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映画感想あ行



○「アーティスト」 ★★★★ (12.4.23/劇場)
STORY:ジョージ・ヴァレンティンは銀幕の大スターで順風満帆な生活を送っていた。彼の大ファンで女優志望のペピー・ミラーはひょんなことから
彼にアドバイスを受け、頭角を現し始める。ハリウッドはサイレント映画からトーキーへと大きく変革の時期を迎え、その波に乗れなかったジョージは
没落していく一方、ペピーは新時代の寵児としてトップスターに登り詰めていく。傷心のジョージは出演作のフィルムを燃やし焼身自殺を図るが…。



2012年度アカデミー賞で見事オスカーを獲得した作品。しかもモノクロのサイレント映画という異色作。
サイレント映画といってもBGMはありなので、なんちゃってなのだが、
BGMもSEも使い方がうまい
言葉を使えないが故の
体を使った要所要所の演出もバッチリだった。

話はすこぶるシンプルでよろしい。絵に描いたようなハッピーエンドもウェルカム。
ただ、主人公がなんでそんなにトーキーに難色を示すのかがいまいちティンと来なかったが。
ヒロインは予告編で見た時はなかなかかわいいと思ったが、本編では正直そんなでも。口が大きいのが気になった。

ジョン・グッドマンはモノクロでもギトギトしていた

まあ面白いけどオスカー取るほどかと言われると疑問だが、犬は掛け値無しに素晴らしかった。助演男優賞にノミネートしろよ!

ギョーカイとしては3D映画の登場もサイレントからトーキーになるのと同じくらい革新的とか思ってたのかね。そんなわけねーだろ。



○「アイ・アム・ナンバー4」 ★★★ (11.7.21/劇場)
STORY:母なる星・ロリアンを凶悪な異星人・モガドリアンに破壊され、生き残りの9人の子どもはそれぞれの守護者と共に地球で息を潜めて
生活してきた。3人目の子どもも追ってきたモガドリアンに殺され、次の標的であるナンバー4の少年は逃亡先にオハイオ州の小さな街・
パラダイスを選ぶ。成長し、秘められた能力が覚醒し始めた彼は、街で出会ったサラと恋仲になり、逃げずに戦う道を選ぶが…。



一応シリーズもの(第1作しか出てないけど)の海外小説が原作らしいのだが、それにしたってなにかと説明不足
生き残りがわずか9人という割にはそれぞれ同じ星から来た守護者がついてるし、何故モガドリアンとやらが執拗に追ってくるのかも
わからない
。ロリアンは滅ぼしといて地球は何故に制圧しないのかわからない。
何故9人の子どもを順番に殺していくのかわからないし、
何故に都合良くナンバー4と(ナンバー9)だけ特殊能力を持っているのかわからない。
………
きっとこれからのシリーズで全て明らかになるんだよ!
まあそんな期待が微塵も感じられないのは製作がマイケル・ベイだから

そういったあやふやな設定を無視すれば、なんだか古くさいストーリーながら、適度に派手なので適度に楽しめる。男の子も適度に格好
いいし、女の子も適度にかわいい。


ナンバー4くんの秘められた力を解放すると、両手から蒼い光が漏れ出す。怪力を引き出せるし、飛び道具にもなる。でも一番の使用法が
懐中電灯代わりだというのはどうか。
それと比べると、後から仲間になるナンバー6ちゃんは能力が多彩でなんか卑怯。


対する悪のエイリアン軍団も、変装して人間社会に紛れ込んでたりして、それなりに苦労してそう。蛮族くさいんだけどなあ。

続編が作られるなら、仲間が増えて更に派手になりそうなのでストーリーはともかく、アクション面では期待が持てそう。



○「アイ・アム・レジェンド」 ★★★ (07.12.25/劇場)
STORY:ガンを治療する新種のワクチンが変異し、新種のウィルスとなった。感染した人間は知性を失い凶暴化し、人肉を喰らい光を浴びると
死ぬ。感染を防ぐ手だては見つからず、そして、世界は滅んだ。3年後、ニューヨーク。生まれながらに抗体を持っていた故に感染を免れた
科学者・ネヴィルは愛犬サムと血清を作る研究を続けていた。彼こそが地球最後の男なのか…。



SF小説の古典「地球最後の男」の3度目の映画化ミュータントもののSFホラーなのだが、そんなことはおくびにも出さずミステリー調の
演出で一般人を映画館まで招き入れようと企んだ予告編
は上手いと思う。腐れ外道め。(上映開始後はホラーアクション風に切り替えたのが
また手が込んでいる。)
不勉強ながら原作も今までの映画も未見のまま観賞。


………うーん、まあ正月映画だからねえ。そこそこ楽しめるけれども何ともどうにもいかんとも底が浅い
とにかく端折り過ぎ。どのように人類が滅んだのか、その間の主人公の奮闘、ミュータントたちの生態、生き残りの村…行間を読むとかそういう
レベルじゃねーぞ


あとこのタイトルもどうにかならんか。なんかウィル・スミスの野郎が素で言ってそうで鼻持ちならん。映画の内容だとむしろ「ヒー・イズ・
レジェンド」
だし。


とまあ、前半の朽ち果てたニューヨークの街がすげえ良かっただけに惜しいの一言。(猛スピードで疾走してくる”感染者”といい、「28日後」を
彷彿とさせる。)
後半は一転して
B級モンスターアクションとなってしまって、まあそれはそれで楽しいのだけれど。



○「アイアン・スカイ」 ★★★ (12.11.12/劇場)
STORY:2018年、アメリカの女性大統領の選挙対策のため月へと旅出った黒人宇宙飛行士・ワシントンは月の裏側で都市を発見するも、謎の
集団に拉致される。彼らは第二次大戦後ここに逃げ延びていたナチスだった。ワシントンのスマートフォンの高性能に驚くナチスは、それを大量に
手に入れるため、脱色されて白人になったワシントンとクラウス准将を地球に送り込むが、宇宙船には彼の婚約者・レナーテが密航していた…。



北欧・フィンランドの好事家たち予告編を作ってようつべに流してカンパを募ったところ、1億円集まってしまったという話題作。
まあ
月の裏側に逃れたナチスが宇宙船で攻めてくるなんて頭のおかしいネタを聞かされたら振り込まざるを得ないわ。

つーわけで資金が潤沢だからか、意外にもしっかりした作りで、まさか宇宙艦隊戦まで拝めるとは思わなんだ。
戦争あり、風刺あり、笑いあり、恋愛あり、涙…はあったかな?の満腹な出来。


宇宙船まで開発できる技術を備えるも、地球から途絶していたためガラパゴスな進化を遂げているナチス文化なんていう正攻法の笑い
もちろん、
風刺ネタが非常に充実している。
そもそもダークサイド・オブ・ザ・ムーンになんで今更アメリカが有人探査船を送り込むかと言えば、
大統領選挙への露骨なアピールで、しかも黒人
層に取り入るために宇宙飛行士を黒人にしたり
していて。
いざナチスの尖兵がアメリカに降り立ってみれば、
意外にアメリカのタカ派思想とナチスの主義が噛み合ったりしちゃったり、どこの国も国連に
内緒で宇宙戦艦を造り上げていた
り、北朝鮮が馬鹿だったり、ナチスがチャップリンの「独裁者」をものすごく短く編集してプロパガンダに
仕上げて
いたり、と枚挙に暇のない秀逸なネタの嵐

ナチスだけに、まさかの「総統閣下はお怒りのようです」のパロディまであったりしてニヤニヤ。しかしあのネタって日本だけのものじゃなかった
のか
。チクショーメー!

壮大なオチもお見事。なんか現実にありそうでやだな。



「AIKI」 ★★★★ (03.2/劇場)
STORY:新人王候補のボクサー・芦原太一は交通事故で下半身不随となり、生涯車椅子生活を余儀なくされる。生きがいだったボクシングを
奪われ仕事も見つからず、すっかりやさぐれた太一だったが、偶然知り合った奔放な女・サマ子や親切な人たちとの出会いの中で、生きる気力
を取り戻していく。そして、相手の力を利用して相手を倒す合気の技を目にした芦原は、これならば車椅子でも出来ると弟子入り志願するが…。



出演陣に一抹の不安があったものの、ウルフルズの音楽に乗って達人・渋川剛気な合気道の秘技&軽快な車椅子アクションを見せる
予告編がなかなかよかったし、映画サイトの批評もまずまずだったので見に行った。


序盤は交通事故(下手人は田口トモロヲ)で車椅子なしでは生活できない体になった太一がやさぐれる様子&下半身が動かないとクソも満足
にできないんだよという話で、見ていてつらいものが。医師とか看護婦とか警官とか嫌味くさいキャラばっかりなのは意図的なのかね。
それが、ヒロイン・イカサマのサマ子の登場で雰囲気が変わっていき、さらに合気柔術の達人・平石との出会いを経て、だんだん話が生き生き
としてくるのはよかった。
この平石が、達人なのにただの穏やかなビール好きのリーマンという実にいいキャラ。演じるは
石橋凌

そして最大の見所はやはり、合気柔術の稽古・試合シーン。相手の力を受け入れ、自分のものにするという合気の極意の下、次々と相手を投げ
飛ばしていく石橋凌が素敵。さらに、演武会での太一と空手家との決戦も、車椅子を巧みに操って蹴りを避けまくるのはなかなか見応えが。

「ピストルオペラ」の”生活指導の先生”を思い出したぜ。

主役の加藤晴彦は相変わらずの演技力だが、役に対して等身大という感じであるとか無理矢理褒めてみようと試みたり。うさんくさいヒロインは
ともさかりえがうさんくさく好演。
永瀬正敏・田口トモロヲ・アホな役の佐野史郎などカメオ出演は豪華。
あ、本編では語られなかったが、ともさかりえの顔が曲がっているのも冒頭の事故のせいですか?それとも合気の力?…え、元から!?




○「”アイデンティティー”」 ★★★ (03.11.19/劇場)
STORY:凶悪連続殺人犯の死刑執行前夜、彼の過去の日記を入手した弁護側は再審理を要求する。その夜は記録的な大雨だった。通行
止めになり、11人の男女がモーテルで一夜を明かすこととなる。しかし、護送中の殺人犯が脱走し、次々と死人が出始める。そして、死体の傍
には必ず部屋の鍵が落ちていた。10号室、9号室、8号室…何かのカウントダウンのように。元警官のエドは彼ら11人の共通項に気づくが…。



「”アイデンティティー”」である。ブロンソンズのみうらじゅん原作・ブロンソンズの田口トモロヲ監督「アイデン&ティティ」ではない。
のっけから脱線してアレだが、このコンビの映画が東京ファンタではなく東京国際映画祭に呼ばれてしまうのだから世の中おかしいですよ
カテジナさん!


閑話休題。
嵐で陸の孤島と化した安モーテル、凶悪犯と彼を護送中の刑事を始めとしたいわくありげな登場人物たち、次々と不可解な状態で殺されていく
彼ら…と、
どこかで聞いたことがあるようなシチュエーションでいかにもB級ホラーな雰囲気の作品なのだが、
終盤
とんでもないどんでん返しが待ち受けている。

ちょっとこれをバラしてしまうと話が成り立たなくなってしまう(「シックス・センス」を見る前に、実はブルース・ウィリスすでに死んでまんねん、と
言っちまうようなもの)ので書きたくても書けずもどかしいのだが、なかなかとんでもないことになっている。
ただ、
ある意味反則技なので激怒する人もいそうで、万人にオススメできるというわけではない。まあウチのサイトのこんな文読んでる人には
問題なくオススメできるかと。
我慢できずにちょっとだけヒントをかますと、
「アダプテーション」でボンクラ脚本家が書いた実現不可能な脚本を見事に映像化しちまった、
と。

レイ・リオッタが阪神の伊良部に怖いくらいにソックリ



○「愛と誠」 ★★★ (12.6.20/劇場)
STORY:’72年東京。お嬢様の早乙女愛は、幼い頃大怪我を負ってまで彼女を助けてくれた太賀誠と再会するが、彼は極悪不良となっていた。誠
を白馬の王子様だと思い込む愛は、誠を名門高校に転入させ生活費も面倒を見る。が、反発する誠はたちまちもめ事を起こし退学となり、不良の巣窟
である花園実業に転入してしまう。愛はその誠を追って危険を顧みず花園実業に転入するが、誠と番長グループの争いに巻き込まれてしまう…。



原作未見イワシミズといったらいつも足から現れる鰯水等が思い浮かぶ世代。従って、「君のためなら死ねる」という名台詞は、ぶらじるの
歌声で再生される
♪ほら、死んだ〜
そんな
高度成長期時代の不良のお話のリメイクなど何考えて企画したのかと相手にしないところだったが、監督が我らが三池崇史、しかも
昭和歌謡ミュージカル映画とあっては、あまりに香ばしい匂いがして、観ざるを得ないわ
三池っちのミュージカル映画といえば、「カタクリ家の幸福」というのがあってだなあ…。

つーわけで、はっちゃけた作品を期待していたのだが、あんまりはっちゃけておらず、それでいて割とよくまとまっていて、どうにも振り上げた
腕の下ろし先がなくて困る

三池映画とは思えない綺麗なアニメで幕を開けるのは、前述「カタクリ家」が不気味なアニメで幕を開けたのと無関係ではないと思うのは
オイラだけかねえ、

ミュージカルシーンはフルコーラスでやるとgdgdになってしまうので一番だけでよかったんではないかと。ここが一番の不満点かもだ。
`70年代ってこんなだったよね、あるあ…ねーよ!ノリツッコミしたくなる混沌としたセットで繰り広げられるケンカは、流石三池監督、
手慣れたもの
だが、スケバンだろうが容赦なくぶちのめしちまうのはちょっと引く。リアル路線のファイト(でもないか)なので必殺技とかもなく、
地味な印象


誠氏ね(真は生きろ)な、意外なキャラが思い詰めた行動に出るラスト違和感ありまくりだが、一青窈と主演陣が高らかに歌い上げるテーマ
曲が何故か感動的なので
誤魔化されてしまう


主人公・誠に妻夫木聡ちょい長めのモジャっとした髪を振り乱して歌い踊る様は、誰かにそっくりな気がしてならないと思ったら、宇都宮
体操の人
だ!
ヒロイン・愛に武井咲。正直全然かわいいと思わない(が、ブスだとも思わない=全く興味がない)のだが、声は割と好きかな。まあ頑張ったと言って
いいのではないかと。
君のためなら死ねる熱血ストーカー眼鏡・岩清水に斎藤工。二枚目なのにこんなおいしいキャラもやっちゃうなんて卑怯だわー。
もう一人のヒロインのかわいそうな女に大野いと。………この棒読み演技は、かわいそうな女というエンシュツなんだよな?

おっさんにしか見えない病
の番長に伊原剛志。学ラン着たおっさんは竹内力で免疫あるから
誠の少年時代に
子ども店長鈴木福に仕事取られて全然見なくなったと思ったらこんな不良になっちゃって…。

他、安藤さくら・余貴美子・市村正親・一青窈らが濃ゆい演技で脇を固める
つーか
一青窈何やってんの?(しかも結構かわいいし)と思ったらマイラバから略奪した旦那が音楽担当だったのね。旦那も何やってんだよ。



○「アウトレイジ」 ★★★★ (10.6.23/劇場)
STORY:巨大暴力団組織・山王会の会長・関内は、配下の池内組組長が他組織の村瀬組組長とつるんでいるのが気に食わない。関内
の腹心・加藤からそれを告げられた池内は、村瀬と兄弟杯を交わしているため表立って敵対できず、配下の大友組に命じて村瀬組と
いざこざを起こさせる。それが発端となり、大友組を中心に山王会内部に血で血を洗う下克上の嵐が吹き荒れる…。



北野武監督久々のヤクザ映画。「Dolls」以降いろいろ模索した結果の娯楽作。
以前と比べて格段に観やすくなったが、それは以前よりも大衆向けに堕したということなのかも。いや、昔の作風嫌いですけどね。


久々のヤクザ映画ではあるものの、現代に生きるヤクザを描いているため、なんとも世知辛い終盤に
義理と人情を背負って仲間の仇を取るために屍を踏み越えながら満身創痍で敵の親玉までたどり着き刺し違えて男の意地を貫き通す、
なんてことがもう通用しないご時世でございまして、いやはやなんともはや。


見所は日頃のイメージを覆す出演陣の悪党っぷりインテリヤクザの加瀬亮悪徳刑事の小日向文世凡愚な側近の三浦友和
など
意外性のあるキャスティングは面白い。
石橋蓮司がかわいそうなのはいつも通り
大ボス役の北村聡一朗の雑魚臭が酷すぎるのが難点。

音楽はかつての仰々しくウザい久石譲ではなく鈴木慶一で、なかなか印象的。

ゲージュツ性は薄れてたものの、かといってウリにするほどバイオレンスが凄いわけでもなかったり。
でも
しばらく歯医者には行きたくなくなる



○「アウトレイジ ビヨンド」 ★★★★ (12.10.31/劇場)
STORY:内部抗争の末に加藤が山王会を乗っ取ってから5年。大友組から寝返って幹部になった石原の暗躍で、山王会は政界に影響を及ぼす
ほど巨大化していた。その力を削ごうと画策するマル暴の悪徳刑事・片岡は、西の大組織・花菱会と山王会を争わせようとするが、失敗する。そこで
片岡が出した切り札は、死んだと見せかけて刑務所で匿っていた、元大友組組長・大友だった。仮出所した大友を巡って、事態は急変していく…。



前作「アウトレイジ」(キャッチコピー・”全員悪人”)主要メンバーがほぼ死に絶えたのにも関わらず、まさかの続編登場
前作で漁夫の利を得て
我が世の春を歌う悪の三浦友和と悪の加瀬亮に牙を剥くは前作で全てを失い惨めに死んだかと思われた悪のビート
たけしと悪の中野英雄
。裏で糸引くは前作より偉くあくどくなった悪の小日向文世
ここに新キャラで
悪のねじりマフラー悪のハングマン悪の仮面ライダーZX悪の探偵ナイトスクープ悪の匿名係長らが参戦し、血で
血を洗う抗争が再び。

日本を代表するような俳優たちが喜々として悪党を演じているのが観ていて楽しい。
塩見三省ら元々強面から、
田中哲司光石研など意外な面子までバラエティに富んだ顔ぶれ。
桐谷健太は元より、
新井浩文すら若手扱いというメンバーの濃ゆさよ
高橋克典なんか台詞も顔のアップのシーンもないモブ並の扱いなのに、すげえ喜んでやっている感じが伝わってきてこっちまでニヤニヤ。
あと神山繁の声が永井一郎かと勘違いした。


主人公・大友が抗争の中心で無我夢中で暴れ回っていた前作と比べると、今回は抗争から距離を置こうとしていることもあってか、全体の沸点は
高め。前作でインテリヤクザとして活躍した加瀬亮が今回は権力を傘に吠えてるだけだったりして、ウザい。小日向文世も前作から出世して小物
なのに大物ぶっていてウザい。
前作よりバイオレンスシーンも控えめ。(でも
田中哲司と加瀬亮の処刑シーンは残酷で愉快。)
結局今回も踊らされるだけ踊らされた大友最後に取った行動がそのままエンディングに繋がりなんとも絶妙な後味を得られる
前作に引き続き音楽担当の
鈴木慶一の劇伴も主張しすぎずベタベタしすぎず、いい感じ。

ところで白竜って前作でたけしを狙う殺し屋で出てなかったっけ?と思ったらどうやら勘違いで、「その男凶暴につき」「荒ぶる魂たち」
記憶がごっちゃになった
と思われ。



○「赤目四十八瀧心中未遂」 ★★★★ (04.5.18/劇場)
STORY:尼崎に流れ着いた世捨て人の生島は、焼鳥屋の勢子に世話してもらい、ボロアパートで毎日黙々と臓物の串刺しの内職をしていた。
アパートには老刺青師や中年娼婦など問題のある人物ばかり住んでいたが、その中の綾という若い女性に生島は魅かれる。ある夏の日、生島
は綾に呼び出される。周囲のただならぬ気配を感じ取った彼は夜逃げするようにアパートを飛び出し綾と会い、旅立つ。この世の果てへと…。



同名直木賞受賞作(未見)を鈴木清順監督の大正浪漫三部作のプロデューサー・荒戸源次郎が映画化。
「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」幻想的な雰囲気が大好きで、そのテイストを期待して見に行ったのだが、結構ムード出ていて満足

とにかく主人公がダメ男である。自分に自信がなく、どんどん身を持ち崩し落ちぶれた生活に身をやつす男。自ら死を選ぶことさえできない、
ただ生き長らえているだけの廃人
。そのくせ服装は白のワイシャツってえのがまた小癪で。そんな所に気を使う階級でもないだろうに。
ダメ人間で他者との接触も不得手なため交友関係もない。唯一の友人は”新解さん”=新明解国語辞典(三省堂)って、
人じゃねえのかよ!
(笑)


そんな彼が流れ着いた先は兵庫県尼崎市通称”アマ”。つーか現代日本ですかここ?という混沌ぶり。まあ兵庫県にはかの明石市大久保
があるくらいだから現実もこうなのかもしれない。
特に彼の住むボロアパートの住人ときたら胡散臭さ爆発で、
ちょっとブラックユーモアの入った彼らとの暮らしぶりを描く前半部は非常に
楽しい
のだが、背中に刺青を背負った美女・綾と生島の逃避行を描く後半はちょっと失速
なんか生島と綾の仲が急速に深まるのがピンと来ない。オチも盛り上がらずに拍子抜けしたまま幕。赤目四十八瀧は綺麗だが。


主人公・生島を演じるは新人・大西滝二郎。ダメ男を淡々と演じている。もうちょっと年上の人が演じるべきだったかと。
刺青入りヌードに大胆な濡れ場を惜しげもなく披露するヒロインに寺島しのぶ。この作品と「ヴァイブレータ」の好演で’03年の映画賞を総
なめ。両方とも食堂で麺類すすってる。
まあ映画デビュー作
「シベ超2」だったんで、それを考えればどんな恥ずい演技をしても平気の平左だと思うが
老刺青師に扮した内田ロッケンロー裕也の凄みのある演技や大楠道代の酸いも甘いも知りすぎたおばちゃん演技など、出演者の好演が
目立つ。
「ヴァイブレータ」で寺島しのぶと共演した大森南朋もチョイ役で出演。麿赤児も出演してるんで、おお、
親子共演!



○「悪の教典」 ★★★★ (12.11.28/劇場)
STORY:頼私立晨光学院高校の英語教師・蓮実聖司は若くてイケメンで有能で、生徒からの人気は抜群、同僚やPTAの信頼も厚かったが、その
正体はサイコパスで、邪魔者を平然と殺せる人間だった。美少女たちを侍らせる理想の王国づくりに余念のない蓮実だったが、何人かの邪魔者を
始末していく内にミスを犯してしまい、やむなく一番無理のない解決法として、担任している生徒全員の抹殺を決意。惨劇の夜が幕を開けた…。



「大抵の人間は心に善のタガがあるッ!そのため思い切った行動がとれんッ!素晴しい悪への恐れがあるのだッ!だが!ごく稀に善なる
タガのない人間がいる……悪のエリート!」−ディオ・ブランドー


貴志祐介の綴る悪のエリートの物語を問題児・三池崇史が実写化。
ディオさんのおっしゃるような
悪のエリート=心にストッパーが欠如しているが故に目的のために手段を選ばない人間、しかも悪魔的に頭が
冴えて
しかもしかもイケメンという天が二物も三物も与えてしまった(その代わり大事な何かが欠損している)男・蓮実聖司、通称ハスミン
凄絶な一夏の体験談。

「\ハッスミーン/」、「はーい、虐殺、はっじまるよー」

顔色一つ変えず淡々と死体の山を築いていくハスミンだが、別に人殺しに快楽を覚えているわけでもなく、ただ単に殺すのが手っ取り早い
からやっている、あくまでただの作業でしかないというまさに
「お前は今まで食ったパンの枚数を覚えているのか?」な感覚で、その辺りが
映像では表現し切れてないところがもったいない


つーかこの大作を2時間強に無理矢理まとめてしまったのが実にもったいない魅力的なエピソードの数々がカットされてしまったし、何故に
ハスミンが結果として大虐殺を招くことになるミ致命的なスを犯してしまったのかという重要なターニングポイントも、過去話がカットされてしまった
のであやふやになってしまいハスミンの数少ない人間味が垣間見えなくなった
し、生徒側も無個性になってしまい、
殺し甲斐のない「バトル
ロワイヤルU」状態
になってしまっている
。まあその分テンポ良く殺しまくるハスミンが鮮烈にはなったが。
前後編に分けて作ってほしかった。
個人的には原作よりも早くアイツを退場させてしまったが故に
ハスミンが謎の必殺技を炸裂させるシーンがなくなってしまったのがすげぇ残念。
三池っちのことだから無駄にド派手なCGでやってくれると思ってたのに。


口笛吹きながらショットガンで教え子を吹き飛ばすなんとも素晴らしい人でなしを見事に演じたのは伊藤英明。「海猿」とかでいかすけない
好青年を演じてたのに。まあそのギャップもあって尚更凄みがあるわけだが。間違いなく今後の役者人生に影響を与えるであろう
当たり役

生徒役で二階堂ふみ染谷将太「ヒミズ」コンビが共演していて非常に嬉しい。やっぱ他の高校生役と比べて演技力が違うわさ。

つーわけでベストな映画化とは言えないが、ベターだったとは言える。やっぱ三池崇史も悪のエリートだよな悪ノリせずに淡々と異常者の
宴を撮りきりやがった


AKB48の大島優子がこの映画を観て号泣したというが、(炎上商法なのかもしれないけど、)至極まっとうな反応で、こんな胸くそ悪い映画
がもてはやされてはいけない
のですよ。
まあオイラは大好きだけど




○「悪夢のエレベーター」 ★★★ (09.11.24/劇場)
STORY:妻から産気づいたと電話を受け慌てた小川順が気づくと、そこは事故で停止したエレベーターの中だった。密室の乗合客は他に
3人。関西弁のチンピラ風の中年・安井、緑のジャージ姿の中年・牧原、そして沈黙のゴスロリ少女・カオル。なんとか脱出を画策する中で次第
に明らかになっていく彼らの驚くべき素性。自殺志願、空き巣、超能力者…。しかし、順にも実は知られたくない重要な秘密があり…。



原作小説未読監督が堀部圭亮というのに興味を引かれて。
調べたらTVドラマ版をチラッと見た記憶があった。


停止したエレベーターという密室の中で繰り広げられるワンシチュエーションサスペンス、と思いきや後半は舞台が広がりどんでん返しが
連発乱発される構成

なかなかうまくできているのだが、語り口がどちらかというと淡々としていて、少しのっぺりとした印象。もっと華々しく、あるいはけたたましく
やってもいいような気もするがそうはできないところが”万年控え選手”の悲哀とシンクロしているのかもだ。


地味めな出演陣の中で、ヒロインを演じる佐津川愛美が実に強烈な印象。今後に期待せざるを得ない。
マンションの管理人役の大堀こういちの変態演技もインパクト大。


つーか映画館で観客一人だったので管理人さんのホラー演出のところはちょっとブルッた。いや〜ん。



○「阿修羅城の瞳」 ★★★★ (05.5.2/劇場)
STORY:化政文化の頃の江戸。跳梁跋扈する鬼と戦うべく作られた幕府機関・鬼御門は日夜死闘を繰り広げていたが、鬼の王・阿修羅の
目覚めが近づいていた。病葉出門は5年前まで土御門の副長で”鬼殺し”と呼ばれ恐れられていたが、ある事件がきっかけで足を洗っていた。
彼は偶然、女怪盗のつばきと出会い、一目惚れしてしまう。だが、つばきこそが恋をすると阿修羅に転生してしまう運命の女性だった…。



劇団★新感線の伝説の舞台の映画化。
見所はヒロインを演じる
宮沢りえである。
殺陣やら物語やらは
監督が「陰明師」の人である段階で期待しなかったのだが、案の定
つーわけで「トニー滝谷」「たそがれ清兵衛」なんかとはまた違った、
アグレッシブな宮沢りえを堪能する映画で、その点においては十分
に及第点。細いうなじと真白い肌にハァハァしどけない和服姿やくのいちルックや
プリンセステンコーみてえな衣装にハァハァ

つーわけで★5つにしようか迷ったのだが、転生後の巨大顔で萎えたのと、脇を固める渡部篤郎や内藤剛志がミスキャストすぎるんで
減点

韓英恵タンもあんまりかわいくないし



○「あずみ」 ★★★ (03.5.11/劇場)

STORY:関ヶ原で徳川家が勝利を得ても、まだ国内から戦乱の火種は消えなかった。平和のため、不穏な大名を暗殺すべく、徳川方の小幡
月斎は10人の孤児を手練れに育て上げていた。彼らに下された最初の使命は、非情に徹するため、仲間と殺し合うこと。そして生き残った
あずみら5人は、大名、浅野長政を見事暗殺する。彼らの次の目標は加藤清正だったが、そこにはすでに凶悪な罠が仕掛けられていた…。



原作は小山ゆうの人気マンガだが未見。お目当ては、凶悪バイオレンスアクション「VERSUS」の北村龍平監督が豊富な予算と名優たち
を使ったらどんな映画ができるのか
という点。


で、できたのは普通の娯楽映画だった、と。「VERSUS」ほどの狂気のパッションがない、つーかまああっちはそもそもストーリー自体ないに
等しいから比べても仕方ないんだが。
つーわけで予想通り、アクションシーンはまあまあ満足の出来。当然お約束の”最後の対決は背中合わせ→カメラが周りを回転”もあるわけ
だが、今回はカメラの回転方向が意表をついていて笑った。
なれど、ストーリーがいまいち。テーマが見えてこない上に冗長。ラストは蛇足過ぎ。”
船上で清正に斬りかかるあずみ”あたりで止めちゃえば
よかったのに。


キャストは豪華…なのだが、主人公あずみを演じる上戸彩が…ねえ(苦笑)。もうちょっとやってくれるのかと思ったのだが…。でも女装じゃなくて
女物の着物を着た姿はかわいかった。毎週あの痛々しいガンプラのCMをチェックしているような上戸彩ファンなら必見&感涙だろうて。
脇役では北村一輝変な役のエンケンがよかった。オダギリジョーはあの役をやるには変態度不足。
「VERSUS」組では間違った日本語を使う松本”チビ”実が頑張った。当然出演の新庄は演技力を問われないようなバカ役でイカス!




○「あずみ2」 ★★★ (05.3.28/劇場)
STORY:戦国の世も終焉を迎えつつある中、平和を生み出すための刺客として育てられた”あずみ”は、徳川家に逆らい戦争を起こそうとする
大名たちを暗殺してきた。最後の標的・真田昌幸を討つべく彼の居城へ向かうあずみは、かつての思い人で、自らが手に掛けた”なち”と瓜二つ
の野盗と出会い、心乱される。一方、真田昌幸の元では謎の甲賀忍軍があずみを返り討ちにすべく罠を仕掛けていた…。



前作はものすごく期待して観に行って、それを裏切られてものすごくガッカリした
今作はまったく期待せずに観に行ったのだが、
思っていたよりは遥かにマシで、いい意味で裏切られてちょっと儲けモノだった。

いえいえ、そりゃあ話もアクションもグズグズのグダグダでございますですよ
じゃあ何がよかったのかと問われれば、前作より前髪が伸びた
あずみ=上戸彩が思ったよりかわいかった
アーンド
栗山”GO GO 夕張”千明もかわいかったわけで。
毒を盛られて苦悶する上戸彩とか、初めての殺人に息を荒くする栗山千明とか、アイドルムービーとしてはボチボチかと。


でも栗山千明の武器が鉄球じゃないのはいただけない。あと甲賀忍軍のボス役の高島礼子のコスチュームがスーパー戦隊の悪役みてえ
だった
上に、途中から突然演技が「極妻」モードになるのには笑った。

他のキャストでは、何をどうしたか大きくフューチャーされているエンケンが相変わらずで素敵。つーか前作のキャラとかぶってるんです
が。
南斗水鳥拳な最後を遂げる
新庄ともども、何故前作で別のキャラを演じていた役者を再度起用するのか不可思議。好きな役者なんで
うれしいが。つーか実質エンケンの活躍を期待して観に行ったようなもんだったし。
服部半蔵役に宍戸開。つーかこんな一見して弱そうな(そして実際に弱い)半蔵は初めて見た




○「アダプテーション」 ★★★ (03.11.18/劇場)
STORY:「マルコヴィッチの穴」をヒットさせた脚本家のチャーリー・カウフマンは、「蘭に魅せられた男」というノンフィクションの脚色の仕事を
受けるが、アイディアが思い浮かばず苦悩する。さらに、彼の双子の兄弟・ドナルドが脚本家養成講座に出席して書いた脚本が認められ、一躍
有名となる。焦燥したチャーリーは本の作者・スーザンに会おうと旅立つが、徐々に現実世界と彼の脚本が入り交り、歪み始める…。



怪作「マルコヴィッチの穴」や「ヒューマン・ネイチュア」の脚本家チャーリー・カウフマン自分自身を主人公として、現実と虚構を巧みに織り
交ぜて描くなんともいえない作品。(監督はスパイク・ジョーンズ)
この作品がなんともいえない味になっているのは主人公を演じる
ニコラス・ケイジ純情派の怪演が素敵すぎるからというのが大きい。
「マッチスティック・メン」でも変だったが、これまた変な役だよニコラス刑事。なにせ冒頭で「ハゲでデブ」呼ばわりされる冴えない気弱な
中年
で、脚本を挙げなくてはならないのに
ついついセンズリに耽ってしまうダメっぷりが他人事とは思えず痛い(笑)
しかも彼には双子の兄弟がいて、
勿論ニコラス刑事の一人二役濃いーのなんの!

このボンクラ兄がうさんくさい脚本家養成セミナーに出て書き上げたサスペンススリラー「3」は、謎の犯人に拉致監禁され少しずつ肉を
削られ痛めつけられる人質を救うべく刑事が奔走するという話なのだが、視聴者をアッと驚かす仕掛けとして、なんと
犯人は多重人格で、
犯人と刑事と人質は同一人物だった!
というとんでもない展開が待ち受けているのだ!
「ちょっと待て、どうやって監禁されている人質が同時に警察に勤務できるんだ?」
「…そ、それはトリックでなんとか…」
「トリックとかそれ以前の問題だ!!!」
素晴らしい
「犯人と刑事の追跡シーンがあるんだ。犯人は馬で逃げて、刑事はバイクで追う。どうだ?」
「…でも二人は同一人物なんだろう?」
ぜひ見てぇー!


つーか、ぶっちゃけそのアホ脚本がメインの話だと勘違いして見に行ったのだが、全然違う話だったよ…。後半の急転直下な展開も含めて
面白かったのでよかったが。手の込んだ入れ子形式の作品で、エンドロールの後までニヤリとする仕掛けがある


今、前の「映画秘宝」の記事を読み直したのだが、この脚本って、終盤の展開とドナルドの存在以外は限りなく実話で、登場人物って皆実在
する
のね。映画の原作者役の人なんて、実は○○だった!とかフられて、よく映画化を許可したなあ。
あと同記事に載っていたのだが、脚本初稿段階ではクライマックスでは
UMA”沼猿”が突如出現して悪人どもを喰っちまう予定だったそうで
…。見たかった!!!


ニコラス・ケイジのボボーボな胸毛を思う存分堪能したい方には特にオススメ。



○「アップルシード」 ★★★★ (04.4.19/劇場)
STORY:西暦2131年、勝者なき大戦で疲弊した世界は平和都市・オリュンポスに治められていた。名うての女傭兵・デュナン・ナッツはその地
でかつての恋人・ブリアレオスと再会する。だが彼は戦場で重傷を負いサイボーグとなっており、デュナンに冷たく当たる。改良クローン・バイオ
ロイドに支配されたオリュンポスは平和に見えたが、その影で陰謀が進行していた。そして、その鍵を握る人物こそ、デュナンであった…。



「イノセンス」に続いて今年二本目の士郎正宗原作マンガの映画化。まあ、なんぼ頑張ってもあの情報量を映像作品で再現はできないと思うん
だが。


今作は「ファイナルファンタジー」や「ケイナ」などと同じくフルCGで作成された作品。
だが、一つの特徴として、人物は完全な3DCGではなくトゥーンシェイド処理を施されていて
アニメっぽさが残っている。背景3Dで人物
2Dの「イノセンス」なんかに近い感じ。
なので見ていて
違和感アリアリ

アクションはなかなかに見事なのだが、印象としては、最近のゲームのムービーデモ?という感じ。…”最近のゲーム”の具体的な名前を
出せない辺りヘボい例えだぞ、オレ。
CG技術はそりゃすごいが、
いくらすごくてもそこからは本物の匂いはせず、ましてや人物だけがアニメ顔だったりする薄っぺらいムードの
中では登場人物が名言を吐いても心には残らない。ま、そう感じるのはオイラが3D嫌いだからかね。


反面、アニオタとして二次元風美少女のデュナン萌え〜と思うッス。他のキャラは皆ヘボい顔なんだが。声優たちもいい仕事をしている。
無闇に俳優ばかり使いたがるどこぞのヒゲメガネな巨匠に爪の垢を煎じて飲ませてやりたい

基本的にけなしているのに★が多いのは、今の日本のアニメの一つの先端として一見の価値があると思ったからで。あとデュナンがかわええ
ので★1つおまけ



○「Another」 ★★★ (12.8.6/劇場)
STORY:夜見山北中3年3組には26年前の無邪気な儀式によって、毎年のように多くの生徒・教師とその家族が死んでいくという現象が起きて
いた。’98年の3組も現象から逃れるために、あるルールを守っていたが、病気で転入が1ヶ月遅れた榊原恒一が左目に眼帯をした不思議な
美少女・見崎鳴と出会ったことにより、失敗。死者が続出する。恒一と鳴は偶然にも現象を止める方法を知るが、それが更なる惨劇を呼び起こし…。



個人的には「私気になります」「まるっ!」「急に歌うよ」「どしたのわさわさ」を差し置いて’12年上半期の流行語大賞である
「『Another』なら死んでた」(偏りすぎである)
の元ネタとなった作品の実写映画化
まあ今更言っても遅いが、一応様式美で言っておく
「やめとけ」

綾辻行人の小説から始まりマンガ化TVアニメ化破竹のメディアミックスの末の到達点アニメ版だけ視聴
この作品の面白いところは、本筋は同じだが、
メディアによって死ぬ人が違うこと。よって、今回も例に漏れず意外な人が死んだりして
でもまあ、TVアニメで1クール掛けてやるような情報量の作品を
たかだか2時間程度でやっちまおうというのはそもそも無理がありいろんな
設定がオミットされていて残念なことに

アニメ版ではクラスメートたちにも脚光が当たり、それ故に終盤に誰が真犯人なのか、というミステリが盛り上がるのだが、2時間弱の上映時間では
掘り下げなどできず、それ故に
名のある俳優が演じている目立っている人物が犯人だというのが原作未見者にもだだわかりなのがなあ。
原作で使われた見事な叙述トリックも、実写では誤魔化しようがなくオミットされているのも痛い。

まあそんな悲惨なことになるのは見え見えだったのに何故に観にいったのかといえば、ヒロインの眼帯美少女・鳴を演じているのが、「告白」
なかなかの存在感を見せた美少女・
橋本愛だったから。
観てみれば
やはりかなりの美少女でなかなかに眼福だったのだが、アニメの鳴ちゅぁーんの清楚で儚げな破壊的なかわいさと比べてしまうと
…ねえ。いやいや二次元と三次元を比べること自体無粋なんですけどね、デュフフ。

つーか鳴さん何してはんのや

スラリとふつくしい橋本愛(それでもアニメのちっさい鳴ちゅぁーんと比べてしまうと巨大でもっさりに見えてしまう ← まだ言うか)以外の生徒さん
たちは主要キャラも含めて、モブとしか言いようのない地味っぷり

みんな大好き赤沢さんも髪型まるで違うわ性格ブスだわ共通項は死に方が悲惨なくらい、という残念さ

大人組は流石にちったぁ名のある俳優を使っているが、加藤あい袴田吉彦と、なんともびみょーな顔ぶれ

とまあ、全体的にトホホなのだが、死亡シーンは無駄に頑張って残酷になっていたのは高評価
看護士さんの歪な死に顔なんかは実に悪趣味でポイントが高い。
しかし、
思ったよりも死人が出ないのがこれまた残念。クライマックスの修羅場もそこに至るまでも、もっと死なないと盛り上がらない。(まさに外道!)
クライマックスの、
クラスのいかにも嫌われ者っぽいデブがチェーンソーを手にするといういかにも死亡フラグしか考えられないシークエンスも、
もう少しうまく昇華できなかったものか。(順当に死ぬところだったが、直前に”現象”が終了したせいで九死に一生を得るという演出をした
かった
んだよね?)
大人組の生死の改変は、割としっくりくる、かな。なんか二人の共同作業で手を汚さなかったがために疎遠になってしまった感じになってるけど。


今までの関連作を知ってる人には駆け足でツッコミ所満載で、初めて見る人には説明不十分で痒い所に手が届かず、といずれにしても
もどかしい作品
。いっそ前後編にでもしてれば…。

橋本愛目当てで観ればそこそこイケてるが、それにしてもこの鳴ちゃん、いない者なのに明らかに主人公に積極的に近づいていってるよな。



○「アニマトリックス」 ★★★ (03.7.22/DVD)
「マトリックス」の世界を舞台にした9編の短編サイドストーリー。
「マトリックス」制作者で、
ハリウッド有数のOTAKUとしても知られるウオシャスキー兄弟趣味丸出し日本アニメ界の有名クリエイター
たち
に作成させた豪華短編集。


・「ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス」 ★★★★
STORY:ホバークラフト・オシリス号は機械軍がザイオンを殲滅すべく大部隊を進軍させているのを目撃、ザイオンに急を報せるべく急ぐが、
背後からセンティネルの群れが迫っていた。


「マトリックス・リローデッド」の前日談となる一編で、これだけ全編CGで作成されている。制作スタッフは映画「ファイナル・ファンタジー」の
チームなのでそのクオリティはお墨付き。だが、今までVFXを駆使して実写でやって来たことをわざわざCGでやること、(あるいはその逆)の
意味や意義がピンとこない。まあ技術がすげえのは確かだが。特に前半の
脱衣チャンバラは阿呆でいい。

・「セカンド・ルネッサンス パート1・2」 
STORY:人類と機械との戦いの始まり、太陽の恵みの喪失、そして人類の敗北という愚かな歴史を紐解く。

ダメじゃん
何故にロボットがあれほどに人型ばかりなのか?工事現場で使うのならそんな必要ないじゃん。実際、最終的にはあのクラゲメカばかりになる
わけだし。
ヘボイロボットのデザイン、陳腐な歴史、残酷な描写。誉めるところなし。
監督は前田真宏。ロボットのデザインが酷いのは向こうのコミックだかの大元のデザインが悪いからであってこちらの責任ではないので。


・「キッズ・ストーリー」 ★★★
STORY:パソコンとスケボーが好きな平凡な大学生・キッドは、彼がいる世界が実は現実ではないのではないかという疑念を抱きつつあった。
天才ハッカー・ネオに憧れる彼の携帯に、授業中一本の電話が掛かってくる。そして教室になだれ込んでくる黒服の男たち。ランナウェイ!


えーと、こいつって「リローデッド」に出てきたガキですか。かつてのアンダーソン君よろしく、エージェントに追われるキッドが、スケボーで魅せる
アクション
が見所。だけど、これくらいなら実写でできるじゃん。リアルな作画と相まって、なんでアニメでやるのよ感大盛り
監督は「マクロス・プラス」、「カウボーイ・ビバップ」の渡辺信一郎以下ナベシン。


・「プログラム」 ★★★★
STORY:戦国時代の城塞での武術訓練プログラム中、女戦士・シズは憎からずと思っている男から、仲間たちを裏切って、エージェントに記憶
を消してもらって、もう一度マトリックスの中に戻ろうと持ちかけられるが、それを拒む。二人の凄絶な死闘が始まった。


うむ。これくらい出鱈目でアホなアクション(誉め言葉)ならアニメでやるのは正解であろう。こうでなくては。
真剣白刃取りなんてあまりにもベタで目眩に見舞われたが、向こう向けなので仕方ない。
監督は海外では絶大な知名度を誇る、「妖獣都市」・「吸血鬼ハンターD」の川尻善昭。彼の作品を「アニマトリックス」の関連作品コーナーに
入れないのは相変わらず間違ってるぞツ○ヤ。では何が入っているかといえば、馬鹿の一つ覚えで「AKIRA」、「MEMORIES」、
「スプリガン」、「人狼」。


・「ワールド・レコード」 ★★★
STORY:100m走の世界大会で走る一人の男。だが、すでにその脚は酷使により痛みきっていた。それでも彼は走る。世界記録もドーピング
疑惑で失った名誉も選手生命も今は何も関係ない。ただ彼はもう一度感じたいだけだった。神の速さを得たときに感じたあの感覚を…。


あまりの速さでマトリックスの演算速度を越えてしまい、世界の真実の姿をかいま見た男の物語。と書くとすげえ面白そうなのだが。
監督は「PARTY7」や打ち切り月刊DVD「グラスホッパー」で活躍した(らしい)小池健という人。


・「ビヨンド」 ★★
STORY:吉祥寺。迷子になった飼い猫を探す少女は子供たちにお化け屋敷へ案内される。そこは空間と時間が歪んだ不思議な一画だった。

マトリックス内の、バグって時空間が歪んでいるんでバレットタイム(本編の見所のスローモーション・アクション)やって遊べる場所の話。
監督は大友克洋「MEMORIES」の一編「彼女の想いで…」の森本晃司。つーかよお、せっかく日本製世界発信のアニメなんだからよお、
もっとジャパニーズ・萌えを強調したキャラ出そうぜえ!うぜえ顔ばかりで嫌になっちまうぜ。


・「ディテクティブ・ストーリー」 ★★★★
STORY:ハードボイルドな私立探偵に舞い込んだ不審な依頼。食うに困って仕方なく、名うてのハッカー・トリニティを探すその依頼を受けた
彼は、ついにトリニティが出した謎を解いて列車の中で彼女と出会い、”真実”を知る。だが、彼は囮で、エージェントたちが二人を包囲しつつ
あった。


シヴい!イカス!時代遅れの冴えない中年探偵の最後の事件の物語。あのタイプライターなキーボードが格好いい。
監督は前記ナベシン渋いおっさん描写は流石。メイキングで引き合いに出された「ビバップ」の場面も、ジェットが刑事だった昔話のところ
だったし。


・「マトリキュレーテッド」 
STORY:機械側の兵器を生け捕りにし、人工知能を仮想現実の世界に入れて洗脳し、人間の味方にしていたレジスタンスの一団があった。
その日も一体の機械を取り込むことに成功した。が、その機械は一団の女戦士に恋をしてしまう…。


ごめん作画が半島系でキモかったのでいつの間にか寝てた。監督は半島の人。


つーわけで総括。「マトリックス」ファンとナベシンファンと川尻善昭ファンなら見といても損はないかと。
映画三部作に密接に関わるような深い話はないようで、まったくのファンサービス。




○「アヒルと鴨のコインロッカー」 ★★★★ (07.9.16/劇場)
STORY:仙台の大学に合格し市内のアパートに越してきた椎名がボブ・ディランの「風に吹かれて」を歌っていると、隣人の河崎に話しかけ
られた。彼の部屋で隣の隣の部屋の心を閉ざしたブータン人の昔話などを聞いている内に、いつの間にか椎名はおもちゃの拳銃を持って
広辞苑を盗むために本屋を襲撃する羽目に。強盗事件が新聞沙汰にならないことに首を捻る椎名は、河崎の過去を知る謎の美女と出会い…。



伊坂幸太郎作品の映画化第2作。しかしよりにもよって一番映像化が難しいこの作品を選ぶか
ネタバレになってしまうので書けないのだが、
原作のトリックの性質上、ビジュアルで見せづらい作品なのである。
そこをこの映画はどう乗り切ったのかというと………
考えられる中で一、二を争う安直な方法で表現していて思わず苦笑。あ〜あ。

でもまあ作品の出来はそんなに悪いものではなく、真摯に作られていて好感が持てる。原作の暖かい雰囲気を感じることができた
ちょっと最後の”河崎”の描写がわかりづらいかな。


全編仙台ロケということで、少しは知った土地なので見覚えある風景が見られるかと思ったらそうでもなく残念。しかし低予算故に本屋とかも
店名を変えずにそのまま出しちまって、あれだと店にとってはイメージダウンじゃないのかね?
全編仙台ロケということで、ちょい役の現地民の人たちが訛りまくってたが、
東北馬鹿にしすぎだろ。ふざけんな(笑)

キャストは最初にチラシを見た時にあまりにイメージにそぐわなく絶望したのだが、観てみればたいへん健闘していた
実質主役の
瑛太に対して特に絶望していたのだが、しばらく見ぬ間にずいぶん大人っぽくなったもんだ。(「嫌われ松子」のイメージだった。)
いい仕事をしておりました。前半のセリフがたどたどしいのは役どころ故だよね?
同じく絶望した大塚寧々に対しては見てもやはり絶望した。




○「アフタースクール」 ★★★★★ (08.6.6/劇場)
STORY:中学教師・神野の元に中学時代の同級生で探偵をしているという島崎が訪ねてくる。彼は神野の親友の木村を捜しているらしい。臨月
の妻を抱えた木村は今朝も普通に出勤していったはずだが…。木村が別な女性と写っている写真を見せられ絶句した神野は捜索に付き合わ
される羽目に。どうも木村はヤクザの女に手を出し追われているらしい。木村はそんなヤツじゃないと必死で否定する神野だったが…。



前作「運命じゃない人」が高評価の内田けんじ監督の最新作。すげえ評判がいいので見たかったのだが未見のまま今作を観賞。

あー、何を書いてもネタバレになってしまうので何も書けないじゃあございませんか。
とりあえず騙されたと思って見とけ!騙されるから、いい意味で



以下ネタバレ気味に。

脚本がまったくもって秀逸この緻密さはすごい
天国のマイク水野に爪の垢煎じて飲ませてやりたくなる鮮やかなどんでん返しを喰らった後は、冒頭からのやり取りの意味がガラリと
変わってしまう
のが素晴らしすぎる。そこまで計算に入れて演技する出演陣も頑張った。小道具の使い方も楽しい。

細かい情報なんぞ仕入れずに素直な気持ちで見て気持ちよ〜く騙されるのが正しい鑑賞法
当然思わず続けざまに最初から見直してしまいたくなる
映像作品ならではの傑作ミステリ

主人公の中学教師に大泉洋相変わらずの人のいいいじられキャラと見せかけてその正体は、と思わせて…という役柄がツボに入っている
のは、「どうでしょう」以来の
今までのパブリックイメージあってこそで、なんとも秀逸すぎるキャスティング
その相方に
堺雅人。つーか実はヒロインだろ何その萌えキャラ(笑)
佐々木蔵之介はいつもよりダーティな役柄。陰から進行をリードしているように見えて実は狂言回しだったといういいところなしの道化ぶりは涙を
誘わずにはいられない。「お前がつまらない人間だからだ」とまで言い切られるほどバックボーンが描かれていないのが惜しい。


女性陣にもう少し華があればパーペキ(死語)だったのだが…。田畑智子を人気NO.1キャバ嬢とは間違わんだろうて。



○「アベンジャーズ」 ★★★★ (12.9.5/劇場)
STORY:宇宙からの侵略者の尖兵として地球に現れたロキは、S.H.I.E.L.D.が研究している四次元キューブを奪う。地球の危機に、S.H.I.E.L.D.
長官のニック・フューリーはスーパーヒーローたちを集め、アベンジャーズを結成する。見事キューブを取り戻した彼らだが、各自の傲慢さから仲間
割れし、隙を突かれ再びキューブを奪われ、仲間も失ってしまう。ようやく心が一つになったアベンジャーズは、決戦の地・マンハッタンに向かう…。



「アイアンマン」、「アイアンマン2」、「インクレティブル・ハルク」、「マイティ・ソー」、「キャプテン・アメリカ」4年間伏線を張り巡らして、満を
持してハリウッドが解き放つ
スーパーヒーロー大集合のお祭り映画
「X−MEN」の連中や「スパイダーマン」とかがいないのは残念だが、次回作以降で加入するんだろうなあ。


4大ヒーローに、弓使いのホークアイ女スパイのブラック・ウィドウを加えたスーパーチーム・アベンジャーズだが、なんかメンバーに神様とか
いるんだから、緑のデカイのとか弓使いとか盾投げるコスプレイヤーとか必要ないんじゃね?
とか思ってしまうのだが、そこはそれ、デカブツ
担当とわらわら湧いてくる雑魚担当と、ちゃんと役割分担されて、
one for all,all for one誰一人欠けても成り立たないチームになって
いて非常によかった。
ほら、キャプテン・ヒィの宇宙船は火力が高すぎて南極での伝承族との戦いに参加できなかったじゃないか。


メイン戦力の社長と神様が派手にスッ飛ばす足下で、キャプテン・アメリカが的確な采配を振るい、未来装備の宇宙人どもをホークアイが
百発百中の弓で叩き落とし
ただの人なのにブラック・ウィドウも無茶しやがってな活躍を見せる適材適所な大決戦は
手に汗握り血湧き肉
躍り大満足

そして、そして、
ハルク△!!!
緑色でうすらデカくてキモいとか思ってて正直すまんかった
。ただの馬鹿力だけのデクノボーかと思ってたが、その馬鹿力があんなに凄い
とは
…。

そんな無敵軍団に挑むのはソーに国を追われて謎のエイリアンのパシリに成り下がったロキさんで、プンプン漂う小者臭がもうなんとも、ねえ。
クライマックスのホークアイの乾坤一擲の狙撃をはっしと受け止めて
ドヤ顔 → 次の瞬間爆破 → 落下した先でハルクさんにフルボッコ
という流れは最高だった。
そんな素晴らしいかませ犬の奮闘をEDで見つめるのは、
「マーヴル・スーパーヒーローズ」のボス二人で、うおおっ、テンション上がるわ!

とまあ、アクションシーンは大満足だったのだが、そこに行き着くまではgdgdで長い長い萎える萎える
次回作ではその辺考えてほしい。


あと、あのラストのラストは一体何なのだwww


同じ時期に、アクションに頼らず、ヒーローとは、正義とはなんぞや?と真摯に問うノーラン版バットマンという対極のような映画が封切られたのは
ちょっと興味深い。




○「アポカリプト」 ★★★★ (07.6.19/劇場)
STORY:16世紀、中米。密林の中で暮らすジャガー・パウと仲間たち。だが、突如マヤ帝国の人間狩り部隊が襲来、村は焼かれてしまう。
とっさに臨月の妻と長男を涸れ井戸に避難させたジャガーだが、自身は捕らわれ、仲間たちと都へと連行されてしまう。そこで彼らを待ち受けて
いたのは、神への生贄という運命だった。偶然にも九死に一生を得たジャガーは、追っ手から逃れつつ、妻子を救うべく密林を疾走する…。



前作「パッション」そのド変態ぶりを全世界に遍くアピールしたメル・ギブソンの監督第2作
前作はキリストが延々拷問を受け続けるという監督だけが嬉しい作品だったが、今作は
その変態性が娯楽性とうまく融合して傑作に

主人公(きれいなロナウジーニョ)はジャングルで平和に暮らす狩猟民族。物語はほとんど彼らの目線で描かれるため、突如何者か
襲われ村は焼かれ村長である父親は殺されどこへ連れていかれるともわからず連行され退廃した大きな街に連れてこられ何されるかと思った
生贄で心臓抉られ首チョンパ!というわからないことだらけでひたすら不安な展開には終始ドキドキさせられる。
とはいえ、連行のシーンとか都の澱んだ様子とか、ちょっち冗長なのだが。
あと登場人物すべからく土人なので誰が誰だか敵か味方かようわからん。


そして主人公(きれいなロナウジーニョ)が手傷を負いながら逃走を開始し、息子を殺された隊長が怒り心頭でそれを追いかけて始まるノン
ストップ・リアル鬼ごっこは迫力満点

敵も味方も走る走る俺たち流れる汗もそのままに。
更に大瀑布に飛び込み、生還して己のテリトリーに入ってからの主人公
(きれいなロナウジーニョ)の反撃も痛快。「オレの森だ!」とか
言っといて速攻底なし沼にはまって死にかけるのには苦笑したが。
一方、涸れ井戸に隠されるも這い上がる術を失った(まぁ社長も助けに来てくれないし)主人公
(きれいなロナウジーニョ)の身重の妻にも
子どもが負傷したり猛獣が襲来したりスコールで溺死の危機が迫ったりする上にしかも、
ううう産まれる〜!というスペクタクルな展開で、
どんだけ〜!?


そしてそして物語の”結”の部分はあまりにも突然な幕引き。これ、歴史を少しかじってないと意味不明かもだ。
スペイン人初上陸→マヤ文明を滅亡させる→予言成就=アポカリプト、という所が主人公(きれいなロナウジーニョ)視点故に語られ
ない
のが少しもったいない。

いやしかしそれら欠点を差し引いても躍動感溢れる傑作。マヤ文明の様子諸々が史実と異なっているなんて批判は的はずれも甚だしい。
ただし
監督が変態につき残虐シーン満載なので注意。ジャガーに喰われるにせよ、わざわざあんな所に噛みつかせるかねえ

生贄にされるため屈強な男たちが全身を青くペイントされ連行される様は、なんか青いレオタード着ているみたいで、「木更津キャッツアイ」
のうっちー
を思い出して笑ってしもうた。



○「アマルフィ 女神の報酬」 ★★ (12.06.07/DVD)
STORY:ローマにG8のために日本の外相が訪れるクリスマス、ローマの美術館で日本人旅行者・矢上紗江子の娘の誘拐事件が発生、外交官・
黒田康作が巻き込まれ解決に尽力することに。誘拐犯の要求に振り回される黒田らだったが、黒田は現場の防犯カメラに残された映像が改変
されていることに気づき、マスターを保存しているミネルヴァ警備に近づく。一方、犯人は身代金の受け渡し場所にアマルフィを指定するが…。



フジテレビが開局以降最大の制作費を投じて作り上げた一大観光映画なれどそんなに盛り上がらなかった映画
あまりの
元のプロットからかけ離れた破綻した内容に、原作者であり脚本も担当していた真保裕一が脚本家として名を出すのを拒否した
アラン・スミシー・フィルムとして悪い意味でも有名

つーわけで、
ダメ映画として観賞

………う〜ん、ミステリ映画としては確かにダメダメだけど、見れないこともない出来でパンチに欠ける
観光映画だと思って割り切って見ればそんなに酷くない作品。いや、ちゃんと観光もしてないけど。

もっと貶したかったのに

いや、ミステリ部分は本当に酷い
邦人少女誘拐は日本の外相目当てのテロの布石だったって…テロリストの首謀者が日本人で標的が日本の外相なんだから、
日本国内で
仕掛けろよ

少女がトイレで誘拐されるも、その防犯画像を加工してその事件を無いものにしたって…
そもそも少女がトイレに行かなかったらどうしたんだ

そんな短時間で画像加工できるか?
教会の蝋燭の炎が誰もいないのに揺らいだから気づいたって…そこは
「新手のスタンド使いの攻撃か!?」って思うだろう常考。(そうか?)
そんな
ボディチェックもなしに警備会社の最重要施設に易々と部外者入れるなよとか、愚かな邦人の命より万国共通の法を重んじろよ
とか、それだけハイテク(笑)な工作をして最後はアナログに梯子かよとか、結局アマルフィはスタッフ(亀山とか亀山とか亀山とか)がただ
バカンスに行きたかっただけだろう
、とか枚挙に暇はない。
まあ
大絶賛している人もいるわけですが

あと、あのブツ切り演出は何なのかね。つまらんので1.5倍速で見てるといきなり黒くなるので、再生不良かと思っちまった。

俳優陣はというと、この映画に興味がない人は織田裕二が好きではない人と結構被るんではないかと思うんだが、そういった人たちに
とっての
”いかすけない織田裕二像”がたっぷりと堪能できるので、そういう人たちには非常にオススメできない。全くもってうんざりだ。



○「ALIVE」 ★★★ (03.10.12/ビデオ)
STORY:恋人をレイプした6人の男を惨殺し、恋人をも殺した死刑囚・八代天周は電気イスから生還し、実験台として密室に閉じこめられる。
そこには同様の立場の男・権藤がいた。時計の一切ない部屋で暮らす二人は、測定者の思惑通り憔悴していく。それが限界に達しようかという
時、部屋に美女が現れる。自分を魔女だと名乗る彼女の体内には、”異次物”という凶悪なエネルギー体が巣くっていた…。



北村龍平監督作品。公開は延々遅れたものの、完成は「VERSUS」の後、「あずみ」の前である。
原作は高橋ツトムのマンガ(未見)だが、かの作風から漂うエッジさが映画には欠けているか。


かの監督の作品と言えばアクションがウリなのだが、この作品はアクションちと少な目。特に前半は会話ばかりで進んでいくのでちと退屈。
反面、後半、主人公が超人的な力を発揮し始めてからは暴れまくりだが。
そのアクション、予算やら技量やらの問題で理想よりは何段も落ちた完成度なのだろうが、それでも「マトリックス・リローデッド」の数年前にこれ
だけ無重力的バトルを頑張ってやってるのは評価したいなあ

あと気になったのは、そんな超常バトルをしているのに蹴ったり殴ったりの効果音が控えめなこと。もっと破天荒に行こうぜよ。


主演は榊英雄「VERSUS」では壊滅的な演技力の俳優たちの中なかなかの存在感を見せ、以後いろいろな作品で顔を見るようになった
のだが、今作は…う〜ん、パッとしない。つーか
モミアゲとアゴヒゲを落としたら誰だかわからん地味顔になっちまった(笑)
ヒロインはりょう。個人的にはイマイチ。
「双生児眉毛ない顔の方が綺麗だったぞ(笑)
死刑囚・権藤に杉本哲太。モヒカンで何とも言えない演技を披露。この役、布袋寅泰だったら面白かっただろうなあ。
さらに、小雪、国村隼、石橋蓮司といった豪華キャストが脇を固める。
最後に主人公と超常バトルを繰り広げるのが新庄。(場面が変わるごとに小見出しみたいな字幕が出て正直ウザかったのだが、二人の対決の時
に「VERSUS」という字幕が出たのには燃えた)今回は
セリフ無しなので好演(笑)けったいな造形だったが。
あと、「VERSUS」のレザボア軍団もあらかた登場。すぐ消えるけど。


実質インディーズ状態で作った「VERUSUS」が異常なテンションの怪作だったのに比べると、プロのスタッフ・キャストと作った今作はやはり
勢いが薄まって普通の作品になってしまっている。(さらにその後の大作「あずみ」はもっと酷いわけで)
メジャーになるというのは一長一短だなあ。




○「荒神」 ★★★ (02.10.30/劇場)
STORY:傷を負った2人の落ち武者が山寺に逃げ込んできた。1人は死に、1人は生き残った。寺の主の男女の勧めで、食事をし、酒を飲んで
養生する侍。彼に男が告げた。「自分は戦いの神、荒神だ。生きるのに飽きたが、死ぬのならば闘って死にたい。俺と闘え」戸惑う侍に、男は更
に告げた。「お前がさっき食べた肉は、お前の戦友の肉だ。人の肝を喰ったお前も最早人間ではない」そして2人の超人たちの死闘が始まる。



堤幸彦VS北村龍平・つまらん映画撮った方がパシリという”DUEL(決闘)”企画の北村監督作品。
チャンバラ。2人の漢たちの死闘。演ずるは大沢たかお(侍)と加藤雅也(荒神)の実力派。そりゃもう堤監督の作品なんかよりも期待大だった。


で、作品は期待していた通り、「VERSUS」ばりのハイパーアクション。ただ、期待通りすぎたというのが…。つーかまんま「VERSUS」の
クライマックスじゃん
。雅也兄ィの日本刀の柄がやたらゴテゴテしてるところでそういう予感はあったのだが…。主人公が一度××で、○○
するところとか、最大の盛り上がりのところで△△合わせになった2人の□□をカメラが☆☆☆☆するところとか…まんまや…。
まああれを越えるのはものすごく難しいだろうが、あまり目新しくなかったというのがちと残念。
あと暗すぎてせっかくのアクションが見づらいのもちょっぴり減点。


反面、「VERSUS」で問題だった演技の面では、ちゃんとした俳優使っているので、もうバッチリ。特に雅也兄ィが荒らぶる神でありながらどこか
すっとぼけたユーモラスなキャラを好演。大沢たかおもグッジョブ。最後のあの形相ときたら!
「VERSUS」のもう1つの弱点、”ヒロインがブサイク”は改善されず
横浜ベイスターズの佐伯かと思った。

音楽も同じ人が作っているだけあってまんま「VERSUS」だったが、EDテーマのメタル魂爆発の曲はものすげえかっちょよかった!!!



○「荒ぶる魂たち 抗争勃発篇/血戦篇」 ★★★ (02.9/ビデオ)
STORY:敵対する二つの暴力団組織、横溝一家と白根組との間に抗争が勃発し、両組共トップが殺される。しかしそれは、日本有数の暴力
団組織・天成会の幹部・海藤が勢力拡大のために横溝組と白根組を合併吸収しようと目論み、それぞれのナンバー2を調略した結果だった。
その筋書きに気づいた横溝一家の昔気質のヤクザ・樋口も暗殺されてしまう。そして、樋口を親と慕う特攻隊長・剣崎の逆襲が始まる…。



お馴染み三池崇史監督のヤクザ映画。ビデオ版は劇場公開時150分に切られたものを、未公開シーンを加えてビデオ2本・200分近くに
編集したものとなっている。


見所はどこを切っても滲み出る漢臭さ。ほとんど半裸(素肌の上に革ジャンとか)の主人公の狂犬ヤクザを演じる加藤雅也とその舎弟ズの
暴れっぷりや、シリアスな演技にハッとする竹中直人、クールでデンジャラスな殺し屋・白竜、ドス効きまくりの極道・松方弘樹や伊武雅刀、珍しく
壊れ役じゃないエンケン(カレーを嬉しそうに食べるのがすげえ微笑ましい)、客演でほんの少しの出番ながら存分に怖い顔を見せまくってくれる
小沢仁志…女性陣が演技してるシーンなんて200分の内10分もないんじゃないか?というくらい。でも一番暴れてるのはチンピラ役で
出演した三池監督
だったような。チャカブッ放ち、ホステスのケツの穴にマイク突っ込み、
「サラリーマン楽しいですか!?」…。

任侠アクションというよりは任侠ドラマなので、あまり派手なドンパチはないのだが、現代的な打算と昔ながらの任侠道の板挟みにあって苦しむ漢
たちのドラマは十分見応えがある。影で全てを操る海藤の家庭での姿なんかはちと考えさせられるものもあった。
そして、最後に待ち受ける
剣崎と殺し屋との銃撃戦に炸裂する漢たちの美学
「兄貴ッ、thank you & fuck you!!!」泣けるゼッ!
三池的やりすぎ感はまるでない、真面目に良くできた作品。こーゆーのも作れちゃうんだからまったく。




○「アルゴ」 ★★★★ (13.3.6/劇場)
STORY:’79年、イラン。欧米の息のかかった政権を転覆させたイラン革命の最中、アメリカ大使館も制圧され、多数のアメリカ人も人質に取られた。
そこから逃れ、市内に潜伏する6人の外交官を秘密裏に救出すべくCIAが動き出すが、困難を極めた。人質救出のスペシャリストであるトニー・
メンデスは「アルゴ」という架空のSF映画のロケハンをでっち上げ、スタッフに成り済まして6人を出国させるという奇想天外な作戦を立案するが…。



「ファッキン アルゴ!」
ニセ映画のニセスタッフに成り済まして敵国の厳重な警備を欺いて刹那を躱して刃すり抜け奴らの隙を突け、という嘘のような本当の話
映画化。
そんなアホな作戦よりもっとマシなのないのかと思ったら、
国境まで数百kmエッホエッホ自転車漕いで逃げる作戦とかばっかだった。
しかもその映画が
いかにもB級なSF映画なのがたまらない。それを思いついたきっかけが「最後の猿の惑星」なんてアレな映画なのがまた
たまらない。


成功の可能性の低い危険なミッションを命がけでやり抜くプロフェッショナルたち危険を知りながら身を賭してそれを助ける人々予想外の
トラブルの発生、殺気立つ敵性国人の群れ、迫り来る銃口
、と
一級品のサスペンス
終盤になると
イラン人のセリフに字幕が入らなくなり何言ってるかわからんがとにかくやべえ!と恐ろしいほどに緊迫感が増す
みんなおとなしく捕まってるのに自分らだけコソコソ逃げ出して、しかも自分らのために周りが危険を犯しているというのにやる気がない人質たちに
ちょっとムッと来た。まあ突拍子もない作戦だけどねえ。


しかしまあ、あのベン・アフレックがアカデミー賞獲っちゃう映画撮るなんてなあ…。主演もしていて、実にかっこいいし、もう便溢れっ苦なんて
書けないわ。


その受賞に関して、イランがキレてるわけだが、まあ史実としてはアメリカの傀儡政権に好き勝手やられた末の話だから、一方的に悪人扱いされて
ちゃ腹も立つよなあ。しかも好き勝手やった前元首は仮病でアメリカ亡命したわけで。




○「アンストッパブル」 ★★★ (11.11.8/劇場)
STORY:ペンシルヴァニア州。発火性の強い有毒化学物質を満載した39両編成の貨物列車が些細な人為的ミスで暴走を始める。
鉄道会社の阻止作戦も圧倒的質量の前に次々と粉砕され、このままでは大曲りを曲がりきれずに市街地のド真ん中で脱線、爆発、大
惨事は避けられないと思われた。その時、同じ線路上にいた新米車掌とベテラン機関士が愛する家族を守るために立ち上がった…。



2011年新春1発目に観た映画。ノーマークだったのだが、CMで興味を持って。
でも監督がトニー・スコットなのよね。あんまスタイリッシュ気取りの映像が好きじゃないのよね。
しかし
スコット弟はどんだけデンゼル・ワシントンが好きなんだ

映画自体は100分程度にコンパクトにまとまったよくできた娯楽作品。もうちょっと阻止作戦を失敗させて列車のモンスターぶりを
アピールした方がよかったとは思うが。


これだけの事件を引き起こした原因が一人のデブ(しかもヒゲメガネ)の不注意で、しかも本人にあんまり反省の色が見えないのが
度し難い。刑務所にでも入ってろ。




○「アンダー・ワールド」 ★★★ (03.12.03/劇場)
STORY:歴史の影で数千年に渡り続いていたヴァンパイアとライカン(人狼)の戦いに終わりが迫ってていた。ライカンの長・ルシアンが討たれた
のだ。戦勝ムード漂うヴァンパイア陣営の中で、女戦士・セリーンはライカン残党の動きを不審に思い追跡を続け、彼らがマイケルという医者を
狙っていることに気づく。辛くもマイケルを救出したセリーンは、急速に彼に惹かれていくが、彼はライカンに噛まれていた…。



ええと………主人公が黒くも角刈りでもない「ブレイド2」以上

では寂しいので補足。
ぶっちゃけ、よくあるヴァンパイアの超絶アクションものなのだが、目新しい点としては、不死のヴァンパイアの敵はやはり不死の人狼族だと
いうところ。
しかし、それ故に人間は蚊帳の外の戦いなので、あっそうあんたらで好きに戦ってなさいな、というしらけムードになるのはいなめない。
さらに、ライカンは戦闘時には人間から人狼に「ハウリング」っぽく変身して戦う(
「ドッグ・ソルジャー」の頭でけえ人狼よりは精悍な印象)の
だが、対するヴァンパイアは別段(例えば
「リーグ・オブ・レジェンド」みたいに)コワイ顔になったりコウモリ飛ばしたりせず、火器ブッ放ちまくる
だけ
というのも風情がない。特殊弾丸や銀の手裏剣や剣なんて武器も出てくるが、「ブレイド2」ほどケレン味がなく燃えられない。


黒のラバースーツに身を包んだ主人公を演じるケイト・ベッキンセールはなかなか幸薄そうでよい。強いんだけど、これこれこういうシーンが
シビレるんだよなあ、というのがないのが思い浮かばないのが弱い。
ヴァンパイアのリーダーで永き眠りに就いていた長老のじいさんがやたら強いのはいい。
しかしクライマックスで登場する、ヴァンパイアとライカンのハイブリッド(これまたパッとしない見た目)より強いというのはどうか?


なんかけなしてばかりいるが、そんなにつまらんわけではないけれど、やっぱりそんなに誉めるところもないなあ。



○「アンデッド」 ★★★★ (04.9.3/DVD)
STORY:平和な田舎町バークレーに突如隕石が降り注いだ。隕石に当たって死んだ者はゾンビとなって蘇り、ゾンビに噛み殺された者も
ゾンビとなり、町は見る間に死の町と化した。町はずれの変人・マリオンの家に逃げ込んで助かったレネら6人の男女は町からの脱出を計ろうと
するが、町は謎の壁によって外界から隔離されていた。降り注ぐ酸性雨の中、レネやマリオンたちの決死の逃避行が始まるが…。



オーストラリアのまだ20代の双子が作り上げた低予算ゾンビ映画
ほとんど自主制作映画でチープな造りだが、だがそれがいい。ゾンビ映画に金掛けたからどうなる、というのは最近の大作ゾンビ映画の出来が
雄弁に語っているではないか。むしろこの手の低予算作品の方が情熱とアイディアと野望に満ち溢れていて
突拍子もない作品ができて
ステキ
ではないか。「ブレインデッド」しかり「VERSUS」しかり「ワイルド・ゼロ」しかり。

つーわけでこの作品のウリの一つは、突拍子もないアクション。町で唯一自体を予想し備えていた髭の変人・マリオンが無駄に宙を舞い
二丁拳銃でゾンビを蹴散らす
。主人公のレネも撃って殴って斬って突いての活躍ぶり。ショットガンを横に三丁合体させた三連ショットガン
がイカス!


そしてもう一つのウリは後半の怒濤の展開。突如エイリアンが出現してホラーからSFになっちまって唖然。
雲の上に無数の人間が十字架のように吊り上げられて漂う様を見て「劇場版エヴァ」を思い出した。


アクションやVFXにチープな所があったり、登場人物がゾンビゾンビ言ってるのになかなか頭を撃てば再殺できることに気づかない上に
気づいてからも体ばかり撃っていたり、いくらなんでも後半の展開がトンデモだったり不満はあるが楽しめたので★4つ。




○「アンドロメディア」 ★★ (01.11/ビデオ)
STORY:高校生・舞はボーイフレンド・ユウと浜辺で初めてキスをしたその日、事故に遭いこの世を去る。しかし、娘を溺愛していた科学者の父
は2ヶ月前に収集していたデータを元に、舞をPC上での疑似人格・アイとして復活させるが、謎の組織に殺されてしまう。ネット内に逃れたアイは
ユウや親友たちと再会し、どんどん学習し、より人間らしくなっていく。しかし、彼女を追って謎の組織の魔の手が迫りつつあった…。



別にSPEEDファンしかもhitoeタン萌え〜とかいうわけでは断じてなく監督が三池崇史なので見た。
冒頭から炸裂する
島袋寛子の素晴らしい演技に、脳味噌の皺がなくなりそうになりながらも我慢して最後まで見た。(ちなみに、島袋はすぐ
死んで、AIとして復活するのだが、経験値不足のため感情が希薄でセリフが棒読みである、というありがたい演出のため、途中から精神的
にかなり救われた。)
作品としては、意外にまともだった。アイドル映画としてもっと救いようのないヘボヘボなもの、あるいは三池作品としてもっとブチ切れたものを
期待していたので
まとも故にガッカリという皮肉な結果に。

最大の見所というか、三池監督らしさが最も発揮されたのは、悪人とのカーチェイスの末、崖から転落炎上した車から生還したDA PUMP
が突然歌(彼らのデビュー曲)を歌い出すところ
かなあ。しかも、敵の黒幕クリストファー・ドイル=ウォン・カーウァイ作品のカメラマン
って、なんでそんな人がこんな映画で役者をやってるんだ!?しかも、志茂田景樹まがいのトサカで!)も何故か海の向こうで踊っている
いうところが。後は、最後に登場するメカが無駄に仰々しいのがバカ。かなり用途不明なところも。
あ、田口トモロヲも出てるでよ。


でも最後の浜辺の桜という不思議な景色綺麗。



○「アンブレイカブル」 ★★★ (01.4/劇場)
STORY:乗客全員死亡という列車の脱線事故からただ一人無傷で生還した男・ダン。彼に謎のメッセージと共に近づいてきたイライジャという
虚弱体質の男は、ダンこそが長年探し求めていたアンブレイカブル(決して壊れない)肉体をもつ男だと言う。いくつかの記憶、体験から、少し
ずつ彼はイライジャの妄言を信じていく。そして、ダンがついに己れの”使命”を果たし、イライジャと握手したその時…。



ドッキリ映画「シックス・センス」のナイト・シャマラン監督が再び勿体ぶって送るサスペンス映画の皮をかぶったバカ映画
少なくても「シックス・センス」で感動したとか、あろうことか癒されたなんて勘違いした感想を抱いた人には楽しめないであろう。変な
先入観を持たなければそれなりに楽しめると思うので、あの「シックス・センス」人気にあやかった宣伝は最悪の効果
今回のテーマも前作同様、本当の自分の回復・家族の再生なわけだが、それを語る題材がアメコミのスーパーヒーローという
実に間違った
チョイス


悩める主人公は前作に続いてブルース・ウィリススーパーヒーローだというのにコスチュームは雨ガッパ、必殺技はスリーパーホールド
いう地味っぷり。そして、執拗に彼と対の存在であることが強調されるのがサミュ・L・ジャクソン。相変わらず変な役も変な髪型も似合う。




○「アンラッキー・モンキー」 ★★ (01.11/ビデオ)
STORY:今まさに銀行強盗に入ろうとしていた詐欺師・山崎の目前で、銀行強盗してきた同じ覆面をした男が車にはねられて死亡。現金入りの
鞄を手にしてしまった彼は共犯と勘違いされ逃走するはめに。なんとか逃げおおせた山崎だったが、女性を事故で刺し殺してしまう。一方、冴え
ないヤクザ三人組は、山崎が捨てた覆面のせいで、事故で敵対する組の幹部を殺してしまう。不運な彼らの運命はもつれ合って…。



「弾丸ランナー」・「ポストマン・ブルース」に続くSABU監督の第三作目。無論、堤真一が走る
………うーむ、前二作と比べるとはるかに金のかかった作りだし、キャストも前二作の面子がほとんど登場の豪華版なのだが、前二作の爽快
感・スピード感が失われてしまっていて至極残念
。重い。長い。暗い。


田口トモロヲ・大杉漣脇役二大巨頭も前二作に続いて登板しているが、二人とも死に方が大爆笑!
トモロヲ→殺し屋役。転んだ弾みでズボンベルトにはさんでおいた拳銃が暴発。
股間を打ち抜いてしまって自滅
漣   →ヤクザ役。注いでもらおうとしたビール瓶でうっかり頭をかち割られて死亡。(
ラストでなんとゾンビ状態で復活!



○「居酒屋ゆうれい」 ★★★ (ビデオ)
STORY:愛妻しず子を病で亡くした荘太郎は小さな居酒屋を一人で切り盛りしている。荘太郎は死に際のしず子との約束で後添えはもらわない
つもりだったが、義理で会った見合いの相手・里子と意気投合し、あっさり再婚してしまう。気だてのいい里子のおかげで店も繁盛し順風満帆と
思いきや、約束を破られたしず子が幽霊になって二人の前に現れる。かくして成仏できないしず子と二人の奇妙な生活が始まったのだが…。



夫婦で切り盛りする小さな居酒屋とそこに集まるそれぞれの人生を歩む常連客たちの物語、といういかにも邦画という感じの作品で、日本
人としてホッとしてしまうところはある。


約束を忘れて若く美人の新妻をもらった夫のところに化けて出てきた前妻、というとホラーものっぽいのだが、何故か人情ラブコメなわけで。
まあ、後妻役の
山口智子がかわいいのですべて許す
主人公にショーケン、前妻に室井滋。当時人気絶頂だったトヨエツが別に誰がやったっていいような役で出ている。つーかステーキ食って山口
智子とHするだけという美味しすぎる役。




○「IZO」 ★★★ (04.8.25/劇場)
STORY:幕末、土佐勤王党党首・武市半平太に命じられ、”天誅”の名の下に要人を暗殺しまくった”人斬り以蔵”。だが彼は幕府に捕らわれ
半平太にも裏切られ処刑された。しかしその怨念は時を越え、彼を殺人鬼”IZO”として再生させる。彼は世界の支配者たち−世界の”位相”を
掌握する貴族院の貴族たち−に”天誅”をくらわすべく疾走する。次々と現れる刺客との戦いに傷つき変貌していくIZOの前に現れた女は…。



「荒らぶる魂たち」「新・仁義の墓場」などアウトローたるヤクザ社会からさらに弾かれたアウトローたちを描き続ける脚本家・武知鎮典
全身全霊を込めて企画・執筆した
武知版「マトリックス」
怨念の権化たる主人公にアテ書きされたのは、某監督を刺したり映画館に八神父よろしく車でカチ込みかけたり某脚本家の家の前で
割腹自殺未遂したり
というリアルなアウトロー俳優・中山一也
が、
脚本がちょっと常軌を逸した出来になってしまったため、映像化に白羽の矢が立ったのは、常軌を逸した監督・三池崇史
とまあ、こ
の段階で果てしなくヤヴァイ状態だというのに、さらに武知&三池の”人間力”を全力投入
結果、桃井かおり松田龍平美木良介石橋蓮司ミッキーカーチスエンケン寺島進山本太郎菅田俊山口祥行内田裕也ミッチー緒形拳
岡田真澄大滝秀治片岡鶴太郎樹木希林篠田三郎長門裕之夏樹陽子原田芳雄魔裂斗松方弘樹力也ボブサップビートたけし

という
ありえべからざる豪華キャストの成立と相成った。

そして完成品を見た感想は………。
なんだこりゃ?
良くも悪くも、なんだこりゃ?
インパクトはあるけれども、チープだなあ。CGチャチいし、IZOの変貌を示すのが仮面一つというのは子供だまし
すぎだし。
アクションも盛り上がらない。IZOの前には新撰組やら岡っ引きやらヤクザやらSATやらボブ・サップやら強者どもが次々と立ちはだかるわけ
だが、いかんせんIZOさん「無限の住人」の万次ばりに不死身(つーかすでに亡者なんで)なので、どれだけ沖田総司@ミッチーに斬られようが
内田ロッケンロー裕也に撃たれようが山本太郎に包丁でメッタ突きにされようが松方弘樹にゴッツイ銃で蜂の巣にされようが、
死なないんで
最終的には勝ってしまう
のである。ちょっとなあ。
話は支離滅裂であってないようなものだし。


が、その異常な雰囲気だけは流石にビンビン来るものがあった私腹を肥やす支配階級と、彼らを肥え太らせている無知で蒙昧な一般
大衆への憤り
は溢れまくっていた。駄作と切り捨てられないオーラがあるのは確か。
それよりも、
誰がどこでどんな役で出てくるのか、を楽しむのがいいのかも。

豪華すぎて出番はせいぜい1、2シーンずつなキャスト陣の中では、黙っていれば(笑)なかなかに妖しい松田龍平(役は、”やんごとなき
お方”
)や宮本武蔵風剣豪を演じる
緒形拳深作版「魔界転生」かよ!)あたりが目立っていたかと。
しかし極めつけは
樹木希林か。
今後ボブ・サップや石橋蓮司が真っ二つにされる映画は撮られることがあっても(つーか石橋蓮司はこれからも三池映画でもっと悲惨な死に
方をし続けるだろうし)
樹木希林が真っ二つにされる映画は撮られないだろうからねえ。



○「一命」 ★★★ (11.10.20/劇場)
STORY:天下太平となった江戸時代初期。食い詰め浪人が大名家の庭先での切腹を願い出、厄介事を厭う大名家から金品をせしめる
狂言切腹が流行していた。その日、名門・井伊家にも切腹を希望する千々岩求女という若い侍がやってきた。家老・斎藤勘解由は不逞の輩
への見せしめとして、望み通り求女を切腹させる。予想外の成り行きにうろたえる求女だが、逃げられず竹光で腹を切り、果てる…。



’62年の映画「切腹」「13人の刺客」をヒットさせた三池崇史監督がリメイクしかも3Dで
「三池崇史に3D」というのは「香港映画にCG」という感じで嫌な予感しかしない。「ピラニア3D」みたいに飛び出てはいけないもの
ばかり飛び出る
ような気がする

ところが、蓋を開けてみれば「13人の刺客」以上に大真面目な作りで、
なんだかすっかり巨匠の風格ですよ

以下激しくネタバレ。

体の弱い妻に加えて、幼い息子までも病で虫の息となり、刀すら売り払った貧乏浪人の求女が取った医療費稼ぎの方法とは武士の風上
にも置けぬ
狂言切腹だった。
しかし、かつて憧れた雄藩・井伊家の対応は冷酷で、目論見は見事に外れ
本当に腹を切らされる羽目に。命乞いも聞き入れられず、
求女は
竹光を無理矢理腹に突き立て果てることに…。

父の帰りを待てず幼子は死亡、変わり果てた姿で帰ってきた求女を見て女房・美穂もその折れた竹光で自害
一晩で家族を全員失った美穂の父親・津雲半四郎はただただ茫然自失

二ヶ月後、納得のいかない半四郎は井伊家に吶喊。求女と我が身に起きていた事情を説明し、井伊家の非を説くが…。

でも切腹するっていうからさせてやったんじゃん。後始末も大変なのに。おまけに最期の願いを聞き届けて三両まであげたじゃん。
なんで逆恨みされないといけないの?
というのが率直な感想。

井伊家の家老を演じるのが役所広司というのも相まって、井伊家大迷惑という感じじかしない。
確かに介錯人を務めた沢潟彦九郎は
腐れ下郎だったが、あくまでそれは個人の非という感じ。

まあ半四郎もわかっていて、世の中の理不尽さに八つ当たりをしているわけだが。
なんとも救われない話
何をどうしても救われない話。結局求女が首尾良く三両ばかりせしめたところでいずれ妻子が病死するのは避け
られなかっただろうし。


救われない鬱な話ならば、せめて逆ギレした半四郎が井伊家の郎党80人を相手に繰り広げるチャンバラだけでも痛快であればいい
ものを、
半四郎さん当てつけに竹光でどこぞの流浪人の如く不殺の精神でもって闘うもんだから、これも盛り上がらない
敵の攻撃は100%近い回避率で避けるんだけどこっちの攻撃は1ダメージしかいかないから決着が全然つかないという感じ。
まあこ
の竹光にいろいろな想いや意味がこもっていて、そこはなるほどと頷いたのだが。

つーわけで、何とも報われない悲しいお話でしみじみ世の中は不条理だと嘆かせてくれる作りで、そんなのわかってるから映画の中
くらいもっと景気よくしてくれよ
、とぼやきたくなる。

相変わらず眼力だけはある市川海老蔵、食い詰め浪人の割には身なりはこざっぱりしてるしやつれてもないけど瑛太、かわいいとは
まるで思えないけど
満島ひかり主演陣の演技はなかなか見事
小悪党に青木崇高浪岡一喜
青木崇高はイヤなヤツ演じさせたらピカイチだの。なんで「るろ剣」の相楽左之助役なんだ。
竹中直人と新井浩文はなんだかもったいない使われ方。

中村梅雀は…最早、ベース!嫁!赤かぶ!しか出てこねえ。



今回は3Dで観賞したのだが………全っ然飛び出さねえ!血しぶきやはらわたどころか何一つ飛び出さねえ!!
字幕が一番飛び出すが、邦画なんでそれすらほとんど出てこねえ!!!
これで3D料金¥300上乗せなんて詐欺もいいところ
だ。やっぱり3D映画なんて早く滅んじまえ!!!



○「いつかギラギラする日」 ★★★★ (01.1/ビデオ)
STORY:北海道。ベテランの中年ギャング神崎・井村・柴と、いきがった若造・角町が組んで現金強奪を企てる。まんまと成功するが、中身は
2億の予定がたった5千万。逆上した角町が裏切り、現金を強奪して逃走する。彼は柴の若い愛人とつるんで、奪った金を借金返済に充てる
ため函館に向かう。しかし、生き残った神崎が怒りに燃えて彼を追ってきていた。二人のチェイスはヤクザをも巻き込んでエスカレートしていく…。



深作欣二監督作品。メインの2人はショーケンと木村一八。脇を荻野目慶子、千葉真一、原田芳雄らが固める。
とにかくこれでもかとばかりに見せ場満載で、特にラスト数十分の若造&イカレた娘(荻野目慶子)とショーケンと八名信夫率いるヤクザ
ヒットマン原田芳雄(イカス!)と警察の
四つ巴のカーチェイス&銃撃戦は血がたぎりまくり!!!邦画もやればできるのね。

オチもいい感じで力が抜けていて、あれはあれでよし、かと。(かなり贔屓。)



○「イノセンス」 ★★★★★ (04.3.6/劇場)
STORY:2032年−草薙素子が人形使いと融合して失踪してから3年。その部下で彼女を慕っていたバトーは心に空白感を抱いたまま公安
9課での激務を続けていた。自宅で帰りを待つ愛犬だけが彼の心を癒していた。愛玩用ロボット・ガイノイドの連続暴走事件をトグサと捜査して
いたバトーは製造元のロクス・ソルス社に向かうが、そこには罠が仕掛けられていた。窮地に陥った彼の元に守護天使が舞い降りる…。



押井守監督9年ぶりの劇場用アニメの新作にして9年ぶりとなる「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」の続編
今回は前作と異なり、プロットや小ネタこそ原作をモチーフにしている(うわっ、読んだの9年前だから覚えてねえ!)ものの大部分はオリジナル。
脚本も名コンビの伊藤和典ではなく押井本人による


そのために全編引用・格言の嵐。さらに犬と人形への偏愛に満ち溢れた歪んだ物語のオーラは一般人立入禁止ムード全開
なので押井守ファン以外にはオススメしかねる
ただし
押井守ファンならば内臓売ってでも見るべし
あと、押井ファンならずとも、前作のファンならば見ても損はないかと。光臨した女神へのバトーの前作でもやったあの仕草でちょっと泣き
そうになった


評価としては★5つの満点だが、CGを駆使した3D化とかCMではちょっと粋な主題歌掛けてるのに見てみたらまたあの変な民族音楽みたいの
かよ!とか不満もある。話のスケールとかも前作ほどではないし。


しかしそれでも至福の2時間であった。
やはり
大塚明夫山寺宏一が上手い!偉くなったもんだからメインから脇キャストに至るまでむやみやたらと有名俳優に声を当てさせる
宮崎某にも見習ってもらいたい

クライマックスのアクションも人形の不気味さが圧巻だった。「ブレードランナー」をちょっと思い出したり。「パトレイバー 劇場版」の箱船での
零式以下レイバー暴走シーンも思い出したり。


相変わらず情報量が多いので一度見ただけではツライ。その点ではDVD向きの作品かも。



○「イレイザー・ヘッド」 

デイヴィッド・リンチ監督のデビュー作。
おそろしく肌に合いませんでした。理解できませんでした。白旗。許シテ。




○「イン・アメリカ 三つの小さな願いごと」 ★★★ (04.2.17/劇場)
STORY:10歳のクリスティは売れない役者の父・ジョニーと母・サラと妹・アリエルの家族4人で、アイルランドからニューヨークへやって来た。
両親は仕事に恵まれず、貧しいながらも楽しい暮らし。しかしかつて弟・フランキーを幼くして失った心の痛みから両親が立ち直れていないことを
クリスティは知っていた。彼女は死ぬ間際、フランキーから三つだけ願い事がかなうことを教えられていたが、彼女が選んだ使い道とは…。



ツ○ヤのジャンル分けでいうと、28N=ヒューマン・ドラマである。誠実で愛に満ちあふれているものの貧しい家族を襲う現実の過酷さと、
その極限で舞い降りた
小さな奇跡の、微笑みと涙の物語である。

………って、なんでそんな映画見てるのよオイラ?誰がそーゆー系統の映画のレビューをこんなサイトに求めているというのだよ?
自分で自分を小一時間問いつめてしまったが、見てしまったものは仕方がない。(たぶん、いつも見ている贔屓の映画レビューサイトがこぞって
誉めていたからだったと思う)


で、結果として上記の通り★3つである。悪くはない話だが別段胸打たれも感動もしなかった。見ていて一番思ったことは、
「アパートでそんなに騒いだら他の住人の迷惑だからやめれ」
…思っていた以上にオイラは
残虐超人だった模様。映画よりも見る人に問題アリなので評価はあまり気にせんやうに。

最大の見所は一家の幼い姉妹を演じる(実際に姉妹の)サラ&エマ・ボルジャーの愛くるしさと抜群の演技力。めっさええ子でかわええ
かわええ
。お嬢ちゃんたちウチの養女にならないかねハァハァ…。
物語の鍵を握る人物に、アフリカ人俳優ジャイモン・フンスー
「サハラに舞う羽根」でもそうだったが、抜群の存在感である。



○「イングロリアス・バスターズ」 ★★★★ (09.12.14/劇場)
STORY:’44年、ナチス占領下のパリ。ナチス兵は、彼らを虐殺して廻るレイン中尉率いる連合軍特殊部隊”イングロリアス・バスターズ”に
怯えていた。若き映画館主・ショシャナはナチス高官を招いてプレミア上映会を実施することに。そこには家族の仇、ランダ大佐の姿もあった。
復讐に燃えるショシャナ、幹部を皆殺しにすべく潜入するレイン、全てを見通したかのようなランダ、各々の思惑を秘め、映画の幕が開く…。



監督タランティーノ!主演ブラッド・ピット!”名誉なき野郎ども”が極悪非道なナチスどもを完膚なきまでに叩きのめす痛快巨編!
………てなイメージで観にいったらまるで違かった
つーか”
イングロリアス・バスターズ”、あんま活躍しないしバットでナチ公どもの頭をかち割りまくる”ユダヤの熊”の異名を持つ荒くれ
鳴り物入りで登場してみたらすげえ弱そうだし。しかも演じているのは「ホステル」の監督だし。

では誰が活躍するのかといえば、かつて家族をユダヤ人狩りで失った美女・ショシャナであり、彼女の家族を奪った”ユダヤハンター”・
ランダ大佐
なのである。
実際、こちらのパートは冒頭の
ユダヤ人協力者を追い詰めるランダの緊迫極まりないシーンであったり、仇敵ランダと不意の再会を
果たしてしまい必死で動揺を隠すショシャナの二人の食事シーン
であったり、クライマックスの映写室でのショシャナの一幕
銀幕から
ナチス高官どもを嘲笑うショシャナのド迫力シーン
であったり、なんとも印象的。

それだけに、全っ然活躍していないブラピがうまくまとめてしまうラストが、なんだかちょっと物足りないのである。

この手の戦争もの、特に”ひっとらーあんさつけいかく”なんて類のものは、どんなに大見得切ったところでどーせ失敗するのは歴史的
に明白なわけで
(トムクルの「ワルキューレ」とか)、この作品もそれ故にそんなに食指が動かなかったのだが、
クライマックスの大・虐・殺で
唖然
。えええ〜???

つーわけで、面白いし、見るべきシーンも多数あるのだが、タラやんの堂に入った巨匠ぶりに少し違和感を拭えなかったりする一本。



○「インスタント沼」 ★★★★ (09.10.9/劇場)
STORY:”シオシオミロ”が好物の沈丁花ハナメは、職を失い、母親は河童を捕まえようとして溺れて意識不明と、人生の泥沼にはまっていた。
母宛の古い手紙で父親・ミチロウの居場所を知ったハナメはこっそり会いに行くと、彼は骨董屋のいいかげんな親父だった。正体を明かせぬ
まま骨董屋に入り浸るようになったハナメだが、ミチロウの「蛇口をひねれ!」というアドバイスで泥沼から脱出し、運気が好転していく…。



三木聡監督作品当然ゆる〜い
相変わらず
しょーもない小ネタの息抜きにしょーもない本編を進めるスタイル。実際、途中から何が目的の話だか忘れて観てた。
だがしかし、前作「転々」でアップした物語る力は健在で、意外にもきっちりしゃっきり結末をうまくまとめあげていて、
前向きなダメ人間賛歌
に仕上がっている。

実を言うと、この映画の主演女優であるところのアソクミを、嫌いなのである鼻と唇の間の猿じみた深い溝がシャクレ気味の顎が長めの
顔が嫌いなのである
。それを差し置いてもこの監督の作品が好き、というほどでもなく、じゃあなんで観に行ったんだよ!という感じなのだが、
う〜ん、なんでなのかねえ
まあそんなわけで今ひとつノれずにいたのだが、中盤の名フレーズ
「人生うまくいかない時は水道の蛇口をひねれ!」俄然テンションが
上がってしまい
、以後は楽しく観れた。なんというドキドキ!日常がこんなにスリリングだったとは!
つーわけで少しだけアソクミが嫌いじゃなくなった。でも大森南朋と出てるビールのCMはイラッとくる。


スーダラな父親”電球”役に風間杜夫。そう言われなければわからないメイクと衣装と演技。
その店に入り浸るパンクなモヒカン青年・ガスに加瀬亮。この人はもっとふつーの役でこそ輝くと思うのだが、これはこれでいい感じ。モヒカンの
くせに両サイドをスキンにしてない半端な辺り
が。
岩松了・ふせえり・松重豊・笹野高史らいつもの面子はいつも通りゆる〜く怪演。
加えて松坂慶子・相田翔子・クドカンら個性派キャストも華を添える。


でも岩松了とふせえりが絡まないのはちと残念。



○「インセプション」 ★★★★ (10.7.26/劇場)
STORY:他人の夢の中に入り込みアイディアを盗む企業スパイのコブは、大企業の社長・サイトーから、敵対する企業の二代目社長に
会社を破滅させる思想を植え付ける仕事を依頼される。最愛の子どもたちとの再会を条件に仕事を請け負ったコブは精鋭チームを編成
しこの超難問に挑むが、標的の夢の中は訓練され武装されていた。さらにコブの罪悪感が形となった死んだ妻・モルと対峙することに…。



クリストファー・ノーラン監督のオリジナル脚本によるSF
彼の作品は「メメント」、「インソムニア」、「プレステージ」、「ダークナイト」とほとんど観ていることに今更ながら気づく。


予告やCMなどでは、他人の夢の中に入り込んで、夢の中なのをいいことにやりたい放題暴れて重要なアイディアを華麗に盗み
取るルパ〜ンな感じの話
なのかと思いきや、それは冒頭だけで、本編のほとんどは他人の夢の中に入り込んでアイディアを逆に
インセプションする(植え付ける)
というお話。

夢は多重構造になっていて深層に降りていくにつれて時間の流れが変わっていったりトレーニングによって自己防衛機能が
働いたり
本体に何らかの負荷が加わると夢の中にも影響が及んだり深入り過ぎると精神が虚無の奈落に落ち込んで帰ってこれなく
なったり
独自のルールがてんこ盛りで、こんな感じで羅列するとなかなかとっつき悪いのだが、そこは夢の終わりと共に崩壊する
建築物
だったり大都会の真ん中で車をなぎ倒し突き進む列車だったり雪上のチェイス&銃撃戦だったり高級ホテル内の
無重力
ファイト
だったりと派手めのアクションを大量投入して強行突破しており、2時間半退屈させずに突っ走ってくれる。

前述した夢の階層間での時間差を使ったタイムサスペンスは実に凝っていて、標的の心の中枢である雪原の要塞を攻略すべく
戦っている面々は
実は高級ホテルで寝ている夢の中の存在なのだがその寝ている彼らも実は大都会の真ん中で銃撃されながら
逃げ回っているワゴンの中で寝ている夢の中の存在
なのだがその寝ている彼らも実は貸し切った飛行機の中で寝ている夢の中
の存在
だったりして、オラ書いててなんだか楽しくなってきたぞ

ぶっちゃけ詰め込みすぎでお腹いっぱいだとか作品内のルールについての説明が不足しているとか結局依頼はあれで成功してん
のか(むしろ雨降って地固まってねえ?)とか問題点もあるけれど、十二分に楽しめる娯楽作。二回観るべきなのか。

ラストのアレどっちとも取れる不安定な回り方でニヤリ

主演のレオナルド・ディカプリオはなかなか好演。ごめん、おっさんになってきて髭も生やしてるのに妙に童顔なのがウザくて今まで
食わず嫌いしてた

クールな相棒で無重力アクションという見せ場があるジョゼフ・ゴードン=レヴィットや一応ヒロインのエレン・ペイジ、主人公を妨害する
眼力鋭い亡霊のマリオン・コティヤールなど脇役陣もなかなか印象的。
渡辺謙も…まあ、頑張った




○「インソムニア」 ★★★ (02.9/劇場)
STORY:アラスカの田舎町で女子高生猟奇殺人が発生。ロスから刑事のウィルとハップが応援に派遣される。しかし二人はとある事情で険悪
なムードだった。そして霧中の犯人追跡時、ウィルはハップを不意か故意か、射殺してしまう。ウィルはとっさに犯人の仕業と嘘をついて事なき
を得たが、心労と夜でも明るい白夜のせいでで不眠症となってしまう。そして一部始終を目撃していた犯人からウィルに取引の電話が…。



「メメント」で全米を沸かせたクリストファー・ノーランがジョージ・狂うニ〜、スティーブン・ソダーバーグのプロデュースでノルウェーで大ヒット
した同名映画をリメイクした作品。
サスペンスものなのだが、焦点は猟奇事件や犯人そのものではなく、同僚を撃ち殺してしまい、それを隠す老刑事の善悪の間で揺れる心の
動き
となっている。さらに射殺シーンを見ていた犯人から脅迫を受けて苦しみのあまり不眠症(6日連続睡眠ゼロ)となる敏腕老刑事を
アル・パチーノが熱演。
彼に悪魔の取引を求める頭脳明晰な犯人役は、「パッチ・アダムス」・「奇跡の輝き」・「アンドリューなんたら」などなど、ここ数年だけでも数多く
の感動ヒューマン作品に主演して全国の涙腺の弱い女性から大絶賛されている
実にいかすけないシャクレアゴ野郎・尿瓶もといロビン・
ウィリアムス
ケツが痒くなるような鼻持ちならぬ善人役ばかりやったせいで周囲から逆に嫌われているともっぱら評判の土瓶もとい
ロビン、イメチェンとばかりに悪役を好演しているのだが、これはこれでいかすけない。つーか
結局存在自体がいかすけないかと。しかし、
中盤から終盤のパチーノとの丁々発止の掛け合いはなかなか良かった。しかししかし、腕力に訴えることを臨まない知性派悪党のはずなのに
ラストのあの大立ち回りはなによ?まあハリウッド映画じゃけんなあ…。


最後は不眠症の反動で居眠り運転をしながらヒロインのピンチに駆けつけた、正義の心を取り戻したパチーノが茶瓶もといロビンと相打ちに
なって、「これでやっと眠れる」と言って逝く
のだが、そこでハッと気がつくと、それは車の運転中に見た白日夢だったという夢オチだったら
意地が悪くてよかったのに。(まさに外道!
冒頭のアラスカの雄大な大自然の厳しき美しさが最大の見所かも。…でも白夜ってもっと綺麗なものかと夢想していたのだが、別段。




○「インモータルズ −神々の戦い−」 ★★★ (11.12.1/劇場)
STORY:オリュンポスの神々とタイタン族の戦いから幾星霜。ハイペリオン王は神々の不干渉に怒りを爆発させ、封じられたタイタン族を
解き放つため予言者オラクルを拐かしギリシャに攻め入る。人間に姿を変えたゼウスから、その正体を知らず薫陶を受けてきた青年・
テセウスはその戦いに巻き込まれてしまう。オラクルを助けたテセウスはハイペリオンが狙う神の武器・エピロスの弓を先に手に入れるが…。



オリジナリティ溢れる映像美がウリの「ザ・セル」、「落下の王国」ターセム・シン監督作品。前はただのターセムじゃなかったっけ?
しかし今作はその映像美は封印。そんなことしたら
下手くそなストーリーテリングしか残らないなじゃないかと危惧したら、案の定…。

いきなりラストの話をしてしまうのだが、封印から解き放たれたタイタン族とオリュンポスの神々との熾烈な闘いなかなか格好良く、
しかも野蛮でとても残虐で良かった

しかし、
そこに行き着くまでがなんともダルい神々のハイスピードな戦闘と対照的に人間たちの闘いはなんとも泥臭くて冗長。対比
しているつもりなんだろうけど、それで作品のテンポが損なわれてるんじゃ意味がないと思う。


主人公はテセウス「ゴッド・オブ・ウォーU」でクレイトスさんに頭をドアに挟まれガンガン蹴られて殺された人
ギリシャ神話ではミノタウロスを退治しているので、映画の中でも
牛のマスクを被った人を倒している。とほほ。
彼に限らず神話の再現度が低く
まるでリスペクトを感じられないやっつけ仕事という印象がして評価を下げている。

敵ボスであるハイペリオンさんも女房子どもが病で苦しんでいるので神に救いを求めたけれど無視されて女房子どもが死んでしまった
ので怒髪天を突き神々に対し反乱を起こすというアレな人。エイトヒットアタックだな。
神々を屠れる武器であるエピロスの弓を探しているわけだが、結局入手しても神々には直接使わないというナニな展開。せっかくよう
やっと神々を下界に引きずり出したのになんで無視してテセウスと戦ってんの?


そういったげんなりな物語の果てにご褒美の如く神々とタイタン族の凄絶な闘いが待っているわけで。
ただ、タイタン族って
巨人族のはずなんだが、普通に人間大なんですけど。しかも「ゴッド・オブ・ウォー」の雑魚キャラに激似
すげえ弱そう。
が、そのガッカリにもほどがある外見とは裏腹にそれなりに強く、一対一では
バレットタイムを使いこなす神々には歯が立たないものの、
集団で襲いかかり、
神々を引き裂き貫き砕き蹂躙してくれる
神々も奮闘するも多勢に無勢で次第に押されていき、
一柱また一柱と無残に殺されていく。一応主要キャラや神々には誰だかわかる
ように登場するとキャプションが付いてくれる親切設計
なのだが、
アポロンなんか誰だか分からない内に喉笛掻き切られて絶命する
その瞬間にようやっとキャプションで紹介されてみたり


つーかゼウス、アテナばっか贔屓しすぎ。アテナとアレスがゼウスの命に背いた時もアレスだけ処刑するし。二柱ともゼウスの子ども
なのに。


つーわけで、ツッコミどころ満載だが冗長で退屈で思わせぶりで残虐で残念な作品。最後の闘いの調子で全編やってくれたら
よかったんだが。


やっぱりギリシャ神話はクレイトスさんがいないとしまらねえなあ。


○「ザ・ウォーカー」 ★★★ (10.6.28/劇場)
STORY:最終戦争から30年、文明を失った人類は細々と生き長らえていた。アメリカの荒野を一人歩く男・イーライ。30年前に神の
啓示を受けた彼は、ある1冊の本を携え、西を目指していた。その本こそ、戦後焚書されたある本の最後の1冊。イーライはカーネギーが
支配する町に立ち寄るが、彼に本の存在を知られ、狙われる。カーネギーの愛人の娘・ソラーラと共に逃走を図るイーライだが…。



デンゼル・ワシントン主演世紀末救世主伝説
世界大戦で空にポッカリとオゾンホールが開き紫外線で生命があらかた死に絶えた世界

今や世界で1冊だけとなったらしい”ある本”を携え荒野を行く一人の男。彼の名はイーライマチェーテが翻れば悪党どもの首や
手が景気よく跳ね飛び
弓や銃を使えば百発百中必中ひらめき集中標準使用のタフガイ。
文明が失われた荒廃した世界で民衆を束ね町を支配する男・カーネギー。暴力でねじ伏せることでしか人々を支配できない現状
に悩む彼は、
人々に秩序と心の安寧をもたらす”ある本”を探していた。
そして二人は出会ってしまう


つーわけで基本的なモチーフ西部劇だったり「マッドマックス」だったりするのだけれど、黒澤映画こないだ「THE LAST」
とかいってドクが演じて失笑を買ったあのシリーズ
など、日本映画の明らかな影響も見えたり。

物語の鍵を握る”ある本”については、途中でバレバレになってしまうのだが………その中に「汝殺すなかれ」って書いてなかったか
ねえ
。敵も味方も殺しまくりやん。
カーネギーさんも既存のものに頼らず、それをベースに自分で新しいシューキョーを立ち上げてしまえばよかったのに。(おそらく戦前
には信徒だったんだろうから、その信仰から逃れられなかったということなんだろうけど。)
世界が滅びようとしているのに手を差し伸べようともせず敬虔な信者を見殺しにし続けている神を尚も信じようという心根は戦争を
起こしてまで他人を殺そうとする愚かさと同じくらいゾッとする。


とはいうものの、キリスト教マンセーな色は全然薄く、普通の娯楽作として楽しめる
キリスト教再生の地が元刑務所っつーのは皮肉なのかね。
イーライさんの居合いチックなマチェーテ捌きもなかなかかっこいいし、家が吹き飛ぶ銃撃戦も派手。
あの老夫婦の下りは笑っていいのかなんなのか。


カーネギーさんがやっとの思いで手に入れた”ある本”を開くと…というどんでん返しは、(´_ゝ`)フーン程度の域
ただ、そうすっと
イーライさんが実は盲目だったということになるのだが、それを匂わせる描写や伏線ってそんなにあったっけ?と首を
傾げる程度の域。

こないだ「THE LAST」とかいってドクが演じて失笑を買ったあのシリーズへのリスペクトは居合い斬りだけではなかったのか。



○「ウォーター・ボーイズ」 ★★★★ (03.6.21/TV)
STORY:男子高・唯野高校の弱小水泳部はひょんなことから学園祭でシンクロナイズドスイミングをやることに。やる気のなかった鈴木たち5人
の部員は周囲に馬鹿にされて発奮するが、コーチもおらずプールも使えず途方に暮れる。そんな時、イルカの調教師・磯村と出会い、彼の特訓
によって5人はめきめきと上達していく。一方、鈴木は女子高の静子とつきあい出すが、シンクロのことを恥ずかしくて打ち明けられずにいた…。



バカ騒ぎってえのはやる前は恥ずかしいけれど、いざやってみると楽しくて気持ちいいもんだっつうことで。当然の如く日陰の青春を
歩んできたオイラだが、まあなんとなくこの映画の中の狂騒の楽しさはわかる気がする。…ああ、コミケ行ったりするのと一緒?(笑)


つーわけで若さ故の愛おしいバカ騒ぎをノリだけで描ききっているのでおかしな点や説明不足な点はボロボロボロボロあるわけだが、この
作品はそういうところをツッコむよりも、その勢いをポップコーンでも食らいながら楽しむ系統のものだろう。


ピチピチビキニパンツのみ身につけたピチピチ男子高校生がわらわら踊る作品なのでメイン客層は女性なのだろうなあ。(それにしては女性の
描写がおざなりだが)あとホモやゲイの方。(それにしてはホモやゲイの描写がおざなりだが)
野郎向けの餌としてはヒロインを演じた平山綾タンとチョイ役(笑)の真鍋かをりタンベリベリプリチー!(演技はともかくなあ)あと
眼鏡少女
三連星




○「ウォッチメン」 ★★★ (09.3.31/劇場)
STORY:スーパーヒーローたちの活躍でアメリカがベトナムに勝利し、ニクソンが失脚しなかった世界。米ソの対立が深刻化し、核戦争勃発
一歩手前の’85年、スーパーヒーローの一人・コメディアンが何者かに殺された。事件を追うかつての盟友・ロールシャッハは、これがスーパー
ヒーローを狙った連続殺人だと推理、そして実際に次々と仲間たちが襲われ始める。魔の手は世界最強の男・Dr.マンハッタンにも迫り…。



アメコミ原作のスーパーヒーローものというので、全然聞いたことないけど、「X−MEN」や「スパイダーマン」のような超常能力者たちの
ド派手なバトルもの
を想像していたのだが、なによこの
”ウォッチメン”とかいう集団、スーパーヒーローを自称しているだけのコスプレ
おっさんねーちゃんのサークル
じゃないのよ!

しかもコスプレしている最大の理由
「素顔で犯罪者と戦うと顔バレして狙われるから」ってどういうことよ!
とまあ、大いに肩すかしだったのだが、その、普通の人よりちょっと強めな面々の中で
一人だけガチな超能力者がいるわけで。
その名は
Dr.マンハッタン(本名ジョン)原子力の実験中の事故で原子を操る力を身につけた男テレキネシスやテレポート(火星まで
ひとっ飛び)
なんぞ当たり前
分身するわ巨大化するわ目から怪光線は発するわ(ベトコン次々と塵と化す)何でもありなやりたい放題
のすげえヤツ

アメコミのスーパーヒーローでも最強じゃね?
そして、その能力以上に特筆せねばならないのはその見た目なのである。

全身青光りするスキンヘッドで白目の全裸のおっさん
ほとんどのシーンで
大真面目な顔してフルチンである。
うはははははははは、彼の(全裸での)大活躍を観るだけで十二分に入場料の元は取れること請け合いである。


他の”自称”スーパーヒーローの中では、ウニョウニョ蠢くマスクが特徴的なロールシャッハさんがインパクト強し。

監督はザック・スナイダーフランク・ミラーと組んだ前作「300」同様原作コミックの構図を再現したカット割で映像化。CGに金を掛け
すぎて有名俳優をキャスティングできなかったというこだわりの映像美は流石。そして相変わらず戦闘シーンでは主人公たちが
無双っぷり
発揮


史実とは似て非なるパラレルワールドだったりスーパーヒーローといっても一般人(の割には無双アクションするけど)だったりそれ故活劇
シーンが思ったより控えめだったりといった設定が最初はわかりづらかったり、Dr.マンハッタンが奇跡を信じるに至る根拠がなんとも皮肉で
ナンセンスなものだったり、ラストがほろ苦かったり
原作の再現にこだわってた割にラストが変更になってたり(原作が「ガンダム00」な
ラストならば映画は「コードギアス」なラスト)
、到底満点はつけられないものの何ともインパクトのある珍品



○「ウォンテッド」 ★★★★ (08.9.28/劇場)
STORY:上司に叱られ彼女は寝取られと、まるでいいことがない青年・ウェスリーの前に突然現れた美女・フォックス、そして突如始まる銃撃戦と
カーチェイス。古代から予言に基づき将来悪を成す人間を事前に暗殺することにより世界を平和に保ってきた秘密組織・フラタニティ。ウェスリー
の父親は組織のエースだったが裏切り者に殺されたというのだ。ウェスリーは復讐のため組織に入り、修行により暗殺者として覚醒していくが…。



予告編を見た段階ですげえ楽しみだったバカアクション大作
冒頭の高層ビルの窓を体当たりで突き破って
落下しながらの二丁拳銃銃撃戦しかも騙し合い付きでいきなりハイテンションに始まり(その後
ダメ主人公のボンクラな日常描写でダウナーになるも)ジョリ姐登場しいの変なモニター付きの銃で銃撃戦しいド派手なカーチェイスしい
スナップ効かせて
銃弾の軌道曲げえ豪華特急ブチ壊して派手に戦闘しいのとボルテージ上がりまくり。
そして単身敵地に乗り込む最終決戦も景気良く撃ちまくりでご機嫌
敵の頭銃でブチ抜いて腕を通して、死体を楯にしながら突撃とか、
アホちゃうかと。(誉め言葉)


とまあ、アクションは最高なのだが、終盤のストーリーがちょっと、ねえ。容赦なくデストロイかよ。

キャスト陣ではジョリ姐が相変わらず惚れ惚れする漢らしさ。珍しくモーガン・フリーマンが黒くてよかった



○「宇宙ショーへようこそ」 ★★★★ (10.10.14/劇場)
STORY:小さな山村の5人だけの小学生。優しいリーダーの清・おしゃまな倫子・読書好きな康二・お調子者の夏紀と最年少の周は
夏休みの合宿で学校で寝泊まり。夏紀が逃がしてしまったウサギを探していた一同は怪我をした犬を助けるが、なんとその犬・ポチは
宇宙人だった。助けてくれたお礼にと5人は月の裏側の宇宙ステーションに招待されるが、ポチがミスって地球に帰れなくなってしまう…。



「かみちゅ」スタッフによるオリジナル劇場長編、と言われてもティンと来なかったのだが、原作ものが横行する中オリジナル企画で劇場
長編という心意気を買って劇場に足を運ぶ。
つーか
「R.O.D」のスタッフだったと事前に知ってたらそんなしたり顔せずにホイホイ観に行ってたんだけどねえ

アニメだとやはりなんのかんの言っても絵面が大事なわけで、その点この作品のキャラデザはどうにも好みが合わず最初の方は乗り
切れなかったのだが、月に行った辺りからの賑やかさ辺りからはグングン引き込まれた。
多彩な宇宙人・不思議な惑星・派手なアクションと
アニメーションならではのドキワク感てんこもりで、宇宙に憧れる子どもも、かつて子ども
だった大人も楽しめる一本。月ステーションでのバイトシーンが一番好き。インクかわいいよインク。


まあ確かにものすごく説明不足(最低限の情報は提示されているがサラリと流しすぎる。)だし、お調子者の主人公が終盤になるまでは
延々ウザい
し、小学生男性陣の中の人は棒だし、正直長すぎだし、問題はいろいろあるが、面白かった。


敵の犬女に関してはかつての友情とか愛情とかのフラグがほとんどなくただの嫌な敵でしかなかったのが意外。

しかしそれにしても、ひろしは相変わらずいい声してるなあ



○「宇宙人ポール」 ★★★ (12.1.23/劇場)
STORY:長年の夢が叶ってアメリカのコミコンに参加した英国人中年SFオタクのグレアムとニック。さらに、キャンピングカーをレンタルして
UFOスポットを巡る旅に出かけるが、いきなり本物の宇宙人と遭遇してしまう。英語がペラペラで陽気でアメリカンな性格のリトルグレイ型
宇宙人・ポールは60年前にアメリカに不時着し政府に囚われていたが、脱走してきたという。彼を保護しての珍道中がスタートするが…。



「ショーン・オブ・ザ・デッド」、「ホット・ファズ」ゴールデン凸凹コンビ主演なれど監督はいつもの人にあらず。

憧れのコミコンに参加するためにイギリスからアメリカにやってきた中年SFオタクコンビはさらに聖地巡礼ツアーに出かけるが、なんと憧れ
のエリア51で本物の宇宙人と出くわしてしまう
。が、このリトルグレイ型宇宙人、60年もアメリカで暮らしてきたので
すっかりスレてしまって
全く宇宙人らしくない

宇宙人・ポールを追う政府のエージェントからの逃避行の途中で成り行きで敬虔なカトリックの女性までメンバーに加えてしまった珍道中の
行き着く先は果たして…。


まあこの宇宙人のポールさん、ポスターなんかで見る分にはかわいくないことこの上ないのだが、いざ本編で見てみればなんとも表情
豊かで
シニカルで下品で男気に溢れて、実に憎めないナイスガイ
なのである。タバコを吹かす様が悦に入ってるのなんの。

全編にちりばめられたSFの大ネタ小ネタも、到底全部はわからなかったのだが、なかなかにクスリとさせてくれるスピルバーグ何
やっとんねん
シガニー・ウィーバーも何やっとんねん

途中から仲間になる純朴なアメリカの女性がガチガチのキリスト教徒で全く話が噛み合わないのがすげえ笑えるけど怖い
ポールによって大宇宙の真理を直接脳内にブチ込まれて普通の先進国の一般人になるのだが、
こんなのがたくさんいる国なんだよな
ならば今すぐ愚民ども全てに英知を授けてみせろ、というシャアの言葉を思い出してしまったよ。


意外に主人公のダメコンビがはっちゃけないのが残念。凸凹コンビのデブの方が演ずるところのSF作家が、念願の宇宙人と会えたのに
何故か不機嫌
なのは、二人だけのラブラブ旅行に邪魔が入ったからだったりするのに、その想いが最後まで報われないのが少し
かわいそうだったり。


ものすごく面白かったというわけではないが、手堅く平均点以上の出来ではある。



○「宇宙戦争」 ★★★★ (05.7.6/劇場)
STORY:レイはニューヨークで働く中流階級以下の冴えない中年。別れた妻が新夫と共にボストンの実家に所用で向かうため、親権を失って
いたなつかない二人の子供・ボビーとレイチェルの面倒を一時的に見ることに。が、その日、街を異常気象が襲い、落雷の跡から巨大な何かが
現れ、大殺戮を開始する。怒りに燃え立ち向かおうとするボビーと怯えるレイチェルをなだめながら、レイはボストンへと逃亡の足を向けるが…。



H・G・ウェルズの古典SFスピルバーグ&トム・クルーズがリメイク

トム・クルーズ演じるダメ中年(無理がある)を襲う宇宙からの殺戮兵器
怪光線でビルは崩れ人は吹き飛び、軍隊の攻撃も不可視のシールドの前にまるで歯が立たない。次々と無惨に殺されていく群衆。ただただ
子供たちを連れて逃げまどうばかりのトム。
とまあ、
人がたくさん死ぬのでパニック映画としては合格点。(最悪な観点だな)

視点が主人公からの一人称的な描写で、それが臨場感を高めることに成功してはいるのだが、反面、蹂躙され尽くし死の都と化した
ニューヨークなどの主要都市の姿
返り討ちに遭う米陸空軍といった盛り上がりそうな描写がないのが痛し痒し
殺戮兵器”トライポッド”宇宙人のデザインは
今三つくらい。タコ型宇宙人でいいじゃんか、ぷくぷく。

オチは原作通りの有名なアレで、そこは無問題なのだが、百万年も前から計画しててそんな弱点も気づかなかったのかよ、おちゃめ
さん
、とか思わんでもない。
家族愛なんてコピーで謡ってはいるが、なんともほろ苦い幕切れであることよ。


最後に、大阪人に、最敬礼!(ビシッ!)



○「THE 有頂天ホテル」 ★★★★★ (06.1.18/劇場)
STORY:大晦日の夜、ホテル・アバンティ。元々忙しい夜だというのに、加えてトラブルが連発し従業員たちは走り回っていた。汚職疑惑の
議員・武藤田を追ってマスコミが押し寄せ、新年用の垂れ幕は誤字が発覚、手品師の相方のアヒルは行方不明になり、総支配人まで消息を
絶ってしまう。孤軍奮闘する副支配人・新堂の前には別れた妻が客として現れ、彼はついつい見栄を張って招待客のふりをしてしまい…。



名脚本家・三谷幸喜の監督第三作目超豪華キャスト揃い踏み人間関係入り乱れまくりハートフルコメディ
もうこれだけ豪華キャストを揃えた時点で半ば勝ったようなものなのだが、恐ろしいことにそれぞれが皆個性的で見せ場があり、話が進む
につれて、
ジグソーパズルのピースのようにあるべき場所へピタリピタリとはまっていく見事な脚本と演出に脱帽。
流石舞台の人なだけに長セリフ・長回しの見応えのある構成力に加えて、ホテル内を自在に動き回るカメラワークも鮮やかで、2時間半の
長丁場もダレずにおつき合いできる傑作。
That’s正月映画!
これをせっかく大晦日が土曜日だったというのに見送って1月14日から公開なんて、配給はどうにかしている。大晦日にリアルタイムで観て、
登場人物たちと一緒に新年を迎えたかった。


とまあベタホメなわけだが、難点もあるにはあって、人多すぎてボリュームありすぎて満腹になりすぎるとか、小さなエピソードを繋がっていく
割には最後に大きな感動がないとか、松たか子も麻生久美子もオイラ嫌いなんだよなーとか。
しかし
まさにおせち料理な絢爛ぶり★5つものであった。正月早々縁起がいいねえ。

出演陣の話を書いていくと収拾がつかないのだが書きたいので簡潔に。
役所広司:いつも通り 戸田恵子:影のヒロイン 生瀬勝久:いつも通り 伊東四郎:ワロタ 篠原涼子:のくねくね踊り見たい
ドク:何故三谷幸喜はコイツを使いたがるのだろうと疑問だったが、今回の役はよかった。
巡り巡って全てが戻ってきた時にはジーンときた
YOU:この人はおいしい役ばっかやなー。久々に歌声を聴いた。懐かしいなフェアチャイルド。 唐沢寿明:この人だけまるで幸せじゃないね
原田美枝子:あの旦那のどこがよくて一緒になったのだ? 西田敏行:パンツ一丁だと上島竜平みたいだ 寺島進:いつも通り
近藤芳正&津川雅彦:耳!耳! オタギリジョー:デコ!デコ!
 石井正則:三谷作品ではいつも待遇いいなあ


しかしパンフにメインキャストの名前しか掲載されていないのはたまらなくいただけない。



○「うつしみ」 ★★★ (03.2/DVD)
STORY:走ることが何より大好きなちょっと(いやかなり)おかしな女子高生は、渋谷の、(大根しか具のない)おでん屋の男に恋をしていた。
一念発起して処女を男に捧げようとする少女。押して押して押しまくって、一度だけという約束でセックスしてもらえることになる。男の狭い部屋で
見事処女を捧げた少女はまた走り去っていった。そして、残された男は少女に恋してしまったことに気づき、彼女を追って走り始める。



怪作「自殺サークル」の園子温監督がその前に撮っていた作品。実は昨年春、「自殺サークル」の公開前にリリースされたのだが、回収騒ぎが
起こりまして。(原因は不明)


上にあらすじをサラッと書いたが、実はこれは作中作とでもいうべき「息をつめて走り抜けろ」の筋で、「うつしみ」という作品自体は、「息を
つめて〜」とそのメイキング、さらに写真家・アラーキー、暗黒舞踏家・麿赤児、ファッションデザイナー・荒川眞一郎の3人のドキュメンタリーが
絡み合って構成されている。
ドキュメンタリーに登場する3人は、人物写真・舞踏・衣装デザインと、”身体”に関係するという点において結びついているわけで、それがやはり
”身体”と心にまつわる物語部分とリンクしたりしなかったりするわけなのだが、ぶっちゃけいらねえじゃん。(アラーキーの10人からの
ヌード撮影
の部分はエロいので残しとけ!


物語の部分はすげえ壊れていてなかなか面白かった。
主人公の少女はよく言うとアメリのような”フシギちゃん”、ぶっちゃけ気狂いの類。一度病院で見てもらったらたぶんそのまま窓に鉄格子の
ついた病棟に隔離されるはず。恋する人と待ち合わせしたいばっかりに、待ち合わせのメッカ・
渋谷ハチ公を台座ごと引っこ抜いてセンター街
を練り歩いたり、裸で外に飛び出したり、泥まみれでセックスしたりとこれでもかと大暴れ。あんまりかわいくなし骨ばってて趣味じゃないが、役者
さんに拍手。
ラストの再結合シーンの、「パンツ、脱がないのか?」、(ゆっくりと股を広げ睨みつけながら)
「突き破ってごらん!」つーやりとりはなかなか
シビレた。
その後の台車に乗ってのヘコヘコ疾走しながらのセックスも。その後のオチつーか血しぶきはいくらなんでもちょっと…(笑)

いちいちガラス戸を突き破ったり、とにかく疾走感は抜群。



○「UDON」 ★★★ (06.8.30/劇場)
STORY:アメリカで夢破れ、借金と共に故郷の讃岐に帰郷した香助。だが、頑固なうどん職人の父親との確執は溶けないままだった。偶然山道
で遭難した香助は偶然出会った恭子と偶然奇妙なうどん屋を見つける。小さなタウン誌の編集部で働くことになった香助は、市内に無数に存在
する奇妙なうどん屋の紹介記事を思いつく。そこの編集者だった恭子と共に驚くべきうどん屋を紹介していく記事は徐々に注目され始め…。



ここ数年、ずっと讃岐に行ってみたくて仕方がないのである。そして勿論本場の讃岐うどんを啜ってみたいのである
ちなみに
うどんはあまり好きな食べ物ではないのである子供の頃家で食べさせられていたうどんが不味かったのと、高校の時にとある
トラウマ体験があって、その日の晩飯がうどんで、以来うどんを食べる度にそれを思い出してしまうようになってしまった
のが理由である。

しかしそれでも、本場の讃岐うどんの輝きは吾を魅了してやまないのである
さて、何故そんな付け焼き刃チックに讃岐うどんに恋い焦がれるようになったのかといえば、言わずもがな
「水曜どうでしょう」のせいである。

つーわけでこの映画を観に行ったのは、”いつか讃岐に行くときのための予習”以外の何者でもなくその点で言えば美味しそうなうどん
とけったいなお店の映像をたっぷりと見せてくれたので満足
であった。


まあ映画としてもそんなに悪くはなかったが、長すぎ。うどん茹ですぎてのびちまってるよ。余計な具を入れすぎてつゆが濁っちまってるよ。

主演のユースケと小西真奈美は相変わらず小器用でソツがない。
うどん枠ということで森崎リーダーが出演していたが、1シーンだけ登場の大泉洋の方が圧倒的に目立っていた


キャプテンUDONはどうなのよ?と思うが、臆面もない「2個で十分」ギャグほっしゃんの適正活用に少し受けた。



○「姑獲鳥の夏」 ★★★★ (05.7.19/劇場)
STORY:昭和27年夏、物書きの関口巽と古本屋にして陰明師の中善寺秋彦と人の記憶が映像として見える探偵・榎木津礼二郎、刑事の木場
修太郎は”20ヶ月妊娠し続けている女と密室から失踪したその夫、そして連続新生児誘拐事件の起こる医院”という猟奇事件に関わりを持つ。
妊婦の双子の姉・久遠寺涼子に魅せられた関口は事件解決に奔走するが、久遠寺一族、そして関口と涼子の過去には秘密が隠れていた…。



京極夏彦の、所謂”映像化は不可能と言われた超人気作”の、神をも恐れぬ実写映画化作品
何故映像化は不可能と言われたかといえば、一つは、話の半分くらいが主要人物である京極堂の蘊蓄話で占められているからで、ここ
上手く話を噛み砕いて脚本化してあってまあ及第点。とはいえ、原作未読の人がついて来れているかは疑問だが。


もう一つの理由はキャスティング不能なほど濃ゆいキャラクターたち。これについては豪華キャストを揃えて対抗
京極堂はいっそ原作者本人がやればいいと思うんだが(笑)、さておき堤真一はなかなかに名演技。少し機嫌が良すぎるきらいはあるが。
関口→永瀬正敏まずまずのダメ人間っぷり。つーか大江千里に見えて仕方なかった
榎木津神→阿部寛ギリギリ及第点。阿部ちゃんを要してもなおまだ重い気がする。
木場修→宮迫博之微妙。宮迫の演技の上手さは相変わらずだが、木場修にしてはいくらなんでも大きさと四角さが足りない。
つーわけでここは
予想以上に大健闘
加えて
久遠寺涼子役の原田知世その母親役のいしだあゆみ素晴らしすぎる
加えて加えて
その他のキャストが爆笑もので卑怯。和寅が、藤牧が、青木が、内藤が、姿を現す度にその予想だにしない配役に爆笑飛び
道具ばかり並べやがって!受けを狙ってどーする!


最後の理由は、反則すれすれの密室トリックを如何に見せるか。まあこれは無難に対応していたが、普通に死体をゴロンと転がして
おいて、そこにあるのに脳が認知しない
、という描写をやってくれていたら神だった
のだが(笑)

監督は実相寺昭雄様式美の人。妖怪を扱いながら理の人である京極夏彦とは水と油であると思うのだが、思っていたよりははるかに
ちゃんと観れる作品になっていた
のは意外で嬉しくもあり拍子抜けでもあり
ただ
クライマックスが淡々としている上にダルダルなのが勿体なさすぎ。

これならば続編の「魍魎の匣」も観たいな、と思わせる程度にはよい出来の作品。ほう。



○「ウルトラヴァイオレット」 ★★★ (06.7.1/劇場)
STORY:近未来。謎のウィルスに感染した人間は、新人類”ファージ”となった。だが、その能力を脅威に感じた非感染の人類たちとの闘争が
始まってしまう。そして、ファージ絶滅の最終兵器完成の報を受け、ファージの女戦士・ヴァイオレットが研究所に潜入、兵器を奪取する。が、
兵器の正体は無垢な少年で、悲しい過去を呼び起こされた彼女は思わず少年を連れ逃亡してしまう。孤立無援となった彼女の運命は…。



「リベリオン」最強戦闘術”ガン=カタ”を世に広めたカート・ウィマー監督が「バイオハザード」シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチを主演に
迎え送るSFアクション大作。
そりゃもう”ガン=カタ”再び!ということで大層喜び勇んで観にいったわけなのだが…。


えー、ストーリーや設定がグダグダ書いていくとキリがないのでやめておくが2点だけ。
主人公・ヴァイオレットらは超人類・ファージなのだが、
”彼らは超絶能力を有する代わりにウィルス感染後12年しか生きられず、そして
ヴァイオレットはもうすぐその最期の時を迎えようとしている”
のだが、そんな肝心なこと本編で一言も言ってないやん!!!

もう一つ。ヴァイオレットが手に入れたファージを絶滅させる最終兵器というのが、トランクを開けてみれば9歳の少年で、ショタ魂を刺激された
母性本能をくすぐられたヴァイオレットは少年を守るために味方を裏切り敵にも追われ絶体絶命の窮地に追い込まれていくのだが、
この
ガキがうすらかわいくねえ
んで、どこにそうまでして闘う価値があるのかと観客すっかり置いてきぼり

それでは肝心要のアクションシーンはどうなのかといえば………うーん
「リベリオン」で不満だったのは”ガン=カタ”炸裂のアクションシーンが少なかったことで、今回はその反省を踏まえてかアクションシーン
は多めになっている
のだが………
したらばダレてしまったという。
演出やカット割が下手なのかジョヴォ姐の動きが緩慢なのか、どうにも前作は越えられず。

結論、家で「リベリオン」のDVD観てた方がいいわ
まあジョヴォ姐は格好良かったけど。

 


○「エアベンダー」 ★★ (10.8.9/劇場)
STORY:土・水・火・気の4つの王国が均衡を保つ世界。4つの精霊の力を使える唯一の存在・アバターが行方不明になったことに
より火の国が反乱を起こし世界のバランスが崩れて100年、南の水の国のベンダー(精霊使い)・カタラとその兄のサカは氷河の下から
光の球に守られた少年・アンを見つける。彼こそが行方不明のアバターだった。3人は火の国の野望と戦うべく立ち上がるが…。



監督するごとに評価を落とし続ける僕らのシャマラン監督の最新作はアメリカの子ども向けアニメが原作
重厚な語り口でオリジナルな馬鹿馬鹿しい物語を紡ぐのがウリな作風なのに最初から馬鹿馬鹿しい題材をネタにしたんでは
魅力が半減
だわどこにもナンバリングがないが3部作構想らしいわでどうにも観る気が起きなかったのだが、思い切って鑑賞。

やっぱり駄目だった

ありがちなペラッペラな世界観今更この程度?なアクションカンフーくんチックでかわいくねえ主人公(本気モードになると
白目を剥き発光し実にキモい)と、なんともいいところなし

シャマランよ何処に行く?



○「英国王のスピーチ」 ★★★★ (11.6.7/劇場)
STORY:1934年、吃音症に悩む英国の第二王子・アルバートは妻・エリザベスの探してきた変わり者の医者・ライオネル・ローグの治療を
受ける。治療はある程度効果があったが、ローグの言動に腹を立てたアルバートは彼と決別してしまう。しかし、父王の死去と兄王の退位に
より、アルバートは不本意ながらジョージ6世として即位。なんとしても吃音症を克服したい彼は再びローグの治療を受け始めるが…。



第83回アカデミー賞、作品賞・監督賞・主演男優賞受賞
実話を元にした作品元になっている人物が人物なのであまりはっちゃけた内容にはできない。それでもこういう作品が作れるだけ
英国の度量の深さが伺える。
日本で先代や先々代の天皇を主人公にした映画なんてぜってぇ作れないっしょ?

はっちゃけない代わりに、ベッタベタな感動ものにも仕立てあげてない辺りは非常に好印象。ただ、結果としてなんとも淡々とした作品
になっちまったが。あんなにファックファック言わせたんだから、もっとコメディタッチでもよかったなあ、と。

後に”善良王”と呼ばれるジョージ6世の王の孤独と威厳を見事に表現したコリン・ファースがオスカーに輝いたのは納得として、彼を公私に
渡って支えたチャーミングな妻エリザベス@
ヘレナ・ボナム=カーターとユーモラスで誠実な医者であるローグ@ジェフリー・ラッシュも賞を
もらってもおかしくないくらい好演だった。


あの最後のスピーチに奮起した国民たちがナチスの侵攻に耐え抜いたのだと思うと、染みるねえ。



○「EX MACHINA」 ★★★★ (07.10.23/劇場)
STORY:世界大戦の爪痕残る近未来。感情の起伏の少ないバイオロイドにより世界の紛争調停をしている都市・オリュンポス。美少女傭兵・
デュナンは無骨なサイボーグとなった彼氏・ブリアレオスと共に特殊警察で活躍していた。負傷したブリアレオスに代わり配属されたバイオロイド・
テレウスは、人間時代のブリアレオスのクローンで、失われたその面影に心惑うデュナン。その頃街では不審なサイボーグの暴走が相次ぎ…。



………あれ?
短髪美少女が主人公で近未来サイバーSFアクション
って、つい最近観たような気が…。
まあこっちの方が先駆者なんだけど。


’04年公開の「アップルシード」の続編何故かジョン・ウーがプロデュース

前作3DCGのくせにキャラがアニメチックだったので、ヒロインのデュナン萌えという一点で好印象が残っていたのだが、どんな話
だったのかはさっぱり覚えちゃいない
という体たらくで観賞。
で、
今回も話はすぐ忘れるような内容だったけれども十分にデュナンに萌えられたので満足まるで似合わんプラダの衣装には腹が
立った
。んな所に金を使うならもっとCG技術を向上させい。


話は荒っぽい人類補完計画という感じで展開も演出もなんともアニメチック。いや、アニメなんだけどもね。
冒頭のアクションシーン
二丁拳銃・スローモーション・鳩無駄にジョン・ウー魂が炸裂していて苦笑。
併行して描かれるデュナンと彼氏だけどゴッツいサイボーグとその人間時代のクローンというえげつない三角関係は…えーと、
3Pすれば
いいんじゃね?


純粋にアニメを観るつもりで観ればきっちり面白いと思う。
キャストも前作に引き続き声優で固めてあるし。ブレアレオスの声が替わってるけど。




○「X−MEN」 ★★ (00.12/ビデオ)
STORY:人類の中から突然変異で生まれた超能力を持つミュータントたち。その力故に迫害される彼らは2つのグループを形成していた。
人類との共存を願うプロフェッサーX率いる”X−MEN”、そして人類支配を企むマグニートーの一派。すべてを切り裂くアダマンチウムの爪を
持つウルヴァリンは、治癒能力を持つ少女・ローグの力を狙うマグニートーと、それを阻止せんとするX−MENの争いに巻き込まれていく…。



なまじカプコンの格ゲーなんかで知識を持ってしまうと、あんなド派手なものを期待して見てしまうわけだが、さすがになあ。
確かにVFXは派手で全体的に標準点は越えているのだが。


いやでもしかし、あのラストバトルの決着のつき方のヘボさは納得いかねえ



○「EGG」 ★★ (02.10.30/劇場)
STORY:日本で働く韓国女性・月子は子供の頃から、目を閉じると青い卵が見えるという症状に悩まされていた。医者にも妄想だと取り合って
もらえなかったが、ある日その卵が割れ、中から醜悪な怪物が現れた。怪物が体当たりをすると実際に月子の腹部が傷つき、血が流れる。月子
にしか見えない怪物の謎をネットで探っていた仲間たちは、数十年前にも同じ症状に苦しめられた母娘がいたことを突き止めるが…。



堤幸彦監督ミニサイズの怪獣映画。目の中に、自分にしか見えない怪獣が棲みついているという設定は面白いのだが、結論から言って
しまうと、被害に遭うのは主人公だけなのよね。
故に、主人公に感情移入できるか、あるいは主人公に萌えられるか(笑)、というのがこの映画を楽しめるか否かの分かれ目となるのだが…。
自分はちょっと萌えられなかったつーか
主人公ウザかったので低評価。ミス韓国準グランプリだかなんだか知らんが、わざわざキムチの国の
女優使う必要ないじゃん。カタコト日本語もイライラ。


怪獣はB級テイスト満点で苦笑。めっちゃショッカーの怪人顔。
そして、
救いのかけらもないオチにニヤリ。
堤作品なので、脇キャラは皆変なのばかりで、そこはすげえよかった。




○「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」 ★★ (06.9.28/劇場)
STORY:精神病院に監禁されていた医学生の人見広介は命を狙われ脱走する。朧気な幼少時の記憶を辿り日本海を目指した彼は、瓜二つ
の顔を持つ菰田源三郎に成りすまし菰田家に潜入する。源三郎の父親・丈五郎が無人島に籠もっていることを知った広介は、そこに秘密の鍵
があると感じ島に向かう。そこは、生まれついての奇形だった丈五郎の歪んだ欲望で人工的に造られた奇形人間たちの巣窟となっていた…。



名前からしてヤバさ爆発内容もたいへんよろしくないためソフト化がされていない邦画カルト界の帝王
監督は「直撃!地獄拳」の石井輝男全編これエロ!グロ!ナンセンス!の嵐
しかしチープだ。想像していたものより遥かにチープだ。タイトルにもなっている奇形人間たちがなんともチープだ。しかも登場までが意外に
長い。
しかしそんな欠点を補って余りある
暗黒舞踏家・土方巽の存在感よ!!!

混沌とした物語は突然の明智小五郎の登場(館内失笑)で一気に終局へ。「江戸川乱歩全集」と銘打ってるだけあって「人間椅子」やら「屋根
裏の散歩者」やらからも小ネタを取り入れてますな。つーかタイトルの意味って「全集」の中の1本ではなく、こ1作品で乱歩を網羅するって意味
なのかよ。
そしてそして
伝説の人間花火に館内割れんばかりの大爆笑
いやあ、すげえものを見てしまったよ、おかーさーん!


キャストに近藤正臣の名があったのでどこに出ていたのかと気になって調べてみたら…ええええ、あのシャム双生児の男の方なの???

しかし点数つけるのに困る作品だなあ。暫定★2つ。

ようつべに予告編があった。これだけ見るとすげえ面白そう。



○「N43°」 ★★★ (09.2.24/劇場)
今や全国区の人気者となった
大泉洋の所属する劇団・TEAM NACSの5人が短編映画を監督したオムニバス作品集

1、「頑張れ!鹿子ブルブルズ!」 監督:大泉洋 ★★★
STORY:20年近く前に高校のバスケ部だった大泉・森崎・安田・音尾は仲間のシゲに無理矢理呼び出されバスケの大会に出場することに。
かつての大会で自分のミスで負けたことを悔やみ続けるシゲは病気で余命幾ばくもなく、かつてのメンバーとまた試合をしたいというのだが…。


 NACSフルメンバーで送る、大泉洋によるオープニング作品。実はフルメンバーが揃うのはこの話だけで、それ故最も一般受けするで
 あろう話。しかもまんま本人役だし。
 主役はジャック・バウアーのマネが痛々しいシゲ。リーマンの彼以外の職業が、
ヤスケンは新興宗教の雇われ教祖・裸神様だったり音尾は
 目と目の間の離れたホスト
だったりと爆笑もの。
 いい話と見せかけて急転直下のオチが炸裂してどんな顔をしていいか判断に困る内に終了。


2、「神居のじいちゃん」 監督:音尾琢真 ★★★
STORY:祖母の13回忌しい故郷の旭川に帰った由美は祖父の散歩に付き合う。途中で出会った小さな女の子とその父親と一緒に歩くその
小道は、祖母が最後に歩いた道だった。


 音尾琢真監督作品はNACSのくびきに囚われない大真面目な入魂の一作。主演に大御所・夏八木勲を起用。NACSからは森崎リーダー
 のみ出演。
 監督の故郷である旭川・神居古潭の緑豊かな風景の中描かれるすこし不思議な心温まる物語。ええ話なのだがちと冗長かも。


3、「部屋クリーン」 監督:戸次重幸 ★★★
STORY:ガサツな青年が一人暮らしするアパートの小汚い一室。ところがある日彼が目覚めると部屋が綺麗に片づいていた!それは部屋を
片付ける妖精・片付けさんの仕業だった。しかし、彼の不倶戴天の敵・散らかしさんが現れ、二人は全面戦争に突入するが…。


 戸次重幸監督作品は手描き風のアニメから始まりしょーもない衣装としょーもないメイクとしょーもない合成によって描かれる二体の妖精さん
 のしょーもない死闘の物語。そのしょーもなさがなんだかNACSらしい。出演はシゲと音尾。


4、「ヤスダッタ3D」 監督:安田顕 ★★★
STORY:インドのヤスダッタ教授によって発見された人間を野獣に変える謎の奇病・ヤスダッタ。日本でも発症が確認され、安田隊長率いる
捕獲部隊が出動する。闇夜の中繰り広げられる死闘に終止符を打ったのはヤスダッタ完全体となった男のかつての妻の愛だった…。


 この前のシゲの作品もおかしな作品だったが、それに輪を掛けて怪作だったのがこの安田顕監督作品。ホラー映画な手法と特殊メイクで
 描かれる怪人ヤスダッタ(当然全裸)の異形と衝撃のラストときたら…。インパクトという点では最強
 ちなみに
出演者は全員安田さん。安田大サーカスは安田姓じゃないような気がするが。

5、「AFTER」 監督:森崎博之 ★★★
STORY:2057年、TEAM NACS再始動。森崎リーダーの号令で集まる5人。しかしすでに全員80歳を越えてヨレヨレ。リーダーに至って
は入院中だった。その代理として演技指導をする羽目になったのはカリー軒の三代目。悪戦苦闘しながらメンバーとの絆を深めていくが…。


 トリを飾るはリーダー・森崎博之監督作品。メンバーは大泉とリーダー本人しか出ていないが、大団円に相応しい愛に満ち満ちた一本
 
監督とファンの理想の未来予想図。50年経ってじじいになっても矍鑠としているメンバーの姿が微笑ましい。世界を放浪するヤスケンとか
 ガンオタを全うするシゲとか筋トレに余念のない音尾とか。
 話自体はちょっとモタモタしている感があるのだが、まあ縁起物なので許せてしまう。
 主人公のカリー軒三代目に大泉洋。立派な口髭を蓄えると実にインド人くさい。ミスターやオクラホマも出演でOFFICE CUE祭り
 外部参加の看護婦役の松田沙紀がちょっとかわいかった。
 でもシャアのコスプレして(白い)RX−78に乗るのはどうなのか。


つーわけで、あくまでファン向けのお祭り企画。だが、それがいい。



○「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」 ★★★★ (07.9.9/劇場)
STORY:西暦2015年。セカンド・インパクトの被害から復旧しようとしている世界。第3新東京市の地下、ネルフ本部に呼び出された14歳の
少年・碇シンジは、司令である父・ゲンドウから巨大人型兵器・エヴァンゲリオン初号機に乗って巨大生物”使徒”と戦うよう命じられる。葛藤
しながらもエヴァのパイロットとなる道を選んだシンジは、心も体も傷つきながら謎に満ちた戦いを続けていくが…。



何を隠そう「新世紀エヴァンゲリオン」というアニメが大好きである心のベスト10第1位はと聞かれれば、「機動戦士ガンダム」とどっちが
上か悩みに悩んだ末にこの作品を選ぶであろう
というくらい愛しているのである。


TV版の本放送時にほぼリアルタイムに(当然地方では放送されてないのでつてを頼って本放送の孫の孫ダビングくらいのVHSを回して
もらって数話分まとめて見ていた。)熱狂していたクチなので、
TV版の最終話を見終わった時には、そりゃあもう途方に暮れたものだった
見慣れない服を着た君が今出ていったですよ。
それでもようわからんがシンちゃん幸せそうだったしアコースティックなメインテーマが耳に心地よいしで、まあよしとするか、と不承不承納得
した、否、せざるを得なかった
ところに劇場版でやり直しの報ですよ。


そりゃあもう期待して、バイト休んで開場2時間前から並んで(映画観るのに行列作ったのは後にも先にもこれだけだな。)観に行った夏の
劇場版(「Air/まごころを、君に」)
なのだが、またしてもぐうの音も出ないほどに打ちのめされたわけですよ。
難解で無情で残酷で後ろ向きで、それでも希望を抱かせつつも、
最後の最後で絶望を見せつけて、幕
当時世界を席巻し始めていたインターネットの世界で大量発生していた予想を全て裏切る後味の悪さ。
映画館には友人と二人で観に行ったのだが、出た後は二人とも無言で、とりあえず居酒屋に入ってビールを流し込んでやっと言葉が出てきた
というくらい衝撃だった。


それでも結局5回も観に行った。(「少林サッカー」と並んで最多。)至る所救われない話ではあったが、謎や制作者の意図を少しでも補完
したいと思った
から。テレコを持ち込んで録音して(’07年8月以降は録音行為は犯罪となりました。)、全セリフテープ起こししてパソコン
(MS−DOS機な!)に一太郎で打ち込んで解釈を考えた
りした。(卒論書く前にこれやってたらもうちょっとマシな論文書けたなあ。)
鬱な作品だが凄い作品ではあったから。
「希望なのよ。人は、互いに分かり合えるかもしれないということの」「好きだという言葉と共にね」
音楽や演技や演出には鬼気迫るものがあった
し、そもそもたった2時間だけでそれまでのTV版24話を否定はできないから。


そんなわけで、そこまで含めて「新世紀エヴァンゲリオン」というアニメが大好きだった

それを今更、「やっぱあの最後はなかったことにしてもっとエンタメ性に富んだわかりやすいリメイク作るわ」なんて言いやがるわけです

フルコースの最後のコーヒーがゲロ不味くてそれでも無理矢理流し込んで、吐き気胃痛腹痛下痢にさんざん悩まされてそれもようやくよくなった
ところに、「ごめんさっきの間違えた」っつってまともなコーヒーもう一杯出された気分ですよ。

絶望した!簡単にリセットが効く世の中に絶望した!

まあこれは「Zガンダム」のリメイク三部作がそこそこ受け入れられたから、という下地もあるんだろうけど。「Z」の大大大ファンという人も同じ
ような憤りを味わったのだろうか


さてようやっと本題の映画の感想
ええ、これだけ文句つけても観に行くわけですよ。「結局ボクはエヴァを観るんだ。好きな人を殺してまで」いや、殺してないけど。

新劇場版4部作の1作目、「序」は旧TV版の1話〜6話までのリメイク
結論から言うと、
面白かった
そりゃそうだ、元が面白いんだから、当たり前だ。(元々面白くなかった「乙ガン」は手直ししてもやっぱりつまらんかった。)

旧作をLDでしか持ってないためにエヴァ世界に触れるのはずいぶんと久方ぶりだったのだが、シンちゃんや綾波に再会できて、彼らのことを
すげえ好きだった頃の気持ちを思いだして自然と笑顔になってしまった
一番ニヤけたのは伊吹二尉が出てきた時だったけどなあ。
旧映画版まで観た後だと、
ゲンドウはどんだけ偉ぶってもマダオにしか見えなくなってしまった。ヒゲとグラサンだしな。

全編の終盤は展開を全く変えると明言しているが、流石に序盤はほとんど大きな変更は無しで、懐かしく観れた。
完全オリジナルなのかと思ったら大部分…流用(ニヤリ)なのね。「乙ガン」と違って
TV版製作時からアニメ業界の作画レベルが進歩して
ない
ので新作カットとの融合はさして違和感なし
声優さんの声質の変化もほとんど気にならない程度。ゼーレの甲高い「左様」の声がなく
なってしまったのは寂しい。


新作部分は兵装ビルや第3新東京市などのメカニック描写やヤシマ作戦のネルフ司令部以外の準備の描写が大半で、それは確かに
非常に格好良かったのだが、リメイクすると聞いてそんな箇所の描写の強化を期待する人って世の中にどれくらいいるん?もっと物語や謎
の補完をお願いしますよ。
第6使徒(!)ラミエルのCGを駆使した戦闘描写もそりゃもうすげえ格好良かったのだが、同上


海の色だったり使徒の数だったりネルフマークの新旧混在だったりリリスの顔(なんかショック)だったり、新たな謎は多いものの、まだ物語は
始まったばかりなのでまだ考える時期ではないかと。
映画の広告で、アスカがいないのにカヲルがいたりして、世の腐女子さんを狂喜乱舞させたりしたのだが、顔出し程度の登場で苦笑。JAROに
電話されっぞ。


とまあ、比較的穏やかな心根で本編を見終え、ウタダの曲ダメじゃん、とEDを席を立たずに我慢した後に、真の本編たる予告編が掛かる。
ヲイヲイ何だこれ、
サービスサービスゥ!しすぎだろうよ!



○「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」 ★★★★★ (09.6.27/劇場)
STORY:北極でのエヴァ仮設5号機と第3の使徒との戦闘、日本への第7の使徒の侵攻と式波・アスカ・ラングレーの駆るエヴァ2号機の参戦と、
人類と使徒との戦いは続いていた。人を頼ることをしない勝ち気なアスカとの共同生活、心を開きつつあるレイ、父・ゲンドウへの歩み寄り、シンジ
を取り巻く環境は少しずつ変化し、それは彼自身の心をも変えていく。全てが善い方向へ進んでいく中、破局は唐突に、壊滅的に、訪れた…。



TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」を新作劇場用アニメとして再制作し、4部作を1年強に分けて公開する、として第1作「序」が公開
されてから………
1年と10ヶ月いくらなんでも待たせすぎだっつーの!!!客を馬鹿にすんのもいいかげんにしやがれ!!!約束
は守らねばならない社会人としても純粋なファンとしても腹立たしいやら呆れるやら
なのだが、それでも、劇場で予告が流れると、ねえ

  \(⌒-⌒)
   (・(ェ,,)・ ) < そんなエサで俺様がクマー!!
    `つ   `つ      (´⌒(´
     ゝ_つ_`つ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
              (´⌒(´⌒;;
      ズザザザ


そんなわけで、エヴァの公式新作だから観なければならんべえと、14年も前から呪縛され続けている人間としては半ば義務感で劇場に
初日から足を運ぶ

質に関しては「序」を観た限りでは不安がる必要はまるでないのでかえって期待感も湧かず(4部作の真ん中だし)、あたかもエヴァ初号機
に乗れと言われたから言われるままに乗っているシンジ的な心境
で劇場内へ。


ところがギッチョン!
なんぞこれ!面白えっっっ!!!
予想の遥か斜め上をぶっちぎって面白えっっっ!!!


いや、確かにTV版と同じ展開と見せかけて裏切るという手口はある意味安直だし、こんな展開だったらこの14年の間に同人作品やら
「スパロボ」やらでいっぱい見てる
し、TV版の鬱屈しまくった面々がいくらなんでもご都合主義的に前向きになったり心を開いたりデレ
たりしすぎだろう!
とは思うのだが、TV版・旧映画版で破滅への坂道をゴロゴロ転がり落ちていく登場人物たちに胸を痛めていた身と
しては、
ああよかったなあと素直にほっこり
「お前らの見たかったのはこんなのだろ、アーハン?」という作り手のしたり顔が浮かばなくもないが、その通りなんだから仕方がない
でもだったら最初からそう作れよ、と怨み節を吐かざるを得ないのも仕方がない

「序」の第6の使徒(元ラミエル)がCGで大幅に変化を遂げたのはまさに序の口だったようで、原型を留めない第7の使徒(元ガギエル?)
ただ降ってくるだけでなくニョッキリ上半身が生えてきて初号機に聖痕を刻む第8の使徒(元サハクイエル)、強さに磨きを掛けただけでなく
驚愕の変貌を遂げる第10の使徒(元ゼルエル)と、
使徒の変化が凄まじく驚きの連続
そしてそれに立ち向かう
エヴァの戦闘が熱い熱い!2号機の一点突破空中戦、街全体でエヴァの疾走をサポートするギミック、裏コード、
ザ・ビースト!(そしてそれすら凌駕する元ゼルエル)、おっと忘れちゃいけない
仮設5号機の勇姿…は暗くてよくわからんかったなあ。

つーわけで14年の時を経て「見たかったエヴァ」を見ることができたので大満足である。別にキャラが鬱屈していて世界が閉塞しているから
エヴァが面白かったわけじゃないんで。娯楽作品なんだから王道熱血ロボットアニメな最終回でも全然構わなかったんで。

でもだったら最初から(ry

ほぼ満点なれど、合唱曲2曲の使用は正直ムッとした。特に1曲目の底意地の悪さ。今までクラシックできといてなんじゃそりゃ?

いよいよ次は完結編2本立て。鬱エンドにはならない(じゃないと作り直す意味がない)だろうからアスカのことなんかも)心配せずに待てる
けれども、
また2年後に公開とかは勘弁な!



○「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」 ★★★★ (12.11.18/劇場)
STORY:碇シンジが見知らぬ天井の下目覚めると、14年が経過していた。ミサトやアスカは空中戦艦でネルフの人工使徒と戦い、シンジには何も
するなと言う。レイの声に導かれ、シンジはミサトと袂を分かち、エヴァ9号機でネルフ本部へと向かう。そこで待っていたゲンドウは、謎の少年・渚
カヲルと共にエヴァ13号機に乗れ、と告げる。打ち解けたカヲルに14年前の自分の行動のせいで世界が滅びたことを知らされたシンジは…。



3年ぶりの「エヴァ」。完結編と同時公開予定がすったもんだの末に四部作の三番目だけ上映。そんなことだろうと思っていたが。

前作「破」が予想の遙か斜め上を駆け抜ける素晴らしいエンタメ作品だったので、そこから3年もおあずけを喰らわされて、そりゃもう期待で
ハードルは高くなりまくり
だったのだが…。

まさか高すぎるハードルを飛び越える素振りすら見せず、全部真っ正面から薙ぎ倒して走ろうとするとは…。
前作のラストで大いに男を上げ、もう”シンジくん”なんて呼べない、
”シンジさん”だよ!とランクアップした主人公まさかの株大暴落元の
”シンジくん”どころか
アスカのように”バカシンジ”呼ばわりしたくなる体たらく
前作で
ぽかぽかだった雰囲気がどこに行ってしまったのか、すっかりギスギスだよ

いやでもしかし、元々「エヴァ」ってギスギスアニメだったよな

つーわけで、やること全て裏目でどうしようもなく鬱展開終わりが近づいているのに一向に明かされないどころか増えていく謎かっちょええ
演出
かっちょええ戦闘、と………
なんだ、通常営業の「エヴァ」じゃんか

しかしまあ、冒頭から有無を言わせぬ怒濤の展開で、新キャラが出たと思ったら14年も経ってるわ、世界はほぼ滅亡してるわ、相変わらず
何やってるか何をしたいのか説明不足
だわ、僕には君が何を言ってるのかわからないよカヲルくんですわ。
とにかく圧倒的に情報が不足していて、一体
人類の生き残りはどれくらいいるのか?加持やトウジたちはどうなったのか?ネルフ本部って
4人(内2人は人外)しか住んでないのか?地上やセントラルドグマの巨人の残骸は何なのか?2本の槍はどうして同じになっちまったのか?
なんでマリはコネメガネなのか?
とか、わからなすぎるにも程があるので、そのうちカーズは考えるのをやめた。

「破」に引き続きかなり変貌はしているもののアウトラインはしっかり旧作と同じであり、それを考えると、旧作も第捨九話「男の戦い」が盛り上がり
のピーク
で、
その後は訳のわかりにくい鬱展開のまま終わってしまったんで、今回もそういう展開になることは予想も覚悟もしておくべきだった
………
しておくべきだったのに

しかし、いかんともしがたいまま幕を閉じてしまった旧作と違い、今回はそこから続きがあるのだから、我々はシンジくんが幸せそうに笑って
エンディングを迎えるその日をただ待っていればいい
のだと思う。
きっと予告編の8+2号機なんて影も形も出ないんだろうけど。(でも
ゲンドウが「サイクロン!ジョーカー!とか叫んでほしいwww)
まさに
「希望は残っているよ。どんな時にもね」だの。なんというメタ発言。

つーわけで四部作の三番目、起承転結の転として見れば悪くない出来
だけど
単品で見ると、ちょっと褒められたもんではない萌えが欠如しているのもどうかと。アスカかっこよかったけど。



○「エリミネーターズ」  (00.10/ビデオ)
STORY:悪の科学者にマンドロイド(サイボーグ)に改造されたジョンは、記憶を取り戻し、自分を改造した博士と共に組織から脱走しようとする
が、追っ手に博士を殺され、自身も重傷を負う。女科学者に出会い修理されたジョンは、彼女と共に組織を壊滅させるべくジャングルの奥地の
秘密基地へと向かう。仲間を加え、苦難を乗り越えボスの元にたどり着いた一行は、彼の恐るべき野望を知ることとなる…。



バカ映画の古典
まずは主人公の
”マンドロイド”ジョン。主人公だというのにジョンなんてすげえ地味な名前。彼は全身を着ぐるみバレバレな金属で固めた
サイボーグ。
特技はパーツ換装。なんと下半身をキャタピラパーツと交換し、ぶっちゃけ
ガンタンクになれる!が、このモードになると二足時よりも移動
速度が落ちる
上に、段差にひっかかりやすく、こけると立ち上がれないという駄目っぷり。
彼とパーティを組んで悪の科学者を倒すべく冒険をするのが、ヒロイン・女科学者とガイド兼賞金稼ぎの軽薄そうな男と、
ニンジャ
そう、
ニンジャ。しかも、序盤で殺された正義の博士の息子。しかも脈絡なくジャングルで修行中の所をバッタリ出会って同行。グレイト!

そして彼らを待ち受ける悪の科学者は、タイムマシンを使って古代ローマ帝国を制圧して王になろうと企むナイスガイ。その実験のために
ジャングルには古代ローマ兵やら
猿人やらがうろついているワンダーゾーンに。
で、彼はラスボスだけあって驚異の戦闘力を誇り、あっさり一行を粉砕してしまう。つーか
あっさり主人公ジョン死亡
最後はヒロインたちにタイムマシンを誤作動させられ4億年くらい前に送られてめでたしめでたし。
と、
ジョンが死んだことなどみんな忘れたかのように(つーか本気で忘れてるだろう!)歓声を上げて幕。

バカ映画好きな人限定で★★★。



○「L change the WorLd」 ★★ (08.2.27/劇場)
STORY:史上最悪の犯罪・キラ事件を解決した名探偵L。だがその代償に彼は余命と保護者のワタリを失う。そんな中、凶悪な新型ウィルスが
発見され、事件を追っていた仲間のFが殺され、そのワクチンを開発した二階堂教授も襲われる。Fが保護した生き残りの少年と二階堂教授の
一人娘・真希はLの元に身を寄せるが、彼らにも魔の手が迫る。事件の黒幕はLの同僚・Kだった。余命は6日、Lの最後の闘いが始まる…。



「デスノート」のもう一人の主人公である名探偵Lをフィーチャーしたシリーズのスピンオフ作品。なので実写映画版「デスノ」前後編を見て
いることが前提とした構成。
てっきり西尾維新のノベライズ「ロサンゼルスBB殺人事件」の映画化かと思ったらそうではなくオリジナル脚本そりゃそうだよなあ、あの話
はないよなあ(笑)

………
でもこの脚本はもっとねーよ!!!

闇に落ちた天才・夜神月に代わる今回の敵はLと同じくワイミーズハウス出身のKという同門対決。となれば丁々発止の頭脳戦を期待せざる
を得ないのだが…
なんだこの頭悪い展開は?
人類滅亡を企む過激な環境保護団体転じてテロリストでも4人でもずっと同じ服
とかそこに手を貸す国際的テロリストでも活躍の機会なし
姉さん事件です
とかLの窮地にFBIの助っ人参上
ただしナンチャンとかワクチンをテロリストに渡すくらいなら死んだ方がマシと自決
かくしてウィルスを止められなくなり人類絶滅の危機
とかウィルスキャリアの女の子連れてのんびりサイクリング(ここは意図してバカ演出
やってる)とかやっとワクチンが1つだけ完成したと言った次のシーンではバッグ一杯ワクチン持ってるとか
ウィルス発症で辺りは血の海
だけど全員命に別状なし
とか、なんのコントですか一体?

監督は「リング」などホラー作品に定評のある中田秀夫。なので登場人物が死ぬとき妙にホラーっぽく倒れる。鶴見辰吾の死に方なんて意味も
なく長々とホラー


主演の松山ケンイチは独自のL像を確立させていてまあOK。また続編とか作られそう。キラ事件の前という設定で。
ヒロインの福田麻由子は太い眉毛がかわいい。
事件の鍵を握るタイのガキは…
原作ファンならあのラストにブチギレ必至。薄々気づいていたが、あれはない。つーかクレジット見たら日本人
でビックリ。
Lと闘うKに
工藤夕貴。外国で活動してたからか、日本語がおかしい演技もおかしい。黒幕がそんなでは話が盛り上がるわけなかろう。今年
度最低女優賞最有力候補

テロリストの一員の
佐藤めぐみ何だかどうにも一人淡々と壊れていてすげえ面白かった。なんぞこれ?
F役にライオン丸Gこと浪岡一喜。「HERO」やら「クローズZERO」やら地味に活躍中。そのうちブレイクしそう。




○「エルミタージュ幻想」 ★★★ (03.11.4/劇場)
STORY:映画監督ソクーロフは、ふと気がつくと世界最高峰の美術館・エルミタージュにいた。明らかに数十年以上前の風俗をした人々が行き
交う中、わけもわからないままさまよう彼はフランス人外交官キュスティーヌと共に広大な美術館の中で、数多くの、ロシア史を彩る美術品や名
だたる人物たちと出会う。そして、旅の果てに彼が見た風景は…。



ロシア映画界の偉才(らしい)・アレクサンドル・ソクーロフ監督作品。所蔵品数300万点(ルーブル美術館の10倍)を誇り、一つの作品に
つき一分間立ち止まると、
全ての展示品を見るのに5年かかると言われる(らしい)世界遺産・エルミタージュ美術館を舞台に描く幻想の
物語。


とはいえ、ゲージュツには興味なく、ロシア史にも詳しくない(一番最初に思いつく著名なロシア人の名前は、ザンギエフ)身としては見ていて
もあまり興奮しない作りになっている。
そもそも、「キル・ビル」とか「フレディVSジェイソン」とか血がドバドバ出て人がズガズガ殺されるような作品ばかり喜んで見るオイラ向きの
作品じゃあないというのは見る前からわかっていたわけで。


では何故に劇場まで足を運んだのかと問われれば、その答えは作品本編よりも製作にまつわる所にあるわけで。
なんとこの作品、
90分1カメラ1カット撮りなのである。
カメラ長回しといえば最長記録を
僭称していたのは「シベ超」シリーズで嘘こくなボケ!であるが、あれは10分程度役者が皆ダラダラ演技
をしているのをダラダラ撮っているだけで、カメラ・視点の移動もさほどなく、それほど手の込んだものではない。
つーかその10分の
ラストに登場するハルヲがあからさまにトチッているのに強引にオーケイを出しているのがまた別な意味で素晴らしい
言えなくもない。というのは「シベ超2」の方で、「3」は本人は役者として出ない代わりに、
監督として、映ってはいけないのにバッチリ背景に
映ってしまっている
のに強引にオーケイを出しているのがまた別な意味で素晴らしいと言えなくもない。ダ メ す ぎ る 

閑話休題。
そんなお遊戯とは一線を画して、この作品ではカメラが広大な美術館の隅から隅まで
縦横無尽に90分、約1.3kmも技術を駆使してブレ
無しで動き回り
、エキストラを含む900人近くの出演者が見事に演技をやってのけるというとんでもない離れ業をやってのけているので
ある。
しかも
本番一発オーケイ!(cf.コチラ14回撮り直している…って、それはそれですげえ!)助監督が22人もいたという。
平時は美術館として運営されている施設の年に一度の休館日を利用し、かつ、撮影用の照明を使用できないため撮影可能なのはわずか
4時間
という制約の中、見事に撮りきったスタッフの苦労は並大抵のものではなかったであろう。
それを思えば、できあがった作品がちょっとばかり退屈だって………ねえ?(笑)


つーわけで、本編よりもメイキングの方がとてつもなく面白そうな作品なので、見るならば今後発売されるであろうDVDで。



○「ELECTRIC DRAGON 80000V」 ★★★ (01.12/劇場)
STORY:幼い頃に高圧電流を浴びる事故に遭い、電気を帯びる体質を持ってしまった二人の男。電気と感応し爬虫類と心を通わせる男、
竜眼寺盛尊と、電気を修理し怪電波をキャッチする謎の男、雷電仏蔵。「挑戦者現る!!!」の書き文字と共に現れた仏蔵に愛しのペットの
爬虫類たちを殺され愛用のエレキギターを壊された盛尊は、仏蔵に勝負を挑む。「俺を怒らせるな!」「怒ったお前に会いたかったんだよ!」



「高校大パニック」や「狂い咲きサンダーロード」で全国の血気盛んな若者どもを熱狂させ、最新作「五条霊戦記」で全国の血気盛んな若者
ねえちゃんおっさんおばさんをガッカリさせた石井聰亙監督の最新作(撮影は「五条〜」より先)。


竜眼寺盛尊(りゅうがんじもりそん)@浅野忠信は毎晩エレキギターをかき鳴らして電気を抜かなければ闘争本能を抑えられず、日中でも
ストレスがたまってキレそうになると「ギター!」と叫んで
空飛ぶギターを呼んでかき鳴らすし、雷電仏像(らいでんぶつぞう)@永瀬正敏
まんま半身が仏像という暴走した設定なのだが、…寝そうになっちまった。劇場が暖房効かせすぎじゃゴルァッ!というのもあったが、いまいち
ノリが悪いのだ。1時間程度の作品だというのに何故に中盤こうもダレるのか。


が、物語のラストの二人の対決はバカ全開で熱い!
怒る盛尊を軽く撃退する仏蔵。それもそのはず、盛尊の体内の電力が8万Vなのに対して、仏蔵のそれはなんと2千万V!
しかし、電線から電力を吸収した盛尊は復活、
無想転生ばりの残像を残し、仏蔵に突撃!嵐のようなパンチを浴びせる!(↓ネタバレ)
8万V×250発で2千万Vだぁぁっっっ!!!
漢たるものこうでなくては!
最後に、この映画の感想を書いた者の決まり事として、この言葉で締めたい。
電気は大切にぃぃぃ!!!



○「エンジェルウォーズ」 ★★ (11.4.25/劇場)
STORY:遺産を狙う親類に妹を殺され自らも精神病院に閉じ込められてしまったベイビードール。しかもそこは精神病院の名を借りた娼館
だった。自由意志を奪うためのロボトミー手術が迫る中、彼女と仲間たちは病院から脱走すべく戦いを始める。彼女たちの武器は想像力。
想像の中で勝利することで現実の壁を打破し、必要なアイテムを集めていく彼女たちだが、オーナーのブルーは異変に気づき始めていた…。



「ドーン・オブ・ザ・デッド」、「300」、「ウオッチメン」ザック・スナイダー監督初めてオリジナル脚本で送るB級ガールズアクション

娼館に売り飛ばされ脱走は不可能、挙げ句ロボトミー手術が迫る中、少女の妄想力が爆裂
どういうわけか
踊りを見せることにより妄想の中のバトルに突入し、勝ち抜くことで現実世界の困難を突破できるという素敵仕様
中2でもそんなん考えんわ
少女たちが臨む戦場ときたら、雪の寺院で
vsガトリング砲を構えた巨大侍を皮切りに、ナチスのゾンビアーミー軍団、巨大なドラゴン、
近未来の土星の衛星でvsメカガンマンとやりたい放題。素晴らしい

でも今ひとつふたつみっつよっついつつむっつななつやっつここのつノれないのは、おにゃのこたちがかわいくないから。
それが全てだ
5人もいるんだから1人くらいかわいい子がいても罰当たらないと思うんだがなあ。


あってないようなもんだろうと思っていたストーリーもあるにはあったが、ない方がいいんじゃないかというくらい暗い

期待が大きかっただけに残念無念。たぶんおにゃのこがかわいくてハッピーエンドだったら満点だったよ。
今までの作品は原作付きだからアンハッピーエンドはそれに沿ったものなので仕方ないけど、オリジナルでもかよ。


吹替版で観賞。つーか吹替版しかやってなかった。



○「黄金を抱いて翔べ」 ★★★★ (12.11.26/劇場)
STORY:学生時代の友人・北川に誘われ故郷の大阪に戻った裏家業相手の調達屋・幸田は、銀行の地下に眠る金塊の強奪計画に参加する。
システムエンジニアの野田、元北朝鮮の工作員のモモ、北川の弟のチンピラ・春樹、元エレベーター技師のジイちゃんを仲間に加えて作戦を練る
二人だったが、次々と予期せぬアクシデントに襲われる。傷つき、仲間を失いながらもついに決行の時を迎え、一行は銀行に突入するが…。



怪作「ヒーローショー」から2年ぶりとなる井筒和幸監督の新作は、超犯罪都市OSAKAを舞台にしたピカレスク原作未見

一部を除きそんなに食い詰めた様子でもない6人の男たちが、それでもまるで何かに追い立てられるように欲望の象徴の如き金塊の山
向けて、
がむしゃらに突き進み、滅びていく様を描く。
綿密な蟻の這い出る隙間もないような華麗な犯罪計画のスタイリッシュアクションかといえば
全然そんなことはなく(OSAKAだし)かなり
アバウトな出たとこ勝負なドカチン犯罪活劇だったり(OSAKAだし)
。でもその部活なノリが嫌いではなかったり。
それでもまあ、一応計画の体をなしていた作戦も、男たちのいかんともしがたい過去のしがらみ(や行きずりの若さ故の過ち)からボロボロと
崩壊
していき、
破滅の臭いが色濃く迫ってきても、それでもなお前に突き進むことをやめない悲しい男臭さがまさに浪花節。

つーわけで、主役の6人の男たちが物語の肝。
主役の人嫌いのくせになんのかんの言って面倒見がいい調達屋に
妻夫木聡。似合わない髭を蓄えて、似合わない荒くれ者役なれど、最近どんな
役でも様になるようになった
のお。
事件の首謀者で、妻子持ちで普通の満ち足りた生活を送っているのにも関わらず、狂気の博打に身を投じる男に
浅野忠信。ここ数年、ちゃんと
演技をするようになってきて微妙な感じだったが、
今回の役はすげえよかった。しかし、計画が普通に成功して高飛びしていたら、妻子は見捨てる
つもりだったんだろうか。
女絡みで返せない借金をこさえたエリート崩れのSEに
桐谷健太。関西弁がイメージを増幅しているのか、ダメ中年の役を好演していて刮目。
こんな役もできたのか。
上官に裏切られ、全てを捧げた祖国に追われる元・北朝鮮の工作員にユチョン。朝鮮人だけど、いいやつ。朝鮮人アイドルが出てるというのが
この映画の一番嫌なところだったのだが、それを払拭する程度には、いいやつ。鯖寿司ねえ。
アサチューの弟でチンピラ役に、溝端淳平。ふつー。
元エレベーター技師で、何やらいろいろ裏がある老人に西田敏行。通常運転。


脇を固めるやたらマンガチックな田口トモロヲ分相応なチンピラ役の青木崇高(チンピラ役だけやってればいいのに)も好演。

バイオレンスあり、乾いた笑いあり、泣ける男の友情あり、で意外や意外、まっとうなエンターテイメント作品。それはそれで物足りないけど。

冒頭の朝鮮人兄弟が入った喫茶店のBGMが何故かTSUTAYAの店内有線放送で掛かるTSUTAYAのテーマソングのようなものだった
のが、謎。ステマ?




○「おおかみこどもの雨と雪」 ★★★★ (12.8.8/劇場)
STORY:大学生の花は、教室で神秘的な雰囲気の”彼”を見つけ恋に落ちるが、”彼”はニホンオオカミの末裔の狼男だった。しかし花はそれを
受け入れ、”彼”の子を宿す。姉は雪の日に生まれたので、雪、弟は雨の日に生まれたので、雨。ささやかながらも幸せな日々は、”彼”の突然の死
により幕を閉じる。感情が高ぶると狼になってしまう幼子を抱えた花は都会を離れ、山奥に移り住む。やがて子どもたちは学校に通い始めるが…。



前作「サマーウォーズ」の大ヒットで一躍人気監督となった細田守の最新作。
その力量は「デジモン」から追っかけているので十分わかっていて、
そりゃもう今作も面白かったわけだが………
何この
コレジャナイ感
これじゃあジブリ映画じゃん。求めていたのはこんな毒のない安定したラインじゃないんだがなあ。

だいたいにおいて、あんまり幸多そうじゃない主人公の女の子が運命的な恋に落ちて種族の垣根を乗り越えて子どもを産んで、という幸福の絶頂が
冒頭にきてしまっている
のがなあ。
ここから後は転げ落ちるだけじゃん
そりゃあ転落するも持ち直して最後もハッピーエンドなわけだが、
それでも最高の幸せはもう戻らないわけで
その最愛の”彼”が
まさに犬死に(狼だけど)なのが余計に惨さを煽る。何やってんだよ。でもあの死体処理のシーンの残酷さは素晴らしい。
きっと中の人が大沢たかおだからあんなことになったんや!(なんでや)まったくろくでもねえ。

そこから女手一つで乳飲み子二人を育てていくことに。しかも感情が高ぶると狼になってしまう珍獣ぶりなので医者にも診せられず。
って、そんなん育てられるわけなかろう
田舎に移り住む費用(移り住んでからの生活費とかも)とか、あんな広い家を一人で修繕するとか、
リアルに描こうとして全然絵空事なのが嫌。

まあでも、うら若いかーちゃんも小さな子ども二人も、そりゃもうかわいいし、目一杯生きていることを楽しんでいるのが微笑ましいんで、大概の
ことは許せてしまえる
んだがなあ。

ロリショタ属性のお友だち大喜びですよ。しかも、ケモノミミまで生えてしまって更に萌え度増なんだが、鼻先まで獣になってしまうと、そこまで
特殊な趣向はないので萎えてしまうのが惜しいところ
。そーゆーのも好きなお友だちにとっては天国だろうけど。

幼児の頃はわんぱくだった雪臆病だった雨が、小学校に入り他人と接するようになって、真逆になっていくというのは面白かった。
気になる男の子に「くさそう」とギクリとする言葉を掛けられて動揺する雪とそれがきっかけの
ボーイミーツガールなお話が甘酸っぱくて
よろしい

やがて大人の階段を登り始めた雪と雨は
人間として生きるのか、狼として生きるのかを選び、花の元から巣立っていく。
って、
何も今生の別れでもあるまいにねえたまにふらりと晩飯食いにきたっていいじゃないの、とか思ってしまう。

主人公の花を演じたのは宮崎あおいで、夫と別れた妻の役だからか(失礼)見事なかわええ演技。ますます惚れてしまう。

つーわけで、十分面白く、クオリティも非常に高いのだが、なんだか首を傾げてしまう妙な作品
あと雪の方が先にお姉さんなんだから「おおかみこどもの雪と雨」の方がよくね?




○「大鹿村騒動記」 ★★★★ (11.7.21/劇場)
STORY:長野県下伊那郡大鹿村。山奥の寒村だが、300年の伝統ある大鹿歌舞伎を受け継いでいる。鹿料理屋を営む風祭善は歌舞伎で
主役の景清を長年演じている。歌舞伎の定期公演を間近にしたある日、18年前に駆け落ちした妻の貴子と親友の治が突然村に戻ってくる。
脳の病気で貴子が駆け落ちした記憶さえ忘れてしまい、どうしようもなくなって返しに来たとぼやく治。平和な村に嵐が近づいていた…。



阪本順治監督原田芳雄を主演に据えて作った小品。結果として原田芳雄の遺作に

山奥の小さな村が舞台(ちなみに実在する)なので、登場人物のほとんどが老人。故に芸達者が揃っているので安心して観られる。
しかも数多くない若手も、
佐藤浩市・松たか子瑛太とこれまた手堅い面子

18年前の嵐の日に駆け落ちして行方知れずとなった妻と親友がひょっこり戻ってきて、妻は病気で記憶がないという。@大楠道代は少女
に戻った感じ
だし親友@岸部一徳もすっとぼけていて本気で怒るに怒れない善@原田芳雄がなんともおかしく、あったかい
性同一性障害に悩む雷音くんに対する不器用な思いやりとか、無骨ながらいいおっさんだなあ。どっちかと言えばかなりアウトロー寄りの役
ばかり演じてた印象だけど、最後の最後にこんな役が巡ってくるなんてねえ


記憶障害で醤油の存在自体忘れてしまったり、雑貨屋でそれとは知らず万引きしてしまったりと妻の病状は深刻なのだが、周りがなんとも
すっとぼけた連中ばかりなのでなんだか悲壮感がない
お涙頂戴に走らないのが好感が持てる
すったもんだの末に迎える歌舞伎の本番。やあやあ
景清といったら「源平倒魔伝」じゃあないですか。地獄の沙汰も金次第。

他に脇を固めるのは盤石の石橋蓮司でんでん…つーか、この人はあの役のインパクトが強すぎて、いつ暴走して「ボディを透明にする」
とか言い出すかと心配してしまった。

三國連太郎の方が明らかにポックリ逝きそうだったのになあ

つーわけで、何か起きそうで意外と何も起きない、ちょっぴりおかしくて温かい佳作。



○「オーシャン・オブ・ファイヤー」 ★★★ (04.5.20/劇場)
STORY:1890年、白人とネイティブアメリカンの間に生まれたフランクは野生馬・ヒダルゴとのコンビでいくつものレースに勝利してきた。その噂
を聞いたアラブの富豪から彼らは、砂漠を4,800キロ走破する過酷な死のレース・”オーシャン・オブ・ファイヤー”に招待され海を渡る。名馬を
擁する偉大な族長とその娘、その名馬を狙う英国の貴婦人、族長の座を狙う甥、いくつもの思惑が交差する中、地獄のレースは幕を開ける…。



馬一頭乗り換え無しで超長距離サバイバルレース、勝てば巨万の富と名声、負ければ破滅…なんて書いたらもう思い出すのは
「スティール・ボール・ラン」
なわけで。
さらに、主演「ロード・オブ・ザ・リング」三部作の中心人物・アラゴルンを演じきって大ブレイクの
ヴィゴ・モーテンセンまさに今が旬
わけで。
実にいいタイミングでの公開だったんではないかと。


中身は、なかなかレースが始まらなかったり、始まったと思ったらレースよりもドンパチがメインだったりと自然の障害が待ち受ける中の過酷
なレースの物語を期待して見に行った身としてはちょっと面食らったりして………なんか割と最近
似たような映画を見たような…。
つーわけで砂漠に待ち受ける砂嵐や流砂とか、西部劇好きのお茶目な族長との友情とか、その娘との淡い恋物語とか、悪の貴婦人の陰謀劇
とか、ネイティブアメリカン虐殺のトラウマとか、
男爵ディーノばりの鷹使いとか、話詰め込みすぎでどっちつかずな内容に
話が中途半端なためにレースの最後の三頭のデッドヒートが
盛り上がらない。つーか火事場のクソ力で決着なんて、なんて芸のない…。
族長の娘の護衛の、長身の黒人のアクションの格好良さが印象に残った。


物語はネイティブアメリカンの虐殺なんてアメリカの暗部の話も取り上げて、エンディングもそこに絡めるなど殊勝な造りをしているつもりなの
だろうが、長き伝統を持ち世界一と自負するアラブの名馬たちを、スペインから連れてきたのが野生化したアメリカの馬がまくって勝つなんて

アメリカバンザイ主義がギトギトしすぎていてそんなテーマは霞んじまっている



○「オールド・ルーキー」 ★★★ (03.2/劇場)
STORY:ジミー・モリスは野球をこよなく愛する少年だったが、父親の転勤で野球が盛んでない町に引っ越すことになり、不遇な少年時代を
過ごした。そして34歳になった彼は高校の教師をしながら野球部の顧問をしていた。しかしある日彼の肩にあったボール型の痣が熱く熱く疼き
出した!そう、彼は実は野球をするために生まれてきたアストロ超人だったのだ!!!


嘘です。すみません。

STORY:ジミー・モリスは野球をこよなく愛する少年だったが、父親の転勤で野球が盛んでない町に引っ越すことになり、不遇な少年時代を
過ごした。そして34歳になった彼は高校の教師をしながら野球部の顧問をしていた。しかし高校では校内暴力が横行し荒みきっていた。彼は
熱意をもって不良少年に接し、彼らを更生させ、わずか7年で花園ラグビー場で優勝旗を手にする。これは泣き虫先生の戦いの記録である。


嘘です。もうしません。

STORY:ジミー・モリスは野球少年だったが、父親の転勤で野球が盛んでない町に引っ越すことになり、不遇な少年時代を過ごした。そして
34歳になった彼は高校の教師をしながら野球部の顧問をしていた。教え子たちとの賭け事に負けた彼はプロテストを受験するが、なんと156キロ
の剛速球を連発し、テストに合格する。しかし、不確実な夢を取るか、妻子のために堅実な仕事を続けるか、彼は苦悩する羽目になる。



あんまり当たり障りのない映画だったので思わず妄想を書き連ねてしまったのだが、それにしてもふつーの映画だった。さすがディズニー
仕事第一で子供の夢など顧みない父親との確執、高校の野球部の教え子たちとの師弟愛、夫婦間のすれ違い、プロの世界の厳しさ、貧しい
暮らしに耐える残された家族、打者との心理戦、父親との和解………そういったものがまるで掘り下げられず広く浅く話は流れていくばかり。
まあ、悪い話ではないので、最低限度の感動は得られる。スタジアムで野球を見たくなる映画。
こんな人も出てる…つーか一塁映ってたっけ?

野球部の面々がなんか少林隊の下っ端(元チンピラたち)っぽくてちと笑えた。主人公の子供がすげえかわいくねえのは減点材料。



○「おかえり、はやぶさ」(3D) ★★★ (12.3.14/劇場)
STORY:大橋健人はエンジニア助手として小惑星探査機はやぶさに携わっている。火星探査機のぞみに携わっていた父親・伊佐夫はその失敗
の責任を取り表舞台から去り、失意の内に暮らしていた。父親のようにはならないと意気込むあまり、健人はチームの和を乱し、スタッフの奈緒子に
窘められる。幾多の困難を乗り越え満身創痍で地球へと還ってくるはやぶさを通して、健人も伊佐夫も少しずつ変わり始める…。



「はやぶさ」三兄弟の三男流石に三作目ともなるとマンネリだし有名キャストは前の作品に取られちゃってるしで、ちょっと毛色を変えねば
ならんと考えたのか
、よせばいいのに
3D化
だがしかし、これが
結構イカス大宇宙の星の海を行くはやぶさの勇姿だけで元は取れた感じ。でも+¥300はボッタクリだけどな

だがしかし、はやぶさの苦難と栄光の軌跡とそれを支えた熱き男たちの実話が素晴らしいのに、そこにオリジナルの主人公なんぞを入れる
のは蛇足
だということを、長兄の大失敗から何故学ばないのか
火星探査機のぞみのプロジェクトが失敗してさんざん叩かれて
引きこもりになってしまった父親との和解はまあそれなりに描けているが(蛇足だ
けどな)
、自己中な生意気な若者が人間的に成長していく過程が、
監督が無能なので描かれておらずいきなりいい人になってしまうのは
どうなのか
。犬猿の仲の同僚との和解もなし崩しだし。
でもまあ、人間ドラマとしては、
まるで感情移入できない長兄よりはマシだったかなあ。次兄とも切り口が異なるせいでマンネリは避けられたし。

女性キャラの出しゃばりについては比較的マシだった。その代わり子どもが出張っているが、科学たるもの子どもに夢を与えてナンボ
なので、そこはよしとする。

はやぶさが燃え尽きる様をCGで見せてしまうのはやり過ぎやっぱりこの監督は駄目だ

主人公は藤原竜也。まあいつもの通り。
ヒロインは
妖怪人間ベラ父親はライバルである次兄に主演していたというのに。
主人公と親しいガキンチョにまえだまえだ弟
プロジェクトのリーダーに大杉漣、イオンエンジンの責任者に豊原功補。あと
中村バイセコー。ところがこの下の面々となると、顔は見覚えが
あるんだが名前が出てこない無名俳優ばかり
で画面が何とも寂しい。
主人公と仲が悪い(ひがんでいる)心の狭い同僚
グループ魂の、宝の船と書いてバイト君(オーイ!)。主人公とケンカするシーンでは
スリッパで叩かれてほしかった
臼田観測所の観測員にカンニング竹山村井美樹。村井美樹を「Qさま」以外で見たのは初めてだ。この二人が最後にああなるのは何となく
予想はできるものの、
全く伏線を張らない監督はやっぱり無能



○「おくりびと」 ★★★★ (08.10.6/劇場)
STORY:失業して妻の美香と故郷の山形に帰ってきたチェリストの小林大悟。両親が残した家に住み職を探し始めた大悟は好条件の広告を
見つけるが、それは葬儀で遺体を綺麗にして棺に納める納棺師の会社だった。怪しい社長の佐々木に騙されるように仕事を始めた大悟。が、
仕事にやりがいを感じ次第に前向きになっていく。だが、世間では不浄の仕事という偏見が根強く、美香は嫌悪感を示し出ていってしまう…。



予告編を見てそこそこ気にはなったのだが、主演の本木雅弘以外はあまり気になる俳優もおらず監督も好みではなく、そうこうしている内に公開
が始まるとあまりに評判が良すぎてかえって気後れしてしまい、スルーしようかと思ったのだが、時間的に空きがありまあいいか的に観賞。


結論、観といてよかった!!!

人の死にまつわる映画である。故に容易にお涙は頂戴できてしまうのである。
が、安易にそちらだけに走らず、
ユーモアたっぷり説教少なめで温かく仕上げた良作

葬儀の場で仏様に死化粧を施し生前の姿に戻して送り出す納棺師という職業。
この作品を観るまでは寡聞にしてその存在を知らなかった(物心ついてから親しい人のちゃんとした葬式にほとんど立ち会ってないという幸運も
あり)わけだが、どうも調べると全国的な風習ではないご様子。
確かに、田舎コミュニティでないと成立しづらいまごころのお仕事だよなあ。しかし頭の古い田舎故に穢れた職業として忌まれるという矛盾
が痛し痒し。
しかしまあ、
その仕事の何と温かなことか。黄泉返ったかのような故人の顔色に生前を思い出し微笑む人あり泣く人あり。自分の葬式なんざ
死んじまった自分にはもう関係ないんだからどうでもいい
のだが、
こういうのならば悪くないなと思えてしまう
そして仕事が終われば同じ人間、女房も抱けば肉も貪り食う、という姿も微笑ましい。


主演は本木雅弘。気がつくと近作はもっぱら観ていたりして、地味に安心感があっていいなあ
ヒロインに広末涼子。世間様では大好評のこの映画、この人の演技だけはボロクソに叩かれていらっしゃいます。個人的には元ファンなので
そんなに抵抗はなかったけれども。
主人公を納棺師の世界に導く海千山千の社長に山崎努。なんだかすごく老けた気がする。
物語で最後に納棺されるのが
峰岸徹で、公開後実際にお亡くなりになってしまったのが印象的すぎる。よい旅を。



○「鬼が来た!」 ★★★ (02.10/劇場)
STORY:’45年初頭。中国のとある日本軍占領下の寒村。深夜、平凡な村人マーは謎の男に脅され二つの麻袋を預かる羽目になる。逆らえば
殺す、そして5日後に取りに来ると言い残し、男は去った。麻袋の中身は日本軍の軍曹・花屋小三郎と通訳のトンだった。「辱めを受けるくらい
なら殺せ!」とわめきたてる花屋を尻目に村人たちは困惑する。さらに、期日になっても男は現れず、村人たちの困惑は深まるばかりだった。



’00年度カンヌ映画祭グランプリ作品。中国の気鋭の監督が日本人俳優を起用して描く日中戦争末期の狂気の物語。と書くとなんや暗い話
なんか、と思われそうだが、物語はコメディチックにテンポよく展開していき、2時間20分の長尺を感じさせない。序盤、死にたがって日本語で
「殺せ!」とわめきまくる花屋の言葉を、死にたくないので「殺さないで!」と勝手に翻訳するトンの掛け合いなんかはかなり笑える。
あと中盤の伝説の処刑人


しかし終盤、話は突如暴走を始めあまりにも悲劇的な最後へと。なんとなくこうなるのでは、と予想はしていたが、あまりの救いのなさ、後味
の悪さ
に言葉なし

我らの数世代前のご先祖様たちがやっちまった黒歴史を、被害者側からまざまざと見せつけてくるこの作品。いろいろと意義はあるわけだが、
バカ映画好きが取り上げるようなネタではないのだなあ。ので、マイク水野閣下のお言葉を引用して幕ということで。
「戦争はこんな悲劇を生んでしまう。戦争は絶対に起こしてはいかん」(カメラ目線で)


役者の面では、主人公がマーティン・ロレンス似だったことはおいといて、日本から参加した香川”秀吉”照之の芸達者ぶりがお見事。そして、
そのマッスルでアレな上官役で圧倒的な存在感を見せつけたのは
キャプテン・サワダだ!カミカゼ、バンザーイ!!!



○「オペレッタ狸御殿」 ★★★★ (05.7.18/劇場)
STORY:がらさ城の暴君・安土桃山は世界一の美貌を誇っていたが、予言者のびるぜん婆々にやがてその座を息子の雨千代に奪われると
告げられ、雨千代を彼の母親と同じく霊峰・快羅須山に追放する。運良く難を逃れた雨千代は狸御殿の狸姫と出会う。一瞬で恋に落ちた一人と
一匹だったが、狸姫の乳母狸・お萩は人間は災いをもたらすとして仲を裂こうとする。さらに安土桃山の魔の手も彼らに迫りつつあった…。



戦前からの定番歌謡劇「狸御殿」豪華絢爛オールスターが歌って踊る夢の映画。そのシリーズに少年時代に胸躍らせていた鈴木清順
翁御年82歳
が積年の夢だった同シリーズをついに監督。

つーわけで単純明快勧善懲悪明朗会計念彼観音力困ったことがあっても歌って踊れば何故か解決というオペレッタもの清順翁の手
に掛かれば
………なんでしょうかこの禍々しさは?(笑)
魔界の住人である安土桃山と彼の居室、物音一つしない砂浜、満開の桜CGで降臨する故美空ひばり
………なんなんでしょうかこの
圧倒的な死臭は?(笑)

まあ清順ファンにとっては、だがそれがいい、の一言なのだが。
そして清順映画のもう一つの顔である
破天荒さ破天荒脚本家・浦沢義雄の脚本を受け素敵に炸裂徹底してチープなセットと相まって
異常な場を形成していて堪りませぬ。


若き主人公・雨千代オダギリジョー。好演だが脇が濃すぎて影が薄い
ヒロインの唐から来た狸姫
チャン・ツィイーたん。カタコト日本語は脱力。ジャパニーズ着物はあんまり似合わんねえ。
安土桃山平幹二郎。「ピストルオペラ」の時も思ったが、今ひとつオーラが足りない。
予言者・推定百歳のびるぜん婆々
由紀さおりとにかく濃ゆかった。童謡ばっか歌わせとくのが勿体ない歌唱力でヒップホップまで見事
にこなす
のには脱帽だYO!散り際も素晴らしいっつーか今作品のハイライト。
乳母狸・お萩
薬師丸ひろ子「木更津キャッツアイ 日本シリーズ」以降大事な何かを失ってしまったのか、今回も大怪演
あと、うっかり八兵衛の歌唱力に驚いた。あと、最後の眉毛のない市川美和子は本当に妖怪っぽかった
劇中特別出演して一曲披露する
東京スカパラの面々は、そういえばテアトル新宿でやってた「鈴木清順レトロスペクティブ」のテーマ曲
担当してたよなあ、と感慨に耽ってみる。


つーわけで清順ファンなら観ておくべき(とはいえ今までの映画と比べると格段に薄めの味付けだが。)だし、主役の2人も綺麗に撮れてるんで
そのファンなら観ても可なりではないかと。




○「溺れる魚」 ★★★★ (02.11/ビデオ)
STORY:容疑者を射殺して現場にあった札束を着服した白州と、女装癖があり婦警の制服を盗んでしまった秋吉、2人の不良警官は警察庁
特別監査室に弱みを握られ、挙動不審の石巻警部の内偵をすることになる。調査を進めるうち、石巻は大手フィルムメーカーの脅迫事件に
関係していることがわかる。そして事件の鍵を握るのは、若き芸術家・岡部だった。石巻は借金返済のため、岡部を恐喝しようとするが…。



話の本筋だけでなく、妙な脇道もやたら饒舌な戸梶圭太の原作は、やはり妙なところにこだわって仕掛けを仕込む堤監督とよく合う気が
する。


主人公のはみだし刑事コンビを演じるは椎名桔平と窪塚洋介
シーナキッペーは
宍戸錠マニアのアバウトな刑事を好演。二枚目役よりもこれとか「アンティーク」とかみたいに二枚目半役の方が輝いている気
がする。
一方窪塚は女装マニアの優しい青年。相方にオカマと言われると怒るくせにホモイベントでは張り切っているあたり笑える。
二人の上司になるのが仲間由紀恵。「トリック」には及ばないものの、怪演。
フロッピー飛ばしには大爆笑。
さらに事件の鍵を握る重要人物がIZAM。コイツの顔がつんくむしろ上沼恵美子相談員に見えてしまうともう全て台無しなので要注意。
そして渡辺謙や野際陽子や白竜といった渋い俳優陣も、皆バカな役で大活躍。


後半、新宿のオープンカフェを舞台に、主人公たち、岡部、石巻、企業が雇ったヤクザ、まるで事件とは関係のない新興宗教の教祖、まるで
事件とは関係のない宍戸錠
が入り乱れての銃撃戦から先のノンストップスラプスティックアクションは大爆笑!



○「陰明師」 ★★ (03.10.24/ビデオ)
STORY:まだ人と人外のものが共存していた平安時代。帝に仕える気のいい若者・源博雅は名うての陰明師・安倍晴明とひょんなことで知り
合い、意気投合する。時を同じくして、生まれたばかりの帝の世継ぎが、強力な陰明師・道尊に”呪”を掛けられるという事件が発生するが、晴明
の活躍で難を逃れる。追い詰められた道尊は祟り神と化した早良親王の墓を暴きその力を得、逆襲を開始するが…。



大人気原作をベースに有名監督が豪華キャストを用いて予算たっぷりに作った大作邦画!しかもCGバリバリ使用!!!
なんてぇものが面白いなんて奇跡はそうそうない
よなあ…。オイラ、何を勘違いして見ちまったのか…。確かに、レンタルビデオの入荷から
半年くらいの異常なまでの人気はすごかったけど。


ベテラン・滝田監督とその他スタッフの手による作品は話もCGもキャストもユルユル。(邦画の水準ともいう)
つーかオイラ、クライマックスの一番いい所
青音が己れの命を博雅に与え、生き返った博雅と晴明が道尊との最後の闘いに挑む)で寝ちまい
ましたよ
。ふと気がつくとエンドロールで晴明が踊ってた…。

この作品の最大の妙は、主役を演じた野村萬斎。その妖しい存在感は(良くも悪くも)強力。
その友となる好青年役に伊藤英明。ユルさ加減が作品にマッチしていて好感が持てたが、最後の闘いまでユルユルなのには参った。
敵役は真田広之が仰々しく好演。
その他、元SPEEDの
今井絵理子すさまじい演技力で(悪くも悪くも)強い印象を残す。いやあ、彼女が映っている場面の、いつしゃべるか
いつしゃべるかというドキドキ感といったら…(笑)
あと、宝生舞くさったしたい役で出演。これが”富江”女優の末路なのか…?