「暖かさ」

 夏が終わりを告げ、季節は秋へと移り始めた。ちょっと前まで熱風を感じさせた風も肌寒

 さを感じ始め、朝夕となるとより一層ましベッドから出るのが億劫となる。

 

 

 肌寒い風が部屋へと入ってくるが、風呂上がりなせいかそれがとても心地よい。

 季節の変わり目は間接が痛くなるだの言う人間がいるが、自分はこの時期がなかなかに

 好きだ。

 この時期はなんとも言えない感情になる・・・。 “切ない” というやつなのかもしれない。

 突然コンコンと扉をノックする音が響いた。

 「ルック居る?入るよ?」

 「ああ・・・入れば。」

 入ってきたのは解放軍のリーダーでもありこの城の主でもあるリーフだった。

 「ごめんこんな時間に。寝るとこだったりした?」 

 「別に。で、何の用?」

 自分の様子を見ただけで判断がつかないものなのかな?

 鈍いだけだったりするわけか。

 「あのさ、明日の遠征のパーティメンバーに加わって欲しいんだけど・・・駄目?」

 「良いよ。ここのとこ暇だたし。少しは体動かしとかないとなまっちゃうしね。」

 いつもなら面倒臭くてとても行きたいとは思わないが、特にのにもする事がなく暇をもて余

 していたところだった。

 でもそれ以上に、変わり始めた風景を見たかった。城の場所のせいかあまり草木が見れ     なくて少々寂しい。

 「本当!?良かった〜これで一安心!・・・でも珍しいねルックが引き受けてくれるなんて。」

 「たまにはね。」

 「・・・あとさ。」

 まだ何かあるわけ?

 「寒くない?窓全開でさ。」

 「風呂上がりだから涼しくて気持ちいいけど。君は寒いわけ?」

 「うんちょっとね。僕寒いの駄目なんだよね。」

 冬は外に出たくないね〜。とぼやいている。

 「じゃ冬になるとグレミオなんかと一緒に寝たりするの?あの人結構体温高そうだし。」

 あ、赤くなった。図星だね。顔に出やすくて楽しいね、この人。

 「と、時々ね、うん。温かくってさぁ、グレミオ気持ちいいんだよね。」

 「人肌恋しいだけなんじゃない?」

 「・・・少しね。」

 少ししゅんとなるのが解った。

 今は亡き人を思う・・・てとこか。 

 

 

 「一緒に寝よっか。」

 「・・・は?」

 「一緒に寝ようって言ってんの。来たついでだし、この時間じゃ部屋に戻るのもなんでしょ。

 程よく暖まって良いんじゃない」

 風にあたり過ぎて少々湯冷めしてしまったのである。  

 良い機会だし、逃すわけにはいかないね。体も暖まって一石二鳥てとこか。

 「ほら、ぼさっと立ってないで寝るよ!明日早いんでしょ?」

 窓を閉めカーテンを引いてしまうと先にベッドに潜り、優無を言わせないような口調で促す。

 リーフは暫く突っ立っていたが、渋々といった表情でルックに続いてベッドに入ってきた。

 「じゃ、じゃあ・・・お邪魔します。」

 「あ、ついでにランプ消してくれる?」

 「あ、うん。」

 軽く息を吹きかけると簡単に火は消える。

 「うわっ足冷たいよルック。」

 「君こそ人のこと言えない位に冷えてるじゃないか。」

 リーフと自分の足を擦り合わせる。

 「その内温かくなるよ。」

 「う〜ん。」 

 「ぶつくさ言ってないで寝る。」

 「はいはい・・・おやすみルック。」

 大人しく目を閉じると程なく、安らかな寝息が聞こえ始めた。 

 「はいはい・・・疲れてるし当然か。」

 ポツリと呟くと自分も目を閉じる。

 だんだんと暖まってくる足が気持ち良かった。

 それに合わせるかのように睡魔が襲ってくる。

                                                                                                     
 部屋に安息の暗闇と静寂が訪れる。残ったのは2人の安らかな寝息と、窓を微かに揺ら

 す風の音、そして静かな波音だけだった。 

   

  END.