◆4月3日(日)
朝飯食って東京に出発。
といっても、いつも使っている新幹線はおろか在来線まで止まっているので高速バスで初上京。
「どうでしょう」のせいで高速バスにはおっかない印象があるのだが、思ったより快適だった。まあ距離もそんなに長くないし昼間だし。
とはいえ、全行程5時間30分の内、最初の2時間かけて県内の停留所6カ所も回るのにはかったるくて閉口した。
バスの車窓から見る首都高の眺望というのは非常に新鮮だった。スカイツリーも見えた。
王子、池袋経由で新宿で下車。
しかし花粉症がきつい。鼻水止まらん。
東京に来たのはいいがバスの時間が微妙なせいで何もできず、電気屋を少し冷やかしただけに留まる。しかし節電で暗い。
上野駅近くで運動員もなく独りっきりで演説しているマック赤坂を見かける。
いや、演説してなかったな。笑ったり歌ったりしているだけだった。小声で「投票してね」と言っていた。何故小声?
その後秋葉原に移動したら再びいた。
18時、原発のアレでこっちに避難している友人と合流し水道橋の「焼肉 京城」へ。
「鶯谷園」の開拓以来ずいぶんご無沙汰だったが、やはり舌の上で勝手にとろけてなくなる上巻ロースの素晴らしさは健在。
久方ぶりに美味い肉を堪能する。
その後、神田の「世界の山ちゃん」に河岸を変えてほどよく飲む。
銀河高原ビールが泡がクリーミーですこぶる美味かった。前に缶で飲んだ時は何とも感じなかったのだが、やはり生だからだろうか?
お宿は上野のカプセルホテル「北欧」。上野だと立地がいいからここだの。
◆4月4日(月)
ここから本題。
6時起床。近くのファーストキッチンで早朝からガッツリいこうかと思ったのだが、モーニングメニューしかなく残念。
6時30分、京成上野駅でおかんと合流。スカイライナーで成田空港へ。
プロデューサー、北ウィングですよ北ウィング♪ らう゛ぃざみすてりーですよ!と初成田にこーふんするが、手続きが煩雑で
げんなり。
ここも節電で薄暗かったから余計印象が悪いのかもだ。
まあなんとか手続きが済んで初飛行機。…狭っ!そりゃあエコノミークラス症候群なんて病名ができるわけだわ。
つーわけで、初めての海外旅行。まずは経由地のパリを目指すわけだが…。
エールフランスが原発のアレで成田での補給を嫌がっているらしく、まずは成田を出て朝鮮半島で一旦着陸することに。
初めて降り立つ異国の地が朝鮮という屈辱は耐えられぬと切腹も辞さぬ覚悟だったが、別に乗り移るわけではなく、機内待機
だったので死なずに済んだ。
しかしおかげで機内食のゼリーやカップラーメンの蓋や席のモニターにはあの未発達な象形文字みたいなのが踊り、非常に不愉快。
つーわけでそれも含めてパリまで13時間!半日以上だよ。
日本上空では衾に襲われなかったし雲を突き抜けてそびえる富士山を見て(初富士山だったり!)テンションが上がったのだが、
あとはゴビ砂漠とツンドラが延々続き食傷。
映画も日本語が入っているのが少なく、入っていると「ツーリスト」だったり「RED」だったり最近金払って観たものばかりで、
どーゆーこと?
「ヤマト」はあったが当然華麗にスルー。
結局「デュー・デート」1本だけ観賞。
あとは本を読んだりPSPやったりDSやったりシートモニターの「上海」やったりして何とか乗り切る。行けども行けどもロシアだったよ!
20時、パリはシャルル・ド・ゴール空港着。つーかこの時間でまだ明るいんですけど。
ここでまたしても1時間以上の空き時間。しかしフランス語なぞ「ボンジュール」と「メルシー」ぐらいしか知らない浅学なツーリスト
なので途方に暮れまくる。
辛うじてカタコト英語でカフェで薄っっっっっいコーヒーを頼み一息。
21時、パリを後にし目的地へ2時間弱のフライト。2時間でよその国に行っちゃうのか。まあ日本も行けるけど。
今度の飛行機は小さく、乗り心地は新幹線みたいだった。
ようやく日が暮れる。
23時、ヴェネツィアはマルコ・ポーロ宇宙こ…違った空港に到着。
残念ながらサトジュン監督が「ヴェネツィアごめん」と名言を吐いた噴水の前は通らず、バスでローマ広場まで移動し歩いて2、3分の
島内のホテルへ。
つーわけで、はるばる来てしまいましたヴェネツィア!!!
脳梗塞からのまさかの全快祝いつーことで。
復職すれば連休なんぞ取れないし。これを逃せば次の機会は退職してからになっちまうので、
地震も原発も全ツッパで強行。
アリア社長、会いに来たぜ!(いません。)
◆4月5日(火)
つーわけでヴェネツィアの朝。あんなに日が落ちるのが遅いのに朝は普通なのね。
快晴。この超雨男にしては珍しい。やっぱ日頃の行いだな。
ちなみに朝4時に日本から携帯に電話が掛かってきた。不動産屋から引き払ったアパートの敷金の返金の件。
日本との時差は7時間。向こうは昼間だからねえ。いつかは夜中に電話が来るとは思っていたが初日からとは…。
ちなみに海外だと電話を受けるのにも金が掛かるのよね…。
ホテルの部屋になんとバルコニーがあったりしてご満悦。でも鍵が付いてない気がするんだが…。
この写真の道路の中央に写っている板はアクア・アルタの時の通路だそうで。皆が長靴じゃぼじゃぼ言わせてずんたかぽーんてな
わけにはいかないもんなあ。
集合前に軽く周囲を散策してみると普通にその辺に教会とかがある。
おお、彩色パリーナじゃ!
9時に集合して市内観光に出発。
天気がいいので特別リアルト橋経由でサン・マルコ広場へ向かってくれることに。やっぱ日頃の行いだな。
カナル・グランデを水上タクシーで進む。途中トラゲッタを目撃し更にテンション上がる。
しかしまあ、わかってたことだが、
水が汚い緑色だなあ。
ゴンドラこいでるのは屈強な男たちだなあ。
空に浮島浮かんでないなあ。
当たり前です。
世界で一番美しい広場ことサン・マルコ広場に到着。
まずはドゥカーレ宮へ。
ここは「ARIA」だとマルコ・ポーロ宇宙港になってるので中は本編にほとんど出てこないのよね。
シーズンらしく、修学旅行だか遠足だかのガキどもがわらわら。もっと価値がわかる年齢になってから連れてきた方がいいと思うのだがね。
ドゥカーレ宮の黄金の階段の登り口でこの旅で一番の美少女を見かけたのだが禁止区域だったので写真を撮れず。むむむ。
ガイドさんより飾られている絵画についてのいろいろな説明を受けたが、そんなのここで書いてもね。
一つだけ印象に残ったのは、ティントレットさんは目立ちたがり屋だったということ。
ドゥカーレ宮を抜けてため息橋を通り獄舎へ。
有罪を言い渡された罪人は獄舎へ向かう途中でため息橋から美しいヴァネツィアの景色を眺め、もうこの絶景を見られないのかと
ため息をついたという伝承があるわけだが………工事中で景色見えねえし!おまけに外壁も水色でべったり塗られてるし!
違う意味でため息をつきながらサン・マルコ寺院へ。
まずは2階のバルコニーから観光。大勢の観光客の中、一人だけ脇目も振らずバルコニーの端へ移動。
おお、「あの御方」がいましたよ!
怖い顔をしているのは「ヴェネツィアごめん」で織り込み済だが、実際見てみるとなんとも言えん表情だ。
実際見てみると、と言ってもベランダの角に外を向いて鎮座しているので手を伸ばしてカメラを顔の正面に向けて撮っているので、
実際は、見ていないけど。
サン・マルコ広場を後にし、ヴェネツィアンガラスの工房へ。
マエストロの美技をガラス屋のうさんくさい外人がうさんくさい日本語で解説。
店の中にはやはりうさんくさい日本語で商品の説明をする外人が何人もおり、日本人は上得意なのだなあ、と実感。
せっかくだからと買い物しようとするが、流石本場物高い。あざといなさすが本場物あざとい。
ただその辺で売ってる安い物は例外なく中国製だと言われ納得。
名産品ヴェネツィアン・レースも同様とのこと。あざといなさすが中国あざとい。
大きい物は嵩張るので買えないつーかそもそも高くて手が届かないので小っさいグラスを2つ購入。
割れないように「プチプチー」(店員談)などで厳重に梱包されて結局嵩張る。
続いてゴンドラ・クルーズ。お客様を乗せるゴンドラだというのに船体が黒というのはちょっち違和感があるが、法律で決まってるらしい
ので仕方がない。
内装はやはり船ごとに違うのだが、これを選んでるのって屈強な男たちなんだよな…。
40分ほどの船旅。
小さな水路からカナル・グランデに出る。澄み渡った空。心地いい風。(潮臭いけどなあ。)「ARIA」のあの音楽が聴こえてくる感じ。
なのだが、クルーズに同行している楽士のおっさんのカンツォーネでぶち壊し。
お客様の中にアテナ先輩はいらっしゃいませんかー!
このおっさん調子こいて終いには「横浜たそがれ」まで歌い出した。日頃歌など歌うことのないウチのおかんもやたら盛り上がって
いた。
だいなしよ−!
ちなみに乗ったゴンドラの横のレリーフ。
正面。目視できない位置だったのでうまく撮れんかった。
カンツォーネはともかく、ゴンドリエーレは流石屈強なだけあって見事な操舵で、3艘のゴンドラが隣との間隔が10cmほどでスイーッと
併走していくのは感動した。
終点には立派な教会があったが、こんなもん普通なのか何の説明もなし。
そして昼飯。
イタリアで海辺の名物料理といえば、当然スパゲッティ・ネーロ。
波紋を込めてシーザーにぶつけようとするが失敗する。
午後は自由行動。
午前中にガイドさんから、大鐘楼に登るなら夕方の方がいいと言われたので後回しにして、対岸のサン・ジョルジョ・マッジョーレ島を
目指す。最寄りのヴァポッレット乗り場へ行くも逆回りでかなり時間が掛かりそうだったのでサン・マルコ広場の反対側の乗り場へ。
ふつーにホテル・ダニエリの前を通り過ぎそうになる。
そう、映画「ツーリスト」の舞台…なのはどーでもよく、姫屋のモデルであります。
ところで修復中のため息橋の外が水色に塗られていたのはTOYOTAの広告だったよ、とっほっほ。
無事ヴァポレット乗り場へ。
イタリア語なんて「アリーヴェデルチ(さよならだ)」と「ボーノ」(「泣き虫少年」は名曲)しか知らんのだが、無謀にも12時間有効券の
購入を敢行。…カタコト英語でなんとかなった。
そして念願のヴァポレット搭乗。おお、接弦すると本当に揺れるな。
原作の、手すりにもたれて微笑む藍華(原作でも1、2を争うくらいに好きなシーン)のポーズで写真を撮ってもらうが、当然ここには
載せない。
おお、ブリコラだ。
5分ほどであっけなく島に到着。教会しかない小さい島で観光客もまばら。
いやだがしかし、この教会の鐘楼から眺めるヴェネツィアは絶景なのであった。
いやー、来てよかった。
再びヴァポレットで本島へ戻り再びサン・マルコ広場へ。
次なる目的地はカフェ・フロリアン。
入り口で戸惑っていると、日本人の店員さんが来て対応してくれて大いに助かる。すんなり中の「東洋の間」に通してもらえる。
当然オーダーはカフェラテ。発祥の店ですけえ。
せっかくだからスイーツ(笑)もオーダーするが、カフェラテも含めてすげえボリューミー。お高いだけではないのはいいことだ。
いや、外で楽団が勝手に演奏しているチャージ料も含めて本っ当にお高いんですけどね。楽団も「瀬戸の花嫁」とか演奏しなくて
いいから。
ヴァポレットで体がいい感じに揺れているところに過剰に甘いものを摂取し、体調が悪くなる。むう、幸せの達人さんというわけ
にはいかなかったか。
しかしカフェラテは実に美味しかった。何杯でもいけますぞ、というやつですわ。
この辺の写真は撮ったのだが、必ずオイラかおかんが写ってしまっているのでやむなくカット。
日記に書くって決めてたんだから、もっと意識して写真を撮ればよかったのだが、無我夢中だったもんなあ。
少々おえっぷとなりながら本日のハイライト、大鐘楼へ。
長蛇の列ができていたらどうしようと思ったのだが、すんなり入れる。
またしても絶景かな!
快晴だったので、遙か北の方に雪を戴いたアルプスがかすかに見えたのだが、デジカメには写らず。
残念ながら鐘は鳴らず。
だいたい見るべきものは見たのだが、もう一つだけ見たいもの、というよりは乗りたいものがありまして。
それすなわちトラゲッタ!
乗り場を探してうろつくも、この町は道がまっすぐ通ってないにも程がある!こんなもん迷わない方がおかしい。
まあ迷うのも醍醐味とそぞろ歩きして、結局サン・マルコ広場からリアルト橋まで歩いて来てしまう。
カナル・グランデ沿いに歩こうとしても頻繁に道が途切れるのねん。
そういや朝リアルト橋近辺で乗り場があったよな、と探してようやっと「トラゲッタ」とおぼしきイタリア語が書かれた乗り場を発見。
しかしゴンドラもなければゴンドリエーレもいない、と途方に暮れていると、対岸からやって来るではありませんか。
50セント払っていよいよ搭乗、わくわく。アニメ第3期4話のあの感動が蘇る。
普通のゴンドラと違ってトラゲッタは立ち乗りなのだが………無理無理無理!!!座って乗るのが精一杯!
こ、こえー、トラゲッタこえー!
見るものは見たし、乗るものも乗ったので一旦ホテルに引き上げる。トラゲッタの恐怖で震えが止まらない足でヴァポレットに乗り、
ホテルへたどり着く。
ヴァポレットの上からパチリ。もう無闇矢鱈と写真撮りまくった。
ホテルに着いて一休み。
そして晩飯に再出撃。日本語メニューがある店がいいと主張するオイラの意見は何とかなるというおかんのアバウトな意見に
押し切られ、ガイドブックに載っていた美味しそうな店を目指し、再びヴァポレットでリアルト橋へ。
つーかホテルに戻る必要なかったような。
ぬこ。丸々としていた。
他の町では犬を散歩させてる人がたくさんいたが、どいつもこいつもデカかった。コテコテなもんばっかり食ってるからなんだろう。
リアルト橋のたもとには天使がおった。
またも細いカッレをうろついて店を探すが、この地図がゴール地点だけすげえアバウトで最後の最後で道に迷うも何とかたどり着く。
しかしこの時点でまだカフェ・フロリアンで甘いものを大量摂取した胸焼けから立ち直っておらず、加えてトラゲッタとヴァポレット
で三半規管にダメージを受けており、到底たらふくメシが食える状態ではなかったり。
それでも前菜だけというわけにはいかんだろうと無理してメインの肉料理まで頼むが、おかんはいけしゃあしゃあと前菜だけで
済ませやがった。ちなみに前菜といってもパスタで、相当なボリュームがあるのです。
チョイスしたのはマカロニのカルボナーラとサーロインステーキ。
パスタは美味しかったのだがなにぶん量が多い…。しかもメインの肉がたいしたことがない(もちろん量だけはある)という罠。
腹一杯でデザートは頼めず。
前菜はビュッフェ形式。ウェイターが取り分けてくれた。油ギッシュに見えるが、オリーブオイル中心なのでそれほどではない。とはいえ、
この段階で結構満腹。
手前がおかんの、手長海老とトマトのパスタ、奥がオイラの、マカロニのカルボナーラ。
カルボナーラは下手なのに当たるとくどくて単調で食いきれないのだが、ここのは流石に美味しかった。…が、ボリュームありすぎ!
帰りもヴァポレットの駅にたどり着けず道に迷う。つーかまさか船着き場に続く道があんなに細くて暗いとは思わんぜよ。
何とかホテルに戻り、くちい腹を押さえて就寝。ちょっと胃もたれがするが、満足じゃ。
そうそう、やっぱりヴェネツィアにアリア社長はいたんだよ!
空港の持ち物検査でこの人形は何だと聞かれたらどうしようとヒヤヒヤした。聞かれねえから。
ちなみに、アリア社長を連れた同好の士はいなかった。連載/放送終了から3年も経ってるしねえ。
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