青森駅に降り立つ 外は大雪。 今日の試験を終え学校を出るとき友人から、これから青森行くなんて大変だね、なんていわれ、好きでやってることだから、なんてこたえてきたが
明日も試験なのにいいのかな、という思いも無いわけではなかった。 だんだんと全身が雪だるまになりかけてきたころ、今日の会場、シューだびよんへと到着。 雨足ならぬ雪足は速く、客足は遅く。それでも開演時間になるあたりにはだいぶ席も埋まり、BOB
MARLEYが流れる会場内はしだいにその温度をあげていく。何度目かのEXODUSが流れる中カメラを手に席を立つ。 時間の流れを止めるかのようにゆっくりと動きだす光の闇。一曲一曲唄を楽しむというよりも、その空間に漂うことをただ一つの喜びとするような時間。心の疲れを埋めていくかのようにしみてくるナラさんの声。優しい光の中で時を埋めていくような歌声。夕焼けのような熱さと春のような煌めきがそこにはあった。 寒い土地柄によるためか客の反応は激しいものではなかったが、緩やかな笑顔とあったかな拍手に満ち溢れている会場。 2001年の秋を経たこの日、『寒い朝』の「許されない罪には許された罪を 残虐な犯罪者には残虐な正義を」の言葉が胸をえぐるように響いたのは自分だけではなかっただろう。やり場のない怒りと底の見えない不安と悲しみに思わず泣き出しそうになる。様々な負の感情を抱えたままの自分を置いて、LIVEは進んでいく。 この日は前半はソロ、後半は数曲サスカッチ(2000年夏にも共演)と、そしてまたソロで、というライブ構成。「東京ラブソング」「真っ赤なゼリー」「名曲1」「だびよん」など数曲やったが、中でも、「名曲1」のイントロでのラップと曲間での一人一人の歌(としてのソロ演奏)が一番胸を熱くさせた。 弘前のときは少し強引に引っ張られていくように感じたのだが、この日の「宇宙のハーモニー」は自然でゆるやかな流れを感じるいい演奏だった。それはまるで、ループの流れに会場にいる人々の心を乗せて大河を行く小船のようだった。ループがゆるやかに消えていくのとともに自分の抱えていた負の感情も消えていった。 ライブでは初めて聴く「生活について」に心励まさる。演奏後、舞台袖に去っていったナラさんへ会場から拍手が舞う。そして、流れに任せるかのように手拍子をする人はどんどん増えていく。 終了後。土産に持ってきた本を渡しながら少し話をする。帰り際、階段まで送ってもらい、いつものように抱き合い、熱い握手を交わし、別れる。 今すぐ歩き出せばどこかへは着くだろう、そんな抽象的なことを考えながら、自らの雪を踏みしめる音を聞いていた。 |
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