神子という名の


枷を付け生れ落ち。

神子という名の枷を付け、今に至り。

神子という名の枷を付け、明日が来る。

ならば永久の眠りにつくその時まで、枷を付けひた歩くのか。




長き戦いが終わりを告げ、いずれは完全に神子制度も廃止になるだろう。
だが今はまだ、


「あ〜あ、俺様いつまで神子なんだろうな〜。」


もう神子で無くても構わないというのに、相変わらずどこの街を歩っても神子さま神子さま。
それはまぁ仕方が無いとも頭の隅では理解している。
終わりの見えないこのエクスフィア回収のロイド君との二人旅。
終わりが見える頃になってもまだ神子さま?


「もしかして死んでも神子さまだったりするのかね〜…。」


神子である俺しか見ていない?
神子では無い俺は見えていない?
神子では無い自分に価値は無いとでもいうのだろうか。

そんな事をぶつぶつ言っていたら、一歩前を行くロイド君が振り向いて俺様の顔を見ながら、


「ゼロスはゼロスだろ。」


ありゃ。
ちょっと怒ってる…?っていうか苛付いてる?


「そりゃ神子だろうけど神子である前にゼロスなんだからな。」
「まぁそうなんだけどぉ〜。」


んな事分かってるっての。
んが、俺を俺として見てくれているのは極一部のみ。
全く軽くはなった気がしない、この枷。
ずるずると、結構重いのよ。


「だぁ〜っ!!もう!!」


溜まりかねたのかロイドが叫び出したかと思うと、おもむろに装着している剣を鞘から引き抜く。


「なにしちゃってんのロイド君…。」


その剣で辺りに八つ当たりでもするの?
ってかなんでそんなにロイド君がイライラしちゃってんのよ。


「うわっ!ちょ…ロイド君!?」


剣先俺様向いてますけど!
対象が俺様になるわけ〜?


「でぇい!!」


俺様を掠めるようにして剣は背後の地面へと突き刺さった。
思いっきり振ったようで、結構めり込んでいる。


「なにすんのよ〜。いきなり危ないでしょ〜が。」
「切ったんだよ!」
「何をだよ…ロイド君」


敵の気配も何もしないっての。


「神子を!」
「へ…?」
「見ろ、切れてんだろ!」


そう言われて見ても、ただ俺様の影の調度足首辺りであろう場所に剣が刺さっているだけだ。
これのどこが切った事になるのやら。


「切れてないけど…。」
「良いんだよ、切った事にしとけ!」
「あのねぇロイド君。」
「いつまでもずるずるずるずる神子を枷つけてるみたいに引き摺ってるから、切ったんだ!
 もう神子なんてあだ名だとでも思っとけ!!」
「あ、あだ名ってねぇ。」


ちょっと無理が無い?ロイド君。
でもまぁ、これはこれで…良いか…。



「切ったったら切ったんだ。俺は神子と旅してるんじゃなくてゼロスと旅してるんだからな。」
「はい…。」
「分かったらちゃんと歩けよ。今夜も野宿になるぞ。」
「ロイド君。」
「なんだよ。」


がばっといつもの如く後ろから抱きつくと、耳にわざわざ息が掛かるようにしながら



「ロイド君が切ってくれたから軽くなっちゃった〜。だから今夜は頑張っちゃうv」



期待しててね〜♪


「そこは頑張らなくっていいっての!」


ロイド君からすれば俺様は初めからゼロスで。
神子ではなく、神子であったとしても神子よりもゼロスだったわけで。


「…また重くなっってきたら切ってくれよ。」
「いくらでも切ってやるさ。」




気が付けばまた嵌めてしまっているであろうこの枷。

きっと一生引き摺って生きていくのだろうけれど。

君と一緒なら、たいした事ではなくなっていくね。


Fin.


しょ、消化不良気味になってしまいました…(汗)つかイキナリかいよ。。。