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黒種草 ふらりと立ち寄ったストバスのコート。以前ここで火神に一方的に1on1を挑んだ場所だ。 最初の目的は火神だったのか、それとも黒子だったのかそこにいた誰かでも良かったのかもしれないが段々とどうでもよくなってきた。コートは生憎無人だったからだ。 ちっと不満を露わに舌打ちし、踵を返す。こんな所にいつまでいてもしょうがない。マジバにでも行けば見つかるかもしれないがそれも面倒だ。 コートを出たところで調度出くわしたのは、一学年上の男、無口な誠凛バスケ部のセンターだった。過去に試合も経験しているし桃井のデータでも見ていたから流石に覚えてはいた。青峰には劣るが、誠凛バスケ部の中では身長も高く体格の良い選手に分類されるのだろう。水戸部とか言ったか。 当然向こうも青峰を知っている。こちらに気付いてぺこりと会釈をして脇を通り過ぎようとした水戸部に、 「暇つぶしに相手しろよ」 まだ帰んのはえーだろと、自宅の自室に連れ込んだ。 てっきりストバスの相手だとばかり思っていたのか、始めは困惑していたが促すと大人しくついてきた。 自室に連れ込んで部屋の隅に置いてあるベッドに強引に水戸部を半ば押しやって、その身体に乗り上げても困った顔をするだけだ。 「このまま俺に食われちまってもいーのかよ?」 ずいっと鼻先が触れ合う程に顔を近づけても何も言わないから、勝手に了承していると受け止めて水戸部の制服に手を掛ける。 「なんだよ。ここまでさせておいて今更やめんのか?」 こちらはやめる気など全くないので無視してベルトと乱雑に引き抜き、ボタンを外しファスナーを下ろすと下着を露出させる。流石に反応はまだしていない。これからさせれば良いと、下着のゴムの部分を脱がす為に手を掛ける。 「んだよ」 一向に喋らないから水戸部が何をしたいのかイマイチ分からず、困惑する。単語の一つでもいいから何かしら発すればマシなのに。 「何がしてーんだか分かんねーよ。もう大人しくしてろって」 段々とイライラとしている。なんなのだ。 乱暴に手を払うと青峰は自分の服を脱ぎ始める。制服の上着は部屋に入ってすぐに床に脱ぎ捨てていた。ワイシャツも半ばボタンを引き千切るように脱いで床に放り投げ、ズボンのベルトを外して、引き抜くのが面倒だったから下着ごとズボンを脱いでしまおうとしたところで再び触れてくる。 「なんっ」 いい加減にしろと怒鳴りかけたが抗議は水戸部に引き寄せられたことで止まった。背中にそっと腕を回されあまり力を込められずに抱きしめられた。青峰の方が身長は上だったが、引き寄せられたことで若干前のめりになって肩口辺りに顔を埋める格好となる。 「やる気あんなら始めからそうしてっろっての」 ようやくその気になったのかと、不満を漏らしつつも水戸部の首に腕をまわした。たまにはこんなのも新鮮かもしれない。ベッドに横たえられながら脱げかけの水戸部の制服を脱がしにかかる。 「さっさと脱いじまえよ。邪魔だろこれ」 それもそうだとでも思ったのか、一旦青峰から離れると制服とワイシャツを脱いで、皺にならないよう配慮してか簡単に畳み床に落とし青峰に向き直る。 たどたどしい手付きからしてあまりこういった行為の経験はなさそうだったが、案外悪くはないなと好きにさせた。 最中も息遣いが荒くなるだけで、結局最後まで一言も発しなかった。呻き声の一つでも上げれば良いのに。少々物足りない。 しばらく呼吸を整えるためにそのままいたが、落ち着いてくるとベッドから降りて水戸部は自分の鞄を漁りタオルを手にベッドに戻ってくる。汗やら精液やらで汚れてしまった青峰の身体を拭くためだったようだ。 やがて気がすんだのか、ベッドから降りると足元にわだかまっていた布団を肩まで引き上げてくれた。 「ごちそーさん」 ウトウトとまどろみながら、片手だけ出してぶらぶらさせた。いちようこれでも礼のつもりだ。聞こえたのかも何を言っているのかも分からないようなボソボソした呟きだったが、水戸部の耳には入っていたようでそう言った青峰を眠りに誘うよう髪を梳いてきた。 ゆっくり休めと言ったところだろう。 「なあ、また暇なときにでも相手しろよ」 制服を着込んでいた手を止めて困ったなと首を傾げていたが、横には振らなかったので拒否ではないのだろう。勝手に肯定と受け止め満足すると、じゃあなと一声かけて背を向けるよう寝返りを打つ。 足音を立てぬよう足を滑らせて室外に出ていくのを見届けて、自室のドアが静かに閉まるのと同時に瞼を下ろした。 「どっちだかわかんねーつーの」 |