○「劇場版 とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇跡」 ★★★★ (13.4.17/劇場)
STORY:学園都市にそびえ立つ宇宙エレベーター・エンデュミオン。その完成式典を目前に控えたある日、上条当麻とインデックスはストリート
ライブをしている鳴護アリサと出会い、その歌声のファンになる。エンデュミオン開通キャンペーンのイメージソングにアリサの歌が選ばれ喜ぶ3人。
だが、アリサを魔術サイドのステイルたちが強襲。しかもアリサを守るために科学サイドの特殊部隊も現れる。困惑しながらも立ち向かう当麻だが…。



大人気のラノベが原作で、アニメTVシリーズ2本+スピンオフのTVシリーズ1本(+1本放映中)も製作されている超人気シリーズがまんを
じして劇場進出。


時系列的にはアニメ「禁書目録U」の序盤終了の頃つーことで、いきなり黒子が車椅子に乗っていて、アニメの1期までしか見てないんで、
???と面食らった

映画版=お祭り=オールスターファン大感謝祭つーことで、これでもかと言わんばかりのオールキャストで、これはファン冥利に尽きる
佐天さんくらいは出るとは思っていたが、まさか
アクセロリ…一方通行さんなんて大物まで出るとはミサカはミサカは思いませんでした。

三年前の軌道上での飛行機事故、雲を突き成層圏の彼方まで伸びる宇宙エレベータ(capsuleの曲を思い出してしまう)、謎の超時空歌姫、
彼女を巡って全面衝突する魔術サイドと科学サイド、陰で全ての糸を引く謎のようぢょ、と映画オリジナルの物語は展開し、派手に建設された宇宙
エレベータは派手に壊れて消え去る羽目に


スピンアウトの「超電磁砲」と比べて本家の「禁書目録」がなんかイマイチな大きな要因の一つに、ヒロインのインなんとかさんがせっかく
かわいいのに、
大食いするのと主人公に噛みつく以外出番がない
、というのがあると思うのだが、今回はちょっとは見せ場あり。まあ「超電磁砲」
のヒロインの方が相変わらず目立っている
けどなあ。
主人公が説教臭いのも、魅力でもあるかもしれないけれどもウザッたくもあるわけだが、今回も当然そげぶる。まあそんなにウザい説教では
なかったから鼻につかなかった。そして
相変わらず容赦なく女だろうが全力でぶん殴っております

オリジナルの黒幕は腹黒金満残酷軽薄ロリっ子で、またとんでもない特殊能力の持ち主。使い捨てるにはもったいないような気も。
事件の鍵を握る
超時空シンデレラも結構いい歌を歌う。歌絡みのアニメに外れなし!………多分。

新キャラだけでなく既存のキャラたちもしっかり見せ場あり。第1位と第3位がチートなのはわかりきっていたが、ステイルって最初にそげぶされた
せいでなんか雑魚のイメージがあった(その後顔の皮剥がされたし)
ので、強くてビックリ。まあ宇宙空間で普通に活動する人にはもっと驚いた
けど。

つーわけで、アニメの「禁書目録」がそんなに面白く思わず(「超電磁砲」は最高だったけど)、あまり期待せずに観にいったのだが、予想以上に
お腹いっぱいのお祭り娯楽大作だったので、満足。



○「シェフ 〜三つ星レストランの舞台裏にようこそ」 ★★★ (13.4.3/劇場)
STORY:ジャッキー・ボノは数多くのレシピを暗記している才能あるシェフだが、妥協のない性格のためクビになってばかり。恋人のベアトリスの妊娠
を機に真面目にペンキ塗りの職に就くジャッキーだが、三つ星レストランの有名シェフ・アレクサンドルに見初められ、無給で彼の助手になる。金儲け
しか頭にないオーナーに、春の新料理で三つ星から陥落したらクビと言い渡され悩めるアレクサンドルは、ジャッキーと共に新メニューを模索する…。



おフランスのグルメコメディ全くオサレではない上映時間85分とコンパクトで、テンポがいいっつーか間がない。殺伐としている感じ。なんか
フランスのコメディっってそんなのが多い気がする、というほど数を観てないけど。
なので
肝心の料理があんまり美味しそうではないのが痛い

腕は立つものの生意気で頑固で協調性がない若手と、伝説的料理人なれど料理以外のゴタゴタで神経をすり減らしている頑固で協調性が
ないベテラン
頑固で協調性がない二人の成長物語でもある。まージャン・レノも老けたなあ

最新の料理である分子料理とやら全く美味しそうでない見てくれなのだが、これ、ネタじゃなく本当のことなのか!
その分子料理をウリにするライバルのオサレな店主人公の凸凹コンビが変装して偵察に行くのだが、何故か外人が勘違いして認識して
いる日本人に変装していく
のが狂気を感じた。ジャン・レノ何やってんの!?



○「キャビン」 ★★★★ (13.3.28/劇場)
STORY:アメリカ、5人の大学生がバカンスで、人里離れた湖畔の寂れたキャビンにやってくる。愚かな若者たちは地下室に隠されていた呪われし
封印を解いてしまい、蘇った邪悪な存在により一人また一人殺されていく。その様子を最先端の技術を用いて監視し、コントロールする謎の組織が
あった。だが、彼らの計画は若者たちの意外な行動で破綻し、生き残った若者たち2人は監視者の地下施設に足を踏み入れてしまうが…。



HPやチラシのアオリが、絶対予測できない展開云々とかで、まあ確かにこんなもん予測はできないだろうが、この映画の楽しさはそんなところ
じゃない
と思うんだがなあ。

人里離れたいかにもな山小屋(キャビン)に遊びに来たいかにもな若者たち。ご丁寧にも、立ち寄ったいかにもなガソリンスタンドいかにもな
気味悪いじいさん
いかにもな忠告をもらうというお約束付き。
いかにもな乱痴気騒ぎをし、いかにもな地下室を見つけてしまい、いかにもな触っちゃダメそうな呪いのアイテムをいじくって封印を解いて
しまい
いかにもな感じで個別行動した挙げ句、いかにも一人ずつ恐怖に満ちた死を与えられていく…。

とまあ、スプラッタホラーの基本中の基本ど真ん中を突っ走る展開なれど、これは裏で彼らを監視し、行動を誘導している謎の組織の仕業
だったりして、というのが新し………くもないか、仮想現実ものだったり「トゥルーマンショー」だったり、先駆者はたくさんいるなあ。
だがしかし、この謎の組織が、最新鋭の機器を使っているわスタッフわらわらいるわ世界中に支部があるわ、どうも
非常に大規模な組織らしい。
なにやら
世界的な大がかりな陰謀が進行しているようだが、各地で失敗が相次ぎ、最後の砦はここアメリカと、勤勉に仕事をやり遂げる日本だけ。
こっちのスタッフも賭け事やったり出歯亀やったりしながらも、一応真面目に働いてはいるようだが。


一応、一人死ぬ毎にあるギミックが動いて、そこから何となくは何をやっているのか薄々推測はできるのだが、その行為とハイテク(死語)機器
との取り合わせが何とも珍妙で、幻惑されてしまう。


そうこうしている間にも、多少のトラブルはあったものの、若者たちは無残に殺されていき、プロジェクトは成功、と思いきや…。
ここからの怒濤の展開がそりゃもう素晴らしいが、でもホラー映画じゃなくてパニック映画だよなあ。
どうやって捕まえたのかわからない古今東西のモンスターたちが暴れまくり軍隊を蹂躙し貪り喰らいまくる阿鼻叫喚のシーンは最高だが、
アナコンダ目立ちすぎ半魚人ギャグは爆笑。あとヘルレイザーみたいなのとかバレリーナとかどんな殺しをやるのかは見たかった。
あと前後するけど
日本のシーンも大爆笑Jホラーあるあるって感じ。

人類最後の希望が何故かシガニー・ウィーバーで、宇宙人ポールといい、こんな役ばっかだな。
神々の黄昏なラストは大アリだと思うが、
古のものなんていうから触手ウネウネの\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!な神様かと思ったのに、
少し残念。




○「横道世之介」 ★★★★ (13.3.20/劇場)
STORY:’87年、長崎から大学進学のため上京してきた青年・横道世之介。いいやつだが、アグレッシブ。いいやつだが、空気が読めない。いい
やつだが、割と図々しい。いいやつだが、人の意見に流されやすい。同級生たちや人違いで知り合った友人や年上の憧れの人や猛烈にラブコール
を送ってくるお嬢様…。時が経ち、現在、彼らがふと横道世之介のことを思い出す時、彼はいいやつだったと、決まって笑顔になるのだった…。



原作未読。出演陣が魅力的だし、「南極料理人」、「キツツキと雨」の監督だし、で観賞。

バブル華やかなりし頃を舞台に、どこから見てもスーパマンじゃないスペースオペラの主役になれない危機一髪も救えないご期待通りに
現れないため息つく程イキじゃない拍手をする程働かない子どもの夢にも出て来ない大人が懐かしがることもないだからと云って駄目じゃ
ない駄目じゃない横道世之介駄目じゃないな青年
が日々を精一杯生きる姿を描く青春映画。


世之介が入学式で隣の席だった空気をまるで読めない男と、世之介がその後のオリエンテーションで出会ったちょっとかわいい女の子は、
世之介が間に挟まることで出会い、それが最悪最低の出会い方だったのにも関わらず、いつの間にか付き合い始め、子どもを授かり、結婚
することとなる

時が経ち、その子どもが成長し、恋愛がらみで修羅場ってしまったりして、彼ら夫婦はふと大学時代に出会った、
彼らがつらい時に救いの手を差し
伸べてくれた、時代がかった名前の友人のことを思い出し、懐かしさに笑みをこぼす


世之介が学食で人違いで話しかけたイケメン。そのままなし崩しに友だちになった二人。結構図々しくエアコンの効いたイケメンの部屋に入り浸る
世之介に、いろいろ悩んでいたイケメンはとある重大な悩みを打ち明けるが、世之介はおおらかに、さらりと、しれっと、それを受け止めて
みせる

時が経ち、
悩みに押し潰されそうだった自分をこともなげに吹っ切らせてくれた時代劇みたいな名前の友人を思い出し、イケメンは笑顔で
ワインを高く掲げる


金持ちの男の間を渡り歩いていた美女に、世之介は一目惚れしてしまう。その後もなにかと縁があり、世之介はアプローチを続けるのだが、なか
なか実らない。
時が経ち、それなりにちゃんとした仕事に就いてそれなりに充実した日々を送る美女は、あるニュースで、
自分を好いてくれ、恥ずかしいところも
見せてしまった、年下の変な名前の青年を思い出し、微笑みを残し夜の街に繰り出す


そして、人数合わせのWデートに運転手付きの外車で乗り付けてきたお嬢様は、世之介の全く気取らない自然さをたいそう気に入り、長崎の
実家にまで押しかけたりアグレッシブにアプローチして、両親の公認もゲットし、見事に恋仲になる。
時が経ち、世界を股に掛け活躍している彼女は、小さい姪っ子に初恋の人のことを聞かれ、
青春の一番眩しい時間を共に過ごした、忘れられ
ない愛しい名前を思い出し、幸せそうな笑顔で思い出を語る


大学時代と今との間にみんなそれぞれ語られないいろいろなことがありそれでも横道世之介のことを話す時はみんな満面の笑顔になれる
素晴らしく爽やかな気分と、一体語られない期間に何があったのよなんで別れてんだよなんで死んでんだよと一抹のもやもやを残して
2時間半の長さを感じさせずに、映画は終わる。


主人公に高良健吾。相変わらずよい。なんか時代背景も地方から来た学生という設定も、「苦役列車」を思い出したり。
ヒロインの
吉高由里子は当たり役。元々浮世離れしたエキセントリックな役が向いていたけれど、このお嬢様はハイソな言葉遣いとお茶目な
態度が何ともかわいらしく、たいへんよろしい

訳ありのイケメン役の綾野剛もいい佇まいで好印象。
きたろう(今回はラーメン食べない)、余貴美子、池松荘亮、國村隼ら脇役も好演。


青春時代は輝いていたよなあ、とかしみじみ顧みるおっさん向けの映画なのかもだ。



○「みなさん、さようなら」 ★★★★ (13.3.20/劇場)
STORY:’81年、高度成長期の象徴たる団地の中の小学校を卒業した度会悟は、とある事情で、一生団地から出ずに生きていくことを宣言する。
同級生は皆団地住まいなのでいつでも遊べるし、商店街という就職先もある。隣の幼なじみや片思いの元旧友とも恋仲になり、悟の団地ライフは
順風満帆だったが、時代の移り変わりと共に、かつての友人たちは一人また一人と団地を去っていく。団地自体もどんどん寂れていき…。



原作未読。一連の伊坂幸太郎作品の映画化で中村親分最新作。主演は勝手知ったる濱田岳で、最早ゴールデンコンビの風格

そう、確かに、かつて団地は最先端の生活空間だった。オイラもこの主人公と4つ違いなので、団地への憧憬はあった。親戚が住んでいたので
よく遊びに行ったものである。
郊外の小高い丘にそびえ立つビルの群れ公園もショッピングセンターも敷地内の歩いていける場所にある快適空間
確かに団地の中だけで生活はできた。
団地のライフサイクルと呼応するかの如き一人の男の波乱の半生の物語

小学生の時のトラウマで団地から出られなくなった悟は、団地の中で本を読み体を鍛え自主的にパトロールし大山倍達を信奉し安住の地を
守ろうとする

ちょっと変わってるが親友もでき、商店街の職人肌のケーキ屋に頼み込んで就職し、片思いの同級生と婚約までしてしまう
しかしバブルが弾けライフスタイルが変わり
団地は過去の遺物となっていく。実際、↑で書いた親戚が住んでいた団地も郊外の小高い丘の上
という不便な立地故にすっかり廃れて住民の高齢化と建物の老朽化が進みショッピングセンターも空き店舗だらけで最早息も絶え絶えな様子
である。ゲーム「SIREN2」でも出てきたけど、廃墟と化した団地はただただもの悲しい。
悟の周辺も、同級生は皆親元を離れ団地を去り
親友は精神を病みケーキ屋の職人店長は寄る年波に負け婚約者も閉塞した団地を捨てて
いってしまい、すっかり人生の秋といった様子
治安も悪化した団地をそれでも
大山倍達の教えで見事に守り抜いた悟だったが、彼を最後まで支えていた最終防衛ラインがついに崩壊した
その時
………。
呪いから解き放たれたその足は、
かつて踏み出すことをためらい諦めた境界線を、ためらいも何もなく、一瞬で踏み越えていった
ここの
あまりのあっけなさは実に素晴らしく、あっけにとられながらも、満足

主人公を12歳から30過ぎまでさりげなく違和感なく演じてしまっているのは濱田岳違和感仕事しろ
それと比べると女性陣は流石に中学生とかやらせるのはきつすぎた。
主人公の母親に大塚寧々。………あれ、この人ってこんなにふつくしかったっけ?


主題歌はエレファントカシマシの隠れた名曲「sweet memory」。なんというオイラホイホイ
これまた名曲「so many people」のカップリングだったのよね。つーか
10年以上前の曲やん。



○「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝」 ★★★ (13.3.14/劇場)
STORY:中国、明の時代、西太后と宦官たちの横暴により国は荒れていた。皇帝の子を身籠もった官女・スーは国の悪名高き諜報機関・西厥に
追われるが、旅の女武芸者・リンに救われ、西方・砂漠の宿の龍門へとたどり着く。それを追う西厥の長・ユーと、その彼を付け狙う反乱軍のジャオ、
60年に一度、砂漠に姿を現す幻の都に眠る財宝を狙う盗賊団…。複雑に絡み合った運命の糸が龍門に収束し、激闘の幕が切って落とされる…。



主演・ジェット・リー&監督・ツイ・ハーク「ワンチャイ」タッグが14年ぶりに復活!3Dの最新技術を駆使して送る最先端の武侠アクション
………まあでも、
ツイ・ハークは基本ボンクラ監督なんだよなあ

砂漠の外れに建つ宿屋で呉越同舟殺し合いって、「ドラゴンイン」なんて映画が昔あったなー、と思ったら、調べたら話が繋がっていた
ギョギョッ。でも
最後の料理人の包丁捌きしか覚えてないんだけどなあ。

閑話休題。
今作のウリは
3Dは前提とした画作りで、まあいろいろ見せ方を工夫しているのだが、それ故にアクションもCGに頼り切りで、ジェット・リーを
起用しているのに、
生の迫力に欠けて今ひとつ
綿密な物語などはツイ・ハークに求められるはずもなく。
そんなにつまらないわけではないのだけれど、
小手先のテクニックに頼って、魂の迸りを感じられないというか。

龍門で敵味方入り乱れて騙し討ちの果ての壮絶な殲滅戦が繰り広げられるも、主人公と仇敵の闘いはそこで決着がつかず「竜巻の中で
闘おう」
思わず耳を疑うセリフを残して吹き荒れる巨大竜巻の中でグルグル吹き飛ばされながら空中戦を演じるところまでは実にアホで
よかった
。まさに「すげぇ、落ちながら戦ってる」である。
が、
そこからがgdgdでテンション落ちる。今までのあってなきが如きストーリーをうっちゃる裏切りも興ざめ。

意外に女剣客成分多めなのだが、かわいくないのはどういうことだ。韃靼のねーちゃんはよかったけど。

冒頭の悪の中間管理職肥え太って闘いなどできそうもないような見てくれに反して、いきなりジェット・リーと派手にカンフーかますのには
驚いたが、公式サイト見たら、
リュー・チャーフィーだったのね。



○「アルゴ」 ★★★★ (13.3.6/劇場)
STORY:’79年、イラン。欧米の息のかかった政権を転覆させたイラン革命の最中、アメリカ大使館も制圧され、多数のアメリカ人も人質に取られた。
そこから逃れ、市内に潜伏する6人の外交官を秘密裏に救出すべくCIAが動き出すが、困難を極めた。人質救出のスペシャリストであるトニー・
メンデスは「アルゴ」という架空のSF映画のロケハンをでっち上げ、スタッフに成り済まして6人を出国させるという奇想天外な作戦を立案するが…。



「ファッキン アルゴ!」
ニセ映画のニセスタッフに成り済まして敵国の厳重な警備を欺いて刹那を躱して刃すり抜け奴らの隙を突け、という嘘のような本当の話
映画化。
そんなアホな作戦よりもっとマシなのないのかと思ったら、
国境まで数百kmエッホエッホ自転車漕いで逃げる作戦とかばっかだった。
しかもその映画が
いかにもB級なSF映画なのがたまらない。それを思いついたきっかけが「最後の猿の惑星」なんてアレな映画なのがまた
たまらない。


成功の可能性の低い危険なミッションを命がけでやり抜くプロフェッショナルたち危険を知りながら身を賭してそれを助ける人々予想外の
トラブルの発生、殺気立つ敵性国人の群れ、迫り来る銃口
、と
一級品のサスペンス
終盤になると
イラン人のセリフに字幕が入らなくなり何言ってるかわからんがとにかくやべえ!と恐ろしいほどに緊迫感が増す
みんなおとなしく捕まってるのに自分らだけコソコソ逃げ出して、しかも自分らのために周りが危険を犯しているというのにやる気がない人質たちに
ちょっとムッと来た。まあ突拍子もない作戦だけどねえ。


しかしまあ、あのベン・アフレックがアカデミー賞獲っちゃう映画撮るなんてなあ…。主演もしていて、実にかっこいいし、もう便溢れっ苦なんて
書けないわ。


その受賞に関して、イランがキレてるわけだが、まあ史実としてはアメリカの傀儡政権に好き勝手やられた末の話だから、一方的に悪人扱いされて
ちゃ腹も立つよなあ。しかも好き勝手やった前元首は仮病でアメリカ亡命したわけで。




○「脳男」 ★★★ (13.2.20/劇場)
STORY:無差別連続爆破事件の犯人を追う刑事・茶屋は犯人のアジトにいた謎の男を連行。鈴木一郎と名乗るその謎めいた青年の精神鑑定を
担当する女医・鷲谷はその過去を突き止める。青年は生まれつき感情を持たない代わりに一度見たものを全て記憶できる驚異の能力を持ち、犯罪を
憎む老人の妄執で悪人を無慈悲に葬る殺人マシーンとして鍛え上げられた、通称”脳男”だった。鷲谷は彼にかすかな感情の芽生えを感じ取るが…。



原作未読主演の3人にも全く興味がなくスルーの方向だったが、二階堂ふみが猟奇爆弾魔を演じる上に染谷将太も共演していると知って
観賞。


思ったよりも主人公の鈴木一郎を演じた生田斗真が頑張っていて好印象
松雪泰子も好みではないがなかなか。
最近は物わかりのいい兄貴みたいなうぜえ役ばかりだった
エロ洋介昔に戻ったかのような熱血漢の役で、結局何をどうしてもうぜえ
肝心の
二階堂ふみは今までのどっちかっつーと清純派なイメージをぶち壊すパンクな眉無し凶悪犯罪者を怪演。(そういや宮崎あおいも「少年
メリケンサック」なんてやったっけ。関係ないけど。)

染谷将太も怪演なれど二階堂ふみと絡むシーンがなくて残念

とまあ、出演陣はなかなかアクション・バイオレンス描写は意味もなく下品に派手派手(褒め言葉)話もまあまあだったのだが、クライマックス
がどうにもgdgdで失速
。脳男は超人的に強いんじゃなかったのかよ?



○「ねらわれた学園」 ★★★★ (13.2.20/劇場)
STORY:鎌倉の中学校に通う関ケンジは2年生に進級した始業式の日、片思いをしている生徒会書記の春河カホリと仲良く話す機会ができ有頂天。
そんなケンジを面白くなさそうに見つめる幼なじみの涼浦ナツキ。そんなありふれた日常は謎の転校生・京極リョウイチの出現によって徐々に失われて
いく。少しずつ変貌していく生徒たちに戸惑うケンジたち。ついに危険がナツキやカホリにまで迫った時、ケンジの秘められた力が解き放たれる…。



過去に薬師丸ひろ子原田知世が主演して何度か映像化されてきた眉村卓の同名小説のアニメ映画化。
原作は昔読んだ気がしていたが、本編を観ていても何も思い出せなかったので
実は読んでなかった模様ゆうきまさみのパロディマンガ「時を
かける学園」で得た知識しかなかった模様
。道理でソゴル・キョウじゃなくてケン・ソゴルがいつまで経っても出ないわけだ。

そんなにわかで観にいったので、実は今回の物語は原作の続編なのだと気づくのにずいぶん時間が掛かった。ここはもっと大々的に打ち出して
いった方がよかったと思うのだが。


冒頭から画面がたいへんキラキラしておりいかにもアニメな感じの萌えキャラたちがアクロバティックな動きを見せまくり、この映画にリアル
とか細けえこたぁ求めちゃいけませんよ、とわかりやすく教えてくれる
のが非常に親切。
しかしまあ、
流石はサンライズ力の入ったきらびやかな作画&動画で、やっぱアニメ映画はこうじゃないとねえ、と満足せざるを得ない。
これの予告観た後に
「伏 鉄砲娘の捕物帖」観た時には作画のあまりの貧しさにげんなりしたもんだ。
で、物語本体はというと…
最後の方がなんともgdgdで、盛り上げに失敗した感は否めない。主人公が海パン一丁で天元突破したあのテンション
で最後まで突っ走ってしまえばよかったものを。


一応この映画のウリとしてAKB48ラミちゃんまゆゆこと渡辺麻友エンディング曲を歌うだけでなく声優まで担当してしまうというのがあって、
どんなショボい演技なのかと薄ら笑いを浮かべて観にいったのだが、観ていて違和感のある下手くそな声が聞こえず、台詞がほとんどないモブ
キャラでも担当したのかと思いきや、スタッフロールを見れば、なんと堂々
ヒロインの声を担当していて、普通に上手いやんけ!と仰天。
オイラ内のまゆゆ株急上昇。

主題歌はsupercell最後のあの使い方は卑怯だわ、ぐすっ

メインキャストしか掲載しないようなパンフレットを作るヤツは超能力で引きこもらせちまえと強く強く思った。



○「テッド」 ★★★ (13.2.20/劇場)
STORY:友だちのいないジョン少年は、両親が買ってくれた大きなテディベアのぬいぐるみのテッドと話せるように神様にお願いすると、その願いが
叶い、テッドが動いて話せるようになった。それから30年近く経ち、ジョンもテッドも酒とクスリに溺れるダメ中年に育っていた。結婚を考えているロリー
にテッドと離れて暮らすよう強く言われたジョンは、断腸の思いでテッドと離れ離れになり更正しようとするが失敗し、ロリーに愛想を尽かされてしまう…。



かわいらしいテディベアのぬいぐるみが主人公ということで、劇場には女性客ばかりだったが、中身はおっさんという設定は織り込み済み
しても、
度を超した下ネタと向こうのオタネタのみで全編構成されていて、皆どういう感想を持って劇場を後にしたのかと思うとメシウマで仕方
がない


しかしそれにしても実のところ、オタネタが濃すぎてよほど向こうのオタ文化に精通してないと100%楽しむことはできないんでないかね。
あまりに日本人にとって難解なネタは字幕監修のウェイン町山氏によってわかりやすく置き換えられていて親切だったが、
「くまモン」とか言わ
れると流石に違和感が。
オイラも
着メロが「ナイトライダー」な辺りは爆笑したけれど、「フラッシュ・ゴードン」ネタとかは厳しかった。主題歌はめっさ聞き覚えあったけど。
つーかその「フラッシュ・ゴードン」が物語の鍵を握っているのだけども。
主人公のジョンとテッドが子どもの頃から繰り返し繰り返し観賞してきた
人生の教科書である「フラッシュ・ゴードン」。その主役を演じたサム・
ジョーンズ
がホームパーティにやって来て、恋人との約束をすっぽかして駆けつけてしまう下り。日本なら藤岡弘、だと今も現役で活躍してるので、

2号の佐々木剛辺りなのかなあ。
でもこのシーンって
まんま監督の願望なんだろうなあ。いろいろあってずっと干されていた丹下桜を、「CCさくら」ではにゃーんとなって育って
きたオタクたちが作り手の世代になって復活させた話
を思い出した。

つーわけで濃ゆくてダメダメなオッサンオタクネタと、見た目は小熊、中身はオヤジなテディベアのアグレッシブすぎる言動ゆるく楽しむ
ダメなオッサンオタクを対象とした映画

そんなダメな映画なのに金掛かってるし俳優も豪華だし(
ノラ・ジョーンズとかよくこんな役やったな)、ほんのり感動できるいい映画になってるのが
邦画とは違うのだよ邦画とは

ソフト化の時、「フラッシュ・ゴードン」のDVDもバーターで隣りに並べるべきだと思う。



○「ゴーストライダー2」 ★★★★ (13.2.18/劇場)
STORY:体の中に巣くう復讐の精霊・ゴーストライダーを制御できないジョニー・ブレイズは一人東欧に隠れ住み、苦悩の日々を送っていた。彼の元
を訪ねた型破りな僧侶・モローは、宿敵・ロアークが人間の女性・アンディアに産ませた子ども・ダニーを手に入れ更なる力を得ようとしていること、
それを阻止すればゴーストライダーを封印する方法を教える、と取引を申し出る。ジョニーはナディアとダニーの救出に成功するものの…。



6年ぶりのニコラス・ケイジ大ハッスルの「ゴーストライダー」の続編なのだが、なんかメディア露出とか少なくね?なんか…チープな感じしね?
蓋を開けてみれば
ニコラス・ケイジがゴーストライダーを演ってること以外はほとんど前作と関係なしという体たらく。宿敵が名前まで違う完全な
別人になってるってどうよ?お前誰だよ!?

ツ○ヤ
ではご丁寧に続編ゾクゾクなんつーコーナー前作を大量再入荷してくれてるので、前作をチェックしてから劇場に足を運ぶと首を
傾げずにはいられないという親切設計


前作はただでさえ何をやっても面白いニコラス・ケイジが大はしゃぎして演じていた微笑ましい作品だったのが、今作ではゴーストライダーに
変身することを極度に恐れ苦悩し悶々としていて、
コレジャナイ感
まあ変身するとはっちゃけるんだけど。
今回はバイクだけでなく、重機や車にも火をド派手に吹かせてしまう
ゴーストオペレーターゴーストドライバーぶりを発揮。
マーヴルヒーローなのに
ぜってぇアベンジャーズに呼ばれそうにない暴れっぷりを披露。でも「マヴカプ3」には呼ばれたのでなんかあからさま
に超必殺技っぽいのを披露

中盤以降は不死身の強さで無双しまくったのだが、
何故か緒戦だけはショットガンで吹っ飛ばされたのが納得いかない

対するは宿敵・メフィスト…ではなくロアーク(だから誰なんだ!)と彼に力を与えられ、ショボい瞬間移動と触れた物全てを腐らせる能力を身に
つけたチンピラ。…でも
何故か握ったハンドルだけは腐らず車を運転できる親切設計

小便が火炎放射器だったり、仲間の破戒僧が魅力的だったり、いいところも多々あるが、その破戒僧が結局何者なのか説明されなかったり、
いろいろ
荒削りすぎる微妙な作品
やっぱり前作からの違和感が大きすぎるので、「ハルク」とかみたいに続編じゃなく仕切り直しにすればよかったのに、と。
最終的にゴーストライダー改め
エンジェルライダークラスチェンジしたので続編に期待したいが…。



○「グッモーエビアン!」 ★★★★ (13.2.13/劇場)
STORY:ハツキは中学3年生。元パンクバンドのギタリストでシングルマザーのアキと二人暮らし。アキのバンドでボーカルをやっていたアキの恋人の
ヤグが同居していたが、世界旅行に行くと言ったっきり音信不通。そのヤグが1年半ぶりに帰還し、昔のように面白おかしい日々が戻ってきたが、
思春期のハツキはずっと心のイライラモヤモヤが取れず、進路のことでも周囲と揉め、些細なことから親友のトモとケンカしてしまう。その翌日…。



原作未読。
御存知・大泉洋が出ているけど、麻生久美子はそのプラスを帳消しにするほどに好きじゃないし、話もあんま評価されてないしで、観にいかない
つもりでいたところ、一ヶ月遅れで地元で掛かり、さらに
「カラスの親指」でオイラのハートを鷲掴みにしてヒートエンドしてくれちゃった能年玲奈
タン
も出ていることを遅まきながら知り、じゃああんまり乗り気じゃないけど行くか、と劇場へ足を運んだ次第で。(長えよ。)

ところがギッチョン!!!
主役の中学生役の
三吉彩花タンが、何これ、超絶にかわええんですけどぉ!?!?!?
完全に吉高由里子の上位互換で、その上成海璃子ばりの眼力も時々見せてくれて、もう眼福眼福。今年の最重要注目株だわさ。
もう、終始
ほっぺを指でぷにぷにしてぇ、しか考えられなかったわい。

そして彼女の親友のかわい子ちゃん役に、能年玲奈タンやはりかわええ。三吉彩花タンと比べると正直ソリッドでもビビッドでもなくぶっちゃけ
地味ですらある
のだが、
安心感がある等身大のかわゆさというか何というか。

つーわけで、かわいいは正義!なのでそれだけで満足。観てよかった!
蛇足なれど付け加えれば、よういずみはいつも通りで問題なし。相変わらず歌もうまいが、
まんま甲本ヒロトやねん…。ヤグカレー食べたい
問題視していた麻生久美子はいい感じで枯れていて嫌いな鼻の下のラインやしゃくれ気味のアゴが目立たなくてよかった。
あと友情出演の
土屋アンナがすげえよかった。小池栄子の使い方はもったいない。

話に関しては本当に蛇足となるので触れずに終わってしまう。 



○「東京家族」 ★★★★ (13.2.13/劇場)
STORY:瀬戸内の離島で暮らす元教員の平山周吉とその妻・とみこは東京で暮らす三人の子どもを訪ねる。長男・幸一は二人の子を設け、郊外に
一軒家を構え医院を経営し、長女の滋子は夫と美容院を営んでいたが、次男の昌次だけは夢を追い安定した職に就かずにいた。最初は両親を歓待
した子どもたちだったが、日々の忙しさの中、次第に厄介がり始める。居場所がなくなった周吉は旧友の元を、とみこは昌次のアパートを訪ねるが…。



日本が世界に誇って誇って誇りまくれる名作・小津安二郎の「東京物語」現代に置き換えてリメイク
やめとけ、と言いたくなるが、
山田洋次監督名優揃いだし、元がいいのであんまり酷いことにはならなかった
でも
なんで今更、だよなあ。小津生誕100周年の時にやればよかったじゃん外国の人に撮らせたりしないでさあ

とか言ってるが、「東京物語」をVHSで見たのもずいぶん昔で、細部までは覚えていなかったり
ただ、
なんでもない話なのにすごく面白いのに感服したことは覚えていて、後に27時間テレビだかでリメイクされたのを見て不覚にも号泣した
のも覚えている。八千草薫タンが日本のお母さんすぎて愛おしくて。

さて映画が始まってみると、やはりテンポが今の映画とは全く違う「僕達急行」ほどじゃないけど昭和の映画という感じ。
今が舞台となっているものの、
オリジナルでは戦死した次男が生存していることと、実家の次女が存在しないこと以外大筋は変更なし。でも
さして違和感なし。

戦争に替わるメタファーとして3.11が登場しているのだが、次男がそれで死んでたりはしないのね。

オリジナルでは血の繋がっていない次男の未亡人に思いが託されたわけだが、今回はそこまで悲しい断絶はなく、肉親にささやかながら思い
は受け継がれる
。より人間関係が希薄になった現代の方がオリジナルより希望があるというのが面白い。裏返しで現実には希望がないのかも
だけど。


ただ、ドラマ版でも思ったのだが、金あるんだからビジネスホテルにでも泊まれや
あと
ほとんどどのシーンでも背景で誰かしら動いている演出がちょっとウザいのと居酒屋であれくらいで気を悪くするなよ、というのは気になった。
でも
お隣のユキちゃんはいい子だなあ。



○「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」 ★★★★ (13.2.5/劇場)
STORY:インドで動物園を営んでいたパテル一家は、動物たちと一緒にカナダに移住すべく船旅に出たが、貨物船はフィリピン沖で嵐に遭遇し
あえなく沈没、ただ一人、16歳の少年パイ・パテルだけが救命ボートで難を逃れる。ボートには何匹かの動物が乗り合わせたが、リチャード・パーカー
という名のベンガルトラだけが生き残る。かくして、パイと獰猛なトラとの気の抜けない長い長い奇妙なサバイバルが幕を開けた…。



「虎は何故強いと思うね?もともと強いからよ」
世界的ベストセラー小説を、
ホモ映画でアカデミー賞を獲った黒歴史にされた「ハルク」で自らモーションキャプチャーを実演したり、なんとも
読めない男である
アン・リーが実写化。

なんか予告を見ると、嵐の中ただ一人と一匹生き残った少年と虎に芽生える友情、彼らは心を通わせ共に苦難に立ち向かっていく、なんて
陳腐な感動ストーリーぽくてえんがちょだったのだが、観てみると全くそんなことはなっしんぐ
そもそも
人間とその人間を餌として見る肉食獣に友情なんて芽生えるわけがない。互いに食うか食われるかの殺伐とした呉越同舟の中、それ
でも確かに芽生えてしまう連帯感があるのは事実だが、決してなあなあな関係にはならないのは良かった。


つーか見所はそんなところではなく、どこまでも広がる海と空のあまりにも凄まじい映像美である。
美しく澄んだ水面に投げ入れられた空き缶によって生じる波紋、群れなす飛び魚の飛行幻想的すぎる夜行性の海月と浮上する鯨
変な笑み
を浮かべざるを得ない
唐突すぎるミーアキャットの佇む浮島
…。
大スクリーンで観ることができて本当に良かった。
3Dは別になくてもよかったけどなあ。

物語もなかなかに奇想天外で冒険百連発で素敵。
シマウマとオランウータンが
ハイエナに殺されてしまう絶望感はなかなか。そしてそのハイエナをまさに鎧袖一触で屠るリチャード・パーカーさんの
頼もしさ
と、その後に待つ更なる絶望ジェットコースター感とか。
序盤のインドでの生活のエピソードが
後半の伏線になったりはまるでしないのは肩すかし。
1カットしか出ない船のコックに
ジェラール・ドパルデューなんて大物を何故使ったのかと思ったら、ラストまで観て納得

コナンくんには悪いが、いつも一つなのは事実であって、真実は人の数だけあるんだよなあ。
オイラも、アイマスの一番くじの欲しいのをコンプリートするのに¥600×40回も使っちまったよトホホ、なんて周りにこぼさずに、親切な人に無料で
一式譲ってもらったと話すことにするよ。




○「その夜の侍」 ★★★ (13.2.5/劇場)
STORY:5年前、妻・久子を交通事故で失った中村建一は、いつまでも妻が最後に残した留守電を再生し、妻の下着に顔を埋め、立ち直れないで
いた。久子の兄・青木順一は見合いを斡旋したりとそんな中村を気遣い続ける。事故を起こした上に逃走し逮捕された木島宏は、出所後も更正せず
悪行を重ねていたが、家に毎日脅迫状が届き始める。中村を疑う木島は青木を呼び出し問い詰める。そして、事件から丸5年目を迎えた日…。



好評を博した舞台の映画化、らしい。

唐突に理不尽に、何でもない平凡な、しかし幸せな日々を奪われた人々が、その理不尽さを呪い血を流しながら折り合いをつけていく話。
なのだが、
平凡平凡言いながら、どうにもほとんどの登場人物が元々どこかしらおかしいような気がして、感情移入を妨げる。
ジャイアンがそのまま大人になっちまったかのような
邪悪と理不尽の化身の木島はともかく、その彼に愛する妻を奪われた悲劇の主人公である
中村
からして、悲劇が起こる前から隠れてプリンを何個も貪りコミュ障っぽくすらある、平凡とは言い難い人物だし、その義兄の青木も妹を轢き
殺して逃げたぐう畜にいいように脅される上に解決法がピントずれてるし、木島に殺されそうになったのに何故か腰巾着になっちまう星とか木島
にレイプされたのに懐いちまう関
とか「三日月」を熱唱したがるホテトル嬢とか、
みんながみんな、おかしい
主人公の職場の製鉄所の面々(一部除く)だけが心の救いだよ。


で、おかしい人々の物語は、カタルシスを得られないまま終わってしまって、どうにもこうにもモヤモヤモヤモヤっと
平凡な日常をその手に取り戻すためにどうしても必要な儀式のようなものだったのだろうけど、それならそんなに思わせぶりにしないでほしい。


つーわけで、ストーリーだけなら★1つでもおかしくないのだが、そのマイナスを補って余りある出演陣の演技合戦はお見事
売れない役者や鬱病患者から糖尿病患者までこなす
堺雅人と、勇者さまや闇金からぐう畜までこなす山田孝之の二人のメインキャラは当然
ながら盤石。
脇を固める、いつもの眼力を封印して気弱な役を演じる
新井浩文を筆頭に、田口トモロヲ谷村美月安藤サクラでんでん綾野剛高橋
の「クローズZERO」組が
名演、熱演、アンド怪演
安藤サクラ登場シーン全般田口トモロヲの着替えシーン爆笑

で、どの辺が侍なん?



○「さよならドビュッシー」 ★★★★ (13.1.30/劇場)
STORY:ピアニストを目指す高校生の香月遙は、資産家の祖父と同い年の従姉妹・ルシアと火事に巻き込まれる。一人だけ奇跡的に一命を取り
留めた遙は、若き天才ピアニスト・”魔法使い”岬洋介の指導の元、厳しいリハビリに挑み、コンクールへの出場を決める。だが、遙を狙って次々と
事件が起こり、ついには遙の母親も重傷を負ってしまう。コンクール当日、精神的動揺で指が動かなくなった遙に、洋介は最後の魔法を掛ける…。



中山七里の「このミス」大賞受賞作の映画化。橋本愛目当てで劇場へ。

原作もミステリ部分は結構ぞんざいで、最大の見所はピアノの演奏シーンだったのだが、映画化においてもそこは踏襲
犯行とか動機とかはいろいろ弄ってあるのだが、
それでもなおgdgdなのはいただけない
火事が起きるまでのルシアの登場シーンを増やしたことにより
遙とルシアの絆を深めることに成功したので、原作の、ルシアの登場シーンが
あまりに少ないが故の
入れ替わりのトリックがバレバレという最大の問題点は改善されたが、なんでまで同じになるんですかねえ

つーわけで見所である序盤の洋介、終盤の遙のコンクールのピアノの演奏シーンはなかなかよかった。流石物語の鍵となる洋介役にわざわざ
素人俳優の本物のピアニストを連れてきた
だけのことはある。
が、じゃあなんで原作中盤の盛り上がりシーンである洋介のコンサートのシーンをカットしちまうのか。予算とか尺の都合というのもわかるが、

わざわざ素人俳優の本物のピアニストを連れてきたんだから見せ場を作ってあげないと。

そんな、いいシーンとダメなシーンがはっきりした惜しい映画
なれど、主演の
橋本愛を美しく可憐に魅せることには成功しているので、ならばよし!
つーわけで’12年からかわええかわええ言ってるが、’13年はブレイクしますよ。
しかし相も変わらず薄幸な役どころ


探偵役の若きピアニストに清塚信也失敗した稲垣吾郎みたいな顔だが、演技はドン引きするほど下手ではない。上手くもないが。雰囲気は出て
いたので、起用はまあ成功かと。


他の俳優は、なんつーか、びみょ〜なのがほとんど。ルシア役はもう少しかわいくてもよかったんじゃないかと。
そして
謎の三ツ矢雄二の起用。これはグレーゾーンどころじゃねえだろ。
コンクールの審査員に
堤幸彦みたいなヤツがおると思ったら、本人だった。

EDもせっかくだからピアノ曲で綺麗に締めればいいのに、まあタイアップとかあるからねえ。コンクールでの「月の光」でもうスタッフロール流し
ちゃえば美しかったのに。




○「LOOPER」 ★★★ (13.1.23/劇場)
STORY:約50年後の未来ではタイムマシンが開発され、犯罪組織が悪用していた。証拠を残さず消したい人物がいる時、30年前の過去に送り
込みそこで待ち構える、組織に雇われたルーパーと呼ばれる処刑人に始末させるのだ。ルーパーの一人・ジョーのその日の標的は…30年後の自分
だった。困惑するジョーを返り討ちにし、逃走する30年後のジョー。必死に追跡し、再会した30年後のジョーは恐るべき未来の秘密を語る…。



タイムトラベルものということで、パラドックスやら何やらそういうのを期待していたのだが、劇中でブルース・ウィリスに、「ややこしいから説明は
なし!」と言い切られてしまって
この上なく肩すかし

現在の自分と30年後の自分が協力して絶望の未来を変えるために巨悪に戦いを挑むのかと思いきやいがみ合ってばかりでなんだか盛り
上がらず

せっかく近未来が舞台なのに空飛ぶバイクくらいしか見所がない途中から
謎の超能力(物理)ウォーズになる超展開だわ、
なんつーか、
コレジャナイ

二枚目のジョゼフ・ゴードン=レヴィット徐々にハゲのブルース・ウィリスに変わっていくシーン(ここは秀逸なのだが、それ故にジョゼフ・
ゴードン=レヴィットの二枚目ぶりが全体的にぼやけた印象になっている
のはマイナス)とか、逃亡した30年後のルーパーを捕まえるための
悪趣味すぎる方法
とか、
ブルース・ウィリス無双とか見るべき箇所もあるのだが。

ラストの主人公の選択も、なんかもっと冴えたやり方はなかったのかと少しモヤッと。



○「ホビット 思いがけない冒険」 ★★★★ (13.1.7/劇場)
STORY:後の冥王・サウロンとの決戦から遡ること60年、ホビット庄で平和に暮らしていたビルボの前に旧知の魔法使い・ガンダルフと滅亡した
ドワーフの王国の王・トーリンと12人のドワーフが訪れ、王国再建の冒険へと誘う。持ち前の好奇心から冒険に参加したビルボだが、世界の秩序が
乱れ始めていたため、旅は苦難を極める。仇敵のオークに追われた一行は地下に迷い込み、そこでビルボはゴラムから指輪を手に入れる…。



「ロード・オブ・ザ・リング」の前日譚「ロード・オブ・サ・リング」のキャスト(すったもんだあったが)スタッフの手で映画化。しかも、またしても
三部作


「ロード・オブ・ザ・リング」の前フリみたいな話で、世界の命運を賭けた大きな戦争が起こるわけでもなく、どー考えても前作ほど盛り上がら
ない
そんなふうに考えていた時期が俺にもありました
パーティ編成がホビット魔法使い
ドワーフドワーフドワーフドワーフドワーフドワーフドワーフドワーフドワーフドワーフドワーフドワーフそして
ドワーフ
おかしなことになっとるし。
つーわけであまり気乗りせず観にいったわけだが、
なにこれ、面白いじゃん!予想していた以上に冒険冒険また冒険でトロール、ネクロマンサー、
ゴブリン、オーク、岩の巨人、そしてゴラムと
敵も強大、味方も勇敢
白じゃないガンダルフだから地味かと思ったら派手に大暴れ。おまけに
前作のキャラも顔見せ程度ながら続々登場で大満足、お腹いっぱい
出来。


画面中ヒゲだらけで色気がまるでない点と前作を観てないとわかりづらい点が難点。何よりも続編まで一年待たねばならんのが問題!



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