観察記録

うみうしの赤ちゃん(ベリジャー幼生)の観察

●なぜ幼生観察?
  ベリジャー幼生の観察をはじめて4年目になります。
  うみうしは、卵から孵化してからある期間、浮遊生活(泳ぐことができる)
 して変態していつも見ている うみうし の形になります。
 (正確には、初め幼体(体色、もようは違う)で、すこしずつ成体になります)
 なんで幼生の観察をしたいか、それは本で うみうし は巻貝の仲間で、
 幼生のときだけ貝殻があると書いていました。
 幼生のときだけある貝殻がどうなるのか?
 体の中にとけてなくなるのか、貝殻を脱ぎ捨てるのか、
 とても興味がありました。
 また卵から孵化させて、成体まで大きくできればすばらしいと思いました。
 でも今まで一度も変態したことはありません。
  今年は、幼生のえさの珪藻のことや、成体のえさのカイメンのことも
 勉強しました。
 でも、設備の整っているところでも飼育は、かなり難しいそうです。
 このページで、最後に幼体をお見せできたらうれしいです。


●なぜアオウミウシ、シロウミウシ?

  今年の観察は、アオウミウシ、シロウミウシで行いました。
 アオウミウシ、シロウミウシは、成体のえさがわかるからです。
 うみうし はほとんど、卵から孵化したら、幼生で、 ある程度の
 期間を過ごし、成体のえさに定着し、変態すると本で知りました。
 でも、このカイメン(成体のえさ)は、見ただけですぐわかりますが、
 名前はわかりません。 (カイメンの同定は難しい)

●なぜ飼育が難しいのか?
  貝類の中でも幼生の期間が長いものは、卵から直ぐ成体になるものや、
 幼生の期間が短いものに比べると、飼育はかなり難しいようです。
 本などでは2週間から20日と書いていますが、どのうみうしが、
 どのくらいの期間等とかかれているものは自分では探せませんでした。
 幼生のえさ、海水温などで、かなりの幼生期間の差が出ると思います。
  うみうしの種によっては、直接、卵から幼体に成る うみうし や
 孵化後1日以内で幼体に成る うみうし もいるようです。
 

 
僕の実験のために採集した、アオウミウシ、シロウミウシは、
 卵を産んだら、採集場所に戻しています。

  うみうしは卵を産むと死ぬと書いている本もありますが、
 僕は違うと思います。体の割には、かなり大きな卵を産むので、
 体力を消耗する為で必ず死ぬわけではないと思います。
  ふだんの飼育では卵を産まないように1種1個体で飼育しています。
 それでも卵を産むうみうしは時々います。



2002年の記録です

  7月20日      (水槽海水温 25℃)
   シロウミウシ5個体、アオウミウシ1個体採集。
   3〜5cmの大きな個体。
              (採取場所海水温 26℃)
  
  7月21日     (水槽海水温 25℃)
   シロウミウシが、水槽の角に卵を産んだ。
   直径2cmぐらいでちょっと小さい。
   大きなものは直径5cmくらいで、たまねぎを輪切りにしたようなかたち。

大きなシロウミウシの卵塊

真っ直ぐにすると約25cm

  7月25日   (水槽海水温 25℃)
   アオウミウシ3個体、シロウミウシ3個体、
   コモンウミウシ2個体を採集してくる。
   目を離しているすきに卵を産んでしまったが、
   どのウミウシの卵かわからない。(アオウミウシorコモンウミウシ)
   

  7月26日    (水槽海水温 25℃)
   シロウミウシが2個卵を産んだ。
    
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  7月29日    (水槽海水温 25℃)
   卵の中の形がはっきりしてきたような気がする。

100X

  7月30日    (水槽海水温  25℃)
   卵の中で、幼生が動いている。
   もうすぐ孵化しそうだ。

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  7月31日     (水槽海水温 25℃)
   AM6:00 海水を採取する。
   シロウミウシの卵2つを違う水槽に移した。
   卵の中では昨日より活発に動いている。
   明日には、孵化すると思う。
   実験に使うため採集してきたシロウミウシを
   すべて海に戻してきました。
    
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  8月1日      (水槽海水温 25℃)
    シロウミウシのベリジャー幼生が、ついに孵化した。
    水産振興センターからえさ、キートセラス(植物プランクトン)
    をもらって来る。
    
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   8月3日        (水槽海水温 25℃)
    
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   8月9日           (水槽海水温 27℃)
    ベリジャー幼生の水槽の水を交換するために、
    海水(26℃)を採取。
    
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   8月10日          (水槽海水温 28℃)
    プランクトンを2匹、見つけた。
    マイクロメーターで計ったところ、体長約0,5mmだった。
    ベリジャー幼生は、0,19mmくらいなので、
    このプランクトンに食べられる可能性があるのかもしれない?。
    動物プランクトン、コペポーダのようだ。

1/100mm マイクロメーター

コペポーダ?

   8月11日       (水槽海水温 26℃)
    昨日は、2時間以上かかっても探せなかったのに、
    今日は7分で見つけた。
    
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   8月13日      (水槽海水温 26℃)
    今日もベリジャー幼生を見つけることができなかった。
    別のプランクトンがたくさんいるので、
    食べられてしまったのかもしれない。

   14日以降も水槽の中を観察したが、ベリジャー幼生は
   確認できなかった。
   キートセラスで大きくなったのは、うみうしの幼生ではなく
   他の動物プランクトンの方で、自然海水をそのままでは、
   海水中のプランクトンが、どんどん増えて大きくなってしまう。

   (コペポーダ等がベリジャーを食べるかは?・・・・・)

   8月18日       (水槽海水温27℃)
    16日、採集してきたアオウミウシの卵と、今日採集してきた
    アオウミウシだと思う卵をこれから観察することにした。
    プランクトンをある程度除去して、
    
ろ過海水で飼育しようと思う。
    
16日採集してきた卵        18日採集してきた卵

   8月23日       (水槽海水温25℃)
    22日夜には、卵の中で幼生は動いていなかったが
    一晩で半分以上、孵化してしまった。
    水槽に入れるのが、1日遅れてしまった。(大失敗)
    水産振興センターからキートセラスとテトラセルミスを
    頂いてくる。


クルマエビのえさのため食べるかわからない
形がはっきりしてきたが幼生は動いていない
    
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   8月24日       (水槽海水温24℃)
    朝海水をくんできたが、大きい卵は孵化してしまった。
    残っている卵は、孵化しそうに無い。。

    海に行って卵を採集してこなければならない。

  卵の中の幼生がぜんぜん動いていない為、油断したすきに
  一晩でベリジャー幼生が孵化してしまった。
  いつもは、1日から半日くらい前から卵の中の幼生が動き始め、
  グルグル回転しているのが見られる。
  海水温にかなり左右されるのは、わかっていたが・・・・・。
  卵塊を顕微鏡で見ると小さな微生物が付いている。
  もう一つの卵塊は、微生物を除去する為、海水のほかに真水でも洗った。
  それが原因なのか(洗った水の水温?)孵化しなかった。

    
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 実験方法の問題点などお分かりの方は教えてください。