●議長(花井温郎さん) それでは、通告順に従って、最初に高倉榮さんの質問を許します。
1番、高倉榮さん。
●1番(高倉 榮さん) おはようございます。
それでは、通告に従いまして私の一般質問を始めさせていただきたいと思います。
今現在の観光業を考える上で、我が国は経済成長や人口増加を前提とした右肩上がりの成長の時代から、質や熟度の高さが重視され、ゆとりが尊ばれる成熟の時代へ移行しつつある。人々の意識は、物の豊かさより心の豊かさの重視、自然価値の再認識、組織よりも家族や地域社会への帰属の重視等価値観の転換が見られる。バブル期の温泉は、大きな宴会場に大きなおふろという組み合わせで、必ずしも温泉は主役ではなかった。流行・ファッション志向の大衆がバブル崩壊と同時に実質志向、本物志向と変化した。団体客の主体である戦前生まれの世代は60歳を超え、市場はゆっくりと消滅中である。また、戦後生まれの世代は仲間うちの旅行、夫婦旅行へ移行している。新人類と呼ばれる世代は、人前で化粧を落とせない若い女性、タオルが手放せない若い男性が増加中で、団体旅行へは興味がなく、職場旅行も激減という状態である。
今現在、人々は何を目的に観光を経験するのか。観光客は訪れる土地でいろいろなものや景色を見る。観光客が対象物に投げかける視線をまなざしとするならば、観光という経験は日常との二項対立から言えば非日常である。あるいは、好奇心を満足させる何らかの要素を持っている。すなわち、そこに行けば非日常的な体験ができると確信するからこそ、人々はわざわざ日常生活とかけ離れたところに出かけるのである。観光をする上で何を期待するかは人それぞれではあるが、むしろ観光を期待する者に観光地の楽しい要素、好奇心を満たしてくれる要素を知らしめるものとは観光客にあるのではなく、それを受け入れる我々の側にあるのではないか。観光客が持つ楽しい予測は、自立的に存在するものではなく、観光客と触れ合っている自分に誇りを持ち、観光客に見せることのできる文化的要素を持っている自分に誇りを持っているととらえる。観光業は、すべてにおいて玄関と呼ぶのにふさわしいのではないか。その後ろに広がっている地域の文化と生活のすべてが本来の観光の資源なのではないか。資源や魅力を自分たちの世代で使い尽くすということは問題で、次の世代、そしてまた次の世代へとより魅力を高め継承していく努力が必要であると考えます。
観光まちづくりとは、自然・文化・歴史・産業、それら地域のあらゆる資源を生かすことが大切であると強く信じる。資源を活用して地域全体の持続的な発展に取り組んでいこうと考えると同時に、魅力と持続性を兼ね備えること、住む人にも、訪れる人にも、魅力ある温泉地域づくりや、そのための地域の活性化、地域間連携・交流を促進することが大切なのではないでしょうか。今現在あるその地域の精神、物を生かしながらまちづくりを進めることが、主体性のあるまちづくりと私は確信する。文化的要素が混合し、文化の自己同一性が困難になった現代の社会において、観光は地元の人々が主体的に自己形成を図る場でもあると言えよう。観光を地元の文化や社会の生活に大きな影響を与える現象として積極的に受けとめなければならない。観光客のイメージに合わせながらも、より地元側が楽しんで参加できるような観光文化を提供する方法、この形態は地元民も楽しめるということによって観光業に携わる姿勢に積極さが生じるという期待も持てる。
また、観光客にとっても自分たちのイメージどおりのものを義務的に提供する地元民と触れ合うよりも、地元民が積極的に働きかけてできた観光文化を見る方が満足のいくサービスを受けたと実感を味わうこともできるだろう。観光文化に自己を認識する可能性、つまりは観光文化をアイデンティティ形成の場とすることを可能として文化の客体化の概念を提案する。文化の客体化とは、文化を操作できる対象として新たにつくり上げることであり、その過程として、地域住民の文化としてそのどの要素を他者に提示するかという選択性が働き、その結果選び取られた文化は、たとえ過去から継続して存在してきた要素であっても、それが客体化のために選択された事実からもとの文脈と同じ意味を持ち合わせないとも断言できる。いわゆる伝統的とみなされていた文化的要素も、新しい文化的要素として解釈される。つまりは、本物の観光地とは守っていくべき鋼鉄の伝統と現実的要請とを弁証法的に解決しなければならないのである。
最後に、総じて本当に気に入ったところへは繰り返し訪問するという大衆の真実、どこも同じという客のあきらめに負けない本物の源泉の宿への特化した個性ある場所づくりが必要であると私は強く確信する。また、昔からの人々の祭りには、鎮守の森の神様を中心とした地域住民の触れ合いがあるのは事実である。神都弥彦としての基本的思想を原点として、公共の施設・広場を地域住民と観光客の共通の根底から成る接点の場として、そして弥彦の文化・歴史・地場商品等の振興事業の発表の場として、お祭り会館 (燈篭会館) の建設と弥彦公園内での足湯の建設を提唱する。弥彦駅から弥彦神社まで、観光客が歩くということを着眼すると、地域住民と触れ合いながら非日常である観光を楽しむという観光客の原点と、地域住民の誇りがそこにはあると確信する。お祭り会館 (燈篭会館) については、弥彦公園内の足湯から神社までの中間地点でもある遊休地・旧役場跡地、または、旧弥彦保育園裏のグラウンド等を考える。それらは計画段階から住民の意向を取り入れ、官・民との適切な組み合わせを基本理念として、現実可能の方向性を見出すことがこれからの弥彦観光には必要であると私は切に確信する。
また、さきの9月議会において村長より大字弥彦地内に温泉掘削のお考えを示されたが、その後の旅館組合との話し合いを前提とした進捗状況はどうか。そして観光弥彦温泉郷のこれからの総合トータル的な考え、つまりは弥彦地内の地図も変えるという意思で取り組まれる思いはあるのか。今現在の村長のお考えをお伺いしたいと思います。
●議長(花井温郎さん) 答弁を求めます。
村長。
●村長(大谷良孝さん) 高倉議員のご質問にお答えを申し上げます。
議員の観光に対するご提言は理解もいたしますし、観光地の新たな文化、とりわけ伝統に根差したところの地域住民と共有できる文化創造であり、古きよきものに新しい感覚を融合させ、観光客に提供するという新たな発想で観光地としての展開を図ることは、現在の志向選別に対処する手法の一つとしては十分な考え方として参考にでき得るものととらえさせていただいたところでございます。
村有地の有効利用と観光事業を結びつけた会館建設につきましては、地域産業により生産された品物を展示販売を行う物産館的発想は、関係者から多くのご提案を今までにもいただいており、その実現に向け検討をいたした時期もあったものと理解をいたしております。
観光地弥彦として、越後一の宮弥彦神社を擁し、豊かな自然を初めといたしました歴史と文化が醸し出す有数の観光地であることも間違いのないものでございますし、そこに現代にマッチした新たな魅力を加えることも大変重要であると感じております。要は、地域の皆様がともに理解を深め、共通意識の中で発展させていかなければならない問題であり、行政といたしましてはその一助を担い、更に充実したものを地域の皆様とともに形成することが肝要であり、それが観光事業全体の発展に結びつくものと考えております。
古きよき時代に思いをめぐらせ、新たな創造をつくり出すことも必要であると思っております。観光地弥彦のさらなる充実と発展が、今後の弥彦村の将来を左右するであろうことも十分理解をいたしております。そのため、さきの議会において、弥彦地区に新たな温泉掘削につきましてもお話しさせていただきましたし、弥彦神社の永田宮司様ともお話しもさせていただいたところでございます。弥彦地区に新たな温泉を掘削いたしますことによりまして、弥彦村に泉質の違う温泉が3カ所、弥彦温泉、観音寺温泉、やひこ桜井郷温泉となりまして大変魅力の持てる観光温泉地を形成いたすことも十分に考えられるわけでございます。これにより弥彦温泉のイメージも一新され、新たな温泉郷としての新しい地図も描けるのではないかと思っております。
弥彦地内における新たな温泉掘削につきましては、地元観光業者の皆様を初め、観光温泉館組合の皆様方とも協議をさせていただいていることはご存じのことと存じます。これにつきましても、地元観光関係の皆様が共通認識のもとで一致協力をした中で実現が可能となるものと考えております。弥彦観光のさらなる発展は、弥彦地域の皆様のみならず弥彦村民全体の願いでもあるものと理解をいたしております。そのためには、地域を初めとした住民の理解と関係業界の方々、そして行政と三位一体、更には弥彦を訪れる観光客の方々を含め4者が総合的に弥彦観光をつくり上げていくことが、より効果的に観光事業の展開と発展が期待できるものとして、大きな視点でとらえているところでございます。何分のご理解を賜りますようにお願いを申し上げまして、ご答弁とさせていただきます。
●議長(花井温郎さん) 高倉議員。
●1番(高倉 榮さん) 今ほど村長より、一致協力して弥彦温泉を発展させ、そして3地区、桜井郷、弥彦、そして観音寺という温泉掘削を、温泉地のイメージを新しくして弥彦温泉を総合的にやっていくというようなお話をされました。恐らく旅館組合さんとのお話し合いも今現在進行形中だと思いますし、いろいろな行政側とのお話し合いがされている最中だと思われます。私の思いといたしましては、温泉不当表示から始まり、水害、地震と、そして今現在弥彦温泉郷が始まって以来と言われている風評被害を受けて大きなダメージを受けているというのも事実でございます。やはり来年はあらゆる意味での節目の年でもあると思いますし、勝負の年でもあると確信しています。どうか明るい材料、これからの弥彦村の温泉郷としての明るい材料のご提示をどうかお願いする次第でございます。
また、旅館組合長も熱い決意と熱意のもとで頭を丸めて、この温泉掘削という事業に対して取り組んでいると認識しております。村長おっしゃるとおり三位一体プラス観光客、この4者でこれからの弥彦温泉郷を考えていくという作業が大切なのではないかと私も確信しております。どうか、このような状況ではありますが、何とぞご精査の上、これからの弥彦の地図を変えるという思いで取り組んでいっていただきたいと切に願う次第でございます。
以上です。
●議長(花井温郎さん) お願いで、別に答弁は要らないわけですね。
●1番(高倉 榮さん) 答弁できればいただきたいと思います。
●議長(花井温郎さん) 明るい材料のご提示をということに対する答弁を求めたいわけですね。
●1番(高倉 榮さん) そうです。
●議長(花井温郎さん) 村長。
●村長(大谷良孝さん) 今、いろいろお話をいただきましたが、私も思いは一緒でございまして、いち早く風評被害が出た段階で、これは大変なことになるのではないかという危機感を持ちまして、すぐに永田宮司のところへまいりましていろいろなお話をさせていただいたところでございます。ありがたいことに、永田宮司様のきちっとしたご協力の意思表示がすぐその場でございましたので、その後、それこそ新しい温泉の掘削を視野に入れた中での9月議会での発言となったところでございますが、その後、再三にわたって温泉旅館組合、また青年部の方とか商工会の方とかいろいろお話しもさせていただいておりますが、私のところに今入っている情報では、ことしうちにある一定の方向が業界の皆様方からいただけるのではないかなという今お話もいただいておりますので、そのお話をいただいた中で、それが果たして本当に実現可能なものか、議会の皆様方にお話ししてご理解いただける内容のものなのかどうか、そこら辺を判断をさせていただいた中で、一日も早く議会の皆様方とお話し合いができれば幸いであると、こういうふうに考えているところでございますので、一にも二にも私の考え方は今まで再三再四申し上げているところでございますので、新しい温泉が出た暁に対する対応はきちっとなされるのかどうか、その1点にかかっているわけでございますので、そのことを今後も注視しながら対応していきたいなと考えているところでございます。
●議長(花井温郎さん) 以上で高倉榮さんの質問を終わります。
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