〜大晦日〜
12月31日、大晦日の晩になると男鹿各地で、なまはげの奇声が聞こえてくる・・・・・・。この日、
邪悪な鬼としてのなまはげではなく、神の使いとしてのなまはげが深く降り積もった雪を
踏みしめながら山からウオー!ウオー!という雄叫びを上げて降りて来る。
真山なまはげ伝承会がある、ここ真山地区では古くから伝わっているという角のないお面をかぶり、
二匹一組となって家々を練り歩く。なまはげは、むやみやたらに家々に入るのではない。
なまはげを家に入れる主導権はその家の主人にある。「先立」という役目をする者が事前に
その家の主人になまはげを入れても良いか、否かを確認する。先立の合図を確認すると、
なまはげに扮する二人の若者はウオー!という奇声と共に乱入する。
男鹿真山のなまはげは、その動作一つ一つに昔からのしきたりがある。むやみやたらと動き回る
だけではない。ここで、「七五三」と言う真山のなまはげ独自のシコ踏みという、しきたりを紹介しよう。
まず、その家に上がり、すぐにシコを7回踏む。これで、初めてその家の部屋を歩き回ることができる。
「ナマケモノの匂いがする」「ナマケモノはいないか!」などと、荒荒しい奇声を上げ、
畳を強く踏みしめながら歩き回る。
男鹿真山の角のないお面
そして、その家の主人が荒れ狂うなまはげをなだめて丁重にもてなし、なまはげにお膳を添える。
なまはげは、添えられたお膳に座る前に5回シコを踏む。ウオー!ウオー!と唸っている
なまはげに主人は、酒肴をすすめる。主人となまはげとの間に様々な、問答が交されなまはげは
来年も豊作であるよう祈願し、再び立ちあがり3回シコを踏み、また歩き回る。
家に上がってすぐ7回、お膳に着く前に5回、立ち上がる際に3回、「七・五・三」と言う男鹿真山の
なまはげ独自のしきたりである。なまはげはその家を立ち去る前に「来年もまた来るぞ!」
と言い残し、次の家へ向かう。なまはげは、その家の子供達が病気や怪我などせず、幸福に
なれるようシコを踏むのである。このなまはげの伝承は今でも地域の人々の手によって受け継がれ、
次の世代へ、また次の世代へと継承されているのである。
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