北アフリカの大部分を占める、世界最大規模のサハラ砂漠。この広大な砂の世界を遊牧するトゥアレグ族にとって、お茶を飲むことは、渇きをいやし、会話を弾ませ、生きる活力を与えるものであります。 彼らは何よりもまず先に神に感謝し、それから茶葉を清め、儀式が始まる。ティーポットは2つ。一番目のポットでお湯と茶葉を沸騰させ、二番目のポットに注ぐ。この中に砂糖を加え、何度もティーポットとカップの間移しかえることによって、濃く甘い、熱い茶を作り出す。大きな赤褐色の手の中では、小さな茶器がカチカチと音を立てる。動きはだんだん高く、激しくなり、泡が立ち始める。そしてついに、蜂蜜のような黄金色の液体がカップに注がれる。この動作を三回繰り返す。最初に強烈に濃いお茶は男たちに、二番目のお茶は女たちに、そしてシロップのように甘い最後のお茶は子供たちに。 三杯のお茶を飲むサハラの人々の表現によると一杯目は人生のように苦く、二杯目は愛のように強く、三杯目は死のように甘美。厳しくも美しい砂漠の世界ではお茶は神からの贈り物なのである。