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映画感想ら行
○「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」 ★★★★ (13.2.5/劇場)
STORY:インドで動物園を営んでいたパテル一家は、動物たちと一緒にカナダに移住すべく船旅に出たが、貨物船はフィリピン沖で嵐に遭遇し
あえなく沈没、ただ一人、16歳の少年パイ・パテルだけが救命ボートで難を逃れる。ボートには何匹かの動物が乗り合わせたが、リチャード・パーカー
という名のベンガルトラだけが生き残る。かくして、パイと獰猛なトラとの気の抜けない長い長い奇妙なサバイバルが幕を開けた…。
「虎は何故強いと思うね?もともと強いからよ」。
世界的ベストセラー小説を、ホモ映画でアカデミー賞を獲ったり黒歴史にされた「ハルク」で自らモーションキャプチャーを実演したり、なんとも
読めない男であるアン・リーが実写化。
なんか予告を見ると、嵐の中ただ一人と一匹生き残った少年と虎に芽生える友情、彼らは心を通わせ共に苦難に立ち向かっていく、なんて
陳腐な感動ストーリーぽくてえんがちょだったのだが、観てみると全くそんなことはなっしんぐ。
そもそも人間とその人間を餌として見る肉食獣に友情なんて芽生えるわけがない。互いに食うか食われるかの殺伐とした呉越同舟の中、それ
でも確かに芽生えてしまう連帯感があるのは事実だが、決してなあなあな関係にはならないのは良かった。
つーか見所はそんなところではなく、どこまでも広がる海と空のあまりにも凄まじい映像美である。
美しく澄んだ水面に投げ入れられた空き缶によって生じる波紋、群れなす飛び魚の飛行、幻想的すぎる夜行性の海月と浮上する鯨、変な笑み
を浮かべざるを得ない唐突すぎるミーアキャットの佇む浮島…。
大スクリーンで観ることができて本当に良かった。3Dは別になくてもよかったけどなあ。
物語もなかなかに奇想天外で冒険百連発で素敵。
シマウマとオランウータンがハイエナに殺されてしまう絶望感はなかなか。そしてそのハイエナをまさに鎧袖一触で屠るリチャード・パーカーさんの
頼もしさと、その後に待つ更なる絶望のジェットコースター感とか。
序盤のインドでの生活のエピソードが後半の伏線になったりはまるでしないのは肩すかし。
1カットしか出ない船のコックにジェラール・ドパルデューなんて大物を何故使ったのかと思ったら、ラストまで観て納得。
コナンくんには悪いが、いつも一つなのは事実であって、真実は人の数だけあるんだよなあ。
オイラも、アイマスの一番くじの欲しいのをコンプリートするのに¥600×40回も使っちまったよトホホ、なんて周りにこぼさずに、親切な人に無料で
一式譲ってもらったと話すことにするよ。
○「ラスト・サムライ」 ★★★★ (03.12.09/劇場)
STORY:今は昔。主人公”サムライ”が師匠と稽古に励んでいると、突如”魔狂神”が出現、死闘を繰り広げるも師匠は殺されてしまう。だが、
助っ人として現れた妖術使いの力を恐れた魔狂神は未来に逃亡する。サムライは妖術使いの力を借り、魔狂神を追って時空の彼方へと旅
立つ。群がる魑魅魍魎に向け、彼は剣をかざし叫ぶ。「マイソード!」英語かよ。
………………………。
あ、間違えた!
STORY:1876年。ネイサン・オールグレン大尉は、明治政府の中心人物・大村の依頼で、西洋化を進める軍の教官として来日する。彼らの敵
は、西洋化に反対し今だ武士道を重んじる勝元盛次の一党だった。初戦で勝元軍に敗れ捕らえられたネイサンだったが、勝元は彼を殺さず、
村に連れ帰る。のどかな村で武士道に殉じる人々と暮らすうちにネイサンの中で何かが変わっていく…。
外国産の時代劇の醍醐味と言えば出鱈目な日本描写なわけだが、この映画は画期的なことにマトモなのである。毛唐の分際で侍魂を
見事に描いてしまっているのである。しかも主演はトム映画という独自のジャンルを持つ男、トム・クルーズなのにである。これには敬意を
払い、脱帽の上土下座をするしかあるまい。(出鱈目でないというのは残念であるが)
舞台は倒幕後10年の日本。ただし、パラレル世界である。歴史上の実在人物は天皇(ボンクラそうな役者が演じる)だけで、他は架空の人物。
ある種ファンタジーとも言える。だって、銃火器で武装した官軍に対する侍軍団には火縄銃の一丁もないのである。武士道に背くかららしい。
代わりに弓を使う。しかも「LotR」のレゴラスばりの腕前で。
そんな、絵に描いたようなストイックな侍たちに囲まれ、主人公ネイサンの傷ついた魂は癒され、失われた誇りは取り戻されるのである。
その魅力的な侍軍団の長を演じるのは渡辺謙。名演技である。「独眼竜政宗」以来のファンであるが、実に格好よかった。
その妹で、夫の仇であるネイサンと心を通わせていく美女に小雪。洗い髪が美しい。
剣術だけでなく体術も合わせ無類の強さを発揮する副大将に真田広之。鬼強。
彼らを過去に葬り去ろうとする政府の有力人物で資産家で司令官というマルチな憎々しい悪党に映画監督の原田真人。
そして忘れちゃいけない主人公はトム・クルーズ。青い目のサムライを大熱演。見直したぜ。
クライマックスの戦闘シーンは素晴らしい。
近代兵器を擁する官軍(なにせ大砲に加え最新鋭のガトリングガンまで装備しているのだ)に、武士道とは死ぬことと見つけたり、と刀と弓と
騎馬で特攻する勝元軍との戦闘の壮絶さよ。つーかおまいら長篠の戦いって知ってますか?
接近戦に持ち込み群がる敵どもをなぎ倒すも次第に数と装備で押され、散っていくもののふたちが夢のあとよ。
まあ、鉄砲には勝てないのは「七人の侍」の頃からの真理じゃけんのう。
…滅びゆく者のために。(ウィスキーの小瓶を掲げる)
まあ、アクション細かいカット割りで誤魔化しすぎるとかセンチメンタルすぎるとかエンディング部分が長くて台無しだとか殺し方があっさりしすぎる
とか2時間半は長えとか文句もあるが、十分に面白い。日本男児なら見とけ。ニンジャも出るしな!
ちなみに、インタビューで真田広之はトムを「ファースト・サムライ・フロム・アメリカ」と呼んでいるのは実は嫌がらせなのか?
オーノーマイソード!
○「落下の王国」 ★★ (08.9.19/劇場)
STORY:映画の黎明期。スタントマンのロイは撮影中に足を骨折し入院中。更に恋人にフラれて自暴自棄に。そこに現れた入院患者の幼女・
アレクサンドリアを騙して自殺用の薬を手に入れようと企む。ロイはアレクサンドリアに取り入るために架空の物語を語り出す。それは、5人の戦士
たちの、世界を股に掛けた愛と復讐の壮大な叙事詩だった。物語の虜となったアレクサンドリアはロイの命令通りに劇薬を盗み出すが…。
映像美で名を馳せるターセム監督が4年の歳月を掛け世界中の景勝地をロケして完成させた風光明媚な作品。
そりゃもう風景は美しいのでございます。蝶の形をした不思議な小島、青く澄んだ海を渡る象、一面どこまでも広がる白い砂の海、砂漠に
はためく血塗られた深紅のカーテン、エキゾチックな宮殿に映えるビビッドなコスチューム…。
………これで物語が面白ければなあ。(ため息)
悪代官(笑)の言われなき圧政に己の大切なものを奪われ、静かな怒りの炎を秘めて復讐に立ち上がる5人の戦士たち!
・リベリオンブラック:5人のリーダー的存在。黒のアイマスクで正体を隠した若き盗賊。他のメンバーと比べると個性が薄い気がするが
それでもリーダー。だってオラ主人公だから…。
・リベリオングリーン:剣と楯装備の武闘派インド人。「リーグ・オブ・レジェンド」のネモ船長を彷彿とさせる。殺された妻に操を立てて女性を
見ないことにしている難儀な人。
・リベリオンイエロー:全身に爆薬を忍ばせた爆破のスペシャリストのおっさん。メンバーで唯一公式HPのフォトギャラリーに単独フォト
がないかわいそうな扱いの人。
・リベリオンブラウン:黒人の脱走奴隷で逞しい肉体美を誇る弓使い。義に厚い熱血漢。
・リベリオンレッド:かしこいサルを連れた天才動物学者。他のメンバーが筋肉バカばかりなので何かと頼りになる。砂漠でその毛皮のコート
は暑くないのかいな。
・リベリオンセピア:精霊の力を宿す戦士。非常識な能力を持つメンバーきってのイロモノ。登場も再登場も最後もとにかくイロモノ。しかし
黒系の色ばっかりでバランス悪いな。
とまあ作中作ではこの個性的な5人の戦士………あれ、6人いね?が登場するのだが、いかにも活躍しそうな彼らが…いまいち活躍しない
ので困ってしまうのである。
(作中の)現実世界とリンクしているとはいえ、特に終盤のグダグダぶりは非常に厳しく、カタルシス不十分なまま終わってしまうのである。
しょっぺえ。
○「RUSH!」 ★★★★ (03.2/ビデオ)
STORY:韓国人・孫の店で働く昌也は、同僚に誘われて孫の娘・ソヨンを誘拐する。実は誘拐はソヨン自身が計画した狂言だった。しかし、孫
はトラブルで悪徳刑事・成瀬に撃ち殺され、身代金5千万も奪われてしまう。成瀬の企みで孫の殺人犯の濡れ衣を着せられた昌也とソヨンは、
言葉も通じないままに逃避行をするはめに…。一方、冴えない中年・島崎は妻をホストに寝取られ失意に沈んでいた。そんな彼の前に…。
監督はピンク映画出身の瀬々敬久。企画・原案・主演は”哀しい川を翔ぶ”と書いて哀川翔兄ィ。
身代金5千万を巡るアクションコメディなのだが、時系列が行きつ戻りつする、なかなかにトリッキーな作りとなっている。なにせ冒頭いきなり
映し出されるのが主役カップルの死体とちらばった5千万という映画のラストシーン。そこから誘拐計画の発端に話が移り、誘拐が実行されてと話
が進んでいくと、突然途中から女房を寝取られた中年男と寝取ったホストと”正義と平和のためギャンブル旅行を続ける元レスラー”しかも
外人のちょっとしたロードムービーに話が切り替わってしまい、このビデオ壊れてるんじゃねえか?と思っているうちに…。
翔兄ィがかつて「トップランナー」に出た時に、「パルプフィクション」や「ラン・ローラ・ラン」(両方とも好き!)のような映画を作りたいと
言っていたそうで、確かにそんなテイスト。
キャストは主演が哀川翔、いうなればもう一人の主役に柳場敏郎のソイヤッ!な2人。これに悪徳刑事コンビで掛け合いも軽快な大杉漣&阿部
寛が怪演で絡み、さらに峰岸徹や千原弟や友情出演の力兄ィら個性派が極彩色を塗りたくっているのだが、なんといっても作中で一番輝いて
いたのは、不法入国タレントのハニホー・ヘニハー!あのトランクの中身には心打たれた。とにかく出る人出る人皆目立ちまくるので、結果と
して翔兄ィの存在がかすんでしまうのが問題といえば問題。
縦横無尽に走ってきた物語がすでに語ってある終末へと帰結したと思いきや、というラストシーンは非常によいのだが、「ラン・ローラ・ラン」と
違って、どこで未来が改変されたのかがはっきりしないのはちと消化不良。つーか改変されたから島崎は不幸のドン底のまま?(元の結末だって
不幸だけれど)
オレ、韓国の人嫌いなんで、とかいう不当な理由で1点マイナス。
○「LOVERS」 ★★★ (04.9.7/劇場)
STORY:唐の時代。腐敗した政府への反抗組織”飛刀門”の党首を討つべく、捕吏の劉と金は一味の刺客の盲目の踊り子・小妹を捕らえる。劉
は彼女を泳がせて一味と接触させ一網打尽にせんと策を練り、金は政府を裏切った振りをして小妹と共に脱走する。追っ手と戦いながらの逃避
行の中、次第に金と小妹は惹かれ合っていく。その二人を影から監視し続ける劉。しかし傷ついた二人はついに追い詰められてしまう…。
’03年夏のなんちゃって武侠映画「HERO」から一年。チャン・イーモゥが再び放つなんちゃって武侠大作。
つーわけでなんちゃって武侠映画なのは重々承知しているのでその辺は全く期待せず。
お目当ては主役のチャン・ツィイーたん。
あと、金城武も実は好きな役者だったりする(厳密には”かねしろたけし”ではなく香港の役者”タケシ・カネシロ”が好き)。
ああもう一人の主役?誰だっけ?ああマッスルモンク、いたねそんな人。
つー視点で見ればチャン・ツィイーを十二分に堪能できる(でも乳房の膨らみくらいは見せてもバチは当たらねえだろうよ)し、アクションも前作
よりは浮世離れしておらずなかなかに格好良い。投げ小刀が昔のファミスタの変化球以上にありえねえ曲がり方で飛ぶのなんかは万々歳。
武侠ものの定番・竹林での死闘も良かった。でも最後の一騎打ちはどうにも低レベルなケンカでガッカリ。
しかしいくらなんでも終盤ストーリーがヘロヘロすぎる。本来ならば三角関係のもつれの果ての殺し合いとカットバックして、レジスタンスと政府の
精鋭軍の生き残りを賭けた死闘が展開されるはずだったのだが、レジスタンスのリーダー役だったアニタ・ムイが撮影途中で亡くなってしまった
ためにそこいらへんをバッサリとカットしてしまったそうで。
○「LOVEDEATH」 ★★★★ (07.6.14/劇場)
STORY:気障な二枚目・サイと謎の美女・シーラは出会った瞬間、恋に落ちた。1年後、運命の再会を果たした2人。シーラに運命の一日を共
に過ごしてくれ、と頼まれ俄然張り切るサイだったが、ストーカーの中年男を皮切りに、ヤクザ・殺し屋・悪徳刑事と物騒な連中が次々と現れ、
コロコロ変わるシーラの言動に振り回される一方。果たしてサイは運命の一日を乗り切り、シーラの愛を手に入れることができるのか…。
痛快アクション馬鹿一代「VERSUS」から幾星霜。寄り道(「あずみ」とか「スカイハイ」とか)はしたもののようやっとハリウッド進出を
果たした北村龍平監督の置きみやげ。
インディーズ作品でやりたい放題やっているのでテンション的には「VERSUS」に近いものがあるが、「刀禁止」、「10分に一度笑いを
入れろ」(「刑事まつり」か!)というプロデューサーの縛りがあるため、そこが長所でもあり短所でもあり。
しかし無国籍バイオレンスアクションでヤクザや殺し屋が出ておまけに頭の悪いギャグがてんこもりと来たら、それは「三池(崇史)映画」と
いうジャンルだったりして(笑)その点では「VERSUS」よりも笑える「漂流街」と例えるべきか。
北村作品の一番のウリであるスタイリッシュアクションはぶっちゃけ冴えないのだが、そこを補うのが豪華にして意外なキャストが演じる
奇天烈なキャラクターたちの暴れっぷり。
名脇役・六平直政は「バッドテイスト」のピーター・ジャクソンばりの脳味噌爆裂演技を見せ、劇団ハウンドドックひとり・大友康平は宙を
舞い、2時間ドラマの帝王・船越英一郎はお茶の間のおばちゃんが卒倒するようなハジケっぷりで吠え、Vシネマの帝王・竹内力は通常
営業で、森本レオはいつもの声でインリン様と一緒に拷問に勤しみ、つんく♂と思ったら上沼恵美子と思ってよくよく見たらIZAM率いる
殺し屋軍団はド派手に死体を量産し、いつもの悪徳刑事役の寺島進は寺島進似と自称し華麗な跳び蹴りを披露し、池内博之はブルース・
リーと化し、大森南朋はパフィーのどっちかと際どいギャグでいちゃつき(でも何故かパンフに名前が載ってない)、吉岡美穂は鮮血に
まみれ、KANは「最後に愛は勝つかな?」という問い掛けに黙して語らず………と枚挙にいとまがございません。
中でも船木”パンクラス”誠勝演じるマッチョ殺し屋の頭の悪さには大爆笑。「…カップルだ!」
あと似顔絵。
監督の理想の男性像と思われる気障な二枚目にして愛の戦士である主人公に武田真治。あまりに気障ったらしいセリフが完全に空回って
いるのだが、そこもギャグの一部だと思えば…。
監督イチオシのファム・ファタールなヒロインに新人NorA。………相変わらずこの監督はブサイク好みやの。しかしまあ、それだけでは
片づけられない荒削りでアンバランスな魅力がある…ような気がする…かも。
ぶっちゃけ冗長なのをはじめとしていろいろ欠点は目立つし、人を選びまくる芸風なのだが、ツボに入ってしまう人にはクリティカルな一本。
○「ラブドガン」 ★★★ (04.10.18/劇場)
STORY:両親を無理心中で失い天涯孤独となった女子高生・観幸は、偶然に殺し屋・葉山田と出会い、彼に両親の死の原因となった父親の
愛人の殺害を依頼する。葉山田は組長殺しで組織に追われていた。追っ手は育ての親にして実の父の仇である丸山と、若いチンピラの種田
だった。短い旅の中で心を通わせていく観幸と葉山田、丸山と種田。4人の愛憎入り交じった最後の決戦は迫りつつあった…。
鈴木清順翁の弟子だという渡辺謙作監督作品。確かに清順/大和屋竺的ハードボイルドなのだが、若造が真似して格好つくジャンル
ではないので。見ていて眠くなる作品づくりなんかは師匠譲りか(笑)
主人公演じる永瀬正敏は相変わらずどーでもいいが、その師匠で飄々とした男・丸山を演じる岸部一徳と彼との旅の中でどんどん成長していく
チンピラ・種田の新井浩文はまあまあいい感じ。
ヒロインの宮崎あおいはイイ!彼女に免じて★1つプラス。
正直後半はかなり夢うつつで細かいところを覚えていないので、印象に残るのは前半の、野村宏伸にクロロホルムかがされて縛られ嬲られる
宮崎あおいタンの姿ばかりという始末(笑)つーか治療すんだから服着せたまま縛っちゃダメだよ野村!(笑)
監督はウチの県出身ということで、何ヶ月か前に先行上映&監督+あおいタンのトークショーがあったのだが…やはり仕事を強引に休んででも
生あおいタンを見に行くべきだったか…。orz
でもまあウチの県出身のワタナベ監督いうたらコッチだがな。実家近所だし。
○「ラブリーボーン」 ★★★ (10.2.8/劇場)
STORY:’73年12月6日、ペンシルバニアに住む14歳の少女・スージー・サーモンは変質者の罠にかかり短い生涯を閉じた。彼女が
気づくと、そこは現世と天国の間の世界だった。全てを忘れて天国に行く前に、彼女には心残りがあった。それは夢に終わった憧れの彼氏
とのキス、そして彼女を失い悲嘆に暮れる家族たちの行く末。やがて、執拗に事件を追うスージーの父と妹は犯人を見つけるが…。
「ロード・オブ・ザ・リング」、「キングコング」の(オイラにとっては「ブレインデッド」の)ピーター・ジャクソンの久々の監督作は、ずいぶん
毛色の違う作品。
殺された美少女が天国から残された家族たちを見守る話、なんて何故に我らがピージャクが?と思ったが、CGバリバリなあの世の描写
を見て少し納得。それによく考えると「乙女の祈り」とか撮ってるもんなあ。
さて肝心の内容だが、美少女があの世から不思議な力で家族を助けて悲しみをなくしたり殺人犯をブチ殺したりするのかと思ったら、
死人に口なし、何もできずただ見守るだけしかできないという放置プレイで観客もやきもき。
その間、父親は犯人捜しに躍起になり挙げ句変質者に間違われてフルボッコにされ母親は家を出ていきばーちゃんは物理的に家庭を
破壊し美少女の姉と血が繋がっているとは思えない妹は太りインドな彼氏は電波女に寝取られと状況は悪化の一途。
それでもどーゆー根拠か父親と妹が犯人を追い詰め迎えるクライマックスは…カタルシス不足。
あんな接吻のシーンを長々とやるんだったらクサレ犯人が報いを受けるシーンをあの10倍は長々とやっていただかないことにはスッキリ
しまへん。
つーわけでどうにもモヤモヤする話なのだが、主人公を演じるシアーシャ・ローナンたんがすげえすげえかわええので許す!
クサレ犯人もお目が高い、と思ったら、他の被害者は皆どーでもいい顔立ちだった。雑食すぎる。
特にあの世でのスージーの案内役のようなアジア系少女のアレな顔はもうちょっとなんとかならんかったのか。声はかわいいのだが。
彼女の凹凸がまるでない横顔のあまりのアレっぷりは2010年最もインパクトのあったシーンにノミネートしてえ。
○「ランボー 最後の戦場」 ★★★ (08.6.10/劇場)
STORY:戦場から離れ過去を捨て、タイの奥地でひっそりと暮らしていたランボーの元にキリスト教系のNGOの一団が現れる。ミャンマー政府
軍に弾圧されているカレン族の村に医療品や本を届けに行くためのガイドを依頼されたランボーは、メンバーのサラの熱意に打たれ船を出す。
が、数日後彼らが政府軍に捕らえられたという報を聞いたランボーは頼りない傭兵集団と共に救助に向かう。その先は、地獄だった…。
ランボー、20年ぶりの新作。とはいえ、実のところ、過去作は「怒りの脱出」しか見てないのよね。それも小学生の時に。金持ちの友達の
誕生会に行った時にLDで見せられた。
「ロッキー」も似たような状況につき「ファイナル」は観に行かなかったのだが、何故にこっちは観に行ったのかといえば、そりゃもう凄まじい
バイオレンス映画だという噂を耳にしたからという次第でございまして。(まさに外道!)
そして実際に目にしてみれば聞きしに勝るバイオレンスぶり!
今回の敵は少数民族を弾圧するミャンマー軍なのだが、こいつらが21世紀の作品とは思えないほどに非の打ち所のない同情の余地の
ない腐れ外道ども。ランボーと愉快な仲間たち(というほどキャラが立ってない)の大口径スナイパーライフルが火を噴き(ヘッドショット
すると頭自体が消し飛ぶ破壊力!)、マシンガンが唸りを上げ、腐れ外道どもが次々と肉塊と化すラストバトルは悪を滅ぼすカタルシスに
溢れ爽快!………を通り越してしまって阿鼻叫喚の地獄絵図。
そしてそれがほとんど全てというどんでん返しもへったくれもないあまりにも短距離走なシナリオ。しかしその剥き出しっぷりがなんとも迫力。
やりたいことだけやって枝葉末節はめんどいんでばっさりカットという潔さ。
結局戦士は戦場でしか生きられないと気づいて少し業が晴れた感じのランボーさん。次はどこで殺戮ショーを繰り広げるのやら。
○「リアル鬼ごっこ」 ★★ (08.2.8/劇場)
STORY:佐藤翼は足の速い高校生。家族はアル中の父親と入院している妹の愛。全国の佐藤性の人々の変死が相次ぐ中、幼なじみだが今は
犬猿の仲の佐藤洋に追われていた翼はパラレルワールドに入り込んでしまう。そこは王制が敷かれた日本。国王の命で全国の佐藤さんは鬼に
捕まったら処刑されるリアル鬼ごっこに参加させられていた。戸惑う翼はまるで別人の洋に助けられ、愛と出会い、驚くべき事実を伝えられる…。
今をときめくベストセラー作家・山田悠介センセイのデビュー作にして大ヒット作の実写映画化である。
この手の作品は原作を越えるものなんぞ滅多になく、大概「やめときゃよかったのに」の一言で片づけられるのだが、この作品については
ちと事情が違うのである。
何故ならば、原作があまりにもどうしようもなく素晴らしくくそやくたいもなく、トホホな出来だからである。
(原作がどれだけトホホな出来なのかというのは書いていくと終わらなくなるのでwiki辺りを参照。)
つーわけで、この映画を観にわざわざ劇場まで足を運んだのはどれだけ原作を改良できたかを確かめたかったからで。
監督や脚本家としては、どんなに失敗しても原作より悪くするのは難しいんだからこの上なく美味しい仕事だよな。
原作は西暦3000年(笑)の王制(笑)の日本(とは明確に書かれてない)で、頭の悪い佐藤姓の王様(笑)が、「佐藤がいっぱいいて
ムカツク」(笑)と全国の佐藤さんを皆殺しにする(笑)ために、”佐藤探知ゴーグル”(笑)を装備した鬼に捕まったら殺されるという
”リアル鬼ごっこ”(笑)を開催するという設定なのだが(笑)、まともな頭ではそんなもん映画化できないと苦心して少しでも説得力があるよう
に設定を変更している。よくがんばりました。
現実世界とパラレルワールドの王制の日本という二重構成にしたり、”リアル鬼ごっこ”の真の目的をボカしたりといろいろ腐心しているの
が痛いほど見て取れるが、元が元なんでどうしても無茶があるよなあ(笑)
加えて低予算なもんで全体的にどうにもチープで苦笑。王様が仮面着けててなんかカロッゾ・ロナみてえだし。ふははは怖かろう。
スプラッタ描写も中途半端。疾走シーンは悪くはないが多くない。いっそ物語はほぼ排除して「弾丸ランナー」みたいに終始走りっぱなしにした
方が気持ちよかったのかも。谷垣健治がアクション監督なので時々突然ルチャっぽいすげえアクションが炸裂する。
つーか何もかも中途半端。まあ、予想の範疇で腹も立たないけれども。
出演陣もどうにもチープ。主演の石田卓也はイケメン俳優なんて触れ込みだが…顔ボツボツばっかだしゴツゴツしてるし、汚くね?
ヒロインの谷村美月はかわいい時とそうでない時の落差が激しいのだが、今回はもっさいモードの方。でもまあそこそこかわいい。変なおぢさん
にいたづらされるし。首輪掛けられたり縛られたりするし。変な処刑器具に掛けられたりするし。
柄本明は本気を出さず志村けんとのコントの時のモード。
でもまあ、原作よりは面白かったですよ。(しかしそれは卵の殻と卵焼きを食べ比べて後者が美味しいと言っているようなものだが。)
SF(すこしふしぎ)チックなオチは嫌いじゃないし。「お次はなんだ!?」と叫んで終わってくれたら★1つ追加したんだが。
○「リーグ・オブ・レジェンド」 ★★★★ (03.10.18/劇場)
STORY:19世紀末の欧州。各国をファントムという謎の男の近代兵器部隊が襲撃、治安を乱され怒り心頭の諸国は戦争になりかけていた。
これを防ぐべく英国諜報部は、探検家・クオーターメイン、万能潜水艦ノーチラス号のネモ船長、女吸血鬼・ミナ、不死身の青年・ドリアン、透明
人間・スキナー、ジキル博士(とハイド氏)を集め、”超人紳士同盟”を結成する。米国の諜報員・ソーヤーを加えた一行はベニスを目指すが…。
「キング・ソロモンの秘宝」、「海底2万里」、「吸血鬼ドラキュラ」、「トム・ソーヤーの冒険」といった有名作品の登場人物たちが一堂に会し
”超人紳士同盟”を結成し悪の秘密結社と戦うというアクション大作。日本で言うと「魔界転生」や「マーヴルVSカプコン」みたいなもんか。
主人公の老探検家アラン・クオーターメインを演じるのはショーン・コネリー。老体にむち打ってパワフルなアクションを披露。おかげで疲れ
切っちまって次の主演作を降板してしまったそうだが。
さらに美しき潜水艦ノーチラス号を駆るネモ船長の一人飛び抜けた胡散臭さや、別人格っつーかそもそもハルクばりに別人と化してしまう
ハイド氏の大暴れっぷりなど奇天烈な”超人紳士”たちの活躍が見所。
の割にはイマイチ突き抜けておらず、見終わってみればつまらなくはなかったがとりたてて面白くもなかったという感想しか残らないのがトホホ。
最新兵器で武装した敵軍団との最終決戦はなかなか見応えがあったが、場面を細かく割りすぎて緊張感が削がれた。
悪玉・ファントムの正体がやはり某有名小説の有名悪役だったのには一本取られたが、ならばその有名探偵小説の主人公である超有名
探偵も出してほしかったなあ。まあみんなバカ暴れする話なんで推理力はあまり意味をなさないが、謎の東洋武術バリツを使うっつーことで…。
○「力王」 ★★★★ (00.12/ビデオ)
STORY:かつて師から強力な武術を教わった雑賀力王は、罪を犯して刑務所に収監される。彼が送られたのは、凶悪犯罪者とそれよりも凶悪
な看守たちが牛耳る極悪な刑務所だった。入所早々ちょっかいを出してくる囚人たちを叩きのめしていく力王は副所長に疎まれ、所内の四天王
と戦う羽目になる。四面楚歌の中闘い続ける力王の真の目的とは…。
原作はかつてYJだかBJだかに載った猿渡哲也のバイオレンスマンガ。その映画化なわけだが、問題は日本ではなく香港で制作されたという
ところに。すなわち、原作のマンガならではのバイオレンス描写を、頑張って実写で再現しちまった、ということで。
残酷シーンを列挙していくと…。
○「Reset2」 ★ (03.1.15/劇場)
STORY:(役の設定だけを与えられ、シナリオは存在しない、80分全てを役者のアドリブで進めなければならない一発撮りの実験的作品。)
天下分け目の関が原の戦い。しがない農民の若者ゴン・ロク・マタは西軍に参加して一旗上げようと村を出てきた。しかし、間もなく戦が始まろうと
いうのに、マタが足を痛めたために彼らは近くの山中で足止めを食っていた。初陣の緊張感の中、男たちは秘めた思いを語り始める…。
上記のように、非常に実験的な試みの作品。それを知らないで見たら、たぶん多くの人はつまらん映画だという感想をもつのではないかと思う。
そして、それを知って見ていても…ちょっとなあ(笑)。
そもそも登場人物は3人限定で筋書きがなくアドリブで80分進める、ということは、80分何も起こらないと言っているのに近いわけで。他の人が
登場しないので、野武士に見つかったり流れ弾に当たったり敵武将の首を取ったりという展開を見せられないわけで。
結果、3人が延々同じ話でもめ続ける酔っ払いのケンカみたいな映画になってしまいましたとさ。どっぺんぱらり。
未見だが、前作「Reset」は飛び降り自殺の名所に集まった5人の自殺志願者という設定で、何人かが途中退場してもおかしくない話だし、5人の
俳優たちが信頼できる顔ぶれだし、面白そうなのだけれどねえ。
○「Returner」 ★★★ (02.9/劇場)
STORY:闇金を奪還する”リターナー”のミヤモトは、取引現場で長年探し続けてきた親友の仇・溝口と再会した夜、一人の少女と出会う。
彼女の名はミリ。82年後の、宇宙人の侵略で滅亡直前の地球から未来を変えるためにやって来たのだ。そしてその翌日、筑波に一隻の宇宙
船が不時着する。その宇宙人こそが戦争の引き金なのだ。だが、宇宙人は溝口に強奪され、二人は人類の未来のため敵要塞へと乗り込む。
全国ロードショーの大物俳優主演の邦画。このキーワードが当てはまる映画の大部分は(削除)な出来だと思う人間がなんで見に行って
しまったのか謎なのだが、結論から言ってしまうと、なかなか面白かった。皆言いそうな感想だが、「邦画なのにまあよくやった」くらいに。
”未来を救うために過去に飛んで運命を変える”なんてまんま「ターミネーター」で、VFXを駆使したアクションは当然の如く「マトリックス」、
挙げ句に宇宙人の造形は「ET」くさい、とイイトコ取りだけで作られた感じ。
そこまでするなら、未来から来たという薄汚い格好をした子どもが、口調も荒っぽいし一見男の子に見えるけれども、風呂に入れて綺麗に
したら実はかわいらしい女の子だった、なんてベタなネタまで取り込んでくれたらもっと点数上がったかも(笑)。
その少女を演じる鈴木杏、期待していたほどかわいくなかった(例えば前田シスターズのどちらかとかだったら点数倍増だったかな。)のだが、
それでも十二分に魅力的だったし、ラストの任務を果たした後の満面の笑顔は非常に素敵だった。今後の成長に期待大。
敵の三池チックな狂犬ヤクザを演じる岸谷五朗も、普段のいい人役をかなぐり捨てての怪演。つーか顔長え。しかし、宇宙人の首絞めて脅す
ヤクザというのもかなり妙な構図だなあ。
宇宙人の侵略・未来からの使者、といった設定はあるものの、メインは香港風アクション。拳銃撃ちまくりカンフーで立ち回りまくりと、あまり
新鮮味がなかった。もうちょっとSF要素が強いとよかった。
全然期待せず、むしろ怖いもの見たさで劇場に足を運んだだけに、良い意味で裏切られた。
ただし、金城武のセリフが全部棒読みなので気をつけろ!!!(香港の映画俳優としての)金城ファンとしては、こんな国のヘボイ映画やTV
ドラマに出ずに、香港に戻って良作に出てもらいたいと。
○「リベリオン」 ★★★★★ (03.4.10/劇場)
STORY:第三次大戦後の近未来。かろうじて生き残った人々は、指導者・ファーザーの下、戦争の原因となる感情の発現を抑える薬の服用を
強制され暮らしていた。プレストンは、薬の使用を拒む反政府主義者たちを弾圧する”クラリック”の一員で、武道”ガン=カタ”の達人だったが、
ある日薬を打ち忘れ、感動する心を取り戻してしまう。そして彼は、奪われた人間の尊厳を取り戻すべく、政府中枢に捨て身の戦いを挑む…。
上京した際に暇つぶしで観たのだけれど、うわっ面白えッスよ、コレ!!!
ストーリーはぶっちゃけたいしたことないのだが、アクションがとんでもなくイカス!!!これが二丁拳銃の最新進化系なのか!?
主人公・プレストンが使う武術”ガン=カタ”は、この映画のために生み出された、銃を用いた格闘術で、科学的分析を土台に、いかに敵の銃の
射線から身を逸らし、いかに的確に敵を撃つか、という二点を追求していく技。(論理的には「GPM」の戦闘と似ているような。)
結果どうなるかというと、無表情にキメキメなポーズを取りながら二丁拳銃を華麗に乱射しまくるという、すげえカッチョエエことに!
一歩間違えるとブレイドさんみたいにお笑いっぽい絵になってしまうのだが、ギリギリ踏みとどまった!
その力たるや、10人のマシンガンを持った兵士を瞬殺するセガールもビックリの強さ!拳銃のグリップの先からスパイクが出て敵のドタマをかち
割るわ日本刀振り回しても強いわ肉弾戦も敵なしで拍手喝采。
黒尽くめファッションやVFXの端々に「マトリックス」の影響がちらりほらりと見えるが、静と動、メリハリの利いたケレンなアクション演出で魅せて
くれる。果たして「リローデッド」はこれよりすごいアクションを見せてくれるのだろうか?(追記:アホさでは上を行っていた)
でも、”クラリック”という訳はいただけないなあ。”クレリック”で行くべきでは?
○「龍が如く 劇場版」 ★★★ (07.3.20/劇場)
STORY:東城組の百億の金が消えた夜、眠らない街・神室町に伝説の極道・桐生一馬が帰ってきた。少女・遥の母親探しを手伝う桐生の前
に、因縁の相手・真島が現れる。死闘の末に真島を倒した桐生は、遥の母親が百億消失に関わっていることを知るが、遥をさらわれ、傷つき
倒れてしまう。満身創痍の桐生は全てにケリをつけるため黒幕の待つ高層ビルへと向かうが、そこにかつての親友・錦山が立ちはだかる…。
人気ゲームソフト「龍が如く」の実写映画化である。
のだが、ゲームをやってなかったりする。かな〜り周囲から勧められていたのだが、やったらズッポリとハマりそうだったのでなかなか手が出せ
なくて…。
つーわけで原作との比較ができないのだが、そこはそれ、我らが三池監督なので、どうせ原作は無視しているだろうからあまり問題ない
かと。
それでもこの感想を書くに当たって一応公式HPなどでゲームの方も調べてみたのだが、うむ、やはり基本設定だけで展開は豪快に別物の
ご様子。
つーわけで、どうもゲームをやり込んでいる人からは大不評なようで、さもありなん。無理矢理ゲームのキャラとかストーリーを入れ込んで
いるので唐突な展開が多いのだよね。真木蔵人とか真木蔵人とか真木蔵人とか。
では原作未プレイで三池ファンという立場からの見解はといえば………GJ!(サムズアップしながら。)
アホな銀行強盗とアホな警察、陽気にバイオレンスな眼帯ヤクザ、ドMの情報屋、ゲームに登場するドーピングアイテムなどなど三池
ワールド全開で終始ニヤニヤさせていただきました。
キャスト的にも北村一輝、翔兄ィ、田口トモロヲ、エンケン(顔出なくてもシャウトだけでわかっちまうのが最高!)、岸谷五朗と新旧三池
オールスターズで素晴らしい。
特にハイテンションヤクザを怪演した岸谷五朗がインパクト強すぎ楽しすぎ。こん人ぁゲテモノ役の方が活きるさねぇ。
非三池組では子役の夏緒タンの好演が光る。
気持ち悪いだけの人もいたけど。真木蔵人とか真木蔵人とか真木蔵人とか。
あと翔さんの使い方が勿体なさすぎ。松重豊と逆の役くらいでよかったんでは。
つーわけでぼちぼち満足はしたけれど、どうにもシナリオが不完全燃焼すぎるので評価は致しかねる。
混沌の街・神室町の一夜の物語ということで、桐生の話以外にいくつかの話が併行して展開されるのだが、それがまるで活きていない。
バカップルは(真木蔵人と同じくらい)ただただウザイだけだし、半島のスナイパーもいなくても結末は変わらない。(トモロヲさんは引き立った
けど。)銀行強盗も引っ張りすぎ。
○「龍虎兄弟」 ★★★ (03.3/ビデオ)
STORY:漢民街で名を馳せる中国人の兄弟ヤクザがいた。その名は昇龍と猛虎。二人が父と慕うのは、悪党だった実の父を討った義侠の人・
武田だった。老いた武田に組を任された龍虎だったが、それを不満に思った若頭・本田は中国黒社会のボス・王烈と組んで兄弟を追い落とそう
とする。皮肉なことに、烈は兄弟の腹違いの弟だった。地獄の責め苦を味わされ、愛する者を奪われた龍虎は命を捨てて復讐に向かう。
去年の東京ファンタで見損なったOZAWAの兄ィ監督のジョン・ウーなヤクザ映画。オイラもファンタでOZAWA兄ィと「ち○こ!ま●こ!」
とシャウトしたかったぜ!
ずばり前半がたまらなくタルいものの、中盤の悪党どもによるそこまでやるかという龍虎兄弟いちびりや、後半のジョン・ウー節全開の撃って
も撃っても弾丸の尽きない魔法の拳銃(一応、時々思い出したようにマガジン交換するが。)による大銃撃戦はグレイトな出来。
特に異質なのが中盤の展開。悪党どもの罠にはまった龍虎兄弟が散々酷い目に遭うわけだが、なんと兄弟揃って青龍刀で片腕を斬り落とされ、
猛虎に至っては左足まで粉砕され片足に!さらに愛する者たちも生首にされたり爆破されたりとあんまりな仕打ち。
そしてその怒りが最高点に達して迎える最終決戦は爆発!流血!の凄惨な修羅場に。「漂流街」のミッチーもビックリのうさんくさい中国
マフィアのラスボス・烈が「ワンチャイ」なカンフーで龍虎をなぎ倒せば、龍虎はジョン・ウー直伝(ウソ)の伝統の二丁拳銃でキメるぜ!!
…って、ちょい待ち、兄弟は二人とも片腕にされているのに二丁拳銃って?という疑問はごもっとも。それは見てのお楽しみで!
とはいえ、予想よりも銃撃戦は地味だったり。「男たちの挽歌U」の銃撃戦くらい無茶をやってもよかったのではないかと。
あと音楽が「真・三国無双3」を彷彿と。
キャストは、昇龍に”哀しい川を翔ぶ”と書いて翔兄ィ、猛虎に小沢仁志兄ィという漢たち。故・天本英世氏が兄弟の馴染みの老人役でいい
演技をしておられる。…ひょっとして遺作?
○「リンカーン/秘密の書」 ★★★ (12.11.07/劇場)
STORY:若きエイブラハム・リンカーンは、母親の敵・バーツの頭を銃で撃ち抜く。しかしバーツは死なず、追い詰められたリンカーンは謎の男・
ヘンリーに救われる。バーツの正体はヴァンパイアだと知らされたリンカーンはヘンリーの元で修行を積み、ヴァンパイアハンターとなる。戦いの中、
リンカーンは、奴隷制度がヴァンパイアに餌を供給していることに気づき、武力ではなく政治でヴァンパイアに立ち向かおうとするが…。
おそらく世界の偉人人気ランキングとかやったら確実にベスト5には入ってくるであろう偉人の中の偉人、奴隷制度を廃止した合衆国大統領・
リンカーンが、実は夜はヴァンパイアハンター(しかも武器は斧)だった、という凄まじい発想のB級アクション。
一応人間と見なされないからいなくなっても気にもされない黒人奴隷どもを食糧にヴァンパイアが繁栄しているから、奴隷制度を廃止すること
によってヴァンパイアを弱らせる。斧でちまちま一匹一匹退治してたんでは追いつかないので政治で解決する、という亜空間殺法な理論で
リンカーンに白羽の矢が立ったんだろうけど。
しかし得物が斧とは珍しい。そういや子どもの頃桜の木を斧で切っちゃったなんて話があったっけ………と思ったが、それはリンカーンではなく
ワシントン。
監督は「ウォンテッド」の人なのでアクションはまあ格好いいが、話は相変わらずイマイチ。gdgd悩んでるシーンよりスタイリッシュなアクション
シーンが観たくて劇場まで足を運んでいるというのに。
クライマックスの疾走する機関車での最終決戦は、飛び散る火の粉を使って3Dの臨場感を表していてなかなかうまいと思った。
黒人を友人と見なし、同胞の血を大量に流してまで奴隷制度を廃止したリンカーンだけど、インディアンは人間と見なさず虐殺を続けたってwiki
先生が言ってた。
○「THE RING」 ★★★ (02.12/劇場)
STORY:変死した姪の死因を探っていたジャーナリストのレイチェルは、見ると7日後に死ぬという呪いのビデオを手に入れ、見てしまう。その
おぞましい内容と続けざまに起こった怪異現象に呪いが存在することを確信したレイチェル。さらに最愛の息子エイダンもビデオを見てしまう。
7日というタイムリミットの中、呪いを解くべく元夫のノアと調査を進める彼女は、ついにビデオに映っていた女性の正体を突き止めるが…。
日本版「リング」の要所要所を外さず、かなり忠実にリメイクした秀作。細かいところでは、サマラ(貞子)が幼いとかノア(高山)がまるで頼りに
ならないとか変更もあるが、その最たるものは…う、馬が…馬が…馬がァッッッ!
馬の活躍を除けば最大の注目ポイントだった、クライマックス、TVの中からサマラ(貞子)が最新のVFXを駆使して驚くべき姿で現れるシーン
なのだが、「フィスト」ばりのポリゴンでサマラ登場!!!とかだったらそれはそれでものすごく恐ろしかったのだけれど、まったくそんなことは
なく、馬の活躍ほどのインパクトはなく拍子抜け。
人間時代のサマラをいっぱい見せてしまったのは神秘性を失うという点で失敗では?しかも普通の少女だし。これが佐伯日菜子くらい破壊力
のある顔だったらともかく。…いや、本当はかわいいんですが佐伯嬢も。デビュー作「毎日が夏休み」は萌えますよ、わりと…たぶん………
ひょっとしたら。
米国でも大ヒットのようだが、調子こいて「らせん」をリメイクして大コケしてしまわないことを祈っとこう。
○「LOOPER」 ★★★ (13.1.23/劇場)
STORY:約50年後の未来ではタイムマシンが開発され、犯罪組織が悪用していた。証拠を残さず消したい人物がいる時、30年前の過去に送り
込みそこで待ち構える、組織に雇われたルーパーと呼ばれる処刑人に始末させるのだ。ルーパーの一人・ジョーのその日の標的は…30年後の自分
だった。困惑するジョーを返り討ちにし、逃走する30年後のジョー。必死に追跡し、再会した30年後のジョーは恐るべき未来の秘密を語る…。
タイムトラベルものということで、パラドックスやら何やらそういうのを期待していたのだが、劇中でブルース・ウィリスに、「ややこしいから説明は
なし!」と言い切られてしまってこの上なく肩すかし。
現在の自分と30年後の自分が協力して絶望の未来を変えるために巨悪に戦いを挑むのかと思いきやいがみ合ってばかりでなんだか盛り
上がらず。
せっかく近未来が舞台なのに空飛ぶバイクくらいしか見所がないわ途中から謎の超能力(物理)ウォーズになる超展開だわ、
なんつーか、コレジャナイ。
二枚目のジョゼフ・ゴードン=レヴィットが徐々にハゲのブルース・ウィリスに変わっていくシーン(ここは秀逸なのだが、それ故にジョゼフ・
ゴードン=レヴィットの二枚目ぶりが全体的にぼやけた印象になっているのはマイナス)とか、逃亡した30年後のルーパーを捕まえるための
悪趣味すぎる方法とか、ブルース・ウィリス無双とか見るべき箇所もあるのだが。
ラストの主人公の選択も、なんかもっと冴えたやり方はなかったのかと少しモヤッと。
○「ルビー&カンタン」 ★★★ (04.5.31/劇場)
STORY:カンタンは馬鹿力だがアホな中年泥棒。トラブルメーカーで、刑務所の同室の相手を怒らせて返り討ちに遭わすこと数十回。そんな彼
の新しい相棒は殺し屋・ルビー。マフィアのボスに恋人を殺され、復讐で彼の大金を盗み投獄されたが、黙秘を貫いている。一言もしゃべらない
=話を聞いてくれるルビーをカンタンは大いに気に入り勝手に親友だと思い込む。そして強引にルビーを巻き込んで脱獄してしまうが…。
ジャン・レノが相棒と二人で殺人事件を追う…と書くと「クリムゾン・リバー」シリーズになっちまうが、こちらは監督・脚本が「奇人たちの
晩餐会」のフランシス・ベベールだし相棒役は名優ジェラール・ドパルデューだしで、あっちよりはマシな出来。
ジャン・レノが演じるのは復讐に燃える寡黙な殺し屋・ルビー。
そして、勝手に彼を親友だと思い込みストーカーするキチガイ(精神鑑定ではシロ。ただのアホだということだが、大差ない)中年・カンタンに
ジェラール・ドバルテュー。なんか激ヤセしてる。
カンタンにペースを狂わされ悪戦苦闘するルビーだが、徐々に二人の息が合っていき…という話でそこそこ笑えるのだが、カンタンがウザい
のはいなめない。
さらに、終盤、話の展開がやたら早くなってあっさり終わってしまうのが肩すかし。
カンタンというのは英語読みするとクエンティンなのだね。そっちでやってくれた方がよかったなあ。無類のしゃべり好きな辺り、某映画監督
のクエンティンさんにも相通じるところがあるし(笑)
劇中、自己紹介で「カンタンだよ」とか言われると、何が簡単なのかと首をひねってしまったりするので。
○「るろうに剣心」 ★★ (12.9.10/劇場)
STORY:士族の帯刀が禁止された明治11年、幕末の伝説の剣客・人斬り抜刀斎による辻斬りが巷を騒がす中、神谷道場の神谷薫は刃が逆に
付いた逆刃刀を持つ凄腕の流浪人(るろうに)・緋村剣心と出会い、ならず者から助けてもらう。新型阿片を作り巨万の富を得ようとする貿易商・武田
観柳の元から逃れてきた、新型阿片の製法を知る医師・高荷恵が神谷道場に偶然転がり込み、剣心たちは戦いに巻き込まれていく…。
かつて週刊少年ジャンプで一世を風靡した歴史アクションが「龍馬伝」スタッフにより実写映画化。
アクションにも力を入れているようでちったぁ期待したのだが…。
まず、主人公・剣心を演じた佐藤健は合格点。マンガの世界に違和感なく溶け込んだそのビジュアルに驚愕。さすが元電王。
今回のラスボスの狂気の殺人鬼・鵜堂刃衛を演じた吉川晃司も相変わらず格好いい。
だが、それ以外のキャスティングが壊滅的。似てない似てない。
ヒロインの薫が特に酷い。武井咲がそんなにブスだとは思わないが(まあかわいいとも思わないが)、原作とは似ても似つかず、はらわたが煮えくり
返る。でも声はアニメ声でかわいいよね。
左之助も似ても似つかぬチンピラで低脳で(ここまでは原作のイメージとあってるような)、陰険で小さな恨みを一生忘れそうにないようなスター
性皆無の雑魚顔で残念無念。こいつなら「フタエノキワミ、アッー!」とか叫んでも問題ないわ。つーかむしろやってほしかった。
斎藤一もまるでまるで似合わない。こっちが吉川ならよかった。唯一の活躍シーンでの牙突のありえねえ絵面は劇場で爆笑しちまった。
恵もミスキャスト。なんでかわいいかわいい蒼井優にあんなかわいくねえメイクをさせるのか。本当にキャスティング考えたヤツに天翔龍閃
喰らわせたい。
香川照之は下品な成金の小悪党を喜々として演じているが…名優なんだから仕事選ぼうよ。
弥彦役の子役もオーラ全くなし。
武田観柳の取り巻きの眼鏡男子ズとかなんだか面白いキャスティングもあるにはあったが。
キャスティングで取り返しのつかないマイナスを叩き出してしまったわけだが、ではそれ以外のところはといえば、まあ及第点、かな。
ただ、飛天御剣流の必殺技をまるで繰り出さないアクションは、それなりに見所はあるのだが、なんつーか地味で外連味と爽快感に欠ける。
監督やアクション監督がインタビューで「日本の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』を目指した」なんて語ってるものだから、嫌が応にも
期待は高まったのだが、「ワンチャイ」のリー・リンチェイとくまきんきんの手に汗握る空中決戦やドニー先生のド迫力の布槍術&カンフーの
ワクワク感は全く得られなかった。
ヒットしたので続編も作られるだろうが、キャスティングの再考とアクションの外連をなんとか。
つーか続編作る気満々なのに、原作ではもっと後に出る外印やブロッキングの人をもう投入してしまってるのは如何なものか。
ブロッキングの人を演じた須藤元気は相変わらずふてぶてしくも清々しい悪役が似合っていて、そこは褒めたい。
○「レジェンド・オブ・メキシコ」 ★★★ (04.3.12/劇場)
STORY:クーデターの機運高まるメキシコ。CIA捜査官・ガンズはクーデターを未遂に終わらせるべくマルケス将軍の暗殺を伝説のガンマン・
マリアッチに依頼する。だが彼の真の目的はクーデターの黒幕・麻薬王バリーリョのクーデター資金だった。マルケス将軍にかつて妻と娘を
殺された過去を持つマリアッチは、復讐と愛国心に燃え、仲間を集め立ち上がる。かくしてメキシコを劫火に染める大銃撃戦が始まった…。
監督ロバート・ロドリゲス&主演アントニオ・バンデラスのコンビが「デスペラード」に続いて送る大バカ・ガンアクション。
ちなみに原題は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・メキシコ」で、こっちの方が格好良いと思うのだが。
最強のガンマン、エル・マリアッチが主役なのだが、事態を影で操作しようとするCIA捜査官ガンズ@ジョニー・デップが軽やかに暗躍して
目立ちまくり。CIAなんて柄のTシャツとか着ていて、なかなかの阿呆っぷり。
まあ要はこいつらが無駄にド派手に血沸き肉踊るガンファイトを繰り広げてくれればまるで無問題だったのだが、どーゆーわけかやたら登場
人物が多く、しかもそいつらがやたら裏切ったりしてやたら話をややこしくしていてマイナス。肝心のマリアッチとガンズも途中であっさり不覚
をとられたり締まりがないし。
しかしアクションはド派手でドアホウでやりすぎ感に溢れていて素敵だ。やたらめったら撃たれた相手は吹き飛び、ギターにはグレネード
付きマシンガンが仕込まれ、ギターケースは火炎放射器となり敵を焼き尽くすという素晴らしい展開でお腹一杯。
アクションだけなら★5つつけてもいいかも。
実際はそこからいろいろマイナスされて★3つ。4つにしようか迷ったが、結局バンデラスとデップが闘わないのとスティーブ・ブシェミが
出ないのとでこの点数。
○「レスラー」 ★★★★ (09.8.24/劇場)
STORY:’80年代に一世を風靡したレスラー、ランディ・”ザ・ラム”・ロビンソン。−現在。独り極貧生活をしながら、老体にむち打って彼はそれ
でも現役レスラーを細々と続けていた。かつての好敵手との20年ぶりの再戦というビッグマッチが決まり張り切る彼だが、心臓を患い倒れ、引退
を余儀なくされてしまう。心の拠り所として、交流が途絶えていた一人娘とショーパブの馴染みの女を頼るがそれぞれうまくいかず…。
タケシだハヤオだオシイだと(日本国内では)騒がれた第65回ヴェネツィア映画賞をサクッと受賞した作品。
日本での公開開始のタイミングで名レスラー・三沢光晴が試合中に亡くなってしまったのがどうにもこうにも印象深い。
かつて名声を手にし、20年経って老いさらばえてもそれにすがって生きるしかない老プロレスラーを、
かつて名声を手にし、20年経って老いさらばえてもそれにすがって生きるしかない老俳優(言い過ぎ)であるミッキー・ロークが演じて
いるという時点でインパクト抜群。
そのダメ人間なシンクロこそが作品のリアリティを高め、味わい深いものとしている。それを意識して全編疑似ドキュメンタリー風味だし。
つーか、かつてはプロボクサーとしてデビューしたこともある(必殺技:ネコパンチ)とはいえ、老体にむち打ってレスラーのボディを再現した
ロークはお見事。まあ他にやることなかったんだろうなあ。
そしてその体で繰り広げられる(スタントだろうけど)プロレスシーンは「ナチョ・リブレ」なんぞと違ってしっかりしていてプロレスファンとしては
ニヤリ。つーか老体にむち打ってハードコアなデスマッチまでやってしまうのには感服。
しかしまあ、レスラーの皆さんがリングを降りるとまたみんな優しそうな人たちばかりで、ほのぼのとしてしまう。
その他、バイト先での仕事っぷりとかプレゼントで選んだ衣装のセンスだとかふた昔前のプロレスゲームだとか、小ネタもいちいちほのぼの
としているのだが、それ故に根元的なつらく厳しく逃げられない現実とのギャップが浮かび上がって切ない。
若い頃に堅実な暮らしをしていなかったキリギリスさんは人生の冬を迎えるにあたって路頭に迷う羽目になってしまいました。
それでもこのマッチョなキリギリスにはリングとファンという心の拠り所、最後の砦があり、そしてそれに殉じて映画は終わる。
とはいえ、劇中で語られるそれはとどのつまり現実からの逃避であって、殉じるなんてかっこいいものではないのだけれども。
さて我らキリギリス予備軍は将来のその日、心の拠り所を持てているだろうか。つーかせめて逃避できる何かを残せているのだろうか。
○「列車に乗った男」 ★★★ (04.9.22/劇場)
STORY:秋、フランスの片田舎。寂れた駅に降り立った中年男・ミラン。彼は偶然知り合った老教授・マネスキエの屋敷で数日間暮らすことと
なる。平穏の中で生きてきたマネスキエとアウトローのミラン、対極的な人生を送ってきた二人の出会いは、双方の心に少しずつ、しかし確実に
変化をもたらす。仲間と銀行強盗を計画していたミランをマネスキエは止めようとするが、決行の日はマネスキエの手術の日でもあった…。
静かで平穏で安らいだ、しかし変化に乏しい暮らしをしてきた老教授と、日々転々としながら悪事に手を染めてしまい、しかしそんな生活
に疲れを覚えてきた中年のアウトロー。
己れの人生に疑問を抱いてしまった二人が偶然出会い、互いに欠けていたものを少しだけ補って、新しい人生へのきっかけをつかむ
様を描いた作品。
もっとも、つかんだその時には二人とも死んでいるという報われなさ。
静かな静かな物語だが、眠くなることも飽きることもなく最後まで見ることができた。音楽も俳優も良い。クライマックスあっけなさ過ぎだけど。
飲めない人への酒の飲み方のアドバイスについてはオイラとまったくの同意見でニヤリとした。
ところで公式HPにストーリーがオチまで完全に載っているというのはどうよ?
たまにはこういう静かなのもいいやね。
○「RED」 ★★★★ (11.2.12/劇場)
STORY:一人年金生活を送るフランク。楽しみは役場の年金係のサラと電話で雑談すること。しかしその正体はRED=Retired
Extremery Dangerous=引退した超危険人物と呼称される元凄腕のCIAのスパイだった。突如謎の部隊に襲撃されたフランクは、
彼に関わったために狙われたサラを強引に連れ出し、かつての仲間たちと事件の真相を突き止めるべく動き出すが…。
かつて世界を沸かせた大物スターたちが再集結して老いて尚盛んなところを見せつけてしまう高齢化社会を見据えた(嘘)B級
アクション大作。
ブルース・ウィリスは例によって例の如くイマイチ運がないが腕は超一流の男を、ジョン・マルコヴィッチはトチ狂ったはた迷惑な武器
のスペシャリストを、ヘレン・ミレンは美しい佇まいを見せる女殺し屋を、モーガン・フリーマンはド派手な礼服が似合ってしまうスパイ
を、喜々として演じている。
正直ストーリーは粗だらけだが、元気な老人たちの大暴れぶりは見ていてすげえ楽しい。ちょうど自分が入院していて日夜死に
かけの老人ばかり見て暮らしているから尚更に。
反面それが問題点で、じじばばしか出ねえのだが、ヒロインのメアリー=ルイーズ・パーカーも年増だがキュートだし、ヘレン・ミレンも
美しかったりして侮れない。
ライバルだったロシアスパイとの友情とか漢ポイントもあるし、見終えてあまり残るものはないが、観ている時にはすこぶる愉快だった。
わりと序盤の空港でのアクションがピークで、その後はあんまり冴えなくなるのと、モーガン・フリーマンだけ扱いが悪いのが残念。
○「レッドクリフ PartT」 ★★★★ (08.11.19/劇場)
STORY:中国、漢代末期。帝国を支配した丞相の曹操は残る大勢力である劉備軍と孫権軍を倒すため南進を開始する。が、その裏には絶世
の美女・小喬を我がものにせんという昏い欲望があった。衆寡敵せず曹操軍に蹴散らされた劉備軍は領民と共に逃避行をし、孫権軍に助けを
求める。孫権軍の指揮官であり小喬の夫でもある周瑜は劉備軍の軍師・諸葛亮と意気投合し、共に曹操軍に立ち向かうことを決意するが…。
♪悪の帝国が時に野心を抱き 中国統一を夢見たときに
君はどうする 君はどうするか 君は 蹂躙されて黙っているか
今だ出撃周公瑾 スーパー軍師周公瑾
連環火計ぶっ放せ 来たぞ曹孟徳の名将軍団
頼む 頼む 頼む 周公瑾
つーわけで漢気監督ジョン・ウーによる三国志の実写映画化である。
”三国志の映画化”という段階で、三国志に何かしら思い入れのある人間はそれぞれ何かしらツッコミを入れざるを得ないのが悲しい性
である。
正史派演義派コーエー派蒼天航路派無双派やおい派天地を喰らう派一騎当千派その他諸々、十人十色の三国志像があるわけで、万人が
納得する作品を作ることは非常に困難なモチーフなのである。
かくいうオイラも魏贔屓なもんで、予告の「悪の帝国が攻めてくる」というフレーズでもうブチキレですよ。言うに事欠いて悪の帝国呼ばわり
ですかい。歴史的にはどっちが悪党なのか。
とはいえ、基本的にスタンダードな「三国志演義」ベースで、そこにジョン・ウーならではの漢気テイストを大量注入しているので血が滾る
一大エンターテイメント巨編としては成立している。
男ならばたとえ命を捨ててでも守らなければならないものがある。北方三国志が好きな人には特にオススメをする。
そして合戦での劉備・孫権軍の武将の活躍ぶりときたら、これなんて実写版「真・三國無双」???というはっちゃけぶり。
関羽!張飛!!趙雲!!!甘興(甘寧ベースのオリジナル武将…って、だったら素直に甘寧でいいじゃんよ)!!!!孫尚香!!!!!
そして周瑜!!!!!!
まさに獅子奮迅不撓不屈一騎当千の暴れっぷりで血沸き肉踊るったらありゃしない。作戦とか練らなくてもこいつら戦わせてるだけで
勝てんじゃね?
冒頭のソーラーシステムからクライマックスの奇門遁甲八陣図まで、殺される前に殺せ!なバイオレンス溢れる戦闘シーンは実に熱い
出来。
わざわざ素手で敵陣に単身突撃して敵の武器をぶん捕って暴れまくる張飛さんの頭の悪すぎる戦い方は素晴らしすぎる。
劉備軍の連中はアレだとして、孫尚香や周瑜までもがアクロバティックな肉弾戦を繰り広げてしまう辺り、「真・三國無双」の影響を感じず
にはいられない。
え、コーメイさん?今回は鳩飛ばすくらいしか働いてないので次回に期待。
以下、残念な点。
膨大な登場人物の紹介があるのでどうしても話が長くなってしまっているのがつらい。
完全に悪役の扱いの曹操軍。それ故に曹操以下旗下の名将たちが凡愚・雑魚扱いなのがせつねえ。
トニー・レオンと金城武はいっそ逆のキャスティングの方があってたんじゃね?
関羽役の人があまり体が大きくなくて弱そうだったのが残念。顔つきも善人そうでイマイチ威厳が。あといちいち戦闘中に青龍偃月刀を
投げつけて丸腰になって窮地に陥るのはやめていただきたい。
つーわけで観賞前の偏見を吹き飛ばすジョン・ウー印の大暴走っぷりで大満足。しかし完結編まで半年待ちというのは長いなあ。
○「レッドクリフ PartU」 ★★ (09.4.13/劇場)
STORY:漢代末期。帝国丞相の曹操は天下統一のため劉備軍と孫権軍を倒すため南進。その裏には絶世の美女・小喬を我がものにせんと
いう昏い欲望があった。曹操の卑劣な計略で劉備軍は孫権軍と袂を分かち撤退、戦力差は更に絶望的になるが、ただ一人諸葛亮は呉軍に
残り周瑜と策を練る。ほんの一時だけ季節風が逆に吹く機会に火計を仕掛けるべく決戦に赴く呉軍。しかし小喬は単身曹操の元に身を投じ…。
♪俺たちゃ江南に行った 長江河畔さ
中国統一に行った とってもゆるい勝ち戦
孫仲謀と周公瑾 少数で攻め込んできた
ところが 突然風向きが逆になって あたりは火の海さ
河上の煙 火の粉がパチパチ
河上の煙
つーわけで漢気監督ジョン・ウーによる三国志の実写映画化の後編である。
前編は実写版無双アクションが炸裂する予想以上のバカアクション映画だったため後編も期待は膨らむばかりだったのだが………。
う〜ん、ちょっとこれは…。
戦争シーンは痛快無双っぷりはナリを潜めて敵兵も味方兵もバタバタと倒れていく陰惨な描写で、「戦争は〜こんな悲劇まで生み
出してしまう〜。戦争は〜絶対に〜やめさせねば〜ならん〜」(byマイク水野)というテーマを語るためには必要なのかもしれんが、ちと
いただけない。
あと冗長。ヴィッキー・チャオたんの出番全部削ってもいいから短くすべき。「戦争は〜こんな悲劇ま(ry
そしていくらなんでも曹操のボンクラ描写が酷すぎる。黄蓋の苦肉の策という一世一代の見せ場を奪ってまでして、絶世の美女にして
やられて戦の機を見失って大敗を喫するダメ君主にまで貶めるのか。
日テレで曹操が主役の「蒼天航路」がアニメ化されて、同じ原作同士ということでこっちとタイアップ企画をやってたが、曹操の描き方が天と
地の開きがあるんで逆効果だと思うんだが。
なまじ前編がよかっただけに尚更非常にガッカリだったのだが、ウー校長お得意の拳銃と拳銃を至近距離で向け合う決めシーンを剣で
再現したのには少しシビレた。
あと出陣式で皆が周瑜に団子をお裾分けするシーンが妙な味が出ていて好き。みんな食べ終わったのにいっぱいもらいすぎて一人だけ
食べ終わらないのが楽しい。
周瑜と諸葛亮が固い友情で結ばれて別れるラストはなかなか格好いいが、現実にはその後は領土を巡って虚々実々の争いを繰り広げる
ことを考えるとシニカルな気持ちにしかなれん。
○「烈風 アクション!?」 ★★★ (03.4.9/劇場)
STORY:”仁”と”義”、二つの文字がそれぞれに刻まれた二つのヌンチャク。それを二本とも揃えた者は莫大な富を得られるという。ブルース・
リーを信奉する冴えないフリーター・敏幸は、骨董品屋に勤める彼女の香璃から、古ぼけたヌンチャクを誕生日プレゼントにもらう。しかし、それ
を狙って日本と中国のマフィアが現れ、香璃をさらわれてしまった敏幸は三つ巴のカンフーバトルに巻き込まれていく…。
まあ、わかっていて見に行ったのだが…安っ!ほぼインディーズ映画なので低予算・一発アイディア勝負な作品。
そのウリは、ブルース・リーに捧ぐカンフーバトルで、ブルース・リーファンならニヤリとするような登場人物たちが次々に真剣カンフー勝負を
していく。つーか本当にそれだけしかない潔さ。
メインキャストは無名揃い(「VERSUS」の革ジャンバイクが出てた)の中で、「ラスト・サムライ」・「キル・ビル」とすでに2本のハリウッド映画の
出演を控える菅田”ZX”俊が唯一気を吐く。むしろ変な方向に吐きすぎ。あと何故かお笑い芸人メ-GUNのおばちゃんじゃない方が出てた。
エンドロールでの「少林サッカー」チックな一堂会してのカンフーダンスがツボだったので+1点。
○「レディ・イン・ザ・ウォーター」 ★★★ (06.10.27/劇場)
STORY:中庭にプール付きの”コーブ・アパート”の管理人・クリーブランドは暗い過去を封印しひっそりと生活していた。ある夜、彼はプールで
泳ぐ全裸の美しい女性と出会う。彼女の名前はストーリー、ナーフ=水の精だという。アパートの住人が知っていたナーフにまつわるおとぎ話を
信じたクリーブランドはストーリーの願いを叶えるべく奮闘する。が、彼女の天敵である野獣がすぐそばまで近づいてきていた…。
「シックスセンス」で華々しく表舞台に現れ、以降「アンブレカブル」、「サイン」、「ヴィレッジ」と新作を発表するたびにどんどん評価を
落としていくM・ナイト・シャマラン監督の最新作。
シャマラン作品の醍醐味といえば、マイク水野監督作品と並ぶ最後のどんでん返しである。前作「ヴィレッジ」ではそれまで(トンデモ方向)
と真逆の返し方をするという暴挙に出たのだが、今作はといえば………どんでん返しすらないじゃん。
別世界からの異邦人の美女という割には何も特殊なことをするわけでもなく、なのにその胡散臭い話を登場人物たちは鵜呑みにし、ヒントにも
なってないヒントをこじつけるように物語は予定調和で進行し、でこうして書いていくと問題ばかりなのだが、その胡乱なところがシャマラン
作品で楽しい。
「サイン」をニヤニヤしながら観れた人ならたぶん今回もニヤニヤできるかと。”掟の番人”が犬コロをタコ殴りにするシーンの身も蓋も無さ
に爆笑。
シャマラン作品といえば、普遍的なテーマを阿呆な題材で描くわけだが、今回はテーマ性が今ひとつ希薄。「心ない映画批評家は犬に
喰われて死んじまえ」がテーマか?(笑)
ほとんど裸ワイシャツばっかりのヒロインだが、やはりそのバヤイ、ワイシャツは白でなければ今ひとつ燃えんな。演じるは「ヴィレッジ」の時
から歳を重ねたブライス・ダラス・ハワード。中谷美樹のように美しく見えるシーンもあれば、佐々木蔵之介のように見えて萎えるシーンもあり。
シャマラン作品といえば、監督のカメオ出演なのだが、今回はどこに出ているのかといえば………えええー?
その役どころがぶっちゃけ今回一番の見せ場。そこにシビレる!憧れるぅ!
○「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」 ★★ (02.12.18/劇場)
STORY:天才揃いのテネンバウム一家。だが、法律家の父ロイヤルは放蕩の末家を出、ビジネスの天才の長男チャスは事故で妻を失い神経
衰弱になり、天才戯曲家の長女マーゴは執筆をせず奔放な性生活を続け、天才テニス選手の次男リッチーは大敗して引退し世界を放浪中と、
今や完全に崩壊していた。ロイヤルは考古学者の妻エセルの再婚話を邪魔しバラバラの家庭を再生すべく、20年ぶりに家へと戻るが…。
豪華キャストが奇天烈な”元”天才たちに扮し繰り広げるコメディ映画と聞いていたのだが、ツ○ヤ式分類でいえば、”28L=洋画コメディ”と
いうよりむしろ”28N=洋画ヒューマン”という感じの作品だった。つーかそれにしてもグゥイネス・パルトローのメイクが怖え!
常に息子2人とお揃いの赤ジャージ姿(葬式の時は黒ジャージに。)の長男チャスや指を切り落とされたエピソードが強烈な長女マーゴなど、
面白くはあるのだが、どちらかというと悲哀の色が濃いというか。つーかそれにしてもグゥイネス・パルトローのメイクが怖え!
個人的に何に注目して見に行ったのかというと、ベン・スティラー(チェス役)とオーウェン・ウィルソン(隣人イーライ役)の「ズーランダー」主演
コンビの活躍でして。つーかそれにしてもグゥイネス・パルトローのメイクが怖え!
ところがこの2人、全然絡まずガッカリ。クライマックスでようやく絡んだかと思うとドタバタが発生したのにはニヤリとしたが。つーかそれにしても
グゥイネス・パルトローのメイクが怖え!
○「ザ・ロード」 ★★★ (10.10.4/劇場)
STORY:文明が崩壊して10年、空は薄暗く曇り灰が降り注ぎ、生態系は壊滅した。生き残った数少ない人類はわずかな食料を巡り
殺し合い、人肉を喰らうところまで墜ちていた。荒野を行く親子。荒れ果てた世界しか知らない息子に父親は希望の灯を胸に善く生きる
ことを説き続ける。苦難を乗り越えながら海を目指して旅を続ける二人。だがやがて父は自分に残された時がわずかなことに気づく…。
最初に言っておくと、THE 虎舞竜とは何の関係もねーがら!
世界が滅んで数十年、暴力だけが支配する弱肉強食の荒野を、希望を胸に歩く旅人の姿があった………。
というあらすじだと、はて?今年似たような作品を観たような気がするとデジャヴ(主演がデンゼルさんだけに。)に襲われてしまう。
日本公開も同時期ってえのはどういう了見なのか。
しかしいざ観てみれば、主人公が超人的に強かった「ザ・ウォーカー」と違って、こちらはあくまで普通のおっさん。死に瀕する世界では
数少ないであろう子ども、しかも愛する我が子を守るために死にもの狂いの力を発揮はするものの、あくまで普通のおっさん。
絶望に充ち満ちた世界の中でか弱き希望の光と言える子どもを連れてはいるものの、世界を変える力なんて持ち合わせていない
あくまで普通のおっさん。やたらケツを見せるシーンが多い気がするものの、あくまで普通のおっさん。
なので彼ら親子が歩んでいく道はただただ薄暗い。それでも希望が0でない限り人は歩み続けなければならないというのが切ない。
道中親子が出会ったヨボヨボの老人が、死を選ぼうと思ったことはなかったかという問いかけに対して、「この時代にそのようなことを
願うのは贅沢だ」と答えたのが印象深い。
物語が終わった後のスタッフロールで、真っ黒な画面に、小鳥のさえずりやその他諸々の失われたはずの生活音が聞こえるという
そこはかとない希望を感じさせる演出が心憎い。
主演はヴィゴ・モーテンセン。「ロード・オブ・ザ・リング」以降超人的タフガイを演じてきたので今回の普通の人ぶりは微妙に肩すかし
だったり。風呂なんてないので汚れ放題で頬はこけやつれ果てても眼だけは爛々としているのは流石。
子役のコディ・スミット=マクフィくんは「ぼくのエリ」のハリウッドリメイクに出演するそうで。声変わりしちまう前にもっと出演しといて
ほしい。
○「ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間」 ★★★(02.3/劇場)
STORY:かつて冥王サウロンが作り上げた、大いなる力を持つ指輪を手に入れてしまったホビットの青年フロド。指輪がサウロンの闇の軍勢の
手に渡れば、世界は破滅する。指輪を唯一地上から消し去ることができる方法、それはサウロンの本拠地たる滅びの山の火口に指輪を捨てる
こと。世界の命運を賭けて、人間・エルフ・ドワーフ・ホビットら各種族から選ばれたフロドら9人の”旅の仲間”たちは冒険の旅に出発する。
RPGの源流たる「指輪物語」を、ニュージーランドの世紀のスプラッター監督ピーター・ジャクソンが、三部構成で映像化した作品の第一部。
それでも190分の大ボリューム。
しかし、その長さを感じさせないスペクタクルの嵐で、スタッフロールが始まったのを見て、終わりかよ!と三村ツッコミを入れてしまうほどの出来。
しかし、何か物足りない。まだ完結していないこと、RPGの母体故に、ストーリーがステレオタイプなこと、”旅の仲間”のキャラが急ぎ足で進む故
にあまり見えてこなかったことなどが理由か。
オイラは原作未読なので、同じ境遇だった「ハリポタ」の時と一緒で、疑問点・ツッコミが続出なのだが、とりあえず正式な評価・感想は、三部作
が完結しないと下せないわけで、暫定。
まあいろいろとツッコミたいところはあるのですよ。
ジジイ強いのか弱いのかわからんぞとかドワーフ働いてねえなとかオークつーかゴブリンではないのとかウルク=ハイってプレデターみてえとか
サルマンいうたらサルでも描けるマンガ教室でんがなとか。
あ、”旅の仲間”のエルフの弓使い・レゴラスの戦闘はすげえかっこよかった。小李広花栄。
とりあえず、ウィズの種族の基本能力値(最高18)でホビットの運が15もある理由や、「ウルティマ 恐怖のエクソダス」(町民・日高のり子の
頭が他の人の4倍くらいデカい上に下手なモンスターよりも強い)にレンジャーなんて職業があった理由がわかったのは収穫。
続編ではガンダルフが「悪魔の使いめ!私の蹴りを受けてみろ!」とカンフーを炸裂させるのを期待する。
○「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」 ★★★★★
STORY:冥王サウロンの指輪を捨てるためにモルドールを目指すフロドとサムは、かつての指輪の所有者で指輪の魔力で醜く変形してしまった
ゴラムと出会い、道案内を頼む。一方、オークにさらわれたメリーとピピンを追っていたアラルゴンらは生還したガンダルフと再会、彼の導きで
ローハンのセオデン王と共に、サルマンの闇の軍勢1万に対抗して、わずか300名ほどと角笛城で絶望的な篭城戦をすることとなる…。
前作から1年、満を持しての第2部登場。が、ぶっちゃけ来年にならないと完結しないわけだし、あまり期待してなかったのだけれど…、
うわ、すげえよこれ!!!
予告編で、「第1部は序章でしかなかった!」とかアオッてたが、まさにその通り、迫り来る冒険また冒険の冒険百連発!
いきなりのガンダルフVSバルログの大空中戦で度肝を抜き、すごい存在感のCGキャラ・ゴラムがフロドと西田敏行の前に姿を見せ、森の巨人・
エントやオリファントや魔狼といったクリーチャーの登場、そして壮大な戦争シーンと圧巻の3時間。
とにかくなんといってもラスト40分の攻城戦が素晴らしい!大地を埋め尽くし押し寄せる地獄の軍団の絶望的大戦力のビジュアル!屠っても
屠っても同族の屍を踏み越えて攻城兵器で攻め立ててくる恐怖!聖火ランナー!
対するアラゴルン・レゴラス・ギムリも「真・三国無双」な暴れっぷりで大活躍!攻めかかる大軍勢を橋の上でたった二人で撃退するアラゴルンと
ギムリの張飛っぷりや、階段を盾をスケボー代わりに下りながら弓を乱射するレゴラスの黄忠っぷりがカッチョエエ!
そしてクライマックスの、精鋭騎馬隊の敵陣一点突破に、ガンダルフたちの「今、俺たちは太陽と一緒に戦っている!」と言わんばかりの騎馬
隊逆落とし、そしてそして大怪獣映画なエントたちの大暴れ(サルマン大弱り)と怒濤のカタルシスで大満足。
旅の仲間一言。
ガンダルフ:”今、新たなるガンダルフがめざめようとしていた…。そう--この男はすでに昨日のガンダルフではないのだ!
かりに前回のガンダルフを灰色のガンダルフとすると…今!めざめたこの偉大なる巨人は!!
そうだっ!!白のガンダルフだっ!!”(ビン、ガバァァァァッ)「ふっ…白のガンダルフになったところで…もうひと眠りするか…」
レゴラス:剣より弓の方が絵になるので相変わらず目立っている。ヒゲないのも要因。一部で受けてた”変な馬の乗り方”、本当に変。
ギムリ:すっかりお笑い担当。あの斧はあんまり強そうに見えないッス。
西田敏行:前作ではいるのかいないのかという存在感だったが、今回は大活躍。埋まったりもしたが。
とまあ、すげえよかったのだが、文句もつけとくと、やはり長すぎ。女どもの登場シーンが実にどーでもいいので全部切っちまえ!せめて途中
にインド映画の如く休憩を入れてもらわんと膀胱がもちません。
それでもグレイト!ピーター・ジャクソン監督、あなたはやはり天才だった!!!…でも、また1年待たされるのかよいとしいしと!
○「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」 ★★★★★ (04.2.7/劇場)
STORY:冥王サウロンの力の源である指輪を唯一破壊できるサウロンの本拠地・滅びの山を目指すフロドとサムの旅にも終わりが近づいて
いた。しかし指輪の魔力でフロドは心身共に疲弊しきっており、さらに指輪を狙うゴラムが二人の仲を裂こうと奸計を弄していた。一方、サウロン
軍は、ゴンドールの首都ミナス・ティリスを陥落させるべく大軍を送り込む。対するアラゴルン・ガンダルフらは絶望的な戦いに身を投じるが…。
3年の時を経て三部作堂々の完結。
出来に関しては、前作「二つの塔」がとてつもなく素晴らしかったので全く心配はしてなかったし、事実満足のいく完成度であった。(二作目
から不安汁ダラダラでダメダメな完結編を迎えた某スタイリッシュ仮想現実SF三部作とは違う)全キャストとスタッフに心からの感謝を。
最大の見所はやはり最先端のCG技術をフル稼働させて見せる架空世界の情景と大スケールの戦闘シーン。前作に輪を掛けて激しい
攻城戦は血がたぎりまくる!投石機から次々放たれる巨大な岩で崩れ落ちる城壁、ゴミのように吹き飛ぶ人、オークどもを蹴散らすローハンの
騎馬軍団の頼もしさ、押し寄せる巨獣オリファント、空から襲い来るナズクルの凶悪さ、そして冴え渡るレゴラスの美技!
さらにドラマが最高潮に盛り上がる。特にホビット組が熱い!弱り切ったフロドをどこまでも献身的に支え続けるサムは漢気大爆発!今回の
主役だ!メリーとピピン@も大活躍(およびブレーキ)。でも相変わらずギムリは影が薄い…。
なにげに戦闘が前作よりも絶望感に欠けていたり、エクステンドボックス見てないと理解しづらい箇所があったり、やっぱり3時間半もあると途中
トイレ休憩入れてもらわないとつらいッスよだったり、エンディング部分がちと長い気がしたり(三部作のエンディングだと考えるとそれなりの
時間があって当然なんだけどね)、ぶっちゃけリブ・タイラーの出番、三部作とも削っちまっても困んねーじゃん?と思ったり…と重箱の隅を
突っつけば気に掛かる点も出てくるが、そこまで言っちゃあわがままだのう。大傑作。
○「ロード・トゥ・パーディション」 ★★★ (02.10/劇場)
STORY:’31年冬、アメリカ。マイク・サリヴァンはギャングのボス、ジョン・ルーニーにかわいがられている殺し屋。ある日、マイケルは”仕事”を
しているのを息子マイケルに見られてしまう。父親とマイクの仲のよさに嫉妬していたコナー・ルーニーはそれを口実にマイクの妻と幼い子供を
射殺する。辛くも難を逃れたマイクとマイケルは、ひとまず伯母の住むパーディション(”地獄”という意味)という街へ逃避行を始める。
監督サム・メンデス&主演トム・ハンクスのアカデミーなコンビで送るアメリカ版「子連れ狼」。
「キャスト・アウェイ」の時のやつれっぷりとはうって変わって、顎の辺りの肉がたるみきっている貫禄のかけらもない口髭の無骨な殺し屋
イチマイク(トム・ハンクス)と、顔も体格も性格もまるでかわいくねえ12歳のガキンチョ・マイケル(タイラー・ホークリン)の、あまり会話もないような
親子が、逃避行を通して絆を深めていく話。
物語は実に抑揚が効いた重厚な語り口で進められていく。静か過ぎて序盤思わず寝そうになってしまったのだが、その静けさを一転して銃声の
轟音が破るなど、動と静のメリハリがしっかりしている。銃撃戦もやたら撃ちまくるのではなく必要最小限で仕留める殺し屋の美学が表れていて
好印象。
ギクシャク親子の敵に回るのはこれまた親子。マイクを息子のようにかわいがるギャングの老ボスと、それを嫉妬するボンクラ息子。そのボンクラ
息子が元凶で、話はどんどん悪い方向へ転がっていくのだが、ボスも結局バカな子ほどかわいいのか、息子を罰せず、マイクに刺客を差し
向けることになる。その刺客マグワイア(ジュード・ロウ)は死体の写真フェチで、自分が殺した死体を記念撮影するために常にカメラと三脚を
持ち歩くイカス男。
なかなか静かにカッチョエエし、いい映画なのだが、あのなるべくしてなった最後が好きじゃない。「レオン」の時みたいに、ああでもやっぱコイツ
死ななきゃ話終わんねえだろうなあ、とか思っていたら案の定。まあ、最後の最後、マイケルにはまだ帰れる場所があったのでこんなにうれしい
ことはなかったが。
○「ローレライ」 ★★★ (05.3.9/劇場)
STORY:広島に原爆が落とされた翌日、海軍参謀・朝倉大佐の命を受け、ドイツ製新型潜水艦・伊−507が密かに日本を離れた。その任務
は、マリアナ諸島で進められている第2・第3の原爆搭載機の発進の阻止。米軍の厳重な警戒の中を援護無しで突破せねばならず、加えて乗組
員は定員に満たない上に寄せ集めばかりという絶望的な状態だったが、艦には秘密兵器・”ローレライ”が搭載されていた…。
「亡国のイージス」の福井晴敏の原作を平成ガメラシリーズの特技監督・樋口真嗣が実写映画化。
アニメ畑の人や大ヒットドラマの関係者が絡んでいるだけあって、全編見所の連続で飽きさせずに最後まで引っ張ってくれる。
つーか古今東西潜水艦もののありがちエピソードを手当たり次第ぶち込んでいる感じである。
関口宏「東京丸の内のOL100人に聞きました。潜水艦ものの映画で起こる事件といえば何でしょう?答えは5つ」
(ピンポーン)
関口宏「はい、田中さんチーム」
田中さん「部下が反乱する!」
関口宏「部下が反乱する、さてどうでしょう?」
(ちゃーらーらーらーらーーーん)
客席「あるー!あるー!」
(ぴこぴこぴこーん)
関口宏「はい、3番目でしたそれでは鈴木さんチーム」
鈴木さん「えーと…敵をやり過ごすため限界深度を越えて潜る!」
関口宏「はい、限界深度を越えて潜る!」
(ちゃーらーらーらーらーーーん)
客席「あるー!あるー!」
(ぴこぴこぴこーん)
関口宏「お見事、1位の答え!それでは鈴木さんチームの解答です」
みたいな。
ただし2時間できれいにまとめているためにありがちでペラペラなのが難点。朝倉大佐はこれではただのキチガイですよ。
そりゃあ柳葉敏郎が”子供からもらったあやとりの紐”なんて取り出した日には死亡確定見え見えですよ。
佐藤隆太の使い方もひでえなあ。フェイトさんかい。どうせなら内側からしか締められなくなった注水室の弁を身を犠牲にして締めるとかに
すりゃあいいのに。
もう30分追加して人間ドラマとかを増やすべきだったかと。
それでも出演陣が豪華なのでその演技力で疵を隠している感じ。國村隼は轟天号に引き続いての潜水艦搭乗にございます。
あとピエール瀧がやたらよかった。
塾長んところで富野由悠季が出てると知って肉眼で確認に行ったのだが、見つけられなかった。後から詳細を知ったところ、出番1秒かい!
そりゃあまじまじと映したり一言でもしゃべらせたりしたらそれだけで目立つ異次元の存在感の持ち主だからなあ。
あと庵野秀明も出ていたらしいが、それは「茶の味」やら「恋の門」やらで無駄に見ているので別に確認しなくてもいいや。
○「ロスト・イン・トランスレーション」 ★★ (04.5.21/劇場)
STORY:往年のハリウッドスター、ボブ・ハリスはCM撮影のため東京を訪れる。日本語がさっぱりわからず孤独な想いを抱いていた彼は、同じ
ホテルに泊まっていた若妻、シャーロットと出会う。夫の仕事について来たのだが、夫が多忙で孤独感を募らせていた彼女とボブは意気投合し、
東京を楽しく観光して回る。しかし、些細な出来事から二人の気持ちはすれ違い、気まずさを感じたままボブの帰国の日が来てしまう…。
巨匠フランシス・F・コッポラの娘、ソフィア・コッポラの監督第2作にしてアカデミー脚本賞受賞作。
言葉のわからない異国で孤独に苛まれていた男女が巡り会い孤独を癒すという作品。つーてもお互い伴侶のある身なので引かれ合っても
仲は進展せず。なので話も進展せず。毎日顔会わせて寿司食ったり酒飲んだりするだけ。だりい。
旅の孤独感というテーマは外国に行ったことのないオイラにはちょっとピンと来ないのでちょっち退屈な映画でございました。
つーかこんなのでアカデミー脚本賞だって?
ジャンル的にはラブストーリー(最後にやっとチューするだけだけどな)なのだが、主人公であるハリウッドスター・ボブの仕事のくだりはかなり
コメディ風味。あんまりおもろくないが。通訳のおばちゃんがなっち(無論安倍じゃなくてコッチ)みてえな適当な訳するのには笑った。
マシューには引いた。つーか世界の晒し者ですよマシューさん。
しゃぶしゃぶ食べに行って、帰ってきて「まさか自分で料理する店だとは思わなかった」と二人してやたらガッカリするところが個人的に
ヒット。
ヒロインのスカーレット・ヨハンソンはかわいい。下着姿ばっかだしな!
○「ロック、ストック&トゥー・スモーキン・バレルズ」 ★★★★ (01.10/ビデオ)
STORY:ポーカーの達人エディは仲間3人を巻き込んでギャングのボス・ハリー相手に大勝負に出たが、イカサマされて敗北。巨額の借金を
背負わされる。途方に暮れる4人だが、安アパートの壁越しに隣人のマリファナ強奪作戦を聞きつけ、便乗して金を強奪しようと企む。一方、
ハリーは骨董品の銃の回収を二人組の冴えないチンピラに任せるが、ドジな二人は銃を売っ払ってしまう。そして、その銃を手に入れたのは…。
いくつものエピソードが複雑に絡み合い、加えて、凶暴な麻薬ディーラー、凄腕だが子連れの借金取り立て人など濃ゆいキャラたちが組んず
ほぐれつしながら、一つの結末へと猛スピードで突き進むバイオレンスコメディ。
それぞれの思惑や事態がピッタリとはまらず、ズレながら話が転がっていく面白味というのは三谷幸喜的?
スカッと爽快なドミノムービー。登場人物が多すぎるので、頭がスッキリしている時に見るべし。
しかし、この覚えにくいタイトルはどうよ?
○「ロボゲイシャ」 ★★ (09.10.23/劇場)
STORY:冴えない少女ヨシエはたった一人の肉親である芸者の姉・キクエの付き人としてこきつかわれる日々を送っていた。しかし姉妹は影野
製鉄の御曹司・ヒカルによって拉致されてしまう。ヒカルとその父・鉄心は日本支配を企む極悪人で、拉致された少女たちは暗殺マシーン・ロボ
ゲイシャに改造されていたのだ。才能を開花しメキメキと腕を上げるヨシエとそれに嫉妬するキクエ。姉妹の立場はいつしか逆転していた…。
「片腕マシンガール」に続き井口昇監督が送るナンセンスバイオレンスアクション。
低予算どマイナー映画だからこそのやりたい放題の、バイオレンスあり、アクションあり、SFあり、笑いあり、涙ありの、実に荒唐無稽
(誉め言葉)な作品。
でもねえ、バカやるのも、やっぱ掛けるところにはお金をしっかり掛けて、皆全力でやらないことには面白くならないんだよねえ。
「少林サッカー」の偉大さを改めて実感。
つーわけでストーリーや設定はぶっ飛んでいるものの、演出は凡庸、CGは貧弱、アクションはヘッポコ、演技は素人、おまけにおにゃの
こ美人じゃないということで、100円レンタルで借りてきて皆で酒飲みながら観賞してもそんなに盛り上がらないんじゃないか、という出来。
チョイ役の竹中直人が流石に手慣れたおちゃらけぶりで、むしろ浮いていた。
監督が「『花より男子』に出てくる金持ちをイメージした」というスーツ(えええ?)を身に纏ったイケメン・斎藤工は気取らずこんな映画に
大真面目に出ていてちょっと好印象。
志垣太郎は…なんでこんなのに出てるんだ?でも”地獄の謝罪”は好き。
○「ロボジー」 ★★★★ (12.2.2/劇場)
STORY:白もの家電メーカーの木村電器は社長の思いつきで二足歩行ロボットを開発することに。ボンクラ三人組がその任に当たるが、
お披露目一週間前にうっかりロボットを大破させてしまう。苦肉の策で、中に人を入れて乗り切ろうと決め、オーディションを開くが、サイズが
ピッタリで採用されたのは偏屈ジジイの鈴木重光だった。ところが、重光がお披露目のロボット博で命令を無視して暴走してしまい…。
「ウォーターボーイズ」、「スウィングガールズ」の矢口史靖監督作品。
ロボットの中にジジイが入って大活躍、ってそんなもんすぐバレるだろうが!と思ってしまうのだが、劇中で語られる通り、そんなこと実際
にやるヤツなんていねえだろう、とかえって怪しまれないかもだ。着ぐるみなのでは?と最初に怪しむのが東スポなのも笑える。
故あってロボットの中の人になるのは一人暮らしの偏屈ジジイ・鈴木重光73歳。特技は「おてもやん」を踊ること。
まあクソジジイらしく我を通し若輩を軽んじ、子どもや孫と折り合いが悪く、結果、周りから必要とされず内心寂しく思っていたのだが…。
ジジイをロボットのハリボテに入れるなどという小学生レベルの作戦を立てたのが弱小電気メーカーの窓際社員のチビデブノッポの気弱と
お調子者とネガティブの三人組ボンクラーズ。
とりあえずお披露目のロボット博だけ乗り切ればお役ご免のはずが、そこでただ歩くだけだったはずの爺さんが調子に乗って「おてもやん」
を踊った挙げ句倒れてきた柱からうら若き女性を助けてしまったばっかりに一躍脚光を浴び、全国津々浦々に引っ張りだこに。
一度だけのお披露目だからこそできた大バクチだったのに、今更嘘でしたとも言えず、ボンクラーズにとって事態は悪化する一方。
ここぞとばかりに爺さんは我が儘放題だし、爺さんに助けられた女性がロボットオタクの大学生で追っかけになったり。
しかし、次第にニセモノでしかなかったボンクラーズと爺さんは、皆に夢を与えられる本物へと近づいていくことに。
だが、破滅の足音は着実に近づいていた。
つーわけで脚本や演出に関しては安心できるブランド力で、キャスティングの見事さもあり、ニヤリと笑ってほっこりした気持ちで劇場を
去れる快作。
チラシを見た時には、ちょっとこれは駄目なんじゃねえの?などと危ぶんですみませんでした。
つーか、この作品が評価できるかどうかは、ヒロインであるところのロボットオタクで少しばかりイッてしまっている佐々木葉子@吉高
由里子を受け入れられるかどうかにかかっているような気も。
個人的には最高にかわいかったんですが。
ロボットを開発したボンクラーズも、冴えない若者役に定評のある濱田岳と「惚れてまうやろ−!」でお馴染みの(最近TV見ないから
わからんがまだやってるの?)見るからに幸薄そうな芸人のチャン・カワイ、あと知らない見るからにダメそうなもう一人と、見ただけで
ボンクラだと分かるラインアップでお見事。
そしてロボットの中の人のクソジジイは期待の大型新人・五十嵐信次郎…って、ミッキー・カーチスじゃん。
最後の笑顔がとてもとても素晴らしく、印象的だった。
竹中直人の使い方はあれくらいがちょうどいいのではないかと。
途中、ロボットに入ったままの爺さんがコスプレイベントに紛れてしまうという一幕があり、ミクさんとかダンボーとかが出てきて非常に居心地が
悪かった。
本格的にロボット工学を研究している大学のロボット研究会の部室にあるのがガンプラだけという演出も底が浅い。
○「ロボット」 ★★★★ (12.6.27/劇場)
STORY:インドのバシー博士は自分に似せた高性能ロボット・チッティの開発に成功、軍に売り込みをするが、彼の成功に嫉妬する恩師のボラ教授
の横槍で頓挫してしまう。更なる研究の結果、バシーはチッティに感情を持たせることに成功するが、チッティはバシーの恋人のサナに恋してしまう。
叶わぬ恋に狂い、バシーに廃棄されたチッティだが、ボラの手で悪逆非道な殺人ロボットとして復活し、サナを結婚式場から強奪してしまう…。
我らがスーパースター・ラジニカーントの映画がなんと全国ロードショー。空前絶後のヒット作「ムトゥ 踊るマハラジャ」だって単館上映だった
のに、あれから10年以上の時を経てまさかのカムバック。
まあ知らない人はいないと思うけど、ラジニというのは見た目はこんな脂ギッシュなおっさんだけど、インド、タミル語圏では、日本でいえばキム
タク以上の人気を誇るスーパースターな。どのくらいスーパースターかというと、映画の冒頭に「SUPER STAR Rajini」というロゴが画面
一杯に出るくらいには。
さて、今回のラジニの役どころは天才科学者。に…似合わん。しかも自分とうり二つのスーパーロボットまで開発してしまうが、その超高性能
ロボットが裸の女性を救出したけど車に轢かれて死んだりしたせいで感情を持ってしまい、博士の恋人への横恋慕を抑えきれず悪のロボット
へと堕ちてしまうという、白ラジニvs黒ラジニという大変な様相に。
悪のラジニロボは量産型ラジニロボと変形合体までかまして、後半は手のつけられない地獄絵図に。
何事も全力投球なインド映画にCGなんて危険な技術を与えてはいけなかったのだ。
つーわけでアクション、ラブロマンス、もちろんダンスとてんこ盛りだが、いかんせん暴走アクションが締まりがない感じ。電車内のバトルもカー
チェイス(何故に花嫁は無傷なんだ)も一つ一つのアクションは素敵すぎるのだが、全体の流れがちょっち…。
ラジニ映画の魅力の一つに、絵に描いたような勧善懲悪というのもあると思うのだが、今回は敵も味方もラジニということであんまりスッキリしない
エンディングだったというのもマイナス。白ラジニもロボットを軍事用に売り込むために作ってるしなあ。トレーズ閣下が悲しむじゃないか。
インド映画といえば3時間オーバーは当たり前なのに、この映画は2時間ちょいしかなく首を傾げていたら、案の定日本版は大幅カットしてあった
わけで。メインでカットされたのはダンスのシーンで、なんでもはるばる南米まで飛んでマチュピチュとかで撮影したダンスとかも情け容赦なく
なかったことにされているのが諸行無常。
音楽担当のA.R.ラフマーン(’09年、「スラムドッグ・ミリオネア」でアカデミー賞の作曲賞・歌曲賞を受賞)は、昔の作品では「インドの小室哲哉」
と呼ばれていたけど…日本の本家は………諸行無常だなあ。
○「ロミオ・マスト・ダイ」 ★★★ (00.12/ビデオ)
STORY:チャイニーズ系マフィアの一族に生まれ、父と弟をかばって香港の刑務所に服役していたハンは、弟が殺されたことを知り、脱獄して
父のいるアメリカ・オークランドへと向かう。そこではチャイニーズ系マフィアと黒人系マフィアが争いを繰り広げていた。何者かが陰で糸を引き、
両組織の抗争はさらに激しさを増す中、なし崩しに争いに巻き込まれたハンは、敵のボスの娘とは知らずトリッシュという魅力的な女性と知り合う。
香港功夫界の至宝、我らがリー・リンチェイ改めジェット・リーのハリウッド主演第1作。
が、同じくハリウッドに進出したジャッキー・チェンが「ラッシュアワー」であまり無茶をさせてもらえなかったように、今作ではジェット・リーの超人
アクションはあまり炸裂せず。じゃあ見るところねえじゃん。
タイトルからも想像できるように、「ロミオとジュリエット」の現代版かつ有色人種でやってみよう、という企画なわけで、いまいち誰が喜ぶのか
わからん結果に。そんな色恋沙汰や黒人音楽なんかよりもアクションアクションまたアクションだけ見せてればいいというのに。
ヒロインを演じるのは故・アリーヤ。その父親の、いかつい顔でいかにもワルっぽいけど実は無骨で親愛表現が下手ないい人をデルロイ・
リンドウ。
「女は殴れない」とか言いつつ、他人の拳を借りてボコボコにするシーンは好き。
○「ロング・エンゲージメント」 ★★★★ (05.4.15/劇場)
STORY:1920年、フランス。足の不自由な20歳の不思議娘・マチルドの元に、婚約者・マネクの戦死の報が届く。マネクはわざと負傷して
マチルドの待つ故郷へ送還されようとしたが、敵前逃亡と見なされ、同じことをした4人と共に死刑判決を受け、敵陣の前の塹壕に武器も食料も
なく放り出され、敵弾に倒れたという。が、「彼の身に何かあれば私にはわかるはず」とマチルドはそれを信じようとせず、マネクを探し始める…。
「アメリ」の主演&監督が送る一大戦争ラブミステリー。配給のコピーだと恋愛映画っぽいけど、これは戦争映画っしょ。
オドレイ・トトゥ演じるヒロイン・マチルドはアメリに引き続き電波系。なんぼ婚約者は死んだと聞かされても信じようとせず、直感のままに突貫
する様は、けなげさやいじらしさを通り越して完全に危ない人である。
そんな彼女を助けるヒゲ紳士の方々がそれぞれ個性的で魅力的。
本作は地獄と化した戦場の5人の死刑囚と彼らの家族・友人から手がかりを少しずつたぐり寄せて、複雑にもつれ合った糸を解きほぐし、真実へ
迫るよくできたミステリーでもあるのだが、いかんせん人多すぎ。しかも男どもは皆軍服+ヒゲなんで覚えづらいこと甚だし。それでも真相が
明らかになっていく後半は楽しかった。