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映画感想ま行



○「舞妓Haaaan!!!」 ★★★ (07.6.26/劇場)
STORY:京都への修学旅行で偶然舞妓に出会い、その魅力に参ってしまった鬼塚公彦。長年の念願叶って京都支社に転勤となった公彦は
彼女・富士子を捨てて憧れの地へ。そこで馬車馬のように働き、お座敷デビューに足るステータスを手に入れた公彦。しかしその記念すべき日
に途中で横槍を入れたのは、プロ野球選手の内藤だった。一方、富士子は公彦を見返すために京都に向かい、舞妓に弟子入りするが…。



日本が誇る名バイプレイヤー・阿部サダヲ初主演作脚本は盟友・宮藤官九郎

つーわけで全編に渡り阿部サダヲのハイテンション演技が炸裂し続けるので、そういうのを期待する人にとっては満腹の出来映え。
そうでない人にはつらいし、好きな人でも正直胃にもたれる感があるけれど。


知られざる舞妓の世界・システムを簡単に説明していて面白いのだが、個人的に舞妓はんには興味ないので加点の手助けにはならず。

柴咲コウは相変わらずかわええ。白塗りでもかわええ。しかしまたこんなイロモノ映画に出ちゃって…。
植木等の遺作。客演をしている辺り、「無責任男」へのオマンジュウオマージュ的なものがあったのかな
Mr.オクレが元気そうでなにより。




○「マイティ・ソー」 ★★★ (11.7.28/劇場)
STORY:神々の世界・アスガルドの王・オーディンの息子である雷神・ソーは神々随一の力を持っていた。戴冠式の日、ソーは宝物を狙ってきた
ヨトゥンヘイムの氷の巨人に報復するが、その驕慢さがオーディンの怒りを買い、神の力を失い人間界に追放される。天文学者・ジェーンに助け
られたソーは一緒に落ちてきた雷神の槌・ムジョルニアを探す。一方、アスガルドでは王の座を狙いソーの弟・ロキが暗躍していた…。



まーべる・しねまてぃっく・ゆにばーす作品第4弾だそうで。意外にも過去作は1本も観てなかったり。

雷神・ソーさんが主役。北欧神話の神々で、トールと言った方が通るかな?(木亥火暴)木曜日の語源だの。
でもオイラにとってソーと言うたら
「あほ拳ジャッキー」のブルース・ソーなのである。ソーなんです

閑話休題。原作未見だが、wikiで調べたら全然別物になってるっぽいのね。原作レイプは世界共通なのか
まあストーリーなんて二の次という系統の作品なので、ソーを始めとする神々の暴れっぷりを楽しむ作品。
意外にみんな弱いけど。特にソーの
お友だち連中(浅野忠信含む)。
ただ、天下無敵の得物・ムジョルニア(=トールハンマーだの)を手にした
ソーさんの無双っぷりはなかなかのものだった。

異世界へのゲートの番人の格好が仮面ライダークウガみたいだった。

ヒロインはナタリー・ポートマンって、何やってんすか?ちなみに仲間のメガネっ娘の方が断然好みだ。
ちゃんと左目が潰れているオーディンにアンソニー・ホプキンス
あんたも何やってんすか?
最近猿だか人だかわからない風貌になってきたが、今回はちゃんと人間に見えた。とんでもねー、私ゃ神様だよ。
ハリウッドデビューの
浅野忠信は当然チョイ役。あれー予告編では大活躍の予感しかしなかったんだけどなー。(棒読み)
本当にあんたも何やってんすか?よりにもよってこんな演技しない人にオファーするとは…。



○「マイ・ボディガード」 ★★★ (05.1.26/劇場)
STORY:クリーシーは長年、軍の特殊部隊で戦い続け、今では疲れ果て、酒に溺れる日々を送っていた。そんな彼にあてがわれた仕事は、
メキシコシティのある社長の一人娘の警護だった。9歳の少女・ピタの無垢な好意に触れ、少しずつ心癒されていくクリービー。だが、犯罪組織
の襲撃を受け、ピタは誘拐され殺されてしまう。彼女を救えなかったクリーシーは、組織を壊滅すべく独り復讐の炎に身を焦がし立ち上がる…。



公式サイトなんかを見ると、「愛する人を守りたい−せつない願いが日本中を感動で包む!とか、「『レオン』から10年、お正月最高の
感動作
とか書いてあるわけだが、例によって例の如く嘘広告なんで
m@stervisionさんのサイトによると、この邦題は配給の松竹
マイ・ライフ」、「マイ・フレンド・フォーエバー」、「マイ・ルーム」、「マイ
フレンド・メモリー」に続く
感動もの路線の「マイ〜」シリーズ最新作として売り出すべく付けた
らしいのだが、んな無茶な!
監督が一緒なだけで設定も原題もまるで違う「プリティ〜」シリーズ
とかよりも無理がある。
まあ世の中、設定も原題もまるで違うのに、
主演が同じで話も同じようなものなんでまるで違和感ない「沈黙の〜」シリーズとかもある
なあ。


まあ前半は確かに感動ものと言えなくない。デンゼルさん演じる過去に傷を持つ廃人さんがダコタ・ファニングたん演じる無垢な少女とのふれ
合いの中でつかの間の再生をする様、二人の名演技は見所である。


が、少女が誘拐・殺害されてデンゼルさん怒り爆発の後半は、犯人グループの一人捕まえて拷問して別な犯人の居場所聞き出してから
殺して
犯人グループの一人捕まえて拷問して別な犯人の居場所聞き出してから殺して繰り返しで、指一本ずつ切り落としたりディスコ
爆破したり「怪しい者ではない」とミサイルランチャー構えて住居不法侵入したり
ケツの穴に時限爆弾詰め込んで爆殺したり凄惨な
展開
なので素人にはオススメできない。
しかも凄惨なだけであまり盛り上がらない
つーかもしこれが我らが
スティーブン・セガール先生が主演だったらもっと明朗活発に犯人どもをバッタバッタと皆殺しにしていく痛快
アクション
になっただろうて
。その代わり前半台無し。

監督はトニー・スコット変なエフェクトばかりかけやがって見づらいことこの上ない。んでこの内容で2時間半は長い。もっと切れるだろ。
つーかもしこれが我らが
スティーブン・セガール先生が主演だったらもっと単刀直入に犯人どもをズバリズバリと皆殺しにしていく痛快
アクション
になって90分でまとまって日曜洋画劇場向きになっただろうて
。その代わり単館上映になって興行収入ガタ落ち。

主演はデンゼル・ワシントン。渋く良い演技をしている。後半の似合わない七変化もある意味見物か。特に若作りしてディスコに乗り込む
辺り。
ヒロインに
ダコタ・ファニングたん。10歳とは思えない名演技を披露。つーか水着姿もあるんでロリ野郎は見逃すな!!!



○「マイマイ新子と千年の魔法」 ★★★★ (10.1.18/劇場)
STORY:戦後間もない山口県防府市国衙。青木新子は、元教師の祖父に、千年前にこの地にあった都の話を聞かされ、その姿を生き生きと
想像することができる元気な小学3年生。東京から転校してきた貴伊子と仲良くなった新子は千年前に京からこの地にやってきたお姫様・諾子
の暮らしに思いを馳せる。貴伊子やクールなタツヨシたちと毎日を楽しく過ごす新子だが、ある日皆で飼っていた金魚が死んでしまい…。



少年の夢は生きている 幾年すぎても生きている
橋を渡り山を越えて海に出会っても 深く深く胸に生きている


芥川賞作家・高樹のぶ子の自伝的小説ジブリ出身の片渕須直監督マッドハウスと組んでアニメ化した作品。
元々地味な作品であるのにも関わらずプロモーションに失敗してしまい地味に公開開始。当然興行的にはコケてしまったものの、地味
口コミで話題が広がり地味にブームが巻き起こり都内でアンコール上映が決定するなど、地味に盛り上がりをみせた佳作。


主人公の新子(しんこ)はマイマイ(つむじ)が額にあるために前髪がハネてしまうのを気にする元気な小学3年生。要するにアホ毛が前髪に
ある
もんだと思ってもらえればよろしい。
特技として、祖父から聞かされた
千年前の国衙の姿を想像することができる人それを妄想と呼ぶが。
しかし、千年前のお姫様が遊び相手がいると聞いて喜んでやって来たのに、同年代のその子は急死してしまっていて遊び相手がいなくて
ションボリなんて設定は妄想とは思えないので、やはり
ムーディー・ブルースを使っているのだろう。
千年前の製鉄を営む人たちが流星を追ってこの地にたどり着き、暮らし始めたなんてロマンチックが止まらなすぎる。


麦畑の中を潜行し都会からやって来た貴伊子のオサレな社宅で牛乳を飲みガキ大将たちと小川を堰き止め秘密基地を作りダンジョンを
探索し千年の昔とシンクロし、日々を全力で楽しく暮らしている新子


そんな新子たちに突如訪れる現実の厳しい洗礼千年の魔法も失われたかに思えたその夜に起きた小さな奇跡

むーん、素敵映画なのだが、どこがそう素敵だったのかというのを言葉にしづらい困った映画なのだな。
見事に
ノスタルジックで、子ども向けというよりはおっさんホイホイな作品。でも子どもにも、こんな時代もあった(それは戦後まもなくでも
あるし平安時代でもある)し、
時代が変わってもなくしてはならないことがあるんだよ、と見せてあげたい作品でもある。

でもクライマックスの辺りが少し言葉足らずで、あれあれあれれという間に終わってしまうのがちと難
現実世界の”仇討ち”の話は子ども視点だからか真実は明かされないまま流されてしまう(ひづる先生の結婚の真相も)し、貴伊子と千年の
魔法とのシンクロ
何故そうなって結局どうなったのかもあやふやで。


それでもマッドハウスの入魂の作画の力もあり、なんとも愛おしい作品に仕上がっている。新子のスタンド発動でうにょうにょ現れる千年前の
姿とか、アニメならではの魅力よのう。
そして、新子も貴伊子も諾子も千古もひづる先生も新子母も、
おにゃのこみんなかわええし。(重要)

新子の声優は「L change the world」、「ヘブンズ・ドア」などでヒロインを演じた太い眉毛がかわええ福田麻由子嬢小学生役なので
適度に棒でも気にならない
こともあり、なかなかにいい感じ。むしろ豪快な演技でよろしい
他も基本素人声優なのにさして気にもならなかったのだが、新子の祖父役の中の人だけ声に張りがなくて非常に聞きづらく、
どこの素人
だよ?と思って調べたら
プロだったのでガックシ



○「マクロス・プラス MOVIE EDITION」 ★★★ (02.3/ビデオ)
STORY:2040年、惑星エデンに新型バルキリーのテストパイロットとして赴任したイサムは、ライバル機のパイロットのガルドとヴァーチャル
アイドル・シャロンのプロデユーサーのミュンと再会する。かつて三人は親友だったが、ある事件のせいでバラバラになっていたのだ。最新鋭
機と戦うために地球へ向かったイサムと彼を追うガルドは、シャロンが暴走してミュンを捕らえたことを知る。最終決戦の場はマクロス・シティ。



「スパロボα」をやっていた当時に原作を見ようと思っていたのに何故か見たのはその1年半後だったという。
メカ・アイドル・恋愛というマクロス三種の神器はしっかり揃っているが、監督・脚本・音楽と、後の「カウボーイ・ビバップ」スタッフを中心と
した面々が作成している
ためか、初代や「7」よりもちょっとは大人の雰囲気。主に
ガルドがおっさんくさいせいかもしれんが。

「α」で最強ユニットの一角だったために期待していたYF−19の活躍は、比較対象が少ないためにそれほどすごいとは思えず。ピンポイント・
バリア・パンチなんかも、ボケッとして見ていたら気づかないんじゃないかという地味さで。まあ、派手派手ではなかったが、十分にかっこよく、
面白かった。技術で負けていても気合とド根性で挽回という漢らしさ
それにしても、外せばパイロットが死に至るのに解除できるリミッターがわざわざ付いているのは、やはり劇中のようにバンザイアタックを
想定してのこと
なのだろうか?


シャロンがもっと萌え萌えアイドルだったら★1つ追加だったのだが(笑)



○「ザ・マジックアワー」 ★★★★★ (08.7.4/劇場)
STORY:港町・守加護のギャングのボス・天塩の愛人に手を出してた下っ端の備後は、助命の条件として伝説の殺し屋・デラ富樫を連れてくる
ことに。期限が迫り焦る備後は、売れない俳優・村田を映画撮影と騙して町に連れ込み、デラ富樫を演じさせる。主役と聞かされノリノリで伝説の
殺し屋を演じる村田にすっかり騙された天塩は彼を用心棒として雇い入れてしまい、備後はいつ彼が贋者だとバレるかとヤキモキすることに…。



三谷幸喜監督作品第4作
公開前・直後の宣伝攻勢があまりにあざとすぎて閉口。どうにもよろしくない印象で公開してしばらくしてから観に行ったのだが…。
いつも通りの三谷コメディで楽しめた!
どうにもこのノリというか作風というか、は個人的に波長が合うもんで、作中作で黒い101人の女がワラワラと中井貴一を追いかける辺り
から終始ニヤニヤしっぱなし
いや確かに長いし
ラストはいくらなんでも強引すぎるとは思うのだが、居心地のいい空気といい人ばかりの登場人物たちに慎んで満点を
進呈。
一番の笑い所は
村田と天塩の初顔合わせのシーンだと思うのだが、ここが物語の中盤より前で、それ以降それ以上の山場がないいうのは
ちょっと問題。


主人公の売れない俳優を演じるは佐藤浩市で、大熱演。日頃は名優故にそのギャップが楽しい。
その他のキラ星の如きキャスティングも的を射ていて流石の一言
深津絵里はファムファタールとしてはイマイチだったが、個人的に顔立ちが好かなかった
綾瀬はるかは株大幅アップ。いや、単にワイシャツ・
ネクタイのおにゃのこに滅法弱いだけ
なんですけど。




○「マシニスト」 ★★★ (05.2.13/劇場)
STORY:工場で働くトレバーは、極度の不眠症ですでに一年も眠っていなかった。体調は至って普通だが、体は極限までやせ衰えていた。
そんなある日、彼は自宅で覚えのない不振なメモを発見する。それと前後して彼の周りに次々と怪現象が起き始める。職場の機械の誤作動で命
を奪われかけたトレバーは謎の同僚のアイバンが黒幕だと読み、彼を追跡するが、その果てには不眠にまつわる驚愕の真実が待っていた…。



「太陽の帝国」、「アメリカン・サイコ」の………否!「リベリオン」「サラマンダー」クリスチャン・ベール主演のサイコスリラー
「リベリオン」では近未来無双な”ガン=カタ”使いを演じ、「バットマン」主演を控えるクリスチャン・ベール先生が、
自分で30kgも減量して
熱演

本当は少しは痩せてもらうが後は
CGでまかなう予定だったのが、ベール先生頑張って痩せすぎちゃいました!この役者バカ!しかも
こんなアレな映画で
…。orz


話としては主人公が謎の理由で眠れず苦悶してどんどんやつれていく様を描くのかと思ったら、いきなりガリガリ君眠れず苦悶する
様子も肉が落ち目がくぼみ頬がこけ人体が朽ちていく様子もほとんどなしで少し拍子抜け


では肝のサイコスリラーな物語はどうなのかと言われれば、ぶっちゃけありきたりで、おかしいのは主人公の方だというのが見え見えなので
まるでさっぱりちゃんちゃら盛り上がらない。
キャストも華がないし、じゃあ何が見所なのかと言えば、ベール先生の骨浮き出まくりのキャシャリンな肉体を見て、
「うへえ」とか「ほわぁ」
とか奇声を上げる
のが正しいかと
こんな骨と皮だけでも人は生きていけるのかと、そればっかりは必見か。



○「マチェーテ」 ★★★★ (11.3.2/劇場)
STORY:メキシコの連邦捜査官・マチェーテは麻薬王・トーレスを追うが返り討ちに遭い妻子を殺される。3年後、辛くも生き延びた
彼はテキサス州に不法移民していた。ブースという男から不法移民への弾圧強化を主張する議員の暗殺を無理矢理押しつけられた
マチェーテだが、それは狂言で口封じのため命を狙われることに。逆襲に転じるマチェーテだが、ブースの背後にはトーレスがいた…。



タランティーノとロドリゲスが組んだお遊び企画「グラインドハウス」公開時、嘘予告として流れた数分の映像が本当に長編映画と
なって登場

世の中何が起こるかわからない
だって、
主演があのダニー・トレホですよ?確かにロドリゲス映画の常連だけれども、大概すぐ死ぬ役の汚えロン毛のおっさん
ですよ?
そんな汚えロン毛オヤジがまさかの主役!殺しても死なないタフガイ!しかも美女にモテモテ!
いやはや世の中何が起こるかわからない

まあロドリゲス監督作品なので非常に頭の悪い作り(褒め言葉)安心して楽しめた。流石に「プラネット・テラー」ほどははっちゃけて
いなかったが、それに近いテイストはあったかな。


マチェーテさんも華麗なマチェーテ(なた)捌きを見せたりガトリング砲を装備したバイクで華麗にジャンプしたり芝刈り機で三下を
いちびったり
大暴れ。
病院の窓からの脱出劇には拍手喝采。よくあんなもん思いついた。

だがまあ、汚えロン毛オヤジよりも眼福なのは美女軍団の活躍
ヒロインの
ジェシカ・アルバがすげえかわええ。それだけにラストはある意味悪夢。ダニー・トレホは一生分の運をあそこで使い切った
と思う

終盤そのヒロインを
再登場シーンだけで完全に食ってしまったのが女闘士役のミシェル・ロドリゲスうわ、カッチョエエ
リンジー・ローハン脳みそ空っぽのビッチ役を好演。
他にも
殺人ナース軍団とか印象深い。

物語の鍵を握らないでもないタカ派の議員にロバート・デ・ニーロって、何やってんすか!

そして恐るべきことに、かつてマチェーテを死地に追いやったラスボスにして麻薬王・トーレススティーブン・セガール
数々の(主にB級)映画で主役を務め、
不敗伝説を誇るあのセガールである。(「エグゼクティブ・デシジョン」では途中退場したが、
あれは空中で飛行機に乗り移るのに失敗しただけなので
上空1万メートルから地面に叩きつけられたくらいではたぶん死なない
だろうから無問題。)
そんな無敵の男vsいつもすぐ死ぬ端役の男、なのだから、いくら主演映画だとしてもダニー・トレホが勝っちゃいけないと思うの
よね
。その辺で★1つ減点。(まあ
セガールだから切腹したくらいじゃ死なないような気もするが。)

つーわけで難しいこと考えずにバカアクションを楽しみたいならオススメの1本。


○「マッスルヒート」 ★★★ (02.11/劇場)
STORY:2009年、長引く不況と、大陸から流れてきた、人の潜在能力を引き出すものの中毒性の高い新型麻薬・ブラッドヒートの蔓延で日本
は崩壊しかけていた。ブラッドヒートの流通ルートを追っていた刑事・ジョーと桂木は、黒幕・黎建仁を追い詰めるが失敗。桂木は囚われの身と
なってしまう。友を救うためにジョーは建仁の城である地下コロシアム・マッスルドームに、罠と知りつつも乗り込んでいく。



スポンサーがTokyoBroadcastingSystem。あー、TBSってこれの略語だったのか。積年の謎が一つ解けた。さておき、あの「筋肉番付」の
TBS
とケイン・コスギが送るといえば容易に想像できる、
全編マッスルまたマッスルなアクション映画
出演陣は本格的映画初主演となるケイン・コスギは別にいいとして、その
漢気あふれる相棒に哀川翔、文武両道に秀でた漢気あふれる敵の
ボスに加藤雅也
と、漢気充満の二大俳優が共演。
他には、冒頭でプロレスラーのブタ本もとい橋本真也を軽〜く抹殺し(ざまをみ!)、翔兄ィをもボコるケインの最大のライバルであるブラッド
ヒートジャンキーの地下闘技場の戦士にジャッキー・チェン映画の悪役常連さん(でもあんまり強そうに見えない。)。あとガオレッドが若い頃の
小室哲哉みてえな髪型
で出演。


見所は、ひたすらアクションアクションアクション!翔兄ィの盟友・小沢”SCORE”仁志ばりのスローモーション横っ飛び二丁拳銃に燃えよ!
(さらに翔兄ィは終盤これまた小沢”SCORE”仁志ばりに
ゾンビ状態で復活・大暴れ!)つーか翔兄ィをこの映画にキャスティングした人は絶対
「DOA FINAL」見てやがるな

そしてやたら花言葉に詳しい雅也兄ィの美しい飛び蹴りに息を飲め!
…あ、そうそうケインもマッスルに大健闘している。
これで日本語ちゃんとしゃべれれば無問題なのだが

とまあ、それなりに楽しい映画なのだが、話もアクションもまるで新しさがないことと、話の展開がすげえ下手くそなのが大いに残念。ケインと翔
兄ィや”ドブネズミ”たちの友情や交流なんかがまるで語られてのに話がそう進むか!と見ていてもどかしくなったり。
まあこの監督、前に撮ったのが大変につまらないと巷で大評判の「弟切草」なんで、十分頑張ったとでも言っておこう。
しかし「ストリート・オブ・ファイア」っぽいハンマー合戦から始まるラストバトルが何気に途中からダイジェストなのはどうかと。




○「マッチスティック・メン」 ★★★★ (03.10.13/劇場)
STORY:ロイは腕利きの自称”詐欺アーティスト”だが、極度の潔癖症が悩みの種。相棒のフランクに紹介された医師のカウンセリングを受け、
生き別れた14歳の娘・アンジェラと会うことに。親交を深めていく二人だが、ロイの仕事がアンジェラにバレてしまう。親バカでせがまれるままに
詐欺のテクニックを教えてしまうロイ。するとアンジェラは見事にそれをやってのける。そんな折り、フランクがビッグな仕事を持ち込んできて…。



「グラディエイター」、「ブラックホーク・ダウン」、「ハンニバル」と大作続きのリドリー・スコットの最新作はCGも駆使しなければ濃霧を立ちこめも
させない
監督らしさをさして感じさせない小品
。だが、なかなか小粋な良作

主演はニコラス・ケイジ純情派。相変わらず大真面目な役でもなんともいえない味を見せるその素敵な風貌変人役を大熱演
終始
「んふ(はあと)」とか「う〜」とか「あ〜」とか唸りまくるたまらない挙動不審っぷりで笑いを誘う。
こうなると、一人二役を演じる上に仕事で悩んだ挙げ句
ついついオナニーに励んでしまうダメおっさん役を熱演しているという最近作
「アダプテーション」も見たくなっちまうなあ。

その娘を演じるアリソン・ローマンがよい。パッと見なかなかの美少女だがよく見るとあんまりかわいくねえなあ。(外人には点が辛い男)で、
演技力も素晴らしく、作品の完成度を著しく高めている。日本版を作るとしたら鈴木杏かな。


以上二点だけでも十分見る価値はあるのだが、加えて脚本の出来もよく最後にどんでん返しが鮮やかに決まる。(そしてその後のほろ苦く
もハッピーエンドなエピローグもよい)
しかし、事前にそこがウリだと聞いて見に行ったので、作中で語られることをハナから疑っていった結果、予想通りになってしまって残念
なのでこれから見に行く人はどんでん返しのことなど忘れて怪しいニコラス・ケイジ(小さく三回開閉しないとドアを開けられない男)目当てで行く
と吉。


最後に一つ気にくわなかったことを書くと、ロイが偏執的な潔癖症なのにタバコをブカブカふかすのが気にくわない。ほんの少しのカーペット
の汚れさえ許せない男なのに自ら進んで灰を飛ばすか?部屋の空気を汚すか?家具類を綺麗に磨き上げるけれど、すぐにヤニで黄ばむぞ?
(まあ、これは彼の病気が
薬が必要な本物ではなくただの思い込みでしかないということを暗に示しているのかもしれないが)



○「マッハ!」 ★★★★ (04.7.24/劇場)
STORY:タイの寒村の仏像の頭が窃盗団に奪われた。守り神を失い悲嘆に沈む村人たちのため、ムエタイを極めた若者・ティンが探索に旅
立つ。バンコクに着いたティンは、知り合った仲間たちの力を借り、仏像が悪徳ブローカー・コム・タンの元にあることを突き止める。彼の主催
する闇闘技場に出場する羽目になったティンは連戦連勝し、さらにコム・タンの悪事を暴いてしまう。コム・タンは仲間をさらい報復に出るが…。



一、CGを使いません 
二、ワイヤーを使いません 
三、スタントマンを使いません 
四、早回しを使いません 
五、
最強の格闘技ムエタイを使います


という宣伝文句が勇ましすぎる、タイからやって来た超絶ガチ格闘巨編

主演を務めるトニー・チャー(「映画秘宝」式表記)はスタントマン上がりで、この映画のため長年に渡る修行で古式ムエタイ戦場で用いること
を想定したヒジ・ヒザを多用した
殺人術)を身につけた男。決して二枚目ではないが、そのガチンコアクションの壮絶さに刮目せよ!

物語中盤の、入り組んだ繁華街の狭い路地を縦横無尽に駆けめぐる往年のジャッキー映画を彷彿とさせるアクションシーンや、バンコク
名物のトゥクトゥク(3輪タクシー)での
無意味にド派手なカーチェイスシーンなどもかなりの見所だが、勿論最大の見所は格闘シーンである。
突きが!蹴りが!肘が!全体重を乗せた飛び膝が!悪漢どもに炸裂!炸裂!炸裂!

撮影中に何人か死んでるんじゃねえかと心配になる
くらいのド迫力アクションに魂は震えまくりだ!
見終わった後はその辺の人の脳天に無闇にヒジ打ちを落としたくなる
こと間違いなしなんで注意!

とまあアクションは文句無し!!!!!!!!
なのだが、序盤ストーリーがチンタラしているのと最後が少し湿っぽいのと宗教に対する価値観の違いで惜しくも満点ならず。
たかだか作って24年しか経ってない仏像を何故にそんなに熱心に拝むのだばーさんよ。仏像が守ってくれるから暮らしていけるって、あんた
その何倍かの歳月をくたばらずに五体満足に暮らしてきているじゃないか。




○「マッハ!弐」 ★★★★ (10.1.25/劇場)
STORY:15世紀、タイ東部。国王である父と母を家臣の裏切りで殺されたティンは逃亡中に山賊”ガルーダの翼峰”に拾われる。山賊の
頭目・チューナンや武術の達人たちの元で修行に明け暮れたティンは、やがて屈強な戦士に成長する。チューナンは自分の跡目をティンに
譲ろうとするが、ティンはその前に果たすべきことがあった。それは両親の復讐。単身敵の居城に乗り込んだティンの修羅の死闘が始まる…。



「マッハ!」「トム・ヤム・クン!」のガチファイトで世界を震撼させたトニー・チャー(「映画秘宝」的表記)が三度暴れるアクション巨編
にして「マッハ!」のパート2の名を冠する作品。
とはいえ、続編ではないっつーか舞台は遙か昔、中世だし。


監督も今までのパンナー・リットグライから主演兼任のトニー・チャーに交代………したものの、まあいろいろあったらしく、最終的には
二人で共同監督。
ただ、主導権がトニー・チャーに移った影響か、今までの作品以上に戦闘また戦闘でドラマパートがより希薄になっているのでダレずに
観ることができる。
さらに、現代劇ではなく時代劇となったので、素手でも強いトニーさんが武器を持って
まさに鬼に金棒敵を殺して殺して殺しまくって
おり
、バイオレンス感も倍増


つーわけで、見所はムエタイだけでなく酔拳蛇拳蟷螂拳手裏剣煙幕だと戦闘術の幅を広げたトニーさんの縦横
無尽獅子奮迅の暴れっぷり

流石トニーさん武器を取っても超一流。キレキレの殺陣を見せてくれまする。縄付きの手裏剣=
縄標を使ったトリッキーな戦いや刀だけで
なく鞘も駆使して斬るわ殴るわのファイト
が印象的。「チョコレート・ファイター」でもジージャーたんが鞘で敵をフルボッコしてたし、日本
とは使い方が違うのね。


反面、現代劇ではなくなったせいで、前二作の大きな見所の一つだった市街地でのファイトがなくなったのはちょっと寂しいが、代わりに
爆走する象軍団の背中を八艘飛びとか、象の股ぐらをくぐって追いかけっことか象の牙から頭を駆け上ってのサマーソルトキックだとか、
象を使ってのアクションが何故か豊富


とまあ、アクションに関しては大満足なのだが………オチが………。
いきなり
2010年度そのオチはねーだろ映画大賞の最有力候補だわさ。



○「マトリックス」 ★★★★ (03.6/DVD)
STORY:昼はダメ社会人で夜は天才ハッカーのネオは、謎の男・モーフィアスと謎の美女・トリニティと出会い、世界の真実を知らされる。彼ら
が現実だと思っていたのは仮想世界”マトリックス”で、本当の世界は人工知能に支配されていて、人類は生体電池として培養されていたのだ。
そして、人類を救う救世主だと予言されていたと告げられ当惑するネオだが、戦いの中で次第にその秘められた能力を解放していく…。



すんません今頃見ました。
公開当時は映画にあまり興味なかったし、DVDが出た後も「結局予告編で流したカット以上に盛り上がるところはない」とか言われてしまうと
どうにも食指が伸びないしで、今に至ると。


その間にいろいろバッタもんまがいもんをたくさん見てしまったので今さら最先端VFXを駆使したアクション演出について語るのは無理無駄
なのでパス。強いて書くなら、どうにもキアヌたちの功夫は重みがない気がした。しまくった。
が、全体的にはやっぱりすごい出来で、もっと早く見とけばよかった。


話は、「このろくでもない現実は実は夢で、本物の現実は他にあるんだ!」というSF的にはありがちなネタなれど、起きてみたら現実はもっと
ひどかった
、というのが黒くて好き。そりゃあ仲間を売ってでも仮想現実に戻りたくもなるわさ。


見る前の印象よりもはるかに虫虫していてビビッた。
見る前の印象よりもはるかにモーフィアスがグラサンをかけてなくてつぶらな瞳を見せまくっていてビビッた。




○「マトリックス リローデッド」 ★★★★ (03.6.15/劇場)
STORY:救世主として覚醒したネオの元、人類は仲間を増やしつつあったが、機械側は拠点・ザイオンに大兵力を送り込み殲滅戦に出た。
愛するトリニティの死を予知する夢に悩むネオは”予言者”から予言を託されるが、復讐鬼と化したエージェント・スミスの襲撃を受ける。予言を
信じるモーフィアスは、”マトリックス”の中枢に入り込み戦争を終わらせる作戦を決行する。単身そこまでたどり着いたネオを待っていたのは…。



「マトリックス」三部作の二作目で、言うなれば「帝国の逆襲」
4年ぶりの新作なれど、ネオ・トリニティ・モーフィアス・スミスとメインメンバーは前作と同じ顔合わせなのがうれしいっつーかタンクいねえ!


前作で愛する者の口づけなんてベタな方法で救世主として覚醒したネオの能力は跳ね上がって、ついには空まで飛んでしまったわけだが、
それ故に今作での戦いはエスカレート!
バカアクション大爆発!!!
対するエージエント・スミスは戦闘力では劣るものの、コピー能力を身につけて質より量の人海戦術で勝負。
つーわけでネオとスミスの戦闘
「ドキッ!エージェント・スミスだらけの格闘大会」とでも言うべき一大バカ
アクション
となっていて、
景気よくスミスさんが吹き飛ばされまくりでここだけで元は取れたという感じ。いやあ、笑った。

しかし、ネオがモーレツに強い(あんな勢いで空を爆走してしまえるし)のだから、中盤の護衛たちとの武器アクションはもうちょっと短く一方的に
殺っちまってもよかったのではと。つーか次回作ではぜひ
かめはめ波の一つや二つ撃ってほしい

わざわざ高速道路を作ってまで撮ったカーチェイスシーンもド派手に車が爆発炎上しまくりで素敵だ!モーフィアスの日本刀アクション
イカス!


とまあ、アクションシーンはネオがまんまスーパーマンのポーズで空を飛ぶところまで含めて大満足の出来。さすが本家!

…ああ、ストーリー?いや別にそんなん期待して見に行ったわけじゃないし。
つーか完結してないのでまだ語るべきではないかなと。でも無駄なシーン結構あったなあ。ネオとトリニティのHシーン長過ぎ
実は
予言などすべては人工知能の描いたシナリオ通りで人類は手の平の上で踊らされているのではないか?と見る前に予想していたら珍しく大
当たりだった。ひゃっほう。




○「マトリックス・レボリューションズ」 ★★★ (03.11.7/劇場)
STORY:予定調和の救世主としての存在意義に悩むネオが選んだ決意は、救世主の使命を果たし戦いを終わらせることだった。マシン大
軍団侵攻阻止のためザイオンに向かうモーフィアス・ナイロビらと別れたネオはトリニティと共に地上を目指す。一方、マトリックス内では強大な力
を身につけたスミスの暴走が進んでいた。現実世界にまでも干渉を始めたスミスの奇襲でネオは両目を潰されてしまう…。



「マトリックス」三部作完結編。

「マトリックス」という作品があれだけヒットしたのはアクションの斬新さ・スタイリッシュさが主たる理由だと思う。ストーリーはその味付け程度で。
ところが「リローデッド」ではそのストーリー部分が肥大化し、そんなん見に来たのではない一般大衆からブーイングを浴びる始末。それでも
肝心のアクションは、ストーリーをねじ伏せて輝くパワーがあった。(、ストーリーの流れで主人公ネオが超人化してしまったために空飛んだり
ド派手にならざるを得なくなり、やはり前作のスタイリッシュさを求めていた一般大衆の一部からはブーイングを浴びる始末だったが)


さて今作は、といえば、ついにストーリーのダメさ加減がアクションの良さを上回ってしまい、トホホなイメージに。
アクション単体で見れば、
「スターシップ・トゥルーパーズ」を思い出すザイオン防衛戦(ミフネ艦長に敬礼!)、そして、かめはめ波を出さ
ないのが口惜しい
ネオとスミスの「ドラゴンボール」な最終決戦と、なかなかに見応えがあったのだが…。

兎にも角にもストーリーがなあ…。
謎についてはろくすっぽ説明してないし主要キャラの転がし方はイケてないし目的はズレちまったし…。
男二人のボンクラぶりはともかく、トリニティのあの
殺し方はどうなのか?これだったら別に「リローデッド」のラストで殺してても構わないじゃん。
ネオの願いで
平和が訪れたと言っても、ただマシン軍が引き上げただけで、じゃあ人類は今後生体電池にされている他の同胞を諦めて
ザイオンで細々暮らします
か?
と言えば無論そんなわけないだろうし、ならば結局戦いは続くわけじゃんよ。

その他見ているそばからどんどん疑問や不満が湧いてきたガッカリな完結編。期待が大きすぎた。
結局見終わってみればアクションシーンと
モニカ・ベルッチの胸の谷間しか印象に残らんかった。



○「マネーボール」 ★★ (11.11.21/劇場)
STORY:’01年、アスレチックスはヤンキースに破れワールドシリーズ出場を逃した。さらに、活躍した選手たちの年俸を払えず他球団に
流出させてしまう。GMのビリー・ビーンは限られた厳しい予算でチームを強くすることを強いられ苦悩するが、インディアンズのスカウト・
ピーターの分析力に光明を見いだし、彼を引き抜いてチーム改革にあたる。しかし、保守的なスタッフたちは彼らの理論を拒絶する…。


実話を元にした、とある貧乏球団の挑戦の物語
まあ贅沢税なんてシステムもあるから
日本球界よりはマシなんだろうけど、それでも選手が活躍すれば金持ちのヤンキースやレッド
ソックスに引き抜かれるのは止めようがない
という厳しい現実の中、視点を変えて
注目度の低い低年俸の選手の中から逸材を
見つけ出す
という作戦に打って出るアスレチックスのビリー・ビーンGM。しかし、そんなうまい話がそうそうあるものではなく、能力が
低いからこそ注目度も年俸も低いんじゃないの?
そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。


ところがぎっちょん、例えば一般的なスカウトが指標とする打率の高さ、しかしヒットでも四球でも出塁することに変わりはないと考え、
年俸の高い高打率の選手ではなくそうでもないけど
選球眼のある=四死球が多い選手を探し出せばいいわけでありますよ。
まあこの考え=
野球を科学するセイバーメトリクスは、実は’70年代から提唱されてきたものなのだが、やはり野球人たるもの華々しい
夢を追いかけてしまう
わけで、机上の空論に見えるこの思想はあまり重要視されていなかった次第で。まあ、最後に勝敗を分けるのは
血と汗と涙の成果だよね、
その方が格好いいじゃんという考えも実にわかってしまう。データも重要だけど、野球には夢と浪漫が
なくてはならない
と思うのですよ。

弱者の戦術とでもいうべきこの方針(”マネーボール理論”)は、旧来の考え方に固執するスカウト(この選手は顔がいいとか、この
選手の彼女はブスだとか
、どーでもいい情報も判定基準にする)や監督には受け入れてもらえず、チームはガタガタのまま’02年の
シーズンは幕を開けてしまう。

監督がGMの意図を考えずに采配するものだから当然勝てるはずもなく、チームは低迷するが、GMのなりふり構わぬテコ入れで
少しずつ軌道に乗り始め
…。


とまあ一応サクセスストーリーなのだが、そんなに主人公のビリーが魅力的ではないのよねえ。欠陥ばかり目立つ気がする。
結果ばかり求めて、何故そこに行き着くのかは自分の頭の中では筋道が立ってるんだろうけど、
周りの人はちゃんと説明されない
のでまるでついていけない
という感じ。これは映画の方の監督の描き方の問題なのかもしれないが。
そもそもこのビリー・ビーンなる男がこの若さでGMにまでどうやって登り詰めたのかが描かれてないので、なんだか胡散臭い
期待の新人として大学進学か悩んだ末にプロ入りしたものの鳴かず飛ばずで引退後スカウトになったことまでは描かれているんだが。
知りたいのはその後の仕事っぷりなのだが。


彼に反抗してヘボ采配を続ける監督もムカツク。何故クビにならない。
最初は負け犬だったが徐々に勝つ力を身につけていく選手たち、というのも描写不足。
つーか、映画の一つのクライマックスであるところの、
連勝記録を懸けた試合の9回裏ビリーが抜擢したハッテバーグが代打で
登場し、
見事にサヨナラホームランを放つ、というシーン。一見感動的だが、ビリーの構想では本来ハッテバーグは一塁手として
先発出場してその高い出塁率でチームに貢献しているはず
なのに、何故に代打要員でベンチにいるのよ?
それまでチームの和を乱す選手や監督が無駄に贔屓する選手をトレードで放出してまで”マネーボール理論”を貫き通してきたのに、
ビリーの意図しない勝ち方で勝ったんじゃ作品として破綻してんじゃね?


とまあ結構消化不良”マネーボール理論”について深く踏み込まずにあっさり流したのは、視聴者が必ずしも野球に詳しくない
だろうから正しい演出
なのだが、野球に詳しい視聴者としては、物足りないんだよなあ。
どんな投手が理論に合うのか、とか、守備力はいくらなんでも捨てすぎじゃね?とか気になった。
しかし、なにより消化不良なのは、
結局チームは前年に続いてプレーオフで敗れてしまっているということ。最後に勝たなきゃ駄目
なんじゃなかったのか。
とはいえ、シーズンで100勝もしたことで”マネーボール理論”は注目を浴び、数年後
それを取り入れたレッドソックスがワールド
シリーズで勝利することでその有効さは実証された
、というのがオチなのだが、レッドソックスは冒頭で示されている通り金満球団
で、元々優秀な選手が揃っているんだから”マネーボール理論”の力で勝ったとは言い難いと思うのだが。
結局
最後に物を言うのは金の力でした、ということが言いたいのかな(笑)

いざ感想を書いてみたら悪口ばかり書き連ねてしまって自分でもビックリなので、★1つ減らした



○「魔法使いの弟子」 ★★★ (10.8.30/劇場)
STORY:少年・デイブは学校行事で訪れたニューヨークで正邪の魔法使いたちの戦いに巻き込まれ信じられない体験をする。
それから10年、デイブは理系オタクの大学生となっていた。その彼の前にかつて出会った正義の魔法使い・バルサザールが現れる。
デイブこそ正義の魔法使い・マーリンの後継者で、悪の魔法使い・モルガナを倒すことができる唯一の存在だというのだが…。



ディズニー映画「ファンタジア」の一幕からインスパイアされた最近流行の現代を舞台とした魔法もの実写映画
ちなみにニコラス・ケイジの持ち込み企画
プロデューサーは
アホのブラッカイマーなれど天下のディズニー映画なので、そんなに過激で残虐な作品ではないだろう
(そもそも
メインの上映形態が吹替だし!)
けれども、ニコラス・ケイジが大真面目に現代に現れた魔法使い役を演ってしまうなら
思わず観にいってしまうというもんじゃあありませんか。


結論から言うと、ニコラス・ケイジの必殺の顔芸は不発だったけれども、予定調和な話ながらそこそこ楽しめた
人類滅亡を目論む悪の魔法使い(の手下)もあんまり憎めないのがよろしい。

理系オタのヘタレ草食系主人公が科学と魔法の力で窮地を乗り切るのがよろしい。

小学生の時に魔法使いたちと出会ったものの、その不思議体験を誰にも信じてもらえずにちょっとおかしい人扱いされたトラウマ
持つ主人公・デイブは、それ故かテスラコイルの研究に没頭する理系オタクに成長。無論女の子と会話することなんかも稀な
童貞
青年
。でもただ一つ違っていたのは…彼は魔法使いだったのです。
………まあ放っておいてもそのまま
30歳に到達して魔法が使えるようになってただろうけどなあ

ヘタレ青年を好演しているジェイ・バルチェルは…フィルモグラフィを調べてみたら「ミリオンダラー・ベイビー」の才能のない門下生
とか「トロピック・サンダー」の冴えない若造とか、
そこそこ印象的なヘタレ青年役を諸々好演していたのね。出世オメ!
吹替は
山崎”ドミニク”樹範でこれまた童貞青年を好演。

しかしモニカ・ベルッチを起用しているのに全くオパーイが強調されないというのはどういう了見だっつーかそれじゃあモニカ・
ベルッチの存在意義がない
ではないか。

吹替版では正義の魔法使い・バルサザールを大塚明夫、悪の魔法使いを石塚運昇が演じているのだが、この二人声質が似ていて
すげえ紛らわしい
のだけれども。



○「まほろ駅前多田便利軒」 ★★★★ (11.5.5/劇場)
STORY:神奈川県に突き出た、田舎でもなければ都会でもない東京都まほろ市。その駅前で便利屋を営む多田啓介は30代バツイチ。
ある年の正月の夜のバス停で多田はかつての同級生の行天春彦と再会する。面倒見のいい性格で、かつ昔彼を怪我させたという負い目
から、多田は行く当てのないという行天を居候させることに。かくして二人のバツイチ中年のおかしな一年間が始まった…。



三浦しおんの直木賞受賞作品の映像化。監督は大森立嗣父親の麿赤児弟の大森南朋も出演。
正反対の性格の二人のバツイチ中年が織りなすちょっぴり奇妙でちょっぴり剣呑でちょっぴり笑えてちょっぴりしんみり来る一年間
の物語

なんとも
オフビートでまったりとした空気がいい

主役の、しっかりもので面倒見のいい多田瑛太。相方の何を考えてるのかわからない行天松田龍平
この二人って瑛太の方が一つ年上なのね。芸歴が長いせいで松田龍平の方が何歳も年上と錯覚していた。
二人とも別段変わったこともせず
普段着の演技で、作品にマッチしている感じ。これが龍平じゃなくて翔太だったら不快だったかもだ。
彼らを取り巻く市井の人々も多彩。
柄本佑高良健悟は何やっとるんですかという役柄。
本上まなみはこの作品を体現するかの如く脱力系の演技で笑いを取り、松尾スズキは対照的に浮いてしまってる演技で笑いを取っている。
鈴木杏は………「花とアリス」や「リターナー」の頃を思うと、
時の流れって残酷

激動…というほどでもない一年間を経て二人の男は変わったようなそうでもないような、それでいてやっぱり一歩だけでも前に踏み出せて
いる
そんな不確かな不器用さが微笑ましい
「誰かに必要とされているということは、誰かの希望になるってこと」「だけど、自分には与えられなかったものを、誰かに新しく与える
ことはできる」
生きていくってのはささやかな希望の積み重ねだの。



○「幻の湖」  (03.5.31/DVD)
STORY:琵琶湖そばの和風コスプレトルコで働く源氏名・お市の方は、愛犬シロと琵琶湖の周りをマラソンをするのが日課。銀行員の倉田と
いい仲だが、偶然出会った、岸辺で笛を吹く謎の男も気になっていた。そんなある日、シロが東京から来た作曲家の日夏という男に殺されて
しまう。怒り狂うお市は、法では日夏を刑務所に送れないと知り、
シロを殺した出刃包丁片手に上京するが、彼の居場所を知ることもできず途方
に暮れる。そんな彼女を助けたのはかつての仕事仲間のローザだった。ローザから得た情報で日夏がジョギングを日課にしていることを知った
お市は、彼に
マラソン勝負を挑み、疲れさせて刺し殺す計画を立てるが、予想外の彼の健脚の前に敗れ去り、失意のまま帰郷する。その心を
癒してくれた倉田と婚約を決めたお市だったが、再び巡り会った笛の男に心揺さぶられる。その男・宮口は、彼女に笛と琵琶湖とお市の方に
まつわる戦国時代の悲しい物語を語る。心引かれながらも宮口よりも倉田を選んだお市だったが、偶然仕事場に日夏が客として現れ…。



東宝設立50周年記念作品として、「七人の侍」・「羅生門」などの脚本や「八甲田山」・「砂の器」の監督として高名だった橋本忍を監督・脚本に
迎え、オーディションで選ばれた大物新人女優・南条玲子を主演に、隆大介・かたせ梨乃・長谷川初範・高橋恵子・北大路欣也ら豪華助演陣
を揃えて製作された鳴り物入りの超大作ながら、完成してみれば
常人がついていけないとんでもない内容になっており、
公開途中打ち切り、以降
20年以上ビデオ化すらされなかったという文字通り”幻の”怪作。

「シベ超」などのバカ映画ブームに乗ったか、ついに21年の時を経て、世紀をまたいでの初ソフト(DVD)化
…しかし、ビデオにはならないんだよなあ。東宝なんでツ○ヤでのDVDレンタルはまずありえないし…つーことはすなわち買うしかないわけ
だが、それを見越したのかお値段は¥6,800というボッタクリ価格!!!くそう、足下見やがって…と泣きながら結局購入。


………しかし、確かにこれは一見の価値があると言えよう。なんという突拍子もない話だろうか。グレイト!

琵琶湖の四季折々の景色は美しいし、「シベ超」と違って役者も皆まとも。金もかかっている。ではどこがレジェンドとなるほどなのかといえば、
脚本である。狂いすぎ。
↑のあらすじを見ただけで
相当におかしいのはわかっていただけると思うが、もう少し付け加えると、
お市のソープ嬢仲間だったローザの正体は
アメリカの諜報機関のスパイだし、
謎の笛の男
宇宙パルサーの研究をしている宇宙飛行士だし、
あまりに突拍子がなさすぎて開いた口が塞がらなくなること請け合いである。
奇天烈な(皆大真面目だが)登場人物の中で
もっともおかしいのは何と言っても主人公で、感情移入不可能なあまりに電波なイタイ人ぶり
序盤こそ見ていて笑えるのだが、次第にその笑いも引きつりどんどん怒りというか恐怖というか嘔吐感というか…とにかく負の感情なしでは
見れなくなる
豪傑ぶり。大物新人だったはずの南条玲子嬢のその後の消息を聞かないのもさもありなんという感じである。


物語は現代から戦国時代へ、琵琶湖から東京、さらに宇宙へと観客置いてきぼりのまま怒濤の広がりを(長々と)見せていき、そして迎える
クライマックスの、
何と言っていいのかわからないマラソン決戦の決着と、その後に待ち受ける超ド級の特撮技術の衝撃と来たら…。



○「間宮兄弟」 ★★★ (06.7.1/劇場)
STORY:ビール会社の研究員の明信と小学校の校務員の徹信の間宮兄弟は30を過ぎても仲良く同居しているオタク兄弟。子供っぽいところ
はあるが、周囲に迷惑を掛けることもなく楽しく暮らしていた。そんな二人の悩みを強いて挙げるならば彼女がいないこと。そこで徹信は兄に彼女
を作るべく自宅でのカレーパーティーを企画、同僚の葛原依子先生と行きつけのビデオ屋のバイトの本間直美を誘うことに成功するが…。



監督にも原作にも全く興味がなく題材や俳優にもあまり興味がなかったのだが何故観てしまったのかといえば、このヲタ兄弟は横浜ベイ
スターズのファンなのである
。TVで試合を観戦し、勝ったら紙吹雪を撒いたりしてしまうのである。ならばオイラと彼らは熱き星の下に
集いし同志ではないか!

………そんな理由でこの作品を観た人も珍しいだろうて。

もう一つのオイラ的見所はヒロインがツ○ヤのバイトな点(笑)
間宮兄弟の会員証がWカードでニヤリ。

まあそんなアホな見所はさておき、ほんわかまったりとした作品でなかなかよろしかった。なかよきことはうつくしきかな。
「一日の終わりにこうして電話ができるヤツがいるっていうのは…いいなあ」
いいなあ

出演陣もほのぼのと好演。佐々木蔵之介&塚地武雅の間宮兄弟が実に”いいひと”で素晴らしいそのイノセンスっぷりは思わずこの
兄弟
を思いだしてしまうほど

その母親役の中島みゆきの貫禄の包容力も流石。
そしてそしてそして、ヒロインの
沢尻エリカがかわええ!ツ○ヤの制服似合ってるよこんなバイトほしいよ!
並んで立たされるシーンが多い常盤貴子はなんだか罰ゲームやらされてるみたいだな。

 


○「真夜中の弥次さん喜多さん」 ★★★★ (05.4.18/劇場)
STORY:商家の若旦那の弥次さんとヤク中の役者の喜多さんはラブラブなホモカップル。弥次さんは「リヤルが感じられない」と薬に溺れる喜多
さんを救おうと、「てめえ探し」なお伊勢参りに喜多さんを連れ出す。旅先での奇妙な人々&事件との出会いを経てより深まっていく、二人の絆。
が、やがて一人の少女を巡って二人に修復できない決定的な破局が訪れてしまう。一方、江戸では弥次さんの妻の刺殺死体が発見され…。



人気脚本家・宮藤官九郎の初監督作品。原作はしりあがり寿のマンガ。カリスマ漫画家なんですかふーん。

いつもの出鱈目な脚本(誉め言葉)の元に出鱈目なノリ(誉め言葉)で繰り広げられる出鱈目な物語(誉め言葉)は、脚本家クドカンのファン
ならば問題なく受け止められる
いつもの出鱈目な出来(誉め言葉)
出し惜しみなしで投入される個性派出演陣による小ネタの嵐に終始ニヤニヤしっ放し。それでいて後半は大真面目なテーマを扱っていたり
して侮り難し。
でもラストで結局
伊勢神宮まで行き着かない尻切れトンボなので、そこは減点材料。

主役のホモカップル弥次さん長瀬智也。ジャニーさんもビックリなリミッター外した演技に好感。所々すべってるけど。
喜多さんに
中村七之助。なかなかの存在感で、伊達にタクシーの運転手は殴ってねえなあと感心。

殺された弥次さんの妻に小池栄子。凛々しいっつーか、ごくSせんモード。
その他、
阿部サダヲ・森下愛子・山口智充・松尾スズキらおなじみの濃ゆい面々に加え、柄本明の息子1号・寺島進・板尾創路・イチ・研
ナオコ
ら濃ゆい新顔
も参加していて話のコレステロールを増やしまくっている
そんな豪華キャストの中でも特に、こんな阿呆な役をこんな重鎮にやらせていいのか?な
中村勘九郎、スクリーンに映える流石の存在感の
楳図かずお
カオルちゃんを越える壊れっぷりの力!力!竹内力!アニィ、そしてそして美味しいところを全て持っていってしまった感
のある荒川良々
が輝きまくっていた。
でも弥次さん喜多さんの破滅の原因となる音痴少女が全然かわいくねえのは謎だ。




○「マルホランド・ドライブ」 ★★★★ (03.9.9/DVD)
STORY:大女優を夢見てカナダからハリウッドへやって来たベティ。伯母のマンションに住むことになっていたが、そこには先客がいた。交通
事故で記憶を失いさまよいこんできたというリタである。彼女に心引かれたベティは、彼女の身元を親身になって調べる。リタの記憶にあった
ダイアンという女性の部屋で死体を見つけたその夜、二人は結ばれる。そして深夜、リタは何かを思いだしベティをあるクラブへと誘うが…。



難解系監督デイヴィッド・リンチの傑作。つーかこの人やフィンチャーさんやクローネンバーグさんはいつからデビッドじゃなくなったのだろう
か?


オイラとリンチ監督作品の出会いは、「エヴァ」ブームの頃に、「ツイン・ピークス」や「ロスト・ハイウェイ」がテイストが似ているとか評されているのに
興味を持って、どれなら見てみようかと思い立ったことだった。で、せっかくだからデビュー作から見ていこうかと手に取ったのが
「イレイザー・
ヘッド」
。………………いきなり脱落。そして今日に至る。…要するに全然見てないわけで。(と思ったらそういえば「ワイルド・アット・ハート」
見ていたのだが…全然中身を覚えてねえや


さておき、作品は非常に良かった。ベティとリタ、二人の美女の心が結ばれていく様にところどころに不気味な描写や謎の描写が織り込まれて
いくという約2時間はすんなり見れて、なんだそんなに難解でも不条理でもないじゃん、だけどこれどうやって最後落とすのかなあ、などと高を
くくったような感想を抱いていたら………
最後の数十分で一気に疑問符の嵐に

実は前半部は、ラスト、死ぬ間際に見たダイアンの夢or妄想だった、という解釈でいいのだろうが、おそらく何度見直しても、提示された
情報の断片が全てピタリとあるべき所にはまることはない
であろう(全てに納得のいく答えは用意してないのだろうなあ)という、もどかしさを
覚えてしまう造り
なのだが、でも、いいものを見たという満足感は残る
…それは主演の
ナオミ・ワッツが名演技を見せてかつかわいいしエロいしだから、なのかも。

ちなみに某Vシネマの企画書には、「もしD・リンチがVシネヤクザものを撮ったら」というコンセプトが書かれていたそうだが、まさにその通り
だなあ。




○「ミケランジェロの暗号」 ★★★ (11.12.5/劇場)
’38年ウィーン。ユダヤ人画商・ヴィクトルとその両親は使用人であり親友だったルディに裏切られ、ミケランジェロの幻の絵を奪われ収容所
に送られる。ルディはナチスのSSでの出世のために恩人を売ったのだ。5年後、イタリアに献上するはずだった絵が贋作と判明。ルディは
ヴィクトルの取り調べのためベルリンに向かうが機が撃墜されてしまう。訳あって衣服を取り替えていた二人はその姿でドイツ軍に見つかり…。



原題は「MEIN BESTER FEIND」で、「私の最高の敵」邦題どうしてこうなった
つーわけで、
劇中に「ミケランジェロの暗号」などと呼べるものは出てきまへん謎解きに1秒かからないものは暗号と呼べんだろう
つーわけでつーわけで、邦題からミステリを期待して観に行くとガッカリするが、映画自体はなかなかに面白い
戦争サスペンスコメディ
なんだそりゃ。


ユダヤ人の裕福な画商の家に生まれ、美人の恋人(超老け顔)もいるリア充のヴィクトルと、彼の家に仕えた使用人の息子でヴィクトル
とは親友でありながら、
彼にコンプレックスを持っているルディ
ルディはナチスに入党しSSで成り上がるために
恩人一家をナチスに売ってしまう。秘蔵のミケランジェロの絵(盗品)を奪うだけだった
はずなのに、恩人一家は収容所送りになってしまうが、それを止める男気もない。


5年経って、その絵がイタリアとの同盟関係を強固にするための道具として使われるが、贋作だと判明。イタリアとの仲は深まるどころか
同盟決裂の危機に
本物の絵を入手してくるよう命令を受けたルディだが、絵の在処を知っているヴィクトル父は収容所で死亡しており、彼から何やら遺言を
聞いたらしいヴィクトルを尋問する。
かつての主従関係が残酷にも逆転してしまい、かつての「最高の友」は「最低の敵」に
しかし、二人を乗せた飛行機がパルチザンに撃墜され、パルチザンから逃れるためにルディが軍服を脱いだところ、先に接触したのは
救助に来たドイツ軍。そこに現れたのはその軍服を着込んだヴィクトル。二人の顔なんてわかるはずもない兵士たちはルディを護送中
のユダヤ人だと思い込みボコボコにする

かくして
SSになりすましたヴィクトルと、それを指摘するも誰にも信じてもらえないルディまたも二人の立場は大逆転してしまう
すぐバレそうなものだが、運命の女神のいたずらに翻弄され、ヴィクトルは母親と国外に脱出できそうになるが、その目前で…。


というように、二人の男の立場がぐるぐる逆転するどんでん返しの連続が面白い
つーか序盤は重厚なサスペンス風だったのに、最初の立場の逆転辺りから
明らかに笑いを意識した演出にシフトするのが何とも珍妙。
おかげで観終わった後はニヤニヤニコニコ。戦争映画なのにねえ。
ラス前、終戦直後にルディが仕掛けた逆転劇が秀逸で笑ってしまった。まあこのシーンはわりと蛇足なんだけど。
ナチスも煙草ブカブカ吹かして酒ガバガバ飲んで、なんとも緊張感が足りない牧歌的ムード。なんか
イノウエ・ナチスを彷彿とさせる。

つーわけでちょっち珍作なれど快作
オーストリア映画なので監督・キャストとも馴染みがない、はずなのだが、
ヴィクトル役の人は見覚えがあるなあ、と思ったら、「es」
ジャケット
でだな。
そしてヴィクトル母は「ヒア・アフター」に出てたのか。




○「ミシェル・ヴァイヨン」 ★★★ (03.12.25/劇場)
STORY:天才レーサー・ミシェル・ヴァイヨンを擁するチーム・ヴァイヨンはル・マン24時間耐久レースへ向けて調整を行っていたが、ミシェルの
母が見た不吉な夢、前哨戦での仲間の不審な事故死、かつてのライバルの娘が率いるチーム・リーダーの参戦など、状況は風雲急を告げて
いた。そしてレース当日、リーダーのオーナー・ルースの悪辣な罠でミシェルは絶体絶命の崖っぷちに追い込まれてしまうが…。



おフランスで大人気のレースマンガの実写映画化製作はリュック・ベッソン一味すなわちバカアクション映画というわけなんだな。
まあレースシーンは迫力もあるし接触スピンクラッシュ大爆発も当然多いので十分楽しめる。大味なのは言うまでもないが。本編と全く関係ない
のに二丁拳銃シーンをサービスしてくれたのには笑った。
冒頭の母親が見たどーでもいい悪夢をウザいくらい引っ張るなあと思ったら、クライマックスでうまく料理してあって感心。


原作知らないしル・マン24時間耐久もよく知らないしなので深くツッコミを入れられないのだが、主人公ミシェルがどれくらい天才レーサーで
どんな過去をもっていてどんな性格なのかがしっかり語られないので、見る側としては彼が窮地に陥っても、ふ〜ん大変ねえ、で終わってしまう。
つーかそんな早く親友の未亡人とくっつくな。


かつて父親が卑劣な手を使ってもチーム・ヴァイヨンに勝てず、失意のうちに非業の死を遂げたという過去を持つチーム・リーダーの新女性
オーナー・ルース
が敵役なのだが、いやあ、この女悪い悪い。(頭も悪い。後先考えない浅知恵ばかり)根性のねじくれた徹底したヒール
ぶり
はお見事。サッパリとした顔の美男美女ばかり出演するこの作品の中で、
一人だけ猛烈に濃ゆい顔で極めてインパクトを残している。美人
だがね。(美人じゃなかったらこの映画★1つだった
彼女の片腕の幸薄そうな地味めの女の子黙々と卑劣任務をこなすのが素敵だ。
こいつらがもっと最後にギャフンと言わされてれば痛快アクションで★1つ加点だったんだが。


なんか、これ見てたら「BADだね ヨシオくん!」を久しぶりに読みたくなったッス。タイヤ交換の辺りで特に。



○「ミスティック・リバー」 ★★★★ (04.3.3/劇場)
STORY:25年前、ボストンの路上で3人の少年−ジミー・ショーン・デイブが遊んでいた。そこに現れた車にデイブが連れ去られ、残された2人
はただ車を見つめることしかできなかった。4日後、変質者に性的虐待を受けたデイブが発見された。現代、町の顔役となっていたジミーの最愛
の長女が殺された。刑事になっていたショーンが捜査を担当することとなり、そして、捜査線上に浮かび上がった容疑者は、デイブだった…。



行く河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず
人生は重く暗く冷たい河である。いつかたどり着く河口まで滔々と流れ続け、その流れに逆らうことはできない
かつて、「ウホッ!いい少年!」と変質者にかどわかされ消せない傷を心に負った一人の少年と、彼が連れ去られるのを見つめることしか
できなかった親友二人。
もし、連れ去られたのがデイブではなく自分だったら?…しかし時はやり直しを拒みただ一つの方向へと進み続けるだけ


そして25年の時を経て、それぞれ大人になり家庭を築いた三人は再会する。悲劇的な事件に引き寄せられて。かつてのあの事件以来自然に
疎遠となっていた三人の再会は、友情を蘇らせるどころか過去の傷を掘り起こし、さらなる悲劇を導いていく。


重いッ
「仕事帰りにちょっと映画でも見ていこうか」なんて軽い気持ちで見てしまうと、明日への活力なんてものはもらえずに、すっかり打ちひしがれて
劇場を去る羽目になる
ので注意。


ミステリーとしては25年前の事件と今回の事件とのリンクが弱すぎるとか、真犯人が読めるとか問題はあるし、あの、全てが終わった後の
ジミーと妻の会話が(病んだアメリカという国への揶揄なのかもしれないが)アレなところとか個人的に好かないが、それを補って余りある
主演陣の
名演技は素晴らしい
ショーン・ペンはともかく、ティム・ロビンスのオスカーは当然であろう。

ローレンス・フィッシュバーン、「マトリックス」ん時より2割増しくらいで肌が黒くねえ?



○「ミステリー・メン」 ★★★★(03.1/DVD)
STORY:平和なチャンピオンシティはスーパーヒーローのキャプテン・アメージングによって治安を守られていた。しかし、悪人が全滅すると
仕事がなくなってしまうキャプテンは、宿敵カサノバ・フランケンを精神病院から退院させてしまうが、まんまと逆に捕らえられてしまう。キャプテンと
街のピンチに、3人のボンクラ・ヒーローが立ち上がるがあっさり敗北。そこで彼らはヒーロー軍団を結成すべくオーディションを開いたが…。



正義の味方が悪党どもから街を守っているというアメコミな世界で、一人一芸を持ったヒーローたちがチームを結成して巨悪と立ち向かうという
「X-MEN」チックな話。勿論ラストはせっかくだから撃ってみたビームが見事に当たって勝利なんて脚本じゃあないので。
ところが、
主人公のヒーローたちはボンクラばかり。怒るとスーパーパワーを発揮するフューリアス、シャベル使いの達人・シャベラー、フォーク
投げが得意技のブルー王子(ブルーといいつつ花柄の服を愛用)。「スパロボ」で例えるならば
ジムとかネモ程度の戦闘力しかないショボイ
彼らは当然悪党と戦っても
連戦連敗。家に帰れば冴えない自動車解体屋だったり小さい子供に馬鹿にされたりとやっぱりボンクラーズ
そんな彼らが助っ人を集めてみれば、誰も見ていないところでだけ透明になれる透明ボーイ、屁で攻撃するスプルーン、殺された父親の亡霊の
憑り付いたボーリングのボールで攻撃するゴス女のボーラーと、
これまたやっぱりボンクラ揃いという始末。

しかし、そんなボンクラ軍団でも、己の力を信じ、仲間のために力を合わせて苦難に立ち向かい成長していくその姿は、「ギャラクシー・クエスト」
や「少林サッカー」に通じるものがあり、同じダメ人間としては心の琴線に触れるものがありまくり。
ネバーギブアップ!ネバーサレンダー!

キャストは結構豪華で見覚えのある名前と顔が多数。主人公(たぶん)はベン・”ズーランダー”・スティラーなのだが、そんなにハジケた演技を
見せてない…って、ひょっとして
「ズーランダー」がハジケすぎなのか!?
ウィリアム・H・メイシー演じる3児のパパなスーパーヒーロー・シャベラーがいい味出していた。
映画史上に残るシャベルさばき(つーか他の
映画はそんなことしないし)に注目!
あと、ヒロイン役のクレア・フォラーニがかわええ。チャイナなシャツ万歳!!!


’99年にアメリカで製作されたコメディ映画だが日本では未公開。ツ○ヤでならDVDレンタルやってるので借りるべし。



○「ミスト」 ★★★★ (08.6.10/劇場)
STORY:アメリカのとある田舎町を大嵐が襲った翌日。ライフラインが寸断されたため画家のデヴィッドは妻に見送られ、一人息子と共に町の
スーパーへ買い出しに。同じ目的でごった返すスーパーの店内。と、そこに一人の男が転がり込んでくる。「霧の中に何かいる!」。瞬く間に霧に
周囲を覆い隠され戸惑う人々。そして霧の中から恐ろしい怪物が現れた。何とか怪物を撃退したが、生き残りの中で対立が深刻化していき…。



「ショーシャンクの空に」、「グリーンマイル」の原作&監督コンビの最新作!なんて煽りで売り出してやがったが、純然たるB級モンスター
ホラーなので注意
。だって原作って品性下劣のスティーブン・キングですから。騙された人はご愁傷様。

とはいえしっかりきっちり人間ドラマでもあるのも事実。閉鎖された空間の中で、外敵を前にしてもなお争いを止めない人間の浅ましき性
シュウキョウを盲信することの愚かさ、そして、観終わって絶句せざるを得ないラスト「最後の最後のその瞬間まで希望を捨てては
ならない」
あるいは「諦めたらそこで試合終了ですよ」という強烈なメッセージ(笑)、とヒューマンものとしてもよくできた作品である。

いやでもしかしやはり、ホラー映画として楽しむのが正しいかと。
謎の霧で外部から遮断され陸の孤島となったスーパーマーケット。
不安に怯える人々に襲い来る
異形の怪物たち触手!巨大昆虫!なんだかよくわからないもの!
飛び散る鮮血!降り注ぐ毒液!割れる牛乳瓶!食われる!焼かれる!引き裂かれる!
(一部人間の所行も混じっております)
ちょっちクトゥルフ神話っぽいのがお気に入り。最後のあのデカいのとか。蟲系ばかり活躍するのがウゼえ。


犠牲を払いつつも怪物を追い払うが、そこに待っているのは生き残り同士の醜い仲違い
つーかシュウキョウはやだねえ。こんな気狂いおばはんをホイホイ信じてしまうのはもっとやだねえ。
この辺アメリカ社会のカリチュアっぽい。


そしてすったもんだの末に待ち受ける強烈なラスト。そこに行き着くまで少々強引な点もある(ガキんちょの不自然極まりないセリフとか、道中
給油しようと試みるシーンがないとか)が、そんなことは吹き飛んでしまうほどの
後味の悪さは今年NO.1かもだ

そのラストも含めて、なかなかに味わい深いB級ホラー映画。当分霧が出るたびイヤ〜な気分になりそう。



○「ザ・ミッション/非情の掟」 ★★★★ (02.8/ビデオ)
STORY:香港黒社会のボス・ブンが何者かに命を狙われた。ブンの護衛に5人の男が集められた。現役の殺し屋、すでに組織から足を
洗っていた者…黒社会の掟の元に集まった5人の使命は、ブンを守り抜くこと、そして、敵の正体を突き止めること。初めはギスギスしていた
5人だったが、幾度か死線を共にくぐり抜け、次第に固い友情で結ばれていく。しかし、黒社会の掟は彼らに過酷な運命を用意していた…。



香港黒社会殺し屋ムービーといえばやはりジョン・ウーの「男たちの挽歌」シリーズが有名かつ傑作かつカッチョエエわけだが、この作品
も、スローモーションを多用しなくても二丁拳銃で横っ飛びしなくても、ケレン味抜きの静かに熱い銃撃シーンで見事に魅せてくれる
傑作
とにかく表に出さず
内に秘めたる男たちの熱い友情が素晴らしい。主人公の5人の男たちも皆かっこいい。リーダー格の、かつて氷の男と
呼ばれた男グァイはかつての”エースのジョー”こと
宍戸錠に激似!あと伊集院光に激似なのも一名。



○「ミッション:8ミニッツ」 ★★★★ (11.11.9/劇場)
STORY:コルター・スティーブンス大尉は気づくと見知らぬ列車にいた。目の前には見知らぬ女性。財布の中には見知らぬ男の身分証。
鏡に映るのは見知らぬ男の顔。そして突然列車は爆炎に包まれた。コルターが気がつくとそこは狭いポッドの中。女性オペレーターの
誘導で、彼は再び列車に送り込まれる。そこは死者の最期の8分間の記憶の中の世界。彼はそこで爆弾魔を見つけなければならない…。



大丈夫、すべてうまくいく

チラシやポスターの宣伝文句だとなにやらサスペンス映画っぽいが、見事なまでにSFですから。

量子力学により、人が死ぬ直前の8分間の記憶をデータ化し、その中に潜り込み行動できるという画期的な”プログラム”を使いテロ
の拡大を防ぐため、
何度も8分間を繰り返し体験することになったコルター大尉。
それは
すでに起きてしまった過去の出来事であり変えようがないが、犯人を特定することによりその後起こるテロを防止することは
できる
のだ。
記憶の中の列車には多くの人が乗り込んでおり、コルターがそれまでと違ったアクションをすれば違ったリアクションで返してくる………
って、そんな膨大なデータ、どうやって動かしているのやら。まあ量子力学だから仕方がない


8分後に爆弾が爆発して乗客は全滅する、というあまりに漠然とした情報しか持っておらず、何度も8分間をやり直す(=何度も失敗
して爆死する)
ことで少しずつ少しずつ解決に向かって進んでいくコルター
その様は
初見殺しのトラップ満載の超難解な覚えゲーをやらされる有野課長を見ているようである。
ゲームオーバーの度に現実世界に戻ってきてボヤくもまた強制的にリスタートさせられる姿なんかもう。


それでも事件の核心に迫りつつあるコルターは、仮想現実でしかない列車の中の、向かい合って座ったクリスティーナに次第に
惹かれていき、彼女を助けたいと強く思うようになる
。しかし現実世界の科学者は、彼女(たち)はもう死んでいて、その事実は変え
ようがない
と告げる。
さらにコルターは自分自身に対しての疑問−
何故自分はここにいるのか−を抱き、その残酷な真実に行き着いてしまう

ミッションを終えた彼が最後にとった行動は…。

見事なまでにSFなのだが、愛おしいほどにウェットでエモーショナルな傑作
消せない想いこそが新しい世界を切り開くのである。(量子力学では
平行世界は肯定されてるんだよね?)

監督のダンカン・ジョーンズデヴィッド・ボウイの息子だそうで。前作「月に囚われた男」も傑作SFとのことだが、悔しいかな未見。
主演は
ジェイク・ギレンホール「ドニー・ダーコ」から10年の時を経て再び時空を越える!
ヒロインにミシェル・モナハン。ぶっちゃけ第一印象は濃ゆい顔立ちだわケツアゴだわで少し引いてしまったのだが、繰り返す8分間
の中でだんだん愛おしく思えてくる
演出の妙よ!
もう一人のヒロインにヴェラ・ファーミガ。こちらも次第に変化していく心の内を見事に演じていてGJ。


量子力学滅んでしまった人々の記憶ループする閉じられた世界とアニメ「ゼーガペイン」が好きな人なんかにはかなりグッとくる
んではないかと。終盤の主人公の行動なんてまさに「消されるなこの想い、忘れるな我が痛み」だし。



○「ミッション・トゥ・マーズ」 ★★ (00.12/ビデオ)
STORY:西暦2020年、人類初の有人火星探索船が火星に降り立った。しかし、謎の事故で隊員3人が死亡。生き残っているはずの友人・
ルークを救うべく、一度は火星への夢を諦めた宇宙飛行士・ジムはウッディらと共に火星へ旅立つ。数ヶ月後、多大な犠牲を払いながら火星へ
と到着したジムらは生き延びていたルークと再会し、火星に眠る”謎”と対面する…。



名匠ブライアン・デ・パルマが手がけた初のSF作品。………うーん、手堅いんだけれど、どこかで見たような話ばかりでなあ。
あの
デカい顔にはただただ笑った。



○「みなさん、さようなら」 ★★★★ (13.3.20/劇場)
STORY:’81年、高度成長期の象徴たる団地の中の小学校を卒業した度会悟は、とある事情で、一生団地から出ずに生きていくことを宣言する。
同級生は皆団地住まいなのでいつでも遊べるし、商店街という就職先もある。隣の幼なじみや片思いの元旧友とも恋仲になり、悟の団地ライフは
順風満帆だったが、時代の移り変わりと共に、かつての友人たちは一人また一人と団地を去っていく。団地自体もどんどん寂れていき…。



原作未読。一連の伊坂幸太郎作品の映画化で中村親分最新作。主演は勝手知ったる濱田岳で、最早ゴールデンコンビの風格

そう、確かに、かつて団地は最先端の生活空間だった。オイラもこの主人公と4つ違いなので、団地への憧憬はあった。親戚が住んでいたので
よく遊びに行ったものである。
郊外の小高い丘にそびえ立つビルの群れ公園もショッピングセンターも敷地内の歩いていける場所にある快適空間
確かに団地の中だけで生活はできた。
団地のライフサイクルと呼応するかの如き一人の男の波乱の半生の物語

小学生の時のトラウマで団地から出られなくなった悟は、団地の中で本を読み体を鍛え自主的にパトロールし大山倍達を信奉し安住の地を
守ろうとする

ちょっと変わってるが親友もでき、商店街の職人肌のケーキ屋に頼み込んで就職し、片思いの同級生と婚約までしてしまう
しかしバブルが弾けライフスタイルが変わり
団地は過去の遺物となっていく。実際、↑で書いた親戚が住んでいた団地も郊外の小高い丘の上
という不便な立地故にすっかり廃れて住民の高齢化と建物の老朽化が進みショッピングセンターも空き店舗だらけで最早息も絶え絶えな様子
である。ゲーム「SIREN2」でも出てきたけど、廃墟と化した団地はただただもの悲しい。
悟の周辺も、同級生は皆親元を離れ団地を去り
親友は精神を病みケーキ屋の職人店長は寄る年波に負け婚約者も閉塞した団地を捨てて
いってしまい、すっかり人生の秋といった様子
治安も悪化した団地をそれでも
大山倍達の教えで見事に守り抜いた悟だったが、彼を最後まで支えていた最終防衛ラインがついに崩壊した
その時
………。
呪いから解き放たれたその足は、
かつて踏み出すことをためらい諦めた境界線を、ためらいも何もなく、一瞬で踏み越えていった
ここの
あまりのあっけなさは実に素晴らしく、あっけにとられながらも、満足

主人公を12歳から30過ぎまでさりげなく違和感なく演じてしまっているのは濱田岳違和感仕事しろ
それと比べると女性陣は流石に中学生とかやらせるのはきつすぎた。
主人公の母親に大塚寧々。………あれ、この人ってこんなにふつくしかったっけ?


主題歌はエレファントカシマシの隠れた名曲「sweet memory」。なんというオイラホイホイ
これまた名曲「so many people」のカップリングだったのよね。つーか
10年以上前の曲やん。



○「ミラクル7号」 ★★★★ (08.7.4/劇場)
STORY:小学生のディッキーは父親のティーと貧しいながらも楽しく二人暮らししている。ティーは無理してディッキーを名門私立校に通わせて
いるが、金持ちばかりの中でディッキーは一人浮いてしまっていた。ある日ティーが拾った不思議な物体は何と宇宙生物だった。ディッキーは
大喜びで”ナナちゃん”と名付けたそれを学校に連れていく。頼れる宇宙生物のナナちゃんはディッキーのピンチを颯爽と救うのだが…。



我らがチャウ・シンチーの3年ぶりの新作なのだが、今回はちと勝手が違う
なんと
親子で一緒に観られて感動できるファンタジーだったりするのである。いやでもしかし子どもに見せていいのか、という黒いギャグ
相変わらず盛り込まれている
が。

作品の出来としてはなにげにしっかりしているのだが、今までのノリを期待していくと肩すかしをくらってしまうのが残念。
主役を自分の養子に譲った
シンチーさん、今回は全然活躍しないのであります。

ギャグもちょっち控えめで少々物足りないのだが、ナナちゃんが秘密道具を取り出す「ドラえもん」のパロディから一気に雪崩れ込む「少林
サッカー」〜「カンフー・ハッスル」のセルフパロディ
には爆笑。

俳優陣も相変わらずけったいな顔ぶればかりメインの小学生4人が実は全員逆の性別を演じているというトリッキーな仕掛けあり。
「少林サッカー」の配管工の人が似たような服装で出てきてニヤリ。
宇宙生物”ナナちゃん”はなかなかどうしてすげえかわいかったりしてあなどりがたし。

つーわけで映画単体としてはちゃんと面白いのだが………チャウ・シンチーファンとしてはどうにも食い足りない。もっともっとはっちゃけて
ほしかった。




○「ミリオンダラー・ベイビー」 ★★★★ (05.6.17/劇場)
STORY:小さなボクシングジムの経営者の老人・フランキーは選手育成には定評があったが、選手を大事にするあまりベルトへの挑戦を先送り
にして選手に捨てられることが度々あった。そんな彼の前に現れたのは女子ボクサー志望の31歳のマギーだった。彼女の執念と古い友人・
スクラップの助言に根負けした彼はマギーのコーチを引き受ける。彼女はメキメキと力をつけ、ついにチャンピオンとの試合が決まるが…。



去年の「ミスティック・リバー」に続いてクリント・イーストウッドが放つ一撃はまたもヘヴィー級のズッシリとした傑作
ただ、
観賞後の精神的疲労度もヘヴィー級

中盤までは遅咲きの女子ボクサーのドラマティックなサクセスストーリーかと思いきや、頂点から一気にどん底に落とされる展開
てっきり、世界戦直前にイーストウッド演じるじーちゃんトレーナーが寄る年波でどうにかなるのかと思っていたら、まさかこんなもっと鬱展開とは
…。重い、重いよう…。


そのラスト30分の展開がわりと賛否両論になっているようだが、賛成
普通の人ならともかくとして、野獣がエサを捕らえる術を失ったら消えゆくのみだろう。自殺すりゃあ地獄に堕ちる(とバカ正直に信じているわけ
だ)し、それでも死にたがっている以上は、ねえ。
娘と長らく音信不通でも世界戦に臨んだ愛する選手が失明しても半身不随になってもまだ神様を信じるわけですな、ふうん。




○「みんなのいえ」 ★★★ (01.7/劇場)
STORY:念願の一戸建ての家を建てることになった飯島直介・民子夫妻。設計は若手気鋭インテリアデザイナー柳沢、建築は民子の父親で
大工の長一郎が担当することに。しかし、自分の理想を追求し、住む人にやさしく、かつ斬新なデザインの家を実現しようとする柳沢と、長年
培った経験を元にして家を建てようとする長一郎、どちらも職人気質で頑固な二人が衝突し、間に立たされた直介はただオロオロするばかり…。



えー、この配置なのだが、これを見た当時のオイラが店長をやっていた店の状況とすげえ酷似していて(あくまで妥協なしに自分だけの理想
の売場づくりを追求し、周りにもそれを押しつける、転勤してきた実力派チーフと、今までの経験を元に、斬新ではないけれど手堅い売場作りに
励む、永年勤めてきたスタッフたち)、
見ていてものすごく胃が痛くなってしまった。なんでコメディ映画を見に来てこんなつらい思いを…(泣)

しかし映画では最後は二人がお互いを認め合って、無事いい家が出来て大団円。「映画では」、な。(遠い目)
さておき、映画はいつもの三谷幸喜節で面白かった。個人的には、前作「ラヂオの時間」の方が大バカで好きだが。

ココリコ田中の演技がよかった
それと、明石屋さんまや真田広之といった有名人のカメオ出演も見所だが、ドクのアレはいくらなんでもやりすぎだろ?




○「MOON CHILD」 ★★★ (03.4.22/劇場)
STORY:日本が破綻した近未来、アジアの一角、移民の町・マラッパで日本人・ショウは仲間たちと悪党から金を奪って暮らしていた。彼のそば
には親友の、不死のヴァンパイア・ケイの姿があった。ある時、土着のマフィア・”鬼心会”を襲撃した二人は、孫という男と出会い、意気投合
する。孫の妹・イーチェを交え、つかの間の幸せを満喫する若者たち…。しかし、運命は彼らにあまりにも残酷な道を用意していた…。



奇人アーティスト・Gacktが長年温めていたアイディアを映像化、共演にはラルクのボーカル・Hydeを起用ということで、そりゃもう全編
オレってカッコイイ?な映画に仕上がっているかと思いきや、なかなかどうして結構しっかりと作られた作品だったり。


つーかジョン・ウー汁がしたたってるんですが。
戦いの場でのみ友情を深め合うことができる哀しい漢たち。無論
両手には拳銃、際限なく撃ち出される弾丸、血の宿命の元突きつけ合う銃口
…。語り口はえらく青臭いが、やってることはジョン・ウー作品あるいは古きよきヤクザ映画。


主演のGacktは日頃からキャラを作ってるっぽいだけあってまあまあの演技。
脇を固める日本勢は寺島進山本太郎トヨエツ(あの炎上シーンはギャグだろ!)、石橋凌(最近いい仕事しまくり)と実力派揃い。
香港からは「鉄拳」じゃなくて「拳神」のワン・リーホンが参戦。好青年役を好演。
そして問題は役者初挑戦(Gacktもだけど)のHydeさん。…け、結構頑張ってますよ。マイク水野閣下やコンバット越前と比べればすげえ
上手いッスよ!(褒めてんのかい?)要所要所で場の空気をはんなりさせる微妙な演技を炸裂させて我々を魅了してくれる(笑)。
あ、ヒロインに華がないのは大いに問題。


ストーリーはジョン・ウー的にVシネ的に、どこかで聞いたことがありまくりなものなれど、まあメインが皆格好いいのでその勢いで最後まで押し
切っている。ただ、後半重要人物となる孫のキャラが、濃いメイン二人にさすがに食われまくってしまって目立たないのが残念。もう少しキャラ
に厚みを出せていればクライマックスの死闘がより漢泣きなものになったのに。




○「蟲師」  (07.4.3/劇場)
STORY:今から100年ほど前の自然豊かな日本。そこにはまだ”蟲”が生きていた。動物でも植物でもない、生命の根元に位置する”蟲”、時に
人に仇なすそれらを研究し、鎮めるのが”蟲師”と呼ばれる者たちだった。その一人、ギンコは白髪・隻眼の青年で、少年時代以前の記憶が
なかった。禁忌の蟲を鎮める一族の少女・淡幽の危機に駆けつけたギンコは、己の失われた過去に潜む闇と対峙することとなるが…。



漆原友紀の傑作マンガ「AKIRA」の大友克洋がなんと実写映画化
なんて書き出しばっかですよ最近そしてその手の作品は大概ろくなもんじゃねえという。

手間暇かけてロケハンしたというだけあって、「100年前の日本」の幽厳な自然の美しさは素晴らしい。日本人のDNAにビンビン訴えかけて
くるものがある。


ヒロイン役の蒼井優がかわええ。今ノリにノッているだけのことはある。仕込み箸(笑)で蟲を捕まえるその凛々しさや入浴シーン(服着てるけど
な)
に萌へてしまふ。
脇を固める婆さん陣も流石の演技力。


以上、よかった点
以下、悪かった点

原作の大ファンとしての評価は、というと、★1つしかやれない
原作は一話完結の読み切り形式なのだが、映画はその中の4編の物語を
改悪してリンクさせ、一つの長編としている

そう、改悪でしょ、これ?

「筆の海」の淡幽の重い宿めについて、「雨がくる虹がたつ」の虹郎とその父親の虹への狂おしい思いについては描写がまるで足りず観客
に伝わってこない
し、
「柔らかい角」の解決法はなんじゃこりゃあ!、そして「眇の魚」の”ぬい”の扱い(とキャスティング)のあまりの酷さ
来たら…。


設定をぼかしてある原作に対し、映画は100年前の日本と断定しており、それ故に人々の生活描写にまったくもって無駄なリアル描写が
発生してしまっている
。んな描写に時間割くんなら蟲の一種類でも出しやがれ。
更にエピソードにギンコの過去の秘密やヒロイン的存在である淡幽の話が含まれているため、原作におけるギンコの狂言回し的役割が減じて
しまっている

その結果、物語に余分な成分が混じりすぎてしまい、
本来の主役である”蟲”の影が薄くなってしまっている。それは違うと思う。

原作よりも遥かに繊細なギンコを演じたオダギリジョーはミスキャスト

んでは原作未見の人が観たとしたらどう評価するかというと、やはり高い評価はできないんではないかと。
”蟲”や”蟲師”についてあまりにも説明が不足しすぎているのよね。淡幽の境遇の説明なんて言わずもがな。
生まれつき蟲が見える=蟲師って、んな馬鹿な


こんなに原作を汚して映画化するんだったらいっそ基本設定だけ借りてギンコとは別の蟲師の話にすればよかったのに
つーかカントクさん、自分もマンガ家なんだから、
自分のマンガを映画化するといって話を滅茶苦茶に変えられたらどんな気分になるか
ちょっと考えればわかるだろうに

このお方、「スチームボーイ」もアレだったし、「レオン」がいい映画だったためになんぼ駄作作ってもチヤホヤされてる
リュック・ベッソンと最早
同じポジション
だの。

ああでも、ずいぶん久方ぶりにめくらおしがガンガン出てきてインパクトあったなあ。



○「ムトゥ 踊るマハラジャ」 ★★★★
STORY:広大なるインド。優しい旦那様・ラージャーとその老母に仕える使用人のムトゥは強くて優しい粋な人気者。ラージャーと芝居見物に
出かけたムトゥは、旅の一座の看板娘・ランガと恋に落ちてしまう。しかし、ラージャーもランガに一目惚れしてしまっていた。ラージャーの財産を
狙うあくどい叔父はそこに目を付け二人を仲違いさせ、邪魔者のムトゥを追放させる。落ち込むムトゥの前に現れたのは謎の聖人だった…。



アクション!コメディ!ロマンス!サスペンス!感動!歌!踊り!圧倒的爽快感!この映画にはありとあらゆる娯楽要素が詰め込まれて
いる
。おそるべしインド!

基本的には歌謡映画である。何か問題が起こったら、話が進展したら、とりあえず歌って踊る。ただ、そのスケールが半端ではなく、やたら大
人数で派手派手に延々歌い踊る
。それで万事オーケイさ!というノリが素晴らしい。


典型的なインド美少女(失礼)なヒロインは綺麗でいいのだが、問題は主人公の好漢・ムトゥである。こんな人なのだ。
上のリンク先を見てもらえればわかる通り、一言で言うと
おっさんである。しかも脂っぽい。
しかーし!そのおっさんが地元では
”SUPERSTAR”の二つ名で呼ばれる大スターなのである。
(なにせ映画の冒頭でいきなり”SUPERSTAR”のロゴが登場し度肝を抜かれる)

日本でいうならばキムタクを凌ぐセクスィー男優なのである。

そこのあなた、疑問に思っているならば百聞は一見にしかず、この作品を見てみればわかることでせう。そして格好良く(効果音付きで)手ぬぐい
を首に巻く練習に明け暮れることであろうて。


ちょっと他に例を見ないボリューム満点の傑作なのだが、欠点を挙げるならば、やはり長すぎ。



○「名探偵コナン 銀翼の奇術師」 ★★★★★(ファン限定) (04.4.20/劇場)
STORY:舞台女優・牧樹里の持つ”運命の宝石”を狙って怪盗キッドから予告状が届いた。依頼を受けた毛利小五郎と共に劇場へやって来た
コナンの前に、何と工藤新一に変装したキッドが現れるが、コナンは大捕物の末に宝石を守ることに成功する。翌日、樹里の舞台打ち上げに
参加するため一同は飛行機で函館へ。だがその機内で樹里が毒殺されてしまう。更に機長も事件に巻き込まれ、飛行機は墜落の危機に…。



劇場版第8弾。今回の趣向はコナンvs怪盗キッド、宿命の対決数回しか出たことがないのに(特に腐女子に)圧倒的な人気を誇るキッド
登場ということで
脚本も作画も気合い入りまくりの傑作に。
前半の湾岸エリアでの
大空中戦を経て後半は飛行機墜落のクライシスに協力して立ち向かうというありがちなれど盛り上がる展開

しかしそれを食っちまっているのが、毎年恒例の新一と蘭の絆の話、ここが希薄だと作品として盛り上がらないのだが、今回は後半のメイン
なっていていい感じ。
ここ数年の劇場版では今ひとつ影が薄かった蘭、今回は活躍しちょります。そして皆勤賞の割には何もしていない園子
正義超人ばりの
友情パワー炸裂
で頑張ってますぜ。

もう一つの映画版の目玉の、ありえねえアクションは若干控えめ。というのもクライマックスが飛行機操縦で躍動的アクションではないので。と
いっても派手に周囲を巻き込んでのパニックアクションにつき、きっちり盛り上がるので無問題。


つーわけで毎年の劇場版のフォーマットをしっかり押さえて作られた傑作で、ファンなら大満足間違いなし。流石熟練スタッフ。…あれ?
監督替わってるや。


…え?すいり?
このシリーズにそんなものを求めるのはお門違いですぜ?
推理なんて飾りですよ
にしても今回もやたら簡単。動機もありきたり。ま、飾りなんで。


勿論ファン以外の人のみならずファンだって、キッドが殺人はしない信条なのを利用して自分から落下して狙撃しようとするコナンくんは姑息だ
とかぶっちゃけ英理りんの出番に意味がないとかツッコミはいろいろあるが、あえてこれだけは言わせてもらうと、
小五郎って高所恐怖症じゃ
なかったっけ?




○「名探偵コナン 紺碧の棺」 ★★★ (07.4.24/劇場)
STORY:女海賊アンとメアリーの隠した財宝が眠るという伝説のある神海島にバカンスにやって来たコナン一行。だが、財宝を巡り殺人事件が
発生、調査に乗り出したコナンは財宝の在処の謎に迫る。だが、蘭と園子が悪徳トレジャーハンターに捕らわれてしまい、コナンは単身嵐の中
二人を追う。そして財宝への秘密の扉が数百年ぶりに開かれ…。



お馴染み劇場版も節目の10年を越え、新境地の11年目に突入。なのだが…
今回の舞台は海。って、それは一昨年やったやん!と思ったら、
ネタは流行の海賊もの。つーわけで推理というよりは財宝を巡る海洋冒険
もの
という仕様。なのだが…

う〜ん、どこを取っても低レベル。財宝の在処の謎解きも冴えなければ、劇場版恒例の”ありえねー!アクション”も低調
伝説の二人の女海賊になぞらえた蘭と園子の友情というウリも不発
「瞳の中の暗殺者」「銀翼の奇術師」での二人のさりげない
やり取りの方が泣けたわい

冒頭の微妙なサプライズや
真犯人と見せかけて結局何がしたかったかわからないおっさんまで含めて無惨な出来
作画の水準が高かったのが救い。まあ最近のTV版が酷すぎるからそう見えるのかもしれないが。


劇場版恒例の”コナンくんと蘭ねーちゃんのラブラブコメコメ”も最後にチラッとだけ(溺れそうになるコナンくんを助ける蘭ねーちゃんと
いうシチュエーションは「14番目の標的」でやってるしな。)
なので、むしろコナンくんと灰原さんの息の合った夫婦っぷりの方が印象に
残る。




○「名探偵コナン 漆黒の追跡者」 ★★★★ (09.4.27/劇場)
STORY:1都4県にまたがる連続殺人事件が発生、警視庁の合同捜査本部に小五郎ゆかりの名物刑事たちが一同に介する。黒の組織の
ベルモットから、連続殺人の犯人が持つある物を奪うために組織も犯人を追っていることを知らされたコナンは、犯人探しと顔見知りの刑事たち
の誰かに変装した組織のメンバー・アイリッシュの割り出しに奮闘する。だが、アイリッシュに正体が工藤新一であることを気づかれてしまう…。



劇場版第13弾。不吉なナンバーということで、宿敵・黒の組織が8作ぶりに再登場
とはいえ、前回は事件の本筋には絡まない顔見せ程度のなんちゃって登場で大いに肩すかしを食らったもの。それに、原作およびTV
本編を差し置いて物語が新展開を迎えることはありえない
ので、今回もたいした出番はないではないかと踏んでいたのだが…。
ところがどっこい、
事件にしっかり食い込み、あまつさえクライマックスでは東京タワー(東都タワー)を血と硝煙に染めての一大決戦が
繰り広げられる
じゃあありませんか。
つーかあれだけ派手に立ち回ったんでは組織の存在が明るみに出ちまうんじゃないんかねえ。


黒の組織メインの予告に隠れてしまっているが、各県の名物刑事全員集合のオールスターぶりもファンとしては嬉しい。
10作目に登場した横溝弟以外は松本警視正・横溝兄・山村・大和と初登場ばかり。7作目に出た映画オリキャラのおじゃる警部も忘れない
でやって下さい、と思ってたらちゃんと出てきてニヤリ
。そういう細かい目配せができるシリーズなのがいいのだよ。
更に服部まで登場でなかなかにお腹いっぱい。(大阪府警組までは流石に登場せず。)しかし
コナンと服部のラブラブぶりは相変わらず
だの。

黒の組織の存在感のせいで本筋である連続殺人の方はなんだかおざなりな印象。7人も殺されてるのに。相変わらず犯人当てが物的証拠
なしの推理のみ

黒の組織絡みなのにFBIの面々が出てこないのはちと残念。


非常に楽しめたのだが、ラストの戦いでコナンくんと蘭ねーちゃんがボコられるのがちょっち不快(爆発で負傷とかならともかく、直接殴る
蹴るの暴行というのはビジュアル的にもいただけない)なのと
ゲストキャラのDAIGOの熱演がいくらなんでもしょっぱすぎうぃっしゅだった
ので★1つマイナス
しかしDAIGO使うんなら主題歌も歌わせてやりゃいいのに。




○「名探偵コナン 11人目のストライカー」 ★★★★ (12.5.9/劇場)
STORY:Jリーグの試合中の東都スタジアムに何者かが爆弾を仕掛け、毛利小五郎に爆破予告をしてきた。現場に居合わせたコナンの活躍で死者
は出なかったが、犯人は次なる爆破予告の暗号文を送りつけてきた。犯人との電話でのやり取りから容疑者を絞り込めたが、特定できないままに
予告当日を迎え、犯人の恐るべき計画が明らかになる。爆破による大量殺人を防ぐため、コナンや日本各地のJリーガーたちが奮闘するが…。


毎度おなじみシリーズ第16作。副題だけ見ると11作目っぽいけどな。
あと11人目のストライカーというと、ブンデスリーガでSGGK若林くんがゴールをほっぽり出して前線まで上がってってカウンター喰らって追加
点取られた「キャプテン翼」のつまらねえ試合を思い出す


今回のネタ遠藤…じゃなかった20周年を迎えたJリーグという意外な切り口。まあコナンくんがサッカー好きだからね。
それならばぜひプロ野球ともコラボを………と思ったが、スポンサーが読売なのであのクサレ球団とベッタリになるのでそれだけは勘弁して。
なので過去に登場したヒデナオキなどJリーガーなキャラクターが登場で、
昔からのファンの心をくすぐってくれる
ヒデなんて最初期に登場したんだよなあ。
弁当型FAXとか…。

ともあれ遠藤…じゃなくてJリーグなんて事件と絡めると地味っぽいネタをどう料理するのかと思ったら、競技場大爆破すなわちパニック・イン・
スタジアム
という外連味たっぷりな展開。

たった一人で全国の競技場に、しかも爆破事件があって警戒が厳重になっているはずなのに、爆弾を仕掛けてまわるのは無理がありすぎ
だろうとは思うのだが、無理があるのはいつものことだからなあ。まあ今回一番無理があったのは遠藤…ゲフンゲフン。
こちらはいい意味で無理がありすぎる名物アクション。今回も
無理を遙か斜め上に通り越した超絶アクションをコナンくんが披露。なんかもう、
そのスケボーでLFOとかKLFとかと戦えるんじゃね?

そして今回のウリ実在Jリーガーたちが自分で声まで担当してしまうこと。
ガンバ大阪、そして日本代表のMFにしてフリーキックの名手として有名な
遠藤を筆頭に、全く印象に残らない数選手が参戦
ただ、
キングカズだけは別格の扱い。声の演技も上手いとはお世辞にも言えないが、なかなかいい仕事をしていたいつも大人ぶってバーロー
しか言わない(誇張)コナンくん
子どもに戻ってしまう印象的なシーンだったし。
あともう一人たいして有名でもない若手女優もゲストで声をやっていたが、こちらも女優の立ち位置的にも役柄的にも、何故わざわざやらせる
のかわからん印象
「ゴジラ」シリーズ末期の誰得だかわからんカメオ出演みたいでウザい
あと
遠藤は違う意味で別格な
しかし、後半に全国各地で試合をしているJリーガーたちが時限爆弾の爆発を阻止するためにその技術を駆使して活躍する名シーンがある
のだが、そこでは声を当てた選手たちが全然活躍しないのはもったいない


さて、今回のクライマックスはゴールポストに取り付けられた爆弾の起爆装置を止めるため、危険を顧みず(顧みなさ過ぎ)駆けつけた少年探偵団
の4人から託されたサッカーボールを、
コナンくんが非常に難しい位置から蹴り抜いてゴールポストに命中させるというもの。
そこで前半、サッカー教室で
コナンくんが遠藤にフリーキックの蹴り方を教わったという伏線が生きてきて、シュートの瞬間、脳裏にその助言が
フラッシュバックするというナイスなシチュエーション
なのだが、
遠藤、その覇気のない演技はねーわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

例えばそう、故・マイク水野の山下閣下「デビルマン」の主役(「ほわ〜ん」)アカデミー賞ばりの熱演に思える史上最低レベルの演技力
例えばそう、好きな男の子と満月の夜に涸れ井戸の底で二人っきり、ものすご〜くいいムードになって近づく二人の唇、その瞬間
鳴り響いて
しまう腹の虫
、ってぇくらい、台無しよー!

蘭ねーちゃんは今回は完全に空気でオチ要員日向くんばりのキック力でボールをパンクさせるのかと思いきやそういうオチか。
あと
ヘディングしたら角でそれこそパンクするから

まあいろいろ無理がありすぎる出来だったが、全て遠藤が持ってってしまった



○「名探偵コナン 水平線上の陰謀」 ★★★★ (05.4.19/劇場)
STORY:八代造船の豪華客船・アフロディーテ号の処女航海に招かれたコナン・蘭・小五郎たち。が、船上で八代会長とその娘が相次いで
殺害される。さらに数週間前には社長も不審な事故死を遂げていた。そこには15年前の海難事故に隠されたもう一つの事件が隠れていた。
逃走を図る犯人の手でアフロディーテ号は爆破され、沈み始める船の中で二人の名探偵の推理が冴え渡るが、その頃蘭の身にも危険が…。



劇場版もとうとう第9弾
今回の舞台は海!豪華客船!逃げ場のない密室!二重の陰謀!毛利小五郎大活躍!爆発炎上決死の脱出劇!
つーわけでどの要素を取っても
過去の劇場版で一度はやったものばかりで目新しさがなく、流石にマンネリ感はいなめない

今回は珍しくフーダニットではなく犯人が最初からわかっていて、ところが実はそれがトリックで…という展開はよかったが、無駄に入り組み
すぎ。ただの
共犯でいいじゃんか。
相変わらず
声優の豪華さで犯人が割れるわけだが。榊原良子の声も流石に老けてきてしまったなあ…。
久しぶりに小五郎が活躍するも、あすこの見せ場は援護無しに一人で倒さないと駄目だよなあ。何故犯人を見破ったのか、という動機は
すげえよかった
が。
オチもうまくまとまっていて、こんな毎回毎回死体ばっかり出てくる作品、子供の教育上よろしくない、というママさんたちにも安心。多少、取って
付けた感はいなめないが。


とまあボヤキばかり書いてるが、水準は相変わらず平均以上なのでそつなく楽しめる一本

来年はついに10周年。思い切った記念作を期待する。劇中でも言ってた通りいっそ宇宙に行くだとか、番外編で時代劇とか西部劇とか



○「名探偵コナン 戦慄の楽譜」 ★★★★ (08.5.7/劇場)
STORY:名音楽家・堂本一揮が作った音楽堂のこけら落としのコンサートに招かれたコナン一行。が、堂本の周りでは音楽家の連続殺人
など危険な匂いが。コンサートに出演するソプラノ歌手・秋庭怜子が何者かに狙われ、コナンが護衛するが、コンサート当日に不意打ちを
受け二人とも捕らわれてしまう。そして、会場では爆弾が次々と爆発し、中に閉じこめられた蘭たちの身に危険が迫る…。



毎度お馴染み劇場版第12弾
今作で
は第1作〜9作(6作除く)まで脚本を担当していた古内一成が復帰世界観やキャラを知り尽くした(というか土台を作った
一人である)氏の復帰で
クオリティは見事に向上。いや、去年が酷すぎただけで、例年並に戻っただけだけど。

つーわけで(いい意味で)いつもの面子のいつもの如きやり取りが繰り広げられるのだが、今回特異なのは、犯人でない映画オンリー
のゲストキャラが大活躍する
という点

何者かにつけ狙われコナン君にガードされる
天才ソプラノ歌手・秋庭怜子嬢がその人なのだが、終盤のアクション&謎解きでコナン君の
バディとして大活躍してしまう
のである。過去作を振り返ってもこれだけ待遇がいいゲストキャラはいないッス。CVは桑島法子。

新一と蘭のラブラブコメコメもいつも通り健在。他方、コナンくんと灰原さんの息の合った夫婦っぷりも相変わらず
ありえねえド派手アクションは今回控えめその代わりの見せ場として、
アッと驚く110番通報が用意されているのだが、絶対音感を
持ってても音痴のコナン君がそんな短時間に正しい音出せるんかね


秋庭怜子嬢のライバルのロリ顔の歌手がいるのだが、終盤になってようやく声を発してみれば顔に似合わぬ水谷優子の老いさらばえた
すげえガッカリ

あと灰原さんと元太の間接キッスがなにげにすげえショック



○「名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌」 ★★★★ (06.4.19/劇場)
STORY:横浜の遊園地・ミラクルランドに招待されたコナン・蘭・小五郎と少年探偵団。だが、それは罠で爆弾付きの腕輪で蘭と子供たちを
人質に取られたコナンと小五郎は、謎の依頼人に命令されるまま事件を探して奔走する。同じく和葉を人質に取られた服部・帰国していた白馬
探と合流したコナンは事件の核心に迫るが、謎の追っ手に襲われ負傷してしまう。さらに事件の影には怪盗キッドの姿が見え隠れしていた…。



ついにシリーズ10周年である。イソノ界に取り込まれているからいいものの、本当ならば少年探偵団の面々ももう高校生になっちまう歳月
が過ぎている
わけで。蘭ねーちゃんも三十路の声が聞こえてきそうなわけで。

さておき、10周年ということで豪華オールスターお祭り編という趣向とのことだが、意外に登場キャラが少ないのが不満。服部や怪盗キッド
なんて準レギュラーみたいなものじゃん。
つーか見終わっての感想は、
服部目立ちすぎコナンくんとラブラブすぎ。そして新一と蘭のラブラブコメコメなさすぎ
これは今回の脚本家が刑事アクションものが得意な人で、意図的にやったとのこと。TVアニメ初期から関わっていた人なので
「ベーカー
街」の時のアレ
みたいに噴飯ものにはならなかったので構わんけど。

つーわけで不満点はあるものの、探偵たち+怪盗さんが格好良く活躍していたので、ファンなら満足できる良作。事件自体はナニだが。
出れないキャラは多かったものの、出ているキャラには皆見せ場があるし
中でも
灰原さんの中盤のアレとラストのアレはよかった。あと園子の使い方もGJ。(どうせなら待ち合わせしていたとかで京極を出してやれば
よかったのに。)阿笠博士と目暮警部とのやり取りにちょっとホロリ


犯人は「コナン=工藤新一だと知っている」ということから、てっきり工藤パパ&ママの10周年記念ドッキリ大作戦だと思ってたんだが、まさか
出番すらないとは…。



○「名探偵コナン 沈黙の15分」 ★★★★ (11.4.25/劇場)
STORY:都知事・朝倉優一郎の暗殺未遂事件が発生。事件の根っこが朝倉が国土交通大臣時代に携わった新潟の北ノ沢ダムにあると
推理したコナンはいつものメンバーと現地へ。そこで知り合ったのは、それぞれ曰くありげな過去を持つ、ダムに水没した村の出身の5人の
青年たち。その一人・立原冬美の一人息子・冬馬は事故で意識不明だったが8年ぶりに目を覚ます。その彼が命を狙われ…。


毎度おなじみシリーズ第15弾本当ならば少年探偵団は成人してるし、蘭ねーちゃんも三十路突入してますよ
今回の舞台はシリーズ初となる
雪山。陸海空あらかた制覇したかと思ったが、まだまだ行ってないところも探せばあるのね。じゃあ来年は
砂漠かジャングルだな


今作は監督が新人さんに交代
この人、アニメの初仕事が
「ジャイアントロボ 地球の制止する日」の制作進行らしいが、それって働いてないってことじゃね?
それはさておき、やはり監督が変われば芸風も変わる、ということで最初からクライマックス(電車ネタだけに)でなかなかエキサイト。
勿論本来のクライマックスもなかなか盛り上げてくれ、
満腹度は高い

つーかコナンくんのスノボアクションが過剰に激しく、どこのゲッコーステイトだよ!とツッコミを入れずにはいられない
蘭ねーちゃんや少年探偵団にもしっかりスポットが当たっており、好印象。
灰原さんの恐妻ぶりも磨きが掛かっております。
小林先生スクリーンデビュー
今年も
ゲストのおにゃのこかわいい。でもあんなに大きい子どもがいてショックだった。姉弟かと思ってたのに。
戦場カメラマンの声が聞こえてきた時は失笑したが、画を見たら爆笑してしまった

とまあ、キャラ良しアクション良しストーリーも大筋良しの佳作だった。秘密道具の意外な使い方も生きてるし。

ただ、都知事に脅迫状→任期中に特に不備はなかったはず→その前の大臣時代に何かあったに違いない!という論法があまりに
強引すぎる
のが気になって仕方がなかった。青少年健全育成条例改悪とかやったのかもしれないじゃん。
まあ
推理が強引なのはいつものことだけど。

あとダムが決壊して濁流が街を飲み尽くさんと襲い来る、というシーンがあって、この時期にこんなんやっていいのかと心配になった。



○「名探偵コナン 天空の難破船」 ★★★★ (10.5.7/劇場)
STORY:怪盗キッド捕縛に燃える鈴木次郎吉は大型飛行船「ベル・ツリーT世号」の東京−大阪間のお披露目飛行で秘宝「天空
の貴婦人」を展示、キッドを迎え撃つ。しかし、船内にテロリスト「赤いシャム猫」が侵入し、感染すれば致死率100%の殺人ウィルス
を撒き散らし飛行船を乗っ取る。コナンは彼らに捕まり遙か上空から船外に放り出され、蘭はウィルスに感染してしまい…。



毎度おなじみシリーズ第14弾
今回の目玉は
怪盗キッド登場(4年ぶり4回目)。舞台は大空・飛行船。予告編ではキッドにとんでもないものを盗んでいかれた
っぽい蘭
とキッドのラブシーン
がフィーチャーされ、コナンくんに寝取られの危機到来!といった感じなのだが、いざ蓋を開けて
みれば
キッドはおまけっぽく劇場版ではいつもなような気も…。)、メインは極悪非道テロリスト集団との空中大決戦だったり

致死率100%の殺人ウィルスを所持した国際テロリスト集団世界一の飛行船をハイジャックして大阪に墜落させようとする
という怪盗キッドの存在が霞みまくる
シリーズ最大規模の事件なのだが、銃で武装したテロリスト集団をコナンくん一人で制圧
してしまう
のは流石にいくらなんでも無理がありすぎるような(笑)
新兵器なしでいつもの手駒で立ち向かうコナンくんがかわいそうなので、博士はフラッシュグレネードとかスタンガンとか催涙スプレー
とか殺人レーザー光線とか汎用人型決戦兵器とかを開発してサポートすべき。


そしてこれだけの事件でありながら、実は死人0

今回は珍しく変装していない素のキッドとコナンくんの競演&共闘シーンが多かったり、ファンへのアピールは万全。
何故かキッドと出番の被る(しかし劇中でほとんど競演はしない)
服部平次も登場(2年連続5回目)。恋敵が参戦では黙って見て
られないというわけなのか。
おまけで謎の新キャラのガキンチョも登場。次作への伏線かと思いきや、
単に話題作りで大橋のぞみを出演させたかっただけ
なのね。なんというVIP待遇。まあガキンチョキャラなので棒読みも許せる範囲で、前作のDAIGOと比べるとマシ。
犯罪のプロである真犯人の声がどうにも張りがなくて緊迫感に欠けたのだが、中の人は戦闘のプロの人で、「マイマイ新子」に続いて
のガッカリ演技に寄る年波を心配せざるを得ない。
冒頭に出てきた警察のお偉いさんに見覚えがあると思ったら、「瞳の中の暗殺者」に出てた人か。こういうリンクが嬉しい。
そして脇キャラのおにゃのこが相変わらずかわええ。


今までのパンフにはキャストが全て掲載されていたのに、今回は一部のみで著しく不満。つーか真犯人の名前&キャストすら
載ってない
というのはいくらなんでもどうなのよ?



○「名探偵コナン 天国へのカウントダウン」 ★★★★★(ファン限定) (01.4/劇場)
STORY:日本一の高層ビル・ツインタワーに立ち寄ったコナンらは、そこで黒の組織の男・ジンの愛車を目撃する。その晩、市会議員・大木が
タワー内で殺された。さらに、タワーを経営する会社の専務・原も自宅で殺される。二つの現場に残された謎のメッセージ、灰原哀の怪しげな
行動。謎が解明されないままツインタワーの完成パーティが開かれるが、会場で新たな惨劇が…。そして爆音と共にタワーが炎に包まれる…。



劇場版「名探偵コナン」第5作
今回は灰原哀にスポットが当たり、さらについに黒の組織が登場。となれば、コナンくんVS組織のハードアクションや、灰原のコナンくん
への切ない想い
やらを軸として展開するであろうと期待してしまうわけだが、
まったくもって裏切ってくれる
また、映画版の見せ場は、コナン=新一と蘭の絆の再確認にあると思っているのだが、今回はそこすらも希薄


では、駄作だったかというと、恐ろしいことに、非常に面白かったりするわけで!
相変わらず、そんなわけねーだろ!とツッコミを入れつつも爽快痛快なアクションに加え、いつもの面々の特性を活かした見せ場が多彩
で、大満足。特に、劇場版ではいつも役立たずだった少年探偵団の活躍がなかなかに燃える。光彦も元太も男だぜ!
終わってみれば、灰原さん萌え〜!ではなく
歩美ちゃん萌え〜!という作品だという罠。



○「名探偵コナン 迷宮の十字路」 ★★★★★(ファン限定) (03.4.22/劇場)
STORY:東京・大阪・京都で盗賊団”源氏蛍”の団員たちが殺される事件が発生した。一方、小五郎・蘭・コナンらは”源氏蛍”に盗まれた仏像
探しの依頼を受け京都へ。コナンはそこでやはり事件を追っていた服部と再会するも、服部は謎の男に命を狙われる。”源氏蛍”の生き残りの
正体、服部の初恋の人の行方、盗まれた仏像の在処…二人は次々と謎を解くものの、謎の男に和葉がさらわれ、服部も凶刃に倒れてしまう…。



うわっ、面白え!!!(ファン限定)
去年がかなりの変化球だったということもあるが、今回は
直球ど真ん中の、原作者曰く「ラブラブコメコメ」で、「コナン」らしさ全開で大満足。
今回メインのカップルは大阪組で、10年近く前の初恋の人を探す服部にやきもちを焼きながらそれでも付き合う和葉はホンマええ娘やなあ。
つーかもう片方のカップルたる蘭なんかもうその優しさは
菩薩様レベルになっていて思わず拝んでしまいますが。
あ、あと
コナンくんと服部もバッチリとイチャイチャしまくってたのでおねいさんたちも安心だ!…だってありゃあもうデートじゃん!

そしてもう一つの映画のウリは恒例”無理だっつーの!”アクションで、これが今回すげえ力が入っていていい出来。
犯人VS服部&コナンくんの「頭文字D」チックな(CG合成という意味で)バイクチェイス(いかんせんBGMがパッとしないのが惜しい!)、
クライマックスの一大殺陣(あんな刀が唐突な登場するのには燃えつつワロタ)、そして
コナンくんチャクラ光を放ちながら飛翔!(誇大表現)と
燃えまくりッス!


まあ散々予告で流しまくっているので書いてしまうが、重傷の服部に代わって決戦の場に和葉を助けに現れたのは薬で一時的に戻った新一な
わけで、惚れた女を助けに行くのが代役だなんて、予告で見ていて、
あたかもベジータの如く引き立て役扱いな服部(声も同じだし)が不憫で
不憫でならなかったのだが…実際見ていたら、おう!やってくれるじゃあないですか!!


キャラ描写は去年と違って、流石にシリーズを知り尽くしている方の手によるだけあって、園子、高木、白鳥と脇キャラも生き生きしていてグッド。
ゲストキャラも
あまりにも怪しい京都府警の綾小路警部や飄々とした和尚さんら実にいいキャラっぷり。犯人はちと存在感に欠けるか。

シリーズ歴代でも一、二を争う傑作!(ファン限定。)萌え燃えッスよ!欲を言えば、せっかく逢えた蘭と新一のシーンをもう少し描いてくれれば
なあ、と。




○「メメント」 ★★★ (’02.3/劇場)
STORY:妻がレイプされた上に殺された現場を目撃したショックで前向性健忘症となってしまったレナードは、それ以降の記憶を10分間しか
保てなくなってしまった。それでも妻を殺した犯人を捜すため、彼はポラロイド写真にメモを書き込み、重要な事実は体に入れ墨して残し、事件
を追い続ける。そして、レナードはついにジョン・Gという男が犯人だと突き止め、射殺するが…。



「めめんと」と聞いて真っ先に「純情パイン」を思い出してしまうのは…親父、俺は間違ってるかい?(←かなり)
さておき、荒木飛呂彦先生も「ストーン・オーシャン」で思いっきりいただいていたアイディア作品。
主人公は10分前の記憶を覚えていることができないという設定の元、物語は
いきなり、追い続けていた犯人を見つけだして射殺するという
結末からスタート
して、どんどん記憶を遡っていき、そして冒頭部分で意外な真実が明らかにされるという造りで、観客も情報を整理する
ために必死で物語に食いついていく必要がある。普通に発端から順に見ていけば実はどうってことない話なのかも知れないが、演出の力で見事
に見せてくれる。とか書きつつ、実は中盤くらいまで、不覚にも極度の眠気で作品内とシンクロして記憶が途切れ途切れになっていたため
に見落としが多々あり、わからなかった所が多々あったりして
(汗)


そんなこんなで、情報を整理するためにもう一度見たくなる映画。DVD化されたら、時系列に沿ったバージョンが特典で入っていることを希望。
と思っていたら案の定入っていた。


前向健忘症になったという記憶ってそもそも残らないんじゃねえかとか、ビデオカメラくらい使えやとか、そんなツッコミはおいといて。
最後に、パンフに載っていた松尾スズキの推薦文を紹介しときましょう。

”「もう忘れたのかよ!」「また嘘かよ!」。さまーずの三村と一緒に見たい映画ナンバーワン!”

あ、パンフに飯野賢治が文章書いてた。つーか、まだ生きてたのか。



○「メランコリア」 ★★ (12.5.22/劇場)
STORY:自由奔放なジャスティンが新郎と結婚式を行う記念すべき日、式の途中から次第に異常を来し始めた彼女は結局式をぶち壊しにし、夫も
仕事も失う。数週間後、鬱病で日常生活にすら支障を来すようになったジャスティンは、常識人の姉・クレアの夫の営むホテルに転がり込む。その頃、
地球には巨大惑星・メランコリアが迫りつつあった。地球に衝突はしないとの科学者の発表だったが、クレアはどうしても不安を拭えずにいた…。



救いのない映画を撮らせたら世界で一、二を争うイヤ〜な男、ラース・フォン・トリアーの最新作はなんとSF風味。まあ、あくまで風味だけど。

冒頭の主人公のイカレポンチ・ジャスティンの予知だか妄想だかわからんストップモーションの素敵映像世界が刻一刻と破滅に近づく最後
の30分
くらいは面白いが、それ以外が不愉快。
メランコリアというのは憂鬱転じて
鬱病のことを指すそうだが、鬱でおかしくなってジャスティンが自分の結婚式を台無しにしてしまう第1部
ひたすらイライラさせてくれるジャスティンの母親がまたムカツク。そんな憎まれ口叩くならそもそも出席するなっつーの。父親もスプーン隠す

しかしあれは果たして鬱病の症状なのか?
ただの気狂いじゃないのか?

そして第2部になってようやっと浮遊惑星メランコリア登場。
月の白い光とメランコリアの青い光が夜を照らすのは幻想的で素敵。その光で月光浴ならぬメランコリア光浴を楽しむ全裸のジャスティン@
キルスティン・ダンストがふつくしかった
。ただし美しいのはそのシーンだけな

巨大惑星の接近と共に日常が徐々に崩壊していくにつれ、逆に立ち直るジャスティン。むしろ普通の人たちがジャスティンと同じレベルに退化
しているのか。
そして、ブルース・ウィリスならぬ
ジャック・バウアー程度では太刀打ちできなかったのか、メランコリアが地球に衝突してしまうのが確定的に
明らか
になってしまった時、死に至る病にうちひしがれるクレアとその幼子を救うべく、”スチールブレーカー”の異名を持つジャスティンがついに
その秘められたる力を解放する!


つーわけで「DEAD OR ALIVE 犯罪者」「デスプルーフ」を思い出してしまう鮮やかな終わり方は気持ちいい。そりゃあそうなるよなあ。
科学的にあんな風になるわけないんだけど、そんなの関係ねえと言わんばかりのビジュアル重視は正解
あのまま生きていてもいいことないし、みんな仲良く滅んでしまえる、しかも死の瞬間まで希望まで持たせてあげるというおまけ付き、という意味では
監督の言うとおりなかなかに
ハッピーエンドなのか。

1部と2部の対照構造とか箱庭的世界観とか暗示だなんだとか、深読みする気になればたっぷりできる作品だが、そんな気にならないのは監督
の人徳
かのう。



○「盲獣」 ★★★★ (03.1/ビデオ)
STORY:売り出し中のモデル・アキは盲人の彫刻家・道雄とその母親に誘拐され、秘密のアトリエに連れ込まれる。壁一面の目!唇!脚!
乳!そして中央にそびえる巨大な女体!そこは道雄の研ぎ澄まされた触覚で作り上げられた人体オブジェだらけの異空間であった。彼はそこ
でアキに究極の触感芸術のモデルになってほしいと哀願する。やむなく引き受けたアキは道雄を誘惑し脱出の機会を図るが、やがて…。



オイラが生まれる数年前に撮られた原作・江戸川乱歩、監督・増村保蔵による30年以上経った今でも語り継がれる怪作
価値を知らなかったのに今までよく自分の店の売場から返品してしまわなかった、偉いオレ!


最大の見所はアトリエ内の女体オブジェ。エロ!グロ!ナンセンス!そしてラスト10分の怒濤の狂いっぷり!
主演の緑魔子は浜崎あゆみみてえな抑揚のないしゃべりで最後まで通すが、それでいて高ぶる感情とかがわかるんだからお見事。微妙に
かわいい演技の壊れた盲人・船越英二との
気狂い転落演技は壮絶。
「気狂い!」、「めくら!」と今では到底放映できないような用語てんこ盛りの壊れた逸品。




○「盲獣VS一寸法師」 ★★ (04.4.5/劇場)
STORY:浅草レビューの看板踊り子・水木蘭子のショウを見た三文小説家・小林紋三は隣席の不審な男のことを気に掛けていた。しかして、
その日を境に蘭子は失踪してしまう。それは不審な男−盲目の芸術家による誘拐だった。時を同じくして紋三は懇意の人妻・百合枝から義娘の
失踪を打ち明けられる。その影には謎の矮躯の男−一寸法師の暗躍があった。紋三は友人の名探偵・明智小五郎に助けを求めるが…。



「恐怖奇形人間」などで知られる老カルト監督・石井輝男の最新作。とはいっても、完成したのは3年前で、今まで劇場が決まらずお蔵
入りしていた
という裏話が。
まあ、
劇場が決まらないのもさもありなんという程度の出来ビデオ撮影で実にチープ

原作は江戸川乱歩の短編2つで、それを強引にミックスしてしまっている。つーか実は2つの事件が平行して語られるだけで双方関連は
ない
という構成はトホホ。
「盲獣」も「一寸法師」もすでに映像化されている物語で、
前者は見たことがある。それと比べると今回のはあまりにもチープ狂気の深さ
比べものにならない。


全編エログロナンセンンスで構成されている。つーかほとんど狙ってないナンセンスばっかだが。エロについてはやたらオパーイが多い
のがうれしい。
グロはラスト10分くらいで大爆発する。そしてオチは丹波哲郎



○「魍魎の匣」 ★★ (07.12.25/劇場)
STORY:昭和27年。少女バラバラ連続殺人事件が世間を騒がす中、探偵・榎木津は美人女優・柚木陽子から一人娘・加菜子の捜索を依頼
される。彼女は巨額の遺産を相続する予定だった。が、彼女は何者かに襲われ重傷を負い、巨大な箱の如き美馬坂研究所に運ばれる。一方、
敦子と関口は悪質な新興宗教の御筥教を調査していく内に美馬坂研究所に行き着くが、京極堂は「あそこには近づくな」と言うのだった…。



一大ベストセラーである京極堂シリーズの第2作にして最高の人気作の実写映画化。
所謂”映像化は不可能と言われた”という類のものである。この作品の場合、ビジュアル的なもの云々よりも、中身の大半が蘊蓄で構成
されているという造りが問題
であり、どっちかっつーと、”映像化しても面白くならない”という印象だったのだが、お偉いさんにはそれが
わからんのです

まあそれでも確かにシリーズ屈指の耽美な事件は映像で見てみたくないこともなく、その点では前作の監督はうってつけだったのだが、
残念なことにお亡くなりになられてしまった。(前作もそんな感じで期待したら意外に理詰めでガッカリだったのだけれども。)
その代わりに担ぎ出されたのが「突入せよ!あさま山荘事件」を監督した
原田眞人なのである。
しかしこの男、
「ラストサムライ」で欧米に媚び諂いサムライたちを根絶やしにする政府高官を演じた男で、その後ジェット・リー主演の
「SPIRIT」でも試合で勝てないジェット・リーを毒殺しようと企む日本のお偉いさんを演じていて(アテ書きっぽい)
、なんつーか
”ミスター日本の恥”的な印象のおっさんなのである。「ガンヘッド」の監督だしな

さてずいぶん前フリが長くなってしまったが、作品の感想である。
そんなわけで、まともに原作を映画化はできないため、どう脚色するかというのが見所だったのだが、
まさか、まさか、
コメディ映画になっていようとは流石に想像もつかなかった
関口君、この世には不思議なことなど何もないのだよ???


そりゃあまともに映像化は無理だけれども、こうもヤケクソっぽく開き直って調理されてしまうとは…。なにせ”衆人環視の密室から動けない
包帯美少女が消失”という
原作のミステリとしての一番のウリであるプロットすら使われてないんだから。

通常ならばブチ切れてしかるべきなのだが、そこはそれ、”ミスター日本の恥”ですから。パンフでも自信満々に偉そうに語っていたりして、
なんかこう、
「アイツじゃ仕方ねえなあ…」と苦笑しか湧いてこなかったのはある意味人徳なのか。

つーわけで原作のテイストを徹底的に破壊され、かといって単体で見るにはあまりにもグダグダ(編集で楽に30分は短くできるだろ!)
内容については特筆すべきことはほとんどないので以下細々と列挙。


京極堂・関口・榎木津の掛け合いは、関口が普通の人間として描写されているので原作としては成り立たないが、役者、堤真一・椎名
桔平・阿部寛の掛け合いとしては非常に楽しい
のが困る。
事件の鍵を握る幻想文学界の新鋭・久保竣公を
演じるのがクドカンという段階で作品が破綻していて苦笑。それでもクドカンが真面目な
演技をしていればまだ成り立つ余地はあったのだが、いつものオチャラケ脱力系演技だもんなあ。確信犯か、カントク。
前作とは服装も性格もまるで別人になってしまった中禅寺あっちゃん。ヤケクソで田中麗奈をいぢって遊んでるよこのカントク。
前作とは外見も性格もまるで別人になってしまった関口。つーか役者が代わったからな。
椎名桔平というキャスティングは原作読んだ人間
ならばまず思い浮かばず、実際完全に失敗している
のだが、完全に別キャラとして見るならばコメディリリーフとして、アリ。
そんなわけで美馬坂近代医学研究所のビジュアルが出る頃には最早失笑する余地しか残されていなかった。大仰でよろしい。
そこに主要メンバーが突入してからがあまりにもグダグダ
ありえないほどにグダグダ
美馬坂役の柄本明はどういう演技で来るかと思ったが、抑えた壊れ方でよかった。そこまでの流れだと、志村けんとのコントの時っぽい感じ
で出てきそうですげえ怖かった
ので。

サイバーなクドカンの最期には思わず大爆笑謝れ、真面目に期待して劇場に足を運んだお客さんに謝れ!うはははは。
頼子役の谷村美月はやっぱりかわいい。加菜子クンと頼子クンの百合っぷりが端折られまくって寂しい限り。

肝心要のラストの、「ほう」が百歩譲ってギリギリOKだったので最悪な印象で終わらなかった感じ。美少女だしな。でもあの見せ方は…
つくづくセンスねえなあ
。裸に剥いて乳首は消すという意味がわからん。KY!KY!
当然カントクの息子も出演していた遊人という名前のカントクの息子の役者さんは出演作が父親の監督作とピッタリ一致します

とまあ書き連ねている内にカントクが段々「ピューと吹く!ジャガー」の三太夫セガールっぽいイメージになってきて一人で受けてしまった。
すると遊人はジョン太夫




○「モーターサイクル・ダイアリーズ」 ★★★★ (04.12.15/劇場)
STORY:’51年。ブエノスアイレスの医学生エルネスト・ゲバラは悪友の生化学者アルベルトと、バイク二人乗りで南米横断の旅に出る。出た
とこ勝負の行き当たりばったりの旅の末、オンボロバイクは壊れてしまい、二人は徒歩での旅を続ける羽目になる。アルゼンチンを抜けチリを
経てペルー、コロンビア、ベネズエラ…。そこで暮らす人たちの厳しい現実に触れ、二人の中で少しずつ何かが芽生え始める…。



エルネスト・ゲバラの実際の旅行日記を元に作られた青春ロードムービー
頭の中で思わず
「1/6の夢旅人2002」が流れてしまうようなスットコドッコイな二人の旅立ちは非常に楽しそうで観ていてこちらも
ドキワクである。
が、
牛に突撃してバイクがオシャカになり徒歩の旅が始まると、二人の目の前には貧困に苦しむ人々の現実が否応なしに飛び込んできて
しまう
。そして真面目なエルネスト青年は悩みながら成長していく…。


そしてエルネスト青年は後にファミコンでゲーム化されるほど有名になるわけなのだな。

チェ・ゲバラのことはカストロの相方の革命家だということくらいしか知らずに観たが、ロードムービーとして楽しかったんでこの点数。旅ものに
は評価甘いので。




○「モールス」 ★★★ (11.12.12/劇場)
STORY:ニューメキシコ州の田舎町に住むオーウェンは両親の離婚問題やクラスメートからのいじめに深く傷ついていた。冬のある日、
アパートの隣の部屋に初老の男と少女が引っ越してくる。何故かいつも裸足の大人びた少女、アビーにオーウェンは次第に惹かれていく。
時を同じくして平和だった町に猟奇殺人事件が連続して起こる。そしてオーウェンはアビーの恐るべき正体を知ってしまう…。



’08年のスウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」ハリウッドリメイク。向こうの公開は’10年。
が、日本では’10年と’11年でほぼ1年という短いスパンで公開。


リメイク作というのは基本的に元の作品が面白いからそういう企画が持ち上がるのだが、色気を出して余計な要素を取り入れたり
わざわざ設定を変えたりした挙げ句
元の面白さを損ねて大失敗に終わるというパターンが多い
その点トッポってすげえよなあ。この作品は先達の死屍累々ぶりをふまえて
慎ましやかに元の作品へのリスペクトを忘れずに製作した
ことには非常に好感がもてる
だがしかし、
いくらなんでも同じすぎじゃね?思わずそうツッコミたくなってしまうほど、まんまの造りなのである。
それはそれでなんだか物足りないのである。

一番大きな変更点である舞台の変更−スウェーデンからアメリカの片田舎へ−は、ほとんど違和感はなかった
一応
ホラーシーンは予算と技術が上がったので凄みが増している(特に元の作品から変更された自動車事故のシーンなんか)が、元の
作品の、ホラーから一歩踏み込んじゃってコメディみたくなってしまった演出まで再現している
ので、さらに笑えるようになってしまった
相変わらず
病室の炎上シーンは唐突すぎて爆笑せざるを得なかった。

じゃあ何を楽しむかといえば、ハリウッドが誇る二人の天才的な子役の演技であろう。
主人公のいじめられっ子のオーウェンに
「ザ・ロード」コディ・スミット=マクフィー
「ザ・ロード」では時はまさに世紀末な世界をさまよう役だったのですすけた印象だったが、
きっと身だしなみを整えればかわいいんじゃ
ね?
と期待させるものを持っていたのだが、実際小綺麗にしてみたらあんまかわいくなくってちょっとガッカリ
だが、なかなかの眼力を持っていて今後が楽しみな存在。


ヒロインの吸血少女・アビーに「キックアス」の衝撃冷めやらぬクロエ・グレース・モレッツ略してクロレッツたん
おそらく
全世界で一番返り血が似合う美少女。例えばシアーシャ・ローナンたんなんかと比べるとずいぶんアクの強い顔ではあるのだが、
役どころがオタクの魂を引きつけてやまない倒錯美少女
なので床に滴った血液を我慢しきれず理性を失って這いつくばってペロペロ舐めてしまうというエロいエロいシーンで、顔に無駄な
エフェクトを掛けるなんて
無粋さはもう馬鹿かと阿呆かと

離婚した父親がホモだったり、吸血美少女と思いきや去勢された男の娘だったり(それ故、セックスという見返りを受けられず、純愛が
クローズアップされた
のだが。←まあ男の娘なら後ろの穴でもいいやという下司な意見はなしで。)という同性愛的な設定は見事にオミット
されている
のだが、元々隠し設定のようなものだったしなあ。

まあクロレッツたんに仕えられるんなら喜んで見ず知らずの男を逆さ吊りにして血液抜くくらいやりますわいなあ。



○「モンキー・エクスプレス」 ★★ (02.7/ビデオ)
STORY:L.A。ハリウッド俳優を夢見るアキラは、食うにも事欠き、ギャングっぽい二人組からいわくありげなトランクを二千キロ離れた町まで
車で運ぶ仕事を引き受ける。が、相棒のヤクザ鬼丸がトランクを横取りしようとしたせいで、はずみで撃ち殺してしまい、目撃した黒人女性を
拉致して逃亡するハメに。トランクを狙う刺客や、復活した鬼丸の追撃に加え、さらった女は病気持ちで薬漬け。アキラの運命やいかに?



室賀厚監督の2001年度作品。他の二人の監督と、低予算でどれだけ面白いアクション映画が作れるか競い合うという企画だったようで。
つーか
いつも低予算じゃん

主演は室賀作品「SCORE」で友情に生き、友情に散った、撃たれても撃たれても撃たれてもなかなか死ななかったいい男・テキーラこと
江原修。しかし今回は不幸で実に冴えない男を見事に演じており、ちょっと残念。
今作は、アクション控えめ(予算少ねえし)のロードムービーな作りで、バリバリのガンアクション(無論撃たれても撃たれても撃たれても皆
なかなか死なない。)を期待していたので、ちょっと残念。
なによりもヒロインの黒んぼ顔があまりにもあまりにもあまりにも(検閲)で(削除)で、すげえ残念。横顔の鼻と唇のでっぱり方が尋常じゃない
ッス。
福本伸行キャラかい?というくらい。
ユルユルとした展開から急転するオチが綺麗なものの唐突に切なくて、ちょっと残念。
ところで、この作品に出てくる黒人が皆すべからく馬鹿なのは何か意味があるのだろうか。




○「モンスターズ/地球外生命体」 ★★ (11.10.13/劇場)
STORY:地球外生命体のサンプルが入ったNASAのカプセルがメキシコ上空で大破し、メキシコで巨大な地球外生命体が繁殖し始めて
から6年、軍は危険区域を隔離し、封じ込めに躍起になっていた。スクープを狙うカメラマンのコールダーは念願叶ってメキシコにやってくる
が、社命で社長の娘・サマンサをアメリカ国境まで送り届ける羽目に。しかも運悪く地球外生命体の蔓延る危険地帯を通ることに…。



低予算で撮った怪獣映画が(同じく低予算映画から成り上がった)タランティーノピージャクから絶賛されたなんてえ触れ込みでは期待
しないのがおかしい
わけで。
ところが蓋を開けてみれば、
怪獣映画の皮を被った行きずりの男女のアバンチュールを描いたロードムービーだったりして、そういう
作品だと思えば確かに低予算だがよくできてる
と言わざるを得ないのだが、こちとら
怪獣映画だと思って期待して観に来てる大人げない
大きいお友だち
なんだから、そんなもん興味ねーわ!と憤らざるを得ない

主人公の男女がたいして格好良くもかわいくもないもんだから尚更。


NASAが採取した(太陽系の何処でどうやって?)サンプルから現れた地球外生命体触手ウネウネの軟体動物系でありがちな
感じ
。最近のこの手の作品はもったいぶってなかなか姿を見せないことが多いのだが、今作ではのっけから見切れずに姿を見せてくれる
のだが………最初だけで後は最後の方までほとんど出番無し!
どうやって移動しているのかがあやふやで微妙に気になる。


地球外生命体に襲われる危険区域にも関わらず金が無くて逃げるに逃げられない貧しくても陽気なメキシコの人たちを描いたロード
ムービー部分は確かに悪くはなかった
。遺跡とかアメリカ国境の万里の長城とかも。
いやでもしかし、そんなのが見たかったんじゃないようおう。