バカ映画たちの挽歌 #06
「極道恐怖大劇場 牛頭」
DATE:’03日本 監督/三池崇史 脚本/佐藤佐吉 出演/曽根英樹 哀川翔 吉野きみ佳 石橋蓮司 火野正平 富田恵子 曽根晴美
STORY:字廻組の組員・南は兄貴分の尾崎に生涯の忠誠を誓っていたが、最近尾崎の言動がおかしい。狂いつつある尾崎に恐怖を感じた
字廻は、南に尾崎を殺して死体を名古屋にあるヤクザの処理場で始末するよう命令する。悩みながら名古屋へ出発した南は、事故で尾崎を
殺してしまう。ところが、途方に暮れて立ち寄った喫茶店でほんの少し目を離した間に、車中の尾崎の死体が消えてしまう…。
監督・三池崇史&脚本・佐藤佐吉の「殺し屋イチ」コンビが放つ新感覚極道ホラー。
………つーかそもそもこれはホラーなのか、極道ものなのか、カテゴライズ困難な要素を怒濤の如くブチ込んであるために、2時間の作品で
ありながら体感時間はとてつもなく長い。
話は大きく分けて、
起:東京での人物紹介〜名古屋手前で翔兄ィ死亡
承:狂気の街・名古屋での捜索劇
転:再会の翔兄ィ
結:そして伝説へ
となるのだが、翔もとい承の部分が激しく狂っている上に長く、かなり精神にダメージを負わされるのだが、それだけでは済まず転・結と、それ
に輪を掛けたとんでもない展開が襲ってくるために、三池慣れしていないと神経が焼き切れる恐れがあり要注意。
今までの三池作品の中でどの作品が一番テイストが近いかといえば、強いて言えば「カタクリ家の幸福」か。
以下見所。
序盤の見所はなんといっても哀川翔兄ィの狂いっぷり!「BRU」後半の竹内力兄ィの暴走に匹敵する怪演を見せてくれる。
のっけから、石橋蓮司組長を筆頭に、小沢仁志・和義ブラザーズ、エンケン、山口祥行という友情出演の名の下にズラリ揃ったVシネ・オール
スターズを前に、路上で愛嬌を振りまく”どうする?アイフル!”ライクなチワワを、
「あの犬はヤクザだけを襲うように訓練されたヤクザ犬に違いありません!殺られる前に殺っとかねえと!」
と突然言い出して、鷲掴みにしてアスファルトにダンクするわ鎖をつかんでグラビトン・ハンマーの如く振り回して翔もといショーウインドウ
に叩きつけるわと大・虐・殺!(ここで爆笑できない人はこの先ついていけないと思われるのでビデオorDVDの停止ボタンを押すことを推奨
しときます)
事前に撮影の内容を知らされておらずわけもわからぬまま集められて眼前にそんな光景を見せつけられた他の出演陣の呆気にとられた表情が
楽しすぎる。そして翔兄ィの狂気の表情に戦慄。
さらに名古屋へ向かう道中、後ろを走る普通のおばちゃんが運転する乗用車を見て血相を変え、
「あれはヤクザを轢き殺すために設計されたヤクザカーだ!」
と大真面目な様子で言い出しておばちゃんを射殺しようとするのがまた大爆笑。
主人公・南が事故で翔兄ィを殺してしまい、死体を車に乗せたまま名古屋入り。
ここから話はホラーっぽくなると見せかけてわけのわからん迷走を開始。
以下、まず名古屋には行きたくなくなる狂気の描写を、ツッコミきれないので羅列。
・ゴーストタウンのような街のさびれた喫茶店。スタッフは何故かオカマ(脚本の佐藤佐吉)、嘘臭い名古屋弁を駆使する客は金色のジャージの
間寛平と銀色のジャージの木村進。コーヒーには何故かサービスで茶碗蒸しが付いてくる。
・駐在所の警察官は何故か香港人。
・路上に謎の骨の破片が落ちていて車がパンク。助けてくれたのは顔の右半分だけ白子(「ELECTRIC DRAGON 80000V」の雷電仏像
が顔半分白くなったようなもん)のおっさん・能勢(火野正平が怪演)。
・怪しい初老の姉弟・マサ&カズが経営する怪しいマサカズ旅館。旅館の朝食は何故か赤飯。
マサは65歳なのに母乳が出る上にそれで牛乳を生産して売り物に。
・町一番の日本酒屋は奥さんが外国人。しかもセリフを覚えきれずカンペ使用。しかもそれをわざわざバッチリ画面に映す。
そしてタイトルにもなっている牛頭(ごず・牛の頭に人間の体の鬼)が衝撃的に登場し、物語は名古屋市内にあるヤクザの死体処理場に舞台
を移して、ようやく後半戦に。(すでにここまでで映画一本見た気分)
これまた豪華友情出演の加藤雅也と、同じセリフしかしゃべらない(覚えさせると時間が掛かって撮影が間に合わなくなるので)丹波哲郎が
語るショッキングな話で幕を開ける後半戦は、これまでよりさらに飛躍した発狂ぶり!!!!!
どういう脳味噌の成分だとこんな話を考えられるのだ!?
つーわけでここまでで興味を持った人は迷わずレンタル屋に光の速さでダッシュだ!!!猛烈な満腹感を味わえること請け合い。
あと、三池映画では毎回ロクな死に方をしない石橋蓮司が、その悲惨さにとどめを刺す死にっぷりを見せるので蓮司マニアは泣いて
喜べ!
しかし、こんな作品(しかもイベント以外の劇場公開なし)を招待していいのかカンヌ映画祭!!!
以下レンタルまでして見たかねえよ、という方のためにラストまで全力ネタバレしてしまうが、文章で書いてもこの異常さはまるで伝わらない
のであしからず。
処理場で南を待っていたのは、車を潰す圧縮機でペチャンコにプレスされた尾崎の変わり果てた姿だった。
失意のまま南が車に戻ると、そこには妙齢のセクシーな美女(吉野きみ佳)が。しかも彼女は物腰丁寧に自分は尾崎だと言い
張る。無論信じない南だが、二人しか知らない恥ずかしい事実を次々と告げられ、彼女が尾崎だということを認めざるを得なくなる。
東京への帰路、ラブホに泊まった二人。セクシーな女尾崎の寝込みを襲いそうになる南だが、かろうじて思いとどまる。女尾崎の股間からは
奇怪な音が漏れていた。
翌日、事務所に着いた女尾崎は、素性を偽って助平オヤジの字廻と二人きりになる。尾崎は軟派ヤクザの字廻の命を狙っていたのだ。南は、
女尾崎の貞操の危機に悶々とし、意を決して二人がいる部屋に踏み込む。「兄貴は俺だけのものだ!」
前立腺を刺激しないとナニが勃たない字廻は、オタマを自分のケツの穴に突っ込んで刺激し、臨戦態勢となって
いたが、乱入してきた南に殴り飛ばされ、挙げ句
オタマに電極をくっつけられ、鼻の穴から湯気を吐いて感電死してしまう。
晴れて女尾崎と結ばれることとなった南。だが、突っ込んだナニが、胎内で何かに引っ張られる。
パニクりながらようやく抜き取った南が目にしたのは、女尾崎の秘部からにょっきり生えた右手。
そして右手が一度引っ込むと今度は胎内からゆっくりと男の頭が…。女尾崎の胎内から男尾崎が生まれ出てきたのだ!
ぽんっ!翔兄ィ、再生!!!
女尾崎は干からびてしまったが、お湯に入れたら戻った。
そして三人は仲良く楽しく暮らしましたとさ♪
▽これはヤクザを前のページに戻すために貼られた”ヤクザハイパーリンク”だ!