Monster Allocation Center Movie Award Climax 2004
◆2004年度モンスター配備センター映画大賞
10位:「ハウルの動く城」
宮崎駿最新作は微妙に手抜き感漂うこぢんまりした作品。
なれど胸躍る魔法や異世界の構築や畳みかけるアクションは健在。無論少女萌えもな。つーわけで腐っても鯛、凡百のアニメとは一線を画して
いる。が、相変わらずの非声優起用でケチがつく。
09位:「イノセンス」
孤独に歩め、悪をなさず、求めるところは少なく、林の中の象のように。
原作と違った、クライマックスでのバトーの怒りの矛先とか、人形にこだわりすぎるその心情はよう理解できねえなあとか思っていたが結局ベスト
10入り。枝葉末節押井守節フルスロットルでファンには堪らないんで。
見てくれは不細工人形でも昔と変わらず上着を掛けてくれるバトーにジンときた。
08位:「ゼブラーマン」
この作品もこんな上位か…。”Vシネの帝王”と変態監督と売れっ子スーダラ脚本家がこんなに本気でヒーローものを作ってくれるなんて
うれしいじゃないですか。
あのラスボスの造形は不真面目だとか息子はともかく妻と娘との溝は埋まってないじゃんとか問題はあるが、とりあえず白黒つけたぜ!
哀川翔兄ィ、主演100本達成おめでとうございます。
07位:「笑の大学」
もう一言でまとめてしまうと「役所公司萌え〜」となってしまうのか?えええ?
役所演じる厳格な検閲官が喜劇の脚本に魅せられて不器用ながらどんどんおちゃっぴいになっていく様がたまらなく面白い。元々の舞台
だと役所ではなく最初からうさんくさい西村雅彦だったそうなので、これは映画独自の色なのか?
ああ、イナガキゴロー?なんだそれ食えんのか?
06位:「名探偵コナン 銀翼の奇術師」
毎年恒例だがファン限定ね。
今年はお祭り男・怪盗キッド登場だったのだが、蓋を開けてみれば怪盗vs名探偵の息詰まる推理合戦ではなく、この物語の肝たるコナン
(新一)と蘭のラブラブコメコメになっていたのは意外や意外。
映画ならではのスケールの無駄にデカいパニックアクションもベタながら盛り上がるし、レギュラー陣の使い方も手慣れたもので、スタッフの
熟練の味が楽しめる一本。あくまでファン限定ね。
…でもまあ緊急事態だからって小学生飛行機のコクピットには乗せねえよなあ。
05位:「ゴジラ FINAL WARS」
ゴジラ最終作(んなわけないだろうけど)にふさわしいド派手なお祭り映画。
最初のゴジラに別段思い入れのない立場としては、次から次に怪獣を叩きのめすゴジラの活躍は痛快の限り。ワールドワイドに破壊の限りを
尽くす怪獣軍団もカッチョエエの一言!
いくらなんでも怪獣映画へのリスペクトが足りないとは思うが、娯楽作品としては優秀。楽しんでこその映画ですわい。
最近評価大暴落だった北村龍平監督の起死回生の一本。どっかで見たようなアクションをてらいもなくミックスして格好良く見せるという
この監督の取り柄が怪獣特撮というジャンルでうまく生きている。主演(笑)ドン・フライの使い方も見事。
…でも人間同士の戦闘とか、怪獣と関係ないシーン長すぎ。まあ予想されていた通りだったが。
04位:「下妻物語」
現時点で、深田恭子と土屋アンナはこの映画のために生まれてきたと断言できる一本。
決してロリータファッションに身を包んだ深キョンに鼻の下伸ばすだけの映画ではなく、笑かせまくってくれながらもきちんと一本線の
通った痛快爽快な青春友情物語に仕上がっているのが素敵。その辺りはクドカン脚本よりも立派だ。
主演のキュートな二人と奇抜な脚本と演出と脇を固める個性派俳優たちと関東とは名ばかりの下妻のカントリーな風景とがジグソーパズルの
ピースのようにピッタリと収まった傑作。
それでも1位じゃないのは、原付だろうが何だろうが暴走行為は迷惑だと思うからで。
03位:「スウィング・ガールズ」
そりゃあ確かに脚本に文句はいろいろありますよ。中抜けしていたその他10人のガールズまでも急に上達するのはどうよ、とか。演出にも首を
ひねるところはありますよ。竹中直人はもういいよ、とか。
しかしラストであんなノリノリの演奏をキメられてしまってはもう脱帽ですわ。いやあ、音楽って、ホントいいものですね。
メインの5人のガールズ&ボーイが皆それぞれナイスなのは言うまでもないので、彼女たちがヘボヘボだった頃から黙って演奏に付き合って
くれたギター&ベースのロッカー娘が密かにクールだったことを特筆しておきたい。
02位:「スクール・オブ・ロック」
そりゃあ確かに脚本に文句はいろいろありますよ。雑魚クラスメートの出番ないのはかわいそう、とか。演出にも首をひねるところはありますよ。
なんでクレジットの演奏でベースの子だけ名前呼んでもらえないんだ、とか。
しかしラストであんなノリノリの演奏をキメられてしまってはもう脱帽ですわ。いやあ、音楽って、ホントいいものですね。
…つーわけで2位と3位はまったくもって同じような構造の作品で甲乙付け難く悩んだ。
決め手は、女子高生<デブで冴えない無職の中年男、では無論なく、ジャズ<ロックという一点。
「お前さ、二十やそこらでそんな格好して恥ずかしくねーのか?ロックしろよ、ロック」(「いつかギラギラする日」より)
あと、客席にダイブしても皆に逃げられるダメデブ無職中年がロックを通じて大切な何かを学んで、ダイブを受け止めてもらえるようになる物語
だというのがいいのかも。ダメデブ中年と呼ばれかねない身としては。
01位:「ロード・オブ・ザ・リング
王の帰還」
今年はここ数年のように突出した1本がなく、何が1位か悩むところであったが、やはりこの超大作を、3年分の思いを込めて、1位に。
どうしてもこの1本だけでなく3部作合わせての評価になってしまうという反則的な面があるし、作品としての面白さは「二つの塔」の方が上な
気もするが、大軍勢同士の一大決戦やサムの大活躍、そして大団円と3時間強の長さを感じさせない素晴らしい出来で紛うことなき傑作なのは
事実。
製作陣の熱意と執念も俳優たちの演技も美術もCGもどれもこれもが素晴らしい。原作ものの映像化ってのはこうやるんだよ東映!!!
・各部門賞
・最下位〜11位
・総括