カテキンフィルター
「飲む」ことが当たり前のお茶。そのお茶が住宅環境の改善にも
”進出”しています。お茶の渋み成分であるカテキンの持つ抗菌や抗ウイルス作用に、茶業界以外の企業が着目しています。
その一つが空気清浄機。大阪のある空調機大手は1995年、業界初めてエアフィルターにカテキンを取り入れて売り出した。
96年には集じん効率を高めた「HEPA」と呼ばれる高性能フィルターも装着した製品を販売しています。
開発に携わったS氏が「これがカテキンフィルターです」といって出したフィルターは縦25センチ横43センチ厚さはわずか0.2ミリ。
ポリプロピレンと呼ばれる不織布にカテキンを付着させている。
どうやって付着ささているのかは「あくまでも特殊製法。企業秘密です」という。

同社の説明によると、カテキンフィルターはキャッチした99%以上の風邪ウリルスの感染力を失わせる。インフルエンザウイルスよりも小さな夏風邪ウイルス「コクサッキーウイルス」にも効果を発揮することが実験で裏ずけられています。
発売後には、モニター調査も実施した。清浄機を置いた保育園から「インフルエンザが連鎖的に広がっていくことも例年より減った」との反応が寄せられたそうです。
「風邪のウイルスを何とかキャッチできないか。それが至上命題だった」と振り返るのは同社空調環境研究のT氏。
開発に着手した90年当時、空気清浄機の機能メーンはタバコの脱臭や集じんだった。しかし、住宅の高気密化で清浄機の市場拡大は予測されていた。企業間競争の激化し、他社との差別化のためにもプラスアルファが求められていた。カテキン効能がかくちで指摘されるにつれて、売上も伸びたそうです。

 住宅分野でのカテキンの利用は家具業界でも検討がすすんでいます。静岡の塗装メーカーは、家具の塗装仕上げに使うカテキン入り塗料の研究を続けているそうです。揮発性有機化合物「ホルムアルデヒド」の放出をカテキンで防ぐのが狙いだそうです。
ホルムアルデヒドは合板や家具の接着剤から発生し、皮膚病やぜんそくなどの原因物質とされています。企業開発室のE氏に塗料を見せてもらった塗料はドイツ製で植物油がメーン。茶色っぽい。濃度にして10%のカテキンが含まれているという。
放出量の多い合板を使って県静岡工業技術センターで実施した測定実験では、ホルムアルデヒドの放散量を50%近く減少させることができたそうです。塗料の改良も重ね、放出量のさらに少ない合板を使っていく考えだそうです。
「通常の科学塗料に比べコストがかかり、塗料の乾燥も長時間が必要。商品化へのハードルはまだまだ高い」とE氏は話す。しかし「健康重視への考えが強まる中で、生産性よりも、人にやさしいものを取り入れ提供していきたい。お茶がその大切な素材に成り得るんです」と力を込めて話た。

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