こうき麿呂 VS SRの振動
「果たしてこうき麿呂は、SRの振動に勝てたのか?
」
キーワードは: 「振動」「脱落」そして「気合」
5月10日(土)・11日(日)、何を思ったのか突如ツーリングに行きたくなった。
この旅を決行するにあたって、決めた出発時間は午前6時半。
低血圧のせい(単なる夜更かし?)で、朝の苦手な俺にとっては年に数回あるかどうかの起床時間だ。
12時までに新潟に到着して、のんびりするという予定で計画したにもかかわらず、目が覚めた時点で既にその予定時間を過ぎようとしていた。
「やばっ(*_*)」
しかし、毎朝を考えればどうというほどの時間でもなかった。
「まだまだ余裕のよしこちゃん(^o^)〜♪」※注:サリーちゃんに出てくる良子ちゃんではない。
鼻歌まじりで準備する俺。
予定を30分ほど押して出発。
「平均100キロで走れば、着くだろう」と道のりから逆算する俺。
しか〜し!
一般道はどうすうる? しかも朝のラッシュ時間では?
朝、脳の活動も休眠中である俺には考えるだけの能力はない。
荷物を背負って、走り出す。20キロと走らないうちに、エンジンが息付を起こす。
「一体どうしたんだ?」
これからの旅路に暗雲が垂れ込める。
「ん…?これと似た症状は確か前にも。」
勘のいい俺はすぐに気づいた。
「ガス欠だ!」
予備タンで、なんとかスタンドまでたどり着いた私は早速ガソリンを満タンにした。(普通は、前の日にやっておくでしょう。)
そして、古川ICに到着。このバイクを購入してから、はじめての高速道路の走行である。
自動改札口?で高速チケットを手に取る。
「さて、どこに入れようか? ジャンパーのポケットか? いつも車で通るときは、サンバイザーに挟めばいいのだが、バイクは面倒でならん。」 とも思ったが、
「長い道のり、高速の出入り口だけなのだから我慢、我慢。」(そう思える俺って大人じゃん!ってもう37才かぁ…)と自分に言い聞かせ、いよいよ本線に突入した。
動力性能への期待に胸をふくらませ、その全貌を明らかにするためアクセルをひねった。
団塊の世代が聞いたら、「カミナリ族かぁ〜!」って言われそうな排気音を残して?(って俺が見送ってるわけじゃぁない)猛ダッシュ。
さすが、FCR41の威力。
振動と戦いながら、アクセルを開けると、そのまま順調にスピードが乗って…、乗って…、乗ってこない?(T_T)
このツーリング前まで、スピードメーターが付いていなかたことと、タコメーターワイヤーが切れていたことによりかなりのローギアードになっていたことに気づいていなかった。
(えっ?そのままツーリングに行ったのかって? 当然、出発前に直しましたよ。 大人ですから…)
道路交通法の関係もあるので、ここでは何キロ出したかはふせておくが、以前に乗ってたノーマルよりも1割も最高速が出ない。
しかも、制限速度である100キロで走ると、丁度振動が大きくなる回転数で走ることになる。
これは辛い。
しかし、一般道で時間を費やして予定時間を大幅に遅れてしまっている俺にとっては、アクセルを緩めることはできない。
いや、むしろ開けていかなければならなかったのだ。
この振動がいずれ、さまざまなトラブルを引き起こすとはこの時点で知る由もなかったのである。
最高速テストを終え、ガッカリしながらも車の流れに乗って走る。10キロと走らないうちに、手とケツのあたりがシビレはじめる。
次のインターの手前で、スピードメータを見ると、
「ゼ…、ゼロq?」 「もしかして、オークションで安く買ったメーターだったから壊れたのか?」
よく見ると、メーターワイヤーが外れて、足とバイクの間に挟まってる。
「あちゃ〜(*_*)」 急いでワイヤーを拾い上げる(当然走りながら)。 すぐ先の、鶴巣PAで工具を借りようと入っていったが、メーターワイヤーを持っているため、クラッチが切れない。
「しょうがない、エンストして止まろうか。」そうあきらめかけた瞬間、「そうだ!ももとタンクの間に挟めばいいんじゃないか!」とひらめいた。
普通の人なら当たり前に思いつくことであろうが、寝起きから1時間以内の俺が考え付くなんて、俺を知っている人から見れば凄いことである。
メーターワイヤーを取り付け、何事もなかったかのように、また走り出す。
泉ICあたりまで行った頃であろうか、スピードメータがおかしい…
車の流れに乗っているにもかかわらず、140qあたりを指している。
特に流れが速いというわけではなく、走行車線を走っていてそうである。
「振動でぶっ壊れたか。」 あきらめの早い俺は、「お前なんかにゃ、もう頼らん!」と捨てゼリフを吐き、何度かメーターを小突いた後、タコメーターの表示を頼りに走り続けた。
程なく、泉のチケット検査所?に着く。スローダウンして、検査所の前で止まろうと思ったら、右足に手ごたえ(足応え?)がない。
係のじいさんにチケットを渡し、足元を見る。
「ありゃりゃ。ブレーキペダルが無い。」
この日の走行予定は450キロ以上で、まだ70キロと走っていないにも関わらず、次々と振動によって壊れていくバイク。
「新潟に着いたときゃぁ、エンジンを抱えて自分の足で歩いてるのかぁ。人間様の高速料金は幾らだ?」と考えたかは覚えていないが、不安に襲われたのは言うまでも無い。
たぶん、これを読んでくださっている方々も、俺が無事にたどり着いたか不安になってきているに違いない。
その後、国見PAで所用のため休憩。 郡山JCTから磐越道へ。
磐越道に入ると、トンネルが多くなってくる。
どれくらい走っただろうか?
あるトンネルに入ったときに気づいた。
「ヘッドライトが着いていない。」しかも、ウインカーまで…
ライトのスイッチをハイからローに切り替えた。 するとパッと目の前に光が灯り、ウインカーも復活した!
このバイクは、バッテリーレスキットが付いているために、ヘッドライトが切れると、電圧の関係でウインカーまで点灯しなくなってしまうのだ。
残すところあと200キロ。
この日は、これ以上のトラブルに見舞われること無く、無事?予定の30分遅れで目的地へ到着したのであった。
その後、柏崎にあるトルコ村というところに行ってみた。
別に、「トルコ」という名前に何かを期待して行ったわけではないが、期待はずれの場所だった。
もともとは、入場料があったらしいが、現在は無料となっており、自由に出入りはできるのだが、俺の率直な意見を言わせてもらうと、タダでも高いような気がした。(^
^;
ただ、中にターザンロープのでかいのがあって、長さ約50メートルで、高さ7〜8メートルの空中をワイヤーにぶら下がって、時速40キロくらいで降りてくるんだが、止まるときに慣性力で、ワイヤーに取り付けられたマットに激突するシーンを見て、思わずビビってしまった。
ある意味、過激なジェットコースターよりも怖いかも。
新潟の柏崎に行った際には、ぜひお立ち寄りください。(っていまさら言われてもねぇ…)
その日の晩は、適当にビジネスホテルを見つけて止まったが、新潟にはファミレスや、カラオケ、コンビ二が以上に少なく、「不便なところだなぁ」と思ったね。
翌日、昨日来た道のりを走り始めた。北陸自動車道を北上し、程よいペースで走る銀色のシビックの後ろを走る。
途中、オービスを発見したためスピードを落とすと、後ろにクラウンが…
走行斜線に戻り、道を譲る。
するとそのクラウンは、オービスを過ぎたとたん赤色灯を回し、あっという間に先程まで俺の前を走っていたシビックに追いつき検挙してしまった。
「オービスのお陰で検挙を免れるなんてなんて幸運であろうか!」
俺は、かなりの強運の持ち主である。
その後、ややペースを落とし順調に走り続け、磐越自動車道に入った。
磐越自動車道は一車線である。
先程の件もあるので、やや様子を見ながら走る。
先頭に、遅い車がいるせいか10台くらいが一つの塊になって70q位で走行している。
「一体、なんでこんなに遅いんだ。二車線の区間になったらブッチギってやる!」
そう考えていた。しかし、二車線の区間に入ると突然その集団は140qで走り始めた。ぶっちぎるどころか一台も抜けない始末。
「なんなんだこりゃ」(?_?)
そう思った瞬間、前方でまたも赤色灯が…
先程の先頭を走っていたのは、覆面だったのである。
業を煮やした車が一斉に追い越しをかけた直後にその覆面が本性を現したのだ。
捕まったのは、高級ワゴン車に乗る家族連れであった。
楽しい週末のつもりが、一瞬にして悪夢に変わってしまったのである。
なぜにこの日は、こんなにも覆面パトが多かったんでしょうか?実は、「春の交通安全運動」のはじまりの日だったんですな〜。
いずれにしても、危機一髪2回も検挙を免れた俺は、やっぱり「強運?」かな。(^O^)
さて、他人の不幸には目もくれず、順調に走り続ける我輩。
「昨日、一通り壊れるところは壊れたんで、順調、順調!」 そう思っていると、突然、雷雨のような強い雨。 その中を走りながら、トンネルに入ったり出たり。
着ていたジャンパーも中まで濡れてしまった。
「寒い。」
しかし、まだ道のりの半分もきていない。「まだまだこれから。」と自分に言い聞かせ…たりするような俺ではないが、もくもくと走り続ける。
ガソリンもリザーブとなり、そろそろ給油のタイミングか…
そう思いながら走行を続けているが、磐越道にはなかなかSAが無い。
ようやく、猪苗代あたりでSAの表示が出てきた。
「あと少し、もうちょっと。」下り坂でクラッチを切ったりしながら、省燃費走行を心がけた。
SAまであと2キロの表示。 ちょっとキツめの上り坂を登る。
SAまで1キロを切ったあたりか…
「ほっ」と胸を撫で下ろした瞬間、突然エンジンが止まった。
タンクを開け中を確認する。ガソリンが、タンクの下のほうに数ミリ残っている程度であった。
「ガーン!ガス欠だ!」(T_T)
またまた、やっちゃいました。しかも今度はリザーブじゃなくて本物のガス欠!高速道路で、しかも上り坂…
JAFを呼ぶにも金が無い。
サイドスタンドを下ろし、バイクをほぼ地面と平行になるまで寝かす。ここでポイントなのは燃料コックの位置である。
SRは負圧式のコックなので、PRI(プライマリー?)の位置にして、タンクの底に残ったわずかなガソリンをキャブに落とす。
何度かキックをしたら、なんとかエンジンが掛かった。
かろうじて、SAに着き早速スタンドへ。
店員さんに状況を説明すると。「あっ、そうですか…」
聞いているのか分からないような、そっけない返事。
まったくと言っていいほど他人事。
「確かに俺は、他人だ!だからと言ってその返事はなんなんだ。接客業ならうそでもいいから大変でしたねぇとか、なんとかたどり着けて良かったですね。の一言ぐらい言ったっていいんじゃないか。」と言えるわけも無く、スタンドを後にした。
ここのSAで、遅ればせながらカッパを着ることにした。濡れたジャンパーの上に着ても仕方が無いのは分かっていたが、何しろ風が冷たい。冷え切った体は小便も近い!
てぇ事で、併せてトイレ休憩。
さっさと済ましてしまって、あらためて帰途へ。 東北自動車道に入り、二本松ICを走る頃には日没。
ここで問題発覚!
「ヘッドライトが点かない。」 ハイもローもである。
次第に暗くなっていく自動車道。そして俺の気力…
無い知恵を絞って考える。
「持ってきた懐中電灯を使おうか。いや、暗すぎる。それならば、一度高速道を降りて修理しようか…」
散々考えた挙句、思いついた答えが…
そう!「気合で走り続けること!」であった。
無灯火のバイクが真っ暗な高速道路を走る。 誰が考えても「無謀」である。 しかし、自分で決めたのだから走るしかない。
もくもくと走行車線を走る。しかし、遅い車がいてスピードを落とすとヘッドライトが点灯してくる。
そう、ライトが切れていた訳ではなかったのだ。
しかし、ゆっくり走ろうなどとは考えはしなかった。いや、むしろこの危険な状態を早くなんとかしなくてはと思いアクセルを開け続けた。
後ろから早い車が来たときは走行車線へ。 そしてまた、追い越し車線へ…
ここで厄介だったのは、ゆっくり走るとヘッドライトが点灯することであった。
走行車線に入り、前の車に追いつくとライトが点灯するのだ。
まるで、嫌がらせにパッシングをしているようであった。
しからば、その車を抜いたらどうなるか…。 横に並んだとたん、ヘッドライトが消えるのだ。
ひたすら東北自動車道に出没するライダーの亡霊のように走り続けた俺は、なんとかK察にも見つからずに、鶴巣PAまで到着した。
念のためバイクを確認した俺は、またまたビックリ。
「な・な・なんと、テールランプも無いではないか!」
振動により、レンズが割れ、中にあるバルブのソケットごと脱落していたのである。
「落ちてしまったものはしょうがない。ましてや、振動で命までは落ちるまい。」と開き直り、無灯火走行を続け、俺こと「こうき麿呂」はかろうじてこの戦いを制したのである。。
今回のツーリングで外れもしくは、脱落したもの
・メーターワイヤー
・ブレーキペダル
・テールランプ
今回のツーリングでぶっ壊れたもの
・スピードメーター
・バッテリーレスキット
今回のツーリングを通して感じたことは、
「SRでのツーリングは振動との戦いである。」ということである。
そして、その戦いに勝たなければ、ツーリングを完走することはできない。
今回、俺ことこうき麿呂は、幸いにも多くの傷を負いながらも、このSRの振動との壮絶な戦いに勝つことができた。
しかし、俺が所属する、ツーリングクラブでは8月に長野までツーリングに行く予定である。その走行距離約1600キロ。
このツーリングで、また
こうき麿呂(俺)が勝つという保障は…
どこにもない!