○「タイタンの逆襲」(3D) ★★★ (12.5.9/劇場)
STORY:かつてクラーケンと死闘を繰り広げたペルセウスは一人息子のヘレイオスと静かに暮らしていたが、父親であり神の長であるゼウスが再び
現れ、巨神・クロノスの復活を阻止するための助力を要請される。断ったペルセウスだったが、ゼウスが兄・冥神ハデスと息子・戦神アレスに裏切られ
囚われの身となったことにより神々の力が更に弱まり、魔物が出現して平和を脅かされたため、ゼウス奪還を決意し、神の血を引く仲間を集める…。
前作「タイタンの戦い」はPS3辺りの3Dアクションゲームしかもクソゲー風味で、プレイしたら2時間くらいでクリアしてしまいやりこみ要素も
何もないという感じだった。しかもブームに便乗しようとして無理矢理3Dに加工したものの、あまりに付け焼き刃で字幕しか飛び出さねえと
いう散々な駄作であった。
じゃあ続編観に行くなよ。
さて、それを踏まえての続編だが、監督も替わったことだし、前作の反省点を踏まえて思ってたよりはマシな出来に。
なんつっても前作はボリュームがなさすぎで、クライマックスの戦いも(それまでの戦いがgdgd長かったのに)あっけなく終わってしまって
ガッカリですだったのが、だいぶ改善されて、そこそこの満足度は得られた。
大巨人クロノスの目覚めとそれを待ち構えて迎撃せんとする人間の軍勢。その包囲を切り裂く魔物の尖兵の恐怖とそれに対抗するジジイ神
無双。なかなかに盛り上がった。
ただし、そこに行き着くまではgdgdだったが。
同じくオリュンポスの神々とタイタン族の死闘を描いた「インモータルズ」も度し難いgdgdだったが、そうしなければならない規則とかある
のかね?
○「ベニスに死す」 ★★★ (12.5.7/劇場)
STORY:1911年夏、ドイツの高名な作曲家・アシェンバッハは静養のためイタリアはベニスのリド島を訪れる。滞在先のホテルで、美少年・タジオ
と出会った彼は、あまりの美貌に心を奪われてしまう。芸術とは努力して積み重ねてこそ光り輝くものだという持論を持つ彼はタジオの天然の美に心
を千々に乱す。その頃、街にはペストが広まりつつあった。観光客を失うことを恐れ街ぐるみで隠蔽するその事実を知ったアシェンバッハだが…。
ルキノ・ヴィスコンティの名高き耽美大作。40年の時を経てニュープリントで銀幕に蘇る。
(ベニスという呼び名は好きじゃないのでヴェネツィアで通すが)ヴェネツィア大好きっ子としては、そりゃあ観にいかねばなるまいて。
が、劇中のヴェネツィアはどんより曇っていて夏の太陽とアドリア海のギラギラ感がまるで感じられず、コレジャナイ感がひしひしと。
あと、40年前からすでに運河の水は汚いのね。生活排水だもんなあ。
身も蓋もない書き方をしてしまうと、鼻眼鏡に口髭が猪口才なおっさんが美少年に一目惚れして破滅というか自滅する話なのだが、確かに
問題の美少年は中性的で神がかってふつくしい。監督がヨーロッパ中を駆けずり回って探し当てたというのも頷ける。
しかも、主に着ているのが水兵服=せえらあ服というチートっぷり。当然下は長ズボンなのだが、これがスカートとまでは言わないが、半ズボン
だったりしたら、やばかった。
水着が古き良きダセエフォルムなのも痒い所に手が届かない。(もっこりは強調されていたがなあ。)
対照的におっさんは、老いて汚らしいものとして描写されており、だったらあんなセクハラやこんなセクハラでもかませよと思わないでもないの
だが、ただただ遠く近くじっと見つめるだけの忍ぶ恋。まあ奥ゆかしいと思わないでもないのだが、そんなので2時間以上引っ張るもんだから
なあ。
最終的に、おっさんは美少年にお近づきになるために、老いて汚らしい自分から脱却すべく床屋で若返り作戦を決行。その結果、コメディと
見紛う姿に化身し、我々を当惑の極みに導いてくれやがる。が、結局若く美しく健康的な少年に届かずにひっそりと孤独に死んでいき、そこで
初めて先ほどのコント紛いの格好の意味を我々は知ることになるわけで。いやでもそれにしたってあの白さはねーよ、と思うわけだが。
全編、主人公のおっさんのモデルとなったマーラーの楽曲が外連味たっぷりに大音量で響き渡るも、話自体はアクションもサスペンスもラブ
ロマンスもなくただただ淡々と時を刻むだけで、風景もヴェネツィアの美しさを十分に伝えられているかいうとそうでもなく(つーかむしろこれを
観たら逆に行きたくなくなるような。)、観る人を選びそうなゲージュツ作品。
○「Black & White/ブラック&ホワイト」 ★★ (12.4.25/劇場)
STORY:アグレッシブなFDRと真面目で慎重なタックはCIAの凄腕エージェント。性格が全く違う2人だが公私ともに息の合った名コンビだった。
しかしお互いローレンという魅力的な女性と知り合い、恋に落ちてしまう。紳士協定を結んだ2人だが、職権を濫用した妨害工作はエスカレートする
ばかり。一方、恋愛経験がほとんどないのに突然二股生活に突入してしまったローレンはどちらも選べず、どうすればいいか悪友に相談するが…。
予告編が面白かったので観てみたけれど、予告編に入っていた部分が面白い箇所のほとんどだったでござる。
もっと主人公コンビの足の引っ張り合いが大人げなく派手にエスカレートしていくかと思ったのだが…。
そもそも、二股掛けてどっちの男も良すぎて選べないなんてニヤニヤしているヒロインが不愉快。塩谷瞬に謝れ。でも冨永愛は「デビルマン」
に出てた呪いなので自業自得。
これでもうちょっとかわいい顔だったら、かわいいは正義の法則に従って、仕方ないなあと思えるのだが。なんだそのエラ。
いや、冨永愛のことじゃないですよ。いや、冨永愛も全くかわいくないけど。チョナンカンかと思った。
その他、タックの元妻もうだつが上がらないように見えたタックが実はCIAのエージェントで頼りになると知った途端に手の平を返してすり寄って
くるし、ヒロインの悪友も下品極まりないし、ロクな女性が出てこないのも減点材料。
いや、冨永愛のこ(ry
○「バトルシップ」 ★★★ (12.4.25/劇場)
STORY:ハワイから地球型惑星に向け交信の電波を送信して数年後、突如飛来した宇宙船がハワイ沖に着水。強力な電磁バリアでハワイは外界
から途絶されてしまう。軍事演習を行っていた米軍と自衛隊の艦艇で3隻の駆逐艦だけがバリア内に取り残されたが、宇宙船の圧倒的な攻撃力の
前に2隻が撃沈されてしまう。宇宙人は通信施設を占拠して母星から援軍を呼ぼうと画策。電波送信まで僅かな時間しか残されていなかった…。
ユニバーサル映画100周年記念作品で、「海戦ゲーム」によく似た同名のペンシルパズルがモチーフ。「海戦ゲーム」ならいろいろアレンジした
のを中学の時によく遊んだ。
トランスフォーマーなどの玩具メーカー、ハズブロが一枚噛んでいるだけあって、敵宇宙船のメカニックはまずまずかっこいい。
つーわけで戦闘シーンはまあ満足。敵の攻撃力は圧倒的なれど、防御力はさほどでもなく、地球側の兵器でも当たれば倒せるレベル。恒星
間航行できるほどの文明が作った宇宙船なのにね。
ただし電脳戦を封じられたり艦長以下士官が全滅して指揮系統が壊滅したりで当てるのが難しく、ラス前までは防戦一方。それ故に大逆転の
カタルシスはある。
宇宙人、環太平洋合同演習で各国の艦隊がうようよいるというたいへん間の悪い時に侵略に来てしまったと思いきや、やたら便利なバリアを
張ってくれて、艦隊はまるで参加できず指をくわえて見てるだけというトホホな展開。せめて砲撃を集中してバリアを破ろうと試みる描写とか挿入
しようよ。
かくして人類の希望はバリアの中に閉じ込められた米日の3隻の駆逐艦に託されるのであった。
ちょっと待て、くちくかん?英語で言うとdestroyerで全然バトルシップじゃないじゃんよ。
というツッコミへの返答はラス前まで焦らしに焦らしてくれる。
それ故に、そこに颯爽と姿を見せるバトルシップの勇姿には思わず身震いをし、彼女を操るべくどこからともなく現れる兵(つわもの)たちの
格好良さには感涙を禁じ得ない。それにしてもどこからともなくわらわらと現れすぎだが。
一方で、電波送信所では電波発信を少しでも遅らせるべく傷痍軍人の黒い人が健康な軍人たちが束になっても敵わなかった敵装甲服を
何故か痛快に殴り飛ばしてたりして、終わってみれば米軍サイコー!アメリカ万歳!こまけぇこたぁいいんだよ!ないつものハリウッド大作
だった。
しかし敵さんも太陽光に弱いのに何故そんな星を侵略しようとするのか。
つーわけで概ね楽しい映画ではあったが、どうにも主人公がいかすけない。
いろいろスペックは高いのだが精神的に残念でまっとうな軍人の兄に尻ぬぐいばかりさせて、一応激戦の中で成長はするものの、最大の恩人
である兄は戦死しているという報われなさ(兄が)。
そもそも中途入隊で問題児のくせに何故どうして尉官にまで昇進してやがんのか。気に喰わん。
浅野忠信は「マイティ・ソー」の時とは違い、副主人公クラスで大活躍。なのだが、他の日本人俳優と差し替えてもなんら困らないイメージ。
そもそもまともに演技している姿が違和感ありあり。
あとオチがまったくもって不要。
○「アーティスト」 ★★★★ (12.4.23/劇場)
STORY:ジョージ・ヴァレンティンは銀幕の大スターで順風満帆な生活を送っていた。彼の大ファンで女優志望のペピー・ミラーはひょんなことから
彼にアドバイスを受け、頭角を現し始める。ハリウッドはサイレント映画からトーキーへと大きく変革の時期を迎え、その波に乗れなかったジョージは
没落していく一方、ペピーは新時代の寵児としてトップスターに登り詰めていく。傷心のジョージは出演作のフィルムを燃やし焼身自殺を図るが…。
2012年度アカデミー賞で見事オスカーを獲得した作品。しかもモノクロのサイレント映画という異色作。
サイレント映画といってもBGMはありなので、なんちゃってなのだが、BGMもSEも使い方がうまい。
言葉を使えないが故の体を使った要所要所の演出もバッチリだった。
話はすこぶるシンプルでよろしい。絵に描いたようなハッピーエンドもウェルカム。
ただ、主人公がなんでそんなにトーキーに難色を示すのかがいまいちティンと来なかったが。
ヒロインは予告編で見た時はなかなかかわいいと思ったが、本編では正直そんなでも。口が大きいのが気になった。
ジョン・グッドマンはモノクロでもギトギトしていた。
まあ面白いけどオスカー取るほどかと言われると疑問だが、犬は掛け値無しに素晴らしかった。助演男優賞にノミネートしろよ!
ギョーカイとしては3D映画の登場もサイレントからトーキーになるのと同じくらい革新的とか思ってたのかね。そんなわけねーだろ。
○「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」 ★★★★ (12.4.18/劇場)
STORY:19世紀末、欧州各地で爆破事件が多発し、各国は一触即発の危険な情勢になりつつあった。事件の黒幕がモリアーティ教授だと推理
したホームズだが、教授によって周囲の人々が危険に晒される。新婚旅行の車内で教授の手下に急襲されたワトソン夫妻を間一髪救い出した
ホームズは、逆襲に転ずるべく、ワトソンと共に手がかりを求めてフランスへ向かう。二人はパリ郊外で事件の鍵を握る重要人物を捜すが…。
ガイ・リッチー監督とロバート・ダウニー・Jr.&ジュード・ロウが送る人気作の続編。
前作の感想は一言で表せば、「シャーロック・ホームズだと思わなければ面白い」だった。
なんでホームズなのにアクションばっかすんねん。推理しろ推理。(実際ツ○ヤでもミステリ/サスペンスのコーナーではなくアクションの
コーナーに置いてある。)
「アニメ『アイドルマスター XENOGLOSSIA』が『アイマス』だと思わなければ面白い」のと全く同じ。
ホームズものの二次創作のタイトルが許せないだけで殺人までしてしまう気性の荒いシャーロキアンを敵に回して大丈夫なのかと思いきや、
堂々の続編登場。しかも件のアイリーン・アドラーを殺してしまうという暴挙。まったくこりない悪びれない。
さて、内容だが、前作でホームズの造形については免疫ができた、つーか諦めがついたので、素直に底抜けアクション大作だと割り切って
楽しめた。
きっと「伯爵令嬢誘拐事件」の続きなんだと思えば腹も立たない…かも。
前作が興行的に成功したことを受けていろいろスケールアップ。舞台もイギリス・フランス・ドイツ・スイスとヨーロッパ中を駆け巡って茶番劇
活劇を繰り広げてくれる。
推理シーンも前作よりは増えたような気がするが、それ以上にアクションが増量かつ派手派手になったので、やはりアクションコメディと
しか思えない。無論のこと大味だし。
ああ、この意味もなく無駄にスタイリッシュな映像。ガイ・リッチーってそういえばこんなのだったよなあ。
ホームズとワトソンの息のあった夫婦漫才も健在で楽しい。つーかワトソンの結婚にショックを受けて挙動不審に拍車がかかるホームズの姿に
腐女子は大歓喜しそう。
登場人物も増えて、ホームズ最大のライバル、モリアーティ教授も満を持して登場し、ホームズを(主に頭を使ってではなく暴力で)追い
詰める。
なんか髭男爵みたいな見てくれなんでもっとスマートな方がよかったなあ、と。まあ思い浮かぶイメージはどうしても大塚周夫声の白スーツ・
マントでモノクルの紫色の犬なんですけどね。あんにゃろ。
更にホームズの兄・マイクロフトも登場………したのだが、まさかの、
| ', i l / l イ,、-‐ーー‐--、::::,、-‐ー-、l !::i;::::::::::';::::::::::::::::::l l:::::::::` ‐、 紳士キャラで唖然。
| ', l イ// l/ r'/ /-''"´ ̄ ̄ヽ `,-''"´``‐、 ヽl';::::::::::';ヽ/:::::ノ ノ::::::::::::';::::\
| ',! l/ /::::/::::::/::::::::::l l:l lヽ、二ニニニニニニ、-'´:';:::::::::::::';:::::::
ヽ! /、:/:::::;イ::_,、-'´ノ:l し u l:!';:l ';::::/:l', ';::::::l';::::::';:::::::::::::';::::::
___l___ /、`二//-‐''"´::l|::l l! ';!u ';/:::l ', ';::::::l ';:::::i::::::l:::::::';:::::
ノ l Jヽ レ/::/ /:イ:\/l:l l::l u !. l / ';:::l ', ';:::::l. ';::::l::::::l::::::::i::::
ノヌ レ /:l l:::::lヽ|l l:l し !/ ';:l,、-‐、::::l ';::::l:::::l:::::::::l:::
/ ヽ、_ /::l l:::::l l\l ヽ-' / ';!-ー 、';::ト、';::::l:::::l:::::::::l::
ム ヒ /::::l/l::::lニ‐-、`` / /;;;;;;;;;;;;;ヽ! i::::l::::l:::::::::::l:
月 ヒ /i::/ l::l;;;;;ヽ \ i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l l::l::::l:::::::::::::
ノ l ヽヽノ /:::l/:l /;;l:!;;;;;;;;;', ';;;;;;;;;;;;;;;;;ノ l:l:::l:::::::::::::
 ̄ ̄ /::::;ィ::l. l;;;;!;;;;;;;;;;;l `‐--‐'´.....:::::::::!l:イ:::::::::::::
__|_ ヽヽ /イ//l::l ヽ、;;;;;;;ノ.... し :::::::::::::::::::::ヽ /!リ l::::::::::::::
| ー /::::l';!:::::::::::::::::::: u ', i ノ l:::::::::::::::
| ヽー /イ';::l ’ し u. i l l:::::::::::::::
| /';:';:!,.イ し 入 l l U l::::::::;':::::
| /,、-'´/ し / ヽ、 u し ,' ,' l::::/:;':::::::
| /l し _,.ノ `フ" ,' ,' ,ィ::/:;'::::::::
| /::::::ヽ ヽ / し ,' ,' / l::/:;'::::::::::
| /::::::::::::`‐、 し ', / u ,、-'´ l,、-''"´ ̄
| ``‐-、._::::::::::` ‐ 、 ',/ , -'´`'´ ,-'´
| _,、-‐'"´';:::::::::イ:l';:::` ‐ 、._____,、-‐'"´ u / し
| | | | \ l::/ l::::::/リ ';:::::lリ:::::l';:::l l:l:::::l\ u /
| | | | \/ l:::/ ノ ';::/ ';::::l l::l リ l::l l::/ヽ / し
.・. ・ ・. ・ ヽ \ リ レ ヽ! り レノ `y
しかし、まさか2作目であすこまでやっちまうとはなあ。決戦の場がスイスの滝のあるホテル(風光明媚だけど実際泊まったら水音が
五月蠅すぎだろね。)という段階でファンはググッとくるものがあるよな。
モリアーティをこれだけで退場させるのはもったいないと思うんだが。
次作はルパン対ホームズだったり?(あれはホームズが悪役っぽいけど。)
○「灼熱の魂」 ★★★★ (12.4.10/劇場)
STORY:ホテルのプールサイドで突然体調を崩し、そのまま帰らぬ人となった母から双子の姉弟に宛てられた遺書には、姉弟の、死んだと
教えられてきた父親と存在すら初耳の兄を探し出して、手紙を渡してほしいとあった。乗り気でない弟をおいて母の生まれ故郷である中東へ
渡った姉・ジャンヌは次々と驚愕の事実を知る。異教徒の男との許されぬ子どもを身ごもった母・ナワル。村の掟を守るため男は殺され…。
2012年度アカデミー賞外国語映画賞部門に堂々ノミネートされたミステリ。1+1=2のはずなのに…。
育児に無関心で何を考えてるかわからなかった中東系移民の母親・ナワルの突然の死。そして双子の姉弟に遺された理解不能な遺言。
それを実行するためにジャンヌは母親の故郷に初めて足を踏み入れる。
少ない手がかりから徐々に明らかになる母親の壮絶で凄惨で衝撃的な過去。
民族紛争に巻き込まれ翻弄された一人のか弱き女性を通して語られる戦いの歴史。血に染まった報復の負の連鎖。
そしてその長き彷徨の果てに遂に明らかになるまだ見ぬ父親と兄の正体。それは夜明けか永遠の闇か。
そして執行される遺言。その手紙に込められたナワルの想いが放たれる時、灼熱の魂はようやく解放される。
まあネタバレしてしまうと興ざめな作品なので、驚愕のエグい真実はぜひとも自分で確かめていただきたい。
そしてそれを、愚かな人間の業さえも受け入れて許してしまう、という母親の大いなる愛に胸を打たれていただきたい。
しかしシューキョーはやだねえ。まあ交通事故を起こすので自動車は駄目だという理屈で、シューキョー自体には罪がないのかもしれないけど。
○「ストライクウィッチーズ劇場版」 ★★★★ (12.4.5/劇場)
STORY:’45年、謎の敵・ネウロイからロマーニャを解放した宮藤芳佳は魔力を失って故郷に戻っていたが、坂本少佐から医学校への留学を
打診され、三度欧州へ向かう。同行するウィッチ・服部静香は伝説のウィッチである芳佳を尊敬していたが、軍規を守ろうとしない芳佳に次第に
失望の色を強くする。一方、欧州では多方面でネウロイが侵攻を開始し、空を飛べず戦えない芳佳も戦火に巻き込まれてしまうが…。
「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」の名コピーと共にオタク業界を震撼せしめた話題作が二度のTVシリーズを経てついに映画化。
しかも総集編などではなく完全新作。
舞台はTVシリーズ終了後。解散した501統合戦闘航空団が新たなる敵の出現と仲間の危機に際して再結集する物語。
TV版をリアルタイムに見ていた人にとってはおよそ1年半ぶりの彼女たちの勇姿ということになり感無量であろうが、こちとら2日前に見
終えたばかりだったのでそんなに感激できなかったのは残念。
つーかシチュエーション的に「2」の冒頭2話の焼き直しになっちまうよなあ。
その上芳佳がどんどん強くなっているので力押しでやっつけてしまって大味だという。
結局、芳佳が何故に再び空を翔けることができるようになったのかも謎だし、いろいろ問題はあるのだが、
かわいいは正義!
なので許せてしまえるのである。こまけぇこたぁいいんだよ。
新キャラや各戦線のウィッチたちはもちろん、501統合戦闘航空団の面々も相も変わらず超絶にかわええので無問題である。
相も変わらずズボン姿で素晴らしいアングルで大空狭しと跳ね回るので無問題である。
だってそーゆーのを期待してみんな劇場まで足を運んでるわけでしょ?ワシもじゃ、ワシもじゃみんな!!
まあ登場人物が多いので掘り下げが少ないのは惜しいところ。なんだったら90分全編エイラーニャ でもよくってよ。
個人的には「2」の第1話で派手にぶっ壊された我が麗しのヴェネツィアが復興していて嬉しかった。ネウロイの野郎め。そしてルッキーニの出番
が多くて嬉しかった。
つーわけで無事主人公も復帰したし、TV版第3期でも劇場版第2弾でも、いつでもスタンバイOKだのう、とEDを見ながら思ったら、最後の
最後がまんま「つづく」の大文字でワロタ。
まあ、もっさんは魔法力を失ったままだが、気合とか特訓で何とかするだろうし。
新メンバー加入で偶数人になるからカップリングで余りが出なくなると思ったら新メンバーが2人なのでまた割り切れないという罠。
○「ペントハウス」 ★★★ (12.4.2/劇場)
STORY:マンハッタンにそびえる超高級マンション、”ザ・タワー”は敏腕マネージャーのジョシュら、貧しくも善良な働き者たちによって切り盛り
されていた。最上階のペントハウスに住むウォール街の大富豪・ショウが詐欺で捕まる。ショウを信頼していたジョシュはタワーの従業員の年金の
運営を彼に委ねていたが、騙し取られていたことが発覚。怒り心頭のジョシュと従業員たちは、ショウの隠し資産を強奪しようと計画を立てるが…。
なんか全然知らない映画だったけどなんかベン・スティーラーが主演なのでなんか観にいったらなんかエディ・マーフィが共演していてなんか
ビックリしたけれどなんか全然毒がないのが残念だった。
つーわけで20世紀を代表するコメディアン、エディーマーフィと21世紀を代表するかもしれないベン・スティーラーの共演なのに全然
騒がれていない悲しい作品。
制作が「オーシャンズ11」の人、監督が「ラッシュアワー」の人なんでだいたいそんな感じの作品。
ただ、隠し財産横取り作戦に従事するのがボンクラな善人ばかりでうまくいかないというのが新しいのかな。
それでも駄目は駄目なりに意外な特技があって土壇場でそれが意外な形で役に立つ、とかだったらもっと面白くなったのに。
完全勝利とはいかないラストもなんだかなあ。
普通に演技はこなしているのだが、とにかく毒がないベン・スティーラーというのは残念。ヴェネツィアに旅行に行ったのにゴンドラに乗ら
ないというくらい残念。
エディ・マーフィも華がない。
ティア・レオーニは歳くってごっつくなったなあ。
とても同じ人間とは思えない黒人メイドはインパクトがあった。ルームサービス頼んであんな強烈なのが入ってきたら多分泣いて命乞いするわ。
○「僕達急行 A列車で行こう」 ★★★ (12.3.28/劇場)
STORY:一流不動産会社・のぞみ地所に勤める小町圭と小さな下町の町工場・コダマ鉄工所の跡取り息子の小玉健太、鉄道マニアの二人は
偶然出会い意気投合する。二人の共通の悩みは女性とうまく付き合えないこと。九州に転勤になった小町は難物の社長相手の工場誘致に取り
組む。見合いが破談になり傷心の小玉が訪ねてきたので傷心電車旅行に付き合う小町。その旅先で二人は金持ちの鉄道マニアと知り合うが…。
えーと、森田芳光監督の遺作なのであんまり野暮ったいことは言いたくないのだが、
何だこりゃ?
とても21世紀の、というか、平成の映画の演出ではない気がする。現代人が秒刻みのスケジュールに追われている内にいつしか忘れて
しまったゆったりとした空気というか何というか…。どこか懐かしいような気もするが、その思いよりも違和感の方が強いので、やはり言わず
にはいられない。
何だこりゃ?
しかし、この作品がシリーズ化を視野に入れて作られたと後から聞いてちょっと納得。
「寅さん」のような、「釣りバカ」のような、馬鹿でもチョンでも誰が観ても楽しめる、誰からも愛される映画を目指していたんだなあ、と。
大抵のことは小器用にこなすけれども、どこか間が抜けていてお人好しな愛すべき主人公二人とか、その周りを取り巻く登場人物皆善人
とか、無駄に騒々しく違った意味で喜劇的な社長と太鼓持ちとか、確かに至るところからそういう雰囲気がにじみ出ている。
でもそれにしたってあの見合い相手のAV女優レベルの演技力とか看過できないところありすぎだが。
二人の主人公は両方とも鉄ちゃんで、しかも音に特化していながら、それぞれ全く違った趣向の持ち主だったりして、鉄ちゃんは深いなあ。
ちなみにオイラは軽度の時刻表鉄。
とにもかくにも演出が何だこりゃ?なんで評価がしづらいのだが、松ケンと瑛太の主人公コンビはなかなか好感が持てる感じ。
ピエール瀧はいい役だけど、すっかり役者さんが板に付いたのう。
笹野高史や伊武雅刀はいつも通り。
貫地谷しほりと松坂慶子は、それってどうなのよ?とツッコミを入れたくなる。
北千住(焼肉京城があるな)の駅にて松ケンが嬉しそうに「ココから世界のどこにだって行ける!」と宣言する。
オイラは田舎育ちなので必然的に移動手段は車に頼らざるを得ず、もっぱら電車は旅行の時に使うものなわけで、故に↑の言葉のワクワク感
は共感できるような気がするのだが、でも「世界のどこにだって」は言い過ぎじゃね?
まあ大衆向けなので毒にも薬にもならないが結構好きな映画。だが、最後にしつこいようだがもう一度言いたい。
何だこりゃ?
○「しあわせのパン」 ★★★ (12.3.26/劇場)
STORY:北海道は洞爺湖に面した月浦という小さな町。湖のそばに、カフェ・マーニという、季節の食材を取り入れたパンと、そのパンに合う
美味しいコーヒーを淹れてくれる小さなお店があった。そこを営むのは、パン職人の水縞くんとりえさんの夫婦。そこを訪れるいろいろな悩みを
抱えたいろいろな人たちは、素朴だけれど素敵なおもてなしで、心の傷を癒されていく…。
♪これからは二人 同じ速さで歩いていこう これからもずっと 好きな景色に囲まれながら
いつものあの店のスープに 君の笑顔が溶ける
副社(ミスターのヨメ)がプロデュースした北海道いいとこ一度はおいで映画。そうなると当然主役は今や冗談抜きで北海道が生んだ大スター
となった・御存知大泉洋。
つーわけで夫婦なのに「水縞くん」と名字で呼ばれてしまう微妙な関係の姉さん女房と、気のいい朴訥な(「マグロ!」を草食系にした感じ
の)青年が細々とやりくりする湖畔の素敵な喫茶店兼ペンションと、様々な問題を抱えて背負ってここを訪れ、素敵オーラに癒される老若
男女の姿を描いた四季折々の物語。
よういずみの年上の奥さん役は原田知世。一世を風靡したのはまだオイラが幼い頃だったのであんまり思い入れがないけれども、「ロマンス」は
神曲だと思います。
時をかける少女も気がつけば45歳で、そりゃあオイラも歳を取るはずだと、となんだかしみじみするが、ショートカットのその横顔が幼くて
かわいくてドッキリ。短髪好きにはオススメ。
そんな夫婦と、夏・秋・冬と季節ごとにカフェを訪れる客たちとの交流が描かれるわけで、やっぱりそのお客さんが一癖も二癖もあって、いろいろ
なトラブルを抱えていて、それが癒されていくなんてえ話なのだが、ここが何とも下手くそなのが痛い。
四季折々の美しい自然、美味しそうなパン、暖かそうな料理、心優しき地元民、和やかな音楽なんて雰囲気が良さげなのだが、それに頼りっきり
で物語がおざなりなんだよなあ。
東京から北海道に旅行に来て、沖縄土産のシーサーを探すOL。いや、東京に帰ってから買えよ。
地獄耳ってレベルじゃねーぞ、なガラス職人。
雰囲気で察しろよ、と言わんばかりな言葉足らずな父と娘。
唐突にアコーディオンを弾きだす謎の常連客。そして謎は丸投げ。
そのうち旦那の留守中に奥さんを襲いそうな郵便局員。
最後の客の中村嘉葎雄が流石の存在感で引き締めてくれたから何だかいい映画感で終われたものの、それがなかったらやばかった。
しかし矍鑠としていた中村嘉葎雄、5年前の「どろろ」の時なんてかなりやばかったのに、また元気になったようで。
つーわけで、あまり細かいことは考えないで、ほっこりした空気を楽しむ作品。
でもなあ、大泉洋がパン屋なんだよ?
「おいパイ食わねぇか」って言わないかなあと思うのが人情てぇもんですよ。
次々に押し寄せる変な客を相手にボヤきまくるけど、結局はリクエストに応えるいいヤツなんてキャラを期待しちまうじゃないですか。
でも、そんなことは一切なく、ただいるだけのキャラなのがなあ。
大泉洋主演だったらお前ら観に来るんだろ、アーハン?と馬鹿にされているようで。
○「トテチータ・チキチータ」 ★★ (12.3.14/劇場)
STORY:借金で全てを失った木村一徳は零戦のおもちゃを買ったおもちゃ屋で不思議な少女と出会い、彼女の導きで震災の傷も癒えぬ福島
へとやってくる。一人暮らしの老婆を狙った詐欺に手を染めた一徳は南湖のほとりで少女・凛と再会する。凛は一徳が自分の息子の生まれ変わり
だといい、一緒にいた被災地から避難してきた高校生・健人を一徳が夫の生まれ変わりだと言う。彼らは誰かに呼ばれてこの地に集ったのだと…。
地震・津波、そして放射能と風評被害に苦しむ福島県で全編ロケされた、(福島県でのみ)噂の話題作。
不思議な少女によって集められた夢破れた中年男と震災で多くのものを失った高校生。彼らは前世(第二次大戦中)で家族だったという。
そして彼らが集まった理由、それは前世の家族の唯一の生き残りの老婆を看取るためだった。
なんてデンパな女の子の話を信じているのか単にロリコンなのか何なのかわからんが、何故か行動を共にしてしまう男二人が何ともほのぼの
しているが、この辺もう少し説明が欲しい。
つーか全体的に説明不足で唐突。半分自主製作映画な感じ。
奇妙な四人の家族ごっこの幕引きもちと唐突だし、音楽室の幽霊の話とかも中途半端に終わってしまっている。つーかあんな不気味なことを
したら転校初日からいじめの対象になってもおかしくないんじゃないん?
まあ何だか憎めないという豊川功補の特殊能力と松原智恵子のベテラン力で適度にイイハナシで収まっているが、それ以外のキャストの
オーラの無さはどうだろうか。
特に物語の核となるようぢょがあんましかわいくないのは実にいただけない。
さて、「福島から届いた、これからの一歩を踏み出す希望の物語」だそうだが、これ、舞台が福島である必然性が全然なくね?
プロデューサーが福島県出身だからたまたま福島でロケする予定で、震災があったからそれをちょっとネタに絡めちゃえってだけじゃん。
宮城でも岩手でもなく福島で震災からの復興を謡う以上は、放射能の問題に触れるべきなのだが、そこは全然。
つーか物語の舞台の白河市はもとより、他のロケ地も線量の低い場所ばかりなのがなあ。
出演陣も素人みたいなのばかりなのに一人以外全く福島県に縁もゆかりもないし。
県人でロケ地にそれなりに土地勘がある身としては、(ロケに協力してくれる病院が近場になかったんだろうけど)、県の南部、栃木県に隣接する
白河市で倒れたおばあちゃんが県の北部、宮城県に隣接する国見町の病院に運び込まれるシーンで大爆笑してしまった。
あと、福島空港からオーストラリアに行くのは果てしなく遠回りなので新幹線使って仙台や羽田に行った方が全然早いと思います。
○「おかえり、はやぶさ」(3D) ★★★ (12.3.14/劇場)
STORY:大橋健人はエンジニア助手として小惑星探査機はやぶさに携わっている。火星探査機のぞみに携わっていた父親・伊佐夫はその失敗
の責任を取り表舞台から去り、失意の内に暮らしていた。父親のようにはならないと意気込むあまり、健人はチームの和を乱し、スタッフの奈緒子に
窘められる。幾多の困難を乗り越え満身創痍で地球へと還ってくるはやぶさを通して、健人も伊佐夫も少しずつ変わり始める…。
「はやぶさ」三兄弟の三男。流石に三作目ともなるとマンネリだし有名キャストは前の作品に取られちゃってるしで、ちょっと毛色を変えねば
ならんと考えたのか、よせばいいのに3D化。
だがしかし、これが結構イカス。大宇宙の星の海を行くはやぶさの勇姿だけで元は取れた感じ。でも+¥300はボッタクリだけどな。
だがしかし、はやぶさの苦難と栄光の軌跡とそれを支えた熱き男たちの実話が素晴らしいのに、そこにオリジナルの主人公なんぞを入れる
のは蛇足だということを、長兄の大失敗から何故学ばないのか。
火星探査機のぞみのプロジェクトが失敗してさんざん叩かれて引きこもりになってしまった父親との和解はまあそれなりに描けているが(蛇足だ
けどな)、自己中な生意気な若者が人間的に成長していく過程が、監督が無能なので描かれておらず、いきなりいい人になってしまうのは
どうなのか。犬猿の仲の同僚との和解もなし崩しだし。
でもまあ、人間ドラマとしては、まるで感情移入できない長兄よりはマシだったかなあ。次兄とも切り口が異なるせいでマンネリは避けられたし。
女性キャラの出しゃばりについては比較的マシだった。その代わり子どもが出張っているが、科学たるもの子どもに夢を与えてナンボ
なので、そこはよしとする。
はやぶさが燃え尽きる様をCGで見せてしまうのはやり過ぎ。やっぱりこの監督は駄目だ。
主人公は藤原竜也。まあいつもの通り。
ヒロインは妖怪人間ベラ。父親はライバルである次兄に主演していたというのに。
主人公と親しいガキンチョにまえだまえだ弟。
プロジェクトのリーダーに大杉漣、イオンエンジンの責任者に豊原功補。あと中村バイセコー。ところがこの下の面々となると、顔は見覚えが
あるんだが名前が出てこない無名俳優ばかりで画面が何とも寂しい。
主人公と仲が悪い(ひがんでいる)心の狭い同僚にグループ魂の、宝の船と書いてバイト君(オーイ!)。主人公とケンカするシーンでは
スリッパで叩かれてほしかった。
臼田観測所の観測員にカンニング竹山と村井美樹。村井美樹を「Qさま」以外で見たのは初めてだ。この二人が最後にああなるのは何となく
予想はできるものの、全く伏線を張らない監督はやっぱり無能。
○「ヒューゴの不思議な発明」(3D) ★★★ (12.3.7/劇場)
STORY:第一次大戦後のパリ。時計職人の父親を火事で失った少年・ヒューゴは、リヨン駅の時計台の中に隠れ住んでいた。警備員の目から
逃れ、駅の時計を直しながら、父親が博物館で見つけてきた壊れた謎の機械人形を少しずつ修理する毎日。ある日、彼は人形を動かす最後の
部品であるハート型の鍵を持つ少女・イザベルと出会う。そして、彼女の養父のジョルジュは人形について何か知っているようだったが…。
「タクシードライバー」、「レイジング・ブル」、「ギャング・オブ・ニューヨーク」の巨匠・マーティン・スコセッシがどういうわけか挑んだファミリー
向け3D映画。
とはいえ流石は巨匠、駅の裏側、時計台の中という立体的な空間を舞台にしていて、実に3Dが映える。今まで観た3D映画の中では一番
dkwkした。でも上映料金に¥300も上乗せする価値があるかというと甚だ疑問だが。
ファミリー向け映画だが、実在したSFXの始祖とも言われる映画監督、ジョルジュ・メリエスへのオマージュにもなっており、最新技術を使って
いるのはその功績に敬意を払ってなのかな、とも思ったり。
さて、冒頭から、時計台から見下ろす粉雪舞うパリの遠景−凱旋門を中心として放射状に伸びる通りのライトアップが非常に美しい−、
そして大きな駅の、雑多ながらも活気溢れる人々の営み、そして彼ら乗降客は決して知ることはない機械仕掛けの舞台裏の風景と、すげえ
心躍る情景が描写され否応なく期待は膨らんでしまうのだが、そこからの展開がどうにも辛気くさいのである。
なによりも主人公のヒューゴ少年が行き遅れたおばちゃんみたいな顔なのが残念無念なのである。もう少しショタかわいかったら★5つ
進呈するというのに、スコセッシめ!
相棒の機械人形も、こっちみんな、以外の感想は持てない素敵な風貌で、萎える。
駅で働く人々も顔とか性格とかイマイチ変人ばかり。
ヒロインは我らがクロレッツたんなのだが、今回は血にまみれないので魅力半減。(ヲイ)
物語の鍵を握る偏屈な老人も偏屈すぎるし顔はインチキくせえし(実在したモデルがそういう顔だから仕方ないけど。)、なんともテンションが
上がらないのである。
舞台が魅力的だし、劇中で再現される映画は結構そそられるので、なおのこともったいない。
ファミリー向けとしては子どもが目を輝かせるほど楽しくないし、大人向けとしてはギミックがあっさりしている。どこから見てもスーパーマン
じゃないハッスルするほど働かない子どもの夢にも出てこない大人が懐かしがることもないという感じ。だからといって駄目じゃないのだけどもねえ。
あと、ヒューゴ、不思議も何も、発明なんて一切しねーから!
○「はやぶさ 遙かなる帰還」 ★★★ (12.2.22/劇場)
STORY:2003年5月9日、イオンエンジン搭載の小惑星探査機はやぶさは内之浦宇宙空間観測所から宇宙へと打ち上げられ、小惑星イトカワ
への長い旅の一歩を踏み出した。はやぶさの目的は、小惑星イトカワに着陸し、宇宙創世の謎を秘めたイトカワの地表のサンプルを採取し、再び
地球へと戻ってくることである。この人類史上初の壮大な試みの裏では、人知れず数々の困難と戦い、挑み続けた男たちの熱き姿があった…。
「はやぶさ」三兄弟の次男。昨年公開された長男が派手に爆死した後なので気まずい劇場デビュー。
とはいえ、東映60周年記念作品とか冠が付いているだけに三兄弟の中では一番力が入っている。
まあ、素材が素材なので、淡々と事実を描写していくだけで十二分に感動できるはずなのに、何故にこうも余計な要素を入れてしまうのか
…。
長男の「はやぶさ HAYABUSA」は、架空の女主人公なんて誰も望んでいない要素を投入したために各方面から失笑を買い大失敗
した。
ぶっちゃけ、男たちの夢とロマンの物語なので、女性視点なんて邪魔なのである。とはいえメインに女性がゼロというのは興行的には苦しい
のはわかるのだが、無理にねじ込んで失敗しては元も子もないと思うわけで。
しかして今作でも、シングルマザーの記者で町工場を経営する年老いた父親が実ははやぶさの観測ポッドの試作品を作っていたなんつー
オリジナルの女性キャラが登場し、女性視点で作品を盛り下げてくれる。しかも夏川結衣というなんとも微妙なキャスティング。
まあそんなに出張らなかったから許そうかと思ったら、クライマックスのはやぶさが燃え尽きる感動のシーンでアップの泣き顔が挿入されると
いう台無し演出で噴飯。美しく尾を引いて、澄み切った星空をバックに、母なる地球の大気に還っていくという名シーンだというのに。
それ以外はエキセントリックでもスラプスティックでもドメスティックでもファンタスティックでもなく淡々としていて好印象だが、主人公の渡辺謙の
キャラがやや弱いか。序盤でもっと嫌みったらしくしていれば終盤の対立と和解がもっと盛り上がったと思うのだが。
見せ場の一つである「こんなこともあろうかと」のシーンは、現実にはそんな格好良くいかねーんだよ、とばかりに重いシーンに。
いやでも、「こんなこともあろうかと」と言うためにあんな装置を搭載していたわけであって。運用に反対する吉岡秀隆がいつもの吉岡秀隆の
演技なのでうざさ120%。こいつも大泉洋と同じでどんな役をやっても吉岡秀隆にしかならんのね。悪い意味で。
まあどちらかというと不満点の方が多いが、長男よりは出来がよかった。
○「劇場版テンペスト 3D」 ★★ (12.2.16/劇場)
STORY:幕末、琉球。現在の第二尚氏王朝に簒奪された前王朝の末裔の天才少女・真鶴は、第一尚氏王朝復興という父の妄執を叶えるべく、
女性には政治の道が閉ざされていたため、宦官と偽り、孫寧温と名乗り首里城の役人試験に合格する。同期の朝薫と共に王国に降りかかる難題
を解決していく寧温だったが、王姉でありノロ(シャーマン)である悪女・聞得大君に生き別れの兄を人質に取られ、正体を知られてしまう…。
暴走作家・池上永一の小説を連続ドラマ化したものの総集編。それだけでは弱いと思ったのか意味もなく3D化。全く無駄。
この作者の作品は暴走しまくっていて大好きなのだが、この原作はあまり暴走しておらず物足りない出来。つーわけで期待せずに半ば義務感
に突き動かされて観賞。加えて連続10回のTVドラマを2時間半ほどに無理矢理まとめているわけで、面白くなるはずもなく。
しかし蓋を開けてみれば構成はなかなかお見事でうまくまとめられていた。特に、いいかげんダレてくる原作後半をバッサリ割愛したのは
大英断だと思う。
原作ではラス前までどういう訳か誰にも気づかれなかった主人公の秘密を割と早い段階である重要人物が知ってしまうという変更も、
結果として物語を貫く忍ぶ恋が強調されて、いいんではないかい。
とはいえ、そもそも原作がそれほど面白くない上にミスキャストしかいないという惨状なのでどうにもオススメはできない。
主人公の女を捨てて宦官と偽って政に邁進する麒麟児・孫寧温に仲間由紀恵。
仲間由紀恵はむしろ大好物なのだが、残念ながらミスキャストと言わざるを得ない。原作の不思議な色香を漂わせる美少年というイメージが
全く沸かない。もう少し若くてボーイッシュな子でやるべきだったよ。………菊池真とか?(アホの子なので残念ながら無理。)
まあ沖縄の話なので地元枠なんだろうけども、もう少し何とかならんかったのか。
そのライバルの池上作品恒例のモーレツ女傑の聞得大君に高岡早紀。
思ったよりは頑張っていたけれど全然モーレツぶりが足りませぬ。原作の中盤以降の没落人生がカットされたのも痛い。そのせいで原作では
感動的ですらあった大往生シーンもポカーンな感じに。
せめて別な役で出ていたかたせ梨乃にでもやらせていれば…。
以下、劣化版北野武みてえな演技の奥田英二、琉球国王が男闘呼組ってどうよ?など、ほとんどのキャストが討ち死にの無残な状況の
中、ただ一人、大陸の変態宦官を変態的に演じたGACKTだけが輝きすぎていたが、ファンはあの変態っぷりをどう受け止めているのか
心配でならない。
髭が全く似合わない最後の琉球国王に染谷健太、出番をばっさりカットされた女官役で二階堂ふみと「ヒミズ」コンビが出ていてニヤリ。あ、
でんでんも出てた。つーか二階堂ふみに主役やらせりゃよかったのに。
原作では怒濤のトラブルメーカーぶりに萌えざるを得なかった真美那が存在そのものをカットされていて残念無念。
あと八千草薫を無駄遣いするのはお願いだからやめてくれ。
原作でも盛り上がらなかったラストだが、映画版では息子の目の前で愛人と乳繰り合う母親という最悪な構図で幕引きで、実にいただけ
ない。
○「恋の罪」 ★★★★ (12.2.13/劇場)
STORY:女刑事・和子は不倫相手との情交中に事件発生の呼び出しを受ける。現場は渋谷区円山町、ラブホテル街の片隅の廃屋。女性の
死体がバラバラにされた上にマネキンと結合された状態で発見されたのだ。周囲にはピンクの塗料。壁には赤い「城」の文字。−そのしばらく
前。人気小説家の貞淑な妻・いずみは、些細なきっかけから夫以外の男とのセックスにのめり込んでいく中、円山町で一人の売春婦と出会う…。
「愛のむきだし」、「冷たい熱帯魚」と今日本で一番勢いのある監督であろう園子温監督作品。
「冷たい熱帯魚」と同じく実際にあった事件からインスパイアされたサスペンス。
「冷たい熱帯魚」が男性視点の作品ならこちらは女性視点といったところか。どちらにしても無闇に無意味にエロエロ。
愛する者以外とのセックスを通じて出会った二人の女性の数奇な運命を、これまた泥沼の不倫に溺れる女刑事が追いかけるという構造
なのだが、正直女刑事いなくてもいいような役どころ。オチ要員?
まあ当然園監督作品なのでエログロ満点インパクト抜群なわけで、自宅で全裸で鏡に向かって試食の口上の練習をするいずみとか夢に
出そうなけったいな場面が多いのだが、中でもいずみを破滅へと導く昼は大学助教授・夜は売春婦の美津子の母親のクソババアが実に
クソババアで素晴らしすぎる。この怪演だけで十二分に収穫はあった。
ただ、ラストがゲージュツ作品の如く反吐が出るほど青臭いのはどうしたことか。嫌いではないけれども、何を今更感が。
事件現場の円山町の廃屋って過去作「うつしみ」でも使ってたよね、と懐かしくなった。
主演でヘアヌードまでばっちり見せてくれる不倫の泥沼にどっぷり浸かった女刑事に水野美紀。体は張っているが前述の通り消化不良。
不倫相手が見るからに冴えないアンジャッシュの児島ってぇのもトホホ。
実質主役の主婦・いずみ役は監督と婚約した神楽坂恵。ものすごい美乳の持ち主だが、顔が地味すぎる。
彼女と深く関わる売春婦・美津子役に富樫真。対照的にぺったんこの胸にガリガリの体の持ち主。対照的に眼力が素晴らしい。
その母親で、美津子を下品下品と罵る下品なクソババアに大方斐沙子。グレイトすぎる。
強烈でブチ切れている女性陣に対して、津田寛治を筆頭とした男性陣は心から狂えてない感じ。
カメオ出演の園子温自身はやたら目立っていたが。
○「新少林寺」 ★★★ (12.2.6/劇場)
STORY:辛亥革命で混乱する中国。戦火に傷ついた人々を救済する少林寺をかつて暴力で踏みにじった冷酷な将軍・侯杰は腹心の曹蛮に
裏切られ地位も名誉も愛する一人娘も失う。全てをなくした彼がたどり着いたのは少林寺だった。寺の厨房係の悟道らによって人間性を取り
戻した侯杰だったが、再び曹蛮の魔の手が迫っていた。罪なき人々を救うため、曹蛮の過ちを正すため、侯杰と少林寺は立ち上がる…。
かの名作のリメイクというわけではないのだが、キャストは豪華。史実っぽいけど全然そんなことはないなんちゃって歴史大作。
でもアンディ・ラウ(とチョウ・ユンファ)がカンフーやるのはどうにも違和感があって。いや、過去に「酔拳3」とかもやってんだけども。
そのアンディさん演じる主人公、根は悪い人ではないのだけれど、腹心に裏切られあれよあれよと転落人生。拾われた少林寺で真人間に
生まれ変わるも、彼が生きているのを知った腹心が攻めてきまして少林寺大炎上。
まあアクションシーンはかっこいいし、少林寺の坊さんたち主要キャラも皆見せ場をもらって死んでいくので演出もまあまあ。「少林寺を
あなどるな!」
でもまあ、もう少し痛快であってほしかったなあ。
理想の居場所だった少林寺を焼け出されて、少林寺はみんなの心の中にある、なんて綺麗事を言われたって実際問題夜露もしのげ
なければ腹も膨れないわけで、その辺り東日本大震災で罹災した人々を連想してしまったり。
主演のアンディ・ラウは今回はこんなことにもならず至極まっとう。神々しい死に様が印象的。
仇敵はニコラス・ツェー。「孫文の義士団」で日焼けした人のいい下男を演じた時は似合わねー!と思ったものだが、やはりこういう
ちょっとナルシー入った憎らしい美形の方がしっくり来る。
とはいえ、珍作「PROMISE」の時はミッチー(元王子)っぽかった容姿も、ちょい老けて劣化して近藤真彦みたいになってしまった。
アンディの妻役に相変わらず美人なファン・ビンビン。でも今回は外れ役。悪女ではないけれど、いかすけない。
少林寺の厨房係にジャッキー・チェン。武術なんてできないとか言いつつ当然強くて安心。
ニコラス・ツェーの強いのか弱いのかわからん用心棒に熊欣欣。老けた。オーラが衰えた。
ただのアクションものではなく、ドラマもしっかりしているんだが、何故か爆破シーンがやたらめったら派手だったりしてリアクションに困る。
○「ロボジー」 ★★★★ (12.2.2/劇場)
STORY:白もの家電メーカーの木村電器は社長の思いつきで二足歩行ロボットを開発することに。ボンクラ三人組がその任に当たるが、
お披露目一週間前にうっかりロボットを大破させてしまう。苦肉の策で、中に人を入れて乗り切ろうと決め、オーディションを開くが、サイズが
ピッタリで採用されたのは偏屈ジジイの鈴木重光だった。ところが、重光がお披露目のロボット博で命令を無視して暴走してしまい…。
「ウォーターボーイズ」、「スウィングガールズ」の矢口史靖監督作品。
ロボットの中にジジイが入って大活躍、ってそんなもんすぐバレるだろうが!と思ってしまうのだが、劇中で語られる通り、そんなこと実際
にやるヤツなんていねえだろう、とかえって怪しまれないかもだ。着ぐるみなのでは?と最初に怪しむのが東スポなのも笑える。
故あってロボットの中の人になるのは一人暮らしの偏屈ジジイ・鈴木重光73歳。特技は「おてもやん」を踊ること。
まあクソジジイらしく我を通し若輩を軽んじ、子どもや孫と折り合いが悪く、結果、周りから必要とされず内心寂しく思っていたのだが…。
ジジイをロボットのハリボテに入れるなどという小学生レベルの作戦を立てたのが弱小電気メーカーの窓際社員のチビデブノッポの気弱と
お調子者とネガティブの三人組ボンクラーズ。
とりあえずお披露目のロボット博だけ乗り切ればお役ご免のはずが、そこでただ歩くだけだったはずの爺さんが調子に乗って「おてもやん」
を踊った挙げ句倒れてきた柱からうら若き女性を助けてしまったばっかりに一躍脚光を浴び、全国津々浦々に引っ張りだこに。
一度だけのお披露目だからこそできた大バクチだったのに、今更嘘でしたとも言えず、ボンクラーズにとって事態は悪化する一方。
ここぞとばかりに爺さんは我が儘放題だし、爺さんに助けられた女性がロボットオタクの大学生で追っかけになったり。
しかし、次第にニセモノでしかなかったボンクラーズと爺さんは、皆に夢を与えられる本物へと近づいていくことに。
だが、破滅の足音は着実に近づいていた。
つーわけで脚本や演出に関しては安心できるブランド力で、キャスティングの見事さもあり、ニヤリと笑ってほっこりした気持ちで劇場を
去れる快作。
チラシを見た時には、ちょっとこれは駄目なんじゃねえの?などと危ぶんですみませんでした。
つーか、この作品が評価できるかどうかは、ヒロインであるところのロボットオタクで少しばかりイッてしまっている佐々木葉子@吉高
由里子を受け入れられるかどうかにかかっているような気も。
個人的には最高にかわいかったんですが。
ロボットを開発したボンクラーズも、冴えない若者役に定評のある濱田岳と「惚れてまうやろ−!」でお馴染みの(最近TV見ないから
わからんがまだやってるの?)見るからに幸薄そうな芸人のチャン・カワイ、あと知らない見るからにダメそうなもう一人と、見ただけで
ボンクラだと分かるラインアップでお見事。
そしてロボットの中の人のクソジジイは期待の大型新人・五十嵐信次郎…って、ミッキー・カーチスじゃん。
最後の笑顔がとてもとても素晴らしく、印象的だった。
竹中直人の使い方はあれくらいがちょうどいいのではないかと。
途中、ロボットに入ったままの爺さんがコスプレイベントに紛れてしまうという一幕があり、ミクさんとかダンボーとかが出てきて非常に居心地が
悪かった。
本格的にロボット工学を研究している大学のロボット研究会の部室にあるのがガンプラだけという演出も底が浅い。
○「宇宙人ポール」 ★★★ (12.1.23/劇場)
STORY:長年の夢が叶ってアメリカのコミコンに参加した英国人中年SFオタクのグレアムとニック。さらに、キャンピングカーをレンタルして
UFOスポットを巡る旅に出かけるが、いきなり本物の宇宙人と遭遇してしまう。英語がペラペラで陽気でアメリカンな性格のリトルグレイ型
宇宙人・ポールは60年前にアメリカに不時着し政府に囚われていたが、脱走してきたという。彼を保護しての珍道中がスタートするが…。
「ショーン・オブ・ザ・デッド」、「ホット・ファズ」のゴールデン凸凹コンビ主演なれど監督はいつもの人にあらず。
憧れのコミコンに参加するためにイギリスからアメリカにやってきた中年SFオタクコンビはさらに聖地巡礼ツアーに出かけるが、なんと憧れ
のエリア51で本物の宇宙人と出くわしてしまう。が、このリトルグレイ型宇宙人、60年もアメリカで暮らしてきたのですっかりスレてしまって
全く宇宙人らしくない。
宇宙人・ポールを追う政府のエージェントからの逃避行の途中で成り行きで敬虔なカトリックの女性までメンバーに加えてしまった珍道中の
行き着く先は果たして…。
まあこの宇宙人のポールさんが、ポスターなんかで見る分にはかわいくないことこの上ないのだが、いざ本編で見てみればなんとも表情
豊かでシニカルで下品で男気に溢れて、実に憎めないナイスガイなのである。タバコを吹かす様が悦に入ってるのなんの。
全編にちりばめられたSFの大ネタ小ネタも、到底全部はわからなかったのだが、なかなかにクスリとさせてくれる。スピルバーグ何
やっとんねん。シガニー・ウィーバーも何やっとんねん。
途中から仲間になる純朴なアメリカの女性がガチガチのキリスト教徒で全く話が噛み合わないのがすげえ笑えるけど怖い。
ポールによって大宇宙の真理を直接脳内にブチ込まれて普通の先進国の一般人になるのだが、こんなのがたくさんいる国なんだよな。
ならば今すぐ愚民ども全てに英知を授けてみせろ、というシャアの言葉を思い出してしまったよ。
意外に主人公のダメコンビがはっちゃけないのが残念。凸凹コンビのデブの方が演ずるところのSF作家が、念願の宇宙人と会えたのに
何故か不機嫌なのは、二人だけのラブラブ旅行に邪魔が入ったからだったりするのに、その想いが最後まで報われないのが少し
かわいそうだったり。
ものすごく面白かったというわけではないが、手堅く平均点以上の出来ではある。
○「指輪をはめたい」 ★★★ (12.1.23/劇場)
STORY:片山輝彦は製薬会社の優秀な営業マンだが、出先のスケートリンクで頭を打ち、軽い健忘症になってしまう。鞄の中に入っていた
婚約指輪をはめる相手を思い出せず悩む輝彦の前に、会社の先輩の才女・智恵、セクシーな風俗嬢・めぐみ・内気で家庭的な和歌子という
3人の恋人が現れ、彼はますます苦悩することに。悩める輝彦はスケートリンクにいつもいる不思議な少女・エミに相談するが…。
原作小説未見。かなり脚色されてるとのこと。
原作は要領よく三つ股を掛けている男が主人公で、死ねばいいのにと思うのだが、映画の方はお世辞にも要領がいいとは言えず、
そんなに嫌悪感は感じず。
足を踏み入れるはずもない(伏線)スケートリンクで頭を強打し、恋人にまつわる記憶だけがスッポリと抜け落ちてしまった輝彦。ところが
彼にはタイプの全く違う3人もの恋人がいたりして、果たして鞄の中に入っていた婚約指輪はどの彼女にあげるものだったのかと困惑する
ばかり。
とんでもないヤツだが、演じる山田孝之がいいひとな感じで、前述の通りそんなに嫌な感じではない。しかし「ウシジマくん」や「クローズZERO」
や「鴨川ホルモー」からこんな役まで、最近芸風の幅が広がりすぎだろう。
3人の彼女がいずれもなかなかチャーミング。
会社の先輩のエリート研究員でややツンデレ気味な智恵@小西真奈美。
店NO.5の巨乳でアグレッシブでサバサバした性格のめぐみ@真木よう子。
公園で妙な紙芝居を見せているまるで人生いいことがないような感じの、だからこそ好きな人には誠心誠意尽くしてくれそうな和歌子@池脇
千鶴。
三者三様魅力的であり、欠点もあり、まるで一人に絞ることができず苦悩する輝彦。ですよねー。真木よう子以外の2人は好みの女優さん
なんでわかるわー。
だがしかし、3人のビッグキャストを差し置いて実は真のヒロインがいたりするのである。キャスト表記ではメインの4人よりも名前が小さい
のに。
彼女こそはスケートリンクの謎の美少女・エミ@二階堂ふみ。素晴らしい存在感を見せてくれて、これからに期待せざるを得ない。
やがて明かされる真実は、なんとなく想像していたものよりも圧倒的に救いようのない悲しげなもので、あまり後味はよろしくないのだが、
キャストの魅力のせいか満足度はそこそこ。
死屍累々のスケートリンクとか何度もドアで殴打される小西真奈美とか不気味な紙芝居とかつくね嘔吐とか、悪趣味な演出は好み。
○「ヒミズ」 ★★★★ (12.1.19/劇場)
STORY:住田祐一、15歳。夢は、普通の大人になること。中学を卒業したら家業の貸しボート屋を継ぐことに決めている。彼の周りには彼を
ストーカーする同級生・茶沢景子や3.11震災で家も仕事も失った大人たちなど変人ばかり。普通に生きたい祐一だったが、母親が愛人と
駆け落ちし、アル中のろくでなしの父親に暴力をふるわれ、それすらも叶わない。父親の借金600万円を背負わされた祐一はついに…。
よりにもよって古谷実の鬱マンガを今一番イカレた映画監督(褒め言葉)園子温が実写映画化。
タイトルを見て、ああ、あの救われないマンガか、と思ったのだが、チラシのあらすじを読むと全然違うような気がして、勘違いかと劇場に
足を運んでみれば、冒頭の池の畔のボート屋と屋外の洗濯機を見るなり記憶が一気に蘇ってダウナーな気分に。
でもまあ、オチ以外ほとんど忘れていたので映画を観た後原作を読み返してみれば、映画版は主人公の追い込まれ方が原作の比では
なく半端なくて戦慄。
ただただ普通でいたいというごくごく平凡な望みすら叶わない最悪の両親の元に生まれついてしまった住田祐一(以下住田さん)。
本っっっ当に父親が屑でどうしようもない。
おまけに震災で世間の人心も乱れて、家も職も失った疲れ切った大人たちが周りに集まっていて、またこいつらが渡辺哲・吹越満・
神楽坂恵・諏訪太朗と「冷たい熱帯魚」チームなもんで観ている方が不安で不安で仕方なくなる。(当然でんでんも後から登場。)
さらに、普通でいたいのやたらハイテンションなストーカー同級生までまとわりついてくるという、全然普通じゃない状態で、同情を禁じ
得ないし、観ていて苦しくなる。
まあ、周りの普通じゃない人たちもそれぞれに深い業を背負っていてすげえ重いわけだが。
かくして、ついに住田さんは普通へと戻れない一線を越えてしまう。
悩み苦しんだその果てに、彼が選んだ道は…。
ここがギリギリで原作と異なっていて、正直ホッとした。
原作にはなくて映画にはあった、「過去の人」であるおっさんたち、引いては監督からから託された想いが、滅茶苦茶になってしまった
現代から未来へ託された願いが、そこには確かにあった。
だから、ありふれた言葉でも、手垢がつきまくった言葉でも、日頃から何気なく多用している薄っぺらい言葉でも、最後にあの言葉を
連呼せずにはいられなかったのだろう。あそこで掛けられる言葉は、月並みだけどアレしかないよなあ。
主人公の住田さんに染谷将太、電波なヒロインの茶沢さんに二階堂ふみ。
二人でヴェネツィア映画祭の新人賞を獲ったというのも納得な、体当たりな熱演。
二階堂ふみ、最初は宮崎あおいの劣化コピーなのかと思ったが、ただものじゃないかもだ。
原作では住田さんの同級生だった夜野は震災で何もかも失ったおっさんに変更されていて、演じるは渡辺哲。壊れてテンションが高い、
けれども大事な何かは決して忘れていないおっさんを大熱演。すげえ。
園監督の「冷たい熱帯魚」で強烈すぎるインパクトを残したでんでんはヤクザの親分。またも味のある演技。
他、光石研、窪塚洋介らも印象に残る配役。
もう一回観たいかと問われれば、なかなかにつらく苦しくエグい映画なので二の足を踏んでしまうが、なかなかに忘れ難い鮮烈すぎる
映画。
○「ワイルド7」 ★★ (12.1.19/劇場)
STORY:法で裁けぬ巨悪を退治する超法規的機関・ワイルド7。草波警視正に集められた彼ら7人は全員凶悪な犯罪者だった。彼らが
犯罪者を退治する現場に乱入し、犯罪者を射殺する謎のライダーが出現。メンバーの飛葉は追跡した先で本間ユキという女性と出会い、
彼女に惹かれていく。一方、首都圏をターゲットにした大規模なバイオテロが発生。ワイルド7の活躍で大惨事は未然に防がれたが…。
原作ほとんど未見。ドラマもアニメも未見。それでもこれだけは言える。
ど う し て こ う な っ た 。
監督は「逆境ナイン」、「海猿」とマンガ原作の実写化に比較的実績のある羽住英一郎だったのだが、今回は無残な出来。
凶悪な犯罪者集団のはずのワイルド7が全然ワイルドに吼えないのである。むしろマイルドなのである。何もなさそうなこの7人ですよ。
冒頭、凶悪な銀行強盗の一団に対し、トレーラーからバイクで勇ましくも出陣するワイルド7。
が、ワイルド7を出撃させたトレーラーがそのまま銀行強盗の車に突撃して銀行強盗はほぼ壊滅。って、ワイルド7いらなくね?
そしてその調子で最後まで全く盛り上がらないアクションがダラダラと続いてしまう謎の仕様。これはひどい。
クライマックスの、「ここは俺に任せて早く行け!」な展開も、討ち死にせずに捕まるだけなのでショボすぎる。
そもそもそこに至るまで主人公以外のメンバーがまるで活躍しておらずキャラに愛着など湧きようがないので、盛り上がらないこと
甚だしい。
そして主人公がまるで活躍しないまま収束する事件に唖然。
本っ当に盛り上がらねえ。
不遇な主人公に瑛太。似合ってない。
他のメンバーも不遇だが、流石元暴走族の宇梶剛士はやけに生き生きしていた。
映画初出演のジャニタレすら見せ場もなくただいるだけ。
「VERSUS」組のチビこと松本実は明らかに人数合わせだよなあ、真っ先に死ぬ役だよなあ、と思ったら、死にすらせず存在感まるで
なし。
いいとこ親の総取りな上司の中井貴一だけが儲け役。相変わらず作品の質に関係なく孤高の演技っぷり。
ヒロインに深キョン。’11年は「豆腐小僧」、「こち亀」と負の方面で大活躍だったが、かわええので許す!
役柄的にはたいへんにアレだったが、ワイシャツネクタイのウエイトレス姿と黒のライダースーツ姿が素敵だったので★1つおまけ。
○「監督失格」 ★★★ (11.12.19/劇場)
STORY:AV監督・平野勝之は、’96年、AV女優・林由美香と東京から北海道まで自転車で旅をするというドキュメンタリを撮影したが、
完成後、二人は別れた。その後、由美香を引きずり万事うまくいかなくなった平野は、原点に帰るべく再び由美香を撮影することを決意。
’05年6月28日、連絡が途絶えた彼女の部屋のドアを、平野は彼女の母親と共に開けた。その時、手持ちカメラは回ったままだった…。
とある映画兼AV監督の破壊と再生を赤裸々に綴ってしまうドキュメンタリー。
話の核にいるのは、AV女優の故・林由美香。遠い昔(多分前世紀)、1本だけ出演作を見たことがある。それを覚えているんだから
それなりに印象深いのかな。決して美人ではないが、個性的でかわいい顔立ちという印象。
実際、この作品で切り取られた彼女は、AV女優というエキセントリックな職業でありながら、ただ人並みの幸せを探し続ける、なんとも
かわいらしい女性だった。
監督であり主演でもある平野勝之と林由美香は公私ともにパートナーだった(不倫だけど)のだが、別れてしまった。
そのことを引きずったままの平野の彷徨を映し出す前半部もまあ面白いのだが。
ここで撮影されている「由美香」という映画は当時から観たかったのだが、結局未見。
そして、平野はおよそ10年ぶりに彼女を撮影しようとするが、撮影当日に彼女が姿を見せない。翌日も音信不通。
そんな不義理をする性格ではない、と異常を察した平野は、彼女の父親のような外見の母親と共に管理人から借りた合い鍵でマンション
のドアを開ける。
幸か不幸か、ドキュメンタリータッチの作品を得意とする監督だったため、ハンディカメラをその時も回し続けていた。(つっても母親の
前でハメ撮りするわけでもないだろうにねえ。)
そして、途中から床に置き忘れられたカメラが無情にも映し続けるのは、愛する人を不意に失った時に、人間はどれほど狼狽えるのか
という生々しすぎる、痛々しすぎる、姿。
あまりに唐突すぎる暴力的な衝撃の展開を経て、5年経って、ようやく平野監督は立ち直る。由美香の父親のような外見の母親と
共に、再生の道を歩み出す。
最後に平野監督は儀式のようなものをして、振り切る。踏み出す。傍目から見ればなんとも不格好で独りよがりな姿だし、本当に吹っ
切れたのかは定かではないなのだが、自分自身だけが納得できればそれでいいんだよな、と胸を打たれた。近所迷惑だけどね。
公開時話題を集めたのは、この作品のプロデューサーが庵野秀明だったということ。
「エヴァ」旧劇場版で煮詰まっていた折、「由美香」を観て癒されたことで知り合ったという。
その恩に報いるため、今回、煮え切らない監督の尻を叩いて作品を完成までこぎ着けたのだという。
なかなかイイハナシである。
しかし、これだけは、声を大にして叫ばねばならない。
他人の世話している暇があったら自分の映画をとっとと完成させやがれ!
どーせ2013年完結なんてしないんだろうけどな。
劇中、地味にスナップ写真の端々に写っていることがなおさらウザッたい。
これを読んでいる段階でもう手遅れなのだが、何も情報を仕入れず観た方が後半の超展開に腰を抜かせると思う。もう遅いけど。
○「カイジ2 人生逆転ゲーム」 ★★ (11.12.15/劇場)
STORY:帝愛グループとの命を賭けたギャンブルに勝利し大金を手にしたのもつかの間、またも借金で帝愛の地下施設に沈んだカイジ。
だが、借金を返済し自由を得るチャンスを掴み、一時的に地上に戻ってくる。リストラ中年・坂崎、かつての宿敵・利根川、死んだ仲間の娘・
石田裕美と共に、カイジは帝愛の裏カジノの一攫千金の悪魔のパチンコ台”沼”の攻略を狙うが、支配人・一条がその前に立ち塞がる…。
前作は、綿密な伏線を張る故にどうしても冗長になってしまうという原作の欠点を、カイジが思いつきでしか勝ってないような(そして
敵も浅はかに騙されるような)大胆な演出で解消し、非常にテンポの良い、マンガ原作ものとしては、まあ見れないこともない作品に
仕上がっていた。
褒めてるんだか貶してるんだかわからない書き方だが、6:4くらいで褒めてます。
そのスタッフ・キャストが再集結して送る第2弾。
原作では相変わらずやたら長かったチンチロリンを、開始早々なんと5分足らずで終わらせるという荒技を見せつけてくれ、嫌が応でも
期待は高まったのだが………そこからはどうしようもなく冗長な凡作に。
原作では、極悪パチンコ台”沼”にカイジと共に挑むのは、人生大逆転を狙う坂崎(心美タンは登場しません。)と金貸しの遠藤だったが、
遠藤を映画の前作のオチに使ってしまったため、代わりに前作のライバルだった利根川と前作で死んだ仲間の石田の娘を登場
させるオリジナルな展開は、やめとけ、という言葉しか出てこない。つーか、映画では利根川、焼き土下座しなかったんだっけ。
特に石田娘がミスリードにもなっておらず、ただいたずらに上映時間を延ばす元凶にしかなってないのがいただけない。
更に前作に登場した船井までもがまさかの再登場を果たしてしまうのだが、これまた間延びの原因。
つーか、山本太郎は今、人を騙す役とか受けない方がいいんじゃないかと。
今回のライバル・一条役の伊勢谷友介、利根川役の香川照之と無駄に力のこもった演技をしていて、非常に空回りしている感が強く、
観ていてつらい。
さらに”沼”がまるで魅力のない盤面なのが痛い。ある意味今回の主役の一角で出ずっぱりなんだから、もっとエフェクトとか派手でも
よかったのではないかと。
会長も不在で、寂しいことこの上ない。
流石に次の地雷ゲームは映像化しないよな?
○「モールス」 ★★★ (11.12.12/劇場)
STORY:ニューメキシコ州の田舎町に住むオーウェンは両親の離婚問題やクラスメートからのいじめに深く傷ついていた。冬のある日、
アパートの隣の部屋に初老の男と少女が引っ越してくる。何故かいつも裸足の大人びた少女、アビーにオーウェンは次第に惹かれていく。
時を同じくして平和だった町に猟奇殺人事件が連続して起こる。そしてオーウェンはアビーの恐るべき正体を知ってしまう…。
’08年のスウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」のハリウッドリメイク。向こうの公開は’10年。
が、日本では’10年と’11年でほぼ1年という短いスパンで公開。
リメイク作というのは基本的に元の作品が面白いからそういう企画が持ち上がるのだが、色気を出して余計な要素を取り入れたり
わざわざ設定を変えたりした挙げ句元の面白さを損ねて大失敗に終わるというパターンが多い。
その点トッポってすげえよなあ。この作品は先達の死屍累々ぶりをふまえて慎ましやかに元の作品へのリスペクトを忘れずに製作した
ことには非常に好感がもてる。
だがしかし、いくらなんでも同じすぎじゃね?思わずそうツッコミたくなってしまうほど、まんまの造りなのである。
それはそれでなんだか物足りないのである。
一番大きな変更点である舞台の変更−スウェーデンからアメリカの片田舎へ−は、ほとんど違和感はなかった。
一応ホラーシーンは予算と技術が上がったので凄みが増している(特に元の作品から変更された自動車事故のシーンなんか)が、元の
作品の、ホラーから一歩踏み込んじゃってコメディみたくなってしまった演出まで再現しているので、さらに笑えるようになってしまった。
相変わらず病室の炎上シーンは唐突すぎて爆笑せざるを得なかった。
じゃあ何を楽しむかといえば、ハリウッドが誇る二人の天才的な子役の演技であろう。
主人公のいじめられっ子のオーウェンに「ザ・ロード」のコディ・スミット=マクフィー。
「ザ・ロード」では時はまさに世紀末な世界をさまよう役だったのですすけた印象だったが、きっと身だしなみを整えればかわいいんじゃ
ね?と期待させるものを持っていたのだが、実際小綺麗にしてみたらあんまかわいくなくってちょっとガッカリ。
だが、なかなかの眼力を持っていて今後が楽しみな存在。
ヒロインの吸血少女・アビーに「キックアス」の衝撃冷めやらぬクロエ・グレース・モレッツ。略してクロレッツたん。
おそらく全世界で一番返り血が似合う美少女。例えばシアーシャ・ローナンたんなんかと比べるとずいぶんアクの強い顔ではあるのだが、
役どころがオタクの魂を引きつけてやまない倒錯美少女。
なので床に滴った血液を我慢しきれず理性を失って這いつくばってペロペロ舐めてしまうというエロいエロいシーンで、顔に無駄な
エフェクトを掛けるなんて無粋さはもう馬鹿かと阿呆かと。
離婚した父親がホモだったり、吸血美少女と思いきや去勢された男の娘だったり(それ故、セックスという見返りを受けられず、純愛が
クローズアップされたのだが。←まあ男の娘なら後ろの穴でもいいやという下司な意見はなしで。)という同性愛的な設定は見事にオミット
されているのだが、元々隠し設定のようなものだったしなあ。
まあクロレッツたんに仕えられるんなら喜んで見ず知らずの男を逆さ吊りにして血液抜くくらいやりますわいなあ。
○「ミケランジェロの暗号」 ★★★ (11.12.5/劇場)
STORY:’38年ウィーン。ユダヤ人画商・ヴィクトルとその両親は使用人であり親友だったルディに裏切られ、ミケランジェロの幻の絵を
奪われ収容所に送られる。ルディはナチスでの出世のために恩人を売ったのだ。5年後、イタリアに献上するはずだった絵が贋作と判明。
ルディはヴィクトルを連行中にゲリラに襲われて遭難してしまう。訳あって衣服を取り替えた二人はその姿でドイツ軍に見つかり…。
原題は「MEIN BESTER FEIND」で、「私の最高の敵」。邦題どうしてこうなった。
つーわけで、劇中に「ミケランジェロの暗号」などと呼べるものは出てきまへん。謎解きに1秒かからないものは暗号と呼べんだろう。
つーわけでつーわけで、邦題からミステリを期待して観に行くとガッカリするが、映画自体はなかなかに面白い戦争サスペンスコメディ。
なんだそりゃ。
ユダヤ人の裕福な画商の家に生まれ、美人の恋人(超老け顔)もいるリア充のヴィクトルと、彼の家に仕えた使用人の息子でヴィクトル
とは親友でありながら、彼にコンプレックスを持っているルディ。
ルディはナチスに入党しSSで成り上がるために恩人一家をナチスに売ってしまう。秘蔵のミケランジェロの絵(盗品)を奪うだけだった
はずなのに、恩人一家は収容所送りになってしまうが、それを止める男気もない。
5年経って、その絵がイタリアとの同盟関係を強固にするための道具として使われるが、贋作だと判明。イタリアとの仲は深まるどころか
同盟決裂の危機に。
本物の絵を入手してくるよう命令を受けたルディだが、絵の在処を知っているヴィクトル父は収容所で死亡しており、彼から何やら遺言を
聞いたらしいヴィクトルを尋問する。かつての主従関係が残酷にも逆転してしまい、かつての「最高の友」は「最低の敵」に。
しかし、二人を乗せた飛行機がパルチザンに撃墜され、パルチザンから逃れるためにルディが軍服を脱いだところ、先に接触したのは
救助に来たドイツ軍。そこに現れたのはその軍服を着込んだヴィクトル。二人の顔なんてわかるはずもない兵士たちはルディを護送中
のユダヤ人だと思い込みボコボコにする。
かくしてSSになりすましたヴィクトルと、それを指摘するも誰にも信じてもらえないルディ。またも二人の立場は大逆転してしまう。
すぐバレそうなものだが、運命の女神のいたずらに翻弄され、ヴィクトルは母親と国外に脱出できそうになるが、その目前で…。
というように、二人の男の立場がぐるぐる逆転するどんでん返しの連続が面白い。
つーか序盤は重厚なサスペンス風だったのに、最初の立場の逆転辺りから明らかに笑いを意識した演出にシフトするのが何とも珍妙。
おかげで観終わった後はニヤニヤニコニコ。戦争映画なのにねえ。
ラス前、終戦直後にルディが仕掛けた逆転劇が秀逸で笑ってしまった。まあこのシーンはわりと蛇足なんだけど。
ナチスも煙草ブカブカ吹かして酒ガバガバ飲んで、なんとも緊張感が足りない牧歌的ムード。なんかイノウエ・ナチスを彷彿とさせる。
つーわけでちょっち珍作なれど快作。
オーストリア映画なので監督・キャストとも馴染みがない、はずなのだが、ヴィクトル役の人は見覚えがあるなあ、と思ったら、「es」の
ジャケットでだな。
そしてヴィクトル母は「ヒア・アフター」に出てたのか。
○「インモータルズ −神々の戦い−」 ★★★ (11.12.1/劇場)
STORY:オリュンポスの神々とタイタン族の戦いから幾星霜。ハイペリオン王は神々の不干渉に怒りを爆発させ、封じられたタイタン族を
解き放つため予言者オラクルを拐かしギリシャに攻め入る。人間に姿を変えたゼウスから、その正体を知らず薫陶を受けてきた青年・
テセウスはその戦いに巻き込まれてしまう。オラクルを助けたテセウスはハイペリオンが狙う神の武器・エピロスの弓を先に手に入れるが…。
オリジナリティ溢れる映像美がウリの「ザ・セル」、「落下の王国」のターセム・シン監督作品。前はただのターセムじゃなかったっけ?
しかし今作はその映像美は封印。そんなことしたら下手くそなストーリーテリングしか残らないなじゃないかと危惧したら、案の定…。
いきなりラストの話をしてしまうのだが、封印から解き放たれたタイタン族とオリュンポスの神々との熾烈な闘いはなかなか格好良く、
しかも野蛮でとても残虐で良かった。
しかし、そこに行き着くまでがなんともダルい。神々のハイスピードな戦闘と対照的に人間たちの闘いはなんとも泥臭くて冗長。対比
しているつもりなんだろうけど、それで作品のテンポが損なわれてるんじゃ意味がないと思う。
主人公はテセウス。「ゴッド・オブ・ウォーU」でクレイトスさんに頭をドアに挟まれガンガン蹴られて殺された人。
ギリシャ神話ではミノタウロスを退治しているので、映画の中でも牛のマスクを被った人を倒している。とほほ。
彼に限らず神話の再現度が低く、まるでリスペクトを感じられないやっつけ仕事という印象がして評価を下げている。
敵ボスであるハイペリオンさんも女房子どもが病で苦しんでいるので神に救いを求めたけれど無視されて女房子どもが死んでしまった
ので怒髪天を突き神々に対し反乱を起こすというアレな人。エイトヒットアタックだな。
神々を屠れる武器であるエピロスの弓を探しているわけだが、結局入手しても神々には直接使わないというナニな展開。せっかくよう
やっと神々を下界に引きずり出したのになんで無視してテセウスと戦ってんの?
そういったげんなりな物語の果てにご褒美の如く神々とタイタン族の凄絶な闘いが待っているわけで。
ただ、タイタン族って巨人族のはずなんだが、普通に人間大なんですけど。しかも「ゴッド・オブ・ウォー」の雑魚キャラに激似で
すげえ弱そう。
が、そのガッカリにもほどがある外見とは裏腹にそれなりに強く、一対一ではバレットタイムを使いこなす神々には歯が立たないものの、
集団で襲いかかり、神々を引き裂き貫き砕き蹂躙してくれる。
神々も奮闘するも多勢に無勢で次第に押されていき、一柱また一柱と無残に殺されていく。一応主要キャラや神々には誰だかわかる
ように登場するとキャプションが付いてくれる親切設計なのだが、アポロンなんか誰だか分からない内に喉笛掻き切られて絶命する
その瞬間にようやっとキャプションで紹介されてみたり。
つーかゼウス、アテナばっか贔屓しすぎ。アテナとアレスがゼウスの命に背いた時もアレスだけ処刑するし。二柱ともゼウスの子ども
なのに。
つーわけで、ツッコミどころ満載だが冗長で退屈で思わせぶりで残虐で残念な作品。最後の闘いの調子で全編やってくれたら
よかったんだが。
やっぱりギリシャ神話はクレイトスさんがいないとしまらねえなあ。
○「コンテイジョン」 ★★★★ (11.12.1/劇場)
STORY:香港への出張からミネソタへ帰ったベス・エムホフは風邪に似た症状で体調不良を訴えていたが、数日後、容体が急変し死亡
した。香港・ロンドン・東京・シカゴでも同じく急死する人々が相次いだ。こうして世界中に新種の伝染病の感染、バンデミックが始まった。
進化を続けるウィルスを前にワクチン作成の目処は全く立たず、死者は日々増えていき、人々は次第に疑心暗鬼に陥っていく…。
スティーブン・ソダーバーグ監督によるパニックホラー。
人の生き死にに関わる映画なので、愛する肉親との突然の別れなんてネタでいくらでもベタなお涙頂戴映画に仕立て上げることは
容易だったはずなのに、なんともドライに、あくまで淡々と、事実を描いていくその無慈悲さは実に小気味いい。
コウモリと豚のインフルエンザが運命の出会いをしてしまい生まれた新しいウィルスはインフルエンザと同じ経路で感染し、数日で発症、
そうなるとほぼ死に至るという恐ろしい病。
感染を避けるための最良の手段は、他人と接触しないこと。
特効薬や奇跡なんて映画みたいなことはあるはずもなく(映画だけどなあ)、世界の人口は激減していき、人々の心も荒廃していく様を
粛々と描いていき、なんとも怖いなあ。
マッド・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ケイト・ウィンスレット、グゥイネス・パルトロウ、マリオン・コティヤール、ジュード・
ロウ、ら錚々たる面子がそんなに自己主張もせず、しかし熱演。
戦い半ばに病魔に倒れてしまうあの人や、公人と私人の狭間で葛藤した末の選択で手ひどいしっぺ返しを喰らったあの人が最後に
取った行動なんか、地味に感動したり。
しかし、まるで活躍もしないマリオン・コティヤールがクレジットの先頭ってどゆこと?
教訓:手はきちんとこまめに洗いましょう。
それとなくそういうアングルでカメラが動くのはあざとい。
▽戻る