「リンネ」
「…ジョミーは…生まれ変わりってあると思うかい?」
「生まれ変わり?」
「うん」
「分からないよ。生まれ変わった事ないしね。」
「生まれ変わりたいと、思う?」
「う〜ん〜…」
そんな事を話したのは何日前のことだったろうか。
情事の後の心地良い気だるさと疲労感と安心感。
満たされた心と体。
まだ僅かに火照りの残るブルーの髪をいじくり回していた。
サラサラと指の間を流れる感触を思う存分楽しめるのも、この時だけ。
「生まれ変わり、ね。」
生まれ変わるという事は、同時に今の自分が死ぬという事。
でも生きるているという事はいつかは死ぬという事。
死んでまた、自分が自分であるという自覚を持ちながら生まれ変わるというのだろうか?
そんな事は可能なのだろうか?
何のために?
人生をやり直すために?
今の自分に満足していないから?
今ここに自分がいるということが運命なら、生まれ変わる事も運命?
「満足しっ放しなんて、面白くもないよ。」
たまに満足している事を感じれるんだから良いのに!
満足しっ放しなら、いつしかそれが当たり前となって何をやったって面白くも何ともなくなってしまう。
ただただ貪欲になっていくだけ。
自分一人でそんな事をしても、きっと意味が無い。
自然と早くなる足取りで、ブルーの部屋へと向かいながらつらつらと考えていた。
考えていただけでは無く、いつしか独り言となっていたが気付く事もなく人気の無い静かな響いていた。
いつもの如く部屋にはノックなしで遠慮なく入ってしまう。
「ブルー、入るよ。」
「入ってから言われてもねぇ。」
慣れてしまっているので、咎めることも無いが苦笑してしまう。
うっとなったのもほんの一瞬だけで終わってしまう。
「なに?絵本?」
まだ就寝するのには早い時間帯とはいえ、ブルーが本を読んでいる姿はあまり見たことがない。ましてや
それが幼子向けの絵本なら尚更だ。
「そうだよ。たまにはね。」
「ふ〜ん。」
ブルーは読んでいた絵本をパタンと閉じ、枕元へ置いてしまうとジョミーへと体を向けた。
「今日は思念はあまり漏れないように来たようだけれど、独り言は随分漏らしたようだね。」
しまった!と、頬に朱がさっと走った顔に笑みが零れてしまう。
「聞こえたのっ?」
「ほんの少しだけれどね。」
「もうっ。そんなに笑わないでよね!」
ジョミーの情欲に満ちた瞳と、幾分熱くなっている吐息を直ぐそこに感じるまでは止まらなかった。
「あっ…。」
伏せの状態で、背後から覆いかぶさり肩口から背中へと口付けながら、たどたどしくもじっくりと慣らして
いたそこからジョミーの指が引き抜かれる濡れた感触。
それまでの体勢から、ぐっと肩を掴まれ仰向けにされると再びジョミーが覆いかぶさり、慣らされたそこに
熱く硬く先走りを溢しているブルーが押し当てれれるとたまらず震えが走る。
「ブルー…欲しい。」
言葉で答える代わりに、ブルーはジョミーの背に腕を回した。
それを合意ととったジョミーがゆっくりと腰を落とし、自身をブルーの中へと挿入れてくる。
「あああっ!」
熱い痛みと共に押し広げられる感覚に、耐え切れずきつく締めてしまう。
「ブルッ…き、きつい、よ。」
それでもブルーの最奥に押入るまでは止めなかったが、納め切ると呼吸を整えるため暫くそのままでいた。
確実につながっていると時間で切る、この時がとても好きだ。
「動く…よ。」
「はっ…あっ!」
ゆっくりとした動作から第に早まっていく律動に翻弄される。
生理的なものか自然と流れるものか分からない涙が、ブルーの頬を零れシーツに新たな染みを作る。
痛みすらもいつしか快楽となり、思考が白く染まっていく。
「ーッ!」
気だるさに身を委ねていると、ふと先程までブルーが読んでいた絵本が目に入る。
「気になるなら…持って行って良いよ?」
手を伸ばして引き寄せパラパラと捲っていくと、それが猫を題材にした内容であることが分かった。
そう言えば…
「この本、前来たときもなかったっけ?」
「あったよ。」
そう、前回来た時もサイドテーブルにこの絵本が置いてあった。
「何十回も死んではまた生き返ってずっと生き続けた、猫の話だね。」
「ふーん。」
何十回も死んでは生き返る…ね。
ああ…だからこの前。
「ねぇブルーこの前さ、生まれ変わるってどうって話したよね。」
「そうだね…。」
ブルーはうとうとと情事後の疲労感からか眠りに落ちよといていたが、残った意識でぼそぼそと答えてくる。
「僕は…生まれ変わりたいよ。」
「ジョミー?」
「生まれ変わる事が出来るのなら、何度だって生まれ変わりたい。」
「でもブルーがいないとそれは意味が無いんだ。」
一人じゃだめ。僕だけではだめ。
「一緒に生きたい。ブルーが生き返らないのなら僕も生き返らなくて良い。一緒じゃ無きゃ嫌だ」
「ジョミー。」
でも。
「でも一人だったとしても、ブルーを必ず見つけるよ。だから、生まれ変わりたくないなんて言わないで?
何度でも生まれ変わって僕と生きてよ。」
「ありがとう…ジョミー…。なら僕もジョミーを探すよ。生まれ変わってそばにいなかったら探しに行くから。」
「うん…。」
何度でも生まれ変わって、何度だって貴方と同じ時を過ごしたい。
今の自分に満足していないのなら、満足するまででも何度だって貴方と出会いたい。
それが運命ならその運命に感謝しよう。
「貴方は僕の運命なんだから。」
Fin.