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映画感想さ行(す〜そ)
○「Sweet Rain 死神の精度」 ★★★★ (08.4.11/劇場)
STORY:地上での名前=千葉。職業=死神。仕事内容=不慮の死を遂げ人間の最後の7日間を観察し、予定通り死なすか生かすか判定を
下す。好きなもの=ミュージック(死神は皆大好き)。特筆事項=雨男で、一度も青空を見た時がない。千葉の今回の観察対象は藤木一恵という
家電メーカーのクレーム受付の冴えない若い女性。まるでいいことがない彼女を観察し、いつも通りに”実行=死”の判定を下そうとするが…。
♪きっと今どこかで最悪なことがって ため息ついてる君 染みるMUZiC ベースのライン
きっと世の中のせいにしても始まらない それより聴いてたいのは こんなMUZiC 吹き飛ばした
灰色の雲と雲の間にわずかに差し込む光はMUZiC 何もかもうまくいきそうな気がするほどじゃない
伊坂幸太郎の連作小説の実写映画化。
原作は6本の短編から構成されているが、その内の3本(+他の短編のプロット)を今回は採用。
原作はそれぞれの話がリンクしたりしなかったりなのだが、映画ではリンクを密にしており、一本の長編映画としてはまとまりがよくなって
いる。その点あっさりしている原作よりも見応えがあるかも。
以下ネタバレしまくり。
長きに渡りヒトの死を見つめ続ける死神の物語なので、今回語られる3つの話も実は時代がズレているというからくりがあり、最後の話で
それがわかる。伏線が回収され登場人物たちが重なり合う種明かしの部分で我々観客はカタルシスを得られる。
のであるが、その、時代のズレの描写がいささか露骨すぎるのがちと不満。
最初の話は’80年代が舞台で、8cmシングルなんて小道具があからさまに出てしまう(しかし1985年だとそんなにCDは普及してないような気が
するが。)し、最後の20数年先の話に出てくる家庭用ロボットの描写はあまりのSFマインドのなさに失笑してしまうほどである。
まあ、大衆向け娯楽映画なのでわかりやすく作ってあるんだろうけど、ここはもう少しひっそりと、くり返して観ると画面の端々の小道具で
気づくような作りにした方がもっとカタルシスが得られたように思える。
予告編でいきなりタイムカウンターまで出しちまってるもんなあ。ええええ?
主演は金城武。日本語演技は相変わらず棒気味なのだが、それが人間の感情の機微がわからない死神ぽくってなかなかハマリ役。欲を
言えばもっとミュージックを聴くときにはしゃいでほしかった。
映画オリジナルのパートナーの黒犬。どうやって会話させるのだろうやはり声はソフトバンクのケータイのCMの人なのか、とか思っていたの
だが、あんな演出方法だとは。悪くないがそんなに良くもない。
最初の話に登場する冴えない若いOLに小西真奈美。歌も披露。冴えないという設定の役なのでメイクも冴えないが、相変わらず及第点の
演技。歌もまあまあ。まったく耳に残らないけど。
二番目の話に登場するチンピラに石田卓也。身の丈にあったDQNぶり。ヤクザ役に光石研。原作ではもっと沈着冷静で渋いイメージだった
のだが、適度に人間の弱さが滲み出ている感じでよかった。
最後の話のヒロインは富司純子。貫禄。
○「水滸伝 男たちの挽歌」 ★★★ (VIDEO)
STORY:宋の時代、朝廷は奸臣たちに蹂躙され、世は麻の如く乱れていた。朝廷の武術師範の林冲は真面目で正義感の強い男。最愛の妻と
つつましく誠実に暮らしていた。しかし、彼女の美貌に目を付けた悪徳高官のボンクラ息子が、彼女を我がものにしようと林冲を無実の罪に
陥れ、流罪にする。残された妻は迫り来る魔の手に抵抗し自殺する。そのことを知った林冲は好漢・魯智深と共に復讐に立ち上がる…。
’93年製作の香港映画。通称「ジョイ・ウォンの水滸伝」と呼ばれていたが、’04年に「水滸伝 男たちの挽歌」として再発売される。確かに
原題は「水滸伝 英雄本色」ナリ。二丁拳銃のユンファ兄貴は出ないんで気を付けろ!
とはいえ、好漢が悪党の罠にはめられ無実の罪で迫害され、それでもその忠義故にじっと堪え忍ぶが、最愛の妻や仲間たちを殺され、ついに
怒りの逆襲に展じ血の雨を降らす、という筋は本家「男たちの挽歌」に相通じるものがあるか。
「水滸伝」といえば108人の個性豊かな豪傑が集い民衆を苦しめる悪党どもと戦う一大群像ロマンなのだが、この作品に出てくる108星の
豪傑は………2人。オンリーツー。少ないよ…。_| ̄|○
物語的には豹子頭・林冲(「ジャイアント・ロボ」の九大天王の一人)が主人公のくだりをかなり原作に忠実に作品化している。
…忠実なのは話の筋であって、アクションといえば…。
冒頭、山賊征伐に向かった林冲の部隊は山賊と正面から相まみえる。山賊の頭領もなかなかの使い手で、彼と林冲は一騎打ちで決着を付ける
こととなった。
「ならば空中戦で勝負だ!」
突然謎の一言と共に馬上から空高く舞い上がり空中で激闘を繰り広げる二人の姿にはちょっと呆然としてしまう(笑)
つーわけで当時全盛期だったワイヤー・アクションが全編に盛り込まれていて、皆非人間的な動きで戦いまくるのである意味必見。魯智深は
波動拳撃つし。敵の人間円盤部隊はちょっとイカス。
つーわけで原作のイメージに忠実なものを期待するとちょっと打撃を受けてしまうが、香港映画のハードバイオレンスアクションが好きな人
ならオススメ。ジョイ・ウォンかわええし。
○「水滸伝 決戦!白龍城」 ★★★ (02.10/ビデオ)
STORY:二丁斧の達人・黒旋風李逵は、誤って殺人を犯してしまい逃亡し、江州に流れ着く。そこで李逵はかつて助けた白という女性や刑務
所長の戴宗、人徳の人として知られる宋江らと出会い、平和な暮らしを始める。しかし、役人・黄文炳が白に一目惚れし、彼女を手に入れ、同時
に政府に仇なす義賊集団・梁山泊に通ずる宋江を処刑しようと李逵を陥れる。李逵は捕らえられ、宋江・戴宗が処刑されようとしたその時…!
本場中国が送る(そう、香港映画じゃないのだ、やられた〜!)「水滸伝」の映画。
過去「水滸伝」の映画といえば浪子燕青が主役の武術大会もの(未見)や、豹子頭林冲(空中戦もお手のもの)と花和尚魯智深(波動拳を使う)
しか出てこないワイヤーアクションで飛びまくりのバカアクション映画なんかがあったが、今作の主役はな、なんと黒旋風李逵!横山光輝の
マンガ、ひいてはOVA「ジャイアントロボ」でいうところの鉄牛である。
まあマンガ版なんかだとソフトに描かれてあるのだが、原作だとこの男は三度のメシより暴れるのが好きで、一度暴れ出すと敵味方お構いなく
二丁斧でミンチにしてしまう梁山泊108星きっての狂戦士なのである。やれ殺してその肉を喰っただの、人質にするから殺すなと言われて
いたのを勢い余って殺してしまい、せっかくだからついでに一族郎党切り刻んで、後から怒られても「でもいっぱい殺したから満足だ」と言い
放っただの、危険なエピソード満載だったりする。
もっとも、悪気はなくただただ無邪気なだけなので体はデカくてもそれなりに愛されているキャラなのかもしれない。というわけで、冒頭、「ムトゥ
踊るマハラジャ」のOPテーマの1/20程度にめでたい曲に乗って、風の中を二丁斧を振りかざし颯爽とスローモーションで駆けてくる李逵の
勇姿は…か、かっこわりー!!!
あだ名”黒旋風”の由来ともなった色黒さはまるで無視、身長はともかく体重少なすぎ、しかし顔デケェーッ!!!
もうのっけから不安。
さて、物語冒頭、竹林で一人暴れていた李逵の前に現れる盗賊団とそれを追う役人たち。李逵はカンフーで盗賊団をぶちのめし、役人に突き
出す。…違うよ!コンナノリキジャナイヨ!原作の李逵なら当然盗賊団は斧でズタズタに、ついでに役人どももザクザクにしてしまうはず。
…まあそんなんじゃ話にならねえですけえ。
ともあれ、違和感を感じつつ物語は原作にかなり忠実に進んでいく。最大の相違点は李逵にラブロマンスをぶっつけてきたこと。でも別段
面白くもないのでその辺は省略しちゃえ。
で、李逵と義兄弟の契りを交わす、後に梁山泊に一緒に参加する好漢、呼保義宋江と神行太保戴宗が主要人物として登場。
宋江は後々梁山泊の首領となり一同を破滅に導くスーパーボンクラで、武力も知力もからきしで魅力だけで生き長らえている感じの偽善者
なわけだが、今作ではしっかりボンクラぶりを再現しており好感が持てる。
戴宗は「ジャイアントロボ」の若本規夫ボイスの人間ロケットの豪傑さんを想像するとかなり拍子抜けするが、原作では非戦闘員で、仙術で
速く歩けるのが取り得の人なのでよろしく。今作では自慢の仙術は見事にはしょられているが、代わりに「グリーン・デスティニー」ばりの壁面
走りなどワイヤーなカンフーで活躍。あれ?
そしてクライマックスには宋江らを救うべく梁山泊の好漢たちが参上するのだが…誰が誰だかわからないので楽しさ半減ナリ。前のシーンで
出てきて偉そうだったので晁蓋と呉先生また泣いているのかねの二人はわかるし、弓を撃つんでこれは花栄、顔に痣があるんでこれは楊志と
いうのもわかるのだが、林冲辺りはどいつなのかさっぱり。クレジットを見ると朱貴なんて名前があったり。
そして、腕の刺青も勇ましい女性キャラが派手にカンフーで暴れるのだが、…あんた誰?
この時期ではほぼ紅一点の扈三娘は登場していないし、他の二人はおばはん。どうやら会話の端々から孫二娘だと推測できるのだが、この
時期彼女はまだ梁山泊入りしてないはずだったり(青面獣楊志も。)…。本当に本場で作ったのかこれ?
話を元に戻して、助けに現れた梁山泊の面々、ちょっと見せ場を作った後はたやすく包囲されてしまう。弱。
しかしそこに駆けつけた李逵が「真・三国無双」ばりの大暴れを見せてくれるのがうれしいじゃあないですか。これが香港映画だったらもっと
派手に吹き飛んだり血しぶき上がったり手足もげたり首飛んだりしてたであろうに、と思うと少し残念。まあ黄文炳とのラストバトルでは見事に彼を
ハリケーンミキサーくらったミートくん並にバラしてくれるが!
初心者にとっては人物描写が少なくてさっぱりついていけず、マニアにとってはまるで食い足りないという半端もの。
○「スウィング・ガールズ」 ★★★★★ (04.9.28/劇場)
STORY:だらけた性格の女子高生・友子は夏休みの課外授業をサボるため、食中毒で壊滅状態の吹奏楽部の助っ人に名乗りを上げる。部員
唯一の生き残り・拓雄の指導の元、集まったド素人揃いの16人の女子はビッグバンドを結成する。一同は練習の末に何とか音を出せるように
なるが、吹奏楽部員が退院しお払い箱となってしまう。どうにも悔しい友子や拓雄らは中古で楽器を揃えてバンド活動を続けようとするが…。
「ウォーター・ボーイズ」の矢口史靖監督作品。
で、内容はまんま「ウォーター・ボーイズ」。
”冴えない男子高生がシンクロの魅力に取り憑かれ仲間と特訓の末に観客の前で見事な腕前を披露する”という話が、
”冴えない女子高生がジャズの魅力に取り憑かれ仲間と特訓の末に観客の前で見事な腕前を披露する”という話になっただけ。
で、いいところも悪いところも同じ。
たいして練習してないようなのに発表会で大成功を収めてしまうといううさんくささも踏襲しているが、その発表会が素晴らしい出来とノリ
なので全ての欠点を許してしまえるというところもまんま。
まあ、主人公たちが海パンの男子高生からセーラー服の女子高生になったということで、「ウォーター・ボーイズ」の★4つにさらに★1つ上
乗せ。
主人公の上野樹里は太めの眉毛が凛々しくて良いがちょっとシャクレ気味。
対して素晴らしいトランペット・ソロを決める貫地谷しほりは元SPEEDの今井絵里子をシャクレなくした感じでかわええ。
眼鏡っ娘担当の本仮屋ユイカはなかなか。義に厚いギター&ベースも素敵だ。
欲を言うならば、最後に友子と拓雄にその後進展があったかエピソードを入れて欲しかった。中盤の、河原の両岸での二人の再会シーンが
リリカルでたまらなく好き。
あと、いくらなんでも今日日あんなに皆訛ってはないべした。東北人バカにすんでね。
○「SUPER8」 ★★★★ (11.7.15/劇場)
STORY:1979年、オハイオ州。母親を事故で亡くした痛手を引きずっている少年・ジョーは仲間たちと8mmカメラで自主製作映画を撮って
いた。美少女・アリスが撮影に参加しときめきを隠せないジョーと仲間たち。だが、深夜の駅での撮影中、教師・ウッドワードの乗った自動車が
貨物列車と激突し大惨事が起こる。翌日から街では怪事件が起き始めたが、その犯人をカメラが捉えていたことをジョーたちは知らなかった…。
J・J・エイブラムス監督作品。プロデューサーにスピルバーグ。
そのスピルバーグに捧げるオマージュということで、「ET」に「未知との遭遇」に「宇宙戦争」、それに自身のプロデュースした「クローバー
フィールド」あたりの臭いが濃厚。
まあ「ET」にしてはずいぶんと血と硝煙の臭いが漂っているのだが、子役たちが非常に素晴らしく、ジュブナイルとしてはなかなかの
出来。ジュブナイルだから、こまけえこたぁいいんだよ!
とはいえ、宇宙人との接触のシーンはあっさり危機回避してちょっと拍子抜けすぎるし、父子の絆についてうまく描いてるとは言い難いし、
あれだけ派手に正面衝突したのにぴんぴんしてるのかよ、とか粗は多いんだけどね。
主役のジョー@ジョエル・コートニーの初々しい繊細な顔つきも素晴らしいし、ヒロインのアリス@エル・ファニングのそんなに美人ではない
のになんともチャーミングな雰囲気も素晴らしい。あんなゾンビなら喜んで噛まれちゃうぜ。
その他のガキどももデブとか矯正歯とかゲロとかクセのある顔立ちとキャラ立ちばかりでいい仕事をしている。
彼らの織りなす友情パワーが眩しい。
宇宙人は…文明的かと思ったら結局人を喰うのね。最後にペンダントを持っていったのは、他にも吸い上げられるものがあったのにそう
ならなかったので、意思を通わせた宇宙人からのメッセージと考えるべきなのだろう。
そしてエンドロールこそが本当の本編だったりしてニヤリ。おまけに大好きな「マイ・シャローナ」までかかっちゃって、最高だ。
ゾンビ役の火薬反っ歯くんが何度も殺られるのが笑える。いい仕事してんな。
○「スーパーサイズ・ミー」 ★★★ (05.3.10/劇場)
STORY:肥満大国アメリカ。「私たちが太ったのはマクドナルドで食べ過ぎたせいだ」というアレな訴訟が、「マクドナルドが原因という証拠が
ない」という理由で退けられたのを知った主人公は、ならば一ヶ月間マクドナルドのメニューだけを食べ続けると人体にはどんな影響が出る
のか、体を張って実験してみることに。万全なメディカルチェックを受け、意気揚々と実験を開始した彼の体を待ち受けるものとは…。
タイトルにある「スーパーサイズ」とは、マックのメニューで、Lサイズの更に上。ポテトだと280グラム、ドリンクだと1.2リットル!
実験のルールとして、従業員に「スーパーサイズにしますか?」と勧められたら従わなければならない。そして吐いてでも完食しなければ
ならない。
日本の若手芸人とかがやらされそうな企画だな。
しかし蓋を開けてみるとなかなかにしっかりしたドキュメンタリーとなっていて、意外に固いのだが、それでも主人公の体がみるみる蝕まれて
いく様を楽しく、かつ眉をひそめつつ見守れる。
つーかジャンクフード好きのデブが観るには居たたまれない一本でジャンクフード好きのデブとしては非常に居心地悪かったッス。
ちなみに日本のマックは本場とはメニューも味付けも違うので注意。まあそれでも当然体悪くなるだろうが。
オイラ的にはマックといえば地元に開店する前に読んでいた「ドクター秩父山」のせいでろくでもないイメージが擦り込まれてしまっていた
ため(笑)、長年近寄らずにいたがここ最近は普通に使うようになったなあ。鶏肉バーガーもレギュラーになったし。
○「ズーランダー」 ★★★★★ (02.9/劇場)
STORY:必殺のキメ顔「ブルー・スティール」を武器にトップモデルとして活躍するズーランダー(バカ)。しかしその座を若きライバル・ハンセル
に奪われ、親友たちも不慮の事故で爆死(爆)し、親兄弟にも冷たくされ、失意のどん底に沈む。そんな彼に業界一のデザイナー・ムガトゥから
仕事の依頼が来る。しかしそれは大いなる陰謀の一端で、彼はマレーシア首相暗殺のための殺人マシーンに洗脳されてしまう。
これ見たヤツで、思わず劇場の暗がりで「ブルー・スティール」を練習しちまったヤツ、手ェ挙げろ!
これ見たヤツで、家に帰ってから思わず鏡の前で「マグナム」をキメちまったヤツ、手ェ挙げろ!
さて、面白い作品というのは、設定の中で一つ大嘘をついて、それを観客に信じさせることができるかにかかっているという言葉がある。
…あったよね?…あったんだよ!(逆ギレ)
「機動戦士ガンダム」における人型兵器の戦略性を肯定するミノフスキー粒子という大嘘。
「少林サッカー」における少林寺拳法をマスターすると超人になれるという大嘘。
「名探偵コナン」における体は子供頭脳は大人という大嘘麻酔針を撃たれると椅子に座ってうつむいて寝てしまうという大嘘出かけると必ずと
いっていいほど殺人事件に出くわすという大嘘うわあ嘘だらけじゃ。
…さておき、主人公のズーランダー(アホ)を演じるベン・スティラーは背も高くないし顔もどちらかというとサルっぽい。そんな彼が3年連続
最優秀賞を受賞しているトップモデル役というのだから、かなり強烈な大嘘である。しかしその大嘘に乗ってしまえば、この作品は実に笑える
大バカ大作となる。
バカ面のズーランダーの必殺のキメ顔「ブルー・スティール」そして「ル・ティーゲル」(つーかどっちも同じ顔だ!)は傍目からするとただの
アホ面なのだが、劇中では最高にクールな表情ということになっていて、実名でカメオ出演しているたくさんのハリウッドの大物セレブたちが
真顔で大絶賛をかましてくれる。とまあ、のっけからそんなアホアホテイスト満載で、ラストまで突っ走ってしまう。
これは大嘘ではないかもしれないが、「モデルは皆バカ」という設定の下、ズーランダー以下、ライバルのハンセル、非業の死を遂げる仲間
のモデルたち(思い出し笑いで悶絶)、業界一のデザイナーにして秘密結社の一員であるムガトゥ(髪型からしてもう)、皆愛すべきバカたち
で、笑って笑って最後には勢いで少し感動までしてしまう傑作。
しばらくはガソリンスタンドを見ると笑いが堪えられなくなる体にされてしまった、うははは!
○「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」 ★★★★ (04.12.2/劇場)
STORY:’39年のニューヨークに突如出現した巨大ロボット軍団。なすすべなく逃げまどう人々を救ったのは空軍のエース・スカイキャプテン
ことジョー・サリバンだった。謎の化学兵器群の目的と科学者連続失踪事件を追うジョーと元恋人で新聞記者のポリーは、黒幕が正体不明の
科学者・トーテンコフだと知る。彼のアジトの孤島を発見したジョーたちはイギリス空軍の美女・フランキーの助けを借り侵入を計るが…。
一オタク青年が自前のPCで4年掛けて作った6分の映像が好評を博し、なんと一流スター主演で自らメガホンを執り長編映画となってしまった
アメリカンドリームな一本。
主人公は秘密兵器満載の戦闘機を駆る二枚目青年で、敵は怪光線を発する巨大ロボット部隊や謎の飛行メカ軍団。勝ち気な新聞記者
の美女と天才武器発明家が相棒で敵の黒幕には正体不明の科学者と光学兵器を操る功夫美女。敵のアジトの孤島には遺伝子操作
された怪物が闊歩し巨大工場で最終兵器が生産されており主人公は空中要塞の主である旧友の助けを借り水陸両用戦闘機で敵陣突入
を計る…。
どこの小学生の妄想ですか!?
つーわけで”少年の夢は生きている幾年過ぎても生きている”なボンクラどもはこれを観ずして何を観る?というご馳走ムービー。次から次
へと現れるボンクラな見せ場を目を輝かせて追いかけるがよろし。
破天荒上等とはいえ、いくらなんでも粗だらけのストーリーとヒロインがくされビッチなために★1つ減点。
黒眼帯に軍服姿という似合いすぎる格好のジョリ姐の出番が少ないのも惜しい。
○「スカイ・クロラ」 ★★★★ (08.8.2/劇場)
STORY:戦争がショウとなっている平和な世界。戦っているのはキルドレという不老不死の大きな子どもたち。カンナミ・ユーヒチは前線の基地
に補充兵として赴任する。基地の指揮官はかつてのエースパイロットである草薙水素という女性。戦闘機に乗り空の上で敵機と命のやり取りを
することで生を実感するカンナミ。互いに魅かれ合うカンナミと水素は徐々に二人の距離を縮めていくが、水素は彼に何か隠し事をしていた…。
製作発表時に、「今の若者たちに伝えたいことがある」などと説教臭いことを言い出すわメインキャストに本職ではない俳優を起用するわ
ジブリのスズキにでも電脳ハックされたんじゃないかと疑いたくなる押井守監督最新作。
かくして、劇中で今を生きる無気力な若者たちに、「毎日は同じつまらない繰り返しのように思えるかもしれないが、それを自分の力で
変えていくことができるかもしれない!」というメッセージを訴えているわけだが、それを否定するようなリセット→再スタートな終わり方は、
一体どうなのよと首を傾げざるをえない。
どうにも報われない終わり方の原作を改変したエンディングなのだが、輪を掛けて報われなくなっているのは気のせいだろうか?
リアルでないゲンジツを生きるゲンダイのニホンジンがどーたらという描写は元々森博嗣の原作にあるものだし、つーか原作読んでない
とわかりづらいところが多々あるし、つーかつーか原作も結構納得のいく説明がされてない箇所が多いからどうしても消化不良になるし、
ウリの空戦は確かにすごいが、なんかすごすぎてようわからんしで、正直点数は辛くならざるをえない。
はずなのだが………。
あのですね、ヒロインの草薙水素さんがですね、大好きなんですよ。
原作の続編(時系列的には前編だけど)の「ナ・バ・テア」、「ダウン・ツ・ヘブン」を読んでしまうと、もう初々しくてかわいくて愛おしくて、
ですね。
ぶっちゃけ映画版のキャラデザは気に食わなかったんで、あまり期待せずに観に行ったんですけどね、それでも、なんかもう、ズギャァァン
と殺られてしまったわけですよ。
あのですね、ワイシャツにネクタイの女性というのがですね、大好きなんですよ。初音ミクに殺られた理由に今気づきましたよ。
好きなキャラが好きな衣装を着ているわけですよ。もうシャッポを脱ぐ以外に術はありませんでしたわ。
声を当てた、若いくせに随分出涸らしな容貌の菊地凛子ははっきりいって下手くそなんですよ。プロの声優にやらせろよ、と声を大にして
主張すべきなんですが、もう痘痕も靨(こんな漢字だったのか!)というヤツで、その上擦った声もかわいく思えてしまうわけですよ。
つーわけで、あまりにも壊れた理由で★増量。
若いくせに随分出涸らしな容貌の菊地凛子以外の素人キャストは、その不慣れっぷりが茫洋としたキルドレというキャラとマッチしていて
なかなか良かった。
○「スカイハイ 劇場版」 ★★★ (03.12.04/劇場)
STORY:結婚式の最中、花嫁・美奈は心臓をえぐり取られ殺される。彼女は気づくと、殺された者がたどり着く”怨みの門”にいた。門番・イズコ
は彼女に転生・霊魂となり放浪・誰かを呪い殺し地獄行きの3つの選択肢があると告げる。事態を飲み込めないままひとまず現世に霊体として
戻った美奈は、彼女を殺した謎の男・工藤の恐るべき計画を知る。一方、美奈の夫で刑事の神崎も事件を追い、工藤に迫っていた…。
原作は高橋ツトムのマンガ。釈由美子主演で深夜ドラマ化され好評を博し、映画化。監督は高橋ツトムの盟友・北村龍平。
ドラマ版はチープな映像ながらも、死先案内人・イズコによって誘われる、唐突な人生の幕引きを迎えた人間がいかに考え、行動するかを描く
物語がそれなりの出来で、高橋ツトムの筆が冴える原作版ともども結構好きな作品であった。
ところが出来上がった映画版は北村監督作品だけにブレードバトル冴え渡る伝奇アクションだったりして、元々のいいところをぶち壊し。
タイトルは「スカイハイ 外伝」か「スカイハイ 番外編」であるべき。
つーわけで原作ファンやドラマファンにはオススメしかねる。では誰向けかと言えば、釈ファンと北村作品ファン…か?
前者は問題なく見れると思う。後者は………やっぱ「VERSUS」ってぇのは異端すぎたんだよ。あのテンションを再度期待するのはいい加減
諦めた方がいいんだよ…。でも、「あずみ」よりはマシかな、くらいに。
「VERSUS」>>>>>(越えられない壁)>>>>>「荒神」>「スカイハイ」>>>>「ダウン・トゥ・ヘル」>「The Messnger」>「ALIVE」
>>「ヒート・アフター・ダーク」>「あずみ」
相変わらずアクションはそれなりに格好良く、燃えるシーンも多々あるのだが、脚本・演出・演技がダメダメでせっかく燃え上がった気持ち
もあっさり鎮火してしまいダレダレといういつものパターン。音楽も「VERSUS」・「荒神」・「ALIVE」と延々同じで、もう勘弁して下さい。
誰が主人公なんだかイマイチはっきりしないが、釈嬢は可もなく不可もなくいつものレベル。「おいきなさい」はキマッてるが。
その夫役に、かつて竹内力兄ィ(しかもロン毛)と全面戦争した過去のある「極道戦国史 不動」の谷原章介。ずいぶんと”馬の骨”という言葉の
似合う俳優となった。
悪役は「荒神」に続いて北村作品登場の大沢たかおがまずまず好演。「荒神」のラストで見せたあの形相をもう一度見たかった。
その相棒で、黒衣の処刑人にやはり北村組の魚谷佳苗。死者の魂すら滅ぼす呪いの剣を振るうキラーぶりはなかなかにカッチョイイ。
その他、歴代イズコなどギャル満載なのだが、皆ブサイクでボンクラで萎え萎え。ここで一人二人光るのがいれば★1つ上がったのだが…。
○「スカイライン −征服−」 ★★★ (11.7.1/劇場)
STORY:ジャロッドとは親友のテリーの誕生パーティのためロスに来ていたが、恋人のエレインから妊娠を告げられ動揺を隠せなかった。
朝方、謎の青い光線が窓の外を照らし、それを凝視した人間はその光の中に吸い込まれていった。夜が明け、一同が目にしたのは空に浮かぶ
巨大な宇宙船と吸い上げられる無数の人間だった。街からの脱出を図る一同だったが、異星人の魔の手はすぐそこまで来ていた…。
21世紀も10年が過ぎようとしているのに、だからこそなのか、またも登場する異星人が暴虐の限りを尽くすSFサバイバルアクション。
まーぶっちゃけ「宇宙戦争」ですな。
つーか異星人強すぎ!
見ると「フォーガットン」の如くすぽーんと吸い込まれる青い怪光線は魅入られたら視線を切れずアウトだし巨大母艦は自己再生機能がある
し艦載機は無尽蔵だし二足歩行の巨人まで搭載して白兵戦も万全だしそいつらもみんな堅いし、と並の人間では歯が立たず逃げ隠れる
ばかり。
この世にはEDFもストーム1もいないのか!
なす術ないのは仕方ないにしても、それにしてもアホな登場人物の中で突如大活躍する管理人の太ったオッサンが格好いい。
つーわけで主人公たちはひたすら蹂躙されるのみ。まあ実際にはそんなもんだろうけど。
故に異星人の暴れっぷりは爽快なれど、強すぎて鬱憤が溜まる。訳のわからぬまま終戦だし。
その辺、「クローバーフィールド」によく似てる。
ラストのオチは………おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!そこにシビレる!あこがれるゥ!とでも言えばいいのかな?
○「図鑑に載ってない虫」 ★★★ (07.10.9/劇場)
STORY:胡散臭いルポライターである”俺”は、胡散臭いオカルト雑誌の凶暴な編集長に、”一度死んでから復活できる死にモドキというクスリ”を
見つけて飲んで臨死体験の記事を書け、という胡散臭い仕事を回される。胡散臭い相棒のエンドーと共に取材を開始した俺は、先行取材中に
失踪したカメラマンの真島の行方を追う内に次々と胡散臭い人物と出会い胡散臭い情報を得ていく。それによると”死にモドキ”とは実は…。
オイラは、どちらかというとっつーか明らかに、映画を観にいく時に周辺情報を調べてから向かう性質なのである。搦め手から攻めるっつーか、
観ていて「むう、あれはもしや!」(「知っているのか雷電!?」)と呟いてみたい年頃なのである。
が、この作品についてはたまたま時間が合ったから、という程度の下調べ無しの駆け込み状態で観てしまったのである。事前に予告編を観て、
少し気になっていたくらいのレベルで。
なので、監督がTVドラマ「時効警察」の人だというのは後から知った事実。そして「時効警察」も主演の二人が好きじゃない(つーか女の方が
嫌い)故に見ておらず、あんなユルユル〜なギャグ作品だとは知らなかった次第。
つーわけで劇中延々と繰り返されるどーでもいい小ネタの合間にちょっとずつ進んでいくどーでもいい本筋という構成に戸惑ったまま
劇終。
ユルユル〜な世界観は好きだけれどもちょっち満腹。DVDでまったり見る方が向いている作品かもだ。
これでもかとばかりに繰り出される小ネタに対して、終始劇場内が静まり返っていたのもつらかった。個人的には実にしょーもなくて嫌いじゃ
なかったのだが。松尾スズキの「なんちゃって」大流血ネタが本当にしょーもなくてお気に入り。
○「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」 ★★★ (07.9.16/劇場)
STORY:壇ノ浦の合戦で平家が滅びてから数百年後、平家の隠れ里・湯田村では隠し財宝を巡って平家と源氏の対立が続いていた。そこに
ふらりと現れた黒ずくめのガンマンは滅法腕の立つ男。彼を味方に引き入れようと躍起になる両陣営。が、それによって力の均衡が崩れ村は
総力決戦の阿鼻叫喚の修羅場と化す。両親を殺された少年・平八に自分の過去を重ねたガンマンは戦いに終止符を打つべく立ち上がる…。
スキヤキ・ウエスタン、それはイタリア製ウエスタンがマカロニ・ウエスタンと呼ばれた故事に則り名付けられた和製ウエスタン。
スキヤキの名が示すように、作品という鍋の中には多種多様な食材が所狭しと並べられ、グツグツと煮込まれて旨味が溶け合っている
のだ。
絢爛豪華なキャストが顔を並べ、繰り広げるは馬が駆けダイナマイトで人が吹き飛び石橋蓮司は吊され拳銃と日本刀がぶつかり合うブッ
飛んだアクション。そして全編何故か英語劇!こんなイカシたイカレ映画を企画・監督するは我らが三池崇史!
と、話だけ聞けばすげえ面白そうなんだがねえ…。観終わってみればなんとも消化不良。
言いたかないがはっきり言ってしまえば、監督の力量不足なのだろう。
そこそこ面白いのだが風呂敷の畳み方が雑でどうにも物足りないあたり、今年上映の「龍が如く」にも通じる。
本作にも出演しているタランティーノが、同じカテゴリー無視のゴッタ煮映画だった「キル・ビル」を甚だ荒唐無稽ながらも最後まで飽き
させずに物語を紡ぎ終えていることや、B級映画へのオマージュである「デス・プルーフ」の要所要所でキッチリモッコリ盛り上げて、
顧客満足度MAXな終わり方を見せつけてくれた、その仕事と比べてしまうと、ねえ。
あからさまに”日本人が学校とかで習う実際には使えない発音とイントネーションの英語”ばかりなのはさして気にならないとして、ストーリー
がイマイチ盛り上がらないのが大きな問題。主人公の影が薄くてなあ。
で、アクションはそこそこ派手なものの、そこそこ止まり。観終わって格好良かったアクションシーンというのが思い出せないのよね。
ラストの海猿とキャシャーンの拳銃vs日本刀対決もそこそこ見れるものの、「VERSUS」とかでもっとカッチョエエのを見ちゃってるんで。
豪華キャストも個性を活かし切れておらず、もったいないおばけが出るぞ。
佐藤浩市なんかもっとはっちゃけてもいいと思う。堺雅人は見せ場がまるでなくかわいそう。
キャシャーンは格好いいだけは格好いいんで一人輝いていた感じ。
薄幸のヒロインは木村佳乃で、踊ったり喘いだり泥まみれになったり血まみれになったりと体当たりの大熱演だったのだが…ごめん、個人的
に嫌いな女優なんで。それでも認めざるをえない熱演だったので、もしオイラ好みの女優さんだったら★1つくらい評価上がってたかも。
まさかの大活躍を見せる真のヒロインは桃井かおり。女優がろくな目に遭わない三池映画にしては、「IZO」の時といい優遇されている気が
する。
あと、いきなりドクが出てきたのには驚いた。
でも一番印象深かったのは一村人でしかない松重豊の純愛だった。
源平武者が銃持って対立して、あまつさえそれぞれの色(白赤)のスタジャンとか着ていたり、日本式の住宅なのに玄関だけ西部劇の酒場
の両開きの扉になっていたりEDが朗々たる北島三郎の演歌だったりと、頭の悪い世界観はサイコーなので続編に期待。
○「スクール・オブ・ロック」 ★★★★★ (04.5.26/劇場)
STORY:デューイ・フィンは売れないギタリスト。ロック命の非常識ダメ人間しかもデブ。親友・ネッドの家に居候しているが、家賃を請求され、更
にバンドをクビになりとどん底。そんな時、ネッドに私立小学校教員の臨時採用の依頼が。デューイは、給料目当てでネッドに成り済ます。厳格
な女校長の元、優秀ながらも個性のない教育を受けている子供らの担任となった彼は、子供らを騙してバンドを組み、一攫千金を企てるが…。
真面目で品行方正に躾られてきた子供たちがロックの伝道師と出会い授業では学べない大事なことを知り成長していく物語、というより
は、客席にダイブしても誰にも受け止めてもらえないカリスマ性ゼロの、叶わぬ夢を捨てきれないヘッポコロッカーが、金目当てで子供
たちとバンドを組みロックを教えていく内にイカス男に成長していく物語。
かといっていかにもお涙頂戴のあざとい感動ものというわけではない。かといって脚本が秀逸というわけでもない。むしろ先が読めるベタさで
ある。
しかしこれがまたいい映画なのだ。純粋に楽しいのだ。ロッケンロール・ブラッドが騒ぐのだ。考えるのではなく感じる一本。この良さは文章
ではよう表現できまへんわ。
…誉めすぎだな。
ひたすら濃ゆいダメ大人の主人公”S先生”もサイコーだが、騙されてバンドを結成するキッズたちがまた素晴らしい。稚拙ながらも楽しそうに、
裏方も含めて一丸となって披露するクライマックスのライブは感涙もの。
この作品で扱われている”ロック”はピンク・フロイドだったりレッド・ツェッペリンだったりディープ・パープルだったり、グッド・オールド・デイズな
ものばかりで、そこいら辺で肌に合わない人はいるかも。
主演はコメディ俳優で実際にロッカーでもあるジャック・ブラック。
堅物女校長にジョン・キューザック…ではなく、その姉のジョーン・キューザックって、紛らわしい名前だなあ。
○「スケバン刑事 コードネーム:麻宮サキ」 ★ (06.10.10/劇場)
STORY:NYから日本へ強制送還された凶暴な少女K。逮捕された母親の釈放を条件に、彼女は警視庁特務機関特命刑事・コードネーム:
麻宮サキを襲名する。彼女の潜入先は聖泉学園、アングラサイト・”エノラゲイ”に設置された謎のタイマーのカウントダウンの秘密を解き明かす
のが任務。いじめられっ子の今野多英を助けたサキは次第に心を通わせていく。少しずつ事件の核心に迫るサキだが、そこには多英の影も…。
リメイクブームの波に乗り、訳も分からず強制送還、今じゃ何の因果かマッポの手先。この身一つと覚悟の筈が、不意に出会ったダチの為、
期間限定!スケバン刑事!
4代目麻宮サキには伝統に則り現役アイドルの松浦亜弥を配し、そのライバルには同じくつんく一味の石川梨華を起用、監督は「バトロワ」
シリーズの深作健太………書いててどんどん不安になっていくのは気のせい?
結論から書いてしまうと、アイドル映画としてはなかなかの出来!アイドル映画にしては演技もアクションもかなりまし。
ブリブリのアイドルのあややがなんとも凶暴なスケバン刑事を演じきっていて、あややに関しては文句無しと言える。
冒頭のレクター博士かよ!な登場から大立ち回り、ロンリーウルフなところを見せたりヨーヨー下手だったり爆破されそうになったり石川梨華に
痛めつけられたり日本刀でスパスパ斬られたり、大活躍。
そのライバルの”悪のスケバン刑事”石川梨華もまたよい。表の顔のハイソなお嬢様っぷりも実に嘘臭くてよろしいし、本性むき出しで
ボンテージ衣装に身を包みサキをいたぶる姿は素っぽくて更によろしい。
クライマックスでのサキとのヨーヨー対決はシチュエーション的に非常に燃え萌えだったのだが最後がちとあっけなくて残念。惜しい。
ラストの大立ち回りもなかなかにアホ格好良かったのだが最後がちとあっけなくて残念。惜しい。
サキ(4代目)の母親役で初代のその後を斉藤由貴本人が演じ、暗闇警視も20年前のキャスティングで登場というのも熱い。
でも今の斉藤由貴は何をやっても「いつ本田博太郎の声で心情を語るんだ?」としか思えないのが問題。
サキをサポートする冴えない中年刑事に竹内力。いつもは髪の毛セットビシッ!スーツビシッ!グラサンビシッ!チャカビシッ!舎弟ビシッ!
なのだが、今回は髪の毛ボサボサコートヨレヨレの冴えない男やもめを好演。カオルちゃんとはまた違った新境地開拓か。
でもラストは髪の毛をビシッとなでつけて日本刀持って愛娘の助太刀に颯爽と駆けつけてほしかった。もしくはラガーマンの格好して
「トラ〜イ!」。しかし、太ったなあ。
以上、良い点。
以下、悪い点。
脚本ダメすぎ。一体何をやりたいんだ?何でそうなるんだ?
エノラゲイ(原作でサキと麗美が闘った船と同じ名前だよね?)を見て馬鹿学生が爆弾を作るのだが、普通それをどこかに仕掛けるよね?なのに
彼らは爆弾を何故か体に巻く。別に自殺したいわけでもないのに。なぜどうしてほわい?
事件を追っていくうちに浮かび上がる学校側が闇に葬った一年前の爆破事件。丁度一年後の日、いじめられっ子支援サイトを立ち上げていた
事件の被害者を偲んでオフ会が開催され全国からいじめられっ子たちが集まるのだが会場は学校の体育館。どう見ても平日なんですが事件を
隠しているはずの学校が使用許可を出したんですかねえ。なぜどうしてほわい?
まあそんなのは氷山の一角で、全く筋が通ってないのに何故か進展していく物語とペラペラの演出に耐えきれず、劇場から逃走したく
なること二度三度四度五度………。
ラスボスの動機とかネットの描写とか防弾スーツ着てるとはいえアサルトライフル相手に真っ向突撃してみたりとか、ペラいペラい。
女の子たちは健闘しているんで★を幾つにしようか悩みに悩んだのだが、その頑張りを無にするほどに話が駄目駄目なので★1つ。
石川梨華率いるユニット・美勇伝とかいうのの残り2人もメインキャストで、まったく芸能人オーラのないその二人のうち、そこそこかわいい
(ちょっとかわいいクラスの女子、というレベルで、なんでアイドルやれてんのかわからん)方はちょい役なのにイマイチかわいくない
そこいらのかっぺ女子高生、というレベルで、なんでアイドルやれてんのかわからん)方の出番が多かったのはどうかと思ったが、それ
以上にどうなのよ!?と思う所ばかりの映画なのでそれくらい些細な問題。
○「SCORE」 ★★★★
STORY:「チャンス、世の中には二種類の人間しかいない。銀行を破るヤツと、金を受け取るヤツだ」。大佐と名乗る男に飼われる銀行強盗
のプロ・チャンスは、相棒たちと宝石強盗を成功させる。ただし、報酬を受け取るのはチャンス一人のみ。残りは大佐に消されるのだ。しかし、
合流場所の廃工場で宝石を第三者に奪われたことにより、怒り、野望、夢、裏切り、友情…幾多の思惑が交錯し、銃弾と血の雨が飛び交う!
「2」を見たのでそういえばこっちの感想もアップ。
ええと、デ・ニーロの犯罪アクションじゃないので注意。奥山和義製作総指揮で作られた和製B級アクションで、映画通の間ではおそらく、
タランティーノの「レザボア・ドッグス」のパクリとして知られていることであろう。オイラが「レザボア」を見たのはだいぶ前なので詳しい指摘は
できないのだが、黒のスーツで決めて銀行を襲う主人公たち、とか疑心暗鬼になって互いに銃を向け合って凝固するシーンなんかは、切ない
くらいまんまで弁解の余地はない。
でもまあ、それだったらもっと×10「ライオンキング」とか「アトランティス」とかを糾弾しろや、とか思うわけで。一応、「SCORE」のはパクリ
ではなくオマージュなんだよ、と小さい声で囁いてみたり(笑)
「SCORE」は確かに要所要所を「レザボア」やジョン・ウー&ヴァン・ダムの「ハード・ターゲット」などからそっくりパクっているが、それでも
熱い映画なのだ。(なんかエアロのパクリと言われて必死で弁明するB’Zファンみたいだ)
熱さよりも狂気じみたクールさ漂う「レザボア」よりも、「レザボア」のこれまた元ネタの香港ノワール映画の、泥臭くも熱い漢臭さと同じオーラが
漂ってくる映画なのだ。
序盤は、あまり強そうに見えない小悪党っぽい大佐やその部下・コブラのホモっぽさとか、いささか饒舌過ぎて辟易する西部劇オタクのTJと
脳味噌スッカラカン女・サラのヒッチハイク強盗カップルのバカっぽさ(こいつら文字通り盗人猛々しい、救いようのないノータリンチンピラ
バカップルだが、そのエモーショナルさは好き。テキーラのキーウエストの夕日の話とかも。そんな夢を語ってるとお約束で死ぬんだろうなあ、
というのが見え見えなのがちょっぴり切ない。)とか、撃たれても撃たれても撃たれても死なない仲間たちとか、さほど盛り上がらないのだが、
これから殺されるであろう仲間・テキーラにしゃにむに命を救われて、友情と己の保身の板挟みに合いチャンスが苦悩し、一方全てを失ったTJが
復讐のためにゆらりと歩き出すラス前から話のテンションは上がっていく。
友情のために全てを捨てて死地に赴くチャンス、頭数と火器の強力さに任せてブッ放ちまくる大佐の部下たち、撃たれても撃たれても
撃たれても撃たれても撃たれてもしぶとく撃ち返すテキーラ、不倶戴天の敵であるコブラ、そして大佐とチャンスの一騎打ち………、
最後の最後に待ち受ける大どんでん返し!漢たちの哀しくも美しき友情!
とにかくクライマックスの銃撃戦からラストにかけては熱さ700%!漢なら見とけ!そして日常生活でも大佐のマネして語っとけ!
「世の中には二種類の人間がいる。地獄へ堕ちる奴と地獄にも堕ちれない奴だ」!
主演は小沢仁志。今や竹内力&哀川翔兄ィや清水健太郎と並んで、ヤクザ映画のビデオジャケットをこれでもかと賑わすブレイクぶり。
監督は室賀厚。特技はよその映画のいいとこ取り。「GUN CRAZY」シリーズで(一部で)ブレイク。
○「SCORE2 THE BIG FIGHT」 ★★★ (03.7.30/ビデオ)
STORY:名うての犯罪者・キャッシュと仲間たちは5億円強奪に成功するが、キャッシュはその後事故でこの世を去った。3年後、5億円の隠し
場所が遊園地であると突き止めた共犯者たちは新たな仲間と共に回収に向かう。しかし、仲間の一人が殺され、疑心暗鬼になった一同は銃を
向け合う。さらに、5億円を横取りしようと、悪徳刑事が武装した部下たちと乱入し、深夜の遊園地は戦場と化す…。
あの熱血漢泣きアクション「SCORE」が帰ってきた!………と思ったら、同じなのは、”悪党どもが大金を巡って銃を向け合う”という基本
ストーリーと出演陣だけで残念。
舞台は深夜の遊園地。ジェットコースターや観覧車やお化け屋敷の中で、狙撃手・運び屋・爆破のプロといった犯罪者たちが、誰が事件の黒幕
かわからぬままに銃撃戦を繰り広げる!と書くとすげえ燃えそうなのだが、いかんせん予算がないB級映画なのであまり派手ではなく盛り
上がらなかったり。監督が室賀厚からOZAWAに替わり、前作と比べてキャラが立ってないのと友情パワーが少ないのも原因か。
メインとなる犯罪チームは小沢ブラザーズら6人だが、それよりも後半乱入する刑事2人(宇梶剛士・水上竜士)が爆裂していてすげえよい
キャラだった。
○「スターシップ・トゥルーパーズ」 ★★★★ (01.7/ビデオ)
STORY:地球連邦軍が巨大昆虫型宇宙人と戦争を繰り広げている未来。高校を卒業したリコは、恋人のカルメンと一緒にいたいがために軍に
入隊する。が、筋肉バカのリコは歩兵に配属され、彼女と疎遠になった挙げ句振られてしまう。その上訓練中に大ヘマをやらかしたリコは失意の
まま除隊しようとするが、故郷を敵の攻撃で破壊され、怒りに燃えて最前線行きを志願する。しかしそこは、地獄だった…。
この作品と「機動戦士ガンダム」の元ネタが同じなんて信じられませんてば。
地球にガミラス帝国ばりに隕石攻撃を仕掛けてくる巨大昆虫。対する地球連邦軍歩兵の主力兵器はマシンガン。しかし、なにせ敵は虫。
外骨格にはじかれまくってなかなか倒せない。逆に、初戦で10万人ほど虐殺されてしまう。
とまあ、とにかく人が惨殺される。首が飛び腕が飛び内蔵がはみ出し脳味噌吸われ…。
米国さんの戦意高揚映画と見せかけた反戦映画なんて勘ぐりもできるが、登場人物に合わせて、頭を空っぽにして見るのが正解の痛快
ガンガンな作品。熱いオヤジが多数出るのと人死にが激しいのはガンダムとの共通点?
○「スチームボーイ」 ★★★ (04.8.11/劇場)
STORY:19世紀英国。祖父ロイドと父エドワードという天才科学者の血を受け継ぐ少年レイの元に、ロイドから小包が届く。中に入っていたのは
無限の蒸気エネルギーを内包したスチームボールだった。だが、それを追ってきたオハラ財団のメカにレイは捕らえられてしまい、ロンドンの
スチーム城に連行される。レイはそこで待っていたエドワードと共にスチーム城の工事を手伝うこととなるが、捕らえられていたロイドが脱走し…。
最初に予告を見た時には、ものすごく手塚治虫の匂いを感じた。少年少女の血沸き肉踊る冒険スペクタクルなジュブナイル。冒険夢冒険
希望冒険友情冒険恋冒険、そんなイメージで結構ドキワクした。(と同時に主人公の声を当てる鈴木杏の演技力にかなりの不安=「あずみ」
予告の上戸彩レベル、を感じた)
で、本編を見てみたら………。
夢も希望も友情も恋もイマイチ見あたらず脚本も演出も演技もグズグズなので冒険も盛り上がらないという体たらく。
やっぱり構想製作10年は寝かせすぎ。
どうにも登場人物たちの掘り下げがダメダメで感情移入しようがなく話が盛り上がらないのだが…中盤、主人公の祖父ロイドが脱走し、
明らかにヤバい顔つきでスチーム城の破壊活動を始めると話が俄然盛り上がり始める。エキセントリックなジジイにあてられて重厚だった父
エドワードも(事故で蒸気の噴出を受けた時に頭のネジも2,3本外れた模様)キチガイの本性を露わにして吠えまくりで、暴走エスカレート。
さらに死の商人のおっさんが大英帝国に喧嘩を売りにわかに戦争勃発新兵器現地即売会開催でロンドンは血の海に。わがままヒロイン
も口を開けば気狂い発言連発という奇人変人ショー真っ盛りで何だこの映画?(笑)
ここからのデストロイぶりは頭悪すぎで痛快で「デイ・アフター・トゥモロー」で、ロンドン壊滅させてイギリスから抗議されないのかい?
つーわけでまっとうな映画を期待していくとガッカリするかもなバカ映画。
主人公は明らかにジジイ。爆発頭にギラギラした目つきでおまけにパンツ一丁というステキに無敵な外見に加え、声を当てる中村嘉葎夫
の、酔っぱらってんじゃねえのかというくらい呂律の回らないダメ演技が存在の尋常でなさを盛り上げていて素晴らしすぎる。
しかしまあ声優陣が悪すぎる。↑の中村嘉葎夫やら「アタック25」の司会者やら、聞いていて血管切れそうになるヘボさ。途中、阪”荒巻”修
の声の人が出てきた時にはその演技のまともさに思わずうっとりしてしまったほどに。ちゃんとした声優使おうよ頼むから。
(一応)主人公のレイを当てた鈴木杏もまあ酷いのだが、かわいい声なので許す。その舌っ足らずな早口がだんだん心地よくなってくるぜ。
しかしこのニュースの後(かつ「東京原発」を見た後)に見に行ったんで蒸気が噴き出すたびに何だかドキドキだった。
○「スティル・ブラック」 ★★★ (02.8/TV)
STORY:東欧の新興国ラベニア。本国から左遷されて大使館勤務となったドンは、地下鉄の構内で日本のカルト教団の教祖・三島と遭遇し、
熾烈な肉弾戦の末に逮捕に成功する。しかし、三島と武器の裏取引をしていた国防長官は中国大使館を疎ましく思い、教団と組んで皆殺しを
計画する。おびき出されて襲撃を受けたドンはかろうじて窮地を脱したが、その頃大使館はテロリストたちの手に落ちていた…。
海外ロケ敢行の現代アクションものの香港映画。
中盤の主人公と教祖様・三島の地下鉄駅でのカンフー対決がなかなか格好いい。二人はラストでもタイマンファイトをするのだが、どちらも
見応えがある。必殺の跳び蹴りを前に踏み出して受け止めて、そのままブン投げるとか、投げ系の技が多かったのが印象的。決戦での、
インテリアを粉々にしながらの大迷惑ファイトも。
この三島というのがなかなかいいキャラで。日本で地下鉄に毒ガスをばらまいて指名手配されたカルト教団の教祖(まんまな設定や)にして、
何故かカンフーの達人という。見た目は某麻原と違って、黒のスーツに黒のコートが似合う、なかなかのいい男だが。
と、まあ、これだけ書くと面白そうなのだが、面白いのはカンフーだけで、あとはダメダメ。
つーかヒロインが最悪。容姿はともかく、知能と行動が最悪。終盤は泣きわめきまくりでうざったいし。意表をついて最後に死んで
しまう(しかも犬死に)のには驚いたがざまあみろ。演じるはスー・チー。一気に嫌いになってしまった。
○「ステキな金縛り」 ★★★★ (11.11.25/劇場)
STORY:宝生マミは亡き父に憧れ弁護士になったが失敗続き。最後のチャンスとして回されたのは殺人事件の弁護。容疑者の、犯行
時間は旅館で落ち武者にのしかかられ金縛りになっていたという話を聞いたエミはその旅館で落ち武者の幽霊−更科六兵衛を捕まえ、
法廷に引っ張り出す。しかし六兵衛の姿はほとんどの人間には見えなかった。なんとか幽霊を証人にすべくエミは悪戦苦闘するが…。
三谷幸喜監督第5作。
裁判で容疑者の無実を唯一証言できるのが落ち武者の幽霊。当然幽霊なんで普通の人には見えない。さてどうする?という
アイディアが面白すぎる一品。一歩間違えればダダ滑り一直線の瀬戸際だが、そこはそれ、円熟の演出と豪華なキャストで見事な
コメディに仕上げている。
つーかキャスティングの妙に尽きる。
ボンクラ弁護士の深津絵里はそんなに特筆すべきところはない(それでもやっぱり話が進むにつれだんだんかわいく思えてきて
しまった)し、落ち武者の幽霊で法廷に出廷してしまうなんて奇天烈な役どころの西田敏行はまあ期待通りの演技だとして、その他の
脇を固める俳優陣がなんとも素晴らしい。
ライバルの敏腕検察官の中井貴一と弁護士の上司の阿部寛が生真面目にバカやっていてすこぶる笑わせてくれる。まあ阿部ちゃん
の方はやりすぎ感があるが。中井貴一は影のMVPといった感じ。
無実の被告人に「LOVEDEATH」(!!!)以来2作目の映画出演となるKAN、深津絵里の同棲相手にTKO木下、全く似合って
ない軽薄な金持ちに山本耕史、完全犯罪を目論む悪女に竹内結子、六兵衛を調伏しようとする陰陽師に市村正親と意外性のあり
すぎるキャスティングにニヤニヤしっぱなしである。
でもまあ、浅野忠信や小日向文世やチョナンカンはミスキャストな気もするが。アサチューは演技するとなんでこんなにわざとらしく
なるんだろう。
前作や前々作のキャラで登場の佐藤浩市や篠原涼子、皆勤賞の唐沢寿明らいつもの面々に加え、深田恭子も意味もなく登場。
しかも何その胸の谷間強調した演出は?ここで★1つプラス。あと御存知大泉洋まで出てた。どこで出たと思ったら、スタッフロールが
出た後って…。
でも一番笑ったのは生瀬勝久だった。しょーもないけど、あれは卑怯だ、うはははは。
キャスティングのことばかりに終始したが、お話は終盤、それをやるんなら最初からヤッチマイナよ、ということをやってしまうので少し
残念。
KANだって、どうせ死ぬだったんだから、甘んじて殺人犯の汚名を着て死刑になればよかったじゃない。
○「ストライクウィッチーズ劇場版」 ★★★★ (12.4.5/劇場)
STORY:’45年、謎の敵・ネウロイからロマーニャを解放した宮藤芳佳は魔力を失って故郷に戻っていたが、坂本少佐から医学校への留学を
打診され、三度欧州へ向かう。同行するウィッチ・服部静香は伝説のウィッチである芳佳を尊敬していたが、軍規を守ろうとしない芳佳に次第に
失望の色を強くする。一方、欧州では多方面でネウロイが侵攻を開始し、空を飛べず戦えない芳佳も戦火に巻き込まれてしまうが…。
「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」の名コピーと共にオタク業界を震撼せしめた話題作が二度のTVシリーズを経てついに映画化。
しかも総集編などではなく完全新作。
舞台はTVシリーズ終了後。解散した501統合戦闘航空団が新たなる敵の出現と仲間の危機に際して再結集する物語。
TV版をリアルタイムに見ていた人にとってはおよそ1年半ぶりの彼女たちの勇姿ということになり感無量であろうが、こちとら2日前に見
終えたばかりだったのでそんなに感激できなかったのは残念。
つーかシチュエーション的に「2」の冒頭2話の焼き直しになっちまうよなあ。
その上芳佳がどんどん強くなっているので力押しでやっつけてしまって大味だという。
結局、芳佳が何故に再び空を翔けることができるようになったのかも謎だし、いろいろ問題はあるのだが、
かわいいは正義!
なので許せてしまえるのである。こまけぇこたぁいいんだよ。
新キャラや各戦線のウィッチたちはもちろん、501統合戦闘航空団の面々も相も変わらず超絶にかわええので無問題である。
相も変わらずズボン姿で素晴らしいアングルで大空狭しと跳ね回るので無問題である。
だってそーゆーのを期待してみんな劇場まで足を運んでるわけでしょ?ワシもじゃ、ワシもじゃみんな!!
まあ登場人物が多いので掘り下げが少ないのは惜しいところ。なんだったら90分全編エイラーニャ でもよくってよ。
個人的には「2」の第1話で派手にぶっ壊された我が麗しのヴェネツィアが復興していて嬉しかった。ネウロイの野郎め。そしてルッキーニの出番
が多くて嬉しかった。
つーわけで無事主人公も復帰したし、TV版第3期でも劇場版第2弾でも、いつでもスタンバイOKだのう、とEDを見ながら思ったら、最後の
最後がまんま「つづく」の大文字でワロタ。
まあ、もっさんは魔法力を失ったままだが、気合とか特訓で何とかするだろうし。
新メンバー加入で偶数人になるからカップリングで余りが出なくなると思ったら新メンバーが2人なのでまた割り切れないという罠。
○「ストレンヂア 無皇刃譚」 ★★★★ (07.10.15/劇場)
STORY:時は戦国、赤池領。明国から来た謎の集団に追われる少年・仔太郎と愛犬の飛丸は偶然行き会った浪人に助けられる。名前を捨てた
という彼−”名無し”を用心棒に、仔太郎はとある寺を目指す。一方、明国の集団は不老不死の秘薬を得るための儀式の準備をしていた、その
ためには選ばれし子ども−仔太郎の生き血が必要なのだった。そして仔太郎が彼らの手に落ちた時、”名無し”は封印していた刀の解き放つ…。
アニメ製作会社・BONESが放つオリジナル時代劇伝奇アニメ、乾坤一擲の一撃。
短刀を直輸入に言うと、面白かったのである。あんまり話題にならなかったのが勿体ないくらい。
戦国時代を舞台に繰り広げられる謎の刺客集団と訳アリ用心棒との激闘、そこに介入する精鋭武者集団、死闘、死闘、また死闘、死屍累々の
戦場でついに相まみえる二人の男、卓越した戦闘能力を持つ、群れからはぐれた獣たち、そして地獄絵図を乗り越えて成長していく少年…。
確かに多少物足りない点はある。
女っ気が極度に少なかったり(その分衆道っ気あり)、主人公が刀を封印しているという設定上中盤までの戦闘シーンが少な目でそれ故に
刺客集団のキャラがあまり立たなかったり、刺客集団がヒロイン…じゃなかった鍵を握る少年を狙う目的が今ひとつパッとしなかったり(プロットの、
日本で龍脈を暴走させることにより大陸に天変地異を起こさせる、くらいのケレン味があってよかった)。
それでも十二分に面白い冒険活劇であった。そもそもこの寒い時代に劇場用オリジナル時代劇アニメで撃って出るという精神が頼もしい
ではないか。そしてCGに頼らない渾身の手描き作画によるアクションもGJ。虚構は何処まで行っても虚構でしかないのに3DCGなんぞに
うつつを抜かす凡愚どもにアニメ屋の魂を見せつけた感じである。
話題作りのためか主役2人がジャニーズという絶望極まりない声優陣だが、これがまた意外に好演。
主人公の”名無し”を演じる長瀬智也はそのぶっきらぼうな棒読みがキャラの性格とマッチしていて違和感無し。長セリフが少ないのでボロ
も出なかった。
仔太郎を演じる知念侑李(ドクがやった実写版「ハットリ君」でパンツ一丁で走った子やね。)も、ちょっちしんどいシーンもあったが初々しくて
概ね良好。
むしろアニメ慣れしているはずの竹中直人の方がウザかった。役柄のせいでもあるけど。
その脇を固めるのは山寺宏一、大塚明夫といった一流声優揃いなのでそこは盤石。
”ストレンヂア”である二人は置いといて、脇キャラも濃ゆくて印象的。(それ故にもう少し活躍の場が欲しかった…。)
中でも大塚明夫演じる辣腕家老が清濁合わせ飲む味のあるキャラでよかった。
そしてヒロイン…じゃなくてもう一人の主人公である少年・仔太郎きゅんが………か、かわええ。
彼の成長を描いて終わる最後のシーン、パンフのあらすじによるとハッピーエンドなのだが………そうなのか?
強がりのセリフ、力のない返事、止まらない出血、一瞬かいま見せる泣きそうな顔…これって二人の永遠の別れが迫っているってことじゃない
ん?
○「スナッチ」 ★★★★ (02.2/ビデオ)
STORY:舞台はロンドンの暗黒街。86カラットのダイヤを巡り、闇ボクシングの冴えないプロモーター、闇ボクシングを牛耳るギャング、ロシア
の武器商人、宝石の密売人、伝説の殺し屋、腕っぷしの強いジプシー、トホホな小悪党、犬たちが入り乱れて大騒動が起きる。
「ロック、ストック&トゥー・スモーキン・バレルズ」で鮮烈なデビューを放ったガイ・リッチーの監督第二作。ナイスな前作に惚れ込んだ
ブラッド・ピットが格安のギャラで出演を直訴したという話題作。でも彼、主役じゃないんだが。
内容はといえば、前作と同じく、大量の濃ゆい登場人物たちが入り乱れて、バラバラだったいくつかの事件がだんだんずれていって一つ
に収束され、悪党は破滅し、いいヤツは報われ、愛すべきダメ人間たちもそれなりのエンディングを迎えるわけで。
面白いのだが、前作を見ているとそれほど目新しくはない。つーか似ている。とはいえ、水準はるか上の面白さはキープしているが。
どちらを先に見たかで変わるような気がするが、オイラはやや前作の方が好き。三作目もまたこんな感じだとさすがにつらいかも。
(註:嫁のマドンナ主演のマドンナによるマドンナのための第3作は見事’02年のラジー賞を受賞してしまった)
質屋を経営する黒人のダメダメコンビが実にダメダメで笑えた。
○「SPIRIT」 ★★★★ (06.3.21/劇場)
STORY:清朝末期、強さに魅せられた武術家・フォは、最強の座に手が届き掛けた矢先に、報復で家族を皆殺しにされ狂乱・出奔する。流浪
の果てに小さな農村にたどり着いた彼は、その素朴で純粋な暮らしの中、人間として再生していく。家族の墓参りに町に戻った彼が目にしたの
は、外人に隷属する国民の姿だった。国家の誇りを取り戻すべく、武術家として立ち上がった彼は、外国の猛者を次々と試合で倒していくが…。
「ジェット・リーには弁髪がよく似合うと言うが、さんごには涙は似合わないぞ」(故・塩沢兼人の声で)
つーわけで超久方ぶりに弁髪頭になったジェットさん…いや、リー・リンチェイの爆裂カンフー巨編。当然吹替版は池田秀一でよろしく!
つーわけで弁髪になった以上は全編カンフーカンフーまたカンフーで「ワンチャイ」シリーズを思い出して懐かしいことこの上なし。まああの
頃からもう10年以上経っちまってるんで、結構編集や演出で逃げているところもあるのだが。でもやはりアクションがいきいきとしていて観て
いる方も楽しくなる。
予告やあらすじを見ると中国の威信を背負ったリー・リンチェイと外国の強者たちとの天下一武道会といった印象なのだが、武道会は最後の
対決以外はあっさり終わってしまって(しかも最初の5分くらいで。)ちと拍子抜け。その代わりに強さに溺れた若き日のやんちゃアクションが
豊富なので満腹にはなるが。
話は、強いけどイヤなヤツが頂点からどん底に叩き落とされて泥水を啜る羽目になるが、落ちた先で幸運な出逢いをして改心し復活を遂げる、
というチャウ・シンチー映画のフォーマット。が、ラストバトルの展開はちょっと予想外だった。(だって弁髪のリンチェイが試合でピンチに
なるなんて思えないからなあ。)しかもちょっと泣きそうになった。
ラストバトルの相手の日本人武術家・田中安野(どんな名前だ!?)@中村獅童は儲け役。
もう一人の日本人俳優・原田眞人は「ラストサムライ」に続いて「日本人の恥」役を好演。この恥さらし!(笑)
○「ザ・スピリット」 ★★★ (09.6.15/劇場)
STORY:セントラル・シティの正義を日夜守る不死身のハンサム・スピリット。だが、彼は一度死んだはずの自分が何故蘇ったのか、何故不死身
となったのかを知らず、人知れず苦悩していた。彼の宿敵の天才犯罪者・オクトパスは町外れの難破船に眠る謎の財宝を狙っていたが、半分を
謎の女怪盗・サンドに奪われる。彼女が若き日の初恋の人だと気づいたスピリットはオクトパス一味と戦いながら彼女を追いかけるが…。
「シン・シティ」、「300」と原作を忠実にバイオレントな漢映画に仕立ててもらってしかもスマッシュヒットを記録したフランク・ミラーが、じゃあ
自分で監督しちゃうぞ!と張り切ってみた一本。(「シン・シティ」でロドやんと共同監督は経験済。)
ところが原作は自分のものではなく他者のアメコミをチョイス。攻めなのか逃げなのか。
結果としては原作のせいなのか監督としての力量のせいなのか(たぶん両方)、ハードボイルドに徹しきれないどうにもおマヌケな作品に
仕上がっていて苦笑い。まあこれはこれでボンクラ臭がして楽しかったけれど。
冒頭、相変わらずの色のない世界に映える赤色という画に「シン・シティ」の興奮がいやがおうにも蘇ってくるが、事件発生の報を受け現場
に徒歩で向かうザ・スピリットの姿に一抹の不安に襲われてしまう。
そして事件現場で鉢合わせするオクトパス一味の異常なハイテンションっぷりとスピリットとの便器で殴り合うプロレスチックな戦闘にハード
ボイルドな印象は瓦解。
なんだコメディ映画だったのか。
つーわけで不死身な以外は徒手空拳でどうにも頼りなくやたらにモテモテな割にはどうにもヘッポコな二枚目半のスピリットさんと、無闇
矢鱈とハイテンションでイカスボンクラ悪党オクトパスさん並びにその秘書のオスマシボンクラ眼鏡っ娘と愉快なボンクラデブクローン
軍団が繰り広げるボンクラドタバタ活劇というのが正体。
おっと忘れちゃいけない美女軍団。お尻が素敵な女怪盗に双刀の女殺し屋、ゴッツイ超兵器装備の女警官に前述のオクトパスのアホな
ノリにおすまし顔で付き合う眼鏡っ娘秘書と多種多彩なイロモノを取り揃えてお客様のお越しをお待ち申し上げております。
まあつーわけで(宣伝不足もあり)劇場はガラガラの不入りだったわけだが。
地味な主人公はおいといて派手な悪玉をサミュエル・L・ジャクソンが喜々として熱演。シリアスな役柄もこういう役柄も似合うんだから偉い。
その部下の眼鏡っ子にスカーレット・ヨハンソン。相変わらずエロい唇に加え、今回は胸の谷間も強調してみたりして。もっとこういうアホな役を
演じていただきたい。
お尻の素敵なヒロイン・サンドにエヴァ・メンデス。「ゴーストライダー」の時なんかは胸にばっか視線が行ってたんだが。
もういっそ前売り券にあのお尻のコピーを付ければもっと収益取れたかもしれないのに。
○「SPACE BATTLESHIP ヤマト」 ★★ (10.12.25/劇場)
STORY:西暦2199年、人類は謎の異星人・ガミラスの遊星爆弾により地球を放射能で汚染された死の星へと変えられ、絶滅に瀕して
いた。謎の星・イスカンダルからのメッセージを受け取った日本軍はその技術を元に宇宙戦艦ヤマトを建造。ヤマトは人類最後の希望を
背負いイスカンダルを目指す。その戦闘班長に任じられた古代進は艦長の沖田がかつて兄を見殺しにしたことを許せずにいたが…。
まあ観る前から駄目なことはわかっていたが、観てみたらやっぱり駄目だった。
何が駄目かといえば主役に木村を起用、ヒロインは時代の流れを鑑みて戦うヒロインに変更、というこの企画の肝となる部分が駄目
駄目だった。まあ企画の段階で沈没してたってことだね。
主役の木村は古代進ではなく、あくまで木村として出ている感じで、違う!断じて違う!と言わざるを得ない。
木村が好きな人は許せるんだろうが、木村が嫌いな人には全てが鼻につく仕様。
森雪も、このままじゃ古代君が死んじゃう!とは決して言わないキャラ。そもそも呼び方が古代”さん”だし。
登場当初はツンツンした空気の読めない女だったが、木村の奸計でヤマトを救うためとはいえ仲間をその手に掛ける実行犯を
やらされ、気落ちしたところを木村に攻められデレる。あまつさえヤマトがワープ航法をしている最中だというのに寝室で木村の
波動砲をブチ込まれ妊娠する。
守られているだけが女性じゃない、という意図で設定を変えられたんだろうが、結果として男のいいように弄ばれているキャラになってる
ような気がするのだが。
主演の二人だけが悪かったらまだ救われた(そうでもないな)のだが、他にも悪い点は多々。
もう一人の主役とも言える沖田艦長役の山崎努のやる気のなさは一体何なんだろうか。
あと配置も変えられ性別も変えられたレーダー担当の相原はレーダーから目を離しすぎ。
島に至っては「北京原人」の主役ではないか。
俳優ではないがアナライザーも気持ち悪い姿で登場し、すぐさま使い捨てられてしまい、唖然。
とはいえ、明らかに役作りをしている柳葉敏郎や味は出している西田敏行や高島礼子や池内博之は悪くはなかった。(よいとも
言ってないが。)
ガミラス星人は残念ながら青い肌のヒューマノイドではなく、精神生命体。一応有機物の体に寄生しているようだが、人間にも取り
憑ける。だったらわざわざ地球を放射能汚染しなくてもいいじゃん。
ストーリーもワープ航法の如く端折りまくりで、さしたる戦闘も苦難もなく、あっさりイスカンダルまでたどり着いてしまって拍子抜け。
しかもそこまで来ておきながら放射能除去装置があるなんて話は嘘っぱちだった、などとオリジナルな展開を入れる訳のわからなさ。
しかも結局実在するし。じゃあその一幕いらないじゃん。
しかし日本軍の切り札の宇宙戦艦ヤマトで乗組員も当然全員日本人、と他の国の話は一切ない物語なのに主題歌は外人というのは
格好悪くないかい?
○「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」 ★★★ (07.5.22/劇場)
STORY:ラスベガスのマフィアのボス・イズラエル(通称・エース)は破滅寸前で、他マフィアの情報を餌に司法取引をしようと、高級ホテルの
最上階に隠れていた。そのエースの心臓に老マフィア・スパラッザが100万ドルの賞金を掛けたという噂が流れ、名うての殺し屋たちが動き
始める。暗殺を止めるべくホテルへと急ぐFBIのメスナーとカラザーズ。高級ホテルを舞台に殺し屋たちの死闘が派手に幕を開ける…。
すんません窓口で「スモーキン・ビリー大人1枚」とか言いそうになったんだあいといぅぞぉいぇーすもーきんびりー。
たった一人の標的を狙って現れましたる個性派揃いの殺し屋さん7名、さらに標的を保護しようとするFBIや保証人にボディガードまでも
巻き込んでホテルはド派手に血の海に、というバイオレンスアクション。コメディ仕立てというか、異様にテンション高い殺し屋さんや間抜け
が多数いるのであまり陰惨な感じはしない。
つーかそのバイオレンスコメディというノリはどこかで観たような、と思えば、そう、どことなく三池崇史チック。
と思えば、監督のジョー・カーナハンは「映画秘宝」のインタビューで、それを狙ったとコメントしていて、さもありなん。
最後無理矢理まとめようとするオチとかも含めてなあ。
つーわけで、もし三池監督が作ったら、というキャスティングを考えてみた。
役名 |
役柄 |
CAST |
三池版 |
イズラエル(エース) |
殺し屋に狙われる落ち目のマフィア幹部 |
ジェレミー・ビヴェン |
山口祥行 |
メスナー |
事件を追うFBIの熱血捜査官 |
ライアン・レイノルズ |
北村一輝 |
カラザーズ |
メスナーの相棒。百戦錬磨の敏腕捜査官 |
レイ・リオッタ |
哀川翔 |
アイビー |
イズラエルの腹心 |
コモン |
加藤雅也 |
クルーブ |
イズラエルのボディガード。頭悪い |
|
SABU |
アルフォンソ |
イズラエルのボディガード。女調達係 |
|
寺島進 |
デュブリー |
イズラエルの身柄確保を依頼された保釈保証人 |
便・溢れっ苦 |
松重豊 |
ティークス |
デュブリーの相棒 |
ピーター・バーグ |
曽根英樹 |
エルモア |
デュブリーの相棒、グズ |
マーティン・ヘンダーソン |
高野八誠 |
リード |
イズラエルの弁護士、女装癖あり |
ジェイソン・ベイトマン |
竹中直人 |
サイクス |
女殺し屋コンビ・色仕掛け担当 |
アリシア・キーズ |
吉野公佳 |
ワッターズ |
女殺し屋コンビ・狙撃担当、サイクスが好き |
タラジ・ヘンソン |
吹石一恵 |
ダーウィン |
キレまくりのパンク殺し屋3兄弟 |
クリス・バイン |
岸谷五朗 |
ジープス |
キレまくりのパンク殺し屋3兄弟 |
ケヴィン・デュランド |
遠藤憲一 |
レスター |
キレまくりのパンク殺し屋3兄弟 |
モーリー・サーリング |
佐藤佐吉 |
アコスタ |
拷問のプロとして知られる名うての殺し屋 |
ネスター・カーボネル |
竹内力 |
スート |
変装の達人の伝説の殺し屋 |
??? |
田口トモロヲ |
謎のスゥエーデン人 |
スパラッザの雇った謎の殺し屋 |
??? |
本田博太郎 |
スパラッザ |
マフィアのボス、イズラエルの首に懸賞金を掛ける |
ジョセフ・ラスキン |
内田裕也 |
ロック |
メスナーらの上司、事件の影で暗躍するFBI幹部 |
アンディ・ガルシア |
石橋蓮司 |
個性豊かな登場人物の中では、何と言ってもパンク殺し屋3兄弟のインパクトが強すぎ。見た目も殺しの得物も言動も面白バイオレンス
すぎ。
女殺し屋コンビもいい感じ。狙撃担当のワッターズのライフルのゴッツさ最高。戦争する気かい。
そして最終兵器のカラテボーイは夢に出そうなヤな感じ。
序盤はあまりの登場人物の多さと状況説明っぷりがちょっとタルいのだが、ドンパチ始まってからはノンストップで目が覚める思い。
ただ、毒のある笑いもスタイリッシュさも漢泣きさも突き抜けておらず中途半端で、まとまってはいるんだけどすっきりしないオチとも相まって
評価は上がらない。惜しい。
○「スラムドッグ$ミリオネア」 ★★★ (09.6.18/劇場)
STORY:インド、ムンバイ。クイズ・ミリオネアに出演したスラム出身の電話交換手・ジャミールは最終問題まで勝ち上がるが、警察に拘束されて
しまう。教育を受けていない無学な男があと一問まで勝ち抜けるはずがないとインチキの疑いを掛けられ警察に尋問されるジャミールが語り出す
運命の物語。何故彼が正解を続けられたのか、何故彼はミリオネアに出場したのか。彼には兄がいた。そして、最愛の女性がいた…。
ダニー・ボイル監督がインドを舞台にインド人俳優&スタッフばかりで撮ったアカデミー賞受賞作。実質インド映画なれど英語で喋ってる
んで外国語賞じゃないのれす。
運命の物語である。滅びゆく世界駆け抜ける嵐選ばれし者メノブデステニである。
無学なのにあと一問まで勝ち抜いてしまうのも運命だから仕方がないのである。まさに映画じゃあないですか。
スラムに生きる人々の活気、子役たちの熱演、変わりゆくムンバイの情景、いろいろと印象的だが、一番印象深かったのはインドでもミリオネア
の番組の音楽が同じということだったり。DVD出る時は司会者の声はみのもんたがやらされそうだ。ヒール役だから受けないかもだけど。
運命の人であるヒロインが最終的に全然魅力的でないくたびれた顔になっちまうのと兄貴への因果応報が虚しいのとでちょっちマイナス
だが、エンドロールでのインド映画になくてはならない一大ダンスシーンが嬉しかったのでプラマイゼロ。
○「3 on 3」 ★★★ (03.10.3/ビデオ)
STORY:近未来、日本は不況から崩壊し高橋首相が独裁政治を行っていた。かつて天才バスケ少年だった24K・CAP・SHAPEの三人は、
反政府のカリスマとして処刑されそうになるが、執行寸前に何者かに命を救われる。することもなく、15年ぶりに故郷へと帰ってきた三人は、荒れ
果てた街とかつての仲間たちに愕然とする。街を立て直す金を稼ぐため、彼らはスポーツと格闘技の融合したゲーム”Dボール”に参戦する…。
一言で説明するならば、「少林サッカー」のバスケ版、よりも、
荒廃した近未来、政府が影で糸引く残酷ゲームのTV中継を熱血主人公(たち)がド根性を武器にぶち壊すという展開は、
むしろ、「バトル・ランナー」バスケ版と言った方が的確か。
つーわけで熱血スポ根なのである。しかし、主演は”HIP−HOP界のカリスマ”(なんですか?知らんけど)ラッパ我リヤ。オイラ嫌いだからよう
わからんのじゃが、HIP−HOPと熱血スポ根って、かなり食い合わせ悪そうじゃないですか?と、企画段階に遡っての疑問が…。
実際、劇伴は普通の音楽だったりするのだが、試合に勝ってラッパ我リヤが持ち歌を歌い出すと非常に寒くなってしまうのがなんとも。
なんつーか、友情!努力!勝利!みたいな展開なのに、突如として歌い出す歌があんなのだというのが、一気に萎えちまって。
最大の見所であろう格闘バスケ(遙か昔コナミがゲーセンで出していた「パンクショット」を思い出すとよい。ナヌ、知らんと?)は低予算ながら、
頑張ってCG使ってバカらしさを増量させていてなかなかよい出来。
にらみ合う視線はレーザービームとなり、全身からほとばしるオーラで相手をはじき飛ばし、集団催眠で正体を隠し欺き、最終決戦では「北斗の
拳」ライクなプロテクターを纏った敵が八つ裂き光輪やら怪光線やら奥義を使い、果てはかつてのライバルが窮地に助けに入ったり、ライト
セーバーなんかまで飛び交ったりで血ィ流れまくり人死にまくりな阿鼻叫喚の地獄絵図で素敵だ。
オチはともかくなあ。
ところどころで萎えるが、バカ映画好きなら及第点をあげてもよい出来かと。
ラッパ我リヤなんて使わなければもっと出来がよかった、と言い切れない微妙〜な魅力が彼らにあるのが面白いところ。
劇中では”マスク・ド・ラッパ”を名乗って敵チームを蹴散らしまくるラッパ我リヤの面々(覆面かぶってるんでスタントマン使い放題だ、
よかったね!)の演技力は、「ムーンチャイルド」のHYDE並で、頑張っているのは見て取れる。長いセリフになるとキツイが。
一応ヒロインらしきものに三輪ひとみ。今回もとんでもない設定で素晴らしい。あと「地球防衛少女イコちゃん」(ナヌ、知らんと?)の人が
なんとも言えない役柄で出ていた。
つーか謎の評論家役の黒沢清(「回路」や「ドッペルゲンガー」の監督)や独裁者役の高橋洋(「リング」シリーズの脚本家)に至るまで脇役が実
にいい味を出していて主演組をナイスカヴァーしている。
監督・脚本は「発狂する唇」、「血を吸う宇宙」の佐々木浩久。共同脚本に「地獄甲子園」の山口雄大。この段階でまともな作品になるはずが
ないことがわかるよなあ。
音楽は発狂シリーズでもコンビを組んでいたゲイリー芦屋。今回もまたいい仕事してます。
○「300」 ★★★★★ (07.6.9/劇場)
STORY:紀元前480年、西アジアと北アフリアを制覇した大帝国ペルシアはその矛先をギリシアに向けた。ギリシアの有力な都市、尚武を
もって知られるスパルタの王・レオニダスは降伏を勧告する使者を退け、戦いの準備を始めるが、神託により出兵は禁じられてしまう。しかし
レオニダスは己の信念を貫くため、わずかな精鋭を引き連れ戦場へ向かう。300対100万、絶望的な戦いの火蓋は切って落とされた…。
燃やせ その瞳に灯した 炎に命を賭けて
誰かがお前を呼んでいる 勝利を掴むまで
熱いその体に流れる血潮に心をゆだね
愛のために死ねる朝を探しているのか
痛快エログロハードボイルドバイオレンス「シン・シティ」のフランク・ミラーの史実を元にしたコミックを、ゾンビ疾走チェーンソー暴発
映画「ドーン・オブ・ザ・デッド」のザック・スナイダーが映画化。
よほど原作者がうるさがたなのか、原作を最大限にリスペクトした作りとなっている。それすなわち、マンガみたいな映画っつーことで、そんな
映画、大好きに決まってんだろ!!!
つーわけで大地を埋め尽くし、地鳴りを立てて迫り来る異国の大軍団、その数100万!立ち向かう味方はわずか300!
だがしかし、その300人をただの300人と思うなかれ。彼らこそ、有事のために、産まれた時から鍛え上げられてきた筋金入りの戦士たち
なのだ。そして勝つために練り上げられた集団戦闘法。敵は100万といえど烏合の衆。1人で3,333人殺せばスパルタの勝利だ!!!
かくして大軍の利をなくす狭い山道での死闘が始まる。スパルタの精鋭の前にたちどころに積み上げられる死体の山。空を黒く覆い尽くさん
ばかりの、チャン・イーモゥもビックリの矢の雨も笑って凌ぐ漢たち。犀!象!魔道!次々と繰り出されるペルシアの万国ビックリ部隊も
歯が立たず。吹きすさぶ風がよく似合う300人の戦鬼と人の言うですよ。
つーわけで一言で言ってしまうと、「真・三國無双」シリーズの実写版てな感じ。スパルタの勇者たちの一騎当千ぶりに、血を滾らせるべし!
ただ、手が飛び脚が飛び首が飛ぶ残虐描写オンパレードなので女子供にはお勧めしかねる。
マンガみたいな(誉め言葉)アクションは痛快なのだが、あってなきが如きストーリーだとか、最後のアレ(あんな危ねえ証拠品持ち歩くなよ!)を
入れても胸くその悪さが残る後方支援のシーンなくてもいんじゃね?とか、スパルタという弱者の犠牲の上に成り立っている超エリート体育会
系国家が「専制君主制から自由を守るために戦う!」なんてセリフを吐くのは薄ら寒いとか、そりゃあ問題も多々あるし、あからさまに観る
人を選ぶ映画だが、ジャンプマンガとか大好きな永遠の中学生諸君は絶対観とけ!!!
○「世界侵略:ロサンゼルス決戦」 ★★★★ (11.9.8/劇場)
STORY:突如として世界各地の大都市付近の海に地球外からの人工物が着水し、陸地へと侵攻を開始した。ロサンゼルス近郊に基地を構える
アメリカ軍海兵隊に所属する歴戦の勇士・ナンツ二等軍曹は部下を失った苦悩から退役を決意していたが、異星人からロサンゼルスを守るため
出動を余儀なくされる。しかし、火力で勝る異星人の猛攻の前に、部隊は救出した民間人と共に敵陣で孤立し、次々と仲間が斃れていく…。
異星人の侵略ものというと最近の代表作は「スカイライン」、「宇宙戦争」、「クローバーフィールド」あたりが思い浮かぶが、この作品もまあ
そんな感じだと思ってもらえれば間違いない。
特に「スカイライン」は同じ年に公開された上に舞台も同じロサンゼルス、しかもVFX担当まで同じだったりするからなあ。
しかし、前掲の作品群が、その情け無用の悪の侵略者どもに為す術無く蹂躙される一方で、この世には神も仏も地球防衛軍もないのか、と
いうモヤモヤが残るものだったのに対し、今作はなにせ主人公がバリバリの軍人、ルール無用のダーティファイターどもに一矢報いてくれる
のが嬉しい。
まあ異星人が弱いなら弱いでちょっち物足りない気がしないでもないのだが。
話が進むにつれ弱体化が進むような気がするのはこちらの気力が上がって攻撃力が増しているから?w
にしても流石に敵司令部の紙装甲っぷりはねーだろ。脆い、脆すぎる。60年も偵察したのにこれかい。
主人公は軍人なので隊員がたくさんいて覚えるのが大変。いつの間にか死んでるヤツが多い。
紅一点の女性軍人さんが海兵隊ではなくて技術部なのに阿修羅をも凌駕するくらい強いのだが、中の人がミシェル・ロドリゲスなので仕方が
ない。
流石だ。
冒頭のキャラ紹介で「オレ結婚するんだ」とベタすぎる死亡フラグを立てておきながらまさかの生還を遂げる黒人は中の人が特別出演の
ニーヨなのでこれも仕方がない。監督が気を遣ったのか。ニーヨが我が儘を言ったのか。
「スカイライン」の敵の圧倒的な強さや味方のアホさ加減に不満だった人に特にオススメ。「地球防衛軍」シリーズが好きな人にも。EDF!
続編もなんぼでも作れるしな。「世界侵略:東京決戦」とか「世界侵略:ロンドン決戦」とか。
○「ゼブラーマン」 ★★★★★ (04.2.14/劇場)
STORY:2010年横浜市八千代区。市川新市は二人の子供の父親で小学校教員。だが、家庭は崩壊寸前で、学校でも子供に馬鹿にされて
いるダメ人間だった。彼の唯一の趣味はかつてたった7話で打ち切られた特撮ヒーロー「ゼブラーマン」の衣装づくり。完成したコスチュームを身
に纏い散歩していた新市は、怪人とバッタリ出会い格闘になってしまう。実は八千代区には地球征服を企む宇宙人が侵入していたのだ…。
”哀しい川を翔ぶ”と書いて哀川翔兄ィの、前人未踏の主演100作記念作品。
そのメモリアル作品の監督に指名されたのが、我らが三池崇史、さらにオファーした脚本家が宮藤官九郎という超豪華コンビ。
つーかむしろモーストデンジャラスコンビが持ってきたプロットが、なんとヒーローもの。ヤクザやらチンピラやらアウトローばかり演じる翔
兄ィに、正義の変身ヒーロー、しかも普段の姿は小学校教師を演じさせるというとんでもない話。
そしてできあがった作品は…。
傑作である。主演100作メモリアルにふさわしい、翔兄ィの新境地を切り開く一本となった。
真面目な話、ヒーローに憧れる子供と、かつてヒーローに憧れていたその親が揃って見られるいい話となっている。
パンフによると、翔兄ィは三池監督に「子供が見られるものを」と要望を伝えたそうである。
さすがカメレオン三池監督、それに見事に応えてくれたじゃあないですか。…同じ要望を受けた「カタクリ家の幸福」は子供が見たらトラウマに
なるような作品に仕上げたくせに。
閑話休題。製作が東映ということもあり、しっかりヒーローものとなっている。クライマックスでのゼブラーマンの真のヒーローへの覚醒、そして
ファイナルバトルはカッチョエエ。
主人公を支えるゼブラーマンオタクの浅野少年と、主人公の息子と、子供との絆がきっちり描かれているのはいいねえ。やはりヒーローたる
もの子供を助けて、子供に憧れられてナンボですわ。イケメン揃えて主婦の人気取りなんて、「なっちゃいねえぜ」。
そして「お客さんが気持ちよく帰れる歌にしたかった」と監督が言うエンディングテーマはザ・ハイロウズの山本正之魂溢れる名曲「日曜日より
の使者」。なんだいこの曲の出だしと見終わった心境のハマリ具合は?
ヒロインは鈴木京香。三池映画のヒロインなんで扱いはぞんざい。ゼブラーナースも本人なのか…。ちょっと見直した。
事件を追う防衛庁の調査員に渡部篤郎。翔兄ィの隣人なんで声掛けられたらしい。
事件の鍵を握る男に大杉漣。三池映画には久々登場のような気が。相変わらず素晴らしいバイプレイ。
その他、内村光良、岩松了、古田新太、袴田吉彦とクドカン−TBSラインでチョイ役にビッグネームが多々。
三池監督とクドカンの合体なんで、どんなにはっちゃけたものになるかと思ったが、意外にまともに作られている。
とはいえ、所々に狂った描写が出てくるのでそーゆーのを期待していた人も安心。
と、誉めてばかりだが、全体的に粗い造りなんで疑問点やら不満な点やらもボロボロボロボロ見つかるので、大きな心で許してしまえる人は
見るべし。
あと、竹内力兄ィにおける「カオルちゃん」や「竹内力」と同じで、他の翔兄ィのヤクザな出演作をよく知らない人にはどこが面白いのか
わからんかもしれないので、そーゆー人はしっかり予習してから見ないとゼブラスクリューパンチの刑。
当初三池&クドカンが東映に持ち込んだ企画は「仮面ライダー翔(はばたく)」だったそうで。残念ながらボツとなったのだが、この映画がヒット
したらやってくれないもんかねえ?オンドゥルルラギッタンディスカー!を半年で終わらせて。
なんにせよ、2030年公開、哀川翔主演1000本記念作品「ヤクザ球団VSテキヤ球団」まで、あと900本!
○「ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲」 ★★ (10.5.17/劇場)
STORY:2010年、市川新市はゼブラーマンに変身してエイリアンを倒し、地球は救われた。2025年、記憶を失った市川はゼブラ
シティと名を変えた東京で目覚める。そこは朝夕5分ずつ犯罪行為が許されるゼブラタイムが施行される弱肉強食の世界。保護施設
で謎の少女に触れた市川は真っ白なゼブラーマンに変身し、時を同じくして、市長の娘・ユイは漆黒のゼブラウーマンに変身する…。
哀しい川を翔ぶと書いて翔!翔!こと哀川翔兄ィの主演作100本記念に三池崇史とクドカンが華を添えた「ゼブラーマン」
から6年、劇中の舞台となった2010年になったのを記念してかまさかの続編が登場。
前作は投げやりな作風がウリの監督&脚本が珍しくまっとう気味に作劇したこともあり、特撮ヒーローものとして結構見られる
出来だったのだが、今回は残念ながら通常営業のやっつけ監督&脚本。前作からの引き継ぎはほとんどなし。前作で蘇った家族
の絆とかちょっといい仲のゼブラナースとかは最早なかったことレベルに。なっちゃいねえぜ。
前作の頃は”Vシネの帝王”として知られていた翔兄ィも6年経ってみればバラエティ番組にもちらほら顔を出すお茶の間でも人気
の”アニキ”になっており、そうなると前作の、”ヤクザばっか演っていたあの翔兄ィが変身ヒーロー?”という意外性も希薄で、
なんつーか誰得映画。
酷い脚本(一応褒め言葉)と酷い演出(一応褒め言葉)が今回は上滑りしており、どうにも笑えないしアクションも燃えない。
ゼブラタイムとかミニスカゼブラポリスとかおいしそうな設定はあるのに使いこなしてないのが残念。
あの壮絶な最後の戦いとオチ(上手いこと言ってるんだがシュールすぎる)を目の当たりにしても、ただただ無言で劇場を後にする
ばかりである。
そんな中気を吐くのは俳優たちの頑張り。
物語の鍵となる露出度がやたら高いゼブラクイーン@仲里衣沙はビッチ役を熱演。
女性陣の扱いの酷さには定評のあった三池監督だが、「ヤッターマン」の深キョンで覚醒してしまったのか、またしても黒
ボンデージの悪の女王を目立たせていて、なんだか待遇よし。
でも、オイラ、目の周り黒い化粧(ゴスとかそういうことを言いたいらしい)って大嫌いなのよね。フェイスガード虜かよ!
その彼女の護衛役の阿部力と、暑苦しい熱血漢役のココリコ田中はなかなか儲け役。
2025年に続編公開したら神。
○「戦国自衛隊1549」 ★★ (05.6.27/劇場)
STORY:実験中の事故で自衛隊の的場1佐の部隊が460年前にタイムスリップしてしまった。再びタイムスリップの条件が揃った2年後、特殊
部隊は戦国時代へと向かう。目的は、歴史を改編し現在の世界を亡きものにしようと企む的場隊の殲滅。部隊の中には的場の右腕だった
鹿島の姿もあった。無事戦国時代にたどり着いた鹿島たちだったが、彼らを待ち受けていたのは織田信長に成り代わった覇王・的場だった…。
かつての千葉真一の怪作「戦国自衛隊」のリメイク。原作は「ローレライ」の福井晴敏、監督は「ゴジラ×メカゴジラ×モスラ」のアイツ。
まあ大金掛けて豪華キャスト使って大々的に宣伝して全国公開するような邦画にろくな作品がないというのは聖闘士に同じ技は二度
通用しないのと同じくらい常識なわけで、最初から期待せずに行ったので腹も立ちませぬ。
前作にあったアバウトさは消えたものの、ダイナミックさやワイルドさも失ってしまい盛り上がらず。
前作の、圧倒的に有利かと思われた近代兵器軍が、武田騎馬隊の捨て身の奮戦を受け、戦車が転がりヘリが落ち、一人また一人と
倒れていく壮絶さのインパクトといったら、TVで放送されたのを観て20年近く経ってしまった今でも脳裏に焼き付いて離れなかったりする
のだが、今作ではそんなインパクトがまるでないのが悲しい。ヘリをロケットランチャーで落とすのなんて戦国時代じゃなくてもできるだろう
に。
便宜上「アバウトさは消えた」と↑で書いたが、ぶっちゃけ何ですかこの適当な時代考証は?1549年に信長が鹿賀丈史の年齢でそんな場所
に存在するわけねえだろ。(実際は鹿賀丈史の信長はニセモノだった、となるのだが、とりあえず当時の情勢頭に入れてから出撃してればハナ
からわかってたことなんじゃないん?)
そしてわずか2年でそびえ立つ石油精製所付きの機械城に大失笑。
んで敵さんの目的がまた関東壊滅ですか?福井センセイそればっかですな。(「ローレライ」も「亡国のイージス」もそうっしょ?)
役者も皆微妙な演技ばかりで盛り上がらず。自衛隊の人々がほとんど皆その他大勢という扱いでは話も盛り上がらんて。
隊長役の生瀬勝久は珍しくシリアスな役なれど途中から目のひんむき方がギャグになっていてGJ。
部隊のおやっさんポジションの嶋大輔は儲け役。しかしいきなり家族の写真を見せるという禁断のネタをやってしまったため最後は言う
までもなく。
「アッパレ!戦国大合戦」チックな北村一輝は相変わらず濃ゆい演技で抜群の存在感。綾瀬はるかは…ゴメン、真鍋かウォりだと思って
観てた。
伊武雅刀はまたいつものどうでもいい役かと思ったら、最近の役の中では久しぶりに、らしい役。
まあ前作と違って自衛隊の全面協力付きだからかえっていろいろ制約があったんだろうが、とにかく痒いところに手が届かない作品。
あと、最後にヘリはタイムスリップの段階で操作不能で墜落するんでないの?
○「宣戦布告」 ★★★ (02.12/劇場)
STORY:福井県敦賀湾で北東人民共和国の潜水艦が座礁、11人の重火器を持った工作員が上陸した。捜索に出た警察や民間人が殺害
され、ついに総理大臣・諸橋は自衛隊の治安出動を決定する。しかしそれを宣戦布告と見なし北東人民共和国軍が日本へ侵攻の動きを見せ、
さらに中国など近隣国やアメリカもそれを受けて臨戦態勢へ移行する。このまま日本は戦場となってしまうのか…?
作中では”北東人民共和国”と名前を変えているが(他の国はすべて実名だというのに。)、言うまでもなく本当は北朝鮮なわけで、日本と北朝鮮
の国交正常化が実現しようかという時に、実にタイムリーに公開された作品。どうにも現実に起こってもおかしくない話というのが笑えないなあ。
「シュリ」の冒頭なんかで紹介されている団結精鋭軍団が、原発銀座でテロやられたらとんでもないことになる若狭に侵入、警察特殊部隊SAT、
そして自衛隊と激しい銃撃戦を繰り広げるわけなのだが、物語の主体はそこよりもむしろ永田町で権力にしがみつき保身ばかり考えて事態を
悪化させていく腐れ政治家どもの右往左往や、出動しても法律の縛りによって重火器が使えないなどまるで存在意義のない自衛隊と
平和憲法の矛盾という実情のあぶり出しに置かれている。
最終的には「戦争は首相官邸で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」と現場指揮官がブチ切れて重火器の使用を許可、手榴弾や
ヘリのバルカン砲でキムチくせえチョンどもは肉片も残らねえZEざまをみ!となるものの、カタルシスはさほど得られないのがちと弱い。
たとえばこれが三池崇史監督だったら血噴き肉飛び散り生首は瞬きする一大バイオレンスになったであろうに。いや、そこまでやらんでも
いいのだが、いかんせん地味。まあ、あんまり敵兵を惨殺描写すると北朝鮮からクレームが来そうだからなんて理由もあるのだろうけれど。
とりあえず最初の犠牲者のSAT隊員が、死に際にポケットから最愛の妻と子供の写真を取り出すところで爆笑。なんてベタな…。
○「千と千尋の神隠し」 ★★★★★ (01.7/劇場)
STORY:現代っ子の千尋は父親の転勤による引っ越しに憂鬱顔。その途中に立ち寄った古びたトンネルの向こうには異形のものが徘徊する
奇妙な街があった。そこにあった料理を勝手に食べた両親は豚になってしまう。驚く千尋はハクという少年に助けられれ、彼の指示で、両親を
助けるために、魔女・湯婆婆の経営する湯屋で働くことにする。過酷な労働の中、少しずつ千尋は人間本来の生きる活力を取り戻していくが…。
オイラは「もののけ姫」が非常に嫌いな訳なのだが、この作品は、その嫌いだった部分(重々しく偉そうにテーマを語る、ヒロインがツラも声
も萌えねえ、etc.)が鼻につかなかったのでよかった。
何よりも、美しい。雨上がりの木造の湯屋から眺める空と海…一面の青、ほのかな灯りで照らされる森の小道の先に待つ古びた一軒家、
子供の頃の記憶の片隅に引っかかっているようなノスタルジックな風景がよい。
主人公・千尋はどー見てもかわいくない。が、これが動画になると(予算豊富なので)よく動きまくって、その仕草がなかなかによい案配で
ある。声も素人っぽさがよい方に作用しているし、歴代宮崎ヒロインとは毛色が異なるものの、十分キュートである。たっぷり酷い目に遭うしな、
ヒヒヒ…。
つーかこのいぢめられ描写(触手責めとかウンコ風呂とか)は監督のリビドーむき出しだなあ。
踏んだり蹴ったりで不安と絶望ばかりの前半から徐々に巻き返しての後半の快進撃は心地よい。みんないいひとばかりになるし。
やはりこのヒゲメガネは重いテーマ抜きのエンターテイメント作品の方がいいのを作るなあ。余韻なさ過ぎのラストはちょっち不満。
○「千年女優」 ★★★★ (02.10/劇場)
STORY:30年前、絶大な人気を誇りながら突如姿を消した女優・藤原千代子。番組制作の立花は、彼女がかつてなくした宝物を手土産に会談
に成功する。千代子は思い出話を始める。初恋の人との出会い、約束、そして…。いつしか話は彼女が出演してきた幾多の映画と交じり合い、
戦国の世から未来へと広がっていく。虚構と現実の絡み合ったそれは、叶わぬ千年の恋の呪いの物語、千年を越えて追いかける恋の物語…。
多分に実写的でありながら、アニメ特有の表現で物語を綴った良作サスペンス「PERFECT BLUE」の今敏監督の第2作は、やはり実写的
でありながら、よりアニメでなければ表現しきれない映像の作品だった。
往年の大女優・千代子が語る思い出話はいつしか彼女が演じた女優たちの物語と混ざり合っていき、インタビュアーたちもその中に取り込まれ
ていくという展開は、最初の方こそ「映画の話かよ!」、「場面変わってるよ!」と三村ツッコミを思わず入れたくなってしまうが、怒涛の二転
三転四転五転…ぶりの小気味よさにいつしか引き込まれていってしまう。
つーか10代千代子さんはかなりの萌えキャラ。もう表情や動きがかわええかわええ。そんな千代子さんが出演作品に合わせて、ある時は
戦国時代の姫君、ある時はくのいち、ある時は従軍看護婦、ある時は女教師、ある時は巨大怪獣に立ち向かう天才博士と七変化する様に
ときめき指数は上がりまくり。そして年取って声優が突然、ドスの効いた小山菜美になってときめきグラフは逆V字を描いて急下降。
話はものすごく面白いというわけではないが、どこかで見たようなかつての日本映画、そして日本の歴史を渡り歩く千代子の映像はなかなか
よいのでオススメ。飯塚昭三らベテラン声優陣や平沢進の音楽もグッジョブ。
「千代子の忍法七変化」公開希望!
○「SAW」 ★★★★ (05.2.10/劇場)
STORY:青年アダムが目を覚ますと、見知らぬ部屋に監禁されていた。右足首には足かせがはめられ脱出不能、そして部屋の中央には死体
が1つ。部屋の反対側にも同じように鎖につながれた男がいた。男の名はゴードン、外科医。現状を整理していく内に、ゴードンは犯人に思い
当たる。被害者を自殺に追い込む猟奇殺人鬼・通称”ジグソウ”の存在を…。
27歳の新進気鋭の若者2人が撮り上げた低予算スリラー。低予算ながら全米で大ヒットを記録。
密室に自由を奪われ閉じこめられた2人の男と1つの死体、という何ともそそられる設定で物語は始まるが、終始室内だけの息詰まる心理
攻防とはならず家族の話や過去の話で物語が外へ飛び出してしまうのでちょっと散漫な印象を受けてしまうが、クライマックスからの畳みかける
展開が楽しいので甘々評価で★4つ。
大真面目ながら突き抜けて一周して笑えてしまう箇所が何カ所かあって、個人的にはニヤニヤ。
電気ショックは「ぷっすま」を思い出したし、最後のアレも「あー、よく死んだ!」(「あー、よく寝た!」っぽく)的で吹いてしまった。
○「SAW2」 ★★★★ (05.11.9/劇場)
STORY:連続猟奇殺人犯人・ジグソウを追い詰めた刑事・エリック。だがジグソウの館に置かれたモニターには洋館に閉じこめられた息子・
ダニエルの姿が映っていた。ダニエルたち8人は2時間で死に至る神経ガスを注入され、命を懸けた館からの脱出ゲームに参加させられていた
のだ。息子を救うべくジグソウの仕掛けたゲームに挑むエリック。その間にも館の中では仕掛けられた罠で次々と犠牲者が出つつあった…。
低予算ながらスリリングなサスペンスで好評を博した前作を受け登場した第2弾もまた低予算。
前作の密室劇に今回は「CUBE」っぽいデスゲーム要素を追加!というあくまでもB級っぽさがよい。
んで、その、”即死トラップだらけの死の館から協力して脱出しようとするもスネに傷持つ烏合の衆の集まり故に疑心暗鬼で仲違い”という
箇所が緻密さに欠けており少し物足りなさが残る。
しかしまあ、どんでん返しもしっかり決まっているし、最後に登場するのが前作のあの場所というサービスが嬉しかったりするので、前作が
嫌いではないB級映画好きなら観ても損はないかと。
○「ソウ3」 ★★★ (06.12.5/劇場)
STORY:夫との離婚問題に揺れる外科医・リンは連続殺人魔・ジグソウに拉致される。ジグソウの助手・アマンダはリンの首に爆弾を仕掛け、
彼女に死の床にあるジグソウの延命を要求する。ジグソウの仕掛けたゲームが終わるまで…。息子を交通事故で失ったジェフ。その犯人に復讐
を企てる彼もジグソウに拉致される。廃工場を彷徨う彼の前にはジグソウの手に落ちた、事故に関わった憎むべき人物たちの悲惨な姿が…。
一応三部作の完結編っぽい作り。過去2作のフォローもしっかりとされており、ちょっと懐かしかったり。「1」のメイキング映像(笑)は非常に
微笑ましかった。
後半のどんでん返しラッシュはなかなか素敵で、まずまず引っかかったが、今回はそこに行き着くまでの残虐描写が増大ですっかりグッタリ。
前作までのジャンルはサスペンス・スリラーだったのに今回はスプラッタ?てな感じ。各種処刑方法もより手が込んだ残虐装置がジャンジャン
出てきて、残酷を通り越して最早笑えてしまった。
前作では相手が暴力刑事だったのでそんなでもなかったが、今作では相手がまっとうな人間だっただけに、くされ外道のくせに滔々と偉そう
なことをのたまうジグソウにすげえムカついた。
○「SAW4」 ★★★ (07.11.25/劇場)
STORY:連続猟奇殺人犯・ジグソウは死んだ。だが、司法解剖されたジグソウの胃の中から、彼の新たな犯行声明が発見される。ジグソウを追う
内に次々と仲間を失い憤りを隠せないSWATのリグスは、自宅で何者かに襲われて昏倒する。目覚めた彼が見つけたものは見慣れたピエロ
人形のビデオだった。「さあ、”ゲーム”の開始だ」。一方、FBIはジグソウの元妻から事情徴集し、ジグソウの過去に迫っていた…。
最早誰が待っているのかわからんシリーズ第4弾。今回の最大のポイントは、前作で説教殺人鬼・ジグソウがくたばったのに話をどう
続けていくのか、というところ。個人的には実はジグソウには生き別れた双子の弟がいた!(ニューヨークで中華料理屋をやっている。)
くらいの力業を期待していたのだが…。
冒頭、ジグソウの解剖が始まり、脳が摘出されるシーンを見て、おおお、もしかして脳だけ生きてるメカジグソウorロボジグソウ!?とdkwk
しまくったのだが、流石にそんなことはなくガッカリ。
ではどうやって話が続くのかといえば、前作までのアマンダに続く新たな後継者の出現という至極まっとうなパターンなのだが、コイツのバック
ボーンが語られず、何故選ばれたのか、何故選んだのかが不明瞭なため甚だ消化不良。まあ待て「5」ってことなんだろうけど。
全体としては思ったよりも全然まともな続編で、ある意味拍子抜け。もっとイロモノとかグダグダで失笑とかを期待してたもんで。
前作・前々作をしっかり復習しておかないと最後の畳み掛けが理解できないなど問題もあるが、まあ普通に楽しめた。わざわざ劇場まで足
を運んで観るほどのものかというと、そこまででは…。
○「双生児」 ★★★★ (03.6.20/DVD)
STORY:明治末期。若き名医・大徳寺雪雄は火事で投げ出された記憶喪失の美女・りんを妻として迎え、幸せな日々を送っていたが、最近、
家の中で誰かの視線を感じることが度々あった。やがて、両親が相次いで変死し、雪雄も庭で何者かに背後から襲われ涸れ井戸に落とされて
しまう。犯人は雪雄と同じ顔を持つ男、生まれたときに捨てられ、貧民窟で育った双子の弟・捨吉だった。彼は雪雄になりすましりんに迫る…。
塚本晋也監督(・脚本・撮影・編集)作品。原作は江戸川乱歩だが、内容は大幅に書き換えられている。しかし乱歩的妖しさはしっかり表現して
いるっつーか、登場人物全員眉毛がないというとんでもない絵ヅラに。半歩間違えればお笑い以外の何者でもないが、ここでは
踏みとどまってシュールな世界観を体現している。
でもヒロインの、HOKUTOのきのこのCMに出れそうなあの日本髪はやりすぎ(笑)
入れ替わる主人公、入れ替わりに気づいた妻の抱えた秘密、と複雑化しそうな内容だが、全編で100分に満たなかったりするので話はいたって
スッキリしていてよい。それだけ無駄を排除した上手い作りというわけで。まあ、持ち込まれた企画ものとはいえ、全編意味があるのかないのか
わからない「鉄男」を作ったのと同じ人なんだもんなあ。
主人公たる双子の兄弟を演じ分けるのが本木雅弘。後半の狂気の演技は素晴らしい。しかし眉毛のないその顔はどこかベイスターズの佐伯を
思い出させると思うのはオイラだけですか?
ヒロインにりょう。眉毛のない女なんざまっぴらごめんなれど後半の演技はやはり素晴らしい。
脇を固めるのは筒井康隆・麿赤児・浅野忠信・竹中直人・田口トモロヲとゴッツすぎる面々。
○「ソナチネ」 ★★ (01.2/ビデオ)
STORY:ヤクザの組長で凶暴な男・村川は上部組織の命令で、厄介払いされるように沖縄の抗争の助っ人へと出向く。実際はたいした争いも
ないと聞かされていたそこに到着してすぐに浴びる刺客の洗礼。舎弟のほとんどを殺された村川は、わずか5人で海辺の一軒家に潜伏する
ことに。降ってわいたような平穏な日々。だが、そこでも襲撃を受け、さらに舎弟を殺された村川はついに反撃に転ずる。
あー、やっぱりたけし映画は合わん。静のシーンが性に合わず、唐突に始まり淡々と済んでしまう動のシーンも好きじゃない。
何よりも、久石譲の邦画邦画した劇伴が気に食わん。
○「その夜の侍」 ★★★ (13.2.5/劇場)
STORY:5年前、妻・久子を交通事故で失った中村建一は、いつまでも妻が最後に残した留守電を再生し、妻の下着に顔を埋め、立ち直れないで
いた。久子の兄・青木順一は見合いを斡旋したりとそんな中村を気遣い続ける。事故を起こした上に逃走し逮捕された木島宏は、出所後も更正せず
悪行を重ねていたが、家に毎日脅迫状が届き始める。中村を疑う木島は青木を呼び出し問い詰める。そして、事件から丸5年目を迎えた日…。
好評を博した舞台の映画化、らしい。
唐突に理不尽に、何でもない平凡な、しかし幸せな日々を奪われた人々が、その理不尽さを呪い血を流しながら折り合いをつけていく話。
なのだが、平凡平凡言いながら、どうにもほとんどの登場人物が元々どこかしらおかしいような気がして、感情移入を妨げる。
ジャイアンがそのまま大人になっちまったかのような邪悪と理不尽の化身の木島はともかく、その彼に愛する妻を奪われた悲劇の主人公である
中村からして、悲劇が起こる前から隠れてプリンを何個も貪りコミュ障っぽくすらある、平凡とは言い難い人物だし、その義兄の青木も妹を轢き
殺して逃げたぐう畜にいいように脅される上に解決法がピントずれてるし、木島に殺されそうになったのに何故か腰巾着になっちまう星とか木島
にレイプされたのに懐いちまう関とか「三日月」を熱唱したがるホテトル嬢とか、みんながみんな、おかしい。
主人公の職場の製鉄所の面々(一部除く)だけが心の救いだよ。
で、おかしい人々の物語は、カタルシスを得られないまま終わってしまって、どうにもこうにもモヤモヤモヤモヤっと。
平凡な日常をその手に取り戻すためにどうしても必要な儀式のようなものだったのだろうけど、それならそんなに思わせぶりにしないでほしい。
つーわけで、ストーリーだけなら★1つでもおかしくないのだが、そのマイナスを補って余りある出演陣の演技合戦はお見事。
売れない役者や鬱病患者から糖尿病患者までこなす堺雅人と、勇者さまや闇金からぐう畜までこなす山田孝之の二人のメインキャラは当然
ながら盤石。
脇を固める、いつもの眼力を封印して気弱な役を演じる新井浩文を筆頭に、田口トモロヲ、谷村美月、安藤サクラ、でんでんに綾野剛、高橋
努の「クローズZERO」組が名演、熱演、アンド怪演。
安藤サクラ登場シーン全般と田口トモロヲの着替えシーンは爆笑。
で、どの辺が侍なん?
○「宇宙へ。」 ★★★ (09.8.24/劇場)
STORY:NASA設立50周年を記念して、未公開の宇宙開発に関わるお蔵だし映像満載で送るドキュメンタリー。
うーん、地味。
だって「宇宙」と書いて「そら」と読ませるなんて、そりゃあもう摩訶不思議な素敵ワールド(はあと)を期待してしまうじゃあありませんか。
でも地味。
○「ソルト」 ★★★ (10.8.9/劇場)
STORY:CIAでロシア対策を担当する敏腕捜査官イヴリン・ソルト。彼女の結婚記念日にロシアから亡命してきたスパイ・オルロフは、
彼女こそ訪米中のロシア大統領を暗殺するための二重スパイだと密告する。行方不明になった夫を捜すためCIAビルから脱走した
ソルトはCIAの追跡から見事に逃げ切り、翌日ロシア大統領の暗殺をやってのける。果たして彼女の真の意図は…。
あれは誰だ 誰だ 誰だ あれは ソルト ソルトさん ソルトさん
裏切り者の名を受けて 全てを捨てて闘う女
ソルト注射は心臓麻痺 ソルト消火器はグレネード
ソルトパンツ(黒)は目眩まし ソルトチェーンは絞首刑
ロシアの力身につけた 正義のヒーロー ソルトさん ソルトさん
つーわけでアンジェリーナ・ジョリー姐主演の痛快成り行きアクション。
忠実なるアメリカの犬だと思われていたソルトさん@ジョリ姐だがロシアのスパイからのタレコミで潜入スパイ疑惑が浮上し逃亡。
半信半疑な同僚たちを尻目にロシア大統領を豪快に暗殺(西側にへつらうロシア大統領を殺して強いロシアを再建しようというロシア
のスパイの思惑。)したと思いきや返す刀でロシアスパイどもを一網打尽のジェノサイドしたと思いきやホワイトハウスを襲撃して
アメリカ大統領の命を狙うという一体何がしたいんだかわからないソルトさんの真意とは?
まあこうやってあらすじを書いた段階でもうハチャメチャだしいろいろ粗だらけだしでサスペンスとしてはボンクラもいいところ
なのだが、ジョリ姐の体を張ったアクションが楽しいので娯楽作としてはまあ及第点。
結局ソルトさんの正体は愛の戦士だったわけだが、それを観客に信じさせるにはいくらなんでも旦那の魅力がなさ過ぎる気が
する。顔も冴えないし、あんなウゼエ”虫”の研究家なんて気色悪いったらありゃしない。(超偏見)
しかしこの映画の公開前にアメリカに潜入していたロシアのスパイが一網打尽になったなんてニュースがあったのだが、実はこの映画
の販促?(笑)
○「それでもボクはやってない」 ★★★★ (07.1.27/劇場)
STORY:平凡な青年・金子徹平は、就職試験に向かう途中の満員電車で痴漢に間違われてしまう。捜査もなく逮捕されてしまった徹平は必死
に己の潔白を説くが、警察はまるで聞き耳を持たず、当番弁護士にも裁判で勝つ確率は千分の一だと言われ、検察庁でも主張を受け入れて
もらえない。嘘の自白をして示談に持ち込めば事件は終わるのだが、徹平は呟く。「それでもボクはやってない」。そしてついに裁判が始まり…。
周防正行監督の、「Shall we ダンス?」以来実に11年ぶりの新作。
つーても過去の作品は一本も観てないんだけどなあ。
痴漢冤罪を通して描く、サルでもわかる日本の裁判システム。そしてサルでも怯えてしまうその恐ろしさ。
「冤罪を覆す確率は0.1%」、「というのはハッタリで実はもっと高い確率で………それでも3%ぽっち」、「保釈金払う金あるならとっとと
示談しろ」、「被告に有利になる証拠は出さなくてOK」、「無罪判決は国家への反逆」…あわわわ、満員電車に乗ることがあったらドアの正面
向いてベッタリ貼りついていますぅ!
まあ確かに「それでもボクはやってない」と主張し続ければ誰でも無罪になるようなら犯罪者は皆言い張るわけだから厳しいシステムや態度
なのは法治国家として仕方ないことだし、かといって冤罪で苦しむ人たちを必要悪と切って捨てられるかといえばそんなわけもないし。
人が人を裁くということの恐ろしさを知らしめてくれる一本。
一番ゾッとしたのは家宅捜索でエロ本やエロビを押収されるシーンだけどな!
孤軍奮闘する母親とか元カノとか膨らませられる要素をバッサリ切って本筋だけでグイグイと引き込ませる手腕はまったくもってお見事。
コメディ演出は息抜き程度にしか入っていないのだが、それ故にその印象が引き立つっつーか本田博太郎のインパクトが…。犯人なのか黒幕
なのかそう見せかけてやっぱり犯人なのかウパーッ!
母ちゃんをしばらく宮川花子だと思って観ていたのは内緒だ。
○「ゾンビランド」 ★★★★ (10.8.14/劇場)
STORY:世界中にゾンビが溢れ滅亡間近のアメリカ。32の自分ルールを守って生き延びてきた引きこもりの青年・コロンバスは実家
へと戻る途中、タフガイのタラハシーと出会い行動を共にするが、人間不信の美少女詐欺師姉妹のウィチタとリトルロックに車と銃を
盗まれてしまう。が、あっさり再会した4人はひとまず休戦し、ゾンビのいない天国といわれる遊園地・パシフィックランドを目指すが…。
新人監督の作品ながら全米ゾンビ映画(笑)興行収益記録を塗り替えた(ごく一部では)話題作。
とはいってもそんなに目新しいことはやってないのだよね。残虐シーンもそこまでエグいわけでもなくギャグもそこまで面白いわけ
でもなくアクションもそこまでカッチョエエわけでもなくおにゃのこもそこまでかわええわけでもなく。
ただ、鑑賞後とてもいい気分になれたのは確か。
主人公は神経質で胃腸が弱くて人付き合いが下手な引きこもり気味の三流大学生・コロンバス(仮名)。無論、童貞。
そんなヘタレな彼がゾンビランドと化したこのふざけた世界で生き延びてこれたのは、hitoeに「有酸素運動(を心がける)」、「二度
撃ちする」、「トイレで気を抜かない」、「ヒーローにならない」、「疑わしい時は脱出口を確保」といった32の自分ルールを守って
きたから。
そんな彼がひょんなことから一緒に旅をするようになったのはゾンビ殺し(死んでるけど)に執念を燃やすワイルドでタフガイな
おっさん・タラハシー(仮名)と若年ながら凄腕詐欺師の美少女姉妹・ウィチタ(仮名)とリトルロック(仮名)。
彼らが目指すのはゾンビがいない天国の遊園地・パシフィックランド。まあそんなわけないとは思ったら、案の定そこはゾンビとの
一大決戦の場となるわけで。
冴えないオタクのDT青年が社会の荒波に揉まれながらも大切な何かを勝ち取るイカした青春ムービー。
まあ”社会の荒波”イコール”ゾンビ”だったりするのがちょっとアレだけど。
ただし、ゾンビ映画として見に行くとあまりその手の描写がなくて不満が残るかもだ。
今作のゾンビはダッシュ可能型だが、殺られた時(元々死んでるけど)短く声を漏らすのはコメディとはいえどうしたものか。
タラハシー(仮名)が異常なほどに固執する”トゥインキー”って何なのさ?とかタラハシー(仮名)が異常なほどに固執する
ビル・マーレイってそんなに凄かったっけ?とか、日本人には残念ながら少々馴染みが薄いところもあるけれど、良作。
とりあえず”トゥインキー”をWikiで調べたら食べてみたくなった。きっとものすげえ大味なんだろうなあ。
あと「ゴーストバスターズ」ごっこは世代的に爆笑せざるを得なかった。
○「孫文の義士団」 ★★★★ (11.6.23/劇場)
STORY:清朝末期。革命家・孫文が中国全土に反乱を起こす計画を立てるべく香港に現れることを知った西太后は500人の暗殺団を差し
向ける。暗殺団に護衛団を全滅させられた革命派は、孫文が密談する一時間だけ暗殺団の目をそらすべく決死隊を募る。資金を提供して
きた商人のユータンは17歳の一人息子・チョングアンが孫文の影武者に選ばれたと知り愕然とする。そして運命の一時間が幕を開けた…。
香港と中国本土が本気で製作した漢気アクション大作。
孫文を一時間だけ暗殺者集団から守るため命を投げ打つ漢たちの物語。
その漢たちにしても、孫文のイデオロギーに共鳴したわけではなく、もっと素朴に純粋に、ただ幼い娘に堂々と父親として顔向けできる
ようにするために、ただ父親の復讐のために、ただ敬愛する主人と愛する女のために、ただ己の名誉と正義感のために、ただ死に場所を得ん
がために、望んで死地に赴くその姿の美しさよ。
そして、「ここは俺に任せて先に行け!」と後事を仲間に託し、己の仕事をやり遂げて、ドヤ顔で死んでいく姿に、名前と生年−享年と
出身地のテロップが被さる演出は卑怯すぎる。そんなもん、泣いてまうやろうが!
死闘の舞台は香港の街中で、ほぼ一時間、リアルタイムに近い形で手に汗握る顛末が描かれる。
街中ならでは、人混みに紛れてあの手この手で襲い来る暗殺団という演出が巧み。
特に、暗殺団NO.2の狂戦士がドニー先生を追跡する時に、人混みを文字通り蹴散らしながら一直線に襲い来るシーンは圧巻だった。
怖っ!
そして激突する時のドニー先生とのカンフー対決も見事だったし、襲い来る10人以上の暗殺者を単身、鉄扇を得物に流麗に迎え撃つ
レオン・ライなど、全体的にカンフー成分多め。
弁髪を振り乱しロン毛で鬼気迫る強面で執拗に孫文一行を追い詰める暗殺団のリーダーが今年一番の悪役!というくらいにインパクト
があった(でも今年は「冷たい熱帯魚」もあるなあ)。演じるはフー・ジュン。って、「レッドクリフ」の趙雲の人なのか!全然印象が違うなあ。
孫文のボディガードのうだつの上がらない不良警官にドニー・イェン。なんだかすげえ若く見える。
同じ孫文の香港行を扱ったカンフー巨編「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱」では逆に孫文の命を狙ってたのが
懐かしい。流石にあの布槍術ほどの凄技は見せないものの、熱いカンフーを披露。
その元妻役のファン・ビンビンがすげえ美人。
同じく孫文のボディーガードの、前日に結婚式を挙げるなんて死亡フラグを立てまくる純朴な車夫にニコラス・ツェー。
「PROMISE」では冷徹な貴族を演じてたのが嘘のようだ。つーか若造の役を演じる歳でもあるまいに。
他にも心優しき大巨人や鹿賀丈史似の実質主人公のおっさんやカイゼル髭の似合う小物の警察署長などクセのあるキャラ多数。
歴史文芸大作ではなく大衆娯楽作寄りなのが実に嬉しかった。
名もなき漢たちが命がけで守った孫文によってもたらされた革命の果てに、中国は今こんな国なわけだが、彼らは満足しているだろうか。
(史実じゃないけどね & よその国のことは言えないけどね。)
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