▽タイトル索引へ
映画感想な行
○「9ソウルズ」 ★★ (03.11.14/劇場)
STORY:引きこもり歴10年の金子未散は父親を殺し刑務所に入るが、同室の8人の男たちと共に脱獄する。大金の隠し場所へと向かう旅の中
で、男たちは友情で結ばれていく。だが問題の場所には大金などなく、代わりに玩具の鍵があった。目的を失った男たちは、それぞれの居場所
へ去っていく。罪人の彼らに帰る場所などないと知りながら…。未散は弟と再会するが、彼はかつての父親のように腐敗し、堕落しきっていた…。
どうしようもなく凶暴なヤツからやむにやまれぬ理由で罪を犯してしまったヤツまで、9人の男たちの魂の彷徨を描いた、ダメ男たちの挽歌。
つーか9人もいるんで顔(囚人なんで皆坊主だし)と名前とキャラを覚えるのが一苦労。で、ようやっと覚え始めた頃にはもう話から脱落して
しまう、と。
9人大所帯での脱獄、しかも行く先々で問題を起こす行き当たりバッタリな旅行、とどう考えても彼らの行く手に待ち受けるのは破滅しかあり
得ないという雰囲気で、故に明るく脳天気にバカをやりながら旅を続ける男たちの姿にはかえって悲壮感が漂う。切ないねえ。
雰囲気はよかったのだが、ちゃんと終わらなかったので低評価。報われない最後にしかなりようがないというのは見ていて途中でわかりきって
しまうのだが、それでもキチンと描ききってほしかった。ああいう逃げ方は反吐が出る。
つーわけで物語的には最低点数になるのだが、役者陣の奮闘に免じて★1つ上乗せ。
主人公のナイーブな青年・未散(みちる)に松田龍平。…オイラ的にはお初にお目に掛かる。
ただ黙って画面に映っているだけで絵になる、天性のものがあるかと。
9人の中で唯一すげえいい人で芸達者な元医者・白鳥を演じる小人のマメ山田が印象深い。
さらに見事なてんかん発作を披露する爆弾魔ストーカー・乾を演じた鈴木卓爾ってどこかで見たよなあと思ったら、「うつしみ」で猛演していた人
か!
他の原田芳雄・千原浩史・板尾創路といった面々も好演。
彼らを取り巻く女性たちは出番チョイながら、伊藤美咲・京野ことみ・唯野未歩子・鈴木杏・松たか子ら豪華キャスト。
中でも伊藤美咲はストリッパー役を熱演。まあ勿論最後まで脱ぎやしねえが。今まで一度もかわいいと思ったことがなかったのだが、今回微妙
にときめいてしまって、それで気づいたのだが、よーするにこの女、雰囲気がお水系だから普通のドラマやCMに出るとたまらなく違和感が
あったのだな。
○「なくもんか」 ★★ (09.11.19/劇場)
STORY:下町の人気店「デリカの山ちゃん」の二代目店主・下井草祐太は人に頼まれれば嫌と言えない超お人よし。それは両親に捨てられ
「山ちゃん」初代店主に拾われたつらい生い立ちによるものだった。その初代店主の一人娘・徹子と念願叶って結ばれた祐太。しかし彼女には
秘密が…。さらに、売れっ子芸人・金城祐介が祐太の生き別れの弟だと判明。しかし彼は赤の他人の大介と兄弟を詐称し売り出しており…。
「舞妓Haaaan」の主演・監督・脚本ら主要スタッフが再結集して作られた一本。
なので、別に「舞妓Haaaan」が好きでもなんでもなかった人には…。
阿部サダヲは好きな俳優だし熱演しているんだが、やはりスクリーンの主役というのはちと向いていないと思う。
加えて今回は話も掴みどころがないというか冗長というか、今一つノれず盛り上がれず。全体的にいろいろ投げっぱなしでいろいろ
ひどい。まあそれはいつものことかも。
生き別れた兄弟の物語かと思えばむしろ嫁とその連れ子との新しい家族の物語という要素の方が強く、しかもそれがあんまりおもろくない。
嫁のキャラが不愉快だし、前の旦那との決着も曖昧だし。娘役の子が将来かわゆくなりそうなのが救い。
では兄弟の話はおもろかったかといえばそうでもないのでございますよ。
キャスティングも、いしだあゆみ何してんのよ!?くらいしか特筆すべきところもなく、揚げたてハムカツもそんなに美味しそうじゃないし、
主題歌はグループ魂じゃないし、どうにもこうにも残念な出来。
しかし楳図かずおネタ好きだよなあ。オイラも大好きだけど!
○「ナチョ・リブレ 覆面の神様」 ★★ (06.11.15/劇場)
STORY:メキシコの貧しい修道院で働くプロレス好きのダメ青年のイグナシオは、新任の美しい修道尼・エンカルナシオンや修道院の孤児たち
に美味しいものを食べさせようと、偶然知り合ったヤセと賞金を稼ぐため覆面を被ってプロレスデビューする。だが、それは神の教えで禁じられて
いる行為で、修道士たちにバレてしまったイグナシオは修道院を追い出されてしまう。彼は誇りを賭けて最強の王者に闘いを挑むが…。
かの「タイガーマスク」の元ネタとも言われ、かつてジャン・レノ主演で映画化されたりもした実話を元にした映画。
ジャック・ブラックと「スクール・オブ・ロック」のスタッフの作品ということで期待は高まるばかりだったのだが………う〜ん。
ストーリーもギャグもプロレスも全てが中途半端で盛り上がらない。
ジャック・ブラックは眉毛をビンビンに動かしてたいへん頑張っているだけにいたたまれない。
○「南極料理人」 ★★★★ (09.10.9/劇場)
STORY:’97年、海上保安庁所属の料理人・西村は唐突に第38次南極観測隊に派遣されてしまう。勤務地は昭和基地から更に内陸に入った
ドームふじ基地。そこは富士山以上の標高で平均気温は−50℃。ペンギンやアザラシはおろか細菌すら生息できない極寒の地。娯楽も皆無な
この地にあって日々の食事は最大の楽しみ。ここで彼は1年以上もの間、7人の隊員たちと過ごしていかなければならないのだった…。
原罪の穢れなき浄化された世界の果てで料理を作った料理人と、彼と寝食を共にした観測隊員たちの日常を描く。
南極という異郷の地故に珍しいエピソードには事欠かないのだが、実話エッセイ原作故に映画的スペクタクルが起こり得ず、ヤマなしオチ
なしというのが最大の欠点。流石にイミはあるけれど。
だがしかし、その欠点を差し引いても、劇中で綴られる様々なエピソードは実にしょーもなくてほっこりとしたものばかりで楽しい。
一面氷原しかなく変化に乏しく、細菌すら棲めないので風邪にもかからない極寒の世界。娯楽は麻雀と日本から持ち込んだすり切れた
ビデオと酒くらい。個室はほとんど寝るだけのスペースしかなく、水は有限。
そんな環境の中に1年以上も閉じこめられては人間おかしくもなるというもの。それを避けるためにも三度の食事は少しでも豪勢なものに、という
ことでか隊員の中には調理師が選ばれ腕を振るうことに。
主人公の料理人・西村は、かねてから南極行きを熱望していて夢が叶って浮かれまくっていた上司が事故でリタイアしてしまったため、
急遽代役で南極に単身赴任させられる羽目に。♪悪魔のプレゼント無理矢理1年2ヶ月の過酷な一人旅〜。
つーわけで日本で食べるよりも豪勢なんじゃないかという料理を目で味わえるのがよろしい。
そして、料理人が精魂込めて作って盛りつけたその料理を実に無造作に不作法に食い散らかすガサツな男どものゆる〜いボンクラライフが
楽しい。
男だけ8人所帯から生み出される、女性にはわからないであろうその中学生臭のするノリがたまらなく微笑ましい。
調理場では火力が弱いために外で油を塗って肉の塊を丸焼きにしてみたら、「あ、なんか楽しい」と言い出して燃えさかる肉を振り回して
追いかけっこしてみたり、夜中にラーメンをつまみ食いしすぎて備蓄が底を尽いてしまいテンションがガタ落ちして、「西村君、僕の体は
ラーメンでできてるんだよ〜」とボヤいてみたり、意地になって伊勢エビで巨大エビフリャーを作ってみたり、爆笑はしないけれどニヤニヤ
クスクスしてしまうエピソードばかり。
監督はこれがデビュー作とのことで、構成的に盛り上がりに欠けたり演出が少し物足りなかったり(冒頭の逃亡のシーンのオチとか弱すぎ)登場
人物を裁き切れていなかったり問題はあるけれど、概ねよかった。
音楽はユニコーンの阿部義晴。そう言われればなるほどという印象。
主人公を演じるは堺雅人。このキャスティングが勝因の大部分だの。相変わらずの微笑みの貴公子ぶり。相変わらずの”いいひと”ぶり。
相変わらずのヒロインぶり。
観測隊員たちではすっとぼけた豊原功補、無愛想キャラでしばらく誰だか気づかなかった生瀬勝久、体がラーメンでできているきたろう、
長距離恋愛(日本への国際電話1分740円)中の高良健吾たちが実にいい味を出していた。反面他の面子は印象薄い。
国内組では1シーンのみの登場ながら浮かれまくる宇梶剛士とごり押しする嶋田久作がなんともおかしい。
名作というには瑕疵が多々あるけれど、なんとも楽しい時々思い返して観たくなるような一本。
○「2LDK」 ★★★★ (02.10.30/劇場)
STORY:売り出し中の女優・希美は先輩女優のラナと、プロダクションの社長の持ち部屋の、都心の豪華な2LDKのマンションで共同生活を
送っていた。表面は仲のよい2人だったが、内心ではお互いを軽蔑し合っていた。ある日、新作映画の主演女優の最終選考に2人が残る。静か
に火花を散らし合う2人だったが、些細な言い争いをきっかけに日頃の不満が大爆発、ついに凄惨な殺し合いへと発展してしまう。
堤幸彦VS北村龍平・つまらん映画撮った方がパシリという”DUEL(決闘)”企画の堤監督作品。
敵の北村監督は尋常ならざるアクションに定評があり、さらに闘いが似合いそうな2人の男をキャスティングしてきたというのに、堤監督が選んだ
主演陣はたいした演技が期待できそうにもない若手女優2人。監督対決の結果は作品を見る前から瞭然としていたのだが…。
が、が、が…。
やってくれました堤監督、これはかなり面白かった!持ち味である小ネタの連射で細かく笑いを取りつつ、キモのバトルも、平手打ちの応酬
からマウントパンチ・風呂に沈めて電気ショック、挙句は消火器・熱湯・生卵・チェーンソー・日本刀と女優さんがここまでやってくれるか!と
感動ものの大暴れで大満足だっちゅーの。
70分の小品ながら、バトル開始までが意外に長く感じられ(表面はにこやかながら、内心では罵り合う様がオソロシイ。)、しかしバトルが始まって
からもまた長く感じられる(どちらもいい意味で。)密度の濃い作品だっちゅーの。
小池栄子をかなり見直した。ただ乳がデカいだけじゃないのだな。あの表情の乏しさがよい。
○「252 生存者あり」 ★★★★ (08.12.8/劇場)
STORY:東京で異常気象が発生、突然の高潮でベイエリアは壊滅する。新橋で震災に巻き込まれた元ハイパーレスキューの篠原祐司は耳の
不自由な愛娘のしおりたちと新橋駅の地下に閉じこめられてしまう。地上ではハイパーレスキュー隊体調で祐司の兄である静馬らによる決死の
救助作業が行われていた。弟が地下で救助を求めていることを知った静馬だが、巨大台風が近づき作業が続けられなくなってしまう…。
日本テレビ開局55周年記念作品なのだそうだが、そんなイメージに反するように死屍累々阿鼻叫喚なディザスタームービー。
大地震!巨大雹!大津波!超巨大台風!東京を次々と襲う天変地異!君は生き延びることができるか!?的な作品を期待してみた
ら大地震はすでに起きていて作中で震災の様子は描かれないという肩すかしをのっけから食らってしまってムッとしたのだが、その後の
天災ラッシュはしっかり描かれていてご満悦。特に津波による大量の土左衛門描写はなかなかに壮絶で高評価。
過去の救助作業中に起きたある事件がきっかけで袂を分かった兄弟。ハイパーレスキューを除隊し家族と慎ましやかに暮らし始めた弟・
祐司は障害を持つ娘と新橋駅の地下に生き埋めになってしまう。
かつての職務経験を生かし、他のワケアリの生き残りたちと生還の術を探る祐司らを救わんと地上で奮闘する兄・静馬もかつての事件の
トラウマと密かに闘っていた。
しかし二人の再会を妨げるように巨大台風が襲いかかり…と家族の絆を強調しながら次々と絶え間なく災難が降りかかる展開は、はっきり
いってベタベタでご都合主義なのだが、予想は裏切らず期待も裏切らないという感じでエンターテイメントとしては合格。
小さい女の子(しかも障害持ち)をダシに使うのはえげつないと思うが、それでも、絶望の淵の底で彼女が鳴らす”あのフレーズ”が聞こ
えるシーンなんかは、予想通りとはいえちょっと感動したり。
サバイバビリティ能力溢れる主人公に伊藤英明。
その兄に内野聖陽。このレスキュー隊隊長の兄貴、最初はいかにも頼れる感じで活躍していたのが、中盤からだんだん見せ場がなくなって
きて、終わってみればやたら顔面をピクピクさせるだけのおっさんというイメージしか残らないのがかわいそう。
主人公の妻に桜井幸子。もうすっかりいい年齢になっちまったなあ。役柄的にどうしてもうざってえ印象。
主人公と一緒に閉じこめられる面子は山田孝之と木村祐一と他韓国人女性1名(でけえ)。
キム兄はもっと上手い演技ができるのであのレベルの役柄はもったいない。山田孝之は「ドラゴンヘッド」(笑)とかTVドラマの「漂流教室」
(笑)とか閉じこめられる役がなにげに多くね?
無骨な男ばっかの出演陣のアクセントに香椎由宇。よって通常よりかわいく見えるが、相変わらず横から見たときの付け鼻のような鼻の高さには
笑ってしまう。
ハイパーレスキュー隊員は若手イケメン揃いだが出番が少なくもったいない。松田賢二の使い方とか納得いかねえ。劇中でススまみれに
なって活躍しているのだから、パンフやチラシのキャスト欄のところでもっとフューチャーしてあげるべき。チョイ役の阿部サダヲや温水洋一の名前
なんぞ載せんでいいから。
とまあ、ベタベタだけど結構楽しめた。序盤のカタストロフィのシーンのインパクトが大きかったのが効いている。
それだけにラストの10分くらいがやたらグダグダなのは大きな減点材料。どー考えてもあの展開でバッドエンディングは考えられないのは
見え見えなのだから、もう少しうまくまとめられなかったもんか。あれではお兄ちゃんのトラウマが払拭されないんではないか。
冒頭の大津波で、わざわざフジテレビ本社を水没させる描写を入れる辺り、日テレのケツの穴の小ささが窺えて仕方がない。
○「21g」 ★★★ (04.6.9/劇場)
STORY:ポールは重度の心臓病だったが、心臓移植で九死に一生を得る。移植された心臓は事故で死んだマイケルという男のものだった。彼
は2人の娘と共に、ジャックの車に撥ねられたのだった。ジャックはキリスト教と出会い更生した前科者だった。神の与えた仕打ちに彼は苦悶
する。そして夫と娘の命を奪われたクリスティーナは悲しみに沈んでいた。そんな彼女に、己れの心臓の提供者を調べたポールが近づくが…。
数奇な運命の糸で結びつけられた3人の男女とその家族たちのドラマ。
時系列が粉々になっており、断片が不連続で語られていく。そして次第に明らかになっていく事件の真相とその顛末…。
つーかその最後が弱い。クライマックスでの主人公の行動が唐突でポカーン。
話も順を追って語っていけば別段すごい話なわけでもないかも。
心臓を移植された男にショーン・ペン。心臓の提供主の妻にナオミ・ワッツ。移植のきっかけの交通事故を起こしてしまう男にベニチオ・デル・
トロ。三人とも見応えのある演技を披露してくれるので、そこが見所か。特にベニチオのショボクレぶりは見事。
あとナオミ・ワッツ乳首立ちすぎ。
タイトルの”21g”とは、人が死ぬ時に失われる重さ。死体は生前より21グラムだけ軽くなっているらしい。それは…魂の重さ?
21グラム。キャラメル3個分の重さ。幸せでも不幸せでも。神様を信じていてもいなくても。生まれ変わりを信じていてもその先は完全なる無だと
思っていても。誰でも21グラム。命の重さ。人生の重さ。
○「28日後…」 ★★ (03.9.17/劇場)
STORY:ジムが気づくと、病院のベッドの上だった。そして、病院は無人だった。彼は交通事故で28日間昏睡していたらしかった。外に出る。
ロンドンの街は…無人だった。「Hello!」誰も答えない。夕暮れ時、教会にたどり着いた彼は、化け物じみた暴徒に襲われる。必死の逃亡の末
に、ジムは二人の男女に救われる。そして、ジムは彼らにロンドン、そしてイギリス全土に起こった事実を教えられる…。
冒頭の、無人のロンドンの街のうすら寒さが強烈な印象を与える終末映画。ツ○ヤのジャンル分け的には、ホラーに分類されてしまうのか。
(もしくはパニック・アクション)
しかし、ホラー、ゾンビ映画、ではなくそれこそ「ドラゴンヘッド」と同じ系統の滅びかけた世界でのサバイバルを描いた作品。(でも、ツ○ヤの
ジャンル分けだと「ドラゴンヘッド」はアイドル映画に分類されるんだろうなあ)
変わり果てた世界に困惑する主人公が生き残りと出会い、ゾンビに追われながら、希望を求めてマンチェスターに向かう前半はいいのだが、
後半はどうもいただけない。
そもそもの発端が、人間の精神を破壊し凶暴化させるウィルスについて、サルを使って研究している施設に動物愛護団体の過激派が侵入
して、感染したサルを解き放ってしまったがために速攻噛まれて感染して…という話で。
自分たちは正しいことをやっていると信じて疑わないくせに、助けたサルに襲われるやパニクって容赦なくサルをぶち殺す動物愛護団体の
姿に反吐が出そうな思いだったのだが、後半はそんな人間の醜さなんてものを改めて見せつける展開で、そんなん知ってるわいと胸くそ悪く
なる。それが狙いなのかもしれないが。感染してゾンビ化してなくても、結局人間は互いに殺し合う壊れた生き物なんだよ、という絶望的な
映画。なので希望的なラストは蛇足なのか否か…。
ゾンビゾンビ書いているが、一応死んではいないので正しくはゾンビではないのか。さておき、この作品のヤツらの特徴としては、脚が速い。猛
スピードで追いかけてくる。イヤー!問題のウィルスは血液感染なのだが、だからか、ヤツらはやたら血を吐く。馬乗りになって上から血を
ゲボゲボ吐く。イヤー!
○「2046」 ★★★ (04.11.26/劇場)
STORY:’60年代後半、恋に破れシンガポールに渡っていたチャウは、そこでもまた恋に破れ香港へと戻ってきた。安ホテルの思い入れの
あるルームナンバー”2046号室”の隣の部屋の住人となったチャウ。そして2046号室には様々な女性たちが寄りついては離れていき、彼は
彼女たちをモチーフにSF小説を書き始める。”失われた愛”があると言われる場所”2046”。ただ一人そこから帰ってきた男の物語を…。
製作(が行き当たりばったりだったため)に5年の歳月を掛けたウォン・カーウァイ監督最新作。前作「花様年華」の続編的作品。
ウォン・カーウァイなんで、原則わかんねえけど映像を見てくんなという作品なわけだが、前作を観ておくといろいろわかることがある。逆に
こっちを観て初めて前作の最後のシーンの意味がわかったりする不親切な出来。
見所は何と言っても豪華俳優陣。
チャン・ツィイーは当然として、フェイ・ウォンがまたかわええ。流石にアップになるとお肌の衰えは隠せないが、近未来パートだとアンドロイド
の人の役なのでお肌ツヤツヤ加工でプリチーでビューチーで、むふう!(鼻息)
あと日本からは木村とかいうのが出ている(クレジットがトニー・レオンに続いて二番目なんて扱いでビビッた)が、可もなく不可もなく。
つーかあたかも木村とかいうのが主役ででもあるかのようにマスコミが宣伝しやがったので、何か勘違いして劇場に足を運ばれた方々が多数
いらっしゃったと思われますが、こんなわけのわからんモノ見せられてどんな顔して劇場去ったもんですかなあ?
前作よりは動きがあってよかったけれども、それでも途中寝てしまった。とりとめもない話を勢いで描ききってしまっていた昔のテンションはもう
期待しちゃダメなのだろうねえ。
○「2012」 ★★ (09.12.14/劇場)
STORY:’09年、太陽から降り注ぐニュートリノが地球のコアを溶かしていることが発覚。大地が崩れ人類は滅亡の危機に瀕することを
知った各国首脳は、極秘裏に生き残るための計画を進める。運命の刻は2012年。それはマヤ文明が示していた滅亡の年。売れない作家・
ジャクソンは偶然その事実を知り、別れた妻と子どもらを連れ脱出船を目指すが、時すでに遅く大地の崩壊は始まりつつあった…。
「ID4」、「デイ・アフター・トゥモロー」と幾度も世界を破滅の危機に追い込んだローランド・エメリッヒ監督が過去最大最悪のスケール
で送るディザスター・ムービー。
なにせ今度は地球のコアが融解して地面がなくなっちまうんだから人類に逃げ場なし。大規模すぎる地殻変動で海も空も大荒れなので
並の飛行機や船でも生き残れず。
つーわけで史上最凶のカタストロフィ描写は実に素敵。緊急発進したため高度が取れず急下降するセスナ機が地割れに突っ込み、
断層から飛び出してきた地下鉄の下をくぐるなんて頭のおかしい描写よく考えたなあ。
ただ、災害規模がマクロすぎて最早ピンと来ないのがちと難点。
つーわけでつーわけで、破壊シーンだけなら良作だし、この手の映画、あまつさえ監督がエメやんなんだからストーリーについては飾り
以外の何者でもないわけで、よっぽど酷くない限りは目を瞑ろうと思っていたのだが、
よっっっっっっっっっっぽど目を瞑りきれないほどに酷かった。
主人公は冴えないSF作家で、ひょんなことから大災害の事実と脱出船の存在を知り、別れた女房と2人の子どもを連れて船を目指すの
だが、女房の今の彼氏やバイト先の上司である金持ちとその子ども&愛人&腹心の部下もその道中に加わり、いろいろ人間関係も渦巻いて
しまう。
その関係の清算方法として、とりあえず邪魔者は殺してしまうの一択しかないのはいかがなものか???
どーてもいいペットの犬とかは助けるくせにその飼い主にはあまりにも意味のない死を与えるというのは後味が悪すぎる。
物語の終盤を前に世界は破滅しきってしまい、ではクライマックスにどんなシーンを持ってくるのかtいえば、主人公一家が脱出船に
何とか潜り込むというシークエンスでありまして。
んで、こいつらが密航を企てたせいで船が出港できず故障して他の数百数千人の乗客たちが全滅の危機に瀕するんですわ。うぜえ。
感情移入なんてしようがない。
まあその乗客たちというのも豪華脱出船を建造するために多額の出資をした金持ちどもばかりなわけで、そんな連中ばかりしか人類
生き残らないわけですよ。うぜえ。
こんな物語なんていらないから上映時間30分短くしろと。
○「日本以外全部沈没」 ★★★ (06.9.27/劇場)
STORY:2011年、地殻変動でアメリカ大陸が一週間で水没した。さらにユーラシア大陸が、アフリカ大陸が、オーストラリアが次々と沈没し、
地球に残るまともな陸地は日本列島だけとなってしまった。世界各国から押し寄せた難民たちは仕事もなく日本人にすがって生きざるをえず、
アメリカ・ロシア・中国・韓国など列国の指導者たちも今や保泉首相のたいこもちと化していた。高騰する物価、悪化する治安に対し政府は…。
本家「日本沈没」のリメイクの報を知った時に真っ先に思ったのは、「ぢゃあ『日本以外全部沈没』も同時上映しないかなあ」だったのだが、
まさか本当に映画化されてしまうとは、世の中捨てたもんじゃない。
つーかどうやって映画化するのだ?というくらい原作はしょーもない小品だし、監督=「いかレスラー」、「かにゴールキーパー」の河崎実
&プロデューサー=元アルバトロスフィルムの叶井俊太郎だしでまったく映画としては期待していなかった。実際観に行くつもりもなく、
たまたま東京で暇を持て余した上に他に楽しそうなレイトショーをやっていなかったがために足を運んだのだが…。
あれ?
あれれ?
何だか結構まともに作品として成り立ってるんですけど?
てっきり原作通りにバーの中だけが舞台で、90分くらい延々外国人スターのそっくりさんのものまねを見せられるもんだと思っていたの
だが…。世界中から大挙して移民が押し寄せてきたために変わり果ててしまった日本の姿や悲喜こもごもの物語や世界情勢へのシニカル
な風刺が堂々と展開されてしまっているではございませんか。ありゃりゃりゃ?(まあ本当はそんなことになったら完全に今の社会は崩壊して
しまうはずだけど。)
しかも最後はなんだかえらく美しくまとまって終わってしまって呆然。うええええええええ?
つーわけで面白かったことは面白かったのだが………何というか………
「このアホンダラァ」(枡を投げつける)
「喝采を浴びてどないすんねん!おいどんが求めとるんはそげな展開とちゃうわ!!」
「もっと即興ゆえのつたなくさむーい作りでヒンシュクかわな、キサンを舞台にあげた意味がなくなってしまうどすえ!」(串で額をちくちく
刺しながら)
つー感じ?
藤岡弘と村野武範という旧「日本沈没」映画版とTV版の主人公を演じた二人の競演とか、わけのわからんところで豪華。
○「日本沈没」 ★★★ (06.7.15/劇場)
STORY:プレートの異常のため、日本は1年を待たず地震と噴火を起こし水没する。田所博士の報告を受け、日本政府は国民の海外脱出
計画を秘密裏に開始するが、その矢先、総理が阿蘇山の噴火に巻き込まれ横死してしまう。田所のチームの潜水艇乗り・小野寺は大地震の中
知り合った救急隊員の玲子と親交を深めていくが、破滅の兆候は最早はっきりと姿を現していた。田所は日本沈没を防ぐ手だてを考えるが…。
小説が発表されるや話題となり、映画化・TVドラマ化・マンガ化と社会現象とまでなった小松左京の名作を樋口真嗣監督がリメイク。
20年以上前の古典を今更引っぱり出してくるからには、当然当時の技術では表現できなかったカタストロフィを、地獄絵図を、これでもかと
ばかりに突きつけてくれるんだと思ったのだが………何この「アルマゲドン」?(つーか「さよならジュピター」か。)
確かにカタストロフィシーンは圧巻で、随所で描かれる上空からの日本全土の映像−至る所で火山が炎を噴き上げ、海岸が沈み歪み、
よく見知ったシルエットが崩れていく様−は悲壮感満点なのだが、意外にそれらのシーンは少なく物足りない。
加えて災害に巻き込まれてゴミのように死んでいく群衆たちの描写が足りないのが空腹感の原因なのだな。
ではその辺が足りない分何が多めなのかといえば、ダメ主人公のダメ描写というダメっぷり。
この草なぎ剛演じるところの主人公がゲンダイノムキリョクデジブンカッテナワカモノを描いてるんだかしらんが、ヘタレなくせに災害で交通
網が死んでいるはずの国内を無駄にうろうろしている間に状況は悪くなる一方なわけで。最初から事に当たっていればミッチーと二人で
潜水艇ももっと楽に作業ができて犠牲者は少なくて済んだだろうに。
ヒロインとの最後の夜のアレも理解不能っつーか男としての株ストップ安。
監督が監督だけに後半はガイナックステイストっつーか「奇跡は起きます!起こしてみせます!」(ビビリ王のくせに!!!)で自己犠牲
で最終兵器起動って、まんま「トップ」やん。主人公のヘタレっぷりは「エヴァ」だし。あとN2兵器って。
マダオな主人公以外の俳優はといえば。
ヒロインの柴咲コウは相変わらずかわええのお。トヨエツは今ひとつエキセントリックさに欠ける。(←あからさまに依怙贔屓)
真の主人公・大地真央は凛々しくてよろしい。補佐のエンケンも地味においしい。
ミッチーは従来のイメージを覆す役で頑張っていたけれど、同時期にいつものイメージの「吾輩は主婦である」を見てたんでどうにも違和感
が(笑)
田所の助手役の坊主眼鏡のこの人って………グループ魂のバイト君じゃねえか!!!
ピエールは「SIREN2」に続き自衛官役。そしてまた災害救助。
そしてそしてそしてそしてそしてトミノ御大の勇姿ときたらもう!!!!!何この異質な存在感?
個人的にブチキレ寸前だったのはマダオがオイラが日本で一番嫌いな土地の出身な上に、しかもその某所、すぐそばに火山があるくせに
「この地方にはまだ被害がない」とかぬかして平穏無事でのうのうとしていやがるというのが許せん!!!
しかしまあ、完全沈没は免れたとはいえ、こんな山ばかりの国土しか残らないのでは前途多難だの。
○「NIN NIN 忍者ハットリ君 THE MOVIE」 ★★★ (04.8.31/劇場)
STORY:伊賀で修行を積む忍者・服部カンゾウは父・ジンゾウから最後の試練として、江戸での修行を言い渡される。カンゾウは江戸=東京で
最初に出会ったいじめられっ子の小学生・ケンイチを主として仕えることにする。カンゾウとの出会いで、ケンイチは少しずつ前向きに成長して
いく。その頃東京では謎の連続通り魔事件が起きていた。さらにカンゾウの前に宿命のライバルの甲賀忍者・ケムマキが現れるが…。
今年は、かつての人気アニメを実写映画にしちまおうイヤーで、すでにこんなのやあんなのが公開されたわけだが、その第3弾。
この作品には、偉大なる(笑)先達「CASHEERN」と共通した最大の欠点がある。
すなわち、「これ原作と関係ないじゃん」、「原作ファンをバカにしてんのか?」
しかし、この作品は「CASHEERN」先生と一線を画している。
すなわち、「『ハットリ君』だと思わなければ面白いじゃん、これ」
つーわけで「忍者カトリ君」なわけである。この企画、主演の香取慎吾(以下ドク)ありきで立ち上げられたものではないかと思うのだが、「ドク
主演で『忍者ハットリ君』を」という話を振られた脚本のマギー(元ジョビジョバ)は、その段階で原作を活かした話にすることは不可能だと
判断したのだろう。最小限キャラの名前と設定だけを引き継いで、実質オリジナルの話を書き上げた。これが正解。(「CASHEERN」
先生も同じようなもんなのだが脚本の質悪すぎ)
現代には忍びの生きる道はない、と忍者をやめて牙を折り一般人として生きていくケムマキらと、それを是とせず、主など持たず己れの力で何事
かなさんと抜け忍狩りを繰り返す甲賀最強の男。掟に従い主のために命を懸けるハットリと、彼と強い友情に結ばれ成長していく少年。
そんな漢たちのプライドを掛けた熱き闘いの物語だったりして、子供だましのヘボ映画だろうと、1%の期待も持たずにどうこき下ろしてやろう
かとほくそ笑みながら見に行った外道の立場としては、振り上げた拳の降ろし場所が見つからずうろたえるばかりで…。
ドクもドクらしくまあ頑張っているが、ゴリ演じるケムマキが最高にクールで格好良い。
ケンイチを捕らえた甲賀の黒影に、掟を破り一般人の前に姿を見せてまでして闘いを挑むハットリ。彼の窮地に駆けつけるケムマキ。てな具合で
クライマックスに美味しい所持っていっちまうのがイカス。そしてさらにケンイチが漢気を発揮して場を浚ってしまうので、ドク影薄し。
でもケムマキがケンイチを助けるのはライバルの大事な主人だから、ではなく自分の大事な教え子だから、の方が全然燃えたのになあ。
「ニンッ!」という小ネタのためにキャスティングしたのであろう伊東四朗はともかく、細かいところでアクションスター大杉漣(笑)や佐藤佐吉とか
が出ているのがうれしい。田中麗奈はなんかむくんでた。
つーわけで★4つにしようか悩むほどにはいい出来で良い意味で裏切られた作品。面白かったけれど、こんなはずではなかったのに(もっと
救いようのない出来だと思ったのに)、と終始首をひねりっぱなしだった。
とりあえず”缶蹴りでの空蝉の術のシーン”は感動させどころではなくて笑いどころだよな?
○「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」 ★★★ (08.1.26/劇場)
STORY:ごくありふれたイマドキの高校生・陽介。バイクで事故って散った親友・能登の死に様に憧れ、ただダラダラと生きる日常に焦りを感じて
いたある日、彼は夜の公園でチェーンソーを振り回す不死身の怪人と美少女・絵理との死闘を目撃する。「彼女を守って死ぬなんて…カッコイイ
かも!」と夜な夜な繰り広げられる絵理の闘いに勝手に助太刀する陽介。その調子の良さに次第に頑なだった絵理の心も解れていくが…。
ファウスト系作家・滝本竜彦のデビュー作の実写映画化。原作未読。読んだとばかり思っていたら手に取ったこともなかった…。
イマドキのセイシュン映画、なのであろう。恋、悩み、自由への渇望、未来への漠然とした不安、無気力…。日々あまりくよくよ悩まず
のほほんとただ毎日を浪費していたおめでてえ高校時代を過ごしていたオイラにはどうにもピンと来ない所があった。っつーかそれもすでに
20年近く前かよ。
老いぼれる前に格好良く、ロックに死にたいという気持ちは昔から普遍の信仰があるのはわかるけど。
まあそんな格好悪いセイシュンの物語なのだが、どうにも滝本竜彦の文章のいい意味での軽さを生身の役者たちではうまく表現できて
ないんではないかと思う。どうにも、もっさい。
全体的にもっとケレン味があるとよかったのだが。主役がもうちょっと頑張ってくれるとよかったのだが。
そのモヤモヤもまたセイシュンなのか。つーか便利な言葉だなセイシュン。
学生服の美少女がミニスカの下からスローイングナイフをスラッと抜き放つのは非常に素晴らしいことだと思うので★+1。
○「NECK」 ★★★ (10.10.14/劇場)
STORY:マッドサイエンティストの真山杉菜に一目惚れした大学生・首藤友和は、彼女の、「お化けは人間が怖いと思う想像力から
生まれる」説を実証するためネックマシーンという箱に入れられるが、実験は失敗。杉菜の幼なじみでホラー作家の越前魔太郎とその
担当編集の赤坂英子を加えた4人は、怪奇現象が起こった曰く付きの山荘で改めて実験を行い、見事成功させてしまうが…。
明らかに地雷臭しかしなかったのだが、舞城王太郎作品の初映画化では劇場に足を運ばざるを得ず。
結果としては思ってたよりは面白かった。ホラーコメディ的な…なんだそりゃ。
怖いシーンはそれなりに怖いし笑えるシーンはそれなりに笑えるのだが、全体的に吹っ切れてない寸止めチックな感じにつき、
どうにももどかしい。
ヒロインのマッドサイエンティスト・杉菜が傍若無人で、中の人の実力とも相まって魅力が足りず、どうにもノッていけない。
彼女に振り回される男性陣はなかなかに憎めないだけに惜しい。
ホラー的にも緑の眼の西洋人形の造形が微妙だしCGによる襲撃も茶番で、もうちょっとなんとかならんかったのか。
お楽しみであるホラー作家・越前魔太郎と彼が生み出した魔界探偵・冥王星Oも、実際に出版されているものとは全然別物で
メディアミックスになっておらずただただひたすら疑問。
とまあ、なんだか悪口ばっかになってしまったが、結構ドタバタしていて楽しかったですよ。
シンプルだった原作の膨らませ方はなかなか上手く、追加した伏線もきっちり消化してあって好感。
冥王星Oが具現化した後のシークエンスも楽しかった。貞子もどきがあの格好でもっと派手にカンフーアクションとかしてくれるとよかった
のだが。
ちょっと頼りないけれども愛すべき男性陣の溝端淳平と平岡祐太はまずまずGJ。
TV「熱海の捜査官」ではやたら劣化していた感のあった栗山千明はこちらではいつも通り。どんどんカテゴリ女優化していくなあ。
冥王星O役がまさかの化粧した細川茂樹で苦笑。
○「ねらわれた学園」 ★★★★ (13.2.20/劇場)
STORY:鎌倉の中学校に通う関ケンジは2年生に進級した始業式の日、片思いをしている生徒会書記の春河カホリと仲良く話す機会ができ有頂天。
そんなケンジを面白くなさそうに見つめる幼なじみの涼浦ナツキ。そんなありふれた日常は謎の転校生・京極リョウイチの出現によって徐々に失われて
いく。少しずつ変貌していく生徒たちに戸惑うケンジたち。ついに危険がナツキやカホリにまで迫った時、ケンジの秘められた力が解き放たれる…。
過去に薬師丸ひろ子や原田知世が主演して何度か映像化されてきた眉村卓の同名小説のアニメ映画化。
原作は昔読んだ気がしていたが、本編を観ていても何も思い出せなかったので実は読んでなかった模様。ゆうきまさみのパロディマンガ「時を
かける学園」で得た知識しかなかった模様。道理でソゴル・キョウじゃなくてケン・ソゴルがいつまで経っても出ないわけだ。
そんなにわかで観にいったので、実は今回の物語は原作の続編なのだと気づくのにずいぶん時間が掛かった。ここはもっと大々的に打ち出して
いった方がよかったと思うのだが。
冒頭から画面がたいへんキラキラしており、いかにもアニメな感じの萌えキャラたちがアクロバティックな動きを見せまくり、この映画にリアル
とか細けえこたぁ求めちゃいけませんよ、とわかりやすく教えてくれるのが非常に親切。
しかしまあ、流石はサンライズ、力の入ったきらびやかな作画&動画で、やっぱアニメ映画はこうじゃないとねえ、と満足せざるを得ない。
これの予告観た後に「伏 鉄砲娘の捕物帖」観た時には作画のあまりの貧しさにげんなりしたもんだ。
で、物語本体はというと…最後の方がなんともgdgdで、盛り上げに失敗した感は否めない。主人公が海パン一丁で天元突破したあのテンション
で最後まで突っ走ってしまえばよかったものを。
一応この映画のウリとしてAKB48のラミちゃんまゆゆこと渡辺麻友がエンディング曲を歌うだけでなく声優まで担当してしまうというのがあって、
どんなショボい演技なのかと薄ら笑いを浮かべて観にいったのだが、観ていて違和感のある下手くそな声が聞こえず、台詞がほとんどないモブ
キャラでも担当したのかと思いきや、スタッフロールを見れば、なんと堂々ヒロインの声を担当していて、普通に上手いやんけ!と仰天。
オイラ内のまゆゆ株急上昇。
主題歌はsupercell。最後のあの使い方は卑怯だわ、ぐすっ。
メインキャストしか掲載しないようなパンフレットを作るヤツは超能力で引きこもらせちまえと強く強く思った。
○「ノウイング」 ★★★ (09.7.23/劇場)
STORY:MITの宇宙物理学教授のジョンは息子・ケイレブと二人暮らし。ケイレブの通う小学校で50年前のタイムカプセルが開けられ、彼が
受け取ったのは数字が羅列された紙だった。その数字が過去に起きた大惨事の日付と犠牲者数と座標と一致することに偶然気づいたジョンが
その数字が予言する次の現場に向かうと、実際に飛行機が墜落し予言通りの犠牲者が出た。ジョンは50年前に数字を書いた人物を捜すが…。
その大きな体に薄い髪に眠そうな眼、何をやってもなんだか面白いニコラス・ケイジの最新作は胡散臭いディザスター・ムービー。その
主演作のチョイス加減がまた絶妙だなオイ。
50年前に書かれ眠っていた数字の羅列に隠された大事故の予言。偶然法則性を発見した科学者は実際に予言された事故を体感しそれが
真実だと悟り、その回避に躍起になるも果たせず(むしろ事故に関わって引っかき回した結果予言通りの犠牲者数になったりして。)、そして
予言の果てが人類全ての滅亡だと知ってしまい………となんとも香ばしいインチキSFのにほひ。
あまつさえ途中からMIBまで出てくるもんだから爆笑してしまった。そっち方面に行くのかよ!
予告編から想像される世界で続発する天変地異といったシーンは少な目っつーかアメリカ国内ばっかだよ!人身事故ばっかだよ!
まあその数少ない人身事故は飛行機墜落乗客火達磨だったり地下鉄横転構内阿鼻叫喚だったり見応えはあるけれども。
つーわけで終わってみれば、どこのシャマラン映画だよ!というノリで、まああまりいい意味でなく楽しませていただいた。
こんな映画でも全力投球で熱演するニコラス・ケイジは相変わらずナイスガイ。
実にツッコミ甲斐のある作品で、いちいち書いていったら終わりそうにないのですっぱり省くが、あんな見るからにキ印の彼女がよく結婚して
子どもまで産めたなあということだけはツッコまずにはいられない。
○「脳男」 ★★★ (13.2.20/劇場)
STORY:無差別連続爆破事件の犯人を追う刑事・茶屋は犯人のアジトにいた謎の男を連行。鈴木一郎と名乗るその謎めいた青年の精神鑑定を
担当する女医・鷲谷はその過去を突き止める。青年は生まれつき感情を持たない代わりに一度見たものを全て記憶できる驚異の能力を持ち、犯罪を
憎む老人の妄執で悪人を無慈悲に葬る殺人マシーンとして鍛え上げられた、通称”脳男”だった。鷲谷は彼にかすかな感情の芽生えを感じ取るが…。
原作未読。主演の3人にも全く興味がなくスルーの方向だったが、二階堂ふみが猟奇爆弾魔を演じる上に染谷将太も共演していると知って
観賞。
思ったよりも主人公の鈴木一郎を演じた生田斗真が頑張っていて好印象。
松雪泰子も好みではないがなかなか。
最近は物わかりのいい兄貴みたいなうぜえ役ばかりだったエロ洋介は昔に戻ったかのような熱血漢の役で、結局何をどうしてもうぜえ。
肝心の二階堂ふみは今までのどっちかっつーと清純派なイメージをぶち壊すパンクな眉無し凶悪犯罪者を怪演。(そういや宮崎あおいも「少年
メリケンサック」なんてやったっけ。関係ないけど。)
染谷将太も怪演なれど二階堂ふみと絡むシーンがなくて残念。
とまあ、出演陣はなかなかでアクション・バイオレンス描写は意味もなく下品に派手派手(褒め言葉)、話もまあまあだったのだが、クライマックス
がどうにもgdgdで失速。脳男は超人的に強いんじゃなかったのかよ?
○「ノー・カントリー」 ★★★ (08.6.19/劇場)
STORY:1980年、テキサス州西部。ベトナム帰還兵のルウェリンは、麻薬取引が決裂し銃撃戦の果てに双方全滅した現場を偶然見つけ、
残された大金を手に入れる。彼の身元を割り出した麻薬組織は殺し屋のシガーを差し向ける。妻を逃がし一人逃避行するルウェリンを、関係
ない死体の山を築きながら追い詰めていくシガー。次々と引き起こされる惨劇を終わらせるべく老保安官・ベルは二人を追跡するが…。
コーウェン兄弟のアカデミー作品賞・監督賞受賞作。…って、なんでこんな悪趣味惨劇映画なのにオスカー受賞してんのよ?
とにかく理屈が通じない不気味な殺し屋・シガーのインパクトが強すぎ。ほとんどホラー映画のモンスターだわさ。殺す理由が不条理なのが
イヤすぎる。ぜってぇこっち来んな。
最初に使っていた武器をずっと使い続けてくれたら最強だったのに。別な意味で。
理不尽大王に追われるトラッシュおやじもダメ中年かと思いきや戦場帰りの能力で反撃開始し周囲の被害拡大。
事件の収拾をつけるべく”追跡者”するのは主人公である老保安官なのだが、結局最後まで無力なまま終わるというションボリな展開。
時代の変化に己れの無力を悟った彼がもらす「No Country for Old Men」という言葉がタイトルになっているわけだが、前半部だけで
切っちまったら意味がわかんねーだろ邦題つけたヤツ!!!
○「ノー・マンズ・ランド」 ★★★ (03.6.19/DVD)
STORY:ボスニアとセルビアの紛争の最中、ボスニア兵のチキとツェラとセルビア兵のニノは、両国の領土の中間地帯”ノー・マンズ・ランド”の
塹壕の中に閉じこめられてしまう。しかも横たわるツェラの下には地雷が仕掛けられており、彼は身動きすらできない。生き残るためにチキとニノ
は嫌々ながら協力して中立の国連軍を呼び寄せることに成功するのだが、一連の事件は世界各国の報道陣にも知られてしまう…。
’02年のゴールデングローブ賞・アカデミー賞の外国映画部門を制した戦争ドラマ。
呉越同舟状態になった二人の敵兵の心の交流と破局を通して戦争の愚かさをユーモアたっぷりに描いた秀作。と書くと「鬼が来た!」を
思い出してしまうがアレほどは強烈ではない。(それは所詮ボスニアや地雷なんて遠い国の話だからとか思っているからなのか…)
○「のだめカンタービレ 最終楽章 前編」 ★★★ (10.1.18/劇場)
STORY:パリに渡った千秋とのだめの生活も一年が過ぎようとしていた。千秋に少しでも近づこうとピアノの腕を上げていくのだめ。千秋は師・
シュトレーゼマンが若き日にタクトを振っていたという名門・マルレオケの常任指揮者の座を押しつけられるが、そこは気むずかしいコンマスの
せいで団員がごっそり抜けてろくな演奏もできない悲惨な状況だった。千秋は立て直しを図るべく新団員のオーディションを実施するが…。
TVドラマシリーズ・ドラマスペシャル前後編を経て人気シリーズ、劇場にて有終の美を飾る。
つーわけで良くも悪くもTVの延長線上。なので今までのシリーズが好きな人ならば観といて損はなし。
まあ、わざわざ劇場でやることないじゃんというツッコミは至極当然なれど、縁起物ということで。
元々のドラマは、この手のマンガ原作ものとしては非常に出来がよかったので、今回の劇場版も安心して観ることができた。
その分、特にサプライズもなかったが。
映画ということでオーケストラの音については豪華になった。その意味では完結編が劇場版というのは相応しいのかも。
玉木宏はなんだかやつれた気がする。
○「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」 ★★★ (10.5.10/劇場)
STORY:ラヴェルのピアノ協奏曲を聴いて感激したのだめは、この曲をいつか千秋と演奏することを夢見るが、よりにもよってその曲を
千秋と孫Ruiが演奏することに。その完成度の高さに落ち込むのだめの元に偶然現れたシュトレーゼマンは、彼女を自分のコンサートに
出演させる。衝撃の演奏でいきなり世界デビューしたのだめは、自分の最高の演奏をしてしまったために燃え尽きてしまい失踪する…。
大人気シリーズ完結編。
まあ前編同様わざわざ劇場で、という気がしないでもないが、安心の出来で堂々の大団円。
の、はずなのだが…なんだか少し物足りない。今までほど演奏シーンでのカタルシスが得られなかったような気もするし、何よりもメイン
以外の話がオミットされすぎているのが残念。父親の話、ヴィエラ先生の話、アパートの面々の話…。
確認するためにマンガ喫茶で一晩で原作を全巻一気読みしてしまったよ。
○「のぼうの城」 ★★★ (12.11.14/劇場)
STORY:天下統一を目指す豊臣秀吉は最後の強敵である北条攻めに着手。腹心の能吏・石田三成にも手柄を立てる場として忍城攻めの任が与え
られる。忍城城主・成田氏長は豊臣方と内通し、城は無血開城されるはずだったが、城代の”(でく)のぼう”のあだ名を持つ成田長親は豊臣方の
権力を笠に着た威圧的な態度に、突如方針を転換、徹底抗戦を訴える。かくして、500vs20,000の戦いが幕を開けることになった…。
和田竜のベストセラーの映画化。和田竜ってWADAさんみたいだ。
そもそもは小説ではなく脚本だったのに、どうしてその通りに映画化しないのか。
脚本通りに映像化しなかった監督は犬童一心と樋口真嗣が名を連ねる。美術館で巨神兵を観た後だったから、堤防決壊シーンとか特撮に
思えて仕方なかった。
あまり一般に知られていない、わずか500の兵で20,000の軍勢を押し返した奇跡の戦いが題材。まあ500といいつつ民兵が加わって兵力は
増えるし、そんなに詳しく歴史書に残されているわけではないのでいろいろ盛っているんだろうけど。
寡兵で天下の豊臣軍を打ち破ったのは、民衆から”(でく)のぼう”とありがたくないあだ名で呼ばれている成田長親。ただのボンクラかと思いきや、
という役どころだが、結局活躍するのはこの戦いだけなので本当は切れ者なのかフロックなのかは歴史の闇。
ただ、対する石田三成が軍才に欠けていたのは史実。最近では「戦国無双」とか「BASARA」のせいでなんか軍師キャラとか最前線で戦う
キャラのイメージがついてきているような気がするが、そんなわけない政治家キャラでござるよ。官僚としては無双なんだが。
しかも天下人である秀吉の豪快で豪勢な戦に感服しているので分不相応に水攻めなんて仕掛けて痛い目を見る始末。普通に戦力差のままに
正面からゴリゴリ削れば楽勝だったのに。
つーわけで、やはり話が一番盛り上がるのは忍城の個性豊かな三人の家老が寡兵で豊臣軍を打ち破る合戦シーンなのだが、これが原作から
簡略化されているのが全くもって解せぬ。三家老がそれぞれの持ち味を活かしてそれぞれの持ち場で敵軍を各個撃破するのがイカスのに、
何この改悪???
そこを除けばまあぼちぼち。可もなく不可もなく。
主人公・のぼう様に狂言師・野村萬斎。なんか久方ぶりに見たな。相も変わらず怪人ぶり。
ヒロイン・甲斐姫に榮倉奈々。短髪美少女特有の凛々しさがないんだよなあ。「図書館戦争」とかやめてくれよ。
三家老の佐藤浩市・ぐっさん・成宮寛貴は好演。
石田三成に上地雄輔。頭いいキャラにこのキャスティング、悪意を感じて仕方がない。まあこの作品の三成はボンクラだから丁度いいのかも
しれないけれども。
○「野良犬」 ★★★★ (02.9/TV)
STORY:戦後間もない東京、その夏は暑かった。新米刑事村上はスリに遭い、拳銃を盗まれてしまう。拳銃を探すためやさぐれた姿で繁華街
をうろつく村上。だが彼の努力も虚しく、盗まれた拳銃で強盗殺人事件が起きてしまう。ベテラン刑事・佐藤と組んだ村上は懸命の捜査で遂に
犯人を突き止める。しかし、別行動を取っていた佐藤が犯人の凶弾に倒れた…。
黒澤明監督作品、主演・三船敏郎。つーかあらすじを三行余してで書き切れてしまうのにたっぷり2時間飽きさせない手腕は流石。
真面目で血気盛んな新米刑事(ミフネ)と酸いも甘いも知り尽くした老練なベテラン刑事(志村喬)のコンビがすげえいい。
そして、見ている方も汗が出そうなほどの暑さの描写。そして終盤、救いの夕立から急展開するドラマ。駅で村上が犯人を見つけるシーンの
緊張感、追跡劇の合間に近くの家の少女が奏でるピアノの音色。
なんでこの映画から50年以上過ぎてるのに日本映画はショボいのしか作れないのだろうか。