
の首領が井上と呼ばれる謎の男だったことから、彼らを称して町民たちが呼んだ名前。町民はおろか、自軍の
 兵士たちも 知らない謎の男・井上の驚愕の正体とは…!?




○「刑事まつり」 ★★ (03.1.15/劇場)
解説:掟その1・主人公は刑事。掟その2・作品は10分未満。掟その3・1分に一度ギャグを入れる。以上のルールの下、12人の監督が参加。


「Jam Films」に続いて短編オムニバス集。こちらの監督も、「リング」シリーズの脚本家・高橋洋、「発狂する唇」シリーズの佐々木浩久、
「ユリイカ」の青山真治、「回路」の黒沢清、「忘れられぬ人々」の篠崎誠などなかなか豪華な顔ぶれ。


しかし…出来上がったものはといえば、まさにお遊び企画もので(どちらかというと悪い意味で)スーダラなものばかり
どうしようもないつーか感想の書きようのないものも数本あるので、面白かったものだけ以下に記す。


「アメリカ刑事」(高橋洋):英語をこよなく愛するアメリカ刑事が、英語を貶める悪の結社に正義の鉄槌を下す!
 監督が監督だけに最後はホラーチックに終了。主人公が数本後に何食わぬ顔で「夫婦刑事」に出てくるのは笑った。
「さよなら地球刑事」(奥原浩志):3人の刑事が一時のアバンチュールを過ごした乙女たちは宇宙人だった。
 あまりのヘボさに心の奥底からこの企画に不安を感じたりしましたが何故か靖幸ちゃんの「イケナイコトカイ」と「ピーチタイム」をBGMに使用。
「引き刑事」(堀江慶):犯人は蟹。ぷくぷく。白馬スキー場でロケ敢行。
雪の中パンツ一丁で
 バカ。ぷくぷく。…ああ、これが2番目に面白かった作品か(頭を抱えつつ)。
「NOと言える刑事」(青山真治/寺島進・黒沢清):何に対しても「イヤ」と言えてしまう刑事が主人公。…イヤ。
 役者・黒沢清がおかしい。
「モーヲタ刑事」(山口貴義):モー娘。ヲタクらしい犯人を追って刑事はコンサート会場前へ。
 「加護と辻の見分けがつかないんですよ」
初心者でもわかる見分け方をお教えしましょう。『Do It』の最後で右足に重心をかけている
 のが辻で左足に重心をかけているのが加護です
。わかりまへん。
「忘れられぬ刑事たち」(篠崎誠):密室殺人発生!ヤマ勘刑事は事件解決のため次々と仲間の変な刑事たちを呼び出すが…。
 一番まともな作品。大真面目にバカをやる嶋田久作と豪華ゲスト陣(榊英雄とか)が素敵。一番笑ったのは
大森南朋が「殺し屋 イチ」の
 セルフパロディをやるところ
。実際は30分以上あったという完全版が見たい。

千円だからいいものの、ちゃんとした映画館で掛けるレベルではない作品が何本か…。



○「デジモンアドベンチャー」 ★★★★ (01.2/ビデオ)
STORY:太一ら”選ばれし子供たち”の冒険の数年前。光が丘の団地で暮らす太一とヒカリの幼い兄妹は、ある日大きな卵から生まれた、見た
こともない生物と出会う。その夜、さらに進化して恐竜型となったそれは背中にヒカリを乗せたまま外へ飛び出す。そしてそれに呼応するかのよう
に空が割れて鳥型の怪獣が現れた。ヒカリを探しに出た太一が見たのは、ぶつかり合う二体の怪獣の姿だった…。



TVアニメ「デジモン・アドベンチャー」のプレゼンとして制作された20分の映画。製作段階ではまだTVシリーズ化が決定していなかったため、
あまりTV版の要素が入っていないのが残念。


が、怪獣映画として見ると後半のグレイモンVSパロットモンはなかなかたぎるものがある。TV版ではまるで格好いいと思ったことのない
グレイモンを初めて格好よく思えた。


最後の太一のモノローグ(一人称が「ボク」なのが萌える!)からTV主題歌のサビがかかるラストがすげえ好き。



○「デジモンアドベンチャー 僕らのウォーゲーム!」 ★★★★★ (02.5.13/DVD)
STORY:あの冒険の日々から半年。突如ネット上に新種のデジモンが出現し、データを食い荒らし始めた。事態に気づいた太一と光子郎は、
ゲンナイの力を借り、アグモンとテントモンをネットに送り込んで迎撃するが、敗れ去ってしまう。春休みで旅行や受験があり、他の仲間たちと
は連絡がつかない。焦る太一たちの前で、敵デジモンは、核ミサイルの制御プログラムを乗っ取り、発射してしまった。爆発まであと10分!



世間様の人気では後続の「02」や「テイマーズ」に劣っておりますが、個人的には第一作、所謂「無印」が大好きでございまして
”俺たち小学生だから難しいことはよくわかんないや”という不文律の元に展開するジュブナイルな冒険談は、その稚拙さ故に愛すべき
ところであり、そして何よりも、実にマンガチックな等身のキャラクターたちが大好きだったのございまして。なんで「02」になるとあんなヒョロ
ヒョロになっちまうんだようおうおう。


一年間の大冒険を終えて登場した劇場版は、完結編というよりはカーテンコールといった感じで、単体として観ても楽しめるとは思うのだ
けれど、やはりTVシリーズを知っていないと100%は楽しめないというのが痛し痒し。


で、本題。まず、40分しかないということにショック!(故・春の東映アニメフェアの中の一本だったため。)90分くらいあると思ってたのに。
しかし、
とても40分とは思えないほどに密度の濃ゆい作品だったりする。
全員活躍させてたら絶対時間が足りないということで、潔く活躍するのを太一・光子郎・ヤマト・タケル・空に絞り込んでしまうという方向性
には脱帽。思い切りよすぎ
そりゃあ
ヒカリたんたちの活躍が見れないのは残念無念だが、その犠牲もやむなし、と思えてしまう出来のよさよ。
個人的には太一&光子郎コンビが大好きなので、彼らが大活躍してくれるのは嬉しい限り。つーか、光子郎はんがいないと他の脳天気小学生
たちでは問題解決の糸口すらつかめないからなあ、TV・映画問わずに。


ネットを使ったサイバークライシスのサスペンス、TV版より淡い作画(でもキャラの頭身伸びてる・泣)、何気ない日常、ところどころのブラック
成分多めのギャグ
(なんで光子郎はんがあんなにウーロン茶を飲むのかと思えば、伏線だったとは・笑)とだれず、詰め込みすぎずに進んで
いくストーリーはお見事。
個人的には戦闘中の
進化で挿入歌「Brave Heart」が掛かるTV版のいつものシーン敵の奇襲でブチ切ってしまうお約束ブレイカー
にずっこけた直後に、逆襲と共に中断したところから曲を掛け直す盛り上がりまくりの演出
がお気に入り。

そして、多分にご都合主義なところはあるが(それは”俺たち小学生だから難しいことはよくわかんないや”ということで。)、ラストバトルの
格好良さ!
オメガモン
の強さにほれぼれ!闇を払う銀の剣悪を滅ぼす裁きの炎!圧倒的じゃないか、我が軍は!
しかしその奇跡の強さでも決定打にはならないという一ひねりがまたイカス。最後の決め手は、知性ナリか。


やはり8人の選ばれし子供たちとそのデジモンたちが全員活躍してほしかったし、やはりTV版のままの頭身でやってほしかったのだが、それを
些細なことと割り切ってしまえる
傑作。大人も子供も楽しめるハイレベルな逸品。ただし島根県民にはお勧めしかねる(笑)

そりゃあ劇場中編2作だけでジブリにスカウトされて「ハウル」の監督やらされるわな。降板しちゃったけど。



○「デジャヴ」 ★★★★ (07.4.3/劇場)
STORY:ニューオリンズにて爆弾テロが発生、多数の死者が出る。捜査官・ダグは事件に関わると見られるクレアという若い女性の焼死体を
調べるが、その美貌に何故か魅かれる。能力を買われ特別捜査班に加えられたダグ。そこには衛星からのデータを元に、4日と6時間前の過去
を正確に再生できる最新鋭の装置があった。データ量が膨大故、一度しか再生できない過去の映像を観察するダグの胸にある疑問が生じ…。



フェリー爆破テロを追う腕利き捜査官なんてサスペンスかクライムアクションかという題材と見せかけて、話は中盤から急展開を見せてSFもの
になってしまうという異色作

プロデューサーは
ブラッカイマー先生なのでもちろん派手なドンパチやカーアクションもあり。何その危険すぎるよそ見運転てば

タイムパラドックスもバタフライエフェクトも知ったこっちゃねえ!と言わんばかりに、豪快に過去の改変を目指してしまうのだが、そこに至る
動機の盛り上げが上手いので
矛盾点があっても許せてしまう漢気映画意味深なタイトルが生きるラストもよろしい。

死せる美女に惚れてしまい命懸けで彼女を守ろうとする堅ゆで卵な主人公にデンゼル・ワシントン。監督のトニー・スコットと前に組んだ「マイ・
ボディガード」でも女(幼女だけど)のために命張ってたな。タイムマシンに縮こまって潜り込む姿に苦笑。




○「デスノート 前編」 ★★★ (02.11.21/TV)
STORY:成績優秀品行方正で正義感の強い大学生・夜神月が拾った黒いノートは、名前を書くだけで人を殺せる死神のノートだった。死神・
リュークから使い方を教わった月は、法で裁けぬ悪人たちの粛正を開始する。世界中で大量発生する犯罪者たちの突然死を大量殺人と判断
した警察は、世界有数の探偵であるLに調査を依頼する。ここにLと殺人鬼キラ=月との互いの命を懸けた頭脳ゲームが幕を開けた…。



週刊少年ジャンプ連載の超人気作品を実写化。
いわゆるひとつの「よせばいいのに」パターンである。原作のあの美麗なキャラを生身の人間が演じるのには無理がある。
ので、逆に
原作とは違うものだと割り切ってしまえば、なかなかどうして頑張っているといえる一本

実際、後編へと続く引きとなるクライマックスは完全オリジナルなのだが、なかなかどうしていい盛り上がりを見せている。最後にLがあの
食べ物を持って現れるのにはシビれた。


主人公・月を演じるのは藤原竜也。原作を見てしまうと、どうしても顔太いように思えて仕方がない。あと字汚い!ノートに字書く時には枠線
気にしようよ!あの書き殴りっぷりだとどうも秀才っぽくない。


ライバル・Lの方は、原作があまりに濃すぎるキャラなので誰がやってもコスプレにしか見えん

映画オリジナルの月の恋人香椎由宇。あの高くとがった鼻を見ると「ごっつええ感じ」のベンジャミンを思い出して仕方がない



○「デスノート the Last name」 ★★★★ (06.11.28/劇場)
STORY:名前を書けば人を殺せる死神のノートで犯罪者を粛正し続ける殺人鬼キラ=夜神月は警察と共に彼を追う名探偵・Lを始末すべく
捜査本部に入り込む。そんな時、第2のキラが出現。その正体はアイドル・弥ミサで、彼女は家族の仇を殺してくれた月に献身的に協力する。
Lの殺害まであと一歩まで迫った二人だが、Lに先手を打たれミサは監禁されてしまう。窮地から脱するため月は周到な計画を練るが…。



週刊少年ジャンプに連載された超人気マンガの実写化の後編。
この映画を楽しめるか否かの最大のハードルは、原作とかけ離れざるを得ないキャラを受け入れられるか否かだと思うのだが、前編を観て特に
問題なかったならば後編も楽しめるかと


原作は出だしは異常なテンションで怒濤の展開だったのだが、中盤以降失速し、Lが退場した第2部はもうグダグダでなんともしょっぱめな
ラストを迎えてしまった
辺りで評価を下げているので、オリジナルな展開を見せるこの実写版ではその辺をしっかりと補正している。

今回の序盤は第2のキラことミサミサの登場による混乱という一幕。
ミサミサを演じるのは戸田恵梨香。これは大いにミスキャスト。ミサミサのキャピキャピ(死語)なキャラにまるでそぐわない。
のだが、
それはそれとして
戸田恵梨香が実にかわゆいのである!流石に美少女を撮ることについては定評のある金子監督だけのことはある。
ぶっちゃけ
ミサミサの監禁シーン見たさに劇場まで足を運んだので満足じゃ。(まさに外道!)

つーわけで期せずして前半はアイドル映画感覚で観れてしまったのだが、中盤以降、月が計略の元にデスノートの所有権を放棄してからの
オリジナル展開にはしっかり引き込む力あり
正確には、原作のヨツバ編と第2部の要所要所を
上手い具合にリミックスした展開元のダラグダ感がなくなって実にGJ

そして月とLが最後にサシで鎬を削るクライマックスはオリジナルの展開にて実に実によろしい
「世界の運命は、メロやニアなどに好きにさせるものではない。全てはLとキラとで、決着をつけるものだ。違うか!違うか!!違うかぁっ!!!」
てな感じで、原作の展開に首を傾げていた身としては納得。

夜神父がちゃんと最後に絡むのも素晴らしい@鹿賀丈史はちょっと重厚すぎるのではないかと前編の時は思っていたのだが、この最後を
観てキャスティングに納得
おひょいさん

しかし最後にリュークが月の名前をデスノートに記すくだりなんかは最初に説明してなかったんで、原作未読の人には(既読者にも)唐突
かつ理不尽な印象を与える
んですけど。

原作は名作だけど後半グダグダだったおかげで映画化改変して成功したという割と珍しい例。



○「デス・プルーフ in グラインドハウス」 ★★★★ (07.9.9/劇場)
STORY:テキサス州、4人の美女が交通事故で無惨な最後を遂げた。彼女たちの車は猛スピードで対向車と正面衝突したのだ。だが、それは
事故に見せかけた殺人だった。対向車はデス・プルーフ=耐死処理が施されたカスタムカー。それを駆り異常殺人を楽しむ男の名はスタント
マン・マイク。そして彼は新たな獲物を求めてテネシー州へ。その彼の目に映ったのは曲乗りを楽しむスタントウーマンたちの車だった…。



映画バカ・タランティーノ盟友(すなわち矢張りバカ)ロドリゲスと組んで、B級映画2本立てをオールナイトで上映していた往年の
”グラインドハウス”を再現した企画もの

だがしかし
日本の配給会社のお偉いさんにはそれがわからんのですよ!より儲かるので二分割した上にウソ予告まで削るという暴挙
スタントマン・マイクよ、こいつらこそ助手席に乗せたれ!


で、本編の感想。話は前半のテキサス編と後半のテネシー編に分かれているのだが、前半のクライマックスのビッチ4人大惨殺シーン
グレイト!いちいちリピートして四者四様な死に様をたっぷり映してくれるのが素敵。


そしてそれよりも全体の終わり方がサイコー!!!本年度ベストENDマーク賞間違いなし!えええ、終わりぃ!?目を剥きながらも笑わ
ざるをえない素晴らしすぎるタイミング


とまあ、前半後半のクライマックスが大いに盛り上がるわけで、それだけで十二分に元は取れると思うのだが、だがしかしそれにしてもいくら
なんでも、それ以外の
無駄話のパートが長すぎ。しかも分割した際単体では短くなったのでカットされたシーンが追加されたので更に長い
長い。
楽しくないわけではないが、でもやっぱり長すぎて★1つ減点。その点ではレンタル向けかも。




○「デスレース」 ★★★★ (08.12.18/劇場)
STORY:不況で治安が悪化し刑務所が民営化された近未来のアメリカ。囚人たちによるサバイバルレース・デスレースが実施されている刑務所
に、愛妻殺しの濡れ衣を着せられた元レーサーのジェンセンが入所する。レースの中継で大金を稼いでいる女所長は彼の愛娘を人質に取り、
覆面レーサー・フランケンとしてレースに出ることを命じる。レース中、ジェンセンは妻を殺した男が敵レーサーの中にいることに気づき…。



伝説のバカ映画「デスレース2000」のまさかのリメイク
とはいえ、
通行人を轢き殺したポイントで優勝を競うという罰当たりな(誉め言葉)設定は現代では再現できず”ゲテモノカーでレース
しながら殺し合い”
といった要素だけ残して後はリファイン
という昨今よくあるリメイクのパターン。

とはいえとはいえ、その”ゲテモノカーでレースしながら殺し合い”というポイントだけでそりゃもう十二分にバカバイオレンス映画となって
おり一安心

機銃にナパーム、マキビシからミサイルまで搭載したゴッツイスポーツカーで繰り広げるレースという名のデスマッチ。しかし武器を使用
するにはアイテム床を踏まなければならない
というなんだか不真面目ななゲームテイスト
レーサーたちもなにせ囚人なので荒くれ者揃い。そして
ナビゲーターは意味もなくおねーちゃんというサービスぶり。脱がないけど。存在
感ないけど。(ちなみにライバルのマシンガン・ジョーだけゲイなので取り巻きの黒人男性を乗せる使えねーと
走行中に放り出す。まあ
そうでなくても
大概途中で死ぬ。)
3回戦あるレースに出走するのは10人で死んでも補充なしなのに殺しまくる無計画さはサイコー!
トラップに挟まれ火だるまにされ撥ねられ肉片とされ真っ正面から機銃掃射され首をへし折られ”墓石”で潰されドリルで貫かれ
惨死
の乱れ撃ち
で素敵すぎる。
中でもレースを盛り上げるために途中から乱入する女所長謹製の
殲滅戦車”ドレッドノート”が素晴らしすぎ前面に機銃側面に火炎
放射器&ドリル背面にチェーン&戦車砲と
漢の兵器満載で殺る気満々実際にボッコボッコ殺りまくるわけだが、皆殺しにしたらレースが
成り立たなくなり放映収益も上がらなくなるんじゃね?そんなこと全然考えてない
頭の悪いテイストが作品の魅力ではある

主人公を演じるはジェイソン・ステイサム。こんなに細かったっけ?相変わらずの荒事番長で大活躍。
女所長役のジョーン・アレンが憎々しくて好演。


ちょっとクライマックスが弱くて女を犠牲にして脱出成功というのはどうよ?所長への復讐が他人任せなのはどうよ?)、テンション
落ちたまま終わるので評価も下がり気味

まあ監督が
所謂”駄目な方のポール・アンダーソン”、”及第点そこそこの映画しか作れない方のポール・アンダーソン”という先入観が
ある
からかもしれないが。



○「鉄男」 ★★ (02.9/ビデオ)
STORY:ちんぽドリル


ちんぽドリル



○「鉄人28号」 ★★ (05.3.22/劇場)
STORY:現代、東京。突如現れた巨大ロボット・ブラックオックスが街を破壊し始めた。その黒幕は、破壊の後の理想郷の建設を目論む天才
科学者・宅見零児だった。一方、母親と二人暮らしの金田正太郎少年の前に謎の老人・綾部が現れる。彼に連れられて正太郎が見たものは、
彼の祖父と父が作り上げた巨大ロボット・鉄人28号だった。正太郎は鉄人を操りブラックオックスに戦いを挑むが、返り討ちに遭ってしまい…。



「鉄人28号」というタイトルからどんな映画を期待するだろうか?
たぶん、大人も顔負けの活躍をする
金田正太郎少年が巨大ロボット・鉄人28号を駆り悪の組織の巨大ロボットと大迫力のバトルを繰り
広げる一大冒険活劇
なんではないだろうか?

なのに何故監督が「非・バランス」(観たかったけど未見)、「ごめん」(観たかったけど未見)、「星に願いを」(まったく観る気なし)と、人間ドラマ
には定評があるが
SFやアクションとは無関係冨樫森?

つーわけで、人間ドラマ、特に金田正太郎少年の成長物語としてはまあよくできた作品ではあるものの、「鉄人28号」としては失格!
最先端のフルCGを駆使して描かれる鉄人とブラックオックスの死闘には呆れて物が言えなくなること請け合い


とまあ、肝心な所が駄目駄目なのだが、「デビルマン」とかと違って、それでも駄目映画にはなってないのは役者さんたちが熱演している
から。
ヒロインの天才にして超ロングの黒髪が「僕の彼女を紹介します」みたいでドッキリした(最初だけだけど)美少女
徳井優じゃなくて
あびる優でもなくて
蒼井優
主人公の母親に薬師丸ひろ子。ちょっとしか出ないが父親に阿部ちゃん「迷わず進め」のサムズアップが
最高に格好いい
「スチーム・ボーイ」と比べると全然まともな演技ができている中村嘉葎夫もいいし、刑事役の中澤裕子もまずまず。
香川照之の使い方はアレだが
伊武雅刀は最近しょーもない役ばっかだな。(ex.「あずみ」、「ゴジラ」、「ローレライ」…)


そして主人公の金田正太郎少年演じる池松荘亮少年だが…。演技はそりゃもう上手いんですわ。
が、世の人々(の一部)が正太郎くんに求めているのはそんなのではなくて、
萌えショタキャラなのではないですかねえ。
いくらなんでも、そんな鉄人修理の職人集団(ex.諏訪太郎、鈴木一功…)と混じっても遜色ない
ブサイクなツラ晒されても…ねえ(苦笑)

あと、伊武雅刀のSP役のデブの存在が個人的にやたらウザッたかった。たぶん同意見が日本国内であと3人くらいはいると思う。
いるだけで(つーかセリフもねえけど)画面を狭苦しく感じさせるのがムカつく
ブラックオックスに内蔵された「
世界を破滅させる威力のある核爆弾」(笑)が作動して伊武雅刀がガックリ跪くと一緒になって跪いて絶望する
仕草がたまらなくムカついた




○「鉄人28号 白昼の残月」 ★★★ (07.4.20/劇場)
STORY:太平洋戦争終戦から10年、復興著しい帝都の平和は金田正太郎少年の操縦する鉄人28号によって守られていた。そんな中、戦死
したと思われていた鉄人の正操縦者・ショウタロウが復員し、時を同じくして都内から正太郎の父の負の遺産・廃墟弾が掘り出され始める。更に
廃墟弾撤去を口実に日本に迫るベラネード財団のロボット軍団、正太郎の命を狙う謎の殺し屋”白昼の残月”、事態は風雲急を告げる…。



今川泰宏監督のTVシリーズを同スタッフが映画化
とはいえ、基本設定は同じで展開は別というパラレル仕様


親子の断絶!兄弟の絆!爛れる主役ロボ!包帯!超巨大要塞ロボ!矢島正明!麦人!若本規夫!関智一!今川節全開で、
ファンならまあ満足できるかと。
つーか「鉄人28号」というと
実写のアレがあるので、どうしても比較して点が甘くなってしまう(笑)

しかし問題点も多々ある。何と言っても内容詰め込みすぎ!
冒頭の”鉄人の窮地に突如現れた謎の男が正太郎から操縦機を奪い、鮮やかに鉄人を操って敵をなぎ倒す!彼の名前は…ショウタロウ!”
なんて
熱い見せ場をナレーションだけで済ませてしまうのには唖然呆然。
そうでもしないと終わらない、という割り切りらしく、本編も内容充実でゲップが出そう。
もう30分くらい尺がほしかったところ。話も駆け足で
少々無理がある
し、演出の間とかに余裕がないのよね。
というところで少々減点。勿体ない。
あとタイトルから期待した
BF団十傑集のアイツは出てこなくて残念

ショタコンの語源である正太郎くんの入浴シーンがあるのはファンサービスですかね。パンフにまで画像載ってるし。



○「テッド」 ★★★ (13.2.20/劇場)
STORY:友だちのいないジョン少年は、両親が買ってくれた大きなテディベアのぬいぐるみのテッドと話せるように神様にお願いすると、その願いが
叶い、テッドが動いて話せるようになった。それから30年近く経ち、ジョンもテッドも酒とクスリに溺れるダメ中年に育っていた。結婚を考えているロリー
にテッドと離れて暮らすよう強く言われたジョンは、断腸の思いでテッドと離れ離れになり更正しようとするが失敗し、ロリーに愛想を尽かされてしまう…。



かわいらしいテディベアのぬいぐるみが主人公ということで、劇場には女性客ばかりだったが、中身はおっさんという設定は織り込み済み
しても、
度を超した下ネタと向こうのオタネタのみで全編構成されていて、皆どういう感想を持って劇場を後にしたのかと思うとメシウマで仕方
がない


しかしそれにしても実のところ、オタネタが濃すぎてよほど向こうのオタ文化に精通してないと100%楽しむことはできないんでないかね。
あまりに日本人にとって難解なネタは字幕監修のウェイン町山氏によってわかりやすく置き換えられていて親切だったが、
「くまモン」とか言わ
れると流石に違和感が。
オイラも
着メロが「ナイトライダー」な辺りは爆笑したけれど、「フラッシュ・ゴードン」ネタとかは厳しかった。主題歌はめっさ聞き覚えあったけど。
つーかその「フラッシュ・ゴードン」が物語の鍵を握っているのだけども。
主人公のジョンとテッドが子どもの頃から繰り返し繰り返し観賞してきた
人生の教科書である「フラッシュ・ゴードン」。その主役を演じたサム・
ジョーンズ
がホームパーティにやって来て、恋人との約束をすっぽかして駆けつけてしまう下り。日本なら藤岡弘、だと今も現役で活躍してるので、

2号の佐々木剛辺りなのかなあ。
でもこのシーンって
まんま監督の願望なんだろうなあ。いろいろあってずっと干されていた丹下桜を、「CCさくら」ではにゃーんとなって育って
きたオタクたちが作り手の世代になって復活させた話
を思い出した。

つーわけで濃ゆくてダメダメなオッサンオタクネタと、見た目は小熊、中身はオヤジなテディベアのアグレッシブすぎる言動ゆるく楽しむ
ダメなオッサンオタクを対象とした映画

そんなダメな映画なのに金掛かってるし俳優も豪華だし(
ノラ・ジョーンズとかよくこんな役やったな)、ほんのり感動できるいい映画になってるのが
邦画とは違うのだよ邦画とは

ソフト化の時、「フラッシュ・ゴードン」のDVDもバーターで隣りに並べるべきだと思う。



○「DEAD OR ALIVE 犯罪者」 ★★★★★ (00.10/ビデオ)

「バカ映画たちの挽歌」コーナー参照



○「DEAD OR ALIVE 2 逃亡者」 ★★★★ (01.1/劇場)

「バカ映画たちの挽歌」コーナー参照



○「DEAD OR ALIVE FINAL」 ★★★ (02.1/劇場)

「バカ映画たちの挽歌」コーナー参照



○「デトロイト・メタル・シティ」 ★★★ (08.9.28/劇場)
STORY:シブヤ系オサレポップを愛する心優しき青年・根岸崇一。音楽で世界をラブ&ピースで包むため上京した彼だったが、何故かデス
メタルバンド・DMCのボーカルにして地獄の帝王ヨハネ・クラウザー2世として世界を鮮血と呪詛で包むべく活動する羽目に。僕がやりたかった
のはこんな音楽じゃない。苦悩しつつもステージで大暴れしてしまう根岸だったが、ある日想いを寄せていたかつての級友・相川さんと再会し…。



原作はある程度読む人を選ぶブラックコメディなので全年齢対象全国拡大公開ロードショウなんてしてもらっては毒気を抜かれて困る
のである。
当然あたりさわりのないコメディに成り下がっているわけだが、小さいながらもきちんとまとめられているのは評価せねばなるまい
ただ
DMCが小さくまとまってほんのり感動ものになってたりして誰が喜ぶというのだろうか

一応それなりにDMCとして成立しているのは、クラウザーさんの一挙手一投足にいちいちナイスなリアクションを返してくれる追っかけ
大倉孝二岡田義徳という無駄にリッチなキャスティングをかましたことが大きい
かと。やっぱりオーディエンスが過剰な反応を示してこその
DMCじゃけんのお。


他のキャスティングでは金髪ビッチの松雪泰子が素晴らしい。「フラガール」で感動してる輩に見せてやりてえ。
ゴボウを演じるには松山ケンイチはちょっと格好良すぎる。


一番残念なのは原作のメタルもシブヤ系もヒップホップも全ての流行り歌を馬鹿にしている姿勢が映画では見られないことだった。まあそりゃ
コンピCDとか出たし、大人の事情やね。




○「劇場版 テニスの王子様 / 跡部からの贈り物」 ★★ (05.3.27/劇場)
STORY:テニス好きの大富豪・桜吹雪彦麿の豪華客船でのエキジビジョンマッチに招待された青学テニス部。そこでリョーマを待っていたの
は、一時期共に暮らしたことのある越前リョーガだった。さらに、実は桜吹雪は闇の商人で、試合は賭け試合であり、青学メンバーは八百長を
強要される。しかしメンバーは全員一致でその申し出を拒み、敵チームを散々に撃ち破っていく。業を煮やした桜吹雪は実力行使に出るが…。



すんません原作最近読み始めた(コンバット越前リョーマが超サイヤ人化した辺りから)んでキャラの名前と顔が一致しません
テニスの試合するだけで
手塚部長が地球に隕石群を落として恐竜を絶滅させるのと、
コンバット越前リョーマとリョーガが炎の竜巻とか大津波起こしたり水中で闘ったり空飛んだり全裸に
なったり
する
のを観たかっただけです。
そこだけは
★★★★★でした。うむ、元は取った

ちなみにインチキ大富豪の声をやってたのは西岡徳馬だったのだが、そのあまりにも微妙なキャスティングは一体誰にアピールしているん
だろうか?




○「デビルマン」  (04.10.13/劇場)
STORY:高校生・不動明は親友・飛鳥了に呼び出された彼の屋敷で、了の父親が封印を解いてしまったデーモンに憑依されてしまう。辛くも
人間の心を保った明は、悪魔の力を持ったデビルマンとなり、人類を守るためにデーモンと戦うことを決意する。人類とデーモンが全面戦争に
突入する中、人類は疑心暗鬼にかられ同士討ちで次第に自滅していく。それでも愛する者のために明は戦い続けるが…。



永井豪の不朽の名作「デビルマン」。その衝撃的な物語故に映像化は長く困難とされてきた。しかしついに奇跡の実写映画化!
なんて話を聞いたらまあこういうわなあ。
「やめとけ」
しかしそれでも気鋭のクリエイターや役者たちが全身全霊を込めて製作に当たるのならばもしや…とも思う
だが、主役2人を演じるのは人気アイドルグループ(なの?)の
ジャリタレ、しかも監督の代表作が「ピンチランナー」だった
日には、何かの冗談かと思わずにはいられんわい。
しかも
原作全部を2時間弱で描き切るとかCGバリバリ使ったアクションシーンがウリとかどんどんトホホ情報が流れてくればあなた、
見る前から失敗作決定でんがな。
まあ、ここまでどうしようもない話ばかりだと逆にその酷さを劇場で確かめたくなってしまうわけで。映画館でかかった予告編の段階で爆笑
の出来だったし。


この映画、偉大なる原作を読んでなければ(無論勧善懲悪単純明快お気楽ご気楽なアニメ版じゃなくてマンガの方)少しは評価が高くなる
かもしれない
。せめて
「CASHEERN」よりマシ程度には。

感想としては、上記の通り、見る前から詰んでいた問題点はまんま露骨にマイナス材料に
双子アイドルの異次元の演技力は圧巻。特に黒い方(主役の方)の叫び演技は神の領域
話は無理矢理誕生から最終戦争まで詰め込んでいるため
浅く唐突で散々な出来
シレーヌやジンメンまで欲張って出しているのに適当な使い方だし、時間が足りないのに絵描きやらストーカーやら神父やらオリジナルな話
ばかり出すし、何故かミーコとススム君(母親が犬をけしかけるんで家に帰りたくない少年)の話を引っ張るし、そのくせ神とかデビルマン軍団の
設定はバッサリ切り捨ててるんで話がおかしい
しと、
原作に対するリスペクトの欠片も見あたらない脚本家は監督の
無論監督からもリスペクトの念はうかがえない
夫婦揃って家に押し寄せた暴徒に狩られても知らんぞ。(当然その際は「あなた浮気したことある?」と勝手に小ネタをかましてて下さいな)


貶してばかりなんでちょっとは誉めないと、と思ったのだが………誉めるところが見つからない。「CASHEE(ryだって俳優たちの無意味
な熱演とか誉められたのに。


まあ役者も監督も脚本もCGも絶望的にレベルの低い作品なんで、「CASH(ryよりは失笑できる。なので「CA(ryよりは笑顔で(失笑
だが)劇場を去れた。まあ結局だんだんムカついてきたが
原作通りにオープンカー(でも右ハンドル)で登校する了とかアニメ版の素敵なTシャツを着る明とかデビルイヤー(笑)で友のSOSを聞いて見当
違いの場所をさまよう明とか海女とか
「デーモンバンザーイ!」と叫んでハチの巣になるKONISHIKIとか悪魔狩り部隊にガン=カタで
立ち向かう了
とか警官のコスプレして地道に人間を射殺する了とか(サタン様セコッ!)唐突すぎるミーコの日本刀アクションとか小林幸子
とか、他にも書ききれないほどのシーンでかなり笑わせてもらいましたよ。

無論全て失笑な
その中でも特に声を出して失笑したのが
「ハッピーバースデー、デビルマン」悪魔と間違われて連行される鳥肌実

↑こんな書き方するとバカ映画っぽい感じだが、本当に駄作なので注意。最後にミーコとススムの人間2人生き残って(何故ミーコはデビル
マンではなくなったのだ?)、死ぬもんかみたいなセリフ吐いて終わるなんて、
原作を馬鹿にするにも程がある

あと悠に1ギガ分くらいは貶し続けられる気がするのでこの辺で。よそ様のレビューサイトの方がもっと的をついて面白おかしく貶してますので
是非。




○「テルマエ・ロマエ」 ★★★ (12.6.4/劇場)
STORY:2世紀後半、ローマ。建築技師・ルシウスはよいテルマエ(公衆浴場)のアイデアが思い浮かばず苦悩している。テルマエで謎の排水溝に
吸い込まれた彼は、現代日本の銭湯へタイムスリップしてしまう。そうとは知らない彼はそこをローマ帝国の属国と思い込み、優れた風呂に関する
技術にカルチャーショックを受ける。元の世界に戻った彼は、その技術を再現し一躍脚光を浴び、ついにはハドリアヌス帝の目に留まるが…。



同名人気コミックの実写映画化
古代ローマを舞台にした物語なのに
メインキャストが日本人という第一報の段階でネタ臭が凄まじかったが、主役が日本人離れ濃ゆい顔には
定評があり
、なおかつ大真面目にバカをやれる阿部寛
ということもあり、これはひょっとすると…と期待感を抱かせてくれた

つーわけで、マンガ原作の実写化作品としては合格点。まあ元のマンガが実写向けだったということもあるけれど。
加えて、監督
「のだめカンタービレ 完結編」で、ヨーロッパが舞台なのに全ツッパで外人俳優を日本語吹替で演出した竹内英樹なので、
そのノウハウを十分活かしたと言える。
ローマでたまたま古代ローマを舞台にしたドラマの撮影をしていたセットを安く借りられたそうで、
阿部寛・市村正親・北村一輝・宍戸開ら
濃ゆ〜い顔軍団が割と違和感なく現地エキストラに溶け込んでしまった
古代ローマパートもなかなかのスケール感


ただ、個人的には、もうちょっと演出を派手に、マンガ的にしてもいいかな、と思った。それこそ「のだめ」チックに
デフォルトの阿部ちゃんの演技でも十分笑えるというのがすごいのだが、どうせなら上田次郎レベルのリアクションでいってほしかったなあ。

原作が基本的に1話完結なので、前半はそこをなぞっていくのだが、それでは盛り上がりに欠けるため、後半は原作を下敷きにしつつオリジナル
な展開へ

映画オリジナルの
”平たい顔族”のヒロイン@上戸彩が登場。う〜ん、実に平たいまさに平たい
彼女がルシウスにくっついて古代ローマにやって来てしまったことから起こるタイムパラドックスを回避するという物語になり、なかなかうまく盛り
上げてまとめたなあ
、という感じ。


そこそこ面白かったが、もっとはっちゃけられるのに、と少し残念な作品力兄ィの役柄はそれを表している感じ



○「天国から来た男たち」 ★★★ (03.8.5/ビデオ)
STORY:エリートビジネスマン・早川は出張先のフィリピンで冤罪で逮捕・投獄されてしまう。会社や妻にも見捨てられ、金が全ての掃き溜めの
ような監獄の中で彼は希望を失っていく。そんな彼に声を掛けたのは、囚人でありながら豪勢な暮らしをしている元ヤクザの吉田だった。所長と
結託して麻薬ビジネスで荒稼ぎしている彼の手伝いを、他の日本人囚人仲間たちとする羽目になった早坂は、次第にたくましくなっていくが…。



「黒社会」三部作、「DOA」シリーズ、「漂流街」、「中国の鳥人」などなど、アジア系の無国籍映画っぷりには定評のある三池崇史監督の、
フィリピンを舞台とした無国籍映画
とはいえ、今回は活躍するのはほとんど日本人なのだが。


主人公・早川空条徐倫の如く冤罪で刑務所に収監されるのだが、そこで共に暮らす日本人犯罪者たちが、いつもの如くハイテンションな
エンケン
ロリコン医者ヤク打ちすぎて自分の名前すら忘れてしまった男と個性派揃い。
その元締めで、
オリバ並の自由度を誇る吉田ともう一人ヒロインの計6人が繰り広げる珍騒動を描いているのだが、こうやって感想を書こうと
すると意外に内容がないなあ。


「中国の鳥人」と同じようにとんでもない運命の流転に巻き込まれて次第に強くなっていく主人公のリーマンを、「漂流街」で巨大ギロチン
を”マトリックスよけ”する
狂犬ヤクザ伏見を演じた吉川晃司が好演。
したたかな元ヤクザに山崎努だが予想していたほど堂々としておらず意外。オリバみてえな暮らししてるくせに。
仲間の元板前に
エンケン。いつもの如く怪演だがラストは見物つーか感動。素晴らしい俳優だ。
そこと
ミッチー(元王子)が友情出演で1シーンだけ出てて「卓球、シマセンカ?」とかかましてくれたことばかりが印象に残った。あと出鱈目
(無論誉め言葉)なオチ!


ヒロインは大塚寧々だがえらく存在感が薄い。薄すぎる。流石女優の扱いが適当なことで知られる三池映画。



○「天地明察」 ★★★★ (12.10.3/劇場)
STORY:江戸時代、4代将軍・家綱の治世。囲碁指南として登城する安井算哲は無類の算術と天文好き。それを見込んだ会津藩藩主・保科正之
から800年使い続けてずれが顕著になった暦の改暦を命じられる。しかしそれは利権を独占する朝廷と戦うことを意味していた。優れた仲間たちと
作業を進める算哲だったが、肝心なところで新暦に誤りが生じ、計画は暗礁に乗り上げてしまう。そこに現れたのは天才算術家・関孝和だった…。



沖方丁本屋大賞受賞作を「おくりびと」の滝田洋二郎が映画化。

原作がすげえ面白いので脚本や演出やキャスティングがよほどトチ狂わない限りは鉄板で楽しめるであろうと思っていたが、まあ無難な出来
になっていて一安心。まあ、もっともっと面白くできたような気はするが。

尺の都合上カットされたエピソードや設定も多し
主人公がバツイチでヒロインと結婚するという設定がバッサリカットされていたのは、その方が話がまとまるのはわかるのだが、前妻がとても
いい人だっただけに切ない
「私より長生きして」(響子さんかよ!)の意味合いがだいぶ浅くなってしまった
観測旅行のセンパイ2人のエピソードも大幅カットされていてもったいない
「まかされました」なんか伏線にもなってたのになあ。
幕閣のクセモノどもの出番が削られたのも残念。


キャスティングも最高ではないにしろ、結構いい線いっているかと。
主人公の囲碁侍・算哲に
岡田准一いいひとを演じさせたらいい仕事をしてくれるよな。ぶっさんって異質だったなあ。
その妻の気が強くてしっかり者の良妻・えんに
宮崎あおい相変わらずこの手の役が似合って似合って仕方がない。かわいいなあもう。映画化
決まってから原作読んだのだが、宮崎あおいで脳内アフレコ余裕でした
天才数学者・関孝和に元市川亀治郎。配役決まった時に、
これだけはありえねえと絶叫。だってどこをどう見ても知的な感じがしないじゃん。
実際蓋を開けてみればエキセントリックで天才と紙一重な演技をしていて、頑張ってたとは思ったが、やっぱり頭良さそうには見えんかった
算術の塾頭の佐藤隆太というのも同じく、頭良さそうに見えず無理があった。まあぶっさんとマスターが共演してるってだけで2828だったが。
天才碁打ち・本因坊道策にジャニーズの横山裕。悪くはないのだが、撮り方の問題だろうが、まるでアイドルの輝きは感じられなかった。
ボンクラそうな将軍に染谷将太。「龍馬伝」、「テンペスト」とお殿様役が多いな。つーか
あの「デビルマソ」に出ていたことを知ってしまった。
松本幸四郎・中井貴一・笹野高史・岸辺一徳・徳井優ら年配組は流石の演技。でも将軍相手の碁打ちにきたろう尾藤イサオって、とても
頭良さそうには(ry


映像化すると地味なためか、中盤無理矢理アクションシーンがあるのだが、話を盛り上げるためにそこで原作を改変してある重要人物を殺して
しまうという暴挙に
。しかしこの人、教科書にも載ってる歴史上の重要人物でもあるので、勝手に死に方変えるのはいくらなんでもどうか、と眉を
ひそめたら、
エンドロールの後お詫びが入っていて失笑

まあ小説の映画化としてはマシな方なれど、原作の方が遙かに面白いぞよ



○「デンデラ」 ★★★ (11.7.1/劇場)
STORY:70歳になった老人を山に捨てることで何とか生き延びている山村。山で死ぬことによって極楽浄土に逝けると信じていた斎藤カユ
は、先に捨てられたが共同体を作り生き延びていた老婆の群れに助けられ憤慨する。共同体”デンデラ”を作った100歳の三ツ屋メイは自分
たちを捨てた村を襲うべく虎視眈々と機会を狙っていた。デンデラも人口も50人を数え、いよいよ決行というその時、羆の襲撃を受け…。



三島由紀夫賞作家・佐藤友哉の小説をよせばいいのに実写化
「姥捨山には続きがあった」というコピーで有名老女優を多数起用して、一見
感動のヒューマニズム文芸大作風だが、その実、50人の
汚え老婆vs血に飢えた人喰い熊の生き残りを賭けたアクションスリラー
という罠

原作は老婆軍団vs熊を全面に押し出して宣伝してたのに、
映画の方の宣伝が全然そんな風じゃないのは詐欺だろう何も知らずに
観に行ったご年配の映画ファンの方々お疲れさまッス


つーわけで、オーバー70のババア軍団vs羆なんて絵面、実写ではどうやっても失笑ものだし、そもそもババアが次々と首が吹き飛び
手足がちぎれ内臓ボロボロこぼして惨殺されるシーンなんて映像化できない
だろうから、この作品を映像化するならアニメにするしか
ない
と思っていた(内容も意図的にラノベチックだし)のだが、出演しているのは流石日本映画を支えてきた往年の名女優たち監督の
見事な手腕も相まって
なかなかどうして
ちゃんと観れる作品になっていって驚き

確かに熊との死闘はカット割りで逃げていて物足りないし、熊自体もなんか小さくて

   ∩___∩
   | ノ      ヽ
  /  ●   ● | クマ──!!
  |    ( _●_)  ミ
 彡、   |∪|  、`\
/ __  ヽノ /´>  )
(___)   / (_/
 |       /
 |  /\ \
 | /    )  )
 ∪    (  \
       \_)


というくらい迫力がない
それでも思ったよりは残酷描写をしていたし、
原作でダレたシーンをバッサリカットしていたモブに過ぎないババア軍団の出番を整理
してメインの3人を際立たせていた
し、
監督と出演陣はいい仕事をしたと思う。
ラストのアレンジはちょっと嫌いだが。
原作の方が生と死の狭間の希望と絶望が充ち満ちた極限の疾走感も高揚感もあった

主役の最年少老婆(70歳)の斎藤カユに浅丘ルリ子
デンデラを創設した武闘派のリーダー・三ツ屋メイ
(100歳)草笛光子
襲撃に反対する穏健派なれどデンデラの危機に体を張って立ち向かう隻眼の老婆・椎名マサリ
(89)倍賞美津子
いずれも
素晴らしい眼力で圧倒される。こいつらほっといたらあと100年くらい生きそうだ。

監督は「AIKI」、「暗いところで待ち合わせ」の監督や「十三人の刺客」の脚本の天願大介
「楢山節行」の今村昌平の息子だからオファーが来たのかね。




○「転々」 ★★★★ (08.3.5/劇場)
STORY:法学部の8年生の竹村文哉は借金を抱えるダメ人間。天涯孤独。借金取りに追われるも返済の当てもない。が、借金取りの福原は
突然ある条件を飲めば借金をチャラにすると言い出す。その条件とは、吉祥寺から霞ヶ関まで彼の散歩に付き合うこと。他に選択肢のない文哉
は嫌々ながらそれに従い、かくしておじさんと若者、二人の男の珍道中がスタート。道すがら、福原は旅の絶句ものの目的を文哉に話し出す…。



のんべんだらりと東京を散歩するオフビートなコメディ映画なんて、そんなもん好きに決まってんじゃねーか!シチュエーションだけで
ザックリとツボを突かれまくりな一本

監督はユルいコメディには定評のある
三木聡なので肩肘張らずにまったり観られた。

なんでもない東京の風景の中を行く凸凹コンビ。相変わらず奇天烈な登場人物たちのおかげでなんでもない風景が映えるような気がする。
そしてゆるい小旅行の果てに天涯孤独な男の前に舞い降りるなんでもない奇跡

まさかこの人の作品でこんなにほんわかいい気分になれるとは思わなんだ

主人公のダメ青年にオダギリジョー。うん、あのモジャモジャはダメ人間っぽいよね。
謎のおっさんに三浦友和。最近妙な役が多い気がするのは「洋服の青山」のCMのせいだな。
後半登場する小泉今日子もよろしい。
岩松了・ふせえりはいつも通り。今回は松重豊も加えてダメトリオ化。
岸部一徳は美味しい役。そして
石原良純のあの使い方は反則だろ!うははは



○「10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス」 ★★★ (04.4.28/劇場)
世界の巨匠たち”人生の10分間”をテーマに撮ったオムニバス作品集


1,「結婚は10分で決める」 監督:アキ・カウリスマキ ★★★
STORY:中年男は情熱に燃えてシベリアに旅立とうとするが、好きな女と一緒に行きたいと願い、彼女にプロポーズする。しかし指輪がなく…。

 熱血中年が10分間で女にプロポーズして指輪を買ってモスクワ行きの列車に乗り込む話。
 話の細かい説明などなく見ていて困惑はするのだが、妙にテンポがいいのであまり気にならない不思議な作品


2,「ライフライン」 監督:ビクトル・エリセ ★★★★
STORY:’40年、欧州のとある山間の小さな集落。平和な昼下がりにまどろむ赤ん坊とその母親。が、赤ん坊のお腹から出血が始まり…。

 のどかな山村に溢れる生活のリズム。何でもない話なのだが、すごくいい。説明しづらいのだが、とにかくものすごくいい。
 ニャンコの心配そうな仕草がよかった。


3,「失われた一万年」 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク ★★★
STORY:’81年ブラジル。密林に棲む、未だ旧石器時代の生活様式のウルイウ族の保護のため、役人たちは彼らに文化を伝播したが…。

 ドキュメンタリー。20数年前のウルイウ族との出会い。金属すら知らない彼らはほんの数時間で一万年分の文化の発展を遂げさせられた
 が、その後に悲劇的な運命が待ち受けていた。そしてそれから20年後の、現代の彼らの様子を描いているのだが、わずか10分の作品に
 まとめるのは無理がありすぎる
。ものすごく勿体ない。


4,「女優のブレイクタイム」 監督:ジム・ジャームッシュ 
STORY:映画の撮影現場。長引く撮影の中、女優に与えられた休憩時間はわずか10分。しかしそのわずかな時間の間でさえも…。

 自分の体験談から鑑みるに、休憩時間を邪魔されるのって本っ当にムカつくよなあ。つーわけでムカついたのでこの評価。ヒロインも好み
 じゃないんで。


5,「トローナからの10マイル」 監督:ヴィム・ヴェンダース 
STORY:誤ってドラッグ入りの菓子を食べてしまった男は病院へ向かう。最寄りの病院まで約10分。男は幻覚と戦いながら車を走らせるが…。

 イマイチ。バッドトリップするシーンも地味だし。オチないし。

6,「ゴアVSブッシュ」 監督:スパイク・リー ★★★
STORY:2000年のアメリカ大統領選挙。ゴア優勢で進んでいた戦いは土壇場でブッシュにうっちゃられてしまった。その裏事情に迫る…。

 まあ、裏で汚いことやっているのはどちらの陣営も一緒だとは思うのだが、今のブッシュ大センセイのDQNぶりを見てると、ねえ(苦笑)
というドキュメンタリー。
ブッシュ大センセイの知能指数が端々から伺える一本。

7,「夢幻百花」 監督:チェン・カイコー ★★
STORY:開発が続く北京。引っ越し屋のグンたちはフェンという男から引っ越しを依頼されるが、彼の案内でたどり着いたのは荒れ地だった。

 経済の発展でどんどん近代化していく北京。その中で失われていく古き良きものにほのかな灯りを当てた一編
おかしな依頼人に振り回される気のいい男たちのユーモラスな姿と中国ならではの風情が爽やかな後味を与えてくれる
 と誉めてみたが、
客商売としてはあんまり笑えない。↓以下毒トークにつき隠す。
 金さえ持っていればキチガイでもお客様。お客様は神様ですので何言われても逆らえません。
 という商売の鉄則を悪用するキチガイさんにはほとほと迷惑してるんでねえ。そんなもんいい話っぽく見せられても。で、実際この話に出てくる
 キチガイがウチの店に以前来ていたキチガイとやたら面構えとか似ているんだわ。ますますもって、うへえな感じ。
 とりあえず自民党さんは本来窓に鉄格子が付いた病院の中に入って然るべき人たちをお天道様の下で大手を振って歩かせないような法案
 (世間様的には悪法なんでそういうの作るの得意だろ?)を作ってほしいもんだ。弱者に優しいにも程がある。

 あと、あのCGと呼んでいいのかわからんアレはいくらなんでもねえだろ!


総括:巨匠揃いの作品集なのだが、全然この人たちの作品見てないんで持ち味出してるとかわかりまへんので感想書くの厳しいのです。
退屈はしなかったので★3つ。
しかし金掛かってなさそうな作品多いなあ
「刑事まつり」かい。



○「10ミニッツ・オールダー イデアの森」 ★★ (04.5.10/劇場)
世界の巨匠たち”人生の10分間”をテーマに撮ったオムニバス作品集「〜人生のメビウス」の姉妹編
「〜人生のメビウス」のメインテーマがオサレなトランペットだったのに対し、こちらは
優しいチェロの調べ。…あんまり優しくて…眠くなっちまう
…。


1,「水の寓話」 監督:ベルナルド・ベルトリッチ ★★
STORY:仲間の老人に川で水を汲んできてくれと頼まれた青年ナラーダは、途中で魅力的な女性と出会い、一緒に暮らし始めるが…。

 説明不足すぎる。公式サイトのあらすじ見ないと理解でけん。

2,「時代×4」 監督:マイク・フィギス ★★
STORY:壮年の男・マークは自叙伝を書いていた。両親、子供時代の思い出、若き日の恋の物語…。

 ああ、これが噂の4分割スクリーン・1カット撮りですか。確かにすげえが、あまり意味がない

3,「老優の一瞬」 監督:イジー・メンツェル ★★
STORY:チェコを代表する老優ルドルフ・フルシンスキーはうたた寝の中で過去を回想していたが…。

 名優らしいのだが、まっっったく知らないじーさんなので過去のフィルム見せられても肩をすくめるだけで。つーかじーさんがあんまり
 気持ちよさそうにうたた寝するもんだから
こっちもつられて寝ちまったじゃんか(笑)
 でも
オパーイとパンチラの所で目が覚めた(笑)★2つはそのシーンに捧ぐ

4,「10分後」 監督:イシュトヴァン・サボー 
STORY:ブダペストに住むある中年女性が料理を作って夫の帰りを待っている。しかし珍しく泥酔して帰ってきた夫は非常に荒れていて…。

 途中まで1カットで進行するのだが、終盤カットが変わるのが激しく拍子抜け。話もありきたりだし見るところなし。

5,「ジャン=リュック・ナンシーとの対話」 監督:クレール・ドゥニ 
STORY:列車の中で男女が会話している。国民と外国人について…。

 黙々と車内で会話が続く話。つーか寝たので採点不能

6,「啓示されし者」 監督:フォルカー・シュレンドルフ 
STORY:ごめん寝てた。

 引き続き寝ていたので採点不能。最後のカットが昆虫だったので思わず地球防衛しそうになった

7,「星に魅せられて」 監督:マイケル・ラドフォード ★★
STORY:宇宙探査から帰ってきたトーマス。地上では何十年も経っていたが、彼の老化はたった10分間だった。故郷を目指した彼の前に…。

 SFですよ。”時間の流れ”というテーマについて一番その残酷さについて切り込んでいて、この作品集の中では一番面白い。でも★2つ
 だって
安っぽいんだもん。加えて、SFマインドが圧倒的に足りてない

8,「時間の闇の中で」 監督:ジャン=リュック・ゴダール 
STORY:”最後の瞬間”をテーマに作られた10の作品。

 たった10分の作品だというのにさらにそれを10に区切りますか。映画ではなくコラージュ。


総括:巨匠揃いの作品集なのだが、全然この人たちの作品見てないんで持ち味出してるとかわかりまへんので感想書くの厳しいのです。
しかも途中寝たし。
「〜人生のメビウス」よりも圧倒的に退屈だった。
つーか2作品合わせて監督15人で150分なんだからまとめて上映しやがれ!




○「とある飛空士への追憶」 ★★★ (11.11.21/劇場)
STORY:海の中央に果てなく続く大瀑布がある世界。海で隔てられた二つの国、神聖レヴァーム皇国と帝政天ツ上は泥沼の戦争を繰り
広げていた。皇国の士気を削ぐため次期王妃・ファナの命が狙われ、皇国軍は彼女を皇都に脱出させる作戦を決行。それは偵察機単機
で敵の目をかいくぐり12,000kmを踏破する過酷な旅。そのパイロットに選出されたのは敵国・天ツ上との混血児のシャルルだった…。



原作が数年前にどかんと入荷してきた時はビリビリもインデックスも出ないの?とか思ったりもしたもんだ。(遠い目)で、未見

敵国との混血児として生まれたため蔑まれ虐げられ育ったエースパイロットの傭兵心を閉ざした次期プリンセス二人だけの
遠く離れた首都までの
遙かな空の旅

敵領土内を突破するので
当然敵とのドッグファイトあり若い男女が二人きりなので当然ラブロマンスあり、とまあ予想も期待も
裏切らない
造り。

出てくる飛行機はプロペラ機。それでドッグファイトなので否が応でも「スカイクロラ」を思い出さずにはいられない。ただし、オーバー
テクノロジーも入っており、飛行機の母艦は
巨大空中戦艦だし、水素電池オーバーブーストだとアクセントは付いている。

王妃と行きずりの男、ということで多分に「ローマの休日」なんかを意識しているのだろうけど、もう少しエピソードのボリュームがあって
もよかった
かなあ、と。二人が徐々に心を通わせていく、というのが急ぎすぎというか。
お嬢様が心を閉ざしてしまっているという設定は映画を観ただけではあんまりわからんかった。
でも中盤以降のほのかにラブ臭漂う島でのシーンとかこそばゆくてよい。空での初めての二人の共同作業も。


キャラデザが「エヴァ」のスタッフなので非常に貞本義行っぽい。個人的にはウェルカム。作画自体もなかなかのクオリティ。流石
マッドハウス


声優は、主人公・シャルルに神木隆之介。声変わりしてからは「サマーウォーズ」、「アリエッティ」に続いて主演3本目相変わらず
上手くない
けどなあ。
ヒロインはモデルの
竹富聖花。こっちはアニメ初挑戦ながらまずまずの演技
主人公の渋いライバルに
サンドイッチマンの滑舌が悪い方、富沢たけし。なんでだ。スタッフロールを見てのけぞった。
まあセリフが少ないこともあり、ボロは出なかった。


まずまずまとまっていてそこそこ面白いんだが、ハッピーエンディングとは言いづらい、かなりモヤッとした終わり方なのと、いろいろ
説明不足
なのが難。

大瀑布は綺麗だが、あれ一体何なのよ?とか、シャルルたちの住んでる街は飛び地で敵国内にあるとか、わかんねーわ。



○「TOKYO10+1」 ★★★ (02.8/劇場)
STORY:東京タワーがへし折れている近未来の東京。11人の犯罪者たちが一カ所に集められた。彼らをさらってきたのは秘密結社ブラック・
パピヨン。組織の首領・男爵が語る、「今から11時間以内に私の屋敷に辿り着けば、今までの悪事を全て清算してやろう」。かくして、11人は
3つのグループに分かれてゴールを目指す。しかし、刺客の手で、あるいは仲間割れで、その数は減っていくのだった。



まあ公式HPを見てもらえば簡単なのだが、まずは個性豊かな11人の犯罪者たちを軽く紹介。
 
・スネーク:主人公。かつて東京タワーがへし折れるほどの惨事となった”モスラ暴動”の首謀者と言われている。無口だが心優しい殺し
 屋
というすげえステレオタイプな主人公。(役者の演技は下手。)
 
・ココ:ヒロイン。男性専門の殺し屋。彼女のミニスカの中に許可なく手を入れた男で生きている者はいない。あだ名の由来はCOCO一番屋
 のカレーが大好きだから
、ではなく、シャネル好きだから。
 
・フェイク:ライバル。贋作画家。ルーブル美術館の絵画の半分はこの男の筆による贋作だという。ピロピロ笛を常にくわえているが、性格は
 ありがちにクールな悪党。ちなみに天才贋作家のくせに似顔絵は幼稚園児以下の下手っぷり
「北の国から」が好きなご様子。
 
・プリンス:中年オカマのスリ。特に書くことねえなあ。
 
・マイクロ:小学生にしてIQ250の天才ハッカー。黒縁眼鏡と何故か赤いランドセルがチャームポイント。つーか、このコがもうちょっとだけ
 かわいくて声変わりしてなかったら危険信号だったのだが。
 
・エース:イカサマギャンブラーにして手品師。トランプ投げて敵を倒したりする。なにかあるとタップダンスを踊る。つーか一言しゃべる前に
 まずタップダンスを踊ると思いねえ。なんか「ゲッツ!」とか言いそう。
 
・トール:磁石を使ったパチンコ店荒らし。のっぽ故にトール。日本人ではないらしく、かなりうさんくさい日本語を使う。「漂流街」のTEAH
 かと思った

 
・ビッグマック:食い逃げのプロ。その肥満体からは想像もつかない逃げ足の速さが武器。
 
・ジンギ:任侠映画かぶれ。任侠映画のラインナップが少ないとレンタル屋で暴れて前科者。って小者よのう。法に触れるので武器はドスでは
 なく木刀。って小者よのう。(役者の演技は耐えきれないほど下手。「VERSUS」の皆さんよりひでえ。)
 
・ジャスミン&ウーロン:中国より密入国してきた双子。性格はとてもよい。中国雑伎団仕込みのカンフーや投げナイフで闘うが、ショボイ。

本人の意志に反して集められた集団が制限時間内に殺し合いをさせられるという骨子からして、某「今日はみんなに殺し合いをしてもらい
まーす」作品
を思い出してしまうのだが、ゲームのルールを、ビデオで、かつやたらノリのいいおねいさんが説明してくれるという展開
(何故かスクール水着)
で、確信犯だと発覚。組織の黒幕(例によってハイテンションな篠井英介)も、「男爵(敵ボス)の深作欣二狂いが
高じて
こうなってしまった」とか言っちゃってるし、プログラムじゃねーや、ゲームの参加者のフェイクも「どこかで聞いたことがあるような…」なんて
言っちゃってるしつーか
お前(安藤政信)映画版に出てたじゃん!!!…とまあ、パロディということで。

というノリで、とにかく全編確信犯的にチープ。主人公スネークの頬の傷がどー見てもマジックで書いてる感じだったり(笑)。そもそも最初
にヘッポコメーカーKSSのロゴが出ることからしてすでに。
それでも、ストーリーの陳腐さは登場人物のハチャメチャさでわりとカヴァーできていて、それほどひどい出来にはなってない。

紅一点・ココ(加藤夏希)のバイクに乗ってのガンアクションなんかはかなり格好良かったし。
¥100レンタルの時にでもどうぞ。




○「東京家族」 ★★★★ (13.2.5/劇場)
STORY:瀬戸内の離島で暮らす元教員の平山周吉とその妻・とみこは東京で暮らす三人の子どもを訪ねる。長男・幸一は二人の子を設け、郊外に
一軒家を構え医院を経営し、長女の滋子は夫と美容院を営んでいたが、次男の昌次だけは夢を追い安定した職に就かずにいた。最初は両親を歓待
した子どもたちだったが、日々の忙しさの中、次第に厄介がり始める。居場所がなくなった周吉は旧友の元を、とみこは昌次のアパートを訪ねるが…。



日本が世界に誇って誇って誇りまくれる名作・小津安二郎の「東京物語」現代に置き換えてリメイク
やめとけ、と言いたくなるが、
山田洋次監督名優揃いだし、元がいいのであんまり酷いことにはならなかった
でも
なんで今更、だよなあ。小津生誕100周年の時にやればよかったじゃん外国の人に撮らせたりしないでさあ

とか言ってるが、「東京物語」をVHSで見たのもずいぶん昔で、細部までは覚えていなかったり
ただ、
なんでもない話なのにすごく面白いのに感服したことは覚えていて、後に27時間テレビだかでリメイクされたのを見て不覚にも号泣した
のも覚えている。八千草薫タンが日本のお母さんすぎて愛おしくて。

さて映画が始まってみると、やはりテンポが今の映画とは全く違う「僕達急行」ほどじゃないけど昭和の映画という感じ。
今が舞台となっているものの、
オリジナルでは戦死した次男が生存していることと、実家の次女が存在しないこと以外大筋は変更なし。でも
さして違和感なし。

戦争に替わるメタファーとして3.11が登場しているのだが、次男がそれで死んでたりはしないのね。

オリジナルでは血の繋がっていない次男の未亡人に思いが託されたわけだが、今回はそこまで悲しい断絶はなく、肉親にささやかながら思い
は受け継がれる
。より人間関係が希薄になった現代の方がオリジナルより希望があるというのが面白い。裏返しで現実には希望がないのかも
だけど。


ただ、ドラマ版でも思ったのだが、金あるんだからビジネスホテルにでも泊まれや
あと
ほとんどどのシーンでも背景で誰かしら動いている演出がちょっとウザいのと居酒屋であれくらいで気を悪くするなよ、というのは気になった。
でも
お隣のユキちゃんはいい子だなあ。



○「東京原発」 ★★★ (04.8.2/劇場)
STORY:カリスマ都知事・天馬は会議で都の財政を立て直すため都内に原子力発電所を建設することを宣言する。慌てる副知事や各局長
たち。経済効果やエネルギー効率、危険性や原子力発電そのものの是非まで、専門家を交えて喧々囂々の会議の果てに、一同は天馬の真の
狙いに気づく。しかしその頃、極秘裏に海外から運び込まれたMOX(核燃料)を満載したトラックがテロリストの少年にジャックされてしまう…。



この映画のことを知ったのは2年近く前のことだったと思う。店にメーカーからこれのカッターマットが送られてきたのだ。タイトルの響きとなかなか
の豪華キャストに興味を持った記憶がある。ところが待てど暮らせど上映の情報は流れてこず
まあいろいろあったようだが陽の目を見たのが’03年秋の東京ファンタで、さらに
ソフト化直前にようやく地方にて上映というわけで。
そんな間にオラが県の原発の故障で発電中止となり昨夏は電力不足となって、この映画の中で言われていた話が現実のものとなったり
あと作中のキャラたちのケータイの形態(笑え)が古くて時の流れを感じる。


原発に関する役立つ、興味深い知識がわかりやすくたくさん得られるのでその点では広くオススメできる。(直接原発とは関係ないが、関東
大震災の震源は相模湾沖で神奈川の方が被害が大きかったなんてのは知らなかった)


ただいかんせん物語やキャラが薄っぺらく映画としては並程度の出来。後半の展開もちょっとなあ。
「(核廃棄物なんか)いっそロケットで宇宙に飛ばしてしまえばいいんだ!」 「でも、打ち上げるのは
あの宇宙開発公団ですよ」 「(絶句)」
というギャグは結構受けた。


まあ原発が何基も建っている県の人間としてはぞっとしない話ですわ。
原発は危険だが電気は必需品だし背に腹は…というのがこの国の現状なわけで、一度惨劇が起きない限りずっとこのままなんだろうなあ。




○「東京攻略」 ★★★★ (01.3/劇場)
STORY:結婚式を高橋にすっぽかされたメイシーは失意のまま香港へ。そこで経費を取り立てに来たインテリアデザイナーのユンと知り合い、
二人は高橋を追って日本へ。渋谷の高橋の会社を訪れた二人は謎の集団に襲われるが、私立探偵のリンに助けられる。高橋は、女がらみで
ヤクザに追われていたのだ。高橋にだまされたと知り落ち込むメイシーを慰める男二人に迫るヤクザの影。果たして三人の運命は…?



ケリー・チャン、トニー・レオン、イーキン・チェン主演、全編東京ロケで送るラブコメアクション。日本からは、仲村トオル、阿部寛(当然
濃ゆい)
、遠藤久美子(かわいいのだが…日本語がトニー・レオン並にたどたどしいのはどーゆーことよ?)、柴咲コウらがちょい役で出演。

上京した際に、友人との待ち合わせまでの暇つぶしに見た映画なのだが、ケリー・チャンのファンとしてはまず満足。トニーもイーキンも格好いい
し。
あと、ご当地ものというか、知ってる場所を舞台にした作品に弱いので、ちょっちおまけ評価。東京名所巡り的なところが。しかし、何故か有楽町
東京国際フォーラムがヤクザの秘密サウナ(阿部ちゃんがたゆたっている)とかになっていて笑える。そこから逃げて次のカットになると
新宿にいる適当さ
も。
後半のアクションが冗長なのが大幅マイナスなのだが、
強いくせに楽しようと道具に頼るトニーのカンフーなんかは楽しい。



○「東京ゴッドファーザーズ」 ★★★★★ (03.11.24/劇場)
STORY:クリスマスの夜、東京の片隅。自称元競輪選手のギン、元ドラッグ・クイーンのハナ、家出中の女子高生ミユキの三人のホームレスは
ゴミ捨て場で生まれたての赤ん坊を見つける。そのかわいらしさにほだされた三人は、翌日から雪の東京の中を”清子”と名付けた彼女の親を、
わずかばかりの手がかりを元に捜しに出かけることに。それがとんでもない大冒険の始まりだとは、誰も知る由もなかった…。



「パーフェクト・ブルー」・「千年女優」の今敏監督の劇場長編アニメーション第3作目。
相変わらず、実写でやればいいじゃん的な話だが、後半の派手さは実写でやると予算がかさみそうだし、”大雪の東京”なんてロケーション
そうそう撮れないだろうし、妥当なのか。それに、人生に訪れた奇跡の物語だから、
そんなおとぎ話を描くには実写じゃない方が似合って
いる
のかも。

話はたいそう面白く、赤ん坊の親探しの道中次々と巻き込まれる騒動を通して判明していく三人の過去、そして巡り来るダメ人生精算のチャンス
を、スラプスティックかつ人情味豊かに描く、笑えてドキドキしてしんみりする中ダレなしの極上の90分間。オカマのハナちゃんが素晴らしいの
一言。「ろく〜でなし〜うぃっ!」


ギンちゃんの声を当てた江守徹は流石に上手い。(そういやあ「幻魔大戦」のベガ役なんてやってたっけ、この人)
岡本綾も最初はその太い声に引くが慣れてしまえば上々。とはいえ、わざわざ俳優を起用するのは嫌いだなあ。
脇は山寺宏一・飯塚昭三・石丸博也・屋良有作・大塚明夫といった超一流で固めているくせに、となるとなおさら。


あと、パンフこのサイズでこのボリュームでこのしょーもない内容で¥800はボッタクリだろう。



○「東京ゾンビ」 ★★★★ (05.12.29/劇場)
STORY:都内のひなびた消火器工場で働くミツオとフジオは歳は離れているものの兄弟のように仲が良く、毎日柔術の練習に余念がない。
不法投棄のゴミが山になった通称・黒富士からゾンビが出現、都内は大パニックに。ミツオもゾンビに噛まれゾンビ化してしまう。数年後、死の街
と化した東京で、フジオは金持ちの余興でゾンビと戦わせられるファイターとなっており、日々柔術でゾンビを狩りまくっていたが…。



「殺し屋1」世紀の怪作「極道恐怖大劇場 牛頭」の脚本家・佐藤佐吉監督デビュー作。しかも主演は爆発アフロヘアーの浅野忠信
ハゲヅラの哀川翔兄ィ!しかも暴走展開必至のゾンビもの!と三拍子揃ってしまっては観なければなるまいて。

原作はゆる〜いマンガを描く人の作品なので話はゆる〜く展開そのユルさが主演2人の鯱張らない演技とマッチしていていい感じ。まあ
思っていたより刺激が足りなかったとも言えてしまうのだが。(柔術の地味さとも相まって。)

それでも主演の2人を揃えただけでなく、あんな髪型にしてしまっただけでもう白旗ですわ
珍しく演技しているアサチュウいつもの翔兄ィの絆っつーか友情っつーかが微笑ましい。ヒロインと娘っていなくてもよくね?(笑)
脇を固める古田新太曽根パパの珍妙さも素敵。
そして何と言っても
楳図かずおの活躍っぷりがたまらねえ!

「カナリア」で熱演を見せたヒロインの子がゾンビ化するファッキン女子高生役で出ていてなにげにショック。



○「東京流れ者」 ★★★★ (01.10/劇場)(1966):大穴。単勝90倍。
STORY:哲也は”不死鳥の哲”の異名をもつ、義理を重んじる元ヤクザ。ヤクザ稼業から足を洗った倉田を慕い、その下で働いていたが、
ヤクザ大塚らとの抗争に巻き込まれ、流れ者として東京を立ち去ることになる。しかし、大塚は部下を差し向け、執拗に哲の命を狙う。庄内・
佐世保と続く流れ者生活の末に、倉田が我が身かわいさに自分を売ったことを知った哲は、ケリをつけるために再び東京へと向かう。



鈴木清順監督の’66年作品。
後に大正浪漫三部作にて満開となる、鮮烈な色の使い方が目に焼き付く。そして
延々流れる(わざとやっている)主題歌「東京流れ者」が耳
にこびりつく。


お約束な内容の、いわゆるプログラム・ピクチャーながら、ところどころ突き抜ける大バカな演出が光る。
大間抜けな落とし穴のトラップ(皆淡々としているのがまた爆笑)や、意味不明な隠し扉、安い造りを逆手にとってセットまでぶち壊す乱闘
シーン
に、最後の決戦と見所満載。

主演は若々しい渡哲也。



○「トゥモロー・ワールド」 ★★★ (06.11.22/劇場)
STORY:2017年、人類が妊娠しなくなり20年近くが過ぎ、世界は荒廃していた。倫敦で無気力に暮らすセオの前に、かつての妻・ジュリアンが
現れる。反政府活動家の彼女は、不法入国の少女・キーの通行証調達を依頼する。ジュリアンとよりを戻したいセオは協力するが、テロリストに
彼女を殺され、警察にも追われる身となってしまう。彼らの狙われる理由−キーのお腹には奇跡的に新しい生命が宿っていたのだった…。



暗く重い絶望に包まれた緩慢に死にゆく世界、そしてそこに差し込んだか細くか弱い一筋の希望の光の物語。
世界の絶望はあまりにも深く、希望の光はあまりにも細い。そりゃもう、
テリーマンの靴の紐よりも細い
何とも悲惨な近未来の姿なのであるが、子供が産まれないという設定は別として、
何ともありえそうなヴィジョンで何とも薄ら寒い気持ちに
なってしまう
。重い、重いよう…。orz

その世界に突如として現れた小さな奇跡を前に人々が戦争を中断するシーンが素晴らしい。しかもワンカットが長い長い。
そしてその後に
何事もなかったかのように戦争を再開する姿がまたいやはやなんともかんとも。業が深い。

ひたすらヘビーでえらくクラシックだが見応えのある入魂のSF
結局
設定に関する謎はまるで開示されないのだが、それはそれでいいか、と納得させてしまうメッセージの強さがある。
…まあ、設定大好きっ子なのでやはり不満ではあるのだけれど。


良作なのだが、まったくもって個人的なダークすぎてここには書けないような絶対的な不満点が一つあるので減点。業が深い。



○「Dolls」  (02.10/劇場)
STORY:恋人・松本に裏切られ捨てられたショックで精神に異常をきたした佐和子。松本は後悔しすべてを捨て彼女に献身的に尽くすが、
彼女が回復することはなかった。諦めつつも彼女を傍で見守る決意をした松本は、お互いを赤い紐で結び合い、当てもなくさまよう”つながり
乞食”となる。周囲の奇異の目に晒されながら、美しき日本の四季の中を彷徨し続ける二人は、数多の男女とすれ違っていく…。



主人公エロ魔人松本の父ちゃんがアイフルの犬のCMのパパ役の人でした。終わり。
つーわけで話自体は
「だから何?」もしくは「あ、そう」という程度のものでやれやれだぜだったのだが、外国受け狙いであろう日本の四季の
映像はさすがに綺麗。ところどころシュールな映像もあり、もう少し冴えれば(または狂えば)鈴木清順に近づけるのでは、と。それと菅野美穂を
見に行った
と思えばさほど腹も立たない…かも。
「富江」など実はアレ系な役が結構あったりする菅野さん、今回も見事にキチガイの役
ッス。


話には主人公たちの他に二組のカップルが現れる。死期を悟ったヤクザ(忘れられぬ人々)とそのかつての恋人、そして事故で美貌を失った
アイドル(深キョン)とその追っかけ。前者はシヴくて好印象なのだが、後者はちょっと変質気味というか見ていてちょっちイタイ。深キョンの曲
(しかもよりによって”マメミムマジカルビィィィム”)で
自室で踊り狂う中年間近な風貌のヲタ青年の姿には落涙を禁じえない。しかし、その
青年が愛しの深キョンに会うためにとった方法にはちと絶句。
あと目についたのは主人公の友人役の大森南朋かね。たいした役ではないのに、画面にいるとかもし出す微妙な存在感。SABU作品、
三池作品に続いて北野作品にも登板ということで、未来の大杉漣か田口トモロヲか。


食うにも困る乞食の癖に季節ごとに衣装が変わるのはどうよ?なんてヤボなツッコミはなしかね。



○「ドーン・オブ・ザ・デッド」 ★★★ (04.6.10/劇場)
STORY:ある朝、看護婦アナが気づくと、寝室に隣家の少女がいた。次の瞬間、夫が少女に喉笛を噛みちぎられ死に、そして、死んだはずの
夫は、起きあがるとアナに襲いかかってきた。何とか外に逃げ出したアナだが、そこは地獄だった。警官・ケネスに助けられたアナは、生き残りと
ショッピングモールに逃げ込む。外を取り巻く死人たち。奴らに噛まれたら最後、同族となってしまう。人々はただ立て籠もるしかなかった…。



ゾンビ映画の草分け「ゾンビ」のリメイク。だが、原典にあったテーマ性などは影を薄め、よりB級アクションホラーに仕上がっている。
そこに苦言を呈するレビュアーも多い。
だが、それがいい。B級大いに結構。バカアクション大いに結構。十二分楽しめました。
何といっても
全力疾走してくるゾンビが怖えー!!!「28日後…」のゾンビ疾走も怖くて泣けたが、こっちは更にいかにもゾンビなビジュアル
でより怖い。うわーん!


クライマックス、バスを強化改造しての一か八かの大脱出のアクションは見応え十分。群がるゾンビ!唸る銃弾!吹き飛ぶ頭部!爆発!
爆発!
吼えるチェーンソー!(大爆笑)

まあ、バカアクション故に登場人物もバカばかりで話がストレートなのは否めない。
大した見せ場もなく死んでいくボンクラの多いこと
チェーンソーおやぢとか(大爆笑)
そんな中、最初はボンクラ大王だったのがいつの間にか更生して、最後には
「ここはオレにまかせてお前らは先に行け!」と漢を見せたヒゲ
警備員・CJ
が輝く。
一人屋上に孤立するも、
芸能人そっくりさんゾンビ射殺大会に興じる銃火器屋のオヤジも。

最後の身も蓋もない救いのなさと、犬一匹助けるために仲間を危険にさらすくされビッチの脊髄反射行動いたくムカついたので減点。

主人公のサラ・ポーリーはいい女だの。



○「時をかける少女」 ★★★★ (06.8.12/劇場)
STORY:紺野真琴、活発だけどスーダラな高校2年生。放課後にクラスメイトの千昭と攻介とキャッチボールをするのが日課。ひたすらついて
いない7月13日の放課後、理科準備室での少し不思議な体験を経て、彼女は時間を駆け戻る「タイムリープ」能力を身につけてしまう。その
特別な力を満喫して楽しい日々を送る真琴だったが、友達と思っていた千昭から告白されて慌てて過去に戻ってからどうにもうまくいかず…。



「時かけ」である。
しかも過去何本も作成されたリメイクとは一線を画した、続編的作品である。
それを原田知世とも角川春樹とも関係なく(角川弟は関係あるけど)アニメでやっちまったりするのである。


つーわけで現代っ子のヒロインは偶然身につけてしまったタイムリープの能力を、”妹に食べられたプリンを先に食べる”、、”予習して抜き
打ちテストもバッチリ”、”球種もコースもわかるので10割バッター”、”制限時間ありなのにカラオケ歌い放題”
といった、こうして羅列して
も「それどうなのよ?」と思わずにはいられないことにばかり使う
のび犬イズムあふれるボンクラさん
タイムリープの発動条件と相まってその辺りのコミカルな描写には大爆笑。(まあこれはかわいいじょしこおせえがやるから許せるんだが。)
しかし安易に能力を使いすぎたせいでしがらみがじわじわと真綿のように首を絞めてきて…という因果応報っぷりものび犬だなあ。


今敏監督の作品のように「わざわざアニメにせんでも実写でできるじゃん?」というタイプの作品なのだが、そこはやはりアニメだからこその
躍動感や美しさ
が全編に満ち満ちていて
美術や絵コンテや演出の職人技に唸ってしまう。背景や小道具やモブキャラの動きや、細かい所
にも血が通っているのだよね。


ちょい黒めのユーモアきっちり伏線拾って泣かす所は泣かす、と細田監督の長所がバッチリ活かされた傑作。最後の土手のシーンの
青空と飛行機雲は「テジモン ぼくらのウォーゲーム」を思い出さずにはいられなかった



○「図書館戦争 革命のつばさ」 ★★★★ (12.8.6/劇場)
STORY:正化34年、メディア良化法という悪法の下、人権保護を建前に書物を検閲し、取り締まろうとする良化隊と、表現の自由の下にそれを
阻止しようとする図書防衛隊の武力抗争は続いていた。ある国際テロの手口が人気作家・当麻蔵人の小説と酷似していたとして、良化隊は当麻の
身柄を拘束せんと画策。それを許せば書物だけでなく作家への弾圧も始まる。それを阻止せんと図書隊も決起し、当麻の身柄を保護するが…。



有川浩の原作小説は未見。ちなみに未だに有川浩と荻原浩がごっちゃになる
’08年のTVアニメシリーズは全話リアルタイムで視聴
文化の極みたる本を巡って暴力の応酬をするなんぞ、なんてナンセンスだとか思いながら、しっかりちゃっかり全話見たのは、主人公が元気
な短髪娘だった
ことと、EDのBase Ball Bearの「Changes」が神曲だったのがデカい。

さて、アニメ化から4年も経っての映画化で、まあ地元でも掛かってるし、EDがまたベボベだし、せっかくだから観にいくか、くらいのノリ
劇場へ。

ところがぎっちょん!
あれ?すげえ面白いじゃん!いや、厳密には、すげえ主人公かわいいじゃん!クリティカルヒットじゃん!とズギュゥゥゥンと来てしまったことよ。
つーわけで背の低い王子様とラブラブコメコメして
赤面しまくり跳び蹴りもかまし唇も奪う短髪主人公に★5つ進呈したくなるくらいに堪能

観る前はスッカラカンに忘れていたのだが、いざ始まってみれば登場人物や事件のことをボロボロと思い出してすんなり没頭できて、オイラは
意外にこの作品を好きだったんだなあ、としみじみ


TVシリーズから4年経って、現実世界でも東京都青少年健全育成条例が健全でない方向に改悪されたり、なかなかに作品世界のように
おかしなことになりつつあったり
して。
口で言ってもわからない蛮族には、体で覚え込ませるぞ、てな展開もわからないでもなくなってしまって、なんともはや。
今作は原作の最終エピソードの映画化で、世の中少しはマシな方へ動いてハッピーエンドなわけだが、現実世界はどちらへ行くのやら
結局
外圧にたやすく屈してしまう辺りリアル
大阪が無法地帯なのもリアル

もう一つ、劇場に足を運ぶ要因だったのが、ゲストキャラの作家役にイッセー尾形を起用したこと。
なんつーか、
誰得?という気がしないでもないキャスティング(「テニプリ」の劇場版の西岡徳馬ゲスト出演を思い出した)だが、興味を引かれた
のは事実

で、どうだったかといえば、そこいらの素人タレントよりは流石に上手かったが、やっぱ浮いてたなー
EDを歌う
ベボベのボーカルもゲスト出演していたのに、そっちは全くアピールされず、ひでえ

これでEDがまたしても神曲だったら★5つだったのだが、それほど印象的でない普通の良曲だったのが残念。まあハードルが高すぎたんだ
けど。


いろいろご都合主義が目立った気がするが、主人公がかわいすぎて気にならなかったヨ!短髪元気娘好きなら見逃すな!



○「ドッグ・ソルジャー」 ★★ (03.9.18/劇場)
STORY:スコットランドの山奥で、ウェルズ軍曹率いる小隊が演習を行っていたが、次々と怪奇現象に襲われる。安全な場所へ逃れようとする
一行だったが、夕闇に紛れて襲い来る謎の生物の前に傷つき命を落としていく。偶然通りかかった動物学者・メーガンに助けられ、近辺の民家
に立て籠もった一行の前に現れたのは、伝説の生物・人狼の群れだった。果たして、夜明けまで彼らは生き延びることができるか…。



去年の東京ファンタでも上映されたイギリス産のモンスター・ホラー。(ツ○ヤだとパニック・アクションに分類しかねない。「バックドラフト」も
「アルマゲドン」も「ジョーズ」も「スピード」も「ツイスター」も「エアスコーピオン」もみんな同じ棚に並んでやがるからなあ)


敵は人狼、ワーウルフ。ちょっと頭デカイ気がするんだが、恐るべきタフネスで兵士どもを食い散らかすその強さはなかなかのもの
対するはボンクラ軍人7人。とはいえ頼りになりそうなベテランの軍曹は戦闘開始早々内臓がはみ出る重傷を負ってダウン、以後
犬に
はみ出た内臓を引っ張られたり
痛み止めのモルヒネでラリッたりお笑い担当に。
なので急遽指揮を執ることになった主人公(腕は立つ)と仲間たちが民家に立て籠もって怪物を迎撃するわけだが、皆キャラ立ちしてない上に
夜中の死闘なので誰が誰だかよくわからずあまり戦闘は盛り上がらない
。なので100分ちょいの映画なんだが体感時間は長め。もっと戦闘
とか切りつめられるよなあ。所々のブラックなノリは好き。




○「ドッペルゲンガー」 ★★★ (03.12.19/劇場)
STORY:医療機器の研究員で天才の呼び声高い早崎はスランプに陥っていた。そんな彼の前に分身・ドッペルゲンガー−見た者は死ぬと
言われている−が現れる。幻覚だと信じ込もうとする早崎につきまとうドッペルゲンガーは、早崎ができないことをやってやると告げる。早崎は
ドッペルゲンガーに汚れ役を任せ研究に没頭し、ノーベル賞ものの機械を完成させるが、些細な諍いからついに分身を殺してしまう…。



黒沢清監督作品。なのでよくわからない作品。オチというか、そこに至るまでも説明が少なく相変わらずよくわからない。いつものことだが

ドッペルゲンガーを見ると死ぬ、と言われているが、この作品のドッペルさんは抑圧された結果出現するのか、姿は服装まで含めて瓜二つだが
性格は正反対である。堕落した自分の理想の姿を見せられれば自殺したくもなるし、逆に自分ソックリだが性格はダメ人間なんて分身が出たら
殺したくなるだろうし、かくして二つに分かれたものは一つに戻る仕組みなのか。


黒沢清といえば「CURE」、「回路」といったホラーが有名で、この作品も序盤は結構怖い空気を持っている。
が、主人公・早崎が家に居座るドッペルゲンガーと口喧嘩をする辺りから
なんともとぼけたおかしさが滲み出てきて、最後までクスクス笑い
ながら見れるけったいなホラーコメディーとなっている。
特にドッペルゲンガーを殺してしまった後の珍道中は壊れていてよい。なんで東京近郊から新潟まで一日以上かかるんだよ(笑)

この暴走っぷりは、この映画が黒沢監督自身の現状の物語だから、というレビューをどこぞで読んで、納得してしまった。難解で陰鬱な作品
ばかり作っている監督の正反対の欲望を具現化するドッペルゲンガーなわけか。(まあ結局よくわからない作品なのだが)
あっさりざっくりな暴力描写淡々としていて最早笑えてしまうのだが反面その冷徹さにゾッとするいつものテイスト。


黒沢清作品といえば役所広司であるわけで、今回も主演なわけだが、その見事な演技力で話を盛り立てている。
脇を固めるユースケ・サンタマリアと永作博美も作品にしっくりと溶け込んでいる。




○「トテチータ・チキチータ」 ★★ (12.3.14/劇場)
STORY:借金で全てを失った木村一徳は零戦のおもちゃを買ったおもちゃ屋で不思議な少女と出会い、彼女の導きで震災の傷も癒えぬ福島
へとやってくる。一人暮らしの老婆を狙った詐欺に手を染めた一徳は南湖のほとりで少女・凛と再会する。凛は一徳が自分の息子の生まれ変わり
だといい、一緒にいた被災地から避難してきた高校生・健人を一徳が夫の生まれ変わりだと言う。彼らは誰かに呼ばれてこの地に集ったのだと…。



地震・津波、そして放射能と風評被害に苦しむ福島県で全編ロケされた、(福島県でのみ)噂の話題作

不思議な少女によって集められた夢破れた中年男震災で多くのものを失った高校生。彼らは前世(第二次大戦中)で家族だったという。
そして彼らが集まった理由、それは前世の家族の唯一の生き残りの老婆を看取るためだった。
なんて
デンパな女の子の話を信じているのか単にロリコンなのか何なのかわからんが、何故か行動を共にしてしまう男二人が何ともほのぼの
している
が、この辺もう少し説明が欲しい。
つーか
全体的に説明不足で唐突。半分自主製作映画な感じ。
奇妙な四人の家族ごっこの幕引きもちと唐突だし、音楽室の幽霊の話とかも中途半端に終わってしまっている。つーかあんな不気味なことを
したら転校初日からいじめの対象になってもおかしくないんじゃないん?


まあ何だか憎めないという豊川功補の特殊能力松原智恵子のベテラン力適度にイイハナシで収まっているが、それ以外のキャストの
オーラの無さ
はどうだろうか。
特に
物語の核となるようぢょがあんましかわいくないのは実にいただけない。

さて、「福島から届いた、これからの一歩を踏み出す希望の物語」だそうだが、これ、舞台が福島である必然性が全然なくね?
プロデューサーが福島県出身だからたまたま福島でロケする予定で、震災があったからそれをちょっとネタに絡めちゃえってだけ
じゃん。
宮城でも岩手でもなく福島で震災からの復興を謡う以上は、
放射能の問題に触れるべきなのだが、そこは全然
つーか物語の舞台の白河市はもとより、他のロケ地も
線量の低い場所ばかりなのがなあ。
出演陣も素人みたいなのばかりなのに一人以外全く福島県に縁もゆかりもないし。


県人でロケ地にそれなりに土地勘がある身としては、(ロケに協力してくれる病院が近場になかったんだろうけど)、県の南部、栃木県に隣接する
白河市で倒れたおばあちゃんが県の北部、宮城県に隣接する国見町の病院に運び込まれるシーン
で大爆笑してしまった。
あと、
福島空港からオーストラリアに行くのは果てしなく遠回りなので新幹線使って仙台や羽田に行った方が全然早いと思います。



「ドニー・ダーコ」 ★★ (03.2/ビデオ)
STORY:精神分裂症の高校生ドニー・ダーコは、ある晩フランクと名乗る銀色のウサギ人間に呼ばれ、あと28日で世界が終わると告げられる。
彼が家に帰ってみると、飛行機のエンジンが落下して彼の部屋は粉々になっていた。転校生の美少女・グレッチェンと恋仲になったドニーは、
世界の終わりから逃れるべくタイムトラベルに興味を持つ。そして、フランクに言われるままに破壊活動を続けるうちに運命の日がやって来た…。



オイラよりも2つも若い新鋭監督のデビュー作。ホラー、サスペンス、学園青春、バイオレンス、SF…なんともカテゴライズ困難な濃厚な作品。
告げられた世界の終わり不気味な銀色のウサギ(つーかそもそもウサギなの?)、全編に意味深に散りばめられた謎と答えの断片、それが
収縮するクライマックスそしてラストシーンと、ミステリ好きには美味しそうに思えるが、あまりに語られないことが多いままに迎える最後は、見る
人によって解釈がまるで変わってくるであろう閉じ方で、もどかしいことこの上なし。


ネットで調べてみたところ、かなり熱狂的なファンが多いようだが、それは謎多い展開に魅かれたのではなく、ちょっと気狂いくんな主人公の、
自分とそれを取り巻く世界に対する壊れかけた心理にシンクロしてしまって、あるいはそんな感じを思い出してしまって感じ入っているようで。
残念ながらオイラのガラスの10代の頃とはまるでオーバーラップせず、そうなるとただのキチガイの妄想ムービーになっちまうわけで。


つーか納得のいかないラストに関しては、実はDVDに未公開シーンが多数収録されていて、しかもそのシーンでかなりの謎が説明されてしまう、
すなわち劇場公開版は意図的に謎解きを放棄していたという事実が判明。




○「トニー滝谷」 ★★★★ (05.4.11/劇場)
STORY:歴とした日本人のトニー滝谷は、物を精密に写生する能力に長け、イラストレーターとなった。仕事で知り合った15も年下の小沼英子
に生まれて初めて恋をしたトニーは、彼がずっと孤独だったという事実に生まれて初めて気づいた。しゃにむに求婚し、愛を勝ち取ったトニー。
二人の結婚生活は満ち足りていた。が、英子には綺麗な服を見ると買わずにいられないという癖があり、それが悲劇を生むことに…。



生まれた時からずっと孤独だった故に、自分が孤独だと気づかなかった男。巡り会いにより孤独を知り孤独から解放された男。だがそれはいつ
戻ってくるかわからぬ孤独への恐怖の芽生えでもあった。そしてその日は訪れ、今やかつてのように孤独と共生できない男は自分の新たな
スタンスを見つけなければならず苦悶する…。


村上春樹の短編小説を市川準が映画化。
全編ナレーションが入るのである。人物の心情を、場の空気を、まんま原作の地の文を朗読してしまうのである
ただその
西島秀俊の語りが繊細に朴訥で、静謐な雰囲気と坂本教授のピアノと名優たちの押さえた演技にぴったりと馴染んでおり、えも
いわれぬ心地よい世界を生み出している
のである。
でもまあ
反則技だとは思うが。

主な登場人物は男女4人で、それを男女2人で演じている。
主人公のトニー滝谷&その父親
イッセー尾形。孤独で不器用で純粋な中年男を好演。でも大学生役はいくらなんでも(笑)
2人のヒロイン
宮沢りえ。特にトニーの妻・英子役が可憐。それだけでチケット代の元取った感じじゃ。

淡々とした物語は淡々とかつ唐突に終わってしまい、見終わった直後は、なんじゃそりゃ!と不愉快だったのだが、家に帰ってネットで
いろいろ感想見ていて
遅ればせながらその意味に気づいて赤面。ああ、そういうことなのか。鈍くてスマン。



○「トム・ヤム・クン!」 ★★★★ (06.4.25/劇場)
STORY:”チャトゥラバート”−それはタイ王国に古来より伝わる、王の象を育て、王と象を守り戦うムエタイ戦士たちの称号。その末裔の青年・
カームは父親と共に家族同様に育ててきた象・ポーヤイを国王に献上しようとするが、国際密輸組織の罠にはまりポーヤイとその子・コーン
を誘拐されてしまう。密輸組織を追ってシドニーに乗り込んだカーム。街を牛耳り警察をも影で操る組織に、カームの怒りの鉄拳が炸裂する!



「マッハ!!!!!!!!」のガチンコアクションで全世界のド肝を抜いたトニー・チャー(映画秘宝表記)の新作。
今回もアクションアクションまたアクションと
全編無茶しっ放しで熱い!相変わらず何人か撮影中に死んでんじゃねえのかという疑念が。

タイの寒村で延々ムエタイの修行と象の育成しかしてこなかった青年が大都会シドニーにやって来て、文化のギャップで巻き起こす珍騒動、
なんて息抜き展開はなく、ひたすら組織の刺客とのハードバトルの連続

MTBやバイクを駆る街のチンピラ集団との360°空間をフル活用した集団戦からアジト殴り込みの脅威の4分長回しアクション
カポエラ・剣術・巨大レスラーとの三連戦、とクライマックスまでにこれだけの死闘の軌跡。
そして本当の戦いはこれからだ!と言わんばかりに、身も心もボロボロに追い詰められて
底力が発動してしまった49人連続ボキボキ
関節地獄
巨大レスラー×3との残虐再起不能解体ショー上空のヘリコプターへの突貫膝蹴り最後までノンストップ・ファイティング
お疲れさまでした!


前作は見終わった後にその辺の人に無闇に肘打ちや膝蹴りをかましたくなる一本だったが、今回はそれに加えて関節技まで極めたくなる危険
な一本。


前作のウザッたさの大部分を担っていた副主人公のおっさんが今回はいい人の役だったのでウザッたさは激減
しかし相変わらずアクション以外の部分はヘッポコなので★1つ減点。
ラスボスのおばはんが「男でも女でもない」と罵倒されてたが、性転換なのか宦官なのかアンドロギュノスなのか本編ではまるで説明ないのはどう
なのよ。


パンフに「クイズ マジックアカデミーV」の「トム・ヤム・クン杯!」の広告が入っていたのにはワロタ。
見終わった直後にプレイして、主人公の名前を問われて答えられなかったのには凹んだが。



○「DRIVE」 ★★★ (02.9/劇場)
STORY:真面目で几帳面な朝倉は毎日午後1時、営業車の中で、信号待ちの名も知らぬ可憐なOLの姿を見るのがささやかな幸せ。ところが
ある日、その最中に車中に金を仲間に奪われた銀行強盗の3人の男が乱入。逃げる黒い車を追えと包丁で脅す。しかし法律違反など考えられ
ない律儀な朝倉は法定速度を守って超安全運転。黒い車は瞬く間に視界から消えてしまい、後には途方に暮れる4人の男たちが残された…。



SABU監督最新作。法定速度を守る男が主人公ということからわかる通り、相変わらず初期作品のあの疾走感は失われたままのまったりと
した作品。今までの、何人もの登場人物のいくつものストーリーがだんだん絡み合っていく語り口とは逆に、登場人物たちがどんどん途中下車
していき話がシンプルになっていくというのが特徴か。
近作に見られる説教臭さは健在だが、今回はそれが前半部で出て、クライマックスで語られたりしないので、あまり鼻につかずに見れる。
とはいえ、一部を除いて登場人物があまり魅力的でないので珍しくハッピーエンドでも見ていてあまり楽しくなかったり。


出演は、堤真一・大杉漣・田口トモロヲ・寺島進(珍しく今回はおいしい役)・麿赤児といった不動の面々に加えて、安藤政信・松雪泰子らの
「MONDAY」からのリピーター、筧利夫・柴崎コウ・松尾スズキらの新顔と多彩な顔ぶれ。でも常連組の堀部圭亮たちの扱いがあまりにも
ぞんざい。

柴崎コウがあまりにもキュートだったので★1つサービス。



○「ドラえもん のび太の恐竜2006」 ★★★ (07.3.10/TV)
STORY:のび太が偶然掘り当てた恐竜の卵からフタバスズキリュウが生まれた。彼をピー助と名付け愛情を込めて育てるのび太。しかしどん
どん成長するピー助を隠しきれず、やむなく白亜紀の海に帰すことに。が、座標がずれてピー助が孤立してしまい、のび太は仲間たちと再び
白亜紀に救助へ。しかしピー助を狙う時間犯罪者・恐竜ハンターに襲われタイムマシンが故障。一行は元の世界へ戻れなくなってしまう…。



2005年、長年続いたアニメ「ドラえもん」はキャスト総入れ替えでリニューアルされたその記念すべき第1回映画は、元々の劇場版
第1作である「のび太の恐竜」のリメイク
であった。
という段階で
その志の低さに萎えまくりであるせっかくの再スタートなんだから、気合い入れて完全新作作れよ。いきなりうち捨てたはず
の過去の栄光に縋るなよ。


つーわけで、元の「のび太の恐竜」をリアルタイムに劇場で観ている身としては、「面白かったら、それは元がいいから当然。つまらん
かったら今のスタッフのせい!」
という偏見
でもって観てしまったわけなのだが。

元の作品から20年以上も経ち、技術レベルは相当に進歩しているのだが、作画が…ショボくね?
劇場作品とは思えない普段着な作画でいたく拍子抜け。さりとて原作の絵を忠実に再現しているというわけではなく、つーか動きとかポーズとか
微妙にリアルなところがあり、
何だか気持ち悪い。恐竜ハンター船越も無駄にリアルで気色悪い。
調べたら作監はジブラーなのか。なるほど。「千年女優」や「東京ゴッドファーザーズ」の作監だったと知って吃驚なのだが、それらの世界観
では違和感ない作画術を「ドラえもん」でやりゃ、それはなあ…。


つーわけでいきなり作画でつまづいたためにずっと斜に構えて観てしまったのだが、それでもジャイアンの漢気でホロリラストの別れの
シーンでうりゅうりゅうりゅ〜
となってしまったりで、終わってみれば満足してしまったり
でもタケコプターとどこでもドアが駄目でもぜってぇ何かインチキくせえ道具持ってるはずだよなあ。


新声優陣は文句なしで拍手。ピー助の声は下手くそだなあと思ったら神木隆之介きゅんでショック〜!

個人的に元の作品で忘れられないのは秘密道具・キャンピングカプセルで、すげえ泊まりたくて泊まりたくて仕方がなかった。
当時の我が家にはシャワーもベッドもなかったからなあ。
今見ると
只の狭いビジネスホテルじゃんとか思えてしまって悲しい。

いつの間にか、子どもの頃はあんなに大好きだった「ドラえもん」を見るのが嫌になったのは、劇場版でののび太やジャイアンの感動的な成長が
TV版には引き継がれないという無限地獄に絶望したからなのだろうか。




○「ドラゴン・キングダム」 ★★★★ (08.8.8/劇場)
STORY:カンフーおたくのヘタレ青年・ジェイソンは謎の棒の力で古代中国に飛ばされてしまう。手にした棒は悪のジェイド将軍に封印された
孫悟空を唯一復活させることができる如意棒で、それ故に彼は帝国軍に追われる羽目に。その窮地を救ったのは酔いどれ仙人ルー・ヤン
だった。少女戦士ゴールデン・スパロウと謎の僧侶サイレント・モンクも仲間に加わり、ジェイソンは修行をしながら帝国の中枢へ向かうことに…。



二大カンフーマスター、ジャッキー・チェンとジェット・リーの夢の初共演!
もうそれだけでお腹一杯
ではないですか。
まあ、同時に、
もっと二人とも若くてアクションがキレキレだった頃に実現していればなあ、と思わざるを得ないのだけれども。
加えて、本国ではなく異境の地ハリウッドでの映画化(主役はアメリカ人で全員セリフは英語)というのもなあ。


いやしかしだがそれでも、やはり二大巨頭が時に拳を交え時に共闘する(しかもアクション監督はユエン・ウーピン)その姿には魂が
震える
のである。
話も小難しくなく王道の娯楽作で、今時のヘタレ青年を、年を重ねた二人が師匠となりしごき導くというのもなかなかにはまっている。


肝心要の孫悟空があんまり魅力的でなかったり(封印されたのも自業自得な感あり)、ラスボスの噛ませ犬臭が酷かったり敵の美人な
おねいさんの最期が無下だったり
、些細なツッコミは入れたくなるものの大筋として無問題


オチも予想通りなれど、すっきり気持ちいい終わり方で、肩が凝らず楽しめる一本。

ジャッキー・ジェットとも一人二役やっているのだが、ジェットの方は気づいたけれど、ジャッキーの方は気づかなんだ

パンフレットにそれぞれの吹替役である石丸博也と池田秀一の対談が載っていたのが嬉しかった。これでDVD版でジェット・リーの声だけ
別人だったら泣ける。




○「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝」 ★★★ (13.3.14/劇場)
STORY:中国、明の時代、西太后と宦官たちの横暴により国は荒れていた。皇帝の子を身籠もった官女・スーは国の悪名高き諜報機関・西厥に
追われるが、旅の女武芸者・リンに救われ、西方・砂漠の宿の龍門へとたどり着く。それを追う西厥の長・ユーと、その彼を付け狙う反乱軍のジャオ、
60年に一度、砂漠に姿を現す幻の都に眠る財宝を狙う盗賊団…。複雑に絡み合った運命の糸が龍門に収束し、激闘の幕が切って落とされる…。



主演・ジェット・リー&監督・ツイ・ハーク「ワンチャイ」タッグが14年ぶりに復活!3Dの最新技術を駆使して送る最先端の武侠アクション
………まあでも、
ツイ・ハークは基本ボンクラ監督なんだよなあ

砂漠の外れに建つ宿屋で呉越同舟殺し合いって、「ドラゴンイン」なんて映画が昔あったなー、と思ったら、調べたら話が繋がっていた
ギョギョッ。でも
最後の料理人の包丁捌きしか覚えてないんだけどなあ。

閑話休題。
今作のウリは
3Dは前提とした画作りで、まあいろいろ見せ方を工夫しているのだが、それ故にアクションもCGに頼り切りで、ジェット・リーを
起用しているのに、
生の迫力に欠けて今ひとつ
綿密な物語などはツイ・ハークに求められるはずもなく。
そんなにつまらないわけではないのだけれど、
小手先のテクニックに頼って、魂の迸りを感じられないというか。

龍門で敵味方入り乱れて騙し討ちの果ての壮絶な殲滅戦が繰り広げられるも、主人公と仇敵の闘いはそこで決着がつかず「竜巻の中で
闘おう」
思わず耳を疑うセリフを残して吹き荒れる巨大竜巻の中でグルグル吹き飛ばされながら空中戦を演じるところまでは実にアホで
よかった
。まさに「すげぇ、落ちながら戦ってる」である。
が、
そこからがgdgdでテンション落ちる。今までのあってなきが如きストーリーをうっちゃる裏切りも興ざめ。

意外に女剣客成分多めなのだが、かわいくないのはどういうことだ。韃靼のねーちゃんはよかったけど。

冒頭の悪の中間管理職肥え太って闘いなどできそうもないような見てくれに反して、いきなりジェット・リーと派手にカンフーかますのには
驚いたが、公式サイト見たら、
リュー・チャーフィーだったのね。



○「ドラゴンヘッド」  (03.9.16/劇場)
STORY:修学旅行を終えて東京へ戻る途中、トンネルの中で新幹線が事故を起こした。運良く生き残ったのはテルとアコとノブオの3人だけ。
地震と思われる災害で閉鎖されたトンネルの中、次第に闇に魅入られ狂っていくノブオから逃げ出した二人が外で目にしたのは、壊滅した荒野
一面に降り注ぐ白い火山灰だった。原因不明の災害で狂ってしまった人々から逃れながら二人は家族のいるはずの東京を目指すが…。



正直、どちらかというと、「ほら、やっぱりダメじゃん!」と指差して失笑するために見に行ったという要素が強い、まさに外道なオイラなわけ
なのだが、…
予想通りダメダメだった
まあ、「ドラゴンヘッド実写映画化、ただし監督・飯田譲治、ヒロインSAYAKA!」「クビシメロマンチスト」の葵井巫女子ちゃんなら
失望したときの例えに使いかねない話
で期待はしようがなかったのだが、以前見た予告編での廃墟の映像がなかなか凄かったので一縷の
望みをもってみたのだが…(苦笑)


まずキャストで詰んでしまっているもん。妻夫木聡にこういう非常事態の話の主人公は無理だってば。彼は「ウオーターボーイズ」みたいな
日常青春ものののほほんとしたキャラが適正なのに。
原作のヒロインは美少女だったのだが、演じるSAYAKAはたいしてそうは思えずに減点。演技はそんなにひどくなく、もちろん上手くもなくと
いう、いろいろな観点から減点されるパターン。
その他、山田孝之も藤木直人も似合わない役柄で失格。ただ一人
嶋田久作が孤軍奮闘で恐ろしい演技を披露…(笑)

話もダメダメ。水もなく足を怪我している上に火山灰の降る異常気象だというのに、「それから数日間僕たちは歩き続けた」できるかい

ただ、ウズベキスタンを壊滅させてロケした震災後の廃墟のビジュアルはよかった。ノブオのコスプレや龍頭は悪い意味でマンガ的で失笑。
最後の大カタストロフィはなかなか見物で、その中で、原作ほど寝言をほざかずに、絶望的状況の中「どんなことがあっても生き残ってやる!」
と主人公が叫んで終わるエンディングは原作よりはマシなので1点プラスかと思ったのだが、最後の最後のモノローグがグダグダでぶち
壊しだったのでむしろ2点減点


SAYAKAの太股はいっぱい見れるのでそんなん見たいヤツだけ見ろ



○「DRAGONBALL EVOLUTION」  (09.3.31/劇場)
STORY:遠い昔、配下の大猿と共に世界を蹂躙したピッコロ大魔王が復活した。彼の狙いは7つ集めればどんな願いでも1つだけ叶うという
ドラゴンボール。その1つを護るが故にピッコロに殺された祖父の敵を討つため、高校生の悟空はドラゴンボールを探すブルマと一緒に旅に
出る。祖父の師匠だった亀仙人と出会った悟空は修行に励みつつドラゴンボールを集める。しかし集めたボールはピッコロの部下に奪われ…。



製作発表の段階で「やめとけ」ムード満点で、進捗が公表される度に失笑と嘆息が巻き起こり、挙げ句原作者の鳥山明は突き放した
コメントを発表
アメリカでは酷評を恐れて試写会を取りやめたため話題にすらならず大コケしたという観る前から問答無用に’09年
度最低映画大賞のぶっちぎりの最有力候補作


これで蓋を開けてみれば原作を大胆にアレンジした斬新でパワフルな摩訶不思議アドベンチャーに仕上がっていたり………するわけもなく、
ただただ原作の名を汚す茶番劇で、かと言ってバカ映画として光り輝くようなおかしなエナジーもない、純粋なる駄作でございました。
どこが間違っているか、というか、
間違ってないところを探す方が骨が折れる

悟空がいじめられっ子の高校生だとかエロパワーでかめはめ波修得だとか
大猿がピッコロの配下だとかピラフの部下の女(マイ)がピッコロの腹心だとかピッコロが部下を生み出す時すげえつらそうだとか亀仙人のエロ
度が控えめすぎるだとかつーか
チョウ・ユンファおめえ「RED CLIFF」蹴ってこんなのに出て楽しいんかだとか「マフーバー!」って
なんだかドラクエの呪文みたい
だとかヤムチャが韓国人だとかヤムチャが誰も通らないような砂漠に落とし穴掘って暮らしているだとか女同士
の一騎打ちで
ヤムチャが後ろから不意打ちして射殺だとかかめはめ波を前に出しつつ猛スピードで前方突撃ってどうやってんだよ
とかなんで関めぐみ出てんのよだとか、そりゃもうツッコミどころは満載なのだが、
全編に漂うやっつけ感でゲンナリして騒ぐ気にもなれない。

上映時間がわずか90分というのがせめてもの救いなのだがそれでも冗長に感じてしまうのがある意味すげえ。
つーか原作の最初からピッコロとの戦いまでをその時間で描こうという発想の段階で間違いすぎている。


こんなもん作ったプロデューサーどもはヤムチャに後ろから撃たれてしまえばいい



○「ドラッグストア・ガール」 ★★★ (04.2.20/劇場)
STORY:都内の大学生でラクロス部の大林恵子は彼に浮気され家を飛び出し、郊外の小さな町・摩狭尾に流れ着く。そこで、成り行きで新規
開店するドラッグストアでバイトすることに。一方、駅前商店街のスーダラ不良中年店主たちは大型ドラッグストアの出店に怒り心頭。嫌がらせに
乗り込むが店で恵子に出会い全員一目惚れしてしまう。恵子とお近づきになろうと、ルールも知らないままにラクロスを始める彼らだったが…。



主演・田中麗奈で送るハートウォーミング・コメディ
つーか
田中麗奈ファンにのみオススメする田中麗奈ファンならむじんくんで借金してでも見とけ。田中麗奈ファン限定なら★5つ。

別な言い方をすると、田中麗奈ファン以外には特にオススメしかねる、田中麗奈を愛でるための作品
オイラは田中麗奈が好きなので楽しんで見れたが、それでも50がらみの商店街のオヤジたちを軒並み骨抜きにしてしまうほど魅力的な
主人公
という設定には疑問を抱いてしまうし、そんなメロメロのオヤジどもは
ぶっちゃけキモい。さらに酒も扱えば焼きたてパンも扱い、かつ
安い!という大資本のドラッグストアと廃業の危機にさらされた個人経営の駅前商店街の店々との対立という物語上避けては通れないはず
の問題をあっさりスルーしてしまうのもちょっとお気楽すぎる。あとラクロスをプッシュするつもりの作品と思われるが、まるでラクロスをやって
みたいという気にさせない
のもなあ。脚本はクドカン。


………でもラクロスのキューティなコスに身を包んだ田中麗奈とか眼鏡の田中麗奈とかスラリとした脚がまぶしいショートパンツの田中
麗奈
とかが見れるので
許す!!!

ちなみにクライマックスのラクロスの試合は微妙に「少林サッカー」風味。ここで開き直って弾けてくれればもっと高評価だったかも。

ヒロインに一目惚れする商店街の不良オヤジ軍団に江本”カニ男”明・伊武雅刀・三宅裕治・六平直正・徳井優。徳井優は儲け役六平直正
は同日封切りだった
「嗤う伊右衛門」とシンクロするようにフンドシ姿を披露。なんかフンドシ推進キャンペーンでもしてるのか?

その他、珍しく壊れ役でない普通の役で荒川良々「シベ超3」あたりから着々と転落人生を歩む三田佳子、篠井”ミラクル三井”英介と
山咲トオルのオカマコンビなど強烈な脇役が多い。




○「トランスフォーマー」 ★★★ (07.8.21/劇場)
STORY:宇宙を股に掛けた超ロボット生命体の戦い。正義の軍団・オートボットと悪の軍団・ディセプティコンとの争いは、未知なる力・オール
スパークスを求めて地球へと舞台を移す。オールスパークスの所在の鍵をそうとは知らず握っているのは平凡な16歳の少年・サムだった。
アメリカ国防省からデータをハッキングしたディセプティコンはサムを襲撃。怯えるサムの前で彼の愛車が突如ロボットへと姿を変える…。



Transformers More than meets the eye Transformers Robots in Disguise
Transformers


Autobots wage their Battle To destroy the evil forces Of the Decepticons


何を隠そう「戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマー」が大好きである。(一番好きなのは「2010」なのだが。)
どこが好きかというと、
頭の悪いところが大好きなのである。時は’85年、「Zガンダム」などカタルシスに欠けるリアルロボット全盛期に突如
海の向こうからやって来た
アバウト極まりない(従来のスーパーロボットもののフォーマットもてんで無視した)スーパーロボットアニメ
それはもう魅了されたのである。


それからどれくらい経ったのだろう沈む夕日を幾つ数えたのだろうな2005年(ユニクロン戦争の年だ!)くらいにハリウッド実写版という話が
流れてきた時にはんなアホな、と思ったのだが、黒幕がスピルバーグだと聞いて少しは期待を抱いたのだった。


で、ようやっと感想本編になるわけだが、公開前に少しずつ明らかになっていったトランスフォーマーのデザインが格好良すぎる段階で、
期待よりも失望の方が高まっていった奇特な人種はオイラだけ?もっとアバウトで子供だましなデザインでよかったんだけどなあ。


つーわけで案の定、原作に対して敬意がどうにも感じられない作品に仕上がっていてその点ではいただけない
まあ
監督がアホのマイケル・ベイだから仕方がない。スピルバーグが歯止めを掛けてくれるかと思ったら原作に大して思い入れないようだし。

その点を除けばアホのマイケル・ベイらしい無駄にド派手で頭の悪いスペクタクル映画なのでそこそこ満足。
地球の危機だというのにまるで緊迫感のないイタいコントを繰り広げる主人公一家ドリフっぽく庭に侵入するオートボットとか、ジョン・
タトゥーロの存在自体
とか、
よい頭の悪さだ。オレ、グリムロック。
市街地で一般市民巻き込んでの戦闘シーンも格好いい。スタースクリームのドッグファイトがマクロスっぽくて素敵


んで日本語版スタッフも愛がないのでコンボイはオプティマスプライムだし(なのに吹替版に玄田哲章を使う辺りが神経を逆撫でる。)バンブル
はバンブルビーだしサイバトロンはオートボットだしマイスターはジャズだしデストロ(ry
と怒る方が少数派なんだろうけどねえ。


金掛かってるんで映像力はものすごいが、原作ファンには愛が足りず原作知らない人には設定が甘く、子どもが見るには戦闘高速すぎてよく
わからず大人が見るには子供だましな脚本という半端な作品。




○「トランスフォーマー/リベンジ」 ★★★ (09.6.24/劇場)
STORY:キューブを巡るトランスフォーマーの戦いから2年。晴れて大学に進学したサムは普通の大学生活を送りたいと願っていたが、体に
刻まれてしまったキューブのデータをディセプティコンに狙われてしまう。その救援に駆けつけたオプティマスプライムだが、ディセプティコンの
真のリーダー・フォールンの手で蘇ったメガトロンに破壊されてしまう。責任を感じたサムは恋人・ミカエラらと世界を救うため立ち上がるが…。



スピルバーグアホのマイケル・ベイが送る、ものすごいのはわかるんだけど何やってるんだかよくわからない映画の続編
欠点は引き継いでいて、相変わらずすごい技術でトランスフォームするんだけど
複雑すぎてよくわからなかったり派手にドンパチするのだ
けれど
敵なのか味方なのかゴチャゴチャしてよくわからなかったりギャグが品性下劣な小学生並のレベルだったりと問題山積み
なの
だが、世界観の説明が多々必要だった前作と比べてそこがない分アクションシーンは多めになっていてそこは評価できる。


とはいえ、相変わらず原作とは似ても似つかぬメカデザインリスペクトの欠片もないポッと出の真の黒幕の参戦など不満も多い
コンボイ(敢えてこの名で呼ぶ)が人間状の口で喋るその格好悪さには血管が切れそうになった
派手に戦闘する割には印象に残るシーンがほとんどなく
ただやたらに爆発しているだけな気がするのだが、それでもコンボイ司令官
(敢えてこの名で呼ぶ)の戦闘シーンは確かに格好いい

特にクライマックスで散り逝く老兵から未来への希望を託され
背中に翼とジェットエンジンを装備して飛び立つコンボイ(敢えてry 
の勇姿は実にカッチョエエ!
このシーンだけで2時間半の無意味な爆発と低俗ギャグの連発に耐えた甲斐はあったというもの。
飛び立った先での極悪な強さも鮮烈。メガトロンとざ・ふぉ〜るん(誰だよ)2大ボスを全く寄せ付けずに
嬲り殺しざ・ふぉ〜るん(誰だ
よ)に至っては
「お前の顔の皮を剥いでやろうか」なんて虐殺されるしインチキボスらしい惨めな最期だな。

まあ前作が好きだった人には楽しめるだろうし、前作で愛想を尽かした人は観なくても問題ないという出来。
次はロディマスとか出るかな?




○「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」 ★★ (11.8.18/劇場)
STORY:’69年、アポロ11号は月面到達時に秘密裏にトランスフォーマーの宇宙船の残骸と接触していた。偶然にもその情報を知ったサムは
三度ディセプティコンの襲撃を受ける。それを退けたオプティマスプライムは宇宙船の中で眠りに就いていた先代の司令官・センチネルプライムを
蘇生させる。しかし、全てはメガトロンの仕掛けた罠だった。センチネルプライムは母星を蘇らせるためにメガトロンと手を組みシカゴを制圧する…。



トランスフォーマー三部作の完結編。一応。まあヒットしたら続編作るんだろうけど。
監督は
アホのマイケル・ベイが続投。なので欠点はそのまま

だーかーらー前半のドラマパートが意味もなく長いんだっつーの。
でも
二度も地球のピンチを救ったのに主人公・サムが無職で職探し中というむごい設定には笑った。
いつものジョン・タトゥーロ
下品な中国人(「ハングオーバー!」のアイツ)あんた何してんすかなジョン・マルコヴィッチには呆れたが。
新ヒロインのカーリー(その中途半端なオマージュがうぜえ)はエロい服装が多かったが、黒木メイサ似の顔は好みじゃない。ミーガン・フォックスが
良かったなあ。


お待ちかねの後半の戦闘パートも確かに相変わらずすげえんだが、流れが悪くダメダメ
我らがコンボイ司令官が網に絡まったまま放置プレイってどうなのよ?
メガトロンのことだから、センチネル・プライムをいいように利用してから始末する気でいたのかと思ったら
何も考えてなかった、って、いくらなんでも
底が浅すぎる
わ。

デストロンの幹部連中があらかた死んじまったが、どうせ続編作るんでしょ?



○「トランスフォーマー・ザ・ムービー」 ★★★★★ (VIDEO)
STORY:2005年、正義のサイバトロンと悪のデストロンに別れた超ロボット生命体の戦いは佳境に。司令官同士の一騎打ちに勝利した
サイバトロンのコンボイだが、深手を負い、歴代司令官の英知の証・マトリクスをウルトラマグナスに託し逝く。一方デストロンの司令官・メガトロン
も重傷を負い宇宙に捨てられるが、惑星型トランスフォーマー・ユニクロンの力でガルバトロンとして再生、マトリクスを奪うため地球を襲う…。



TVシリーズ「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010」を結ぶ豪華劇場版

なのだが、日本では諸事情により劇場公開がされなかったため、「2010」のTV放送が始まってみると、両軍司令官は交代している
しかも片方が溶岩の中に落っこってるわ
登場トランスフォーマーの顔ぶれは一新されて見知らぬ連中ばかりだわ前作ではまだ少年
だった地球人のスパイクは子持ちになってるわセイバートロン星の周りを巨大なロボの頭が回っているわと
視聴者を混乱の坩堝に叩き
込む
こととなった

特に
サイバトロンの司令官・コンボイについては、TVCMで死亡が予告されていて、コンボイが大好きなリアル厨房だったオイラとしては
そりゃもうショックだったのだが、「2010」を見てみれば
どうして死んだのか一言も説明がなくなんで新司令官が声がジャッキー・チェン
なおっさんくさい顔でヘタレな超ロボット生命体になっているのか
と疑問で疑問で夜も眠れなかった

そんな時代もあったねと今は笑って話せるわ。


日本版のビデオ・LDが発売され、謎が解明されるのはそれから数年先のことであった。

さてその本編、流石に劇場版だけあって(グダグダなTV版と違って)作画の出来が素晴らしい。つーか製作は日本側だし。
’80年代ロック全開のノリノリBGMもカッチョエエ。(おっさんだからな。)


物語の出だしはハードで、デストロンの奇襲で次々と屠られていくサイバトロン戦士たちの姿に絶句
アメリカのTVアニメの暴力描写制限のため、TV版では真っ正面からビームの撃ち合いしてビシビシ被弾しても何ともなかったのが、映画版
では撃たれると
断末魔の絶叫と共に煙を噴き上げて死ぬ!死ぬ!死ぬ!
そして、その地獄絵図の中颯爽と現れる我らがコンボイ司令官の勇姿がまたカッチョエエのなんの!

このペースで書いていくと終わりそうにないので省くが、以降もテンション激熱な見所は満載。中でも史上最大のスケールである惑星型
トランスフォーマー・ユニクロン
(声は「市民ケーン」のオーソン・ウェルズ。しかも遺作。)の変形シーンや惑星ジャンキオンでのスプラングと
レッグガーのハイスピードバトル
ジャンキオンとのあっけねえ和解とウルトラマグナスのあっけねえ復活なんかは印象深い。
そしてロディマスとガルバトロンの最終決戦で、解放されるマトリクスの光と共に流れる
「THE TOUCH」の鳥肌ものの格好良さ!
(この曲はTVシリーズ「2010」のラストでも使用されていて矢張り鳥肌もの!)
ストーリーも相変わらずアバウトなものの二転三転して飽きさせず、否応なくラストまで突き進む勢いはあり
、いい仕事だと思う。
まあ好きなんで贔屓目入っちゃってるから当てにならんかもだ。


TVシリーズありきの作品なので単品だけ見ると厳しいのかもしれないが、実写映画版よりもロボットものの娯楽作品としては楽しめるのでは、
と。友情も努力も勝利も家族愛も成長も勇気も男の尊厳も栄華盛衰もきっちり詰まっております

人間ドラマなんてそんなに出さなくていいから、こーゆーの見たかったんだよ、スピルバーグさんよぉ



○「トリック 劇場版」 ★★★★ (02.12/劇場)
STORY:売れない手品師・山田奈緒子(貧乳)は報酬に釣られて、300年に一度大災厄が起こるという伝承のある糸節村で神様を演じることに
なる。しかし村には他にも神を名乗る男たちが3人も現れており、奈緒子は彼らの超能力が本物かトリックか、命を懸けて対決するはめになって
しまう。さらに喧嘩別れした相方の日本科技大教授・どんと来い上田次郎(巨根)も現れ、合流した二人は村に財宝が隠されてることに気づく。



劇場版だからといって気取らない、TV版の延長のような話。すなわちTV版のスットコドッコイなキャラのからみ大バカな展開小ネタの
乱射
が好きな人ならば満足するだろうし、逆にまっとうな推理映画だと思って見に行ったらガッカリではすまないであろう出来。


相変わらずかわいい奈緒子相変わらずスーダラな上田(でもだんだん頼りがいが増してきてるよな。)、相変わらずヅラネタで引っ張る
矢部、今回おいしすぎる役どころの里美と、相変わらず最高のレギュラー陣に加え、竹中直人(小林幸子風衣装)・ベンガル・石橋蓮司
狂った表情が娘。の矢口と酷似)の自称神様たちや伊武雅刀(「苺」で大爆笑)・山下真司・芳本美代子らの愉快な村人たちら豪華ゲスト陣も
いい仕事をしている。


堤作品はそもそもブラックだし、TV版でもいろいろ救われないことがあったが、今回の、殺されるべきではない人たちが無駄な血を流させられる
展開はちょっとなあ。そもそもあのババァが一人で惨劇を自作自演してしまったわけでなのに、罪の報いを受ける演出がないのはいただけない。
よって★一つ減点。でも
ラストの二人の会話はすげえすげえすげえ好き。珍しく甘える奈緒子と気づかない鈍感な上田がよい。

あ、上田の同級生のボンクラーズのうち、七三分けの男ってどこかで見たことあるような、とずっと考えていたのだが、「少林サッカー」の”私は
車の修理工をしていまして”の男
にそっくりでは!!!




○「TRICK 劇場版2」 ★★★ (06.6.14/劇場)
STORY:自称天才マジシャンの山田”貧乳”奈緒子は例によって朴念仁の大学教授・上田”巨根”次郎に付き合って超常現象に挑むことに。
今回の目的は筺神島の霊能力者にして教祖・筺神佐和子から命を狙われている美少女・西田美紗子を救うこと。筺を使って異世界への移動が
できるという佐和子の手から何とか美紗子を助け出した二人だが、佐和子は美紗子の故郷・富毛村まで追跡し、戦いの第2ラウンドが始まる…。



えーと、いつもの「TRICK」です。TVシリーズ3期、TVスペシャル1本、劇場版1本と歴史を積み重ねてきたいつもの「TRICK」です完結
編だからすげえことやろう、などという気概はまるでなさげな
いつもの「TRICK」です

なのでシリーズのファンならやたらめったら細かい小ネタの嵐に爆笑し、仲間由紀恵アーンド今回のゲストの堀北真希に萌えれば元は
取れる
かと。
ノリだけのてきとーな脚本とか後味の悪さとか
欠点もいつも通り
流石に矢部刑事の出番が少なすぎるのはどうかと思うのだが。
あと
今更なんであんなにCGで遊びたがるのか?

★★にしようかと思ったが、悪ノリCGで★1つ減点、女性陣と選挙ポスター掲示板に★1つずつ進呈で★★★。

大仁田厚すげえ痩せたなあ。なにあの胴の細さ?



○「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」 ★★★ (10.5.17/劇場)
STORY:売れない手品師・山田奈緒子(貧乳)は財宝に釣られて、万練村を霊能力で救うカミハエールの後継者に立候補するが、先代
カミハエールの孫・翔平にインチキ霊能力者の看破を依頼された相方の日本科技大教授・どんと来い上田次郎(巨根)と鉢合わせてしまう。
村には他に候補者が4人も現れており、奈緒子は霊能力で殺し合うバトルロイヤルに参加する羽目に。そして次々と犠牲者が…。



深夜ドラマ枠で放送された初代TVシリーズから10周年を記念しての劇場版第3弾

↑のあらすじを書くにあたって、劇場版第1作のあらすじをほとんど流用できるという超安定したフォーマットぶりに苦笑。
ちなみに
感想もほとんど流用可能
スーダラなレギュラーメンバーの魅力豪華ゲスト陣のエキセントリックぶりノリだけはよいてきとーな物語後味の悪さ
ああ、変わらないなあ
まあ、この映画を観に行くのは過去のシリーズが好きな人なわけで、変わらないのはこの場合長所なのだろうて。


今回の最強の敵を演じるは松平健上様よろしく白馬にまたがったり呪文があの神曲のもじり(アナグラム)だったりお前らの見た
かったマツケンはこんなだろ?
という要素は取り入れてあって、相変わらずあざとい演出
しかし大真面目に演技していて作品の質を支えていたり。


他のライバルも、戸田恵子は違和感ないとして、片瀬那奈やら藤木直人やら、今までの芸歴をドブに捨てるようなイロモノを熱演
藤木直人が
佐藤”良太郎”健を襲撃する時に「俺、参上!」と叫ぶのが一番ツボだった。

ヒロイン的ポジションに夏帆。純朴な村娘役でなかなかかわええ。
あのトリックは、鑑賞しながら、「こういうトリックを思いついたが使いようがないよなあ」と思っていたのをまんま使われて唖然
棺桶が落下のショックで大破したら台無しやん。(いや、それ以前の問題。)


あと、今の若いもんにアダモちゃんとか通じるのかが不安。いや、確かに近年DVDとか出てるけれども。

今後もこの調子で末永く続けてほしいものであるが、10年経って仲間由紀恵のアゴが少しずつ割れてきているように思えるのが
不安材料。




○「トリプルX」 ★★★★ (02.11/劇場)
STORY:プラハのテロ組織”アナーキー99”の調査が難航しているアメリカ国家安全保安局は、国家権力のスパイだと思われないような男、
本物の悪党をスパイとして使うことを考え、法律無視のスタント野郎・ザンダー・ゲイジをスカウトする。無理矢理スパイにされたザンダーだが、
生来のアウトローぶりでまんまと組織のボスに気に入られる。そして探り当てた組織の無差別細菌テロ計画に、ザンダーの怒りが爆発する!



爽快アクション傑作。ヴィン・ディーゼル兄貴カッチョエエ!
「007」や「ミッション・インポッシブル」のようなスパイアクション映画なわけだが、主人公は正義の味方ではなく法律破りたがりの悪党で、そして
歴代ジェームズ・ボンドや「Mi2」のトム様と違い、
超体育会系。頭を使って、優雅に、華麗に、なんてことはなく、とりあえず考えるよりもゴリ
押ししとけ!
という脳ミソ使わない展開が楽しい。
007ばりにスーパーアイテムがゴロゴロ出てくるのも楽しいところ。
スケスケ双眼鏡やバンドエイド型爆弾、そしてボンド・カーならぬザンダー・
カー
(火炎放射器からロケットランチャーまで武器満載!)、武器開発オタクのエージェント・トビーに敬礼!

とにかく全編アクションの連続でダレずに見れる。しょっぱなのアホ議員の高級車大爆破から超絶バイクアクション、そして雪山をスノボで大
走破with雪崩。グッジョブ!
しかしプラハは「ブレイド2」のウェズやんといい、ろくでもないヤツらの進入を許しまくって災難だな。




○「トロイ」 ★★★ (04.7.14/劇場)
STORY:紀元前12世紀、地中海。スパルタとの和平に訪れたトロイ王子・パリスはスパルタ王・メネラウスの妃・ヘレンと恋に落ち、彼女を連れ
帰ってしまう。激怒したメネラウスは兄のミケナイ王・アガメムノンの助力を乞う。ギリシャを統べるアガメムノンはこれを機にトロイを征服すべく5万
の大軍でトロイに攻め込む。その陣頭には最強の戦士・アキレスの姿があった。トロイはパリスの兄・ヘクトルを指揮官として立ち向かうが…。



「ロード・オブ・ザ・リング」あたりの影響が見える一大歴史スペクタクル巨編
確かに大軍勢による合戦シーンや
トロイ殲滅のために大海原を埋め尽くして押し寄せる大船団の行軍には血沸き肉踊るものがあり、3時間
近い上映時間ながら退屈させずに最後まで見せてくれる作品だったが、登場人物が
ジャイアンだったりヘタレだったりで甚だ感情移入し
にくいのが問題。


主人公は無敵の戦士・アキレス。千年先まで名前が残るために=名声のために戦うナチュラル・ボーン・キラー。戦うしか能がないのに王様と
喧嘩して日和見したりして結果上映時間を長引かせる男。最後の戦いはものすごくグズグズで作品の評価を下げる
演じるはマッチョボディに肉体改造したブラッド・ピッド。戦闘シーンはそこそこ見れる。必殺のジャンプ斬りは格ゲーみたい。


アキレスのライバルとなるのがトロイの王子・ヘクトルこの作品で最も常識人で最も苦労人で最も感情移入できる人
その弟で事件の発端となるのが
パリス王子人妻強奪して自国を存亡の危機に陥れた責任を取って一騎打ちに臨むも惨敗して四つん
這いで逃亡
というダメダメ人間

演じるはオーランド・”レゴラス”・ブルームで、後半
弓使いになるのには笑った

妻を奪われ怒りに燃えて挙兵する王族兄弟がアガメムノンとメネラウス。彼らの怒りは至極当然なもののはずなのだが品性下劣のブタ野郎
なためまったく感情移入できず


ギリシャ軍の参謀でアキレスの親友で木馬作戦の発案者で実行部隊長というオイシイ男・オデッセウスにショーン・”ボロミア”・ビーン。

しかしトロイの木馬って…あんな怪しさ200%のもん何故に城内に運び込みますか。せめて中調べようよ。



○「トロピック・サンダー 史上最低の作戦」 ★★★ (08.12.18/劇場)
STORY:タグ・スピードマンは脳味噌空っぽの落ち目のアクションスター。路線変更を狙った感動大作も大コケし、ベトナム戦争を描いた映画
「トロピック・サンダー」の主演で起死回生を図る。が、共演陣が曲者揃いということもあり撮影は難航。キレた敏腕プロデユーサーに脅された
若手監督はメインの俳優5人を密林の奥地に隔離して追い詰められた生の演技を引き出そうとするが、そこは麻薬組織の縄張りの中で…。



「ズーランダー」以来久方ぶりのベン・スティーラーの監督作品
が、思ったより風刺性の毒が強くて単純なコメディというわけではなく、もっと爽快で単純明快明朗会計なものを期待していたのでちと残念。
いや、映画パロとか無駄にド派手な爆発とかは楽しいんだけれど。
冒頭のニセ予告の連発とか素晴らしすぎる。
ボンクラたちが人生最悪の局面でボンクラなりに頑張って輝きを放つという基本構造は変わってないのだが、ベン・スティーラー自ら演じる
ボンクラ主人公が結局あまり活躍しないので少し盛り上がらないのだなあ。


では大活躍するのは誰かというと、オスカー受賞歴のある演技派俳優で、演技派が高じて役柄に成りきることに全力を注ぎ込んで本当の
自分を見失いつつある
カメレオン俳優@ロバート・”アイアンマン”・ダウニー・Jr.である。
今回は黒人軍曹役ということで、
オーストラリア出身の白人なのに手術で肌を黒くするという念の入りようで、メンバーの黒人ラッパーの
アルパ・チーノ(笑)に馴れ馴れしく話しかけては「エセ黒人」と罵倒される
。でも”オーストラリアの誇り”「クロコダイル・ダンディー」を
馬鹿にされるとマジギレする(爆)


更にヤク中のお下劣俳優@ジャック・ブラック戦争で両腕を失ってカギ爪を装着している老原作者爆破狂の特技監督(何故にあの
映画でそんな傷を負う?)
や主人公最愛のアイツや意外すぎる麻薬組織のボスなど
あまりに個性的すぎるキャラが暴れまくるのだが、
全てはトム・クルーズの怪演の前に霞んでしまうのが恐ろしいところ。すげえ、すげえよトム!!!

ベン・スティーラーの盟友であるオーウェン・ウィルソンが療養中のため出ていないのが残念。マシュー・マコノヒーが演じたエージェントって、
ぜってぇ当て書きだよな。




○「どろろ」 ★★★ (07.2.13/劇場)
STORY:いつとも知れぬ時代、戦国の世。魔物たちに体の48の部分を奪われて生まれた百鬼丸は、それを取り戻すために魔物と戦い続けて
いた。彼の持つ名刀に興味を持った泥棒の少女・どろろは百鬼丸と行動を共にする。彼女はその刀で両親の敵・醍醐景光を討とうとしていた。
戦いの旅の中で次第に打ち解けていく百鬼丸とどろろ。しかし、百鬼丸は醍醐景光こそが自分を捨てた実の父親だということを知ってしまい…。



漫画神・手塚治虫の原作を大胆アレンジして実写化。戦国時代が舞台だった原作を、いつとも知れない時代に設定して時代考証という
ツッコミを封じ
ようぢょだったどろろの年齢設定を引き上げそんなに変えるのなら、いっそ原作を「魍魎戦記MADARA」にでも
しちゃえば
よかったんじゃないのユー?


感想をまとめてしまうと、ま、そこそこ頑張ってるんじゃないの?と、マンガ原作付き実写映画にありがちな一言に落ち着いてしまうわけで。
話もアクションも妖怪描写も、どこか上っ面をなぞっただけという感じでどうにも乗り切れないのだが、
俳優陣が予想外に熱演していてそこを
補っている。


柴咲コウのどろろには終止違和感を拭えなかったが、ありでしょう。「日本沈没」とか結構イロモノ寄りになってきたなあ。
妻夫木聡は拾いもの。役柄の幅が広がった感。中井貴一は流石の一言。個人的に好きじゃない俳優さんなのだが(生理的に)、若手に対して
格の違いを見せつけてくれた。
中村嘉葎夫は相変わらず壊れかけの感があってある意味素晴らしい。劇中何度も瞬間移動するしな。
チョイ役の杉本哲太はちょんまげ姿でボソボソとしゃべっていて、
「おじゃる丸」の星野父みたいで非常に受けた。



○「鈍獣」 ★★★ (09.6.11/劇場)
STORY:素人相撲が盛んな寂れた田舎町・ときわ町に現れた美人編集者・静。彼女は失踪した担当作家・凸山の行方を追っていた。彼女が
たどり着いたのは町で唯一のホストクラブ。経営者の江田とその腰巾着の警官・岡本は凸山の同級生だった。”凸やん”をいじめていた過去を
連載小説に書かれて焦った二人は、更なる秘密を暴露される前に凸やんを毒殺したのだが、死んだはずの凸やんは翌日元気に現れて…。



何やら賞を受賞したクドカンの戯曲の映画化
毒を盛られても撥ねられても埋められても撃たれても轢かれても死なない究極の鈍感男に振り回されるボンクラたちを描いたコメディ
なのだが、
どうにも作品全体も鈍いのである。芸達者は揃っているのだがどうにもノリが悪い。クドカン脚本らしく最後も弱くて、どういうわけ
かなし崩しにハッピーエンドで終わってしまう
のも悪い方に作用

主人公たちの少年時代の回想シーンは何故かアニメで進行。
スタジオ4℃の小賢しい作画がまた癇に障る。無駄に声優も豪華だし。

主人公のつかみ所のない不死身のボンクラ・凸やん浅野忠信。実にイケてない髪型や服装が印象的。珍しく演技してるし。ただし馬鹿の
役。新境地かもだ。
その同級生で凸やん暗殺を企む
町一番のボンクラホスト(註:町にホストは一人しかいません。)・江田北村一輝相変わらず濃ゆい
マスクと演技
に加え、今回は
額に肉の文字が輝く
その腰巾着の
ボンクラ不良警官ユースケ・サンタマリア。当然濃ゆい面子の中でも一際濃ゆい演技を披露
江田の愛人である
クラブのボンクラママ南野陽子厨房の頃からのファンなので相当贔屓してしまうのだが、なんでしょうこのかわい
らしさは

凸山を追う美人編集者に今をときめく
真木よう子。鼻血噴いたりイロモノを熱演。

チョイ役でジェロやら芝田山親方(元横綱・大乃国)やらイロモノが登場しているが、あまり機能していないような。



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