国産紅茶 復活の兆し
当店でも検討中です。
 白磁の茶碗に注いだ紅茶の色はやや薄め。
渋みが少なく、砂糖なしでもすっとのどを通る。かつて輸出産品の花形と期待されながら、輸入品に押されて約30年前姿を消した国産紅茶に復活の兆しがあるようです。
「無農薬」「緑茶風」「ヘルシー」。そんな風味で多様化した消費者の味覚に訴えます。

外国産より渋みが少なく
 静岡県藤枝市の山間地。
急斜面にうねうねと茶畑がつらなる。川沿いにある環境保護団体の拠点があり、ここでは86年から有機無農薬の紅茶を作っています。当初はS氏の畑だけを使っていましたが、いまは5件の農家が参加しています。緑茶用の「やぶきた」を使うだけでなく、紅茶用の「べにひかり」も育てています。毎年4〜5トンを共同購入や有機食品を通じて販売しています。
 家業を継いだ長男は「人気のない二番茶」が紅茶にすることで売れているのはありがたい。今は同じ畑の葉を緑茶と紅茶に使い分けているが、肥料を減らすなど、紅茶向きの栽培法も追求したい」と言います。
 滋賀県水口町の農協の店舗に、地元の茶農家が作った紅茶が並んでいます。緑茶用の品種「やぶきた」の二番茶だから、緑茶のような青っぽい風味がします。「近江の茶」の知名度を高めるとともに、安い二番茶を活用しようと、県農業総合センター茶業指導所が開発にあたっています。緑茶農家が取り組みやすいように、県内の茶畑の8割を占める「やぶきた」を使い、緑茶ようの機械を活用できるよう4年をかけて工夫を重ねたようです。
2年前、750人に試飲してもらったところ、7割が「外国産紅茶よりおいしい」と答えたそうです。今年は2件の農家が計300キログラムを作る予定だそうです。担当したKさんは「香りや渋みの強い本来の紅茶と競争しても、コスト的にかなわない。若い層が求める新しい味を追求した」と期待しています。
 明治政府が紅茶の製造に着手したのは1874年。輸出を増やし、生糸と並ぶ外貨獲得源に、との政策だったようです。
1950年から60年代前半にかけて最盛期を迎え、55年には約8500トンを生産、輸出も一時は5千トンを超えました。しかし、高度経済成長で生産コストが上がり、品質も外国産に太刀打ちできなくなり、71年の輸入自由化後は、ほとんど生産されなくなったようです。  お茶ファンで作る「現代喫茶の会」のN氏によると、紅茶の生産者は、全国に40人ほどいるようで、多くはここ数年、無農薬へのこだわりや二番茶活用のために始めた人だったようです。昨年は国内で十数トンされたとみているようです。

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