大正十五年八月一日発行・『地上楽園』八月号・第一巻、第三号・目次が表紙に印刷されている。
創刊号の51頁に「詩壇雑記」がある。この中の「大地舎のこと」より紹介する。
私は 詩壇の革新などいふことも、営利本位の書肆だけに依頼してては永久に駄目だと思ふので、独力で自分の仕事の報告として次々と自分の詩書を出版する。可なり雑用も多くあるが、いつでも出したいと思ふときに出版の出来ることが楽しみである。
私は出版によって生活するのでないから大地舎の出版は儲けなくともよい、収支がつくならば上乗だと思っているから呑気なものである。当分のところ、主として自分のものを出すだらう。
ただ私が責任を持って文藝日本社に出版を委託した詩集で向こふで金だけ受け取って未完成のままになってるのがあったので、それを私が引き取って出版した。従って、今月は私自身の詩集の外に二冊の詩書を出版し、詩誌「地上楽園」の創刊を計画したので、ずいぶんいろいろの点で忙しかった、然し忙しいのも楽しみであった。同人の半数は地方に居るので、小田君にだいぶ手伝ってもらった。
私の詩集「野茨の道」は十五日に発行になった、装幀は自分でやったが、存外感じのいいものになった。何しろ全然予算といふものをたてずにやったので、思ったよりもかかった。この詩集は直接購読者にのみ発売しやうと思ふので、部数は書肆でつくる半数ぐらいしかつくらない。
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最終更新日: 2001/03/03