そして僕に出来るコト
「ロイド君元気だった〜?」
「ん〜まあ、な。」
「そ。最近あんま来てくれないんだもんよ〜俺様寂しいよ〜。」
世界再生の後、散り散りとなっているエクスフィア回収をゼロスと二人各地を回りながら続けてきた。
テセアラとシルヴァラント両世界の地図はただの紙屑と化し、どこにどの街村があるか分からぬ為、
食料が尽きぬ程度に少しずつ範囲を広めていった。
難航する事など元より元より承知の上。ひたすらに地道に探していく。
だがゼロスは何れ廃止される神子制度、マーテル教会の後始末にも同時に終れ旅など出来る状況では段々と
無くなってきていた。それでも時間の許される限りロイドと行動を共にしていたが、結局テセアラ王都へ
と残らざるを得なかった。
現在はロイドがゼロス邸を訪れるのをただ仕事に忙殺されつつただ待つのみ。
もちろんロイドだけではなく、コレットやしいな、セイジ兄弟も憎まれ口を叩きつつ訪ねて来てはくれていた。
「コレットちゃん、心配してたぞ〜。」
「う…。」
コレットの名前を出されると困ってしまうのは相変わらず。
まぁ良いけど〜あんま心配掛けんなよ?今夜はせめても泊まってけよ、とか良いつつセバスチャンが淹れてくれた紅茶を啜る。
ロイドに合わせてか、薄めであっさりとしていた。
お互いの近況を交えながら夕食を済ませると、入浴も早めに済ませてしまった。
先に上がったロイドが、焚かれた暖炉の前で座り込んでいる。
暖炉の前で上質の絨毯が敷き詰められているとはいえ、多少冷たい気もするが湯上りの肌では大して気にならないのだろう。
揺らぐ炎をただ瞬きも数少なに見つめている。
瞳に映るは煌々とした炎であっても見えているのは彼方の自分が知らぬ空でもあるだろうか。
乾き始めた眼球が、生理的肉体的本能によって潤さんと涙を溜め始める。
「ロイド。」
声を掛けても気付かない。
「ロイド〜。ロイド君ってば。」
容量を超えた涙が静かに、照らされた頬を伝っていく。
「って、うわ。」
顎を超え絨毯に零れ落ちずに、首筋まで到達して漸く気付いたようだ。
「ゼロス、上がったのか。」
悪い気付かなかったと、慌ててゴシゴシと拭いだす。
「なぁロイド、お前今年で歳いくつだ?」
「へ?18だよ…。」
そんなの知ってるだろ。
「そうだな、18だ。まだ18歳なんだ。」
「なんだよ。こればっかは仕方がないだろ。」
「うん。仕方ない俺様が23になったのも仕方ない。そういうもんだ。」
「それがどうしたんだ?」
濡れた髪を拭き上げていた湿ったタオルを脇のソファに適当に投げる。
ロイドの隣に同じく座り込んで、結局は涙の後が残った顔を覗き込んだ。
「ロイド君、お子様だからこその特典なんだかわかるか?」
「は?」
「お子様ってのは、我侭で甘えん坊で、怒りたい時に怒って泣きたい時に泣いて、笑いたいときに笑って、眠たくなれば
勝手に寝る。」
「そりゃそうだけど…。」
「なぁロイド君。」
直に触れ合う寸前まで顔を近づけた。
魅入られたかのように微動せずじっと見つめ返してくる。自信が何を言われて、ゼロスが言いたいのかまだ分かってないだろう。
「ロイド君はまだ18で十分にお子様なのよ?分かってるか?」
「子供扱いするのか?」
「だ〜か〜ら〜子供扱いじゃなくて子供だっての!」
「子供なんだよ…、まだ。」
まだ、まだまだ子供だ。
腕を伸ばし引き寄せると胸に抱きこんだ。
余計な事を言わせないがために、呼吸が出来る程度にそれでもぎゅうぎゅうと力を込める。
「分かってるのか?」
「……分かって、る、よ。」
心のどこかで分かっていてもそうはさせない、出来ない環境か。
「泣きたきゃ泣けよ!泣き喚け!!子供なんだから遠慮してんじゃねぇよ。だれか泣くななんて言ったのか?言わねぇだろ!?」
やめろ、言うなと叫びたくても口から発せない。
そんな状況下にあってもいつだって耐え忍んできた。
泣きたくなったら隠れて誰にも見つからぬよう、喚かず静かに涙してきた。
なのに。
言わないで。思い出させないで。忘れてしまいたいのに。
やがて耐え切れなくなってしまうかもという、そうなったら自分はどうなってしまうのだろうと
いう恐怖心。いつも影のように付き纏っている。
消えることのない闇なのか。
ふるふると可能な範囲で首を振る。それ以上はもう言わないで。
耐えるために、だらんと力なくただ垂らしていた腕をゼロスの背に回してバスローブにしがみ付いた。
「俺の前で我慢してんじゃねえよ、する必要もない。そんなのいらねぇんだよ。」
そう教えてくれたのはお前だろう?
俺のまえで我慢するなって言ったのはお前だろう?
瞳が乾いたから、欠伸だ、砂かゴミが入ったから。
そんな理由を付けないともう泣けなくなったのか。
微かに震える背を促すように、撫でさすった。
乾ききっていない髪にも撫でていない方の手を差し込み、撫でる。
「理由が欲しいなら、俺様を理由にしちまえ。」
俺様に散々泣かされましたとでも言っとけ。
ぐだぐだ言う奴がいたなら、文句は俺に言えって言っとけ。
「あ、う。」
「もう、良いから。」
「っうわあああぁぁああっ!!」
全部出しちまえ。
どれだけ泣いていたのか、今は疲れ果てて深い眠りについてしまっている。
相変わらず肉の付かない軽い肢体を抱き上げてベッドに寝かすと、自分も横になる。
両頬に痛々しく残った涙の後。
朝起きて顔を冷えた水で清めても消えず残るか。
「だったらそれも理由にしちゃって、明日もご宿泊決定〜ってな。」
目が覚めたらなんて言ってやろうか。
ご馳走様でしたとでも軽口程度に言ってやろうか。
なに言ってんだよと、呆れ顔で返される。
いつものロイドでそれはそれで良い。
「ロイド君の良いところは喜怒哀楽が直ぐに顔に出るトコなんだからな。」
して上げられると事は数少なくて。
側にいてあげる事も出来ないけど。
貴方の為にココを、胸を空けとく位はいつだって出来る。
開け放って待ってるから、飛び込んでこれば良い。
時と共に変わっていっても、変わらないこともある。
俺様がここにいることもきっと変わらない。
飛びつかれ休息と安息を求めても止まり木が見るからなければ、ここに戻ってくれば良い。
温かい食事と、甘いお菓子を並べてひと時でも安らぎを、自分にもそれは安らぎとなる。
貴方をいつも思う。
忙殺されながらも、指折り数えて貴方を待とう。
貴方の為に出来る事、いくつあるだろうか。
初めの方ゴチャゴチャとなってる気が(汗)ラタトクスの影響を大いに受けてるかと。まだあんまり情報出てない…。