○「アマルフィ 女神の報酬」 ★★ (12.06.07/DVD)
STORY:ローマにG8のために日本の外相が訪れるクリスマス、ローマの美術館で日本人旅行者・矢上紗江子の娘の誘拐事件が発生、外交官・
黒田康作が巻き込まれ解決に尽力することに。誘拐犯の要求に振り回される黒田らだったが、黒田は現場の防犯カメラに残された映像が改変
されていることに気づき、マスターを保存しているミネルヴァ警備に近づく。一方、犯人は身代金の受け渡し場所にアマルフィを指定するが…。
フジテレビが開局以降最大の制作費を投じて作り上げた一大観光映画なれどそんなに盛り上がらなかった映画。
あまりの元のプロットからかけ離れた破綻した内容に、原作者であり脚本も担当していた真保裕一が脚本家として名を出すのを拒否した
アラン・スミシー・フィルムとして悪い意味でも有名。
つーわけで、ダメ映画として観賞。
………う〜ん、ミステリ映画としては確かにダメダメだけど、見れないこともない出来でパンチに欠ける。
観光映画だと思って割り切って見ればそんなに酷くない作品。いや、ちゃんと観光もしてないけど。
もっと貶したかったのに。
いや、ミステリ部分は本当に酷い。
邦人少女誘拐は日本の外相目当てのテロの布石だったって…テロリストの首謀者が日本人で標的が日本の外相なんだから、日本国内で
仕掛けろよ。
少女がトイレで誘拐されるも、その防犯画像を加工してその事件を無いものにしたって…そもそも少女がトイレに行かなかったらどうしたんだ
よ。
そんな短時間で画像加工できるか?
教会の蝋燭の炎が誰もいないのに揺らいだから気づいたって…そこは「新手のスタンド使いの攻撃か!?」って思うだろう常考。(そうか?)
そんなボディチェックもなしに警備会社の最重要施設に易々と部外者入れるなよとか、愚かな邦人の命より万国共通の法を重んじろよ
とか、それだけハイテク(笑)な工作をして最後はアナログに梯子かよとか、結局アマルフィはスタッフ(亀山とか亀山とか亀山とか)がただ
バカンスに行きたかっただけだろう、とか枚挙に暇はない。
まあ大絶賛している人もいるわけですが。
あと、あのブツ切り演出は何なのかね。つまらんので1.5倍速で見てるといきなり黒くなるので、再生不良かと思っちまった。
俳優陣はというと、この映画に興味がない人は織田裕二が好きではない人と結構被るんではないかと思うんだが、そういった人たちに
とっての”いかすけない織田裕二像”がたっぷりと堪能できるので、そういう人たちには非常にオススメできない。全くもってうんざりだ。
○「ダークナイト」 ★★★★★ (09.11.14/ブルーレイ)
STORY:ゴッサムシティに正義に燃える”光の騎士”こと新検事・デントが赴任。闇で犯罪者と戦うバットマン=ブルース・ウェインと共闘し、街に
平和が訪れようとしていた。しかしそこに狂気の犯罪者・ジョーカーが立ち塞がる。自分の対極の存在であるバットマンに悪意を剥き出しにする
彼の狂気に街は混沌の渦に落とされていく。デントは傷つき闇に墜ち、バットマンも愛する者を奪われ民衆の支持を失い追い詰められていく…。
クリストファー・ノーラン監督による新生バットマンシリーズ第2作。
つーか正直バットマンという作品には興味がなく(幼少時に見たTVアニメ版がまさにアメリカンなてきとーな出来だったのが原因で印象が
よろしくない。)、それ故に傑作という評判を耳にしながらも劇場に足を運ぶことはなかったのだが、故あってブルーレイで観賞。
もう一つ、劇場に行く気が起きなかった理由は、今作のバットマンの敵であるジョーカーさんの見た目がなんともよろしくなかったため。
アホのキングの「IT」がトラウマでピエロが苦手だし、半端にメイクが剥げているが醜悪だし、なんと不細工な道化よ………と思っていた時期
が私にもありました。
実際観てみたらば、ジョーカーさんサイコー!!!
悪を憎み、財力に任せてお手製のコスプレ衣装に身を包み秘密兵器を駆使して犯罪者を裁く自己満足の正義の味方・バットマン。
立ち向かうは、純粋な狂気と悪意の権化たる混沌の使者・ジョーカー。彼と関わった人間は己れの中の”悪”と対面させられることになる。
それはバットマンも例外ではなく、ジョーカーに狙われたがためにボコボコ犠牲者の数が増え続け、味方であるはずの世論も警察も敵に回り、
正義に燃える友も愛する女性も失い、ついには”正義”の御旗の元に一線を越えた力に頼る羽目に。
つーかそこまでして己れの正義を貫こうとするバットマンの方が道化に見えてしまう。憎まず殺さず赦しましょうを地で行ってジョーカー
さん抹殺の絶好の機会を逸した挙げ句、生き残ったジョーカーさんのせいで更に被害は拡大するなんざ、偽善もいいところではないか。
(でも、最後に”Dark Knight”として闇に消え去る姿は格好良かった。アルファベット1文字つけて庭に埋めてやりたくなった。)
つーわけでお茶目なジョーカーさん(病院のシーン最高!)によって突きつけられまくる人間の本質に関わる二者択一がヘヴィーに心を
抉る一本。
ただ重苦しいだけでなく、フェリーの囚人の一幕に胸打たれド派手なカーチェイスに手に汗握りと娯楽作としても合格点のボリューム満点の
傑作。ちと胃もたれ気味だが。
今後も宿敵として立ちはだかるはずだったジョーカーさんを狂気たっぷりに演じあげたヒース・レジャーが逝ってしまったのはシリーズにとって
痛すぎる。
気に食わなかった点が2つだけ。
一般人のフェリーでアイツがスイッチを押さなかったのは良心の呵責ではなくて罪を背負う覚悟がないヘタレなだけだったんじゃないかと
思ってしまったことと、
あまりにもヒロインがブサイクすぎること。
○「交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい」 ★★★ (09.7.6/DVD)
STORY:人類が宇宙から来た謎の生命体・イマージュと交戦を始めて40年余。人民解放軍第303独立愚連隊に配属されたレントンは幼生体
から一緒のKLF・ニルヴァーシュを駆り、初陣で軍の重要機密である少女・エウレカを助ける。彼女こそレントンが8年前に引き離された最愛の
女性だった。再会を喜ぶ二人。しかしエウレカもホランド率いる愚連隊もあまりにも重い秘密を隠し持っており、レントンは運命に翻弄される…。
’05年放映のTVアニメ「エウレカセブン」が何故か今頃になって新作映画化。
TV版の総集編や番外編ではなく完全新作ストーリーで、登場人物や世界の設定も一新。
つーか完全に別物の設定で驚愕ものなのだが、何故そうなったかの断片は劇中でチラリと垣間見ることができる。(TVアニメの最終回
から乖離したパラレルワールドの話なのね。)
しかし「なんとかゲリオン」とか「Zなんとか」みたいについカッとなってバッドエンドで作っちまったんで後悔して作り直しの劇場版をやると
いうのならわからないでもない(虫がよすぎるけどなあ。)が、まあぼちぼちハッピーエンドで終わったこの作品をわざわざ焼き直す意味
があるのかと疑問だったのだが、実際見てみればやっぱり蛇足っぽいなあ、と。(緑だったり透明だったりしないきれいなエウレカで終わり
たかったんかい?)
諸々設定を変えた物語や世界観を1本の映画で語り尽くすには駆け足にならざるを得ないし、路線変更でずいぶん割を食わされたキャラ
が多いのも納得いかん。
でもまあ世界が変わろうが立場が変わろうが彷徨と未夢じゃなくてレントンとエウレカはラブラブなのでいいんではないかい。
あとニルヴァーシュ幼生体かわゆす。
○「トランスフォーマー・ザ・ムービー」 ★★★★★ (VIDEO)
STORY:2005年、正義のサイバトロンと悪のデストロンに別れた超ロボット生命体の戦いは佳境に。司令官同士の一騎打ちに勝利した
サイバトロンのコンボイだが、深手を負い、歴代司令官の英知の証・マトリクスをウルトラマグナスに託し逝く。一方デストロンの司令官・メガトロン
も重傷を負い宇宙に捨てられるが、惑星型トランスフォーマー・ユニクロンの力でガルバトロンとして再生、マトリクスを奪うため地球を襲う…。
TVシリーズ「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」と「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010」を結ぶ豪華劇場版。
なのだが、日本では諸事情により劇場公開がされなかったため、「2010」のTV放送が始まってみると、両軍司令官は交代しているわ
しかも片方が溶岩の中に落っこってるわ登場トランスフォーマーの顔ぶれは一新されて見知らぬ連中ばかりだわ前作ではまだ少年
だった地球人のスパイクは子持ちになってるわセイバートロン星の周りを巨大なロボの頭が回っているわと視聴者を混乱の坩堝に叩き
込むこととなった。
特にサイバトロンの司令官・コンボイについては、TVCMで死亡が予告されていて、コンボイが大好きなリアル厨房だったオイラとしては
そりゃもうショックだったのだが、「2010」を見てみればどうして死んだのか一言も説明がなく、なんで新司令官が声がジャッキー・チェン
なおっさんくさい顔でヘタレな超ロボット生命体になっているのかと疑問で疑問で夜も眠れなかった。
そんな時代もあったねと今は笑って話せるわ。
日本版のビデオ・LDが発売され、謎が解明されるのはそれから数年先のことであった。
さてその本編、流石に劇場版だけあって(グダグダなTV版と違って)作画の出来が素晴らしい。つーか製作は日本側だし。
’80年代ロック全開のノリノリBGMもカッチョエエ。(おっさんだからな。)
物語の出だしはハードで、デストロンの奇襲で次々と屠られていくサイバトロン戦士たちの姿に絶句。
アメリカのTVアニメの暴力描写制限のため、TV版では真っ正面からビームの撃ち合いしてビシビシ被弾しても何ともなかったのが、映画版
では撃たれると断末魔の絶叫と共に煙を噴き上げて死ぬ!死ぬ!死ぬ!
そして、その地獄絵図の中颯爽と現れる我らがコンボイ司令官の勇姿がまたカッチョエエのなんの!
このペースで書いていくと終わりそうにないので省くが、以降もテンション激熱な見所は満載。中でも史上最大のスケールである惑星型
トランスフォーマー・ユニクロン(声は「市民ケーン」のオーソン・ウェルズ。しかも遺作。)の変形シーンや惑星ジャンキオンでのスプラングと
レッグガーのハイスピードバトル、ジャンキオンとのあっけねえ和解とウルトラマグナスのあっけねえ復活なんかは印象深い。
そしてロディマスとガルバトロンの最終決戦で、解放されるマトリクスの光と共に流れる「THE TOUCH」の鳥肌ものの格好良さ!
(この曲はTVシリーズ「2010」のラストでも使用されていて矢張り鳥肌もの!)
ストーリーも相変わらずアバウトなものの二転三転して飽きさせず、否応なくラストまで突き進む勢いはあり、いい仕事だと思う。
まあ好きなんで贔屓目入っちゃってるから当てにならんかもだ。
TVシリーズありきの作品なので単品だけ見ると厳しいのかもしれないが、実写映画版よりもロボットものの娯楽作品としては楽しめるのでは、
と。友情も努力も勝利も家族愛も成長も勇気も男の尊厳も栄華盛衰もきっちり詰まっております。
人間ドラマなんてそんなに出さなくていいから、こーゆーの見たかったんだよ、スピルバーグさんよぉ。
○「ドラえもん のび太の恐竜2006」 ★★★ (07.3.10/TV)
STORY:のび太が偶然掘り当てた恐竜の卵からフタバスズキリュウが生まれた。彼をピー助と名付けて愛情を込めて育てるのび太。しかし
どんどん成長するピー助を隠しきれず、やむなく白亜紀の海に帰すことに。が、座標がずれてピー助が孤立してしまい、のび太は仲間たちと
再び救助へ。しかしピー助を狙う時間犯罪者・恐竜ハンターに襲われタイムマシンが故障。一行は元の世界へ戻れなくなってしまう…。
2005年、長年続いたアニメ「ドラえもん」はキャスト総入れ替えでリニューアルされた。その記念すべき第1回映画は、元々の劇場版
第1作である「のび太の恐竜」のリメイクであった。
という段階でその志の低さに萎えまくりである。せっかくの再スタートなんだから、気合い入れて完全新作作れよ。いきなりうち捨てたはず
の過去の栄光に縋るなよ。
つーわけで、元の「のび太の恐竜」をリアルタイムに劇場で観ている身としては、「面白かったら、それは元がいいから当然。つまらん
かったら今のスタッフのせい!」という偏見でもって観てしまったわけなのだが。
元の作品から20年以上も経ち、技術レベルは相当に進歩しているのだが、作画が…ショボくね?
劇場作品とは思えない普段着な作画でいたく拍子抜け。さりとて原作の絵を忠実に再現しているというわけではなく、つーか動きとかポーズとか
微妙にリアルなところがあり、何だか気持ち悪い。恐竜ハンター船越も無駄にリアルで気色悪い。
調べたら作監はジブラーなのか。なるほど。「千年女優」や「東京ゴッドファーザーズ」の作監だったと知って吃驚なのだが、それらの世界観
では違和感ない作画術を「ドラえもん」でやりゃ、それはなあ…。
つーわけでいきなり作画でつまづいたためにずっと斜に構えて観てしまったのだが、それでもジャイアンの漢気でホロリ、ラストの別れの
シーンでうりゅうりゅうりゅ〜となってしまったりで、終わってみれば満足してしまったり。
でもタケコプターとどこでもドアが駄目でもぜってぇ何かインチキくせえ道具持ってるはずだよなあ。
新声優陣は文句なしで拍手。ピー助の声は下手くそだなあと思ったら神木隆之介きゅんでショック〜!
個人的に元の作品で忘れられないのは秘密道具・キャンピングカプセルで、すげえ泊まりたくて泊まりたくて仕方がなかった。
当時の我が家にはシャワーもベッドもなかったからなあ。
今見ると只の狭いビジネスホテルじゃんとか思えてしまって悲しい。
いつの間にか、子どもの頃はあんなに大好きだった「ドラえもん」を見るのが嫌になったのは、劇場版でののび太やジャイアンの感動的な成長が
TV版には引き継がれないという無限地獄に絶望したからなのだろうか。
○「デスノート 前編」 ★★★ (06.11.21/TV)
STORY:成績優秀品行方正で正義感の強い大学生・夜神月が拾った黒いノートは、名前を書くだけで人を殺せる死神のノートだった。死神・
リュークから使い方を教わった月は、法で裁けぬ悪人たちの粛正を開始する。世界中で大量発生する犯罪者たちの突然死を大量殺人と判断
した警察は、世界有数の探偵であるLに調査を依頼する。ここにLと殺人鬼キラ=月との互いの命を懸けた頭脳ゲームが幕を開けた…。
週刊少年ジャンプ連載の超人気作品を実写化。
いわゆるひとつの「よせばいいのに」パターンである。原作のあの美麗なキャラを生身の人間が演じるのには無理がある。
ので、逆に原作とは違うものだと割り切ってしまえば、なかなかどうして頑張っているといえる一本。
実際、後編へと続く引きとなるクライマックスは完全オリジナルなのだが、なかなかどうしていい盛り上がりを見せている。最後にLがあの
食べ物を持って現れるのにはシビれた。
主人公・月を演じるのは藤原竜也。原作を見てしまうと、どうしても顔太いように思えて仕方がない。あと字汚い!ノートに字書く時には枠線
気にしようよ!あの書き殴りっぷりだとどうも秀才っぽくない。
ライバル・Lの方は、原作があまりに濃すぎるキャラなので誰がやってもコスプレにしか見えん。
映画オリジナルの月の恋人に香椎由宇。あの高くとがった鼻を見ると「ごっつええ感じ」のベンジャミンを思い出して仕方がない。
○「デジモンアドベンチャー 僕らのウォーゲーム!」 ★★★★★ (02.5.13/DVD)
STORY:あの冒険の日々から半年。突如ネット上に新種のデジモンが出現し、データを食い荒らし始めた。事態に気づいた太一と光子郎は、
ゲンナイの力を借り、アグモンとテントモンをネットに送り込んで迎撃するが、敗れ去ってしまう。春休みで旅行や受験があり、他の仲間たちと
は連絡がつかない。焦る太一たちの前で、敵デジモンは、核ミサイルの制御プログラムを乗っ取り、発射してしまった。爆発まであと10分!
世間様の人気では後続の「02」や「テイマーズ」に劣っておりますが、個人的には第一作、所謂「無印」が大好きでございまして。
”俺たち小学生だから難しいことはよくわかんないや”という不文律の元に展開するジュブナイルな冒険談は、その稚拙さ故に愛すべき
ところであり、そして何よりも、実にマンガチックな等身のキャラクターたちが大好きだったのございまして。なんで「02」になるとあんなヒョロ
ヒョロになっちまうんだようおうおう。
一年間の大冒険を終えて登場した劇場版は、完結編というよりはカーテンコールといった感じで、単体として観ても楽しめるとは思う
けれど、やはりTVシリーズを知っていないと100%は楽しめないというのが痛し痒し。
で、本題。まず、40分しかないということにショック!(故・春の東映アニメフェアの中の一本だったため。)90分くらいあると思ってたのに。
しかし、とても40分とは思えないほどに密度の濃ゆい作品だったりする。
全員活躍させてたら絶対時間が足りないということで、潔く活躍するのを太一・光子郎・ヤマト・タケル・空に絞り込んでしまうという方向性
には脱帽。思い切りよすぎ。
そりゃあヒカリたんたちの活躍が見れないのは残念無念だが、その犠牲もやむなし、と思えてしまう出来のよさよ。
個人的には太一&光子郎コンビが大好きなので、彼らが大活躍してくれるのは嬉しい限り。つーか、光子郎はんがいないと他の脳天気小学生
たちでは問題解決の糸口すらつかめないからなあ、TV・映画問わずに。
ネットを使ったサイバークライシスのサスペンス、TV版より淡い作画(でもキャラの頭身伸びてる・泣)、何気ない日常、ところどころのブラック
成分多めのギャグ(なんで光子郎はんがあんなにウーロン茶を飲むのかと思えば、伏線だったとは・笑)とだれず、詰め込みすぎずに進んで
いくストーリーはお見事。
個人的には、戦闘中の進化で挿入歌「Brave Heart」が掛かるTV版のいつものシーンを敵の奇襲でブチ切ってしまうお約束
ブレイカーにずっこけた直後に、逆襲と共に中断したところから曲を掛け直す盛り上がりまくりの演出がお気に入り。
そして、多分にご都合主義なところはあるが(それは”俺たち小学生だから難しいことはよくわかんないや”ということで。)、ラストバトルの
格好良さ!オメガモンの強さにほれぼれ!闇を払う銀の剣と悪を滅ぼす裁きの炎!圧倒的じゃないか、我が軍は!
しかしその奇跡の強さでも決定打にはならないという一ひねりがまたイカス。最後の決め手は、知性ナリか。
やはり8人の選ばれし子供たちとそのデジモンたちが全員活躍してほしかったし、やはりTV版のままの頭身でやってほしかったのだが、それを
些細なことと割り切ってしまえる傑作。大人も子供も楽しめるハイレベルな逸品。ただし島根県民にはお勧めしかねる(笑)
そりゃあ劇場中編2作だけでジブリにスカウトされて「ハウル」の監督やらされるわな。降板しちゃったけど。
○「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」 ★★★★★ (04.11.6/DVD)
STORY:泉のほとりにたたずむ物憂げな美女の夢を一家揃って見た野原家。その日の午後、シロが庭に掘った穴の中から巻物を見つけた
しんのすけは戦国時代にタイムスリップしてしまう。偶然に小国・春日家の侍大将の井尻又兵衛の命を助けたしんのすけは彼に連れられてお城
へ行き、夢で見た美女=廉姫と再会する。さらにしんのすけを追って野原家全員がやって来るが、春日家は戦に巻き込まれようとしていた…。
クレしん劇場版第10弾にして原恵一監督の集大成的作品。
最初に最大の問題点を書いてしまうと、これって「クレヨンしんちゃん」である意味ってなくねえ?
そんなわけでシリーズのコアなファンからは一部不評の声もあるようなのだが、純粋に一作品として観るととんでもない傑作なのである。
今作では野原一家は狂言回し的なポジションで、主役と言えるのはゲストキャラの”青空侍”こと井尻又兵衛と、彼が仕える大名の美しき姫・廉
である。
互いに好き合いながら身分の違い故にそれを表に出すことすらできない二人の想いの行方を、手抜き無し子供だまし無しの緻密な
演出で見せる素晴らしい合戦シーンを絡めつつ、切なくも愛らしくほろ苦くも爽やかに描き切ってくれて、ラストシーンは涙ウルウルなので
ある。
心優しき朴訥漢・又兵衛と、凛とした廉姫を筆頭に殿様や家臣たちのキャラクターにも好感持てまくり。つーか廉姫が小林愛の熱演も
あり、ものすげえ可憐ナリ。まさかクレしんのキャラにこんなにも萌えようとは!
雨上がり決死隊の二人が声のゲスト出演しているが普通に上手い演技をしているので埋没していてどのキャラだかわからんのはどうよ?(笑)
活躍をだいぶ取られてしまったものの野原一家も当然活躍。
影の主役・ひろしも「しんのすけのいない世界に未練なんてあるか?」と相変わらずの名ゼリフで感涙。そしてボディーブレードがツボに
入ってしまい大爆笑。
又兵衛を撃ち抜いた弾丸はしんのすけが現れた時の狙撃兵が撃った弾なんだろうなあ。
○「ビジターQ」 ★★★★ (04.9.5/DVD)
「バカ映画たちの挽歌」コーナー参照。
○「アンデッド」 ★★★★ (04.9.3/DVD)
STORY:平和な田舎町バークレーに突如隕石が降り注いだ。隕石に当たって死んだ者はゾンビとなって蘇り、ゾンビに噛み殺された者も
ゾンビとなり、町は見る間に死の町と化した。町はずれの変人・マリオンの家に逃げ込んで助かったレネら6人の男女は町からの脱出を計ろうと
するが、町は謎の壁によって外界から隔離されていた。降り注ぐ酸性雨の中、レネやマリオンたちの決死の逃避行が始まるが…。
オーストラリアのまだ20代の双子が作り上げた低予算ゾンビ映画。
ほとんど自主制作映画でチープな造りだが、だがそれがいい。ゾンビ映画に金掛けたからどうなる、というのは最近の大作ゾンビ映画の出来が
雄弁に語っているではないか。むしろこの手の低予算作品の方が情熱とアイディアと野望に満ち溢れていて突拍子もない作品ができて
ステキではないか。「ブレインデッド」しかり「VERSUS」しかり「ワイルド・ゼロ」しかり。
つーわけでこの作品のウリの一つは、突拍子もないアクション。町で唯一自体を予想し備えていた髭の変人・マリオンが無駄に宙を舞い
二丁拳銃でゾンビを蹴散らす。主人公のレネも撃って殴って斬って突いての活躍ぶり。ショットガンを横に三丁合体させた三連ショットガン
がイカス!
そしてもう一つのウリは後半の怒濤の展開。突如エイリアンが出現してホラーからSFになっちまって唖然。
雲の上に無数の人間が十字架のように吊り上げられて漂う様を見て「劇場版エヴァ」を思い出した。
アクションやVFXにチープな所があったり、登場人物がゾンビゾンビ言ってるのになかなか頭を撃てば再殺できることに気づかない上に
気づいてからも体ばかり撃っていたり、いくらなんでも後半の展開がトンデモだったり不満はあるが楽しめたので★4つ。
○「クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの冒険」 ★★★ (04.4.24/DVD)
STORY:幼稚園の遠足で、群馬にできた巨大テーマーパーク・ヘンダーランドを訪ねたしんのすけは、立入禁止のサーカスの中で魔法人形の
トッペマと出会い、異次元の王国ヘンダーランドを滅ぼしたオカマ魔女のマカオとジョマが、続いてこの世界を狙っていることを知らされる。
怖がって戦おうとしないしんのすけだが、魔女の手先にひろしとみさえをさらわれ、ついに魔法のトランプを手に戦うことを決意する…。
劇場版クレしん第4弾にして本郷みつる監督最終作。とか書いているがぶっちゃけこのシリーズは「オトナ帝国の逆襲」しか見てないので比較
しての感想が書けないので短めに。
面白かった。子供が楽しめる映画でありながら大人も十分に楽しめる出来で。
アクション仮面・カンタムロボ・ぶりぶりざえもんの三大ヒーロー揃い踏みなんて燃える展開があったり、終盤のアクションは激しく動きまくり
だったりで素敵。
両親を助けるために一人だけで群馬まで乗り込むしんのすけの勇姿とか、ひろしの「今俺たちの息子が少しだけ大人になったところだ」
というセリフ(が、その前の戦いの必然性というのがない気がして…しんのすけが魔法のトランプで戦えばいいじゃん…ちょっと興ざめ)とか、印象
に残るいいシーンもある。
が、子供向けなので話がアバウトなのと、クライマックスがあっさりしていたのがちと弱いなあと。
トッペマを演じる渕崎ゆり子やオカマ魔女を演じる大塚芳忠と田中秀幸、その配下の雪だるま男ス・ノーマン・パを演じる古川登志夫と声優陣
は抜群に上手くて得した気分だったのだが、見た後劇場のチラシで「スチームボーイ」のキャストを見てブチ切れですよ。
○「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」 ★★★★ (02.4/VIDEO)
STORY:春日部で始まった「20世紀博」。大阪万博の再現を中心としたその懐かしい風景に大人たちは夢中になってしまう。そしてある日、
大人たちは一斉に「20世紀博」へと向かい、帰ってこなくなった。残されたしんのすけたち子供を襲う謎の組織。全ては、21世紀に絶望し、
世界を懐かしい、未来に希望があったあの頃へと戻そうとする秘密結社イエスタディ・ワンスモアの企みだったのだ!
「映画秘宝」誌で洋画邦画を押しのけて2001年度グランプリを達成してしまったりと、至る所で絶賛の嵐の劇場版第9弾。
「夢の21世紀」を実際に迎えてみればまるで明るい未来などではなかったがために、夢が溢れていた過去へと引きこもろうとする組織の
ボス・ケンとチャコ。
過去に逃避するも、未来を、夢を引き渡す対象、すなわち子供のために、現実へと回帰するひろし。
どんなものになるかはわからないけれども、これから手にする未来を守るために、何度も転んで、鼻血も噴き出して、ボロボロになりながら
も、それでも走るしんのすけ。
あー、これは泣けるなあ。細部まで作りこまれているし、ギャグもキレてるし、親子で鑑賞して泣いて笑って楽しむべき傑作。
ただ、オイラは、万博といえばつくば科学万博を思い出す世代だし、
大人になりたいから!と必死で陰謀を阻止するしんのすけにシンパシーを持てなくなっているくらいには大人になってしまったし、
子供もいないので、ひろしの
「俺の人生はつまらなくなんかない。最高だよ。あんたにも、分けてやりたいくらいだ」
というシーンで、ストーリー・演出の良さで泣けてしまうものの、実感として受け止めて泣けるわけでもなし、
と、作品が意図する客層からはみ出してしまっているがために、100%物語に浸りきれなかったところがあり。
故に★4つ。作品にではなく見る側に問題があったというわけで。
○「水滸伝 男たちの挽歌」 ★★★ (VIDEO)
STORY:中国、宋の時代。朝廷は奸臣たちに蹂躙され、世は麻の如く乱れていた。朝廷の武術師範の林冲は真面目で正義感の強い男。
最愛の妻とつつましく誠実に暮らしていた。しかし、彼女の美貌に目を付けた悪徳高官のボンクラ息子が、彼女を何とか我がものにしようと林冲
を無実の罪に陥れ、流罪にする。残された妻は迫り来る魔の手に抵抗し自殺、それを知った林冲は好漢・魯智深と共に復讐に立ち上がる…。
’93年製作の香港映画。通称「ジョイ・ウォンの水滸伝」と呼ばれていたが、’04年に「水滸伝 男たちの挽歌」として再発売される。確かに
原題は「水滸伝 英雄本色」ナリ。二丁拳銃のユンファ兄貴は出ないんで気を付けろ!
とはいえ、好漢が悪党の罠にはめられ無実の罪で迫害され、それでもその忠義故にじっと堪え忍ぶが、最愛の妻や仲間たちを殺され、ついに
怒りの逆襲に展じ血の雨を降らす、という筋は本家「男たちの挽歌」に相通じるものがあるか。
「水滸伝」といえば108人の個性豊かな豪傑が集い民衆を苦しめる悪党どもと戦う一大群像ロマンなのだが、この作品に出てくる108星の
豪傑は………2人。オンリーツー。少ないよ…。_| ̄|○
物語的には豹子頭・林冲(「ジャイアント・ロボ」の九大天王の一人)が主人公のくだりをかなり原作に忠実に作品化している。
…忠実なのは話の筋であって、アクションといえば…。
冒頭、山賊征伐に向かった林冲の部隊は山賊と正面から相まみえる。山賊の頭領もなかなかの使い手で、彼と林冲は一騎打ちで決着を付ける
こととなった。
「ならば空中戦で勝負だ!」
突然謎の一言と共に馬上から空高く舞い上がり空中で激闘を繰り広げる二人の姿にはちょっと呆然としてしまう(笑)
つーわけで当時全盛期だったワイヤー・アクションが全編に盛り込まれていて、皆非人間的な動きで戦いまくるのである意味必見。魯智深は
波動拳撃つし。敵の人間円盤部隊はちょっとイカス。
つーわけで原作のイメージに忠実なものを期待するとちょっと打撃を受けてしまうが、香港映画のハードバイオレンスアクションが好きな人
ならオススメ。ジョイ・ウォンかわええし。
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