紅茶も緑茶もウーロン茶も、原料となる茶の葉は同じ。茶葉の外観や味わいがまったく違うものになるのは製造方法が違うからです。そのかぎを握るのは「発酵」。発酵させない緑茶、葉の一部、あるいは半分程度まで発酵させるとウーロン茶しっかり発酵させると紅茶になります。こうして作られた紅茶の茶葉は黒褐色となり、英語ではティーのほか、ブラックティーとも呼ばれる。日本語の「紅茶」は、熱湯を注いで淹れた時の色に由来しているといわれあます。
 さて発酵には酵母やイースト菌などを使うのでなく、茶葉の中に自然な状態で含まれている酸化酵素の働きを利用します。また、紅茶の製造の大きな特徴は、収穫した新鮮な生葉をそのまま茶園内、あるいは茶園近くの製茶工場に運びます。すぐに製造ラインにのせてしまうこと。生葉を冷凍、乾燥させてから、製茶工場に運ぶとか、消費地に輸出するといことはない。製茶方法にはオーソドックス製法からCTC製法と呼ばれるアンオーソドックス製法があります。

1摘採(茶摘)
 多くが手作業よる一芯二葉摘みで行われ、園内の集積場や製茶工場へ運ばれます。

2萎凋(しおらせる)

次のこうていのもむ作業をしやすくするため、摘みとった葉の水分を半分取り除き、しんなりとしおらせます。
摘み取った葉の八割が水分。このままでは次の工程のもむ作業がやりにくいため、しおらせます。これが萎凋(いちょう)とよばれる工程で、水分の約半分取り除きます。かつてはネットの上に生葉を広げて日陰干しをする自然萎凋だったが、現在ではほとんどが萎凋機による人口萎凋。たくさんの通風穴を開けた金網の上に葉を広げ、下から大気や温風を送り、八〜十二時間かけて葉をしんなりさせます。
3、揉捻(もんでつぶす)

しおれた葉をもんで空気にふれさせ、発酵を促す。昔は手もみ。今はほとんど揉捻機という機械で行います。
しおれた葉を揉捻機(ローラー)にかけて、もむ工程が始まります。これは両方の手のひらの間に茶葉を挟み、上の手のひらだけを円を描くように回すことを機械が行っているとイメージすればいい。もむというよりは、すりつぶす感じで、茶葉から茶汁が絞りだされていく、茶に含まれているたんぱく質の酸化酵素(ポリフェノール・オキシダーゼなど)が空気に触れて活性化され、いよいよ発酵が始まります。多くの場合は、揉捻機にかけた後、ローターバンという肉のミンチ機のような機械に入れ、茶葉を押しながら細かくカットする。揉捻中の茶葉は色も緑から茶色っぽくなり、やがて赤みを帯びてくる。CTC製法の場合は、ローターバンの後、CTC機にかけて、一気に茶葉をCrush(破壊して)Tear(切断)Curl(粒上に丸める)が行われます。
4、玉解き(ほぐしてふるい分ける)

さらに発酵しやすくするため、もまれた葉をほぐす。茶葉の大きさをふるい分ける作業も同時に行います。
茶葉全体が平均して空気に触れ、発酵しやすくするため、茶葉をほぐすのがこの工程。玉解き機という粗いメッシュのついた滑り台式の機械にかけてほぐし、同時に茶葉の大きさをふるい分ける。サイズの小さいものは網目を通って下に落ち、大き目の茶葉は残るという具合にふるい分けられ、落ちた茶葉はここで次の発酵の工程へ。一方、メッシュの上に残った葉はふたたびローターバン機にかけられカット→玉解きの工程を繰り返します。
 CTCの場合は、茶葉はすでに粒上に丸めて整形されているため、この工程はありません。
5、発酵

玉解き機でふるいにかけられた茶葉は棚に広げられ、発酵がすすめられる。茶葉の色は、もう褐色になります。
玉解き機にかけられた茶葉は、メッシュの網を通って下に落ちた順に、棚や床に広げられて、発酵の度合いを調節します。揉捻の開始からこの工程までの時間は約2時間〜二時間半。茶葉の色も赤みを帯びた褐色になっている。CTCの茶葉は人工発酵槽でゆっくりと動かされながら発酵がすすめられます。
6、乾燥

 でくきや混じりものを取茶葉の発酵を止め、水分を取り除く。乾燥が終わった茶葉から、手作業り除きます
茶葉の酸化発酵を完全にストップさせるのが乾燥の工程。90度以上の高熱風を送り出す乾燥機に15〜20分間通し、発酵を止めると同時に茶葉に含まれる水分を約3%に落とし、乾燥した茶葉は「荒茶」と呼ばれます。
7、等級区分

茶葉をふるい分け機にかけ、大きさや形状ごとに選別。これより仕上げ茶となります。
荒茶は大きい葉から小さい葉まですべてが混ざった状態。余分な茎や混じりものなどを取り除き、さらに一定のサイズや形状ごとに等級区分をして、「仕上げ茶」にします。
 CTCの場合も自動選別機によってさらに細かく等級区分がされ、摘んだ翌日には原料茶として出荷されます。
8、鑑定
 ティーテイスターが紅茶の味や香り、色などをチェック。品質や価格のデータが完成し、ティーオークションにかけられます。
9、ブレンド
 同じ産地でも茶園や収穫期によって品質が一定でないため、数種類の原料茶を配合。商品として晴れて市場に流通します。

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