バカ映画たちの挽歌 #02
「DEAD OR ALIVE2 〜逃亡者」
DATE:’01日本 監督/三池崇史 出演/竹内力 哀川翔 遠藤憲一 青田典子 塚本晋也
STORY:新宿歌舞伎町。スナイパー・ミズキが依頼を受けヤクザの組長を狙撃しようとしたその時、不意に部下の一人が組長を射殺、逃亡して
しまった。呆気にとられたミズキだが、その男に見覚えがあった。彼は離島の孤児院で幼なじみだったシュウだったのだ。警察からも組織からも
追われる立場となったシュウ。ミズキは彼を追い、思い出の離島で数十年ぶりに再会する。二人は、島で暮らすやはり幼なじみのコーヘー・
チエコ夫婦らとつかの間の休息を楽しんだ後、再び本土へと戻る。ミズキの提案で、コンビを組んで、生きていても仕方のない悪党どもを殺し
まくるために。悪党どもを殺し、報酬をもらい、それを全額恵まれない子供たちに寄付する。満ち足りた生活を送る二人だったが…。
映画史にその名を刻んだ衝撃の作品「DEAD OR ALIVE」の主演・力&翔兄ィ+監督・三池崇史のトリオが再び結集。
とはいえ、前作のあのラストから話を続けられるわけもなく、上記3人によるまったく別な物語。
結論から書いてしまうと、前作を越える衝撃などあろうはずもなく、それを期待して見るとガッカリする。が、この作品はこの作品で、なかなか
いい。ぶっちゃけ最初劇場で見終わった時はかなりガッカリしたのだが、だんだんと染みてくるものがあるのだ。
前作のテーマが破壊ならば、今作は再生だろうか。そして、男の友情。もう一つ、ノスタルジー。
冒頭の主役二人の邂逅とすれ違いの辺りは、派手な銃撃と塚本晋也や手塚とおるのハイテンションな演技で前作のノリを彷彿とさせるが、
中盤、島での再会の辺りから変化していく。
とにかくこの島がいい。少年時代を思い出してしまうノスタルジックさがたまらないのだ。そしてそこで子供のようにはしゃぐ力&翔兄ィと
エンケン。子供を観客に、
全身タイツでライオン(何故か顔にはくまどり)と河童(何故か片手がメカ)に扮し、下ネタ
満載のしょーもない劇を喜々として演じる力&翔の姿
ときたら…。
そして友情パワーを充填して、悪党退治に乗り出す二人の痛快さ。その目的(悪党の始末を請け負って得られた金を世界の恵まれない
子供のワクチン代として寄付)が偽善だとかさんざん各所で叩かれているが、いいんだよ!彼らなら素でそれくらい思い込みそうじゃん!!!
明日の世界のために無垢に戦う二人の背中にはいつしか天使の羽根が!
そして少しずつ迫りくる破滅の足音…。3人の美形殺し屋(1名除く)との死闘の果てに迎える、驚愕のエピローグ…。
前作を見たときは、Vシネ界のトップ2とはいえ、どうしても”長渕剛の舎弟”のイメージが消えない(上に声は甲高いし背は低いし)翔兄ィでは
力兄ィの圧倒的なオーラ力(ハイパー化可能)に太刀打ちできないよなあ、という印象があったが、今作では翔兄ィ、肩の力の抜けたいい
演技を披露しており、存在感あり。
そして寡黙な力兄ィの要所要所の友情セリフが泣ける!
そして(「そして」が多い文だなオイ)ノスタルジックな友情と並ぶこの映画のもう一つの成分は、壊れたギャグ。
塚本晋也は後頭部から万国旗を出し、エンケンは”チンコ棒”でよがり、伊佐山ひろ子は愛人”うまなみじろう”の馬並な
アレに取りすがって泣き崩れ、田口トモロヲも彗星に涙し、3人の美形殺し屋(1名除く)は面と向かい合いながら何故か携帯のメール
で会話をし合うも腕は確かで分度器ではかればくっきり60°!
といったアホギャグが乱発されている。
このノスタルジーとギャグといつも通りのバイオレンス描写と、それぞれ単体では見るべきものがあり、これらがうまく溶け合っていたらとんでも
ない傑作となっていたかもしれないが、まるで水と油のようにくっきりと分離してしまっているのでなんとも珍妙な
映画となっているのはご愛敬。
最後に一言。これを見終わってきつねうどんが食べたくならないヤツぁ漢じゃねえ!
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