科学的に解明された「不思議な力」
 古来、中国で薬としても飲み始められたお茶は、日本やヨーロッパへも「万病に効く神秘薬」といった鳴り物入りで紹介されました。もちろん、当時は科学的に証明する手だてもなく、「不思議な力」としかいいようがなかったが、現在では、紅茶に含まれる各種の成分と、それらが人体に及ぼす効果などについて科学的な研究が続けられ、「不思議な力」の正体が明らかにされています。
タンニンは注目のポリフェノール
 まず、紅茶の主な成分はタンニンとカフェイン。タンニンは紅茶のコクと渋みのもとになるもので、茶のタンニンはカテキンと呼ばれるグループに入り、ポリフェノールは赤ワインにも含まれ、健康にいいと注目の成分。人間は年をとるとともに活性化酵素が増えて、これが老化や動脈硬化、ガンなどの原因となる。ポリフェノールにはこの活性化酵素の増加を抑える働きがあるのです。さらに茶のカテキンには強い殺菌力もあり、インフルエンザウイルスなどに対しても有効に働くため、紅茶でうがいすれば風予防にも効果的です。

皮下脂肪を燃やすカフェイン
 もう一つのカフェインには紅茶のコクや味の深みをアップさせるもので、大脳の自立神経を興奮させる作用、消化促進作用などがあります。カフェインはコーヒーにも含まれているが、紅茶には12種類ものアミノ酸も含まれていて、アミノ酸とさらにタンニンがダブルでカフェインの刺激を抑えるため、興奮作用は弱まって、むしろ心を落ち着ける働きをする。胃に負担をかけるといわれているカフェインの刺激も、タンニンとアミノ酸で、穏やかになります。
 また、最近注目されているカフェインの働きは、運動中に皮下脂肪の燃焼を促進させる効果があり。一般に運動するとまず、筋肉中のグリコーゲンが消費され、15分〜20分後にやっと脂肪が燃えだす。やせるためには最低最低15分以上続けて運動しなければならないのは、このため。ところが運動前にカフェインを取ると、脂肪から先に燃え出すことが最近の研究で明らかに。ダイエット中の人には紅茶がおすすめというわけです。パワーのもとであるグリコーゲンが残るので、持久力もつくため、紅茶ベースのドリンクを愛飲するスポーツ選手も多いといいます。
 その他の成分としてはフラボノールやサポニン、フッ素、カリウム、ビタミンE、たんぱく質などが含まれ、さまざまな薬効が明らかにされています。
 とはいえ、一杯の紅茶で摂取できるのはごくごく微量。紅茶はあくまでも薬ではなく、健康的な嗜好ドリンク。気分転換したり、くつろいだり、あるいは人と人を結びつけたり、そんな心の安らぎこそ紅茶がもたらす一番の効用です。

紅茶を買うときのコツ
 紅茶を買うときにいちばん困るは、その種類(銘柄)の多さです。産地別銘柄から、ブランドのオリジナルブレンド銘柄まで何百種類とあって、値段もピンキリ。まずは値段を品質の基準に買う人も少なくないでしょう。確かに、高価なものはティップがたくさん含まれていたり、クオリティーシーズン中のピークに摘んだ限定期間ののものだったりします。しかし、良質の紅茶の決め手は値段よりも鮮度だ。一般的に紅茶の品質は未開封は2〜3年が安定期間で、その後は変質してしまう。下級品ほど変質しやすく、高級茶ほど変質しにくいが、高価なものでも古くなっていれば、当然風味や香りは落ちてしまうのです。
保存法
 開封したら時間がたつにつれて品質が落ちるのは、紅茶もほかの茶も同じことです。高温多湿と光(特に紫外線)匂いなどが紅茶を変質させる原因で、特に湿気と匂いは大敵。紅茶は食物繊維が主体なので、他の匂いを吸収しやすいのです。密封容器にいれて、他のものの匂いのつかないところに置くのが保管のポイント。容器は密封できるのもなら缶でもガラス製、プラスチック製でもOK。木製の容器やビニール袋などは特有の匂いがあり、また通気性があるので不向き。アルミ製のパッケージに入っていたものは袋の上部をきっちり留めておくことです。
 冷蔵庫はいろんな匂いの宝庫なのでかえって変質を早めることに。常温保存で構わないが、ガスレンジの近くやスパイス類などのそばには置かないことです。

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