▼大久保町三部作作品紹介



◆「大久保町の決闘」
兵庫県明石市大久保町はガンマンの町である

町民は、保安官やゴロツキのみならず、神父でも八百屋でも皆腰に拳銃を吊しており、決闘も日常茶飯事である


町の保安官・毛利新蔵が行方知れずとなってから、町は陰険な村安秀郷とその息子たちが牛耳っていた。
そんなことはつゆ知らず、
ちょっとというかかなり抜けたところのある高校生・笠置光則は、静かな田舎で受験勉強をしようと、夏休みを利用
して父の実家のある大久保町に来てしまうなりやっかいごとに巻き込まれるも
うやむやのうちに村安一家を撃退した上にかつて毛利新蔵の
元で保安官助手を務めていた笠置詠の息子だということがわかりこれまたうやむやのうちに保安官助手に任命されてしまうけれども実は本人
もよく知らない不思議な力を発揮
したりして性根の曲がった村安一家に命を狙われてしまうのだけれども
ショートカットで脚が綺麗で一つ
年下なのにちょっとお姉さんぶるところもあったりすると思えばやっぱり年相応に頼りなくかよわげな女の子ぶりも見せる心優しいすごい
かわいい杉野紅葉という美少女
と仲良くなれてこれはこれで幸せだったりするのだが、
なになに話の筋がようわからんと構わん構わん読めばわかる。わっはっは。




◆「大久保町は燃えているか」
兵庫県明石市大久保町はナチスの支配下にある

町を支配する
井上ナチスの総統井上の姿を見た者は誰もいない

陸路は地雷原、海路は高台に設置された大砲によって封鎖され、物資が不足しつつある中、レジスタンスたちは虎視眈々と決起の準備を
進めていた。
そんなことはつゆ知らず、
ちょっとというかかなり抜けたところのある春から大学生になる堀田幸平は道に迷って大久保町にたどり着くなり
車ごと地雷で吹き飛ばされて井上ナチスに捕らわれてしまった上レジスタンスの仲間だと勘違いされ
うやむやのうちにレジスタンスの抗争に巻き
込まれた上非常階段の上から数メートル飛行した上大砲爆破の決死隊に参加するはめになった上襲撃計画は井上ナチスに筒抜けに
なっていた
上「ハイル・イノウエ!」と叫んで窮地を脱したりするのだけれども
ポニーテールの似合う話題がコロコロ変わるちょっと意地悪な
ところもあるけれども本当は心優しいすごくかわいい坂元鮎という美少女
と仲良くなれてこれはこれで幸せだったりするのだが、
なになに話の筋がようわからんと構わん構わん読めばわかる。わっはっは。




◆「さらば愛しき大久保町」
兵庫県明石市大久保町に外遊中のプリンセス・カナコがやって来た

そして
来るなり誘拐された

そんなことはつゆ知らず、ちょっとというかかなり抜けたところのある大学生松岡芳裕は、偶然誘拐犯からカナコ王女を救い出して一目
惚れしてしまい
うやむやのうちに誘拐犯のみならず謎の軍隊にも追われ鼻歌を歌ったり財布を拝んだりタコの釣り堀のある水族館に逃げ
込んだり立っても座っても身長が変わらない牛に見えるが一応女につきまとわれたり梅仁丹クレイモアに微笑んだり実は強かったりする
のだけれども
サラサラロングヘアーでコケティッシュで素直で初々しくて心優しいすごいかわいいプリンセス・カナコという美少女と仲良く
なれてこれはこれで幸せだったりするのだが、
なになに話の筋がようわからんと構わん構わん読めばわかる。わっはっは。




◆まとめてみる
話の本質は直球真っ向勝負なボーイ・ミーツ・ガールな青春もの。故にちょっびっと恥ずかしく、かつとても清々しい。それを、行き当たり
ばったりなご都合主義(誉め言葉)
と溢れんばかりっつーか溢れすぎてだだ漏れのユーモア愛すべきキャラクターたちで包んでいる。

そしてその自由闊達な文体。なんと表現したらいいのか…。しまりが悪い、だだもれ、垂れ流し…誉めたいのだが、妙な言葉しか浮かんで
こない
のである。
地の文なのにえらく口語的でボケツッコミまでしてしまう、つーか
しまくってしまうこのスタイルにはかなり衝撃を受け、影響されてしまった。

オススメなのだが、残念ながら世の中見る目がなく絶版中。まあ出てから10年くらい経つんだもんなあ…。

「決闘」で光則と紅葉が見た青い空と入道雲の美しさ
「燃えているか」の拍手を送りたくなるラストシーン
「さらば」の愛すべき人たち

サクッと読めてニンマリ幸せな読後感を約束いたします。
なんや登場人物バカばっかりやないけなんでそんな都合よく話進むねんとかいうツッコミはせんように。





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