「伝」

 

ワインを片手に隣人の部屋へと向かう足は心做しかいつもより速かった。

軍主やビクトール等の数人とトランに行っていて暫く留守にしていたマイクロ

トフに再会する事が出来るからだろう。

先程、帰ってきたマイクロトフになんとか会うことが出来たのだが、その時に

頃合いを見計らって行くと言っておいたのだ。

9時も過ぎたし、もうそろそろ良いだろう。

しかしたまには離れてみるのも良いものだ。こんなにも会いに行くのが楽しく

新鮮に感じるなんて。

浮足立った気分で彼の扉をノックする。

「どうぞ。」

何日ぶりかに聞く声に高調する。

「カミューか?」

濡れた髪をタオルでガシガシと拭きながら振り向いてくる。

「今晩は。」

どうやら風呂から上がったばかりのようで、頬がほんのりと色付き独特の色気

を放っていた。

ぞくりと背筋に欲情が走る。

 

飢えていたのかな?

 

「一息付かないかい?風呂上がりのようだし調度良いだろ。」

「ああ、もちろんだ。」

持ってきたワインをテーブルに置き、備え付けの棚からグラスを2つ取り出す。

コルクを抜いてグラスに注ぐと片方をマイクロトフに手渡した。

「乾杯。」

キン・・・と乾いた音を立ててグラスが触れ合う。

余り度の強くないワインを選んできたつもりだ。

「うん・・・美味いな。」

「それは良かった。」

マイクロトフは後ろのベッドに、カミューはイスにテーブルを脇に置いて向か

い合う形で座った。それから暫くの間、他愛ない会話を楽しみながら飲み交わし

ていた。トランの様子や道中の事など、尽きることは無かった。

が、楽しそうに話す彼とは裏腹に欲求が溜っていく。

 

やっぱり・・・飢えてるんだな・・・。

たかが数日離れて会えなかっただけで、こんなにも欲がたまってしまう。

少し、情けないな。

 

「・・・おい。」

気が付くと押し倒していた。

自然に体が動いていた。

「駄目かな?」

遠征から帰って来たばかりで疲れていてとてもそんな気分ではないのだが、ど

うにも断れない。

この、時折情事を求めてくるカミューの少し困ったような表情にマイクロトフはとて

も弱いことを知っている。

求めてこられるということ自体に心のどこかで喜びを感じているからなのだろ

う。

「明日から2日程休みだが、だからといって加減を忘れるなよ。」

「解ってるよ。」

了解を得たことに嬉しそうに微笑みながらそっと触れてくる。

久々に感じるカミューの手は暖かかった。

「ぅん・・・。」

重ねた唇の隙から入りこんできた生暖かい舌が自分のそれに絡んでくる。だん

だんと深くなる接吻に答えながらカミューの背に腕を回す。甘美な快感が背筋

を駆け抜けてゆく。

接吻に夢中になっているマイクロトフを薄目で見ながら、夜着を脱がしに掛か

る。前をはだけると手を滑らせ、擦りながら滑らかな感触を味わう。

「はっ。」

接吻を解くと、互いに熱のこもった吐息が漏れる。艶めかしく濡れたマイクロ

トフの唇がたっまている己の欲情をより掻き立てていく。

 

たまらないよ。

 

自分も来ていた衣服をいささか荒く脱ぎ捨て、マイクロトフの物と共にベッド

の下へと落としてしまう。遠征に出る前の情事で付けた後がすっかり消えてし

まっていて、元の日に焼けていない白い肌に戻っていた。

首筋に口を落とすと、息を飲むのが直に感じられた。そのまま徐々に下へ移し

鎖骨を少し強く吸い上げ紅い後を付けながら、手を胸へと移動させた。

「あぁ・・・。」

溜め息のような喘ぎ。与える刺激を強めながら、硬くなってきている突起に口

を寄せる。軽く歯を立てるとびくりと跳ね上がる。

そんな反応を楽しみながら、片方の突起を擦っていた手で太股に触れじらすか

のように何度も撫で上げた。

「っ、カミュー・・・もうっ」

「もう、なに?」

くすくすと笑いながら、望んでいるとこを知りながらも太股の柔らかいところ

を意地悪く吸い上げると、大きく震えが走った。

「もう我慢できない?」

もう少し焦らそうかと思ったが、余り無理をさせるわけにもいかないので口内に熱

の解放を望む自身を含んだ

「ああっ!」

急に与えられた強い快感に、大きく仰反る。

「あああっ!」

一気に追い上げられ、耐え切れずにカミューの口腔と放ってしまった。

放たれた液を飲み下すと荒く息を付いているマイクロトフの顔を覗き込んだ。

「早かったね。」

「っ・・・!」

「でも・・・。」

自分の指を嘗めて濡らすと、秘所にあてがう。

「我慢できないのはお互い様、かな?」

身を強張らせたマイクロトフを横目にしながらそのままゆっくりと侵入する。

「あっくっ」

僅かな痛みとそれ以上の快感。解きほぐしながら指の本数を増やしていく。

弱いところを確実に刺激してくるカミューの指に翻弄され、次第に意識が朦朧

としてくる。

ある程度慣れた頃を見計らい、指を引き抜くと自身をあてがった。

「マイクロトフ・・・。」

「うああっ!」

躊躇う事無く押し入ると、熱く潤った内壁にたまらず性急に腰を動かし始める。

背にすがるように回されたマイクロトフの手が、爪を立ててくるがその痛みさえ

も快楽へと変わっていく。

何も考えることなくひたすらに快楽を追い求めた。指を、足を絡め啄むような

接吻を繰り返す。

淫らな声と濡れた音。切羽詰まった喘ぎに限界が近いことを知る。

より深く貫くと、マイクロトフが弓なりに仰反り声にならない悲鳴を上げ達し、き

つく締め付けてくる内部に自分も欲望を解放させた。

そのまま互いの身体に酔いしれながら闇の中へと意識を落としていった。

 

 

「ん・・・?」

どの位時が経過したのだろう。肌寒さに目を覚ますと、掛けていたシーツがずり

落ちて肩が出ていた。情事の後は大抵疲れて朝まで起きることなく深い眠りに

つくというのに、珍しいこともあるものだ。

隣でマイクロトフが安らかな寝息を立てて寝ている。僅かに覗いている肌に自ら

が散らした紅い跡が点々と浮き上がって見えた。少し付け過ぎたかもしれない。

朝起きたらマイクロトフに文句を言われるのは確実だろうと想像して苦笑する。

そっと起こさぬようシーツを掛け直そうと伸ばした手に、ふと彼の指が触れた。

情事の最中、痺れるくらいに絡めていた無骨で大きな手。

感触を確かめるように自分の指を這わすと先からじん、切ない痛が伝わてきて胸

を締め付ける。

甘美な痛みに心が震える。止まらない思いが全身を巡っていく。

一体この想いは、どれほど彼へと伝わっているのだろう。

どれほど受け止められているのだろう。

愛してるとか好きだとか照れてあまり言ってくれないけれど。

「もう少し言ってくれても良いんじゃない?」

漆黒の髪に指を絡めながら呟く。

暫く弄っていたがゆっくりと睡魔に侵食されていくのを自覚して、改めてシーツ

を掛け直す。体温を感じるほどに身を寄せると額に接吻た。

「おやすみ、マイクロトフ・・・。」

 

夢の中でも会い良いよ。

 

 

END.


 2222を踏んで下さった猫亥様のキリリクで赤青で書かせて頂きました。大変遅くなってしまって申し訳ないです!エロは読むのと書くのじゃ大違いですね。表現がよろしくない(死)!難しいです!!

 猫亥様、有り難うございました(感謝)