第2回白鳥省吾賞 表彰式 平成13年2月25日(日)
表彰 式記念撮影
受賞者の紹介
<一般の部>
最優秀賞 1編 賞金20万円及び副賞
優秀賞 2編 賞金10万円及び副賞
※ 副賞はすべて、 ひとめぼれ二十kg・築館ふるさと特産品セットです。
最優秀賞 浅野 政枝 「赤い川」 北海道札幌市
優秀賞 今 久和 「Bunkamura紀行 エドワード・ホッパー 『真昼』」 東京都練馬区
優秀賞 佐藤 光幸 「遭難」 秋田県湯沢市
<小中学生の部>
最優秀賞 1編 奨学金10万円及び副賞
優秀賞 2編 奨学金 5万円及び副賞
特別賞 3編 奨学金 3万円及び副賞
最優秀賞 佐藤 晴香 「大かいじゅうがやってきた」 宮城県栗原郡高清水町立高清水小学校二年
優秀賞 泉 正彦 「冬の匂い」 北海道札幌市北嶺中学校三年
優秀賞 菅原健太郎 「夜」 宮城県栗原郡築館町立富野小学校六年
特別賞
特別賞 渡辺 英基 「会話」 宮城県栗原郡築館町立築館中学校二年
特別賞 佐々木孝保 「一回目のつり」 宮城県栗原郡金成町立津久毛小学校五年
特別賞 鈴木 孝枝 「見てられない」 宮城県栗原郡金成町立津久毛小学校五年
以上
表彰式は平成13年2月25日(日)午後2時より、築館町立図書館の2階で盛大に行われました。
敬称は省略させていただきました。
以下に最優秀賞の作品を紹介します。ホームページの都合上縦書きのものを横書きにしてあります。
一般の部 最優秀賞 「赤い川」 浅野 政枝
剣淵町の夏祭り 途中まで叔父さんに馬車で
送ってもらった帰り道 雨が急に降り出した
朝歩いた道とは別の大人用の近道をしようと
森の小径を抜け 春男ちゃんの家の裏で
土砂降りの中 小川を飛んだ と思ったが
着地した場所は濡れた草の上 私の足は
キュルリッ滑って 胸まで泥水に浸かった
川っぷちの草を両手で握り締め 空を仰ぐと
顔に向かって落ちて来る 絶え間ない雨雨雨
夢中で先に帰った春男ちゃんを何度も呼んだ
聞こえて来るのは 木々に当たる雨音ばかり
それでも ありったけの声を絞り出し 手を
引っ張ってくれそうな大人の名を叫び続けた
赤い川の中 声と涙が枯れ手が痺れた時
雨音で私の声など 誰にも聞こえないんだ
草が千切れるか手を放すと 私はこのまま
流され 間もなくこの先の滝に飲まれ死ぬ
自分で這い上がるしかないんだと気付いた
ぬるぬるぬるの粘土道 もっと滑る泥炭道で
解けかかったオブラートの姿で 幾度も転び
泣くのを忘れ 夢中に裸足で歩き想っていた
祖母がくれた 脳性まひの四歳の妹への土産
渦巻きカリン糖も 露店で買った妹に持たせ
たかった濃いバラ色の紙の傘も 私の新品の
赤いゴムの短靴も全部 川に流れていった
着替えを手伝ってくれた母の胸の辺りで
キューと小さな音「ばかだねえ・・・もう・・・」
母の目から大粒の涙が反り返った板に落ちた
疲れ切って ぼんやりとした私の頭の奥で
こんなふうに母を悲しませてはいけないんだ
と 重く記憶した九歳
六畳二間の小さい家 茶の間にランプひとつ
畳 二枚の台所には赤茶けたポンプ
その側の小窓から 眩しい光が射し込み
東の山の中腹から 虹が湧き上がっていた
小中学生の部 最優秀賞 「大かいじゅうがやってきた」 佐藤 晴香
はるかのおうちに
おにやんまが入ってきた
「えさはどこだ」
とさがしているように
びゅんびゅんとび回っていた
頭からしっぽのさきまで
九センチメートル
はねの長さ
五センチメートル
足のかずは
六本
目玉は
みどりっぽくて
ギロギロしている
ありをたべさせたら
口をあむあむうごかしていた
ありの水ぶんだけすって
くしゃくしゃになった体を
ぺっとはきだした
まるで
大かいじゅうのようだ
主催 : 築館町 築館町教育委員会 白鳥省吾記念館
後援 : 宮城県 宮城県教育委員会 朝日新聞社仙台支局 毎日新聞社仙台支局 読売新聞社
河北新報社 産経新聞社仙台支局 日本経済新聞社東北総局 築館新聞社
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