木の寿命は人よりもずっと長く。中には千年以上も生きて、文化財などに成っている木もあります。
よく「桃・栗3年、柿8年」と言って、実が成るまでには、時間がかかることのことわざに成っています。
人間の場合、20歳で成人式を迎えますが、
一本の木が成木に成るのには何十年もかかります。
植物の成長は永い年月のかかるものです。
そうやって育った木は、私達の生活と切っても切れない関係にあります。
建物もそうですし、いろんな家具、食器のお椀やおはしは毎日使うものです。またいろいろな楽器類や玩具にも使われています。
「広島の牡蠣の漁師さんが、元気な牡蠣を育てるために、海に注ぐ川の源流にどんぐりの木を植林している。」ということを、
以前ニュースで放送して居ましたが、覚えているでしょうか。
どうして海の生き物を育てるために植林なのか、と思う方が居ると思います。
しかし牡蠣を育てる為には、きれいな海域を守ってやらなければいけないのです。
広葉樹の森には、木々が毎年落とす木の葉が腐葉土となってたまっていき、水を蓄えておく力があります。
荒地に降る雨は、地表をいろいろなごみを巻き込みながら川に注ぎます。
森に降った雨は腐葉土の中を通るためもともとの雨みずが空気中からもってきたごみも浄化し、
更に川の生物が育つための養分まで運んでくれます。
きれいな海をつくるためには、きれいな川が必要であり、そのためには森を育てることが大切なのです。
森は、私達にいろんなものをあたえてくれます。
今世界的に地球の温暖化が問題に成っていますが、
温暖化の原因になっているCO2を減らす為には世界的規模で植林をすすめないといけないことです、
森林の中では、フィトンチィトやアルファー波といった私達の身体と心を癒してくれる成分がたくさん出ています。
よく檜(ヒノキ)のお風呂に入るとくつろげるというのは、特に檜にはフィトンチィトの成分が多く含まれていて、
地面から切り倒された後でも癒しの成分を永く出してくれているからです。
また木というのは、何度でも生き返ります。
樹木は、秋にその葉を落とし自分の足元を暖めそこに木の実を落とします。
そしてその葉は腐葉土となり親木と木の実の育つための栄養になります。
切られると、木材として家や家具や玩具になり、紙になり、ある物は燃料として薪や炭になり、
炭は飲み水の浄化や御飯を炊く時に入れるとおいしくなると言いますし、
その調湿作用からたんすの中や部屋の片隅に置いておくといいです。
炭を作る時に出る木搾液や、竹炭の竹搾液も美容品など、いろいろな使い方をされています。
燃やした後の灰は、野菜のあく抜きに使われたり、また肥料として畑や田んぼにまかれ土に返っていきます。
近年、リサイクルが語られるように成ってきていますが、木は最良の資源です。
日本の国土の60%〜70%が森林地帯ということですが、その大半は昭和の前半に建築資材用に植林された、針葉樹の森です。
木が成長し資材として使えるまでには長い年月がかかります。
その間に日本の経済環境が変化し、手間暇を掛けて山から木を切り出すより、
外国産の木材を使った方が安く上がるようになってしまいました。
毎年春になると杉の花粉による花粉症が話題になりますが、
安い外国産材を使い、日本の成木になった杉の木をそのままにしておくのは問題です。
日本の木はたいてい山の傾斜地に生えています、
それを切り出して運び出すことは大変な作業で、
その為に国産材の値段が高くなってしまいます。
大工さんは、家を建てる時に地元の木を使うことを薦めます。
それはなぜかと言うと、木が持っている調湿作用を最大限に活かすために最良だからです、
木材は常に水分を含んでいるのですが、水分が増えると膨らみ減ると縮む性質があり、
その性質を利用した代表的な物が東大寺正倉院の校倉造や桐のたんすなどです。
どちらも梅雨時など湿気の多い時には木が膨らみ中のものを湿気から守り、
また空気が乾燥している時には木が縮み隙間をあけ中の空気を入れ替えます。
また、こんなこともあります。
皆さんは山にはえている赤松と海辺に生えている黒松が同じものだと御存知でしょうか。
赤松は真っ直ぐに天に向かって伸びているのに対し、
黒松は横に枝を伸ばし赤松と比べると背も低く、
まったく姿が違っていて、とても同じ種の木とは思えません。
それは木自体が生えている場所の環境に合わせて、自らの姿を変えた為です。
日本は南北に長い列島で、気温や降水量などの気象条件が場所によってまったく違います。
木材は狂いが出ます、木の狂いと言うのは玉切りした木を見ると年輪があり、
真中の色の濃い所とまわりの白っぽい所で細胞の大きさが違う為、
板材が反ったり、ねじれがでたり、ひびが出来たりすることですが、
違う場所から持ってきた木材は育ってきた環境にあった木質細胞を作っているので、狂いが大きくなるわけです。
たとえば、4本の柱で床を支えているとして、1本だけ違う木を使ったらどんなことに成るでしょうか、
1本だけ湿度による伸縮率が違うわけですから床がかたむいてしまいます。
家を建てる時には多少材料費は高くなっても、その地の環境に合った地元の木材を使った方が良いわけです。
木は大きく分けて針葉樹と広葉樹に分けられます。
針葉樹はその名の通り、針のような葉を持つ物で、
松や杉、檜(ヒノキ)等が代表的なもので、クリスマスツリーに使う樅(モミ)の木や、
不思議な気がしますが公孫樹(イチョウ)も針葉樹に分類されています。
広葉樹は広い葉をもち種類もたくさんあります、
代表的なものをあげると、欅(ケヤキ)やブナ、春になるときれいな花を咲かせる桜や梅
果実が食用される栗や柿、どんぐりの木として有名な楢(ナラ)や橡(クヌギ)などです。
種によって違いがありますが針葉樹は真直ぐ天に向かって伸びて成長も早いです。
それに対し広葉樹はその広い葉に太陽の日をたくさん浴びる為に、枝を横に伸ばして行きます。
木材になると針葉樹は軟木(ナンボク)と呼ばれ、
通直性も高く加工が容易であり木目方向の強度があるので建築の構造材に使われます。
檜(ヒノキ)は木目が真直ぐに通り香りもよい為、柾目取りされ高級建築材に使用されます。
広葉樹は硬木(カタギ)と呼ばれ、加工が大変ですが木目に変化があり美しく仕上げ材に使われます。
特に硬い木として樫(カシ)の木が上げられますが硬さが必要な金槌やスコップの柄に使われ、
欅(ケヤキ)や楓(カエデ)等はその木目の良さを生かし箪笥や家具に生まれ変わります。
和紙の材料になる楮(コウゾ)などもそうです。
近年都会では、夏のヒートアイランド現象が問題になっています。
アスファルトの地面ととコンクリートのビルに熱が反射され気温がどんどん上がっていく現象です。
暑いからエアコンも使いますのでエアコンの室外機の熱が暑さに拍車をかけます。
そんな時木陰に居るとちょっとだけ涼しくなったような気がします、
それは木が光と熱を吸収していてくれるからです。
都会にも街路樹だけでは無く、もっと緑を増やさないいけません。
場所が無いように思われますが、
ビルの屋上やマンションのベランダ、窓辺にも育てられる木や花はたくさんあります。
その緑が、熱もそうですし排気ガスで汚れた空気のCO2を新鮮な酸素に変えてくれます。
木を育て森を育てるのは、大変なことです、しかし重要な仕事です。
あなたも何か植物を育ててみてはいかがですか、緑はきっとあなたの身体と心を癒してくれます。